説明

自動分析器用反応容器

反応容器は、自動分析器での使用を意図しており、その頂部における開口部(14)と、上記開口部を部分的に閉塞する1つまたは2つのフラップ(18)と、を有し、フラップは、液体注入またはサンプル抽出の針を通過可能としかつ容器内に収容されている攪拌手段が脱出することを防止するスロット(22)によって離間している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的または生物学的なサンプルを分析するための自動分析器で使用されるように構成された反応容器に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの容器は、特許文献1及び特許文献2において知られており、溶媒の物理的状態を変更するために必要な時間を決定するために、特に血液サンプルの凝固時間を決定するために、使用され、各容器は、その頂端部で開口し、強磁性体材料からなるボールのための経路を形成する円形アーチ状の底部を有し、ボールは、外部磁界を用いて周期的な運動状態で容器内を移動させられており、ボールの運動の強度及び/または周期のバラツキは、血液サンプルの物理的状態を示す。
【0003】
特許文献2において、ボールを収容した容器は、可撓性を有する支持フィルムに取り外し可能なように隣接して固定されており、支持フィルムは、容器の頂端部を閉塞し、自動分析器に供給して分析器を通って容器を連続して移動させるためにリールに巻回されている。
【0004】
このフィルムは、容器内にサンプル及び試薬を入れるための容器の開口部に一致して位置付けられた一連のスロットまたは開口部を有する。
【0005】
容器上にフィルムを固定するため、各容器は、その頂端部においてフィルムの横方向の穿孔内に無理やり係合させるように構成された突出スタッドが設けられた2つの横方向ツマミ部を有し、フィルムに固定された容器のツマミ部は、フィルム及び容器の組み立てが歯形のベルト(cog belt)などを用いて駆動されることを可能とするラックを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0325874号明細書
【特許文献2】国際公開第03/065047号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これら既知の手段は、いくつかの有利点を示すが以下の欠点も示す。
・容器がフィルムに固定され、そして使用後にフィルムから取り外されなければならないが、容器の取り外しが早過ぎまたは遅くなるおそれがあるため、動作が常に完全な状態では実行されない。また、これら動作が、容器のコストに対してごくわずかでなくかつ容器が固定されるフィルムのコストにさらなるコストを示す。
・容器が移動される間において、容器内に収容されているボールが、フィルムによって十分に保持されなくなることがある。この場合、予定された分析が容器内で正確に実行されずにボールを収容する容器内で再実行されなければならず、その結果、サンプル、試薬及び時間を損失する。
【0008】
本発明の特有の目的は、従来技術のこれら欠点を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、自動分析器における使用、及び流体媒体を攪拌するための攪拌手段を収容すること、を意図した反応容器であって、容器は、その頂部において開口部を有し、容器は、上記開口部を部分的に閉塞するための少なくとも1つのフラップを有し、フラップは、開口部の一辺から反対側の辺に向けて開口部の平面にほぼ延在する反応容器を提案する。
【0010】
変形例において、容器は、上記開口部を部分的に閉塞する2つのフラップを有し、上記フラップは、開口部の平面で互いに向かって開口部の2つの対辺から延在する。
【0011】
閉塞位置にある前記フラップは、容器内に収容されている攪拌手段が脱出することを防止する一方、容器内でサンプルの抽出または液体の注入のための針を通過させることを可能とする。
【0012】
有利には、フラップは、容器と一体成形により形成されている。
【0013】
本発明の第1の形態において、フラップは、フラップの閉塞位置の状態で容器の頂端部に直接成形されている。
【0014】
この形態において、強磁性体材料からなるボールのような攪拌手段は、上記フラップを成形する前に容器内に配置される。
【0015】
本発明の他の形態において、フラップは、容器の開口部を開放する初期位置において容器と共に射出成形され、そして上記フラップは、開口部の側部へのフラップの接続領域回りで回動させることによって開口部を部分的に閉塞するための位置に折り畳まれる。
【0016】
この形態において、強磁性体材料からなるボールのような攪拌手段は、上記ツマミ部の成形後かつツマミ部を閉塞位置に折り畳む前に容器内に配置される。
【0017】
容器が形成されるプラスチック材料は、剛性を示し、剛性は、フラップがその初期位置からフラップが容器の開口部を部分的に閉塞するその部分的閉塞位置に折り畳まれることを可能とし、かつその後にフラップがその部分的閉塞位置からその初期位置に回動するときにフラップの接続領域を破断させる。
【0018】
この特性は、再使用に伴って汚染されるおそれがあるため、使用後に廃棄可能な消耗品である容器が再びまたは最初の使用後に複数回再使用されることを防止する。
【0019】
有利には、本発明の容器は、フラップの閉塞位置にある上記フラップの保持のための保持手段を有し、これら保持手段は、例えば開口部の側部に形成された少なくとも1つの突出スタッドを備え、上記スタッドは、開口部の平面にほぼ延在している。
【0020】
変形形態において、容器内に収容された攪拌手段は、強磁性体材料からなるボールではなく容器の頂部に取り付けられたピボットレバーで構成されている。
【0021】
例としての以下の説明を読み、かつ添付の図面を参照することにより、本発明をより理解することができ、かつ本発明の他の特徴、詳細、有利点がより明確に表される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】製造型から出てくる本発明の容器を示す斜視図である。
【図2】使用状態にある容器を示す斜視図である。
【図3】本発明の特定の実施形態における容器を示す断面図である。
【図4】図3の容器を示す長手方向断面図である。
【図5】図3の容器を示す平面断面図である。
【図6】図3のVI部分の詳細を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
初めに図1及び図2を参照すると、図1及び図2は、本発明の容器10を示す図であり、上記容器は、円形アーチ状の底部12と長方形状をなす開口した頂端部14と、を有し、全体的に断面長方形の平行六面体状をなしている。
【0024】
容器10の頂端部は、長方形の開口部14の短辺から外側に突出しかつ容器の把持及び取り扱いのための把手を形成する2つのツマミ部16を有する。
【0025】
本発明において、容器10の頂端部は、開口部14を閉塞するための少なくとも1つ、好ましくは2つの折畳式のフラップ18を有し、フラップは、容器の製品状態において外側に延在しており、長方形の開口部14の2つの長辺から突出し、2つのフラップは、同一形状及び同一寸法を有するが、変形例において、これらは、異なる形状及び/または寸法を有してもよい。
【0026】
各フラップ18が容器の大壁部20の頂端部に接続される領域は、図2に示すように、フラップ18が開口部14の平面内に折り畳まれることを可能とするように構成されており、この折り畳みは、強磁性体材料のボール、ピボットレバー、または他の手段のような液体攪拌手段を容器内に配置した後に行われる。
【0027】
両フラップ18が容器の開口部14の平面に折り畳まれると、開口部は、完全には閉塞されず、フラップ18は、例えば約2mmの幅でスロット22によって離間されており、これにより、液体注入またはサンプル抽出の針が通過することを可能とし、かつ容器内に収容されている攪拌手段が脱出することを防止する。
【0028】
容器を形成する材料及びフラップ18を容器の大側面20に接続する領域の特性は、上記フラップが図2に示すフラップの閉塞位置にあるときにフラップ18が反対方向に折り返されることを防止するように構成される。
【0029】
したがって、図2に示すフラップの位置からフラップ18が外側に折り返されようとすると、折り返すことは、容器へのこれらの連結部を破断させて容器の今後の使用を防止する。
【0030】
その結果、本実施形態において、容器は、射出成形されたポリエステル、好ましくは完全に透明な「結晶(crystal)」ポリエステルで形成されており、上記材料は、フラップ18に望まれている折畳特性に良好に適した剛性を有する。
【0031】
図3から図6は、本発明の容器10の実施形態の具体例を示しており、上記容器は、閉塞位置で示されており、強磁性体材料からなるボール24で構成された攪拌手段を収容する。
【0032】
このボールは、円形アーチ状の凹状の経路であって容器の大壁部20にある2つの内部リブ26によって形成された経路上を案内され、これら円形アーチ状のリブは、大壁部20の中間部から容器の小壁部28に向けて少し隆起している。
【0033】
容器10の頂端部のツマミ部16は、ほぼ台形状をなし、ツマミ部は、それぞれこれらの上面にある突出スタッド30を有し、突出スタッドは、上記従来技術において可撓性を有する材料に容器を固定するために使用されたタイプである。
【0034】
容器の頂端部を閉塞するためのフラップ18は、フラップを容器に接続するフラップの領域から離間した自由端である長辺において、それぞれ台形状のノッチ32を有し、2つのノッチは、ノッチ間において、サンプル抽出または注入の針を容器内に導入するための上述したスロット22を形成する。
【0035】
各ノッチ32は、対応するフラップ18の自由端のほぼ中間部に形成されており、ノッチは、フラップの全長にわたっては形成されていない。
【0036】
したがって、フラップの閉塞位置において、フラップ18は、図5の平面図に示すように、長手方向端部34において互いにほぼ接触する。
【0037】
フラップ18をフラップの閉塞位置で維持するため、2つの小さなスタッド36は、図6において良好に示されるように、容器10の頂端部の短辺から突出して形成されてもよく、これら小さなスタッド36は、閉塞位置への折畳動作の終了時にフラップ18の長手方向端部34の軌跡に沿って位置しかつ硬質の先端部を形成し、先端部は、フラップ18を強く押下することによって通過され、そしてフラップが容器の開口位置へ復帰することを防止する。
【0038】
フラップ18を容器の長壁部20の上辺に接続する領域38は、所定形状を有し、フラップ及び壁部20の厚さ未満の厚さを有し、フラップ18が閉塞位置に折り畳まれることを可能とする可撓性を有するヒンジ部と、フラップ18が容器の開口位置に復帰しようとすると破断すること意図した弱化領域と、を同時に構成する。
【0039】
フラップ18は、有利には成形により容器と一体的に形成されている。
【0040】
フラップは、図1に示す位置で成形されており、これにより、容器に接続されたフラップの領域回りで約180°にわたって回動することによって閉塞位置に折り畳まれる。
【0041】
変形例において、フラップは、容器の大壁部20に延在して成形されてもよく、これにより、約90°にわたって回動することによって折り畳まれる。
【0042】
また、フラップは、容器の長壁部20の上辺に成形されることによって、容器の頂部においてフラップの閉塞位置の状態で直接形成されてもよい。
【0043】
いかなる製造方法でも、フラップ18は、容器と同一材料で構成されまたは別材料であるが容器の材料に適合する材料で構成されうる。
【0044】
容器が透明な材料で形成されている一方、フラップは、フラップが周辺光から容器内に収容されている液体媒体を保護するのに有用である場合に、不透明な材料で形成されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 容器(反応容器)、14 開口部、16 ツマミ部(横方向ツマミ部)、18 フラップ、24 攪拌手段、32 ノッチ(台形ノッチ)、36 スタッド(突出スタッド,保持手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動分析器における使用、及び流体媒体を攪拌するための攪拌手段(24)を収容すること、を意図した反応容器であって、
当該反応容器は、その頂部において開口部(14)を有し、
当該反応容器は、前記開口部を部分的に閉塞するための少なくとも1つのフラップ(18)を有し、
前記フラップは、前記開口部の一方から反対側に向けて前記開口部(14)の平面にほぼ延在することを特徴とする反応容器。
【請求項2】
当該反応容器は、前記開口部(14)を部分的に閉塞する2つの前記フラップ(18)を有し、
前記フラップは、当該フラップが前記開口部を閉塞するためのこれらの位置にあるときに前記開口部の平面で互いに向かって延在することを特徴とする請求項1に記載の反応容器。
【請求項3】
閉塞位置にある前記フラップ(18)は、当該反応容器内に収容されている前記攪拌手段(24)が脱出することを防止することを特徴とする請求項1または2に記載の反応容器。
【請求項4】
2つの前記フラップ(18)は、ほぼ同一寸法及び同一形状を有することを特徴とする請求項2または3に記載の反応容器。
【請求項5】
前記フラップ(18)は、当該反応容器(10)と一体成形により形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の反応容器。
【請求項6】
前記フラップ(18)は、当該反応容器(10)と同一材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の反応容器。
【請求項7】
前記フラップ(18)は、当該反応容器(10)の前記頂端部の側部に成形されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の反応容器。
【請求項8】
前記フラップ(18)は、当該反応容器の前記開口部を部分的に閉塞するための当該フラップの所定位置に成形されていることを特徴とする請求項7に記載の反応容器。
【請求項9】
前記フラップは、当該反応容器の前記開口部を開放する初期位置において当該反応容器と共に射出成形されており、
前記フラップは、前記開口部の側部との当該フラップの接続領域回りで回動されることによって前記開口部を部分的に閉塞するための所定位置に折り畳まれていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の反応容器。
【請求項10】
当該反応容器は、剛性を示すプラスチック材料で形成されており、
前記剛性は、前記フラップ(18)がその初期位置からその部分的な閉塞位置であって当該フラップが部分的に当該反応容器の前記開口部を閉塞する閉塞位置へ折り畳まれることを可能とし、かつ後に前記フラップがその部分的な閉塞位置からその初期位置に回動するときに前記フラップの接続領域を破断させることを特徴とする請求項9に記載の反応容器。
【請求項11】
当該反応容器は、前記フラップ(18)を閉塞位置で保持するための保持手段(36)を有することを特徴とする請求項9または10に記載の反応容器。
【請求項12】
前記保持手段は、前記開口部の一端部にある少なくとも1つの突出スタッド(36)を備え、
前記突出スタッドは、前記開口部の平面に延在していることを特徴とする請求項11に記載の反応容器。
【請求項13】
閉塞位置にある前記フラップ(18)は、当該反応容器での液体注入または抽出のために針が導入されることを可能とすることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の反応容器。
【請求項14】
閉塞位置にある2つの前記フラップは、約2mmの距離だけ互いに離間していることを特徴とする請求項2から13のいずれか1項に記載の反応容器。
【請求項15】
当該反応容器は、その頂端部において、把持及び取り扱いのための2つの横方向ツマミ部(16)を有することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の反応容器。
【請求項16】
2つの前記ツマミ部(16)は、当該反応容器の前記開口部の2つの短辺から外側に向けて突出し、
2つの前記フラップ(18)は、前記開口部の2つの長辺に取り付けられていることを特徴とする請求項15に記載の反応容器。
【請求項17】
前記フラップは、不透明であることを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の反応容器。
【請求項18】
前記フラップ(18)は、当該フラップの自由端に形成された台形ノッチ(32)を有することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の反応容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−517005(P2010−517005A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545978(P2009−545978)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000082
【国際公開番号】WO2008/110674
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(508328800)
【Fターム(参考)】