説明

自動分析装置、検体分注方法および検体分注装置の特別洗浄方法

【課題】1検体における各分析項目の分注の順番を変更するといった簡易な方法で、検体間のキャリーオーバーによる影響を低減しうる自動分析装置、検体分注方法を提供する。
【解決手段】免疫学的分析項目および生化学的分析項目の両方の分析を行う自動分析装置1において、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定した分注序列に基づき、検査オーダーにより受付けた一検体の各分析項目の分注順序を前記分注序列の数値が大きいものから分注するように変更する分注順序変更部108aと、前記分注順序変更部108aにより変更された分析項目の順番で前記検体の分注を行なう分注プローブ50と、一検体における各分析項目の分注終了後に前記分注手段の洗浄を行なう分注プローブ洗浄装置44と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫学的分析項目および生化学的分析項目の分析を1台で行う自動分析装置、ならびに前記自動分析装置で使用される検体分注方法および検体分注装置の特別洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、検査室の省力化の流れに伴い、生化学的分析装置に各種の免疫学的分析項目に対応するモジュールを搭載した生化学分析および免疫学的分析の兼用装置や、1台の自動分析装置に生化学的分析用モジュールおよび免疫学的分析用モジュールを組み込んだ複合装置が開発されている。
【0003】
しかしながら、免疫学的分析項目は正常値および異常値間の数値差が極めて大きく、生化学的分析項目では問題にならない程度の微量の検体間キャリーオーバーが存在する場合でも、当該キャリーオーバーにより擬陽性判定を招いてしまうおそれがあるため、生化学分析および免疫学的分析の兼用装置や複合装置において、検体間キャリーオーバーを防止するために、分析感度の高い分析を行う前に洗浄力が高い特別洗浄を行なうように制御された分析装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、同一検体で多数の分析項目の分析を行う際に、分析時間の長さやダミー試料の有無により分析項目の順番を変更するように制御される分析装置も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第3140422号公報
【特許文献2】特許第3659164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の分析装置は、特別洗浄により分注プローブ内壁面に残存する検体によるキャリーオーバーを低減しうるものの、前記特別洗浄を行なう時間は検体の分注が停止されるため、分析効率が著しく低下するという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載の分析装置は、同一検体における分析項目の順番を変更することにより、使用検体量の削減と試薬間のコンタミネーションを防止しうるものの、検体間キャリーオーバーを低減するものではない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、検体間のキャリーオーバーにより発生するおそれのある擬陽性判定などの問題発生を少なくする自動分析装置、検体分注方法および検体分注装置の特別洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる自動分析装置は、免疫学的分析項目および生化学的分析項目の両方の分析を行う自動分析装置であって、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定した分注序列に基づき、検査オーダーにより受付けた一検体の各分析項目の分注順序を前記分注序列の数値が大きいものから分注するように変更する分注順序変更手段と、前記分注順序変更手段により変更された分注順序で前記検体の分注を行なう分注手段と、一検体における各分析項目の分注終了後に前記分注手段の洗浄を行なう洗浄手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記発明において、前記分注順序変更手段は、一検体における各分析項目の前記分注序列を免疫学分析項目、生化学分析項目の順とすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記発明において、前記分注順序変更手段は、一検体における各分析項目の前記分注序列を感染症、腫瘍マーカー、炎症マーカー、内分泌、アレルギー、生化学・酵素、生化学・脂質、生化学・窒素、生化学・蛋白、生化学・電解質の順とすることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記発明において、前記分注順序変更手段は、一検体における各分析項目の前記分注序列を、各分析項目の測定範囲における上限と下限の比を求め、当該比の大きい順とすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記発明において、前記分注順序変更手段は、一検体における各分析項目の前記分注序列を、各分析項目の測定範囲における上限と正常値範囲の下限の比を求め、当該比の大きい順とすることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記発明において、異なる検体の分注に移行する際、キャリーオーバーの影響を低減するために前記洗浄手段による洗浄回数もしくは洗浄時間の増加、薬液もしくは加熱水を使用する洗浄への変更、洗浄水量もしくは洗浄圧力の増加、または超音波洗浄の導入による特別洗浄手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記発明において、前記分注順序変更手段は、一検体における各分析項目の前記分注序列を、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定された特別洗浄回数の多い順とすることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記発明において、前記特別洗浄回数が設定された分析項目毎に、各分析項目の検体分注前に同一検体について検体分注が行なわれる回数を分析項目毎にカウントする計測手段と、前記特別洗浄回数が設定された分析項目毎に、前記特別洗浄回数から前記計測手段によりカウントされた分注回数を減じた洗浄回数を算出する算出手段と、前記特別洗浄回数が設定された各分析項目のうち、洗浄回数が最大のものを前記検体の特別洗浄回数として新たに設定する設定手段と、を備え、前記特別洗浄手段は、前記検体の分注前に前記設定手段により設定した特別洗浄回数分だけ特別洗浄することを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる検体分注方法は、免疫学的分析項目および生化学的分析項目の両方の分析を行う自動分析装置の検体分注方法であって、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定した分注序列に基づき、検査オーダーにより受付けた一検体の各分析項目の分注順序を前記分注序列の数値が大きいものから分注するように変更する分注順序変更ステップと、前記分注順序変更ステップで変更された分注順序で、分注手段により前記検体の各分析項目について分注を行なう分注ステップと、一検体における各分析項目の分注終了後に前記分注手段の洗浄を行なう洗浄ステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる検体分注方法は、上記の発明において、前記分注順序変更ステップは、一検体における各分析項目の前記分注序列を免疫学分析項目、生化学分析項目の順とすることを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる検体分注方法は、上記の発明において、前記分注順序変更ステップは、一検体における各分析項目の前記分注序列を感染症、腫瘍マーカー、炎症マーカー、内分泌、アレルギー、生化学・酵素、生化学・脂質、生化学・窒素、生化学・蛋白、生化学・電解質の順とすることを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる検体分注方法は、上記の発明において、前記分注順序変更ステップは、一検体における各分析項目の前記分注序列を、各分析項目の測定範囲における上限と下限の比を求め、当該比の大きい順とすることを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる検体分注方法は、上記の発明において、前記分注順序変更ステップは、一検体における各分析項目の前記分注序列を、各分析項目の測定範囲における上限と正常値範囲の下限の比を求め、当該比の大きい順とすることを特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる検体分注方法は、上記の発明において、異なる検体の分注に移行する際、キャリーオーバーの影響を低減するために前記洗浄ステップによる洗浄回数もしくは洗浄時間の増加、薬液もしくは加熱水を使用する洗浄への変更、洗浄水量もしくは洗浄圧力の増加、または超音波洗浄の導入による特別洗浄ステップを含むことを特徴とする。
【0023】
また、本発明にかかる検体分注方法は、上記の発明において、前記分注順序変更ステップは、一検体における各分析項目の前記分注序列を、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定された特別洗浄回数の多い順とすることを特徴とする。
【0024】
また、本発明にかかる検体分注方法は、上記の発明において、前記特別洗浄回数が設定された分析項目毎に、各分析項目の検体分注前に同一検体について検体分注が行なわれる回数を分析項目毎にカウントする計測ステップと、前記特別洗浄回数が設定された分析項目毎に、前記特別洗浄回数から前記計測ステップでカウントされた分注回数を減じた洗浄回数を算出する算出ステップと、前記特別洗浄回数が設定された各分析項目のうち、前記算出ステップにより算出した洗浄回数が最大ものを特別洗浄回数として新たに設定する設定ステップと、を備え、前記特別洗浄ステップは、前記検体の分注前に、前記設定ステップにより設定した特別洗浄回数分だけ特別洗浄を行なうことを特徴とする。
【0025】
また、本発明にかかる特別洗浄方法は、免疫学的分析項目および生化学的分析項目の両方を分析でき、キャリーオーバーの影響を低減するために検体分注装置の通常洗浄を複数回行なう特別洗浄を設定しうる自動分析装置における検体分注装置の特別洗浄方法であって、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定された特別洗浄回数の多い順とする分注序列に基づき、検査オーダーにより受付けた一検体の各分析項目の分注順序を前記分注序列の数値が大きいものから分注するよう変更する分注順序変更ステップと、前記特別洗浄回数が設定された分析項目毎に、各分析項目の検体分注前に同一検体について検体分注が行なわれる回数を分析項目毎にカウントする計測ステップと、前記特別洗浄回数が設定された分析項目毎に、前記特別洗浄回数から前記計測ステップでカウントされた分注回数を減じた洗浄回数を算出する算出ステップと、前記特別洗浄回数が設定された各分析項目のうち、前記算出ステップにより算出した洗浄回数が最大ものを特別洗浄回数として新たに設定する設定ステップと、前記検体の分注前に、前記設定ステップにより設定した特別洗浄回数分だけ特別洗浄を行なう特別洗浄ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる自動分析装置は、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定した分注序列に基づき、検査オーダーにより受付けた一検体の各分析項目の分注順序を前記分注序列の数値が大きいものから分注するように変更することにより、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目の検体分注前に同一検体の分注および当該検体を分注した分注プローブの洗浄を多く行なうことができるため、同じ分注・洗浄のシーケンス下で検体間キャリーオーバーの影響を効果的に低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(実施の形態1)
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる自動分析装置、検体分注装置の特別洗浄方法および検体分注方法の好適な実施の形態1を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態1である自動分析装置を示す概略構成図である。
【0028】
自動分析装置1は、血液や尿などの検体(液体)と、検査項目に応じた試薬とを混合して反応させた反応液の光学的特性を測定することにより検体の成分濃度などを分析するものである。この自動分析装置1は、検体と試薬との間の反応物を通過する光、または反応液から発する発光量を測光分析する測定機構としての生化学的分析モジュール11および免疫学的分析モジュール12と、生化学的分析モジュール11および免疫学的分析モジュール12を含む自動分析装置1全体の制御を行なうとともに、測定機構における測定結果の分析を行なう制御機構10とを備える。自動分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の分析を自動的に行なう。
【0029】
まず、生化学的分析モジュール11について説明する。生化学的分析モジュール11は、大別して、反応テーブル3と、試薬テーブル4および4Aと、試薬分注装置7および7Aと、分注プローブ洗浄装置8および8Aとを備えている。
【0030】
反応テーブル3は、円環状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された収納部を備えている。各収納部には、検体と試薬を収容する透明な反応容器32が上方に向けて開口した形態で着脱自在に収納される。また、反応テーブル3は、反応テーブル3の中心を通る鉛直線を回転軸として反応テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。反応テーブル3が回転すると反応容器32は、検体分注装置5によって検体が吐出される検体吐出位置や、試薬分注装置7および7Aによって試薬が吐出される試薬吐出位置に搬送される。
【0031】
また、反応テーブル3は、測光装置33を備えている。測光装置33は、光源33aおよび受光部33bを有している。光源33aは、所定波長の分析光を出射する。受光部33bは、光源33aから出射されて、反応容器32に収容された検体と試薬が反応した反応液を透過した光束を測定する。測光装置33は、前記光源33aと受光部33bが反応テーブル3の収納部31を挟んで半径方向に対向する位置に配置されている。なお、反応テーブル3は、測定後の反応液を反応容器32から排出し、該反応容器32を洗浄する洗浄機構34を備えている。
【0032】
試薬テーブル4および4Aは、円盤状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された収納部41を備えている。各収納部41には、試薬を収容した試薬容器42が着脱自在に収納される。試薬容器42は、上方に向いて開口する開口部42aを有している。また、試薬テーブル4は、試薬テーブル4の中心を通る鉛直線を回転軸として試薬テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。試薬テーブル4が回転すると試薬容器42は、試薬分注装置7および7Aによって試薬が吸引される試薬吸引位置に搬送される。
【0033】
試薬分注装置7は、試薬の吸引および吐出を行なう分注ノズルが先端部に取り付けられ、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。試薬分注装置7は、試薬テーブル4と反応テーブル3との間に設けられ、試薬テーブル4によって所定位置に搬送された試薬容器42内の試薬を分注ノズルによって吸引し、アームを旋回させ、反応テーブル3によって所定位置に搬送された反応容器32に分注して試薬を所定タイミングで反応テーブル3上の反応容器32内に移送する。試薬分注装置7Aについても同様である。
【0034】
検体容器移送機構40は、配列された複数のラック22bを矢印方向に沿って1つずつ歩進させながら移送する。ラック22bは、検体を収容した複数の検体容器22を保持している。ここで、検体容器移送機構40によって移送されるラック22bの歩進が停止するごとに、検体分注装置5によって検体容器22内の検体は反応容器32へ分注される。
【0035】
検体分注装置5は、検体の吸引および吐出を行なう分注プローブが先端部に取り付けられ、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。検体分注装置5は、検体容器搬送機構40によって所定位置に搬送された検体容器22内の検体を分注プローブによって吸引し、アームを旋回させ、反応テーブル3によって所定位置に搬送された反応容器32に分注して検体を所定タイミングで反応テーブル3上の反応容器32内に移送する。実施の形態1において、検体分注装置5は生化学的分析モジュール11内に設置されていないが、免疫学的分析モジュール12の検体分注装置としての役割も担うことができれば、生化学的分析モジュール11内に設置することも可能である。
【0036】
図2に検体分注装置5の概略構成図を示す。検体分注装置5は、図2に示すように分注プローブ50を有している。分注プローブ50は、ステンレスなどによって棒管状に形成されたもので、先端側はテーパー形状をとる。先端を下方に向けて上方の基端がアーム51の先端に取り付けてある。アーム51は、水平配置され、その基端が支軸52の上端に固定してある。支軸52は、鉛直配置されており、分注プローブ移送部53によって鉛直軸Oを中心として回転する。支軸52が回転すると、アーム51が水平方向に旋回して、分注プローブ50を水平方向に移動させる。また、支軸52は、分注プローブ移送部53によって鉛直軸Oに沿って昇降する。支軸52が昇降すると、アーム51が鉛直方向に昇降して、分注プローブ50を鉛直(上下)方向であって分注プローブ50の長手方向に昇降させる。
【0037】
分注プローブ50の基端には、チューブ54aの一端が接続される。このチューブ54aの他端は、シリンジ55に接続される。シリンジ55は、チューブ54aの他端が接続された筒状のシリンダー55aと、シリンダー55aの内壁面に摺動しながらシリンダー55a内を進退可能に設けられたプランジャー55bとを有する。プランジャー55bは、プランジャー駆動部56に接続される。プランジャー駆動部56は、例えばリニアモーターを用いて構成され、シリンダー55aに対するプランジャー55bの進退移動を行うものである。シリンジ55のシリンダー55aには、チューブ54bの一端が接続される。このチューブ54bの他端は、押し出し液L1を収容するタンク57に接続される。また、チューブ54bの途中には、電磁弁58およびポンプ59が接続される。なお、押し出し液L1としては、蒸留水や脱気水などの非圧縮性流体が適用される。この押し出し液L1は、分注プローブ50の内部の洗浄を行う洗浄液としても適用される。
【0038】
検体分注装置5は、ポンプ59を駆動し、電磁弁58を開状態にすることでタンク57に収容されている押し出し液L1が、チューブ54bを経てシリンジ55のシリンダー55a内に充填され、さらにシリンダー55aからチューブ54aを経て分注プローブ50の先端まで満たされる。このように押し出し液L1が分注プローブ50の先端まで満たされた状態で、電磁弁58を閉状態にし、ポンプ59を止めておく。そして、検体や試薬の吸引を行う場合、プランジャー駆動部56を駆動してプランジャー55bをシリンダー55aに対して後退移動させることにより、押し出し液L1を介して分注プローブ50の先端部に吸引圧が印可され、この吸引圧によって検体や試薬が吸引される。一方、検体や試薬の吐出を行う場合には、プランジャー駆動部56を駆動してプランジャー55bをシリンダー55aに対して進出移動させることにより、押し出し液L1を介して分注プローブ50の先端部に吐出圧が印可され、この吐出圧によって検体や試薬が吐出される。
【0039】
なお、図には明示しないが検体分注装置5は、分注プローブ50で分注する検体および試薬の液面を検知する液面検知機能を備えている。液面検知機能には、例えば分注プローブ50が検体や試料に接した際の静電容量の変化によって液面を検知するものがある。
【0040】
分注プローブ洗浄装置44は、検体分注装置5が備える分注プローブ50の水平移動の軌跡の途中位置に設けられ、検体間のキャリーオーバー防止のために、分注プローブ50により検体の分注を行なうたびに該分注プローブ洗浄装置44にて分注プローブ50の洗浄を行なう。分注プローブ洗浄装置44の洗浄槽に貯留した洗浄水に分注プローブ50を浸漬、またはシャワー等の噴射圧力を用いて外壁面を洗浄し、内壁面は、押し出し液L1を分注プローブ50から噴出させることにより洗浄する。実施の形態1において、分注プローブ洗浄装置44は生化学的分析モジュール11内に設置されているが、免疫学的分析モジュール12で分析される検体分注後の洗浄も行なうものであり、免疫学的分析モジュール12内に設置することも可能である。また、分注プローブ洗浄装置44は、検体間キャリーオーバーを低減することを目的として、異なる検体への分注移行の際に複数回通常洗浄を行なう特別洗浄を行なう場合に、特別洗浄部としての役割も果たす。
【0041】
このような構成の生化学的分析モジュール11において、検体および試薬が分注された反応容器32は、反応テーブル3によって周方向に沿って搬送される間に検体と試薬とが攪拌されて反応し、光源33aと受光部33bとの間を通過する。このとき、光源33aから出射され、反応容器32内の反応液を通過した分析光は、受光部33bによって測光されて成分濃度などが分析される。そして、分析が終了した反応容器32は、洗浄機構34によって測定後の反応液が排出されて洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0042】
つぎに、免疫学的分析モジュール12について説明する。免疫学的分析モジュール12は、大別して、免疫反応テーブル24と、BFテーブル25と、試薬テーブル26および27と、試薬分注装置28および29と、酵素反応テーブル30と、測光装置37と、反応容器移送部35および36と、分注プローブ洗浄装置38および39とを備えている。
【0043】
免疫学的分析モジュール12の各構成要素は、生化学的分析モジュールと共通するものが多いので、以下、免疫学的分析モジュールに特徴的な各要素について説明する。
【0044】
試薬テーブル26および27は、試薬容器を複数収納し、各試薬容器には、免疫学的分析項目の分析に使用される試薬であって、分析対象である検体内の抗原または抗体と特異的に結合する反応物質を固相した磁性粒子を含む試薬や、磁性粒子と結合した抗原または抗体と特異的に結合する標識物質(たとえば酵素)、標識物質との酵素反応によって発光する基質を含む基質液が収容された基質液が収容されている。
【0045】
BFテーブル25は、所定の洗浄液を吸引吐出して検体または試薬における未反応物質を分離するBF(bound−free)分離を実施するBF洗浄処理を行なう。BFテーブル25は、BFテーブル25の中心を通る鉛直線を回転軸として図1の矢印の方向に回動自在であり、BFテーブル25に配置された反応容器32Aを所定タイミングで所定位置に移送する。BFテーブル25は、BF分離に必要な磁性粒子を集磁する集磁機構と、BF液を反応容器内に吐出・吸引してBF分離を実施するBF洗浄プローブを有するBF洗浄部と、集磁された磁性粒子を分散させる攪拌機構とを有する。
【0046】
酵素反応テーブル30は、反応容器32A内に注入された基質液内の基質が発光可能となる酵素反応処理を行なうための反応ラインである。酵素反応テーブル30には、周方向に反応容器32Aを収容する反応容器収容部が形成される。酵素反応テーブル30は、酵素反応テーブル30の中心を通る鉛直線を回転軸として図1の矢印の方向に回動自在であり、酵素反応テーブル30に配置された反応容器32Aを所定タイミングで所定位置に移送する。
【0047】
反応容器移送部35および36は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行ない、検体および所定の試薬を収容した反応容器32Aを所定タイミングで、免疫反応テーブル24、BFテーブル25、酵素反応テーブル30、測光装置37、図示しない反応容器供給部および図示しない反応容器廃棄部の所定位置に移送するアームを備える。
【0048】
このような構成の免疫学的分析モジュール12において、検体容器移送機構40により検体容器22を収容したラック22bが検体分注位置に搬送後、生化学的分析モジュール11と兼用される検体分注装置5により反応容器32A内に検体が分注される。反応容器32A内には、さらに磁性粒子、標識物質、基質液などの試薬がBF洗浄等による未反応物質等の除去のステップを挟んで分注され、検体と各試薬の反応により生成した免疫複合体と基質とが作用し、基質から発する発光が測定される。
【0049】
つぎに、制御機構10について説明する。図1に示すように、制御機構10は、制御部101、入力部102、分析部103、記憶部104、出力部105、送受信部107および分注順序変更部108aを備える。制御機構10が備える各部は、制御部101に電気的に接続されている。制御部101は、CPU等を用いて構成され、自動分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部101は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。分析部103は、制御部101を介して各モジュールの測光装置33および37に接続され、光量に基づいて検体の成分濃度等を分析し、分析結果を制御部101に出力する。入力部102は、制御部101へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。
【0050】
記憶部104は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部104は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0051】
出力部105は、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、制御部101の制御のもと、分析に関する諸情報を出力する。出力部105は、ディスプレイ等を用いて構成された表示部106を備える。表示部106は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。入力部102および表示部106はタッチパネルによって実現するようにしてもよい。送受信部107は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行なうインターフェースとしての機能を有する。分注順序変更部108aは、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定した分注序列に基づき、検査オーダーにより受付けた一検体の各分析項目の分注順序を前記分注序列の数値が大きいものから分注するように変更する。
【0052】
また、制御部101には、上述した検体分注装置5の各部、分注プローブ移送部53、プランジャー駆動部56、電磁弁58、およびポンプ59が接続されている。制御機構10は、自動分析装置1の各処理にかかわる各種プログラムを用いて、検体分注装置5の動作処理の制御を行なう。
【0053】
以上のように構成される自動分析装置1において、入力部102により検査オーダー受付後、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定した分注序列に基づき、1検体における各分析項目の分注順は分注順序変更部108aにより変更され、決定された順番により検体の分注は行なわれる。反応テーブル3または免疫反応テーブル24によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器32または32Aに、検体容器移送機構40によって搬送された検体容器22から、変更された分注の順番に基づき検体分注装置5によって所定量の検体が分注され、試薬分注装置7または28等により試薬を分注される。検体分注後の分注プローブ50は、検体間のキャリーオーバーや検体成分による分注プローブの詰まりや汚れ付着を防止すべく、分注が行なわれる度に分注プローブ洗浄槽44により洗浄される。
【0054】
次に、本発明の実施の形態1にかかる検体分注方法について、図3〜8を参照して詳細に説明する。図3は実施の形態1の自動分析装置の分注動作を示すフローチャートである。まず、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について分注序列を設定する。実施の形態1では、図4に示すように、一検体における分析項目のうちキャリーオーバーの影響を受け易い免疫学分析項目、生化学分析項目の順に分注序列をそれぞれ1、2と設定する(ステップS100)。
【0055】
検体間キャリーオーバーは、分注する検体の変更時に分注プローブへの前検体の残存により起こるものであり、キャリーオーバーを防止し、さらに、検体由来成分による分注プローブの詰まりを防止するために、各分析項目の分注終了の度に分注プローブ洗浄装置44で分注プローブ50の洗浄を行なっている。図5に示す、分注プローブによる検体の分注シーケンスを参照して、1検体における分析項目の分注順を変更することによるキャリーオーバーの影響低減効果について説明する。図5において、検体βは分析項目A〜Eについて検査オーダーがされており、自動分析装置1では、検体βにおける分析項目A〜E用の検体分注のために、検体吸引、検体吐出、分注プローブ洗浄からなる分注シーケンス(1)〜(5)を連続して行なっている。分析項目A〜Eのうち、検体間キャリーオーバーの影響を最も受け易い分析項目を、検体βの分注シーケンスの最後、すなわち分注シーケンス(5)で行なう場合、検体βのシーケンス(5)前の分注シーケンス(1)〜(4)で行なわれる分注プローブ洗浄により、前検体αの残存を低減し、キャリーオーバーによる分析への影響を排除することができる。一般に、生化学的分析項目と、免疫学的分析項目の検査オーダーの割合は、4:1〜8:1といわれており、一人当たりの平均分析項目オーダー数が10項目程度であることを考えると、キャリーオーバーの影響を受け易い免疫学項目の検体分注前に、4〜8回の分注シーケンスが行なわれるため、実施の形態1のように免疫学分析項目の分注序列を生化学分析項目より高く設定するだけで、キャリーオーバーの影響の低減が可能となるものである。
【0056】
次に、各検体の検査オーダーを受付ける(ステップS101)。検査オーダーは、検体番号と分析項目からなり、たとえば、図6に示すような検査オーダー表に基づき、入力部102を介して検査オーダーが受付けられ、記憶部104に検査オーダーが記憶される。続いて、受け付けた分析項目についてステップS100において設定した分注序列と照合する(ステップS102)。自動分析装置1には分析可能なすべての分析項目についての分析に要する情報、たとえば、分析項目の区分や検体分注量、分析条件等が分析項目毎に記憶部104に記憶されているので、記憶部104から各分析項目の区分を抽出するとともに、当該区分の分注序列を照合する。検査オーダーを分注序列と照合した結果を図7に示す。
【0057】
各分析項目の分注序列との照合後、分注順序変更部108aにより、1検体中における各分析項目の分注の順番を変更する(ステップS103)。実施の形態1では、免疫学分析項目、生化学分析項目の順とする分注序列であり、受け付けられた分析項目の分注順番を分注序列の数値が大きいものから分注するように、分注序列に基づき分注の順番を変更したものを図8に示す。受け付けられた各分析項目について、分注序列が2の生化学的分析項目から分注が行われるように変更される。序列が同一の分析項目については、受付順となる。実施の形態1では、検体間キャリーオーバーの影響を受け易い免疫学分析項目の分注の順番を後ろに変更するだけで、免疫学分析項目の前に分注される同一検体の分注シーケンスで行なわれる分注プローブ洗浄が前検体の残渣の洗浄を実質的に行なうことになり、検体間キャリーオーバーの影響を低減できるものである。
【0058】
その後、制御部101は、次検体の検査オーダーの有無を確認し、新たな検査オーダーがない場合は(ステップS104、No)、分注動作に移行して、分注プローブ50で検体の吸引を行ない(ステップS105)、新たな検査オーダーがある場合は(ステップS104、Yes)、検査オーダーの受付のステップS101に戻って1検体における各分析項目の分注順序が変更される。吸引された検体は反応容器32または32Aに吐出され(ステップS106)、その後、吐出された検体を、試薬と反応させ、測光分析が行なわれる。分注プローブ50は次の分析項目の分注のために、分注プローブ洗浄装置44で洗浄され(ステップS107)、受付られた検査オーダーの分注が終了するまで(ステップS108、No)、ステップS105〜ステップS107が繰り返される。
【0059】
(実施の形態2)
次に、分注序列を分析項目の詳細な区分により変更する実施の形態2について説明する。実施の形態2は、検体間キャリーオーバーによる影響の受け易さについて、より詳細な区分を採用するものであり、分注序列を感染症、腫瘍マーカー、炎症マーカー、内分泌、アレルギー、生化学・酵素、生化学・脂質、生化学・窒素、生化学・蛋白、生化学・電解質の順とし、分注序列の数値が大きい分析項目から分注するように分注順序を変更する。
【0060】
図9は実施の形態2の自動分析装置の分注動作を示すフローチャートである。まず、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目についての分注序列を設定する。実施の形態2では、図10に示すように、一検体における分析項目のうちキャリーオーバーの影響を受け易い分析項目の分注序列を、感染症、腫瘍マーカー、炎症マーカー、内分泌、アレルギー、生化学・酵素、生化学・脂質、生化学・窒素、生化学・蛋白、生化学・電解質の順に設定する(ステップS200)。実施の形態2では、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について、より詳細な区分を設定しているので、より影響を受け易い分析項目の分注を後ろに回すことが可能となり、キャリーオーバーの影響をさらに低減しうるものである。
【0061】
次に、各検体の検査オーダーを受付ける(ステップS201)。検査オーダーは、検体番号と分析項目からなり、たとえば、図6に示すような検査オーダー表に基づき、入力部102を介して検査オーダーが受付けられ、記憶部104に検査オーダーが記憶される。続いて、受け付けた分析項目についてステップS200において設定した分注序列と照合する(ステップS202)。自動分析装置1には分析可能なすべての分析項目についての分析に要する情報、たとえば、分析項目の区分や検体分注量、分析条件等が分析項目毎に記憶部104に記憶されているので、記憶部104から各分析項目の区分を抽出するとともに、当該区分の分注序列と照合する。検査オーダーを分注序列と照合した結果を図11に示す。
【0062】
各分析項目の分注序列との照合後、分注順序変更部108aにより、1検体中における各分析項目の分注の順番を変更する(ステップS203)。実施の形態2では、分注序列を感染症、腫瘍マーカー、炎症マーカー、内分泌、アレルギー、生化学・酵素、生化学・脂質、生化学・窒素、生化学・蛋白、生化学・電解質の順とし、受け付けられた分析項目の分注の順番を分注序列の数値が大きい分析項目から分注するよう変更する。分注序列に基づき、分注の順番を変更したものを図12に示す。受け付けられた各分析項目について、分注序列が10のCaが最初に分注され、その後、9のALB、8のUA、7のHDL−C、6のALP、ALT、5のIgE、4のTSH、LH、3のCRP、2のAFP、PSA、1のHBsAgの順に検体が分注される。序列が同一の分析項目については、受付順とする。
【0063】
その後、制御部101は、次検体の検査オーダーの有無を確認し、新たな検査オーダーがない場合は(ステップS204、No)、分注動作に移行して、分注プローブ50で検体の吸引を行ない(ステップS205)、新たな検査オーダーがある場合は(ステップS204、Yes)、検査オーダーの受付のステップS201に戻って1検体における各分析項目の分注順序が変更される。吸引された検体は反応容器32または32Aに吐出され(ステップS206)、その後、吐出された検体を、試薬と反応させ、測光分析が行なわれる。分注プローブ50は次の分析項目の分注のために、分注プローブ洗浄装置44で洗浄され(ステップS207)、受付られた検査オーダーの分注が終了するまで(ステップS208、No)、ステップS205〜ステップS207が繰り返される。
【0064】
(実施の形態3)
次に、分注序列を各分析項目の測定範囲における上限と下限の比を求め、当該比の大きい順とする実施の形態3について説明する。実施の形態3は、検体間キャリーオーバーによる影響の受け易さについて、分析項目の測定範囲情報に基づいて設定するものである。一般にキャリーオーバーによる影響が懸念される分析項目は、分析値が非常に高い数値となる検体が一定の頻度で存在し、臨床上の必要性から、このような分析項目ついて測定範囲が非常に広く取られているため、測定範囲の広さからキャリーオーバーによる影響を推定し、分注序列を設定する。実施の形態3では、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について、自動分析装置が分析情報として必ず保持する各分析項目の測定範囲情報に基づき分注序列を設定するため、分注序列を自動的に設定しやすく、分析項目数が多い場合であっても序列が決定し易いという特徴を有する。
【0065】
図13は実施の形態3の自動分析装置の分注動作を示すフローチャートである。まず、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目についての分注序列を設定する。実施の形態3では、図14に示すように、一検体における分析項目のうちキャリーオーバーの影響を受け易い分析項目の分注序列を、各分析項目の測定範囲における上限と下限の比を求め、当該比の大きい順に設定する(ステップS300)。実施の形態3では、図14に示すように、分注序列は、HBsAg、TSH、PSA、CRP、AFP、IgE、LH、ALP、ALT、HDL−C、UA、Ca、ALBの順となる。上記の分析項目のうち、例えば、PSAなどは、下限値が0の場合がある。分析項目の測定範囲における上限と下限の比を求めるので、このような場合は、下限値は0ではなく、0.01などの小さい値を用いることが好ましい。
【0066】
次に、各検体の検査オーダーを受付ける(ステップS301)。検査オーダーは、検体番号と分析項目からなり、たとえば、図6に示すような検査オーダー表に基づき、入力部102を介して検査オーダーが受付けられ、記憶部104に検査オーダーが記憶される。続いて、受け付けた分析項目についてステップS300において設定した分注序列と照合する(ステップS302)。検査オーダーを分注序列と照合した結果を図15に示す。
【0067】
各分析項目の分注序列との照合後、分注順序変更部108aにより、1検体中における各分析項目の分注の順番を変更する(ステップS303)。受け付けられた分析項目の分注の順番は、分注序列の数値が大きい分析項目から分注をおこなうように変更する。分注序列に基づき、分注の順番を変更したものを図16に示す。分注の順番は、分注序列の数値が大きいものから、ALB、Ca、UA、HDL−C、ALT、ALP、LH、IgE、AFP、CRP、PSA、TSH、HBsAgの順となる。実施の形態3では、検体間キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目の分注序列を、測定範囲情報という自動分析装置が必ず保持する情報に基づき自動的に決定できるので、より簡易にキャリーオーバーの懸念を排除できる。
【0068】
その後、制御部101は、次検体の検査オーダーの有無を確認し、新たな検査オーダーがない場合は(ステップS304、No)、分注動作に移行して、分注プローブ50で検体の吸引を行ない(ステップS305)、新たな検査オーダーがある場合は(ステップS304、Yes)、検査オーダーの受付のステップS301に戻って1検体における各分析項目の分注順序が変更される。吸引された検体は反応容器32または32Aに吐出され(ステップS306)、その後、吐出された検体を、試薬と反応させ、測光分析が行なわれる。分注プローブ50は次の分析項目の分注のために、分注プローブ洗浄装置44で洗浄され(ステップS307)、受付られた検査オーダーの分注が終了するまで(ステップS308、No)、ステップS305〜ステップS307が繰り返される。
【0069】
(実施の形態4)
次に、分注序列を各分析項目の測定範囲における上限と正常値範囲(基準範囲)の下限の比を求め、当該比の大きい順番に後ろから並べ替える実施の形態4について説明する。実施の形態4は、実施の形態3と同様に、検体間キャリーオーバーによる影響の受け易さについて、分析項目の測定範囲情報に基づいて設定するものであるが、測定範囲の下限値が0である分析項目や、下限値を有しているものの実際にはそのような数値を出す検体が存在しない数値が設定されている分析項目がある場合に有効な手法である。
【0070】
図17は実施の形態4の自動分析装置の分注動作を示すフローチャートである。まず、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目についての分注序列を設定する。実施の形態4では、図18に示すように、一検体における分析項目のうちキャリーオーバーの影響を受け易い分析項目の順番を、各分析項目の測定範囲における上限と正常値範囲(基準範囲)の下限の比を求め、当該比の大きい順に分注序列を設定する(ステップS400)。実施の形態4では、図18に示すように、分注序列は、HBsAg、PSA、AFP、CRP、IgE、TSH、LH、ALT、ALP、UA、HDL−C、ALB、Caの順となる。実施の形態4では、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について、自動分析装置が分析情報として必ず保持する各分析項目の測定範囲情報に基づき分注序列を設定するため、分注序列を自動的に設定しやすく、測定範囲の下限値が0である分析項目や、下限値を有しているものの実際にはそのような数値を出す検体が存在しない数値が設定されている分析項目がある場合に有効である。
【0071】
次に、各検体の検査オーダーを受付ける(ステップS401)。検査オーダーは、検体番号と分析項目からなり、たとえば、図6に示すような検査オーダー表に基づき、入力部102を介して検査オーダーが受付けられ、記憶部104に検査オーダーが記憶される。続いて、受け付けた分析項目についてステップS400において設定した分注序列と照合する(ステップS402)。検査オーダーを分注序列と照合した結果を図19に示す。
【0072】
各分析項目の分注序列との照合後、分注順序変更部108aにより、1検体中における各分析項目の分注の順番を変更する(ステップS403)。受け付けられた分析項目の分注の順番を、分注序列の数値が大きい分析項目から分注をおこなうように変更する。分注序列に基づき、分注の順番を変更したものを図20に示す。分注の順番は、分注序列の数値が大きいものから、Ca、ALB、HDL−C、UA、ALP、ALT、LH、TSH、IgE、CRP、AFP、PSA、HBsAgの順となる。
【0073】
その後、制御部101は、次検体の検査オーダーの有無を確認し、新たな検査オーダーがない場合は(ステップS404、No)、分注動作に移行して、分注プローブ50で検体の吸引を行ない(ステップS405)、新たな検査オーダーがある場合は(ステップS404、Yes)、検査オーダーの受付のステップS401に戻って1検体における各分析項目の分注順序が変更される。吸引された検体は反応容器32または32Aに吐出され(ステップS406)、その後、吐出された検体を、試薬と反応させ、測光分析が行なわれる。分注プローブ50は次の分析項目の分注のために、分注プローブ洗浄装置44で洗浄され(ステップS407)、受付られた検査オーダーの分注が終了するまで(ステップS408、No)、ステップS405〜ステップS407が繰り返される。
【0074】
(実施の形態5)
次に、分注序列をキャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について予め設定した特別洗浄回数に基づき、当該特別洗浄回数の多い順に後ろから並べ替える実施の形態5について説明する。ここで、特別洗浄とは、検体間キャリーオーバーによる影響を受け易い分析項目において、当該分析項目の分析がオーダーされた検体の分注前に、直前に分注が行なわれた検体からのキャリーオーバーを低減すべく、分注する検体の切り替わる際に、分注プローブについて通常行なわれる洗浄(通常洗浄)に加え、さらに通常洗浄を設定回数行なうことをいい、あるいは洗浄時間の増加、薬液もしくは加熱水を使用する洗浄への変更、洗浄水量もしくは洗浄圧力の増加、または超音波洗浄の導入も特別洗浄に含まれる。また、特別洗浄回数とは、特別洗浄が通常洗浄を複数回行なう場合の洗浄回数をいう。
【0075】
分注プローブによる検体の分注シーケンスを示す図5および図21を参照して、さらに特別洗浄について説明する。図5において、前検体αから検体βに、または検体βから検体γに分注が移行する際に分注プローブを介してキャリーオーバーが発生するおそれがある。従来の特別洗浄は、検体βの分析項目A〜Eの中で、たとえば分析項目Bがキャリーオーバーを受け易い項目として特別洗浄回数が4回と設定されている場合、前検体αから検体βに移行する際の直前の分注プローブ洗浄に加えて、当該通常洗浄をさらに4回行なうよう設定される。検体γの分析項目の中に特別洗浄回数が設定されているものがある場合は、検体βの最終分析項目である分析項目Eの分注シーケンスの分注プローブ洗浄後に、検体γの分析項目で設定される特別洗浄回数分、特別洗浄が行なわれる。実施の形態5では、図21に示すように、特別洗浄回数が設定された分析項目Bを検体βの最後に分注するように変更することで、分析項目Bの前に行なわれる同一検体βの他の分析項目A、C、D、Eの分注シーケンス(1)〜(4)で行なう分注プローブの洗浄を特別洗浄としてカウントして、特別洗浄回数から検体βについて検体分注が行なわれた回数を減じた洗浄回数を特別洗浄回数として再設定して特別洗浄を行なうものである。特別洗浄回数が設定された分析項目前に同一検体について分注が行なわれた回数を、特別洗浄回数から減ずることにより、キャリーオーバー低減の効果を保持しながら、洗浄時間を短縮することができるので、分析効率の向上が図れるものである。図21では、分析項目Bの前に、同一検体βの他の分析項目A、C、D、Eについて4回分注が行なわれているので、特別洗浄回数の4から分注回数の4を減じると0であり、検体αから検体βへの移行の際の特別洗浄回数は0となり、検体αから検体βへの移行の際に特別洗浄を行なわなくてもキャリーオーバーの影響が低減できる。
【0076】
以下、実施の形態5について図22〜図28を参照して詳細に説明する。図22は実施の形態5の自動分析装置の分注動作を示すフローチャートである。まず、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について特別洗浄回数(項目A)を設定し(ステップS500)、分注序列を設定した特別洗浄回数の多い順とする(ステップS501)。実施の形態5では、図23に示すように、特別洗浄回数を、CRP4回、HCG5回、HBsAg7回、HBsAb6回、TPLA2回等と設定し、当該分注序列は、洗浄回数の大きい順にHBsAg、HBsAb、HCG、CRP、TPLAとなる。
【0077】
次に、各検体の検査オーダーを受付ける(ステップS502)。検査オーダーは、検体番号と分析項目からなり、たとえば、図24に示すような検査オーダー表に基づき、入力部102を介して検査オーダーが受付けられ、記憶部104に検査オーダーが記憶される。検査オーダーされた受付項目に特別洗浄回数が設定された分析項目が存在するか確認し(ステップS503)、存在する場合は(ステップS503、Yes)、受け付けた分析項目についてステップS500において設定した分注序列と照合する(ステップS504)。検査オーダーを分注序列と照合した結果を図25に示す。また、検査オーダーされた受付項目に特別洗浄回数が設定された分析項目が存在しない場合は(ステップS503、No)、特別洗浄回数Dを0に設定する(ステップS511)。
【0078】
各分析項目の分注序列との照合後、分注順序変更部108aにより、1検体中における各分析項目の分注の順番を変更する(ステップS505)。受け付けられた分析項目の分注の順番を分注序列の数値が大きい分析項目から分注するよう変更し、分注序列が設定されていない分析項目は、分注序列が設定される項目の前に受付順に分注させるものとする。図26に、分注序列に基づき分注の順番を変更したものを示す。分注序列が設定されていないALB、TP、ZTT、TTTは受け付け順に分注され、その後分注序列の数値の大きい順にCRP、HCG、HBsAgの順に分注が行なわれる。その後、特別洗浄回数を設定するために以下のステップが行なわれる。
【0079】
図27に特別洗浄回数設定部108を備える検体分注装置5aの概略構成図を示す。実施の形態5の検体分注装置は、分注プローブ洗浄槽44で特別洗浄を行なうために、特別洗浄回数設定部108を備える。特別洗浄回数設定部108は、分注順序変更部108aと、分注回数計測部108bと、算出部108cと、設定部108dとからなり、分注順序変更部108aで1検体中における各分析項目の分注の順番を変更後(ステップS505)、分注回数計測部108bにより、特別洗浄回数が設定された分析項目について、前記分析項目の検体分注前に同一検体について検体分注が行なわれる回数(項目B)を計測する(ステップS506)。図28は、特別洗浄回数を新たに設定するために必要な項目を、分析項目毎に示した図である。特別洗浄回数が設定された分析項目CRP、HCG、HBsAgにおいて、各分析項目の検体分注前に同一検体について検体分注が行なわれる回数(項目B)は、それぞれ4回、5回、6回である。その後、算出部108cにより、特別洗浄回数が設定された分析項目毎に、前記特別洗浄回数から前記分注回数計測部でカウントされた分注回数を減じた洗浄回数(項目C=項目A―項目B)を算出する(ステップS507)。特別洗浄回数(項目A)は、CRP4回、HCG5回、HBsAg7回であり、ステップS505で計測した分注回数(項目B)はそれぞれCRP4回、HCG5回、HBsAg6回であるから、洗浄回数(項目C)は、それぞれCRP0回、HCG0回、HBsAg1回となる。
【0080】
算出部108cにより算出した洗浄回数(項目C)のうち、最大のもの(Cmax)を選出し(ステップS508)、Cmaxが0より大きい場合は(ステップS509、Yes)、Cmaxを特別洗浄回数Dとして設定し(ステップS510)、Cmaxが0以下の場合は、特別洗浄回数Dを0とする(ステップS511)。
【0081】
その後、制御部101は、次検体の検査オーダーの有無を確認し、新たな検査オーダーがない場合は(ステップS512、No)、分注動作に移行して、分注プローブ50で検体の吸引を行ない(ステップS513)、新たな検査オーダーがある場合は(ステップS512、Yes)、検査オーダーの受付のステップS502に戻って1検体における各分析項目の分注順序が変更される。吸引された検体は反応容器32または32Aに吐出され(ステップS514)、その後、吐出された検体を、試薬と反応させ、測光分析が行なわれる。分注プローブ50は次の分析項目の分注のために、分注プローブ洗浄装置44で洗浄され(ステップS515)、受付られた同一検体のすべての分析項目の分注が終了するまで(ステップS516、No)、ステップS513〜ステップS515が繰り返される。
【0082】
同一検体のすべての分析項目の分注が終了した後(ステップS516、Yes)、すべての検体の分注が終了したか確認し(ステップS517)、次の検体の分注がある場合は(ステップS517、No)、次検体の特別洗浄回数Dを確認する。次検体の特別洗浄回数Dが0の場合は(ステップS518、Yes)、ステップS513から検体の分注を行なう。次検体の特別洗浄回数Dが0でない場合は(ステップS518、No)、検体分注前に特別洗浄回数D分の特別洗浄を行なった後(ステップS519)、ステップS513から検体の分注を行なう。
【0083】
また、実施の形態5の変形例として、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について特別洗浄回数(項目A)を設定し、分注序列を設定した特別洗浄回数の多い順ではなく、各分析項目の測定範囲における上限と下限の比を求め、当該比の大きい順番に後ろから並べる例や、各分析項目の測定範囲における上限と正常値範囲の下限の比を求め、当該比の大きい順番とする例が列挙される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる自動分析装置を示す概略構成図である。
【図2】図1の自動分析装置で使用される分注装置を示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる検体分注方法の分注動作を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1にかかる検体分注方法の分注序列を示した図である。
【図5】1検体において複数の分析項目が分注される場合の分注シーケンスを示す図である。
【図6】実施の形態1、2、3または4における検査オーダーを示す図である。
【図7】実施の形態1において検査オーダーと分注序列とを照合した結果を示す図である。
【図8】実施の形態1における1検体における各分析項目の分注の順番を示す図である。
【図9】実施の形態2にかかる検体分注方法の分注動作を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態2にかかる検体分注方法の分注序列を示した図である。
【図11】実施の形態2において検査オーダーと分注序列とを照合した結果を示す図である。
【図12】実施の形態2における1検体における各分析項目の分注の順番を示す図である。
【図13】実施の形態3にかかる検体分注方法の分注動作を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態3にかかる検体分注方法の分注序列を示した図である。
【図15】実施の形態3において検査オーダーと分注序列とを照合した結果を示す図である。
【図16】実施の形態3における1検体における各分析項目の分注の順番を示す図である。
【図17】実施の形態4にかかる検体分注方法の分注動作を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態4にかかる検体分注方法の分注序列を示した図である。
【図19】実施の形態4において検査オーダーと分注序列とを照合した結果を示す図である。
【図20】実施の形態4における1検体における各分析項目の分注の順番を示す図である。
【図21】実施の形態5にかかる特別洗浄を行なう場合の分注シーケンスを示す図である。
【図22】実施の形態5にかかる検体分注方法の分注動作を示すフローチャートである。
【図23】実施の形態5にかかる検体分注方法の分注序列を示した図である。
【図24】実施の形態5における検査オーダーを示す図である。
【図25】実施の形態5において検査オーダーと分注序列とを照合した結果を示す図である。本発明の実施の形態6にかかる自動分析装置を示す概略構成図である。
【図26】実施の形態5において検査オーダーと分注序列とを照合した結果を示す図である。
【図27】実施の形態5における分注装置を示す概略構成図である。
【図28】実施の形態5における特別洗浄回数Dの算出方法を示した図である。
【符号の説明】
【0085】
1 自動分析装置
2 検体テーブル
8、8A、38、39、44 分注プローブ洗浄槽
11 生化学的分析モジュール
12 免疫学的分析モジュール
22 検体容器
42a 開口部
22b 検体ラック
24 免疫反応テーブル
25 BFテーブル
3 反応テーブル
30 酵素反応テーブル
32、32A 反応容器
33、37 測光装置
33a 光源
33b 受光部
34 反応容器洗浄装置
35、36 反応容器移送部
4、4A、26、27 試薬テーブル
42 試薬容器
5、5a 検体分注装置
7、7A、28、29 試薬分注装置
40 検体容器移送機構
41 試薬容器収納部
50 分注プローブ
51 アーム
52 支軸
53 プローブ移送部
54a、54b チューブ
55 シリンジ
55a シリンダー
55b プランジャー
56 プランジャー駆動部
57 タンク
58 電磁弁
59 ポンプ
10 制御機構
101 制御部
102 入力部
103 分析部
104 記憶部
105 出力部
106 表示部
107 送受信部
108 特別洗浄回数設定部
108a 分注順序決定部
108b 分注回数計測部
108c 算出部
108d 設定部
L1 押し出し液
L2 洗浄液
O 鉛直軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫学的分析項目および生化学的分析項目の両方の分析を行う自動分析装置において、
キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定した分注序列に基づき、検査オーダーにより受付けた一検体の各分析項目の分注順序を前記分注序列の数値が大きいものから分注するように変更する分注順序変更手段と、
前記分注順序変更手段により変更された分注順序で前記検体の各分析項目について分注を行なう分注手段と、
一検体における各分析項目の分注終了後に前記分注手段の洗浄を行なう洗浄手段と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記分注順序変更手段は、一検体における各分析項目の前記分注序列を免疫学分析項目、生化学分析項目の順とすることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記分注順序変更手段は、一検体における各分析項目の前記分注序列を感染症、腫瘍マーカー、炎症マーカー、内分泌、アレルギー、生化学・酵素、生化学・脂質、生化学・窒素、生化学・蛋白、生化学・電解質の順とすることを特徴とする請求項1または2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記分注順序変更手段は、一検体における各分析項目の前記分注序列を、各分析項目の測定範囲における上限と下限の比を求め、当該比の大きい順とすることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記分注順序変更手段は、一検体における各分析項目の前記分注序列を、各分析項目の測定範囲における上限と正常値範囲の下限の比を求め、当該比の大きい順とすることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
異なる検体の分注に移行する際、キャリーオーバーの影響を低減するために前記洗浄手段による洗浄回数もしくは洗浄時間の増加、薬液もしくは加熱水を使用する洗浄への変更、洗浄水量もしくは洗浄圧力の増加、または超音波洗浄の導入による特別洗浄手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記分注順序変更手段は、一検体における各分析項目の前記分注序列を、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定された特別洗浄回数の多い順とすることを特徴とする請求項6に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記特別洗浄回数が設定された分析項目毎に、各分析項目の検体分注前に同一検体について検体分注が行なわれる回数を分析項目毎にカウントする計測手段と、
前記特別洗浄回数が設定された分析項目毎に、前記特別洗浄回数から前記計測手段によりカウントされた分注回数を減じた洗浄回数を算出する算出手段と、
前記特別洗浄回数が設定された各分析項目のうち、洗浄回数が最大のものを前記検体の特別洗浄回数として新たに設定する設定手段と、を備え、
前記特別洗浄手段は、前記検体の分注前に前記設定手段により設定した特別洗浄回数分だけ特別洗浄することを特徴とする請求項7に記載の自動分析装置。
【請求項9】
免疫学的分析項目および生化学的分析項目の両方の分析を行う自動分析装置の検体分注方法において、
キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定した分注序列に基づき、検査オーダーにより受付けた一検体の各分析項目の分注順序を前記分注序列の数値が大きいものから分注するように変更する分注順序変更ステップと、
前記分注順序変更ステップで変更された分析順序で、分注手段により前記検体の各分析項目について分注を行なう分注ステップと、
一検体における各分析項目の分注終了後に前記分注手段の洗浄を行なう洗浄ステップと、
を含むことを特徴とする検体分注方法。
【請求項10】
前記分注順序変更ステップは、一検体における各分析項目の前記分注序列を免疫学分析項目、生化学分析項目の順とすることを特徴とする請求項9に記載の検体分注方法。
【請求項11】
前記分注順序変更ステップは、一検体における各分析項目の前記分注序列を感染症、腫瘍マーカー、炎症マーカー、内分泌、アレルギー、生化学・酵素、生化学・脂質、生化学・窒素、生化学・蛋白、生化学・電解質の順とすることを特徴とする請求項9または10に記載の検体分注方法。
【請求項12】
前記分注順序変更ステップは、一検体における各分析項目の前記分注序列を、各分析項目の測定範囲における上限と下限の比を求め、当該比の大きい順とすることを特徴とする請求項9に記載の検体分注方法。
【請求項13】
前記分注順序変更ステップは、一検体における各分析項目の前記分注序列を、各分析項目の測定範囲における上限と正常値範囲の下限の比を求め、当該比の大きい順とすることを特徴とする請求項9に記載の検体分注方法。
【請求項14】
異なる検体の分注に移行する際、キャリーオーバーの影響を低減するために前記洗浄ステップによる洗浄回数もしくは洗浄時間の増加、薬液もしくは加熱水を使用する洗浄への変更、洗浄水量もしくは洗浄圧力の増加、または超音波洗浄の導入による特別洗浄ステップを含むことを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載の検体分注方法。
【請求項15】
前記分注順序変更ステップは、一検体における各分析項目の前記分注序列を、キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定された特別洗浄回数の多い順とすることを特徴とする請求項14に記載の検体分注方法。
【請求項16】
前記特別洗浄回数が設定された分析項目毎に、各分析項目の検体分注前に同一検体について検体分注が行なわれる回数を分析項目毎にカウントする計測ステップと、
前記特別洗浄回数が設定された分析項目毎に、前記特別洗浄回数から前記計測ステップでカウントされた分注回数を減じた洗浄回数を算出する算出ステップと、
前記特別洗浄回数が設定された各分析項目のうち、前記算出ステップにより算出した洗浄回数が最大ものを特別洗浄回数として新たに設定する設定ステップと、を備え、
前記特別洗浄ステップは、前記検体の分注前に前記設定ステップにより設定した特別洗浄回数分だけ特別洗浄を行なうことを特徴とする請求項15に記載の検体分注方法。
【請求項17】
免疫学的分析項目および生化学的分析項目の両方を分析でき、キャリーオーバーの影響を低減するために検体分注装置の通常洗浄を複数回行なう特別洗浄を設定しうる自動分析装置における検体分注装置の特別洗浄方法であって、
キャリーオーバーの影響を受け易い分析項目について設定された特別洗浄回数の多い順とする分注序列に基づき、検査オーダーにより受付けた一検体の各分析項目の分注順序を前記分注序列の数値が大きいものから分注するよう変更する分注順序変更ステップと、
前記特別洗浄回数が設定された分析項目毎に、各分析項目の検体分注前に同一検体について検体分注が行なわれる回数を分析項目毎にカウントする計測ステップと、
前記特別洗浄回数が設定された分析項目毎に、前記特別洗浄回数から前記計測ステップでカウントされた分注回数を減じた洗浄回数を算出する算出ステップと、
前記特別洗浄回数が設定された各分析項目のうち、前記算出ステップにより算出した洗浄回数が最大ものを特別洗浄回数として新たに設定する設定ステップと、
前記検体の分注前に、前記設定ステップにより設定した特別洗浄回数分だけ特別洗浄を行なう特別洗浄ステップと、
を含むことを特徴とする検体分注装置の特別洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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