説明

自動分析装置、自動分析装置の測定方法、及び検査情報システム

【課題】人為的なミスにより誤った分析データが出力されるのを防ぐことが可能な自動分析装置、その測定方法、及び検査情報システムを提供する。
【解決手段】被検体の被検体情報及びこの被検体を識別する認証データが保存された記憶部42と、被検試料を測定するための被検体情報を入力する操作部60と、被検体の被検試料から認証データを生成する認証データ生成部19と、被検試料を測定する分析部18と、分析部18からの被検データから分析データを生成する演算部41とを備え、操作部60から入力された被検体情報に対応する試料容器17b内の被検試料から認証データを生成し、生成した認証データに対応する被検体情報を記憶部42から読み出し、読み出した被検体情報が操作部60から入力した被検体情報を含んでいる場合、その被検体情報に対応する試料容器17b内の被検試料を測定して分析データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に含まれる成分を分析する自動分析装置、自動分析装置の測定方法、及び検査情報システムに関わり、特にヒトから採取された血液や尿などの被検試料に含まれる成分を自動的に分析する自動分析装置、自動分析装置の測定方法、及び検査情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、検査する項目(測定項目)に応じて被検体から採取された血液や尿などの被検試料と試薬とを反応容器に分注し、被検試料と試薬との混合液の反応によって生ずる色調などの変化を、光の透過量を測定することにより、被検試料中の様々な成分の濃度や活性を測定する。
【0003】
ところで、測定項目は、被検体を診察する医師により決定され、その被検体を識別するためのID、氏名などの被検体情報が、決定された測定項目の情報と共に、診察室から通信回線などを介して自動分析装置の配置された検査室に通知される。
【0004】
検査室では、診察室からの被検体情報及び測定項目の情報に基づいて、その被検体情報の被検体から被検試料を採取し、採取した被検試料を試料容器に収容する。そして、被検体情報などをコード化した二次元コードラベルを試料容器に貼り付けて被検試料を管理する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
そして、管理用のラベルを貼り付けた試料容器の場合、自動分析装置のディスクサンプラの任意の位置にセットする。また、管理用のラベルを貼り付けない試料容器の場合、ディスクサンプラの位置情報を自動分析装置の操作部から入力し、入力したディスクサンプラの位置にその試料容器をセットする。
【0006】
自動分析装置に接続された端末装置、又は自動分析装置の操作部から被検体情報及び測定項目情報の入力操作、及び被検試料の測定操作が行われると、自動分析装置は、試料容器のコードラベルを読み取るリーダの情報、又はディスクサンプラの位置情報から、試料容器の位置を検出し、検出した試料容器内の被検試料を測定する。被検試料の測定により生成された各測定項目の分析データに基づいて、医師は診察した被検体の診断を行う。
【特許文献1】特開平7−85085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、被検試料を取り扱う作業には、試料容器内の被検試料と異なる情報のコードラベルを貼り付けるミスや、入力した位置情報と異なるディスクサンプラの位置に試料容器をセットするミスなど人為的なミスを犯し、その被検試料から得られた分析データが他の被検体のデータであるにも拘わらず、診察を受けた被検体の分析データとして医師に報告してしまう恐れがある。このようなミスが発生すると、医師は、他の被検体の分析データに基づいて診察した被検体を診断し、誤診してしまう問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、人為的なミスにより誤った分析データが出力されるのを防ぐことが可能な自動分析装置、その測定方法、及び検査情報システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明の自動分析装置は、試料容器に収容された被検体から採取された被検試料、及び試薬の混合液を測定する自動分析装置において、前記被検体の第1の被検体情報及びこの被検体を識別する認証データを保存した記憶手段と、前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された第2の被検体情報、又は前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力する端末装置から得られた第2の被検体情報に基づいて、この第2の被検体情報に対応する試料容器内の被検試料から認証データを生成する認証データ生成手段と、前記認証データ生成手段により生成された認証データに基づいて、この認証データに対応する第1の被検体情報を前記記憶手段から読み出し、読み出した第1の被検体情報が前記第2の被検体情報を含んでいるとき、その第2の被検体情報に対応する試料容器内の被検試料を測定して分析データを生成する分析データ生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る本発明の自動分析装置は、試料容器に収容された被検体から採取された被検試料、及び試薬の混合液を測定する自動分析装置において、前記被検体の被検試料を測定するためのその被検体を識別する認証データを入力する入力手段と、前記入力手段により入力された認証データ、又は前記被検体の被検試料を測定するための認証データを入力する端末装置から得られた認証データに基づいて、この認証データに対応する試料容器内の被検試料から認証データを生成する認証データ生成手段と、前記認証データ生成手段により生成された認証データと前記入力手段又は前記端末装置からの認証データが同じであるとき、前記入力手段又は前記端末装置からの認証データに対応する試料容器内の被検試料を測定して分析データを生成する分析データ生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
更に、請求項5に係る本発明の自動分析装置の測定方法は、試料容器に収容された被検体から採取された被検試料、及び試薬の混合液を測定する自動分析装置の測定方法において、前記被検体の第1の被検体情報及びこの被検体を識別する認証データを記憶手段に保存し、前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力手段により入力し、前記入力手段により入力された第2の被検体情報、又は前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力する端末装置から得られた第2の被検体情報に基づいて、この被検体情報に対応する試料容器内の被検試料から認証データを認証データ生成手段により生成し、前記認証データ生成手段により生成された認証データに基づいて、この認証データに対応する第1の被検体情報を前記記憶手段から読み出し、読み出した第1の被検体情報が前記第2の被検体情報を含んでいるとき、その第2の被検体情報に対応する試料容器内の被検試料を測定して分析データを分析データ生成手段により生成することを特徴とする。
【0012】
そして、請求項6に係る本発明の検査情報システムは、被検体から採取された被検試料を測定する自動分析装置と、前記被検体を識別する認証データ及びこの被検体の第1の被検体情報を保存する記憶手段を有するデータ保管装置とがネットワークにより接続されている検査情報システムであって、前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された第2の被検体情報、又は前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力する端末装置から得られた第2の被検体情報に基づいて、この第2の被検体情報に対応する試料容器内の被検試料から認証データを生成する認証データ生成手段と、前記認証データ生成手段により生成された認証データを、前記ネットワークを介して前記データ保管装置に送信する送信手段と、前記データ保管装置において前記認証データに対応する第1の被検体情報が前記記憶手段から読み出され、送信されたその第1の被検体情報を前記ネットワークを介して受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記第1の被検体情報が前記第2の被検体情報を含んでいるとき、その第2の被検体情報に対応する試料容器内の被検試料を測定して分析データを生成する分析データ生成手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、試料容器内の被検試料を測定して認証データを生成し、生成した認証データに対応する試料容器内の被検試料を測定して分析データを生成することにより、人為的なミスを犯した被検試料の測定を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
以下に、本発明による自動分析装置の実施例1を、図1乃至図8を参照して説明する。 図1は、本発明の実施例1に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、被検体を検査する項目の標準試料や被検体から採取された被検試料の測定を行い、標準データや被検データを生成する分析部18と、被検試料を測定して被検体を識別するための認証データを生成する認証データ生成部19と、分析部18を制御する分析制御部20と、分析部18から出力される標準データや被検データを処理して、各項目の検量線の作成や分析データの生成を行うデータ処理部40とを備えている。
【0016】
また、自動分析装置100は、データ処理部40で作成された検量線や生成された分析データを出力する出力部50と、被検体におけるID、氏名、年齢、生年月日、性別などの被検体情報の入力、被検体を識別するための認証データの入力、被検体情報や認証データの登録、各項目の分析条件の入力、被検試料毎に測定する項目の入力、各種コマンド信号の入力などを行う操作部60と、外部から被検体情報や認証データを受信するインターフェース80と、認証データ生成部19、分析制御部20、データ処理部40、出力部50、及びインターフェース80を統括して制御するシステム制御部70とを備えている。
【0017】
次に、図2を参照して、分析部18の構成の詳細を説明する。
図2は、分析部18の斜視図である。この分析部18は、標準試料や被検試料などのサンプルを収容する2種類の試料容器17a,17bと、各試料容器17a,17bをセットするディスクサンプラ6と、コードラベルが貼り付けられた試料容器17bからコード化された被検体情報や認証データを含むバーコードや二次元コードなどを読み取るリーダ17cとを備えている。また、サンプルに含まれる各項目の成分に対して選択的に反応する第1試薬や、この第1試薬と対をなす第2試薬の入った試薬ボトル7と、試薬ボトル7を収納する試薬ラック1と、第1試薬の入った試薬ボトル7を収納した試薬ラック1を収納する試薬庫2と、第2試薬の入った試薬ボトル7を収納した試薬ラック1を収納する試薬庫3と、円周上に複数の反応容器4を配置した反応ディスク5とを備えている。
【0018】
そして、1サイクル毎に、ディスクサンプラ6、試薬庫2、及び試薬庫3は夫々回動し、反応ディスク5は回転して、分析制御部20により制御された位置に停止する。また、リーダ17cは、ディスクサンプラ6の回動に応じて試料容器17bのコードラベルからバーコードや二次元コードを読取り、読み取ったコード情報を分析制御部20を介してシステム制御部70に出力する。
【0019】
また、分析部18は、各試料容器17a、17bからサンプルを吸引して、反応容器4や開口部19aから認証データ生成部19に吐出するサンプル分注プローブ16と、試薬庫2の試薬ボトル7から第1試薬を吸引してサンプルの入った反応容器4に吐出する第1試薬分注プローブ14と、試薬庫3の試薬ボトル7から第2試薬を吸引してサンプル及び第1試薬の入った反応容器4に吐出する第2試薬分注プローブ15とを備えている。また、サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2試薬分注プローブ15を夫々回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、及び第2試薬分注アーム9を備えている。
【0020】
更に、反応容器4に吐出されたサンプル及び第1試薬や、サンプル、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する撹拌ユニット11と、混合液の入った反応容器4を測光する測光部13と、反応容器4内の測定を終えた混合液を吸引すると共に、反応容器4内を洗浄・乾燥する洗浄ユニット12とを備えている。
【0021】
そして、測光部13は、回転移動する反応容器4に光を照射し、標準試料や被検試料を含む混合液を透過した光を吸光度に変換して標準データや被検データを生成した後、データ処理部40に出力する。
【0022】
次に、図3及び図4を参照して、認証データ生成部19の構成の一例を説明する。この認証データ生成部19は、分析部18のサンプル分注プローブ16により開口部19aから吐出された被検試料を測定し、その被検試料が採取された被検体を識別するための認証データを生成する。そして、生成した認証データをシステム制御部70に出力する。
【0023】
図3は、認証データ生成部19の構成を示したブロック図である。認証データ生成部19は、分析部18のサンプル分注プローブ16から吐出された被検試料からDNA(デオキシリボ核酸)情報を検出するためのDNAチップ21と、DNAチップ21で検出したDNA情報の信号を処理して認証データを生成する信号処理部30とを備えている。
【0024】
DNAチップ21から検出されるDNA情報としては、例えば非特許文献(板倉征男,“なぜDNA認証が必要か”電子情報通信学会SCIS,ユビキタスネットワーク社会におけるバイオメトリックスセキュリティ研究会第3回研究発表会予稿集,pp.217−223,Sep.2004)に記載のSTR(Short Tandem Repeat)領域における情報がある。
【0025】
このSTR領域では、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、及びチミン(T)の4つの塩基が同じ配列で数回〜数十回繰り返し並び、その繰り返し回数(アリル)の被検体差が著しい。従って、STRの例えばTH01座位における塩基配列AATGのアリル、及び他の座位のアリルを並べて数列化することにより、被検体の識別が可能なDNA情報を得ることができる。
【0026】
自動分析装置100で検査対象となった例えばK人の被検体A1乃至AKにおける各被検体のアリルの数列を、予め外部の認証データ解析装置で解析し、解析した各被検体のDNA情報を組み込んだDNAチップ21を作製する。そして、そのDNAチップ21を用いて、被検体A1乃至AKから採取した被検試料B1乃至BKを測定してDNA情報を検出することにより、各被検試料に対応する各被検体の認証データを生成することができる。
【0027】
DNAチップ21内には、インターフェース22、チップ制御回路23、測定信号発生回路24、D/Aコンバータ25、モジュール211乃至21K、セレクタ26、及びA/Dコンバータ27が集積されている。
【0028】
インターフェース22は、信号処理部30と信号の送受信を行う。チップ制御回路23は、インターフェース22を介して信号処理部30から受信した測定開始の信号に基づいて、測定信号発生回路24及びセレクタ26を制御する。測定信号発生回路24は、チップ制御回路23の制御により、モジュール211乃至21Kに電圧を印加するためのデジタルの電圧掃引を発生させ、D/Aコンバータ25に出力する。
【0029】
D/Aコンバータ25は、測定信号発生回路24からのデジタル電圧掃引信号をアナログ信号に変換して、DNA情報の検出回路であるモジュール211乃至21Kに出力する。モジュール211乃至21Kの内の例えばモジュール21P(1≦P≦K)は、被検体A1乃至AKの内の被検体APから採取された被検試料BPを選択的に検出することができる。
【0030】
図4は、モジュール21Pの構成の一例を示した図である。モジュール21Pは、セル224、3つの抵抗Rs,Rf,Rw、及び3つの演算増幅器221,222,223を備えている。
【0031】
セル224は、被検体APのDNA情報の対象となる塩基配列(標的塩基配列)と選択的に反応する塩基配列(相補的塩基配列)を含むDNAプローブdPが固定化された作用極WEと、作用極WEとの間を所定の電圧に制御するための参照極REと、作用極WEとの間に電圧を印加するための対極CEとにより構成され、各極はポテンシオスタットにおける3つの電極として機能する。
【0032】
演算増幅器221の反転入力端子(−)は抵抗Rsを介してモジュール21Pの入力端子INに接続し、また非反転入力端子(+)は接地し、更に出力端子は対極CEに接続している。
【0033】
演算増幅器222の反転入力端子(−)は出力端子に接続して短絡し、また非反転入力端子(+)は参照極REに接続し、更に出力端子は抵抗Rfを介して演算増幅器221の反転入力端子(−)に接続している。
【0034】
演算増幅器223の反転入力端子(−)は作用極WEに接続し、また非反転入力端子(+)は接地し、更に出力端子は抵抗Rwを介して反転入力端子(−)に接続し且つモジュール21Pの出力端子OUTに接続している。
【0035】
そして、入力端子INに入力されるD/Aコンバータ25からの掃引電圧に対し、演算増幅器221の反転入力端子(−)に接続している抵抗Rs,Rfを用いて参照極REの電圧を負帰還させることにより、作用極WEと対極CEの間の電圧を変化させ、作用極WEが参照極REに対して電位Vwになるように制御する。
【0036】
セル224内に被検体APの被検試料BPを加えると、モジュール21Pの作用極WEでは、被検試料BPに含まれるDNAがDNAプローブdPとハイブリダイゼーションする。ハイブリダイゼーションの終了後、セル224内に挿入剤を加えることにより、反応したDNAにのみ挿入剤が結合する。そして、作用極WEが電位Vwに設定されると、挿入剤を結合すると共にDNAプローブが固定化された作用極WEに酸化電流Iwが流れる。
【0037】
この酸化電流Iwにより、モジュール21Pの出力端子OUTに所定の範囲から外れる電圧Vw(Vw=Iw・Rw)が出力される。そして、モジュール21P以外のモジュールでは、ハイブリダイゼーションが行われないので、そのモジュールの出力端子OUTには所定の範囲内のバックグランド電圧が出力される。
【0038】
図3に戻り、セレクタ26は、モジュール211乃至21Kからの信号を、モジュール毎にA/Dコンバータ27に出力し、A/Dコンバータ27は、セレクタ26からの出力であるアナログ信号をデジタル信号に変換してインターフェース22に出力する。インターフェース22は、A/Dコンバータ27からの信号を信号処理部30に送信する。
【0039】
信号処理部30は、DNAチップ21への溶液の送液やDNAチップ21の温度調整を行う送液/温調/移動機構部31と、DNAチップ21と信号の送受信を行うインターフェース32と、インターフェース32を介して受信したDNAチップ21からの信号を処理して認証データを生成する演算処理部33と、送液/温調/移動機構部31、インターフェース32、及び演算処理部33を制御する制御部34とを備えている。
【0040】
送液/温調/移動機構部31は、DNAチップ21の各モジュール211乃至21Kの各セル224に対する挿入剤など溶液の送液及び排液と、各セル224の温度調整を行う。また、被検試料の測定毎に、測定を終了したDNAチップ21を測定位置から移動すると共に、新たなDNAチップ21を測定位置に移動する。
【0041】
演算処理部33は、インターフェース32を介して各モジュール211乃至21Kから受信した信号、及び制御部34から出力されたモジュール情報に基づいて、各モジュール211乃至21Kの内の出力レベルが所定の範囲から外れた信号を出力するモジュール情報から認証データを生成し、制御部34に出力する。また、各モジュール211乃至21Kから出力された信号の中に出力レベルが所定の範囲から外れた信号が含まれない場合、認証データの生成が不能であることの情報(認証データ生成不可能情報)を制御部34に出力する。
【0042】
制御部34は、システム制御部70からの指示に基づいて、送液/温調/移動機構部31、インターフェース32、及び演算処理部33を制御する。そして、インターフェース32を介して測定開始の信号をDNAチップ21に出力する。また、インターフェース32を介して各モジュール211乃至21Kから受信した信号を演算処理部33に出力させると共に、各モジュール211乃至21Kのモジュール情報を演算処理部33に出力する。更に、演算処理部33で生成した認証データ、認証データ生成不可能情報などを、システム制御部70に出力する。
【0043】
次に、図1及び図2を参照して、分析制御部20の構成を説明する。
分析制御部20は、試薬庫2、試薬庫3、及びディスクサンプラ6の夫々回動、反応ディスク5の回転、分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、及び撹拌ユニット11の夫々回動及び上下移動、洗浄ユニット12の上下移動、撹拌ユニット11の撹拌などを行う機構及び各機構の動作を制御する制御部を備えている。
【0044】
また、分析制御部20は、サンプル分注プローブ16からサンプルを吸引及び吐出させる分注ポンプ、第1及び第2試薬分注プローブ14,15から第1及び第2試薬を吸引及び吐出させる各試薬ポンプ、洗浄ユニット12から反応容器4洗浄用の洗浄液を供給及び吸引させる洗浄ポンプ、及び洗浄ユニット12で反応容器4内を乾燥させるための乾燥ポンプなどの各種ポンプ及び各種ポンプの動作を制御する制御部を備えている。
【0045】
更に、分析制御部20は、分析部18のリーダ17cから出力されたコード情報に、このコード情報を有する試料容器17bがセットされたディスクサンプラ6の位置情報を付加してシステム制御部70に出力する。
【0046】
次に、図1及び図5を参照して、データ処理部40の構成の詳細を説明する。
データ処理部40は、分析部18から出力された標準データから検量線を作成したり被検データから分析データを生成する演算部41と、演算部41で作成された検量線や生成された分析データ、更にはシステム制御部70から出力された被検体情報や認証データなどを保存する記憶部42とを備えている。
【0047】
演算部41は、分析部18の測光部13から出力された各項目の標準データから検量線を作成したり、作成された検量線を用いて分析データの生成を行った後、作成した検量線や生成した分析データを記憶部42に保存すると共に出力部50に出力する。
【0048】
記憶部42は、ハードディスクなどを備えている。そして、演算部41から出力された検量線や分析データを保存する。また、操作部60からの入力操作によりシステム制御部70から出力された被検体情報や認証データ、及び被検試料毎の測定項目の情報などを保存する。
【0049】
図5は、記憶部42に保存された被検体のデータにおける構成の一例を示したものであり、縦軸は夫々被検体に対応し、横軸はその被検体の被検体情報、認証データ、測定項目の情報、及び分析データに対応している。そして、縦軸には検査対象となる被検体のデータが保存されている被検体A1乃至AKの領域と、被検体のデータが保存されていない未知被検体B1乃至BMの領域がある。
【0050】
被検体A1に対応する先頭部の被検体情報記憶領域a10aには、操作部60からの被検体情報登録操作によりシステム制御部70から供給された被検体A1のID、氏名、年齢、生年月日、性別などの被検体情報a1が保存されている。
【0051】
被検体A1の被検体情報記憶領域a10aの右隣の認証データ記憶領域a10bには、操作部60からの認証データ登録操作により、外部の認証データ生成装置で生成された被検体A1の認証データb1が保存されている。
【0052】
被検体A1における認証データ記憶領域a10bの右隣の付加情報記憶領域a10cには、被検試料B1の測定により演算部41で生成される分析データの付加情報が保存されるようになっている。
【0053】
被検体A1における付加情報記憶領域a10cの右側の測定項目情報記憶領域a11a乃至a1Laの一部には、操作部60からの測定項目選択入力操作によりシステム制御部70から供給された被検体A1の測定項目の情報が保存されている。また、測定項目情報記憶領域a11a乃至a1Laに保存された測定項目の情報に基づく被検試料B1の測定により、その測定項目の情報が保存された各測定項目情報記憶領域a11a乃至a1Laの右隣の分析データ記憶領域a11b乃至a1Lbに、演算部41で生成される分析データが保存されるようになっている。
【0054】
被検体Am(m=2乃至K)も、被検体A1と同様にして、被検体Amの被検体情報amが被検体情報記憶領域am0aに保存され、被検体Amから採取された被検試料Bmのから生成された認証データbmが、認証データ記憶領域am0bに保存されている。
【0055】
また、被検試料Bmの測定により演算部41で作成される分析データの付加情報が、付加情報記憶領域am0cに保存されるようになっている。
【0056】
更に、操作部60からの測定項目選択入力操作により、測定項目の情報が測定項目情報記憶領域am1a乃至amLaの一部又はすべてに保存されており、その測定項目の情報が保存された測定項目情報記憶領域am1a乃至amLaの右隣の各分析データ記憶領域am1b乃至amLbに、演算部41で生成される分析データが保存されるようになっている。
【0057】
被検体AKに後続する未知被検体Bn(n=1乃至M)において、被検体情報記憶領域bn0a、認証データ記憶領域bn0b、付加情報領域bn0c、測定項目情報記憶領域bn1a乃至bnLa、及び分析データ記憶領域bn1b乃至bnLbに、各情報及びデータが保存されるようになっている。
【0058】
次に、図1を参照して、出力部50、操作部60、インターフェース80、及びシステム制御部70を説明する。
出力部50は、データ処理部40から出力された検量線、分析データなどを印刷出力する印刷部51及び表示出力する表示部52を備えている。そして、印刷部51は、プリンタなどを備え、データ処理部40から出力された検量線、分析データなどを予め設定されたフォーマットに基づいて、プリンタ用紙に印刷出力する。
【0059】
表示部52は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、被検体情報や認証データの入力画面、被検体情報や認証データの登録画面、各項目の標準試料や検量線などの分析条件を設定するための分析条件設定画面、被検試料毎に測定項目を選択入力するための測定項目設定画面、各項目の標準試料や検量線などの分析条件を設定するための画面の表示や、データ処理部40から出力された検量線、分析データなどの表示を行う。
【0060】
操作部60は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、被検体情報や認証データの入力操作、被検体情報や認証データの登録操作、各項目の標準試料や検量線などの分析条件の設定操作、測定項目の選択入力操作、各項目の標準試料測定操作、被検試料測定操作などの様々な操作が行われる。
【0061】
インターフェース80は、外部に設けられた端末装置111から送信される被検試料を測定するための被検体情報や認証データ、及びその被検体情報や認証データに対応する測定項目の情報を、ネットワーク110を介して受信してシステム制御部70に出力する。また、システム制御部70により、記憶部42から読み出され出力された分析データなどを、ネットワーク110を介して端末装置111に出力する。
【0062】
なお、端末装置111は、例えば診察室などに配置され、検査室に配置された自動分析装置100で被検試料を測定するための被検体情報や認証データの入力操作、及びその被検体情報や認証データに対応する測定項目の選択入力操作を、操作部60だけでなく端末装置111からも行うことができる。
【0063】
システム制御部70は、図示しないCPUと記憶回路71を備え、操作部60から供給される操作者のコマンド信号、各項目の標準試料や検量線などの分析条件などの情報を記憶した後、これらの情報に基づいて、分析部18及び認証データ生成部19を構成する各ユニットを一定サイクルの所定のシーケンスで測定動作させる制御、検量線の作成、認証データの生成に関する制御、生成した認証データに基づく分析データの生成と出力に関する制御などシステム全体の制御を行う。
【0064】
以下、図1乃至図7を参照して、実施例1に係る自動分析装置100の動作の例を説明する。
【0065】
まずは、操作部60からの被検体情報の入力情報に基づいて、被検試料を測定する動作を説明する。自動分析装置100のデータ処理部40における記憶部42には、予めデータ処理部40の演算部41で作成された各項目の検量線が保存されている。また、操作部60からの被検体情報登録操作による被検体A1乃至AKの被検体情報a1乃至aK、及び認証データ登録操作による認証データb1乃至bKが保存されている。
【0066】
医師の診察により検査が行われることになった例えば被検体A1乃至A3から被検試料B1乃至B3が採取される。そして、被検試料B1乃至B3として収容された3つの試料容器17bに、被検体A1乃至A3の被検体情報a1乃至a3に含まれるIDである例えばIDaa1乃至aa3をコード化したコードラベルが貼り付けられる。
【0067】
なお、被検試料B1乃至B3として3つの試料容器17aに収容するようにしてもよい。この場合、3つの試料容器17aをセットするディスクサンプラ6の位置情報を操作部60から入力し、その位置情報に対応するディスクサンプラ6の3つの位置に試料容器17aをセットする。
【0068】
IDaa1乃至aa3のコードラベルが貼り付けられた3つの試料容器17bは、ディスクサンプラ6の任意の位置にセットされる。そして、操作部60から被検試料B1乃至B3の測定を行うための各被検体A1乃至A3に対応する測定項目の選択入力が行われると、システム制御部70は、記憶部42の被検体A1乃至A3における測定項目情報記憶領域a11a乃至a3Laに測定項目の情報を保存する。
【0069】
図6は、表示部52に表示された測定項目設定画面の一例を示した図である。この測定項目設定画面43は、測定を行うための被検体情報入力画面で入力された被検体A1乃至A3の被検体情報a1乃至a3に含まれる例えば氏名を表示する「氏名」の欄と、測定可能な項目名を略称で表示する「項目」の欄と、「氏名」の欄に表示された氏名毎に「項目」の欄に表示された項目名の測定項目を選択入力するための測定項目設定エリア43aとにより構成される。
【0070】
「氏名」の欄には、被検体情報a1乃至a3に対応する例えば氏名「SH」、「MS」、及び「KS」が表示されている。また、「項目」の欄には、例えば項目名である「GOT」、「Ca」、「GPT」、「TP」などが表示されている。
【0071】
測定項目設定エリア43aには、「氏名」の欄の各被検体A1乃至A3に対応した「項目」の欄の項目名が選択入力された場合には「○」が表示され、選択入力されない場合には「・」が表示される。そして、操作部60から「氏名」の欄に表示された氏名「SH」に対して、項目名「GOT」、「GPT」、「Ca」、及び「TP」が選択入力されると、測定項目設定エリア43aの1テスト乃至4テストの位置に「○」が表示される。
【0072】
また、「氏名」の欄に表示された氏名「MS」に対して項目名「TP」が設定されると、測定項目設定エリア43aの5テストの位置に「○」が表示され、「氏名」の欄に表示された氏名「KS」に対して項目名「Ca」が設定されると、測定項目設定エリア43aの6テストの位置に「○」が表示される。
【0073】
測定項目設定画面43から選択入力された測定項目の情報は、システム制御部70を介して記憶部42の各測定項目情報記憶領域a11a乃至a3Lbに保存されている。そして、被検試料の測定は測定項目設定画面43から選択入力された測定項目の情報に基づいて行われ、「氏名」の最上段の「SH」に対応した被検試料から順に、各被検体の氏名の設定された左の測定項目「GOT」から順に測定されることになる。
【0074】
図7は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。
操作部60から被検試料の測定操作が行われると、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0075】
システム制御部70は、分析制御部20に試料容器17bのコードラベルの読み取りを指示する。分析制御部20の制御により、分析部18のディスクサンプラ6は回動し、リーダ17cはディスクサンプラ6にセットされた試料容器17bのコードラベルから例えば二次元コードを読み取る。そして、読み取ったコードの情報を分析制御部20に出力する。
【0076】
分析制御部20は、リーダ17cから出力されたコード情報、及びそのコード情報に対応するディスクサンプラ6の位置情報を、システム制御部70に出力する。システム制御部70は、分析制御部20から出力されたコード情報からIDaa1乃至aa3を生成して、ディスクサンプラ6の位置情報と共に記憶回路71に保存する(ステップS2)。
【0077】
システム制御部70は、生成したIDaan(n=1)に基づいて、分析制御部20及び認証データ生成部19に指示し、IDaan付きの試料容器17b内の被検試料を測定して認証データを生成させるための動作をさせる。
【0078】
分析部18のサンプル分注プローブ16は、分析制御部20の制御により、IDaan付きの試料容器17b内から被検試料を吸引して、開口部19aから認証データ生成部19に吐出する。認証データ生成部19は、サンプル分注プローブ16により吐出された被検試料から認証データを生成するための動作を行う(ステップS3)。
【0079】
そして、認証データの生成が可能である場合(ステップS4のはい)、認証データ生成部19は、認証データを生成してシステム制御部70に出力する。また、認証データの生成が不可能である場合(ステップS4のいいえ)、認証不可能である情報をシステム制御部70に出力する。
【0080】
ステップS4の「いいえ」の後に、システム制御部70は、IDaan付きの試料容器17b内には認証できない被検試料が収容されていると判断し、例えば「IDaan付きの試料容器17b内には認証できない被検試料が収容されています」などの認証不可能情報を作成する。そして、その認証不可能情報を記憶回路71のIDaanに付加して保存すると共に出力部50に出力する(ステップS5)。
【0081】
ステップS4の「はい」の後に、システム制御部70は、認証データ生成部19から出力された認証データに対応する被検体のIDを記憶部42から読み出す。そして、読み出した被検体情報と生成したIDaanを照合する(ステップS6)。
【0082】
そして、読み出した被検体情報がIDaanを含んでいる場合(ステップS7のはい)、IDaan付きの試料容器17b内に被検試料Bnが収容されていると判断し、ステップS9に移行する。また、読み出した被検体情報がIDaanを含んでいない場合(ステップS7のいいえ)、IDaan付きの試料容器17b内に被検試料Bnが収容されていないと判断し、ステップS8に移行する。
【0083】
ステップS7の「いいえ」の後に、システム制御部70は、不一致情報を作成し、この不一致情報及び記憶部42から読み出した被検体情報を、記憶回路71のIDaanに付加して保存する(ステップS8)。
【0084】
ステップS5、又はステップS7の「はい」、又はステップS8の後に、nが3である場合(ステップS9のはい)、ステップS10に移行する。また、nが3未満である場合(ステップS9のいいえ)、ステップS3に戻る。
【0085】
ステップS9の「はい」の後に、記憶回路71に保存したIDaa1乃至aa3の中に認証不可能情報及び不一致情報が付加されたIDが存在しない場合(ステップS10のいいえ)、システム制御部70は、各IDaa1乃至aa3付きの各試料容器17b内に各被検試料B1乃至B3が収容されていると判断し、すべての試料容器17b内の被検試料を測定対象とする。また、記憶回路71に保存したIDaa1乃至aa3の中に不一致情報が付加されたID(不一致ID)が存在する場合(ステップS10のはい)、ステップS11に移行する。
【0086】
ステップS10の「はい」の後に、記憶回路71に保存している不一致IDが、記憶部42から読み出したすべての被検体情報の内のいずれかの被検体情報に含まれている場合(ステップS11のはい)、記憶回路71のいずれかの被検体情報に含まれる不一致ID付き、及び記憶回路71の認証不可能情報及び不一致情報が付加されていないID付きの試料容器17b内の被検試料を測定対象とし、ステップS12に移行する。
【0087】
また、記憶回路71に保存している不一致IDが、記憶部42から読み出したすべての被検体情報の内のいずれの被検体情報にも含まれていない場合(ステップS11のいいえ)、不一致ID付きの試料容器17b内の被検試料を測定対象外とし、ステップS15に移行する。
【0088】
ステップS11の「はい」の後に、記憶回路71のいずれかの被検体情報に含まれる不一致IDの、いずれかの被検体情報を例えば被検体Axの被検体情報axとし、不一致IDを例えばIDaayとする。そして、記憶部71に保存したIDaayの不一致情報を、例えば「IDaay付きの試料容器17b内には、被検体Axの被検試料Bxが収容されているので、IDaaxの測定項目情報に従って測定します」などのメッセージ情報に置き換えて保存する(ステップS12)。
【0089】
ステップS10の「いいえ」の後に、システム制御部70は、記憶回路71に保存した不一致情報及びメッセージ情報が付加されていないIDに対応する測定項目の情報を記憶部42から読み出す。又はステップS12の後に、記憶回路71に保存した不一致情報及びメッセージ情報が付加されていないIDに対応する測定項目の情報、及びメッセージ情報が付加されたIDaay付きの試料容器17bに収容された被検試料の被検体情報Axに対応する測定項目の情報を記憶部42から読み出す。
【0090】
次いで、読み出した測定項目の情報に基づいて、測定対象の被検試料における測定項目の測定を分析制御部20に指示する。分析部18は、分析制御部20の制御により、測定対象の被検試料を測定する(ステップS13)。
【0091】
ここで、測定対象が例えば不一致情報及びメッセージ情報が付加されていないIDaa2,aa3付きの試料容器17b内の被検試料であると、サンプル分注プローブ16は、IDaa2付きの試料容器17bから、図6に示した氏名「MS」の「TP」を測定するための被検試料B2を吸引して反応容器4に吐出する。また、IDaa3付きの試料容器17bから、氏名「KS」の「Ca」を測定するための被検試料B3を吸引して反応容器4に吐出する。
【0092】
被検試料の吐出後、第1試薬分注プローブ14は、試薬庫2の試薬ボトル7から「TP」の第1試薬を吸引して、被検試料B2の入った反応容器4に吐出する。また、試薬庫2の試薬ボトル7から「Ca」の第1試薬を吸引して、被検試料B3の入った反応容器4に吐出する。
【0093】
第1試薬の吐出後、攪拌ユニット11は、被検試料B2と「TP」の第1試薬との混合液、及び被検試料B3と「Ca」の第1試薬との混合液を攪拌する。
【0094】
混合液の撹拌後、第2試薬分注プローブ15は、試薬庫3の試薬ボトル7から「Ca」の第2試薬を吸引して、被検試料B3と「Ca」の第1試薬との混合液の入った反応容器4に吐出する。
【0095】
第2試薬の吐出後、攪拌ユニット11は、被検試料B3と、「Ca」の第1試薬と、「Ca」の第2試薬との混合液を攪拌する。
【0096】
第2試薬が含まれる混合液の撹拌後、測光部13は、各混合液を測定して被検試料B2の「TP」、及び被検試料B3の「Ca」の被検データを生成し、データ処理部40の演算部41に出力する。
【0097】
演算部41は、分析部18から出力された被検データから被検試料B2の「TP」、及び被検試料B3の「Ca」の分析データを生成する(ステップS14)。
【0098】
ステップS14の後に、演算部41は生成した各分析データを出力部50に出力すると共に記憶部42に保存し、システム制御部70は、演算部41で生成した各分析データに対応する不一致情報を出力部50に出力すると共に記憶部42に保存する。また、ステップS11の「いいえ」の後に、システム制御部70は測定対象外となったIDに対応する不一致情報を出力部50に出力する(ステップS15)。
【0099】
演算部41から出力した分析データ、及びシステム制御部70から出力した不一致情報が、出力部50に出力された時点で、自動分析装置100は、動作を終了する(ステップS16)。
【0100】
次に、図1乃至図6、及び図8を参照して、実施例1に係る自動分析装置100の動作の他の例を説明する。ここでは、操作部60からの認証データの入力情報に基づいて、被検試料を測定する動作の例を説明する。
【0101】
医師の診察により検査が行われることになった被検体A1乃至A3の被検試料B1乃至B3として収容された3つの試料容器17bに、認証データb1乃至b3をコード化したコードラベルが貼り付けられる。
【0102】
そして、各認証データb1乃至b3付きの試料容器17bは、ディスクサンプラ6の任意の位置にセットされる。そして、被検試料B1乃至B3の測定を行うための認証データb1乃至b3の入力及び測定項目の選択入力が操作部60から行われると、システム制御部70は、記憶部42の被検体A1乃至A3に対応する測定項目情報記憶領域a11a乃至a3Laに測定項目の情報を保存する。
【0103】
図8は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。
操作部60から被検試料の測定操作が行われると、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS21)。
【0104】
システム制御部70は、分析制御部20に試料容器17bのコードラベルの読み取りを指示する。分析制御部20の制御により、分析部18のディスクサンプラ6は回動し、リーダ17cはディスクサンプラ6にセットされた試料容器17bのコードラベルから例えば二次元コードを読み取る。そして、読み取ったコードの情報を分析制御部20に出力する。
【0105】
分析制御部20は、リーダ17cから出力されたコード情報、及びそのコード情報に対応するディスクサンプラ6の位置情報を、システム制御部70に出力する。システム制御部70は、分析制御部20から出力されたコード情報から認証データb1乃至b3を生成して、ディスクサンプラ6の位置情報と共に記憶回路71に保存する(ステップS22)。
【0106】
システム制御部70は、生成した認証データbn(n=1)に基づいて、分析制御部20及び認証データ生成部19に指示し、認証データbn付きの試料容器17b内の被検試料を測定して認証データを生成させるための動作をさせる。
【0107】
分析部18のサンプル分注プローブ16は、分析制御部20の制御により、認証データbn付きの試料容器17b内から被検試料を吸引して、開口部19aから認証データ生成部19に吐出する。認証データ生成部19は、サンプル分注プローブ16により吐出された被検試料から認証データを生成するための動作を行う(ステップS23)。
【0108】
そして、認証データの生成が可能である場合(ステップS24のはい)、認証データ生成部19は、認証データを生成してシステム制御部70に出力する。また、認証データの生成が不可能である場合(ステップS24のいいえ)、認証不可能である情報をシステム制御部70に出力する。
【0109】
ステップS24の「いいえ」の後に、システム制御部70は、認証データbn付きの試料容器17b内には認証不可能な被検試料が収容されていると判断し、認証不可能情報を作成する。そして、その認証不可能情報を記憶回路71の認証データbnに付加して保存すると共に出力部50に出力する(ステップS25)。
【0110】
ステップS24の「はい」の後に、システム制御部70は、認証データ生成部19から出力された認証データと認証データbnを照合する(ステップS26)。
【0111】
そして、認証データ生成部19から出力された認証データが認証データbnと同じである場合(ステップS27のはい)、認証データbn付きの試料容器17b内に被検試料Bnが収容されていると判断し、ステップS29に移行する。また、認証データ生成部19から出力された認証データが認証データbnと異なる場合(ステップS27のいいえ)、認証データbn付きの試料容器17b内に被検試料Bnが収容されていないと判断し、ステップS28に移行する。
【0112】
ステップS27の「いいえ」の後に、システム制御部70は、不一致情報を作成し、この不一致情報及び認証データ生成部19から出力された認証データを、記憶回路71の認証データbnに付加して保存する(ステップS28)。
【0113】
ステップS25、又はステップS27の「はい」、又はステップS28の後に、nが3である場合(ステップS29のはい)、ステップS30に移行する。また、nが3未満である場合(ステップS29のいいえ)、ステップS23に戻る。
【0114】
ステップS29の「はい」の後に、記憶回路71に保存した認証データb1乃至b3の中に認証不可能情報及び不一致情報が付加された認証データが存在しない場合(ステップS30のいいえ)、システム制御部70は、各認証データb1乃至b3付きの各試料容器17b内に各被検試料B1乃至B3が収容されていると判断し、すべての試料容器17b内の被検試料を測定対象とする。また、記憶回路71に保存した認証データb1乃至b3の中に不一致情報が付加された認証データ(不一致認証データ)が存在する場合(ステップS30のはい)、ステップS31に移行する。
【0115】
ステップS30の「はい」の後に、記憶回路71に保存している不一致認証データが、認証データ生成部19から出力されたすべての認証データの内のいずれかの認証データと同じである場合(ステップS31のはい)、記憶回路71のいずれかの認証データと同じである不一致認証データ、及び記憶回路71の認証不可能情報及び不一致情報が付加されていない認証データ付きの試料容器17b内の被検試料を測定対象とし、ステップS32に移行する。
【0116】
また、記憶回路71に保存している不一致認証データが、記憶部42から読み出したすべての認証データに一致しない場合(ステップS31のいいえ)、不一致認証データ付きの試料容器17b内の被検試料を測定対象外とし、ステップS35に移行する。
【0117】
ステップS31の「はい」の後に、記憶回路71のいずれかの認証データに一致する不一致認証データの不一致情報をメッセージ情報に置き換えて保存する(ステップS32)。
【0118】
ステップS30の「いいえ」の後に、システム制御部70は、記憶回路71に保存した不一致情報及びメッセージ情報が付加されていない認証データに対応する測定項目の情報を記憶部42から読み出す。又はステップS32の後に、記憶回路71に保存した不一致情報及びメッセージ情報が付加されていない認証データに対応する測定項目の情報、及びメッセージ情報が付加された認証データ付きの試料容器17bに収容された被検試料の認証データに対応する測定項目の情報を記憶部42から読み出す。
【0119】
次いで、読み出した測定項目の情報に基づいて、測定対象の被検試料における測定項目の測定を分析制御部20に指示する。分析部18は、分析制御部20の制御により、測定対象の被検試料を測定する(ステップS33)。演算部41は、測定対象の被検試料の分析データを生成する(ステップS34)。
【0120】
ステップS34の後に演算部41は生成した各分析データを出力部50に出力すると共に記憶部42に保存し、システム制御部70は、演算部41で生成した各分析データに対応する不一致情報を出力部50に出力すると共に記憶部42に保存する。また、ステップS31の「いいえ」の後に、システム制御部70は測定対象外となったIDに対応する不一致情報を出力部50に出力する(ステップS35)。
【0121】
演算部41から出力した分析データ、及びシステム制御部70から出力した不一致情報が、出力部50に出力された時点で、自動分析装置100は、動作を終了する(ステップS36)。
【0122】
以上述べた本発明の実施例1によれば、操作部60から入力した被検試料を測定するための被検体情報に基づいて、この被検体情報に対応する試料容器内の被検試料を測定して認証データを生成する。そして、生成した認証データに対応する記憶部42に予め保存されている被検体情報が、操作部60から入力した被検体情報を含んでいる場合、操作部60から入力した被検体情報に対応する試料容器内の被検試料を測定することにより、操作部60から入力した被検体情報の被検体から採取された被検試料の分析データを生成することができる。
【0123】
また、生成した認証データに対応する被検体情報が操作部60から入力した被検体情報を含んでいない場合、操作部60から入力した被検体情報に対応する試料容器内の被検試料が、操作部60から入力した被検体情報の被検体から採取された被検試料でないことを示す不一致情報を出力することができる。
【0124】
更に、操作部60から入力した被検試料を測定するための認証データに基づいて、この認証データに対応する試料容器内の被検試料を測定して認証データを生成する。生成した認証データに対応する試料容器内の被検試料が操作部60から入力した認証データと同じである場合、操作部60から入力した認証データに対応する試料容器内の被検試料を測定することにより、操作部60から入力した認証データの被検体から採取された被検試料の分析データを生成することができる。
【0125】
更にまた、生成した認証データが操作部60から入力した認証データと同じでない場合、操作部60から入力した認証データに対応する試料容器内の被検試料が、その認証データの被検体から採取された被検試料でないことを示す不一致情報を出力することができる。
【0126】
これにより、人為的なミスを犯した被検試料の測定を未然に防ぐことが可能となり、誤診を防ぐことができる。また、不一致情報により人為的なミスを犯した被検試料を装置から容易に取り除くことができる。
【0127】
なお、本発明は上記実施例1に限定されるものではなく、例えば被検体情報及びこの被検体情報の被検体の認証データとして指紋情報を予め記憶部に保存しておき、被検体から被検試料を採取するときにその被検試料を収容する試料容器に、その被検試料に対応する被検体の指紋を採取し、認証データ生成部に試料容器の指紋を読み取る指紋読み取り手段を設ける。そして、操作部60から入力された被検試料を測定するための被検体情報に基づいて、この被検体情報に対応する試料容器から指紋を読み取り認証データを生成する。そして、生成した認証データに対応する被検体情報を記憶部から読み出し、読み出した被検体情報が操作部60から入力された被検体情報を含む場合、その被検体情報に対応する試料容器内の被検試料を測定することにより、操作部60から入力された被検体情報の被検体から採取された被検試料の分析データを生成することができる。
【実施例2】
【0128】
以下に、本発明による検査情報システムの実施例2を、図9を参照して説明する。
図9は、本発明の実施例2に係る検査情報システムの構成を示したブロック図である。この検査情報システム200は、被検体の認証データを生成する認証データ生成装置130と、認証データ生成装置130により生成された認証データを保管するデータ保管装置120とが、ネットワーク110により接続されている。また、被検体から採取した被検試料を測定する自動分析装置100aとデータ保管装置120とがネットワーク110により接続されている。
【0129】
認証データ生成装置130は、自動分析装置100aで検査対象となった被検体のDNA情報を解析し、認証データを生成する。そして、生成した認証データに対応する被検体の被検体情報と共に、ネットワーク110を介してデータ保管装置120に送信する。
【0130】
データ保管装置120は、ネットワーク110を介して認証データ生成装置130や自動分析装置100aとデータの送受信を行うインターフェース80bと、被検体情報及び認証データなどを保存する記憶部42bと、記憶部42bに保存された被検体情報及び認証データなどを表示する表示部52bと、被検体情報や認証データの登録や各種コマンド信号などを入力する操作部60bと、インターフェース80b、記憶部42b、及び表示部52bを統括して制御する制御部70bとを備えている。
【0131】
インターフェース80bは、自動分析装置100aから送信される認証データや分析データを、ネットワーク110を介して受信し、認証データを制御部70bに出力すると共に、分析データを記憶部42bに出力する。また、制御部70bから出力される認証データ及びこの認証データに対応する被検体情報を、ネットワーク110を介して自動分析装置100aに送信する。更に、認証データ生成装置130から送信される被検体情報及びこの被検体情報に対応する認証データを、ネットワーク110を介して受信し、記憶部42bに出力する。
【0132】
記憶部42bは、ハードディスクなどを備えている。そして、ネットワーク110、インターフェース80bを介して受信した認証データ生成装置130からの被検体情報及びこの被検体情報に対応する認証データを保存する。また、ネットワーク110、インターフェース80bを介して受信した自動分析装置100aからの分析データを保存する。
【0133】
表示部52bは、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、被検体の被検体情報や認証データを登録する登録画面、記憶部42bに保存された被検体情報、認証データ、分析データなどの表示を行う。
【0134】
操作部60bは、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、被検体情報や認証データの登録操作、被検体情報や認証データの検索操作、記憶部42bに保存されたた被検体情報、認証データ、及び分析データの表示操作など様々な操作が行われる。
【0135】
制御部70bは、図示しないCPUと記憶回路を備え、操作部60bから供給される操作者のコマンド信号などの情報を記憶した後、これらの情報に基づいて、被検体情報や認証データの登録、被検体情報及び認証データの保存及び表示に関する制御などシステム全体の制御を行なう。
【0136】
そして、ネットワーク110、インターフェース80bを介して自動分析装置100aから受信した被検体情報や認証データに基づいて、その被検体情報に対応する認証データや、その認証データに対応する被検体情報を記憶部42bから読み出し、その被検体情報及び読み出した認証データや、その認証データ及び読み出した被検体情報を、インターフェース80b、ネットワーク110を介して自動分析装置100bに送信する。
【0137】
図9に示した実施例2の自動分析装置100aが、実施例1の自動分析装置100と異なる点は、データ処理部40aの記憶部42a及びシステム制御部70aに置き換えた点と、インターフェース80aを追加した点である。なお、自動分析装置100aの自動分析装置100と同一ユニットには同符号を付し説明を省略し、自動分析装置100に対して新たな符号を付したユニットの説明を、以下に行う。
【0138】
データ処理部40aは、分析部18から出力された標準データから検量線の作成や被検データから分析データの生成を行う演算部41と、演算部41で作成された検量線や生成された分析データや、ネットワーク110及びインターフェース80aを介してデータ保管装置120から受信した認証データ及び被検体情報などを保存する記憶部42aとを備えている。
【0139】
記憶部42aは、ハードディスクなどを備えている。そして、演算部41から出力された検量線や分析データを保存する。また、操作部60からの入力操作によりシステム制御部70aから出力された被検体情報や認証データ、被検試料毎の測定項目の情報、ネットワーク110及びインターフェース80aを介してデータ保管装置120から受信した認証データ、及びこの認証データに対応する被検体情報などを保存する。
【0140】
インターフェース80aは、被検試料の測定により認証データ生成部19で生成され、システム制御部70aから出力された認証データを、ネットワーク110を介してデータ保管装置120に送信する。また、データ保管装置120から送信された認証データ及びこの認証データに対応する被検体情報を、ネットワーク110を介して受信し、システム制御部70aに出力する。
【0141】
また、インターフェース80aは、外部に設けられた端末装置111から送信される被検試料を測定するための被検体情報や認証データ、及びその被検体情報や認証データに対応する測定項目の情報を、ネットワーク110を介して受信してシステム制御部70aに出力する。また、システム制御部70aにより、記憶部42から読み出され出力された分析データなどを、ネットワーク110を介して端末装置111に出力する。
【0142】
システム制御部70aは、図示しないCPUと記憶回路71を備え、認証データ生成部19、分析制御部20、データ処理部40a、出力部50、及びインターフェース80aを統括して制御する。そして、操作部60から供給される操作者のコマンド信号、各項目の標準試料や検量線などの分析条件などの情報を記憶した後、これらの情報に基づいて、分析部18及び認証データ生成部19を構成する各ユニットを一定サイクルの所定のシーケンスで測定動作させる制御、検量線の作成、認証データの生成に関する制御、生成した認証データに基づく分析データの生成と出力に関する制御などを行なう。
【0143】
以下、図9を参照して、実施例2に係る検査情報システム200の動作を説明する。ここでは、操作部60から被検試料の測定を行うための被検体情報の入力に基づいて、測定する動作の例を説明する。
【0144】
なお、検査情報システム200は、図7に示した実施例1のフローチャートと同様のステップで動作する。従って、検査情報システム200の動作を示すフローチャートの図示を省略し、図7のフローチャートの各ステップに対応する査情報システム200の動作の説明毎に、図7の各ステップの符号に「a」を付記した符号を付して、検査情報システム200の動作を説明する。
【0145】
自動分析装置100aのデータ処理部40aにおける記憶部42aには、予め分析部18で測定され、データ処理部40aの演算部41で作成された各項目の検量線が保存されている。また、データ保管装置120の記憶部42bには、認証データ生成装置130で生成された認証データb1乃至bK、及び各認証データb1乃至bKに対応する被検体A1乃至AKの被検体情報a1乃至aKが保存されている。
【0146】
検査が行われることになった被検体A1乃至A3の被検試料B1乃至B3として収容された3つの試料容器17bに、夫々被検体情報a1乃至a3に含まれるIDaa1乃至aa3をコード化したコードラベルが貼り付けられる。
【0147】
自動分析装置100aのディスクサンプラ6の任意の位置に、3つのIDaa1乃至aa3付きの試料容器17bがセットされる。そして、被検試料B1乃至B3の測定を行うための各被検体情報aa1乃至aa3に対応する測定項目の選択入力が操作部60から行われると、自動分析装置100aのシステム制御部70aは、記憶部42aに被検体情報aa1乃至aa3及び各被検体情報aa1乃至aa3の測定項目の情報を保存する。
【0148】
そして、操作部60から被検試料の測定操作が行われると、検査情報システム200は動作を開始する(ステップS1a)。
【0149】
システム制御部70aは、分析制御部20に試料容器17bのコードラベル読み取りを指示する。分析制御部20の制御により、分析部18のディスクサンプラ6は回動し、リーダ17cはディスクサンプラ6にセットされた試料容器17bのコードラベルから例えば二次元コードを読み取る。そして、読み取ったコード情報を分析制御部20に出力する。
【0150】
分析制御部20は、リーダ17cから出力されたコード情報及びこのコード情報に対応するディスクサンプラ6の位置情報をシステム制御部70aに出力する。システム制御部70aは、分析制御部20から出力されたコード情報からIDaa1乃至aa3を生成してディスクサンプラ6の位置情報と共に記憶回路71に保存する(ステップS2a)。
【0151】
システム制御部70aは、生成したIDaan(n=1)に基づいて、分析制御部20及び認証データ生成部19に指示し、IDaanに対応する試料容器17b内の被検試料を測定して認証データを生成させるための動作をさせる。
【0152】
分析部18のサンプル分注プローブ16は、分析制御部20の制御により、IDaan付きの試料容器17b内から被検試料を吸引して、開口部19aから認証データ生成部19に吐出する。認証データ生成部19は、サンプル分注プローブ16により吐出された被検試料から認証データを生成する動作を行う(ステップS3a)。
【0153】
そして、認証データの生成が可能である場合(ステップS4aのはい)、認証データ生成部19は、認証データを生成してシステム制御部70aに出力する。また、認証データの生成が不可能である場合(ステップS4aのいいえ)、認証不可能である情報をシステム制御部70aに出力する。
【0154】
ステップS4aの「いいえ」の後に、システム制御部70aは、IDaan付きの試料容器17b内に認証不可能な被検試料が収容されていると判断する。そして、不一致情報を作成し、作成した不一致情報を記憶回路71のIDaanに付加して保存すると共に出力部50に出力する(ステップS5a)。
【0155】
ステップS4aの「はい」の後に、システム制御部70aは、認証データ生成部19から出力された認証データを、インターフェース80a、ネットワーク110を介してデータ保管装置120に送信する。
【0156】
データ保管装置120の制御部70bは、ネットワーク110、インターフェース80bを介して自動分析装置100aから受信した認証データに対応する被検体情報を、記憶部42bから読み出す。そして、読み出した被検体情報及びこの被検体情報に対応する認証データを、インターフェース80b、ネットワーク110を介して自動分析装置100aに送信する。
【0157】
自動分析装置100aのシステム制御部70aは、ネットワーク110、インターフェース80aを介してデータ保管装置120から受信した被検体情報とIDaanを照合する(ステップS6a)。
【0158】
そして、データ保管装置120から受信した被検体情報がIDaanを含んでいる場合(ステップS7aのはい)、被検体情報aanに対応する試料容器17b内に被検試料Bnが収容されていると判断し、ステップS9aに移行する。また、データ保管装置120から受信した被検体情報がIDaanを含んでいる場合(ステップS7aのいいえ)、IDaan付きの試料容器17b内に被検試料Bnが収容されていないと判断し、ステップS8aに移行する。
【0159】
システム制御部70aは、不一致情報を作成し、この不一致情報及びデータ保管装置120から受信した被検体情報を、記憶回路71のIDaanに付加して保存する(ステップS8a)。
【0160】
ステップS5a、又はステップS7aの「はい」、又はステップS8aの後に、nが3である場合(ステップS9aのはい)、ステップS10aに移行する。また、nが3未満である場合(ステップS9aのいいえ)、ステップS3aに戻る。
【0161】
ステップS9aの「はい」の後に、記憶回路71に保存したIDaa1乃至aa3の中に認証不可能情報及び不一致情報が付加されたIDが存在しない場合(ステップS10aのいいえ)、システム制御部70aは、各IDaa1乃至aa3付きの各試料容器17b内に各被検試料B1乃至B3が収容されていると判断し、すべての試料容器17b内の被検試料を測定対象とする。また、記憶回路71に保存したIDaa1乃至aa3の中に不一致情報が付加されたID(不一致ID)が存在する場合(ステップS10aのはい)、ステップS11aに移行する。
【0162】
ステップS10aの「はい」の後に、記憶回路71に保存している不一致IDが、ステップS6aで記憶部42から読み出したすべての被検体情報の内のいずれかの被検体情報に含まれている場合(ステップS11aのはい)、記憶回路71のいずれかの被検体情報に含まれる不一致ID、及び記憶回路71の認証不可能情報及び不一致情報が付加されていないID付きの試料容器17b内の被検試料を測定対象とし、ステップS12aに移行する。
【0163】
また、記憶回路71に保存している不一致IDが、データ保管装置120から受信したいずれの被検体情報にも含まれていない場合(ステップS11aのいいえ)、不一致ID付きの試料容器17b内の被検試料を測定対象外とし、ステップS15aに移行する。
【0164】
ステップS11aの「はい」の後に、記憶回路71のいずれかの被検体情報に含まれる不一致IDの不一致情報をメッセージ情報に置き換えて保存する(ステップS12a)。
【0165】
ステップS10aの「いいえ」の後に、システム制御部70aは、記憶回路71に保存した不一致情報及びメッセージ情報が付加されていないIDに対応する測定項目の情報を記憶部42から読み出す。又はステップS12の後に、記憶回路71に保存した不一致情報及びメッセージ情報が付加されていないIDに対応する測定項目の情報、及びメッセージ情報が付加されたIDaay付きの試料容器17bに収容された被検試料の被検体情報Axに対応する測定項目の情報を記憶部42から読み出す。
【0166】
次いで、読み出した測定項目の情報に基づいて、測定対象の被検試料における測定項目の測定を分析制御部20に指示する。分析部18は、分析制御部20の制御により、測定対象の被検試料を測定する(ステップS13a)。
【0167】
分析部18は、分析制御部20の制御により、測定対象の被検試料を測定する(ステップS13a)。そして、被検データを生成し、データ処理部40aの演算部41に出力する。
【0168】
演算部41は、分析部18から出力された被検データから分析データを生成する(ステップS14a)。
【0169】
ステップS14aの後に、演算部41は、生成した各分析データを出力部50に出力すると共に記憶部42aに保存し、システム制御部70aは、演算部41で生成した各分析データに対応する不一致情報を出力部50に出力すると共に記憶部42aに保存する。また、ステップS11aの「いいえ」の後に、システム制御部70aは測定対象外となったIDに対応する不一致情報を出力部50に出力する(ステップS15a)。
【0170】
更に、システム制御部70aは、記憶部42aに保存された測定項目の情報及びこの項目に対応する各分析データを、インターフェース80a、ネットワーク110を介してデータ保管装置120に送信する。データ保管装置120のインターフェース80bは、ネットワーク110を介して受信した自動分析装置100aからの測定項目の情報及び各分析データを記憶部42bに出力する。記憶部42bは、インターフェース80bから出力された各分析データを保存する。
【0171】
各分析データが出力及び保存され、不一致情報が出力された時点で、検査情報システム200は、動作を終了する(ステップS16a)。
【0172】
以上述べた本発明の実施例2によれば、操作部60から入力した被検試料を測定するための被検体情報に基づいて、この被検体情報に対応する試料容器内の被検試料を測定し、認証データを生成する。そして、生成した認証データに対応する被検体情報が操作部60から入力した被検体情報を含む場合、操作部60から入力した被検体情報に対応する試料容器内の被検試料を測定することにより、操作部60から入力した被検体情報の被検体から採取された被検試料の分析データを生成することができる。
【0173】
また、生成した認証データに対応する被検体情報が操作部60から入力した被検体情報を含まない場合、操作部60から入力した被検体情報に対応する試料容器内の被検試料が、その被検体情報の被検体から採取された被検試料でないことを示す不一致情報を出力することができる。
【0174】
これにより、人為的なミスを犯した被検試料の測定を未然に防ぐことが可能となり、誤診を防ぐことができる。また、不一致情報により人為的なミスを犯した被検試料を装置から容易に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明の実施例1に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例1に係る分析部の構成を示す図。
【図3】本発明の実施例1に係る認証データ生成部の構成を示す図。
【図4】本発明の実施例1に係る認証データ生成部の構成を示す図。
【図5】本発明の実施例1に係る記憶部の構成の一例を示す図。
【図6】本発明の実施例1に係る測定項目設定画面の一例を示す図。
【図7】本発明の実施例1に係る自動分析装置の動作の一例を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施例1に係る自動分析装置の動作の他の例を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施例2に係る検査情報システムの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0176】
18 分析部
19 認証データ生成部
20 分析制御部
40,40a データ処理部
41 演算部
42,42a,42b 記憶部
50 出力部
51 印刷部
52 表示部
60,60b 操作部
70,70a システム制御部
100,100a 自動分析装置
111 端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料容器に収容された被検体から採取された被検試料、及び試薬の混合液を測定する自動分析装置において、
前記被検体の第1の被検体情報及びこの被検体を識別する認証データを保存した記憶手段と、
前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された第2の被検体情報、又は前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力する端末装置から得られた第2の被検体情報に基づいて、この第2の被検体情報に対応する試料容器内の被検試料から認証データを生成する認証データ生成手段と、
前記認証データ生成手段により生成された認証データに基づいて、この認証データに対応する第1の被検体情報を前記記憶手段から読み出し、読み出した第1の被検体情報が前記第2の被検体情報を含んでいるとき、その第2の被検体情報に対応する試料容器内の被検試料を測定して分析データを生成する分析データ生成手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記分析データ生成手段により生成された分析データを出力する出力手段を有し、
前記出力手段は、前記記憶手段から読み出した第1の被検体情報が前記第2の被検体情報を含んでいないとき、前記第2の被検体情報に対応する試料容器内の被検試料が前記第2の被検体情報の被検体から採取された被検試料でないことを示す不一致情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
試料容器に収容された被検体から採取された被検試料、及び試薬の混合液を測定する自動分析装置において、
前記被検体の被検試料を測定するためのその被検体を識別する認証データを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された認証データ、又は前記被検体の被検試料を測定するための認証データを入力する端末装置から得られた認証データに基づいて、この認証データに対応する試料容器内の被検試料から認証データを生成する認証データ生成手段と、
前記認証データ生成手段により生成された認証データと前記入力手段又は前記端末装置からの認証データが同じであるとき、前記入力手段又は前記端末装置からの認証データに対応する試料容器内の被検試料を測定して分析データを生成する分析データ生成手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
前記認証データは、DNA情報であることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
試料容器に収容された被検体から採取された被検試料、及び試薬の混合液を測定する自動分析装置の測定方法において、
前記被検体の第1の被検体情報及びこの被検体を識別する認証データを記憶手段に保存し、
前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力手段により入力し、
前記入力手段により入力された第2の被検体情報、又は前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力する端末装置から得られた第2の被検体情報に基づいて、この被検体情報に対応する試料容器内の被検試料から認証データを認証データ生成手段により生成し、
前記認証データ生成手段により生成された認証データに基づいて、この認証データに対応する第1の被検体情報を前記記憶手段から読み出し、読み出した第1の被検体情報が前記第2の被検体情報を含んでいるとき、その第2の被検体情報に対応する試料容器内の被検試料を測定して分析データを分析データ生成手段により生成することを特徴とする自動分析装置の測定方法。
【請求項6】
被検体から採取された被検試料を測定する自動分析装置と、前記被検体を識別する認証データ及びこの被検体の第1の被検体情報を保存する記憶手段を有するデータ保管装置とがネットワークにより接続されている検査情報システムであって、
前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された第2の被検体情報、又は前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力する端末装置から得られた第2の被検体情報に基づいて、この第2の被検体情報に対応する試料容器内の被検試料から認証データを生成する認証データ生成手段と、
前記認証データ生成手段により生成された認証データを、前記ネットワークを介して前記データ保管装置に送信する送信手段と、
前記データ保管装置において前記認証データに対応する第1の被検体情報が前記記憶手段から読み出され、送信されたその第1の被検体情報を前記ネットワークを介して受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記第1の被検体情報が前記第2の被検体情報を含んでいるとき、その第2の被検体情報に対応する試料容器内の被検試料を測定して分析データを生成する分析データ生成手段とを
備えたことを特徴とする検査情報システム。
【請求項7】
試料容器に収容された被検体から採取された被検試料、及び試薬の混合液を測定する自動分析装置において、
前記被検体の第1の被検体情報及びこの被検体を識別する認証データを保存した記憶手段と、
前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された第2の被検体情報、又は前記被検体の被検試料を測定するための第2の被検体情報を入力する端末装置から得られた第2の被検体情報に基づいて、この第2の被検体情報に対応する試料容器内の被検試料から認証データを生成する認証データ生成手段と、
前記認証データ生成手段により生成された認証データに基づいて、この認証データに対応する第1の被検体情報を前記記憶手段から読み出し、読み出した第1の被検体情報が前記第2の被検体情報を含んでいるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記自動分析装置の動作を制御する制御手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−111768(P2008−111768A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295841(P2006−295841)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】