説明

自動分析装置およびその検体分注方法

【課題】分注までの時間が異なっても血球成分の濃度を正確に測定することが可能な自動分析装置およびその検体分注方法を提供すること。
【解決手段】血球成分を含む検体を検体容器9a中から分注装置20によって所定量分注し、試薬と反応させて分析する自動分析装置およびその検体分注方法。自動分析装置は、血球成分の濃度を検出する濃度検出部15aと、濃度検出部によって検出された血球成分の濃度をもとに、分注装置による分注の際の鉛直方向における検体の吸引位置を制御する位置制御部15bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置およびその検体分注方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、糖尿病の診断マーカとして使用されており、自動分析装置においては、被験者から採取した血球成分を含む検体(血液)の一定量を分注し、試薬、例えば、前処理液を加えて血球成分を溶血させた溶血試料の吸光度から求めた総ヘモグロビン(T−Hb)の濃度及びヘモグロビンA1cの濃度から総ヘモグロビン(T−Hb)に対する割合(%)として測定している(例えば、特許文献1参照)。ここで、血球成分を含む検体は、採取後、放置しておくと血球成分が沈降し、血漿成分と血球成分とに分離する。このため、通常、血球成分を含む検体は、採取後反応容器へ分注するまでの間、転倒混和する等の処理を施すことによって血球成分の沈降を回避している。
【0003】
【特許文献1】特開2000−46843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、血球成分を含む検体(血液)を分析する自動分析装置は、検体を採取した採血管等の検体容器をラックに保持させ、これらのラックを搬送しながら検体を順次分析してゆく。このため、血球成分を含む検体は、ラックに保持してから分注位置へ搬送されて反応容器に分注されるまでに血球成分が沈降し、鉛直方向に濃度勾配が発生する。この結果、自動分析装置は、検体容器を保持したラックをセットした後、分注ノズルが検体を分注するまでの時間が異なると、検体を分注する位置が固定されているため、同一の検体であっても、血球成分の沈降に起因した前記濃度勾配のために血球成分の濃度を正確に測定することができなくなるという問題点があった。この場合、検体容器を振動させて血球成分の沈降を抑制することも考えられるが、自動分析装置は、振動装置を設けると装置の複雑化と大型化を招来して好ましくない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、分注までの時間が異なっても血球成分の濃度を正確に測定することが可能な自動分析装置およびその検体分注方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる自動分析装置は、血球成分を含む検体を検体容器中から分注装置によって所定量分注し、試薬と反応させて分析する自動分析装置において、前記血球成分の濃度を検出する濃度検出手段と、前記濃度検出手段によって検出された前記血球成分の濃度をもとに、前記分注装置による分注の際の鉛直方向における前記検体の吸引位置を制御する位置制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記濃度検出手段は、前記検体容器から分注された所定量の検体における血球成分の濃度を検出することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記位置制御手段は、前記濃度検出手段が検出した前記血球成分の濃度が所定の濃度未満である場合には、前記分注装置による前記検体を吸引する鉛直方向の分注位置を下降させ、前記血球成分の濃度が所定の濃度を超えている場合には、前記分注位置を上昇させることを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために、請求項4にかかる自動分析装置の検体分注方法は、血球成分を含む検体を検体容器中から所定量分注し、試薬と反応させて分析する自動分析装置の検体分注方法であって、前記検体を所定量分注する分注工程と、前記分注工程で分注した前記検体の血球成分の濃度を検出する濃度検出工程と、前記濃度検出工程によって検出された前記血球成分の濃度をもとに、分注の際の前記検体の鉛直方向の吸引位置を制御する位置制御工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5にかかる自動分析装置の検体分注方法は、上記の発明において、前記濃度検出工程では、前記検体容器から分注された所定量の検体における血球成分の濃度を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自動分析装置は、位置制御手段が、濃度検出手段によって検出された血球成分の濃度をもとに、分注装置による分注の際の検体の鉛直方向における吸引位置を制御し、本発明の自動分析装置の検体分注方法は、位置制御工程において、濃度検出工程によって検出された血球成分の濃度をもとに、分注の際の検体の鉛直方向の吸引位置を制御するので、分注までの時間が異なっても、血球成分の濃度勾配を考慮した所定の濃度の検体を分注し、血球成分の濃度を正確に測定することが可能な自動分析装置およびその検体分注方法を提供することできるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明の自動分析装置およびその分注方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の自動分析装置の概略構成図である。図2は、図1の自動分析装置で使用する検体分注装置の概略構成を示すブロック図である。
【0013】
自動分析装置1は、血球成分を含む血液や尿等の検体を自動分析する装置であり、図1に示すように、試薬テーブル2,3、キュベットホイール4、検体容器移送機構8、分析光学系11、洗浄機構12、第一攪拌装置13と第二攪拌装置14、制御部15及び検体分注装置20を備えている。
【0014】
試薬テーブル2,3は、図1に示すように、それぞれ第一試薬の試薬容器2aと第二試薬の試薬容器3aが周方向に複数配置され、駆動手段に回転されて試薬容器2a,3aを周方向に搬送する。複数の試薬容器2a,3aは、それぞれ検査項目に応じて血球成分を溶血させる前処理液を含む試薬が満たされ、外面には収容した試薬の種類,ロット及び有効期限等の情報を記録した情報記録媒体(図示せず)が付加されている。ここで、試薬テーブル2,3の外周には、試薬容器2a,3aに付加した情報記録媒体に記録された試薬情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置が設置されている。
【0015】
キュベットホイール4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列されており、試薬テーブル2,3を駆動する駆動手段とは異なる駆動手段によって矢印で示す方向に回転されて反応容器5を周方向に移動させる。キュベットホイール4は、光源11aと分光部11bとの間に配置され、反応容器5を保持する保持部4aと光源11aが出射した光束を分光部11bへ導く円形の開口からなる光路4bとを有している。保持部4aは、キュベットホイール4の外周に周方向に沿って所定間隔で配置され、保持部4aの内周側に半径方向に延びる光路4bが形成されている。
【0016】
反応容器5は、分析光学系11から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する光学的に透明な素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等によって四角筒状に成形されたキュベットと呼ばれる容器である。反応容器5は、近傍に設けた試薬分注装置6,7によって試薬テーブル2,3の試薬容器2a,3aから試薬が分注される。ここで、試薬分注装置6,7は、それぞれ水平面内を回動すると共に、上下方向に昇降されるアーム6a,7aに試薬を分注するノズル6b,7bが設けられ、洗浄水によってノズル6b,7bを洗浄する洗浄手段を有している。
【0017】
検体容器移送機構8は、図1に示すように、配列された複数のラック9を矢印方向に沿って1つずつ歩進させながら移送する。ラック9は、検体を収容した複数の検体容器9aを保持している。ここで、検体容器9aは、検体容器移送機構8によって移送されるラック9の歩進が停止するごとに、検体分注装置20によって検体が各反応容器5へ分注される。
【0018】
分析光学系11は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体試料に分析光(340〜800nm)を透過させて分析するための光学系であり、図1に示すように、光源11a、分光部11b及び受光部11cを有している。光源11aから出射された分析光は、反応容器5内の液体試料を透過し、分光部11bと対向する位置に設けた受光部11cによって受光される。受光部11cは、制御部15と接続されている。
【0019】
洗浄機構12は、ノズル12aによって反応容器5内の液体試料を吸引して排出した後、ノズル12aによって洗剤や洗浄水等の洗浄液等を繰り返し注入し、吸引することにより、分析光学系11による分析が終了した反応容器5を洗浄する。
【0020】
第一攪拌装置13及び第二攪拌装置14は、分注された検体と試薬とを攪拌棒13a,14aによって攪拌し、反応させる。
【0021】
制御部15は、試薬テーブル2,3、試薬分注装置6,7、検体容器移送機構8、分析光学系11、洗浄機構12、攪拌装置13,14、入力部16、表示部17及び検体分注装置20等と接続されてこれら各部の作動を制御し、マイクロコンピュータ等が使用される。制御部15は、図2に示すように、分析光学系11から入力される光情報をもとに反応容器5内の液体試料の濃度を検出する濃度検出部15aと、駆動機構22を制御する駆動機構制御部15bとを有している。このとき、駆動機構制御部15bは、駆動機構22によってアーム20aの昇降動作と回動動作を制御するが、アーム20aの昇降動作を制御することによって検体分注装置20による検体を分注する際の分注ノズル20bによる検体容器9aに保持された検体の鉛直方向における吸引位置を制御する位置制御手段である。
【0022】
また、制御部15は、受光部11cから入力される波長ごとの光量信号をもとに濃度検出部15aが各反応容器5内の液体試料の波長ごとの吸光度を求め、検体の成分濃度等を分析する。このとき、自動分析装置1は、分注ノズル20bによる検体容器9aに採取された検体の鉛直方向における吸引位置と、そのときの血球成分の濃度との標準的な関係を予め濃度検出部15aに記憶しておき、この関係に基づいて濃度検出部15aが分注ノズル20bによる検体の吸引位置を設定する。更に、制御部15は、試薬容器2a,3aに付加した情報記録媒体から読み取った情報に基づき、試薬のロットが異なる場合や有効期限外等の場合に分析作業を停止するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警報を発する。
【0023】
入力部16は、制御部15へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。表示部17は、分析内容,分析結果或いは警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。
【0024】
検体分注装置20は、図2に示すように、駆動機構22によって駆動されるアーム20aに検体を分注する分注ノズル20bが設けられている。アーム20aは、駆動機構22によって昇降駆動と回動駆動される支柱21に支持されている。分注ノズル20bは、液面検知部24と接続された液面検知電極23が取り付けられている。液面検知部24は、液面検知電極23が液面に触れて変化する電流により検体容器9aに保持された検体Sの液面を電気的に検知する。
【0025】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転するキュベットホイール4によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器5に試薬分注装置6が試薬容器2aから第一試薬を順次分注する。第一試薬が分注された反応容器5は、検体分注装置20によってラック9に保持された複数の検体容器9aから検体が順次分注される。検体が分注された反応容器5は、キュベットホイール4が停止する都度、第一攪拌装置13によって攪拌されて第一試薬と検体が反応する。第一試薬と検体が攪拌された反応容器5は、試薬分注装置7によって試薬容器3aから第二試薬が順次分注された後、キュベットホイール4の停止時に第二攪拌装置14によって攪拌され、更なる反応が促進される。ここで、分析対象の検体によっては、必ずしも第一試薬と第二試薬の両方を分注せず、いずれか一方の場合もある。
【0026】
次いで、キュベットホイール4が再び回転すると、キュベットホイール4は、反応容器5が光源11aに対して順次相対移動し、反応容器5が分析光学系11を通過する。これにより、受光部11cが制御部15に光信号を出力する。制御部15は、受光部11cから入力される波長ごとの光量信号をもとに各反応容器5内の液体試料の波長ごとの吸光度を求め、検体の成分濃度等を分析する。このとき、制御部15は、分析した検体の成分濃度等の分析結果を記憶し、分析結果を表示部17に表示する。このようにして、分析が終了した反応容器5は、洗浄機構12によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0027】
ここで、検体容器9aに採取した検体(血液)は、時間経過に伴って血球成分が沈降してゆく。検体容器9aに採取した検体Sの血球成分が沈降してゆく様子を図3に示す。検体Sは、血漿成分に対して血球成分の比重が大きいため、図3に示すように、採取時、血球成分が血漿中に均一に分布していても、時間経過に伴って血球成分が沈降し、検体Sの上層部は血球成分が薄く、検体Sの下層部は血球成分が濃くなってゆく。
【0028】
図4は、反応容器におけるこのような血球成分の沈降に起因した血球成分の基準濃度R1(上限値Lu,下限値Ll)の時間変化を示す模式図である。
【0029】
図4に示すように、血球成分と血漿成分とが均一に分布している血液採取直後の時刻をt0とした場合、時刻t0では、血球成分が血漿成分中に均一に分布して全体として基準濃度R1となっている。時刻t1では、血球成分の沈降が始まり、検体Sの上層部には、基準濃度R1より薄い濃度R0の領域が形成されると共に、下層部には基準濃度R1より濃い濃度R2の領域が形成される。時刻t2では、血球成分の沈降が進み、濃度R0の領域が下方へ広がると共に、濃度R2の領域が下層部から上方へ広がり、基準濃度R1の領域が縮小する。時刻t3では、濃度R0と濃度R2の領域が更に拡大し、基準濃度R1の領域が一層狭くなる。従って、検体Sは、経時的な沈降によって鉛直方向に血球成分の濃度勾配が生じても、所定の上限値Luと下限値Llとの範囲内に基準濃度R1があれば、沈降の影響なく分注することができる。
【0030】
このような血球成分の沈降と基準濃度との関係を前提として、自動分析装置1を使用し、被験者から採取した血液に含まれる血球成分のヘモグロビンA1c(HbA1c)を分析する際、制御部15が駆動機構22によってアーム20aの昇降動作を制御することにより、分注ノズル20bによる検体の鉛直方向における吸引位置を制御する本発明の分注方法を以下に説明する。図5は、制御部15の制御動作を示すフローチャートである。
【0031】
先ず、制御部15は、駆動機構制御部15bによって分注ノズル20bの先端を検体(血液)の液面から所定の深さに侵入させ、侵入深さについての初期設定を行う(ステップS101)。次に、制御部15は、検体分注装置20を駆動して検体を吸引した後、吸引した検体を反応容器5に吐出する仮分注をする(ステップS102)。仮分注された検体は、上述の手順を経て前処理液が分注されて血球成分が溶血され、分析光学系11によって測光される。
【0032】
次いで、制御部15は、分析光学系11からの入力をもとに濃度検出部15aによって溶血試料の濃度Rを測定する(ステップS103)。その後、制御部15は、測定した溶血試料の濃度Rが上限値Luと下限値Llとを有する基準濃度R1内にあるか否かを判断する(ステップS104)。濃度Rが基準濃度R1内にある場合(ステップS104,Yes)、制御部15は、検体分注装置20を駆動し、分注ノズル20bの先端を仮分注と同じ位置に保持して検体を本分注する(ステップS105)。
【0033】
一方、測定した溶血試料の濃度Rが基準濃度R1内にない場合(ステップS103,No)、制御部15は、濃度検出部15aによって濃度Rが基準濃度R1未満か否かを判断する(ステップS106)。測定した溶血試料の濃度Rが下限値Ll未満である場合(ステップ106,Yes)、制御部15は、駆動機構制御部15bによって駆動機構22の駆動を制御して分注ノズル20bを所定距離下降させる(ステップS107)。
【0034】
この場合、濃度Rが下限値Ll未満であるということは、検体の分注までに時間が掛かり、均一に分布している場合に比べて検体の吸引位置における血球成分が沈降してしまっている。このため、分注ノズル20bを下降させて、より濃度の高い下方へ移動させる。このとき、分注ノズル20bを下降させる所定距離は、予め記憶させておいた分注ノズル20bによる検体の鉛直方向における吸引位置と血球成分の濃度との標準的な関係から濃度検出部15aが決定する。
【0035】
一方、濃度Rが基準濃度R1未満でない場合(ステップS106,No)、血球成分の沈降によって検体の吸引位置における溶血試料の濃度Rが上限値Luを超えている。このため、制御部15は、駆動機構制御部15bによって駆動機構22の駆動を制御して分注ノズル20bを所定距離上昇させる(ステップS108)。このとき、分注ノズル20bを上昇させる所定距離も濃度検出部15aが決定する。
【0036】
その後、分注ノズル20bを下降又は上昇させた新たな吸引位置で検体の本分注を行う(ステップS105)。これによって、本発明の検体分注方法が終了する。この場合、新たな吸引位置は、標準的な血球成分の濃度と分注ノズル20bによる検体の吸引位置との関係に基づいて濃度検出部15aが設定する。
【0037】
以上のように、自動分析装置1は、本発明の検体分注方法を用いることにより、検体を保持したラック9が自動分析装置1にセットされた後、検体分注装置20によって反応容器5に分注されるまでの時間が異なっていても、血球成分の濃度勾配を考慮した基準濃度の検体を分注することができるので、血球成分の濃度を正確に測定することが可能になる。このため、自動分析装置1は、血球成分の測定精度が安定し、測定結果に対する信頼性を高めることができる。また、自動分析装置1は、血球成分の沈降が始まっていても、検体(血液)をオペレータが手作業で混和する必要がないので、多数の検体(血液)を連続的に分析することができる。
【0038】
なお、分注ノズル20bを昇降させる距離は、濃度検出部15aが決定するが、測定した溶血試料の濃度Rが基準濃度R1を大きく超えている場合は、昇降距離を長くし、濃度Rが基準濃度R1を僅かに超えている場合は、昇降距離を短くするようにしてもよい。
【0039】
また、分注ノズル20bを下降又は上昇させた新たな吸引位置で検体の本分注を行った場合の溶血試料の濃度Rが基準濃度R1を逸脱していた場合、制御部15は、再度、濃度検出部15aが決定する新たな吸引位置に分注ノズル20bを所定距離昇降させて検体の本分注を行い、溶血試料の濃度Rを改めて測定するようにしてもよい。
【0040】
更に、上述の実施の形態は、血球成分としてヘモグロビンA1cを測定する場合について説明したが、分注までの時間の相違に起因した沈降の影響を受ける血球成分の測定であれば、ヘモグロビンA1c以外の測定にも適用可能であり、例えば、赤血球(ヘモグロビンA1a,A1bを含む)、白血球或いは血小板の測定にも適用できる。
【0041】
一方、本発明の自動分析装置は、試薬分注装置を2つ備えた場合について説明したが、試薬分注装置は1つであってもよい。また、本発明の自動分析装置は、自動分析装置1を1ユニットとして複数のユニットが組み合わされて構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の自動分析装置の概略構成図である。
【図2】図1の自動分析装置で使用する検体分注装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】検体容器に採取された検体(血液)に含まれる血球成分の沈降する様子を示す模式図である。
【図4】検体(血液)に含まれる血球成分の沈降に起因した基準濃度の時間変化を示す模式図である。
【図5】この発明の実施の形態にかかる分注動作の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 自動分析装置
2,3 試薬テーブル
4 キュベットホイール
5 反応容器
6,7 試薬分注装置
8 検体容器移送機構
9 ラック
9a 検体容器
11 分析光学系
12 洗浄機構
13,14 攪拌装置
15 制御部
15a 濃度検出部
15b 駆動機構制御部
16 入力部
17 表示部
20 検体分注装置
21 支柱
22 駆動機構
23 液面検知電極
24 液面検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血球成分を含む検体を検体容器中から分注装置によって所定量分注し、試薬と反応させて分析する自動分析装置において、
前記血球成分の濃度を検出する濃度検出手段と、
前記濃度検出手段によって検出された前記血球成分の濃度をもとに、前記分注装置による分注の際の鉛直方向における前記検体の吸引位置を制御する位置制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記濃度検出手段は、前記検体容器から分注された所定量の検体における血球成分の濃度を検出することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記位置制御手段は、前記濃度検出手段が検出した前記血球成分の濃度が所定の濃度未満である場合には、前記分注装置による前記検体を吸引する鉛直方向の分注位置を下降させ、前記血球成分の濃度が所定の濃度を超えている場合には、前記分注位置を上昇させることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
血球成分を含む検体を検体容器中から所定量分注し、試薬と反応させて分析する自動分析装置の検体分注方法であって、
前記検体を所定量分注する分注工程と、
前記分注工程で分注した前記検体の血球成分の濃度を検出する濃度検出工程と、
前記濃度検出工程によって検出された前記血球成分の濃度をもとに、分注の際の前記検体の鉛直方向の吸引位置を制御する位置制御工程と、
を含むことを特徴とする自動分析装置の検体分注方法。
【請求項5】
前記濃度検出工程では、前記検体容器から分注された所定量の検体における血球成分の濃度を検出することを特徴とする請求項4に記載の自動分析装置の検体分注方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−316012(P2007−316012A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148361(P2006−148361)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】