説明

自動分析装置および交流モータ監視装置

【課題】機械的なセンサを用いることなく交流モータの動作状態の監視精度を向上すること。
【解決手段】自動分析装置は、ノズル洗浄のための純水をノズルに供給するポンプに含まれる交流モータと、交流モータに供給される交流の電圧と電流との少なくとも一方の検出を所定の検出周期で繰り返す検出部と、検出部による複数の検出結果の組み合わせに基づいて、交流モータの安定状態または不安定状態を検出周期で繰り返し判定する状態判定部と、状態判定部により不安定状態と判定されたとき警告を表示する表示部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿などのサンプルに含まれる成分の濃度や活性値などを、検査試薬の化学反応を利用して光学的または電気的に測定する自動分析装置と自動分析装置の交流モータを監視する交流モータ監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置において、分注ノズルおよび攪拌ノズルを洗浄するための純水をノズルに供給するポンプ(以下、純水供給ポンプと呼ぶ)には、動力源として交流モータが用いられることがある。交流モータを動力源としたポンプは、大流量が容易に実現できることやコストが安価なことを特徴とする。交流モータは、商用電源における電圧、電流、周波数などの変動によって回転数が変動する。交流モータの回転数の変動により、交流モータを動力源としたポンプから吐出される純水の流量は不安定となる。純水供給ポンプにおける流量の不安定性は、ノズルの洗浄結果に影響を与える。すなわち、洗浄不足により検体試料に関してコンタミネーションやキャリーオーバなどを引き起こす可能性がある。当該洗浄不足を未然に防ぐために、交流モータが安定して作動しているか否かを機械的(例えば回転数など)に監視するセンサが、交流モータを動力源としたポンプを有する自動分析装置の洗浄ユニットに設置されている。
【0003】
しかしながら、構造上当該機械的なセンサを設置できない洗浄ユニットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭57−182621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、機械的なセンサを用いることなく、交流モータの動作状態の監視精度を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ノズル洗浄のための純水をノズルに供給するポンプに含まれる交流モータと、前記交流モータに供給される交流の電圧と電流との少なくとも一方の検出を、所定の検出周期で繰り返す検出部と、前記検出部による複数の検出結果の組み合わせに基づいて、前記交流モータの安定状態または不安定状態を前記検出周期で繰り返し判定する状態判定部と、前記状態判定部により不安定状態と判定されたとき警告を表示する表示部と、を具備することを特徴とする自動分析装置である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、ノズル洗浄のための純水をノズルに供給するポンプに含まれる交流モータに供給される交流の電圧と電流との少なくとも一方の検出を、所定の検出周期で繰り返す検出部と、前記検出部による複数の検出結果の組み合わせに基づいて、前記交流モータの安定状態または不安定状態を前記検出周期で繰り返し判定する状態判定部と、前記状態判定部により不安定状態と判定されたとき警告を表示する警告表示部と、を具備することを特徴とする交流モータ監視装置である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、交流モータを有する自動分析装置において、前記交流モータに供給される交流の電圧と電流との少なくとも一方の検出を、所定の検出周期で繰り返す検出部と、前記検出部による複数の検出結果の組み合わせに基づいて、前記交流モータの安定状態または不安定状態を、前記検出周期で繰り返し判定する状態判定部と、前記状態判定部により不安定状態と判定されたとき警告を表示する表示部と、を具備することを特徴とする自動分析装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機械的なセンサを用いることなく、交流モータの動作状態の監視精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態における自動分析装置の構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、図1の検出部と状態判定部との詳細な構成の一例を示す図である。
【図3】図3は、図1の電流検出部の回路と電圧検出部の回路の一例を示す図である。
【図4】図4は、図1の自動分析装置の反応機構の外観を示す斜視図である。
【図5】図5は、第1の実施形態において、交流モータの動作状態を監視する手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、図4における電流検出部のフォトカプラの出力と、所定の電流範囲内に属するフォトカプラの出力に対応した比較器の出力との関係の一例を示した図である。
【図7】図7は、図4における電圧検出部のフォトカプラの出力と、所定の電圧範囲内に属するフォトカプラの出力に対応した比較器の出力との関係の一例を示した図である。
【図8】図8は、図1の電流検出部の出力と電圧検出部の出力とに対する交流状態判定処理部の出力を示す図である。
【図9】図9は、図1におけるモータ動作判定処理部の判定表の一例を示す図である。
【図10】図10は、図1のシステム制御部から供給されるクロックパルスに基づいて、モータ動作判定処理部の出力を、比較器の出力と交流状態判定処理部の出力とともに示す図である。
【図11】図11は、本発明の第2の実施形態における交流モータ監視装置の構成を示す図である。
【図12】図12は、図11の検出部と状態判定部との詳細な構成を示す図である。
【図13】図13は、第2の実施形態において、交流モータの動作状態を監視する手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、本発明の第3の実施形態における自動分析装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は本実施形態に係る自動分析装置のブロック構成図を示している。図1に示すよう
に、自動分析装置100は、反応機構30、分析部50、出力部60、操作部70、システム制御部80、検出部90、状態判定部110、インターフェース(以下I/Fと呼ぶ)700を備える。
【0012】
反応機構30は、測光部32と分注洗浄ポンプ34と反応機構制御部36とを有する。反応機構30は、血液や尿などの被検試料を検査項目ごとに試薬を用いて測定し、当該被検試料に関する測定データを発生する。
【0013】
測光部32は、被検試料と試薬の混合物(以下被検混合物と呼ぶ)に光を照射する。測光部32は、被検混合物を透過した光を吸光度に変換し、被検試料に関する吸光度のデータを発生する。測光部32は、発生した吸光度のデータをデータ記憶部52へ出力する。測光部32は、標準物質と試薬の混合物(以下標準混合物と呼ぶ)に光を照射する。標準物質とは、測定する物質と同じか共通の性質を有する物質または、試薬との反応に共通性のある物質のことである。測光部32は、標準混合物を透過した光を吸光度に変換し、標準物質に関する吸光度のデータを発生する。測光部32は、標準物質に関する吸光度のデータをデータ記憶部52へ出力する。
【0014】
分注洗浄ポンプ34は、交流モータ35を有する。交流モータ35は、交流電源1から供給される交流により回転する。分注洗浄ポンプ34は、試薬およびサンプルを分注する各種プローブのノズルを洗浄するための純水を、当該ノズルに供給する。分注洗浄ポンプ34は、後述するサンプル分注ポンプ、第1試薬分注ポンプ、第2試薬分注ポンプ、洗浄ポンプなどである。なお、交流モータ35は、分注洗浄ポンプ34の外部に配置されてもよい。
【0015】
反応機構制御部36は、操作部70を介してユーザにより入力された分析項目、分析手順等に関するシステム制御部80からの信号に基づいて、図4に示す反応機構30の各要素に対してシーケンスを組む。反応機構制御部36は、組まれたシーケンスに基づいて、図4に示す反応ディスク310、ディスクサンプラ330、第1試薬庫350、第2試薬庫370をそれぞれ所定のタイミングで所定の角度で回転させる。反応機構制御部36は、組まれたシーケンスに基づいて、図4に示すサンプルアーム336、第1試薬アーム356、第2試薬アーム376をそれぞれ回動および上下動させる。反応機構制御部36は、組まれたシーケンスに基づいて、図4に示す攪拌子324、洗浄部325の洗浄ノズルおよび乾燥ノズルをそれぞれ上下動させる。反応機構制御部36は、組まれたシーケンスに基づいて、サンプル分注ポンプ、第1試薬分注ポンプ、第2試薬分注ポンプ、洗浄ポンプ、乾燥ポンプをそれぞれ駆動する。反応機構制御部36は、組まれたシーケンスに基づいて、図4に示す攪拌子324を振動させる。
【0016】
分析部50は、試料分析部51とデータ記憶部52とを有する。試料分析部51は、データ記憶部52に記憶されたに関する吸光度のデータと分析項目とに基づいて、検量線のデータを発生する。発生された検量線のデータは、データ記憶部52に記憶されるとともに、出力部60へ出力される。試料分析部51は、当該検量線のデータとデータ記憶部52に記憶された被検試料に関する吸光度のデータとに基づいて、検査項目に対応する成分の濃度および活性値などに関する分析データを発生する。発生された分析データは、データ記憶部52に記憶されるとともに、出力部60へ出力される。
【0017】
データ記憶部52は、ハードディスク等の記憶媒体を有する。データ記憶部52は、反応機構30の測光部32により発生された吸光度のデータを記憶する。データ記憶部52は、試料分析部51により発生された検量線のデータを、標準物質ごとに記憶する。データ記憶部52は、試料分析部51により発生された分析データを、被検試料ごとに記憶する。
【0018】
出力部60は、印刷部61と表示部62を有する。出力部60は、分析部50で発生された検量線と分析データを、印刷または表示として出力する。印刷部61は、例えばプリンタ等の出力デバイスを用いて、分析部50で発生された検量線と分析データを、プリンタ用紙に所定のレイアウトで印刷する。表示部62は、例えばCRT(Cathode ray tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示デバイスを用いて、分析部50で発生された検量線と分析データを所定のレイアウトで表示する。また、表示部62は、各測定項目に関するサンプルの液量、第1試薬の液量、第2試薬の液量、測光ビームの波長等の分析条件を設定するための分析条件設定画面、被検試料に関して被検体IDや被検体名等を設定するための被検体情報設定画面、サンプルごとの測定項目を選択するための測定項目選択画面等を表示する。
【0019】
また表示部62は、後述するモータ動作状態判定処理部118の判定結果を表示する。具体的には、モータ動作状態判定処理部118により図1に示す交流モータ35の動作が不安定状態であると判定されたとき、表示部62は警告を表示する。不安定状態とは、交流モータ35の回転数が一定でなく、変動している状態をいう。警告は、例えば、赤色の表示、点滅などの表示態様により出力される。なお、図示していない音声出力部は、警告音を警告の表示とともに出力してもよい。加えて、モータ動作状態判定処理部118により交流モータ35の動作が安定状態であると判定されたとき、表示部62は安定状態を表示してもよい。安定状態とは、交流モータ35の回転数が一定である状態をいう。安定状態の表示は、例えば、青色の表示、点灯などの表示態様により出力される。
【0020】
操作部70は、キーボード、マウス、各種ボタン、タッチキーパネル等の入力デバイスを有する。操作部70は、入力デバイスを介してユーザにより入力された各測定項目の分析条件、被検試料ごとに測定する測定項目、被検試料に関する被検体IDや被検体名等を、操作信号としてシステム制御部80へ出力する。
【0021】
システム制御部80は、CPU(Central Processing Unit)と記憶回路とを有する。システム制御部80は、自動分析装置100における各部を統括して制御する。システム制御部80は、操作部70から供給される操作信号、被検試料ごとに測定する測定項目、各測定項目の分析条件、被検体情報等に基づいて、各部を制御する。システム制御部80は、図2に示す比較器97と比較器98とに、比較処理を実行するタイミング信号であるクロックパルスを、交流電源1から供給される交流の0°、180°に同期して出力する。システム制御部80は、交流状態判定処理部112とモータ動作状態判定処理部118とに、判定処理を実行するタイミング信号であるクロックパルスを、交流電源1から供給される交流の0°、180°に同期して出力する。以下、本実施形態において、比較処理を実行するタイミング信号であるクロックパルスと判定処理を実行するタイミング信号であるクロックパルスとは、同一である。なお、比較処理のためのクロックパルスと判定処理のためのクロックパルスとは、交流の0°、180°とは異なる同期でもよい。また、比較処理のためのクロックパルスと判定処理のためのクロックパルスは異なってもよい。また、比較処理のためのクロックパルスと判定処理のためのクロックパルスとが、交流電源1から供給される交流の0°、180°に同期することにより、当該交流の周波数の変動を検出することができる。
【0022】
また、システム制御部80は、後述するモータ動作状態判定処理部118の判定結果に基づいて、図1に示す反応機構制御部36を介して交流モータ35を停止する。なお、システム制御部80は、後述するモータ動作状態判定処理部118の判定結果に基づいて、反応機構30と分析部50との少なくとも一方における動作を停止させてもよい。
【0023】
図2は、図1の検出部90と状態判定部110との詳細な構成の一例を示す図である。
検出部90は、電流検出部92と、電圧検出部94と、アナログディジタル変換器(Analog-Digital Converter:以下ADCと呼ぶ)95と、ADC96と比較器97と、比較器98とを有する。なお、モータ動作判定精度は少し低下するものの、電流検出と電圧検出との一方でもよい。このとき、交流状態判定処理部112への出力は、電流検出と電圧検出とのいずれか一方の出力となる。検出部90は、交流電源1により図1に示す交流モータ35に供給される交流の電流と電圧とを検出する。なお、検出部90における電流検出部92と電圧検出部94とのかわりに、交流の電力を検出する検出器を用いてもよい。
【0024】
電流検出部92は、交流の電流を検出する。電圧検出部94は、上記交流の電圧を検出する。図3は、図1および図2における電流検出部92の回路と電圧検出部94の回路との一例を示す図である。電流検出部92と電圧検出部94とは、フォトカプラph1、フォトカプラph2それぞれにより、交流の電流、電圧を検出する。フォトカプラph1の出力は、ADC95に入力される。フォトカプラph2の出力は、ADC96に入力される。また、フォトカプラph1とフォトカプラph2とは、交流電源1とフォトカプラ以降の回路とを電気的に分離する目的で用いられる。なお、交流の電圧及び電流を検出する素子は、フォトカプラ以外の素子を用いてもよい。
【0025】
電流検出部92および電圧検出部94それぞれにおけるコンデンサーは、交流電源1から供給される交流の周波数の急激な変動を緩和させるために接続される。フォトカプラph1およびフォトカプラph2それぞれに対して直列に接続された抵抗は、フォトカプラph1およびフォトカプラph2それぞれにおけるダイオードに適した電圧値にするために接続される。フォトカプラph1およびフォトカプラph2それぞれに対して並列に接続された抵抗は、フォトカプラph1およびフォトカプラph2それぞれにおけるダイオードに適した電流値にするために接続される。
【0026】
ADC95は、電流検出部92のフォトカプラph1による出力をディジタル信号に、システム制御部80から供給されるクロックパルスに基づいた周期(以下検出周期と呼ぶ)で繰り返し変換する。
【0027】
比較器97は、ADC95の出力に対応する電流値を、予め設定された交流の電流範囲の上限値及び下限値に対して、当該検出周期で繰り返し比較する。ADC95の出力に対応する電流値が当該電流範囲外である場合、比較器97は、交流状態判定処理部112へコード「0」に対応する信号を、当該検出周期で繰り返し出力する。ADC95の出力に対応する電流値が当該電流範囲内である場合、比較器97は、交流状態判定処理部112へコード「1」に対応する信号を、当該検出周期で繰り返し出力する。なお、比較器97により出力されるコード「1」に対応する信号またはコード「0」に対応する信号は、それぞれ電流範囲内外に対応付けて説明したが、比較器97の出力と電流範囲内外との組み合わせは、上記説明以外の組み合わせでもよい。また、上記検出周期は、任意に設定可能である。
【0028】
ADC96は、電圧検出部94のフォトカプラph1による出力をディジタル信号に、上記検出周期で繰り返し変換する。比較器98は、ADC96の出力に対応する電圧値を、予め設定された交流の電圧範囲の上限値及び下限値に対して、上記検出周期で繰り返し比較する。ADC96の出力に対応する電圧値が当該電圧範囲外である場合、比較器98は、交流状態判定処理部112へコード「0」に対応する信号を、当該検出周期で繰り返し出力する。ADC95の出力に対応する電圧値が当該電圧範囲内である場合、比較器98は、交流状態判定処理部112へコード「1」に対応する信号を、当該検出周期で繰り返し出力する。なお、比較器98により出力されるコード「1」に対応する信号またはコード「0」に対応する信号は、それぞれ電圧範囲内外に対応付けて説明したが、比較器98の出力と電圧範囲内外との組み合わせは、上記説明以外の組み合わせでもよい。また、検出部90における電流および電圧を検出する機能については、以下の交流モータ監視機能で詳述する。
【0029】
状態判定部110は、交流状態判定処理部112とモータ動作状態判定処理部118と図2に示すメモリ114とメモリ制御部116とを有する。交流状態判定処理部112は、比較器97の出力と比較器98の出力とに基づいて、図1に示す交流モータ35に供給される交流の状態を、上記検出周期で繰り返し判定する。交流の状態を判定する機能については、以下の交流モータ監視機能で詳述する。
【0030】
メモリ114は、交流状態判定処理部112から出力される交流状態の判定結果(以下交流状態判定結果と呼ぶ)を記憶する。なお、メモリ114のかわりに、判定結果を一時的に記憶するレジスタを用いてもよい。
【0031】
メモリ制御部116は、システム制御部80からの出力に基づいて、複数の交流状態判定結果を記憶するメモリ114を制御する。例えば、モータ動作状態判定処理部118で用いられる交流状態判定結果の数が5個である場合、メモリ制御部116は、最新の交流状態判定結果からカウントして5個の交流状態判定結果を、モータ動作状態処理部118へ上記検出周期で出力するようにメモリ114を制御する。
【0032】
モータ動作状態判定処理部118は、メモリ114から出力された最新のn個の交流状態判定結果に基づいて、図1に示す交流モータ35の動作状態を上記検出周期で繰り返し判定する。交流モータ35の動作状態を判定する機能については、以下の交流モータ監視機能で詳述する。交流モータ35の動作状態に関する判定結果(以下、動作状態判定結果と呼ぶ)は、表示部62とシステム制御部80とへ出力される。なお、動作判定結果を出力する周期と検出周期とは、等しいものとして上記で説明したが、異なっていてもよい。
【0033】
I/F700には、例えばネットワークが接続される。ネットワークを介して自動分析装置100は、PACS(Picture archiving and Communication System:医用画像保管通信システム)等に接続されてもよい。
【0034】
図4は、反応機構30の外観を示す斜視図である。図4に示すように反応機構30は、
反応ディスク310、ディスクサンプラ330、第1試薬庫350、第2試薬庫370、サンプルプローブ334、サンプルアーム336、第1試薬プローブ354、第1試薬アーム356、第2試薬プローブ374、第2試薬アーム376、攪拌部320、洗浄部325、測光部32を有する。
【0035】
反応ディスク310は、円周上に複数配置された反応容器312を回転可能に保持する。反応容器312は、反応ディスク310内の恒温槽に収容されている。反応ディスク310は、分析サイクルごとに所定の角度で回転した後、停止する。これにより、反応容器312は、所定の角度だけ回転される。
【0036】
ディスクサンプラ330は、サンプル容器332を回動可能に保持する。サンプル容器332は、標準物質や被検試料などのサンプルを収容する。
【0037】
第1試薬庫350は、複数の第1試薬容器352を有する。第2試薬庫370は、複数の第2試薬容器372を有する。第1試薬容器352および第2試薬容器372には、各検査項目の成分と反応する試薬が納められている。
【0038】
サンプルプローブ334は、サンプルアーム336の先端に取り付けられている。サンプルアーム336は、サンプルプローブ334を回動可能に支持する。サンプルプローブ334は、サンプル分注ポンプにより、ディスクサンプラ330上におけるサンプルを吸引する位置にあるサンプル容器332から、サンプルを吸引する。サンプルプローブ334は、吸引したサンプルを、反応ディスク310上のサンプルが吐出される位置にある反応容器312に吐出する。
【0039】
第1試薬プローブ354は、第1試薬アーム356の先端に取り付けられている。第1試薬アーム356は、第1試薬プローブ354を回動可能および上下動可能に支持する。第1試薬プローブ354は、第1試薬分注ポンプにより、第1試薬庫350上における第1試薬を吸引する位置にある第1試薬容器352から、第1試薬を吸引する。第1試薬プローブ354は、吸引した第1試薬を、反応ディスク310上の第1試薬が吐出される位置にある反応容器312に吐出する。
【0040】
第2試薬プローブ374は、第2試薬アーム376の先端に取り付けられている。第2試薬アーム376は、第2試薬プローブ374を回動可能および上下動可能に支持する。第2試薬プローブ374は、第2試薬分注ポンプにより、第2試薬庫370上における第2試薬を吸引する位置にある第2試薬容器372から、第2試薬を吸引する。第2試薬プローブ374は、吸引した第2試薬を、反応ディスク310上の第2試薬が吐出される位置にある反応容器312に吐出する。
【0041】
攪拌部320は、攪拌アーム322と攪拌子324とを有する。攪拌子324は、攪拌アーム322の先端に取り付けられている。攪拌アーム322は、攪拌子324を回動可能および上下動可能に支持する。攪拌アーム322は、反応ディスク310上における反応容器312内の被検混合物を攪拌する位置に停止した反応容器312内に、攪拌子324を待機位置から下降させて挿入する。攪拌子324の先端が反応容器312の内底面の近傍まで下降すると、攪拌アーム322は、攪拌子324の下降を停止させる。攪拌子324の停止後、攪拌子324は、反応機構制御部36の制御により振動する。攪拌子324が振動することにより、反応容器312内の混合液(サンプルと第1試薬、サンプルと第2試薬、サンプルと第1試薬と第2試薬)は、攪拌される。攪拌後、攪拌アーム322は、攪拌子324を待機位置まで上昇させる。
【0042】
測光部32は、反応ディスク310により回転させられている反応容器312に光を照射する。測光部32は、反応容器312内の混合液を透過した光を吸光度に変換することにより、吸光度のデータを発生する。測光部32は、発生された吸光度のデータをデータ記憶部52に出力する。
【0043】
洗浄部325は、支持機構と洗浄ノズルと乾燥ノズルとを有する。支持機構は、洗浄ノズルと乾燥ノズルとを、それぞれ上下移動可能に支持する。洗浄ノズルは、洗浄ポンプにより、反応ディスク310上における反応容器312を洗浄する位置にある反応容器312から、混合液を吸引する。混合液を吸引後、洗浄ノズルは純水を吐出して、反応容器312内を洗浄する。乾燥ノズルは、乾燥ポンプにより、反応ディスク310上における反応容器312を乾燥する位置にある反応容器312内を乾燥させる。
【0044】
(交流モータ監視機能)
交流モータ監視機能とは、自動分析装置100における分注洗浄ポンプ34に使用される交流モータ35の動作状態を監視する機能である。以下、交流モータ監視機能に従う処理(以下交流モータ監視処理と呼ぶ)を説明する。
【0045】
図5は、交流モータ監視処理の手順を示すフローチャートである。
被検試料に対する自動分析に先立って、ユーザにより操作部70の入力デバイスを介して入力された各測定項目の分析条件の設定、被検試料ごとに測定する測定項目の決定、被検試料に関する被検体IDや被検体名等は、システム制御部80へ出力される。これら分析条件、測定項目、被検体IDや被検体名等は、図示していない内部記憶装置に記憶される。これらの入力/設定が終了したならば、被検試料に対する自動分析が開始される。自動分析が開始されると、交流電源1から交流モータ35へ交流が供給される。交流モ−タ35へ交流が供給されると、当該交流の電流と当該交流の電圧とが、上記検出周期で繰り返し検出される(ステップSa1)。
【0046】
図6は、フォトカプラph1の出力と、所定の電流範囲内に属するフォトカプラの出力に対応した比較器97の出力との関係の一例を示した図である。電流値A1から電流値A2までの範囲R1が、予め設定された交流の電流範囲である。比較器97へ入力されたディジタル信号は、比較器97に予め設定された電流範囲R1と、上記検出周期で繰り返し比較される。検出された電流値が当該電流範囲内であるとき、比較器97はコード「1」に対応する信号を交流状態判定処理部112へ出力する。検出された電流値が当該電流範囲外であるとき、比較器97はコード「0」に対応する信号を交流状態判定処理部112へ出力する。図6においてコード「1」に対応する信号は、0アンペア近傍の電流値を表している。図6においてコード「0」に対応する信号は、0アンペア近傍を除いた電流値を表している。なお、比較器97に設定される電流範囲は、R1以外の電流範囲でもよい。また、電流範囲は、閾値(ある電流値以上またはある電流値以下)処理として設定することも可能である。さらに、比較器97は、検出された電流値が電流範囲内であるときコード「0」に対応する信号を交流状態判定処理部112へ出力し、検出された電流値が電流範囲外であるときコード「1」に対応する信号を交流状態判定処理部112へ出力してもよい。
【0047】
図7は、フォトカプラph2の出力と、所定の電圧範囲内に属するフォトカプラの出力に対応した比較器98の出力との関係の一例を示した図である。電圧値V1から電圧値V2までの範囲R2が、予め設定された交流の電圧範囲である。比較器98へ入力されたディジタル信号は、比較器98に予め設定された電圧範囲R2と、上記検出周期で繰り返し比較される。検出された電圧値が当該電圧範囲内であるとき、比較器98はコード「1」に対応する信号を交流状態判定処理部112へ出力する。検出された電圧値が当該電圧範囲外であるとき、比較器98はコード「0」に対応する信号を交流状態判定処理部112へ出力する。図7においてコード「1」に対応する信号は、0ボルト近傍の電圧値を表している。図7においてコード「0」に対応する信号は、0ボルト近傍を除いた電圧値を表している。なお、比較器98に設定される電圧範囲は、R2以外の範囲でもよい。また、電圧範囲は、閾値(ある電圧値以上またはある電圧値以下)処理として設定することも可能である。さらに、比較器98は、検出された電圧値が電圧範囲内であるときコード「0」に対応する信号を交流状態判定処理部112へ出力し、検出された電圧値が電流範囲外であるときコード「1」に対応する信号を交流状態判定処理部112へ出力してもよい。
【0048】
続いて、交流状態判定処理部112により、電圧状態と電流状態との両方に基づいて、つまり比較器97の出力と比較器98の出力とに基づいて、交流の状態が、上記検出周期で繰り返し判定される(ステップSa2)。
【0049】
交流モータ35へ供給される交流の状態を判定するために、例えば論理回路が用いられる。以下、交流状態判定処理部112について、論理和に対応する論理回路を例として説明する。
【0050】
図8は、論理回路による交流状態の判定を説明するための真理値表である。図8におけるPは比較器97の出力に関するコード「1」またはコード「0」を、Qは比較器98の出力に関するコード「1」またはコード「0」を示している。Pのコードの値とQのコードの値とに基づいて、交流状態判定処理部112の出力が、論理和(以下P+Qと呼ぶ)として出力される。以下、説明の便宜上、P+Qがコード「1」の場合はH(High)レベル、P+Qがコード「0」の場合はL(Low)レベルと設定する。Hレベルは、0アンペア近傍の電流値もしくは0ボルト近傍の電圧値を有する交流の状態を表している。Lレベルは、0アンペア近傍を除いた電流値、かつ、0ボルト近傍を除いた電圧値を有する交流の状態を表している。図8の真理値表によれば、例えば、P、Qがともにコード「0」のとき、P+Qはコード「0」である。従って交流状態判定処理部112の出力は、Lレベルとなる。P、Qが順不同でコード「0」とコード「1」とであるとき、P+Qはコード「1」である。従って、交流状態判定処理部112の出力は、Hレベルとなる。P、Qがともにコード「1」のとき、P+Qはコード「1」である。従って、交流状態判定処理部112の出力は、Hレベルとなる。なお、交流状態判定処理部112は、一例として論理和に対応する論理回路を用いて説明されたが、交流状態判定処理部112は論理和に対応する論理回路に限定されない。すなわち、交流の状態を判定するために論理和以外の論理回路(例えば論理積)や論理回路以外の回路および参照表(LUT:Look Up Table)などを用いてもよい。
【0051】
ステップSa2の後、交流状態判定結果(HレベルもしくはLレベル)は順次図2のメモリ114へ記憶される。交流モータ35の動作状態は、連続する複数の交流状態判定結果により判定される。ここでは5個の交流状態判定結果を用いる。5個の交流状態判定結果に対応する5個の検出周期は、交流の1/4周期の2.5倍に対応する。
【0052】
メモリ制御部116により、5個の交流状態判定結果が、モータ動作状態判定処理部118へ出力される。モータ動作状態判定処理部118へ出力された5個の交流状態判定結果に基づいて、交流モータ35の動作状態が上記検出周期で判定される(ステップSa3)。複数(ステップSa3では5個)の交流状態判定結果に基づいて、交流モータ35の動作を判定することにより、交流の状態とモータの回転状態とのずれを抑えることができる。
【0053】
図9は、図1におけるモータ動作状態判定処理部118について、交流モータ35の動作の安定状態または不安定状態を判定するため表の一例を示す図である。図9において、交流状態判定結果の数は5個であるので、交流状態判定処理部112からの出力は、Hレベルに関して0回から5回までのいずれかである。Lレベルについても同様に、0回から5回までのいずれかである。ただし、交流状態判定処理部112からの出力はHレベルとLレベルとのいずれか一方であるので、Hレベルの回数+Lレベルの回数=5個となる制限がある。動作状態判定結果において、Hレベルの個数が多いほど、0アンペア近傍の電流値もしくは0ボルト近傍の電圧値を有する交流の状態が多いことを表している。従って、動作判定結果におけるHレベルの回数が多いほど、交流モータ35の動作は不安定性となる。一例として、Hレベルが4回以上の場合、モータ動作状態判定処理部118は、交流モータ35の動作が不安定(図9におけるFであり、以下Fと呼ぶ)であると判定する。このとき、モータ動作状態判定処理部118は、Fに対応する信号を、表示部62とシステム制御部80とへ出力する。Hレベルが3回以下の場合、モータ動作状態判定処理部118は、交流モータ35の動作が安定(図9におけるTであり、以下Tと呼ぶ)であると判定する。このとき、ステップSa1からステップSa3までの処理が繰り返される(ステップSa4)。なお、図9における交流モータ35の動作状態の判定は多数決であるが、多数決以外の判定でもよい。例えば、複数の交流状態判定結果に対して平均値を計算することにより、交流モータ35の動作の安定性を判定してもよい。
【0054】
以下、上記Hレベルが4回以上の場合、交流モータ35の動作が不安定であると判定されることについて、図10を参照にして説明する。
【0055】
図10は、図1のシステム制御部80から供給されるクロックパルスに基づいて、モータ動作状態判定処理部118の出力を、電流状態を表す比較器97の出力に関するコードと電圧状態を表す比較器98の出力に関するコードと交流状態判定処理部112の出力(HレベルもしくLレベル)とともに示す図である。交流モータ正常作動期間とは、交流電源1から交流モータ35に供給される交流の電圧および電流が安定していることにより、交流モータ35が正常に作動している期間である。このとき、交流電源1から交流モータ35に供給される交流の電流は例えば図6であり、交流電源1から交流モータ35に供給される交流の電圧は例えば図7である。図9において、正常な交流の電流と電圧とによる交流状態判定処理部112の出力に関して、交流の1/4周期当り1回のHレベルが現れる。また、図9より、安定した交流の1/4周期の2.5倍は、5個の検出周期に対応している。これらのことから、5個の検出周期に属する5個の交流状態判定結果についてHレベルが3回以下であるとき、交流電源1より供給される交流は安定であると判定される。一方、5個の検出周期に属する5個の交流状態判定結果について、Hレベルが4回以上であるとき、交流電源1より供給される交流は不安定であると判定される。従って、Hレベルが4回以上であるならば、交流モータ35の動作は不安定であると判定される。
【0056】
図10におけるI1からI13までは、交流状態判定処理部112により上記検出周期で繰り返し出力されるHレベルもしくはLレベルを示している。データ1からデータ8までは、モータ動作状態判定処理部118により検出周期で繰り返し出力されるTまたはFに対応するデータを示している。
【0057】
以下、説明を簡便にするため、モータ動作状態判定処理部118に用いられる交流状態判定結果の数は5個であるとする。データ1は、メモリ114から出力されたI1からI5までの交流状態判定結果に基づいて、図9に示した多数決により、Tに対応するデータとなる。データ2は、メモリ114から出力されたI2からI6までの交流状態判定結果に基づいて、図9に示した多数決により、Tに対応するデ−タとなる。データ3からデータ8についても同様にして、図9に示した多数決により、Tに対応するデ−タが上記検出周期で発生される。
【0058】
なお、例えば、交流モータ35が断線などで故障すると電流が流れないため、図6における交流波形はほぼ0近傍の電流値となる。従って、図8におけるPは、交流モータ35が故障している期間にわたってコード「1」となる。交流状態判定結果P+Qは、交流モータ35が故障している期間にわたってコード「1」すなわちHレベルとなる。図9における動作状態判定結果は、Highレベル5回、Lowレベル0回のFに対応する。従って、交流モータ35の動作は不安定であると判定される。
【0059】
モータ動作状態判定処理部118により交流モータ35の動作が不安定と判定されたとき、表示部62は警告を表示する(ステップSa5)。なお、システム制御部80は、モータ動作状態判定処理部118により交流モータ35の動作が不安定と判定されたとき、反応機構制御部36を介して交流モータ35の停止や、反応機構30および分析部50における動作の停止を実行してもよい。
【0060】
ステップSa5の後、自動分析が終了するまで、ステップSa1からステップSa5までの処理が繰り返される(ステップSa6)。
【0061】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本自動分析装置によれば、交流電源から交流モータに供給される交流の電流と交流の電圧との少なくとも一方を検出することにより、交流モータに対して機械的なセンサを用いることなく、交流モータの動作の不安定性を監視できる。さらに、交流モータの動作状態を監視するとき、複数回の判定処理を行うため、監視精度を向上させることができる。また、交流モータの動作の不安定性が検出された場合や交流モータが故障した場合、ユーザに警告することや本自動分析装置の停止が可能となる。これらのことから、交流モータを動力源とした純水供給ポンプを有する本自動分析装置は、洗浄不足により検体試料に関するコンタミネーションやキャリーオーバなどを未然に防ぐことができる。
【0062】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。
図11は、本実施形態に係る交流モータ監視装置のブロック構成図を示している。図11における交流モータ監視装置3は、I/F700を介して自動分析装置200に接続される。以下、第2の実施形態と第1の実施形態との構成要素において、異なる構成要素について説明する。
【0063】
交流モータ監視装置3は、検出部90と状態判定部110と判定処理制御部120と警告表示部620とを有する。
【0064】
図12は、図11の検出部90と状態判定部110とに関して、詳細な構成の一例を示す図である。
【0065】
判定処理制御部120は、図12に示す比較器97と比較器98とに、比較処理を実行するタイミング信号であるクロックパルスを、交流電源1から供給される交流の0°、180°に同期させて出力する。判定処理制御部120は、交流状態判定処理部112とモータ動作状態判定処理部118とに、判定処理を実行するタイミング信号であるクロックを、交流電源1から供給される交流の0°、180°に同期させて出力する。以下、本実施形態において、比較処理を実行するタイミング信号であるクロックパルスと判定処理を実行するタイミング信号であるクロックパルスとは同一である。なお、比較処理のためのクロックパルスと判定処理のためのクロックパルスとは、交流の0°、180°とは異なる同期でもよい。また、比較処理のためのクロックパルスと判定処理のためのクロックパルスは異なってもよい。また、比較処理のためのクロックパルスと判定処理のためのクロックパルスとが、交流電源1から供給される交流の0°、180°に同期することにより、当該交流の周波数の変動を検出することができる。
【0066】
検出部90は、電流検出部92、電圧検出部94、ADC95、ADC96、比較器97、比較器98を有する。なお、モータ動作判定精度は少し低下するものの、電流検出と電圧検出との一方でもよい。このとき、交流状態判定処理部112への出力は、電流検出と電圧検出とのいずれか一方の出力となる。なお、検出部90における電流検出部92と電圧検出部94とのかわりに、交流の電力を検出する検出器を用いてもよい。
【0067】
比較器97は、ADC95の出力に対応する電流値を、予め設定された交流の電流範囲の上限値及び下限値に対して、判定処理制御部120から供給されるクロックパルスに基づいた周期(以下、第1の実施形態と同様に検出周期と呼ぶ)で繰り返し比較する。比較器98は、ADC96の出力に対応する電圧値を、予め設定された交流の電圧範囲の上限値及び下限値に対して、検出周期で繰り返し比較する。
【0068】
状態判定部110は、交流状態判定処理部112とモータ動作状態判定処理部118とメモリ114とメモリ制御部116とを有する。交流状態判定処理部112は、比較器97の出力と比較器98の出力とに基づいて、図12に示す交流モータ35に供給される交流の状態を、上記検出周期で繰り返し判定する。
【0069】
メモリ制御部116は、判定処理制御部120からの出力に基づいて、複数の交流状態判定結果を記憶するメモリ114を制御する。例えば、モータ動作状態処理部118で用いられる交流状態判定結果の数が5個である場合、メモリ制御部116は、最新の交流状態判定結果からカウントして5個の交流状態判定結果を、モータ動作状態処理部118へ出力するようにメモリ114を制御する。
【0070】
モータ動作状態判定処理部118は、メモリ114から出力された最新のn個の交流状態判定結果に基づいて、図12に示す交流モータ35の動作状態を上記検出周期で繰り返し判定する。交流モータ35の動作を判定する機能については、第1の実施形態と同様である。交流モータ35の動作の判定結果(以下、第1の実施形態同様に動作状態判定結果と呼ぶ)は、警告表示部620と自動分析装置200のI/F700を介してシステム制御部80とへ出力される。
【0071】
警告表示部620は、モータ動作状態判定処理部118の判定結果を表示する。具体的には、モータ動作状態判定処理部118により図12に示す交流モータ35の動作が不安定状態であると判定されたとき、警告表示部620は、警告を表示する。警告は、例えば、赤色の表示、点滅などの表示態様により出力される。なお、図示していない音声出力部は、警告音を警告表示とともに出力してもよい。加えて、モータ動作状態判定処理部118により交流モータ35の動作が安定状態であると判定されたとき、表示部62は安定状態を表示してもよい。安定状態の表示は、例えば、青色の表示、点灯などの表示態様により出力される。
【0072】
(交流モータ監視機能)
交流モータ監視機能とは、自動分析装置200における分注洗浄ポンプ34に含まれる交流モータ35の動作状態を監視する機能である。以下、交流モータ監視機能に従う処理(以下、第1の実施形態と同様に交流モータ監視処理と呼ぶ)を説明する。
【0073】
図13は、交流モータ監視処理の手順を示すフローチャートである。
交流モ−タ35へ交流が供給されると、当該交流の電流と当該交流の電圧とが、判定処理制御部120より出力される所定のクロックパルスに基づいた上記検出周期で繰り返し検出される(ステップSb1)。
【0074】
続いて、交流状態判定処理部112により、電圧状態と電流状態との両方に基づいて、つまり比較器97の出力と比較器98の出力とに基づいて、交流の状態が、上記検出周期で繰り返し判定される(ステップSa2)。ステップSa2の後、上記検出周期で繰り返し交流の状態が判定されると、交流状態判定結果が図12のメモリ114へ記憶される。交流モータ35の動作状態は、連続するn個の交流状態判定結果により判定される。ここでは、5個の交流状態判定結果を用いる。5個の交流状態判定結果は、交流の1/4周期の2.5倍に対応する。
【0075】
メモリ制御部116により、最新の5個の交流状態判定結果が、モータ動作状態判定処理部118へ出力される。モータ動作状態判定処理部118へ出力された5個の交流状態判定結果に基づいて、交流モータ35の動作状態が上記検出周期で判定される(ステップSa3)。複数(ステップSa3では5個)の交流状態判定結果に基づいて、交流モータ35の動作を判定することにより、交流の状態とモータの回転状態とのずれを抑えることができる。
【0076】
一例として、モータ動作状態判定処理部118は、Hレベルが4回以上の場合、交流モータ35の動作が不安定であると判定する。このとき、モータ動作状態判定処理部118は、動作不安定に対応する信号を、警告表示部620と自動分析装置200のシステム制御部80とへ出力する。Hレベルが3回以下の場合、モータ動作状態判定処理部118は、交流モータ35の動作が安定であると判定する。このとき、ステップSa1からステップSa3までの処理が繰り返される(ステップSa4)。
【0077】
モータ動作状態判定処理部118により交流モータ35の動作が不安定と判定されたとき、警告表示部620は、警告を表示する(ステップSb5)。なお、システム制御部80は、反応機構制御部36を介して交流モータ35の停止や、反応機構30および分析部50における動作の停止を実行してもよい。
【0078】
ステップSb5の後、自動分析が終了するまで、ステップSb1からステップSb5までの処理が繰り返される(ステップSa6)。
【0079】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本交流モータ監視装置によれば、交流電源から自動分析装置の交流モータに供給される交流の電流と交流の電圧との少なくとも一方を検出することにより、自動分析装置の交流モータに対して機械的なセンサを用いることなく、交流モータの動作の不安定性を監視できる。さらに、交流モータの動作状態を監視するとき、複数回の判定処理を行うため、監視精度を向上させることができる。また、交流モータの動作の不安定性が検出された場合や交流モータが故障した場合、ユーザに警告することや自動分析装置の停止が可能となる。これらのことから、本交流モータ監視装置を接続し、交流モータを動力源とした純水供給ポンプを有する自動分析装置は、洗浄不足により検体試料に関するコンタミネーションやキャリーオーバなどを未然に防ぐことができる。
【0080】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。
図14は、本実施形態に係る自動分析装置のブロック構成図を示している。本実施形態と第1の実施形態との相違点を以下で説明する。
【0081】
図1において、第1の実施形態における監視対象の交流モータ35は、分注洗浄ポンプ34に含まれている。一方、図14の第3の実施形態における監視対象の交流モータ35は、反応機構30に含まれる任意の交流モータ35である。
【0082】
(交流モータ監視機能)
交流モータ監視機能とは、自動分析装置300における交流モータ35の動作状態を監視する機能である。交流モータ監視機能に従う処理は、第1の実施形態と同様である。当該処理の手順を示すフローチャートは、図5に従う。
【0083】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本自動分析装置によれば、交流電源から交流モータに供給される交流の電流と交流の電圧との少なくとも一方を検出することにより、自動分析装置の交流モータに対して機械的なセンサを用いることなく、交流モータの動作の不安定性を監視できる。さらに、交流モータの動作状態を監視するとき、複数回の判定処理を行うため、監視精度を向上させることができる。また、交流モータの動作の不安定性が検出された場合や交流モータが故障した場合、ユーザに警告することや自動分析装置の停止が可能となる。これらのことから、交流モータを有する本自動分析装置は、例えば洗浄不足により検体試料に関するコンタミネーションやキャリーオーバなどを未然に防ぐことができる。
【0084】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…交流電源、3…交流モータ監視装置、30…反応機構、32…測光部、34…分注洗浄ポンプ、35…交流モータ、36…反応機構制御部、50…分析部、51…試料分析部、52…データ記憶部、60…出力部、61…印刷部、62…表示部、70…操作部、80…システム制御部、90…検出部、92…電流検出部、94…電圧検出部、95…ADC、96…ADC、97…比較器、98…比較器、100…自動分析装置、110…状態判定部、112…交流状態判定処理部、114…、メモリ、116…メモリ制御部、118…モータ動作状態判定処理部、120…判定処理制御部、200…自動分析装置、300…自動分析装置、310…反応ディスク、312…反応容器、320…攪拌部、322…攪拌アーム、324…攪拌子、325…洗浄部、330…ディスクサンプラ、332…サンプル容器、334…サンプルプローブ、336…サンプルアーム、350…第1試薬庫、352…第1試薬容器、354…第1試薬プローブ、356…第1試薬アーム、370…第2試薬庫、372…第2試薬容器、374…第2試薬プローブ、376…第2試薬アーム、620…警告表示部、700…I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル洗浄のための純水をノズルに供給するポンプに含まれる交流モータと、
前記交流モータに供給される交流の電圧と電流との少なくとも一方の検出を、所定の検出周期で繰り返す検出部と、
前記検出部による複数の検出結果の組み合わせに基づいて、前記交流モータの安定状態または不安定状態を前記検出周期で繰り返し判定する状態判定部と、
前記状態判定部により不安定状態と判定されたとき警告を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記状態判定部は、前記検出部による複数の検出結果に基づいて、多数決により前記交流モータの安定状態または不安定状態を前記検出周期で繰り返し判定すること、
を特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
ノズル洗浄のための純水をノズルに供給するポンプに含まれる交流モータに供給される交流の電圧と電流との少なくとも一方の検出を、所定の検出周期で繰り返す検出部と、
前記検出部による複数の検出結果の組み合わせに基づいて、前記交流モータの安定状態または不安定状態を前記検出周期で繰り返し判定する状態判定部と、
前記状態判定部により不安定状態と判定されたとき警告を表示する警告表示部と、
を具備することを特徴とする交流モータ監視装置。
【請求項4】
交流モータを有する自動分析装置において、
前記交流モータに供給される交流の電圧と電流との少なくとも一方の検出を、所定の検出周期で繰り返す検出部と、
前記検出部による複数の検出結果の組み合わせに基づいて、前記交流モータの安定状態または不安定状態を、前記検出周期で繰り返し判定する状態判定部と、
前記状態判定部により不安定状態と判定されたとき警告を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−215012(P2011−215012A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83790(P2010−83790)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】