説明

自動分析装置および分注手段の洗浄方法

【課題】分析サイクル時間を延長することなく、検体または試薬のキャリーオーバーを効果的に防止しうる自動分析装置および分注装置の洗浄方法を提供する。
【解決手段】検体と試薬との反応物を光学的に分析する自動分析装置1であって、分注プローブ50と接続される配管内に充填される押し出し水を介して、シリンジポンプにより吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、分注プローブ50により検体を分注する検体分注装置5と、分注する検体の検体情報を取得する読取部23と、読取部23が取得した検体情報に基づき、前記検体が強化洗浄を要する指定検体であるか否かを判定する判定部108aと、判定部108aにより指定検体であると判定された場合、該検体の最終分析項目の分注終了後の分注プローブ50の洗浄において、配管内圧力を増加させるよう制御する洗浄制御部108bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置および前記自動分析装置が備える分注手段の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿などの検体を分析する自動分析装置において、先に分注した検体または試薬の持越しによるキャリーオーバーを防止するために、洗剤洗浄が必要な分析項目と必要のない項目とに分類し、洗剤洗浄が必要な場合は、検体または試薬分注後の分注プローブにより試薬庫内に収納する洗剤を吸引後、洗浄槽に吐出して、該分注プローブの洗浄を行なう自動分析装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
同様に、検体のキャリーオーバーを防止するものとして、検体分注機構内に洗剤注入ポンプを備え、検体分注後、該洗剤注入ポンプにより洗剤を分注プローブから吐出させて、該分注プローブの内壁を洗浄し、さらに洗浄槽に該洗剤注入ポンプにより洗剤を吐出させ、該洗剤が吐出された洗浄槽内に前記分注プローブを浸漬して外壁洗浄を行なう自動分析装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−207944号公報
【特許文献2】特開2002−62303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、洗剤を吸引して洗浄するという工程が加わるため、分析サイクルに要する時間が長くなり、処理速度が低下するため好ましくない。また、洗浄に洗剤を要するため、ユーザーコストが上昇するとともに、洗剤のセットまたは補充に手間がかかるという問題を有する。
【0006】
また、特許文献2に記載のものでは、検体分注機構の配管内を洗剤が送液されるため、該洗剤のリンスに時間がかかり、特許文献1と同様に分析サイクルに要する時間が増加し、処理速度が低下する。また、洗浄に洗剤を要するため、ユーザーコストが上昇するとともに、洗剤のセットまたは補充に手間がかかるという問題を有していた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、分析サイクル時間を延長することなく、検体または試薬のキャリーオーバーを効果的に防止しうる自動分析装置および分注装置の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、検体と試薬との反応物を光学的に分析する自動分析装置であって、細管状の分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、シリンジポンプにより吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブの一端部で検体の吸引または吐出を行なう検体分注手段と、分注する検体の検体情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した検体情報に基づき、前記検体が分注後の前記分注プローブに対して通常の洗浄より強化した強化洗浄を行なう必要がある指定検体であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により指定検体であると判定された場合、該検体の最終分析項目の分注終了後の前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させるよう制御する制御手段と、を備える。
【0009】
また、本発明の自動分析装置は、検体と試薬との反応物を光学的に分析する自動分析装置であって、細管状の分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、シリンジポンプにより吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブの一端部により試薬の吸引または吐出を行なう試薬分注手段と、分注する検体の検体情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した検体情報に基づき、受け付けられた分析項目に使用する試薬の分注の順序の中に、試薬コンタミネーションとなる指定試薬の組み合わせがあるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により指定試薬の組み合わせがあると判定された場合、前記指定試薬の組み合わせの先の試薬分注終了後の前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させるよう制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記取得手段は、分注する検体および次検体の検体情報を取得し、前記判定手段は、前記取得手段が取得した検体情報に基づき、前記検体の最終分析項目と、次検体の最初の分析項目とが、試薬コンタミネーションとなる指定試薬の組み合わせがあるか否かを判定し、前記制御手段は、前記判定手段により指定試薬の組み合わせであると判定された場合、前記検体の最終分析項目用の試薬分注終了後の前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させるよう制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の自動分析装置は、検体と試薬との反応物を光学的に分析する自動分析装置であって、該自動分析装置は、キャリーオーバー回避レベルの異なる複数の分析項目の分析を行うことを特徴とし、細管状の分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、シリンジポンプにより吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブの一端部により検体の吸引または吐出を行なう検体分注手段と、分注する検体および次検体の検体情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した検体情報に基づき、次検体についてキャリーオーバーが高回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の高い分析項目が存在する指定検体であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により分注する検体の次検体が指定検体であると判定された場合、分注する検体についてオーダーされたキャリーオーバーが低回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の低い分析項目の最終の検体分注後に行う前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させるよう制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記制御手段は、前記検体分注手段または前記試薬分注手段の押し出し水を送液する送液手段の駆動条件を変更することにより、前記配管内圧力を増加させるよう制御することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、キャリーオーバーが高回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の高い分析項目は、免疫分析項目または遺伝学的分析項目であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、キャリーオーバーが高回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の高い分析項目を分析する第1の分析モジュールと、該第1の分析モジュールよりキャリーオーバーが低回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の低い分析項目を分析する分析モジュールとが、個別のユニットとして設置されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、キャリーオーバーが高回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の高い分析項目を分析する第1の分析モジュールと、該第1の分析モジュールよりキャリーオーバーが低回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の低い分析項目を分析する分析モジュールとが、1つのユニット内に設置されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の分注手段の洗浄方法は、細管状の分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、シリンジポンプにより吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブにより検体の吸引または吐出を行なう分注手段の洗浄方法であって、分注する検体の検体情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した検体情報に基づき、前記検体が分注後の前記分注プローブに対して通常の洗浄より強化した強化洗浄を行なう必要がある指定検体であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより指定検体であると判定された場合、該検体の最終分析項目の分注終了後の前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させて洗浄するよう制御する洗浄ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の分注手段の洗浄方法は、細管状の分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、シリンジポンプにより吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブにより試薬の吸引または吐出を行なう分注手段の洗浄方法であって、分注する検体の検体情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得した検体情報に基づき、受け付けられた分析項目に使用する試薬の分注の順序の中に、試薬コンタミネーションとなる指定試薬の組み合わせがあるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより指定試薬の組み合わせがあると判定された場合、前記指定試薬の組み合わせの先の試薬分注終了後の前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させて洗浄するよう制御する洗浄ステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の分注手段の洗浄方法は、キャリーオーバー回避レベルの異なる複数の分析項目の分析を行う自動分析装置における分注手段の洗浄方法であって、分注する検体および次検体の検体情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得した検体情報に基づき、次検体がキャリーオーバーが高回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の高い分析項目が存在する指定検体であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより分注する検体の次検体が指定検体であると判定された場合、分注する検体についてオーダーされたキャリーオーバーが低回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の低い分析項目の最終の検体分注後に行う前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させて洗浄するよう制御する洗浄ステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の分注手段の洗浄方法は、上記発明において、前記洗浄ステップは、前記分注手段の配管内に充填される押し出し水を送液する送液手段の駆動条件を変更することにより、前記配管内圧力を増加させて前記分注プローブを洗浄することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、取得手段が取得した検体情報に基づき、判定手段が強化洗浄が必要か否かを判定し、強化洗浄が必要とされた場合に、制御手段により押し出し水を送液する送液手段の駆動条件を変更して、配管内圧力を増加させて分注プローブの内壁面の洗浄を行なうことにより、分析サイクル時間を延長することなく、検体または試薬のキャリーオーバーを効果的に防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる自動分析装置を示す概略図である。
【図2】図2は、検体分注装置の概略図である。
【図3A】図3Aは、検査オーダーの一例を示す図である。
【図3B】図3Bは、検査オーダーの一例を示す図である。
【図3C】図3Cは、検査オーダーの一例を示す図である。
【図4】図4は、図3の検体の分注シーケンスを示す図である。
【図5】図5は、本実施の形態1にかかる検体分注処理のフローチャートである。
【図6】図6は、実施の形態2にかかる自動分析装置を示す概略図である。
【図7】図7は、実施の形態2にかかる試薬の分注シーケンスを示す図である。
【図8】図8は、実施の形態2にかかる試薬分注処理のフローチャートである。
【図9】図9は、実施の形態3にかかる自動分析装置を示す概略図である。
【図10A】図10Aは、検査オーダーの一例を示す図である。
【図10B】図10Bは、検査オーダーの一例を示す図である。
【図10C】図10Cは、検査オーダーの一例を示す図である。
【図11】図11は、実施の形態3にかかる生化学分析ユニットにおける検体の分注シーケンスを示す図である。
【図12】図12は、実施の形態3にかかる検体分注処理のフローチャートである。
【図13】図13は、実施の形態3にかかる自動分析装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる自動分析装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる自動分析装置を示す概略図である。図1に示すように、自動分析装置1は、検体と試薬との間の反応物を通過する光を測定する測定機構9と、測定機構9を含む自動分析装置1全体の制御を行なうとともに、測定機構9における測定結果の分析を行なう制御機構10とを備える。自動分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の分析を自動的に行なう。
【0024】
まず、測定機構9について説明する。測定機構9は、大別して検体テーブル2と、反応テーブル3と、試薬テーブル4と、検体分注装置5と、試薬分注装置7と、分注プローブ洗浄装置6および8とを備えている。
【0025】
検体テーブル2は、円盤状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された検体容器収納部21を備えている。各検体容器収納部21には、検体を収容した検体容器22が着脱自在に収納される。検体容器22は、上方に向けて開口する開口部を有している。また、検体テーブル2は、検体テーブル2の中心を通る鉛直線を回転軸として検体テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。検体テーブル2が回転すると検体容器22は、検体分注装置5によって検体が吸引される検体吸引位置に搬送される。
【0026】
なお、検体容器22には、収容された検体の種類や分析項目に関する検体情報を有する記録媒体(図示せず)が貼り付けてある。一方、検体テーブル2は、検体容器22の記録媒体の情報を読み取る読取部23を備えている。読取部23は、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。
【0027】
反応テーブル3は、円環状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された反応容器収納部31を備えている。各反応容器収納部31には、検体と試薬を収容する透明な反応容器32が上方に向けて開口した形態で着脱自在に収納される。また、反応テーブル3は、反応テーブル3の中心を通る鉛直線を回転軸として反応テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。反応テーブル3が回転すると、反応容器32は、検体分注装置5によって検体が吐出される検体吐出位置や、試薬分注装置7によって試薬が吐出される試薬吐出位置に搬送される。
【0028】
測光装置33は、光源33aおよび受光部33bを有している。光源33aは、所定波長の分析光を出射し、受光部33bは、光源33aから出射されて、反応容器32に収容された検体と試薬が反応した反応液を透過した光の強度を測定する。測光装置33は、前記光源33aと受光部33bが反応テーブル3の反応容器収納部31を挟んで半径方向に対向する位置に配置されている。なお、反応テーブル3は、測定後の反応液を反応容器32から排出し、該反応容器32を洗浄する反応容器洗浄装置34を備えている。
【0029】
試薬テーブル4は、円盤状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された試薬容器収納部41を備えている。各試薬容器収納部41には、試薬を収容した試薬容器42が着脱自在に収納される。試薬容器42は、上方に向いて開口する開口部を有している。また、試薬テーブル4は、試薬テーブル4の中心を通る鉛直線を回転軸として試薬テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。試薬テーブル4が回転すると試薬容器42は、試薬分注装置7によって試薬が吸引される試薬吸引位置に搬送される。
【0030】
なお、試薬容器42には、収容された試薬の種類や収容量に関する試薬情報を有する記録媒体(図示せず)が貼り付けてある。一方、試薬テーブル4は、試薬容器42の記録媒体の情報を読み取る読取部43を備えている。読取部43は、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。
【0031】
検体分注装置5は、検体の吸引および吐出を行なう分注プローブが先端部に取り付けられ、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。検体分注装置5は、検体テーブル2と反応テーブル3との間に設けられ、検体テーブル2によって所定位置に搬送された検体容器22内の検体を分注プローブによって吸引し、アームを旋回させ、反応テーブル3によって所定位置に搬送された反応容器32に分注して検体を所定タイミングで反応テーブル3上の反応容器32内に移送する。
【0032】
試薬分注装置7は、試薬の吸引および吐出を行なう分注プローブが先端部に取り付けられ、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。試薬分注装置7は、試薬テーブル4と反応テーブル3との間に設けられ、試薬テーブル4によって所定位置に搬送された試薬容器42内の試薬を分注プローブによって吸引し、アームを旋回させ、反応テーブル3によって所定位置に搬送された反応容器32に分注して試薬を所定タイミングで反応テーブル3上の反応容器32内に移送する。
【0033】
分注プローブ洗浄装置6は、検体テーブル2と反応テーブル3との間であって、検体分注装置5における分注プローブ50(図2参照)の水平移動の軌跡の途中位置に設けられ、検体間のキャリーオーバー防止のために、分注プローブ50により検体の分注を行なうたびに分注プローブ洗浄装置6にて分注プローブ50の洗浄を行なう。分注プローブ50の洗浄は、シャワー等の噴射圧力を用いて分注プローブ50外壁面を洗浄し、内壁面は、押し出し液L1を分注プローブ50から噴出させることにより洗浄する。押し出し液L1による分注プローブ50の内壁面洗浄については、後に詳細に説明する。分注プローブ洗浄装置8は、試薬テーブル4と反応テーブル3との間であって、試薬分注装置7における分注プローブの水平移動の軌跡の途中位置に設けられ、試薬間のキャリーオーバー防止のために、分注プローブにより試薬の分注を行なうたびに分注プローブ洗浄装置8にて分注プローブの洗浄を行なう。
【0034】
つぎに、制御機構10について説明する。図1に示すように、制御機構10は、制御部101、入力部102、分析部103、記憶部104、出力部105、送受信部107および洗浄管理部108を備える。制御機構10が備える各部は、制御部101に電気的に接続されている。制御部101は、CPU等を用いて構成され、自動分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部101は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。分析部103は、制御部101を介して測光装置33に接続され、受光部33bが受光した光量に基づいて検体の成分濃度等を分析し、分析結果を制御部101に出力する。入力部102は、制御部101へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。
【0035】
記憶部104は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部104は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。また、記憶部104は、分析可能なすべての分析項目についての分析に要する情報、たとえば、検体分注量、検体吸引量等の分析条件や、入力部102により入力された検査項目(分析項目)を記憶する。
【0036】
出力部105は、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、制御部101の制御のもと、分析に関する諸情報を出力する。出力部105は、ディスプレイ等を用いて構成された表示部106を備える。表示部106は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。入力部102および表示部106はタッチパネルによって実現するようにしてもよい。送受信部107は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行なうインターフェースとしての機能を有する。
【0037】
洗浄管理部108は、判定部108aと、洗浄制御部108bとを備える。
【0038】
判定部108aは、読取部23が検体容器22に貼付された記録媒体から読み取った検体の種類に関する情報に基づき、検体容器22に収容される検体が指定検体であるか否かを判定する。ここで、検体の種類に関する情報とは、該検体を採取した患者が、定期的に経過観察(分析)を行ない、前回値が異常値であったか否かについての情報であり、前回値が異常である検体は、指定検体であると判定する。該情報は、検体容器22の記録媒体に記録されるほか、オペレータが入力部102を介して記憶部104に記憶させておいてもよい。
【0039】
洗浄制御部108bは、検体分注装置5により分注を行う検体が、判定部108aにより指定検体であると判定された検体について、該検体の最終分析項目の分注終了後の前記分注プローブ洗浄において、押し出し水の送液手段の駆動条件を変更して配管内圧力を増加させるよう制御する。
【0040】
このような構成の自動分析装置1では、反応容器32に対して検体分注装置5が、検体容器22から検体を分注する。また、反応容器32には、試薬分注装置7が試薬容器42から試薬を分注する。そして、検体および試薬が分注された反応容器32は、反応テーブル3によって周方向に沿って搬送される間に検体と試薬とが攪拌されて反応し、光源33aと受光部33bとの間を通過する。このとき、光源33aから出射され、反応容器32内の反応液を通過した分析光は、受光部33bによって測光されて成分濃度などが分析される。そして、分析が終了した反応容器32は、反応容器洗浄装置34によって測定後の反応液が排出されて洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0041】
次に、検体分注装置5の分注機構について、図2を参照して説明する。図2は、検体分注装置5の概略図である。
【0042】
検体分注装置5は、図2に示すように分注プローブ50を有している。分注プローブ50は、ステンレスなどによって棒管状に形成されたもので、先端側はテーパー形状をとる。先端を下方に向けて上方の基端がアーム51の先端に取り付けてある。アーム51は、水平配置され、その基端が支軸52の上端に固定してある。支軸52は、鉛直配置されており、分注プローブ移送部53によって鉛直軸Oを中心として回転する。支軸52が回転すると、アーム51が水平方向に旋回して、分注プローブ50を水平方向に移動させる。また、支軸52は、分注プローブ移送部53によって鉛直軸Oに沿って昇降する。支軸52が昇降すると、アーム51が鉛直方向に昇降して、分注プローブ50を鉛直(上下)方向であって分注プローブ50の長手方向に昇降させる。
【0043】
分注プローブ50の基端には、チューブ54aの一端が接続される。このチューブ54aの他端は、シリンジ55に接続される。シリンジ55は、チューブ54aの他端が接続された筒状のシリンダー55aと、シリンダー55aの内壁面に摺動しながらシリンダー55a内を進退可能に設けられたプランジャー55bとを有する。プランジャー55bは、プランジャー駆動部56に接続される。プランジャー駆動部56は、例えばリニアモーターを用いて構成され、シリンダー55aに対するプランジャー55bの進退移動を行うものである。シリンジ55のシリンダー55aには、チューブ54bの一端が接続される。このチューブ54bの他端は、押し出し液L1を収容するタンク57に接続される。また、チューブ54bの途中には、三方弁58および送液ポンプ59が接続される。なお、押し出し液L1としては、蒸留水や脱気水などの非圧縮性流体が適用される。この押し出し液L1は、分注プローブ50の内部の洗浄を行う洗浄液としても適用される。
【0044】
検体分注装置5は、送液ポンプ59を駆動し、三方弁58をチューブ54dとチューブ54bとを接続状態にすることで、タンク57に収容されている押し出し液L1が、チューブ54d、54bを経てシリンジ55のシリンダー55a内に充填され、さらにシリンダー55aからチューブ54aを経て分注プローブ50の先端まで満たされる。このように押し出し液L1が分注プローブ50の先端まで満たされた状態で、制御部101は、三方弁58をチューブ54dとチューブ54cとを接続状態にするよう切り替える。そして、検体の吸引を行う場合、プランジャー駆動部56を駆動してプランジャー55bをシリンダー55aに対して後退移動させることにより、押し出し液L1を介して分注プローブ50の先端部に吸引圧が印加され、この吸引圧によって検体や試薬が吸引される。一方、検体の吐出を行う場合には、制御部101は、プランジャー駆動部56を駆動してプランジャー55bをシリンダー55aに対して進出移動させることにより、押し出し液L1を介して分注プローブ50の先端部に吐出圧が印加され、この吐出圧によって検体や試薬が吐出される。
【0045】
検体の分注後、分注プローブ50の洗浄を行なう場合、制御部101は、三方弁58をチューブ54dとチューブ54bとを接続するように切り替える。これにより、送液ポンプ59によりタンク57内の押し出し液L1を送液させて、分注プローブ50から押し出し液L1を吐出させて、分注プローブ50の内壁面を洗浄する(以下、「通常洗浄」という)。
【0046】
本実施の形態1では、検体分注装置5により分注を行う検体が、洗浄管理部108の判定部108aにより指定検体であると判定された場合、洗浄制御部108bは、制御部101を介し、送液ポンプ59の駆動条件を変更して、押し出し水L1の送液量を大きくした後、三方弁58のチューブ54dとチューブ54bとの接続を切り替えることにより、配管内、すなわち、チューブ54b、54aおよび分注プローブ50内の圧力を増加させて、分注プローブ50の内壁面を洗浄する(以下、配管内圧力を増加させた洗浄を「強化洗浄」という)。強化洗浄終了後、洗浄制御部108bは、三方弁58を、チューブ54dとチューブ54cとを接続するように切り替えて、送液ポンプ59の駆動条件を通常洗浄時の条件に変更する。
【0047】
次に、本実施の形態1にかかる検体分注処理について説明する。図3A、図3Bおよび図3Cは、検査オーダーを示す一例である。図4は、図3A、図3Bおよび図3Cの検体の分注シーケンスを示す図である。
【0048】
たとえば、検体ID1001、1002および1003について、図3A、図3Bおよび図3Cに示すような分析項目のオーダーがされ、検体ID1002の前回分析値が異常値であった指定検体の場合、図4に示すようなシーケンスで分注処理が行われる。自動分析装置1において、検体を分注する分注プローブ50は、図4に示すように、検体の吸引および吐出を行なう毎に洗浄を行なっているが、分析処理能力を高めるために分注プローブ50の洗浄時間を長くとることが困難であり、分注プローブ50の内壁はその構造上、内部に残存する検体を完全に洗浄することは非常に困難である。そのため、分注プローブ50内の検体を完全に除去できない場合、分注する検体が変更されるたびに、検体キャリーオーバーが発生することになる。本実施の形態1では、特に検体キャリーオーバーの影響が大きい指定検体の分注終了後に分注プローブ50を強化洗浄することにより、検体の分析精度の向上を図るものである。
【0049】
検体ID1002が指定検体の場合、図4に示すように、検体ID1002の最終分析項目である分析項目Eの分注終了後の分注プローブ50の洗浄を強化洗浄とする。指定検体の最終分析項目の分注終了後に分注プローブ50を強化洗浄することにより、次検体である検体ID1003への検体ID1002のキャリーオーバーを低下して、検体ID1003の分析への影響を排除することができる。
【0050】
たとえば、検体ID1002から検体ID1003への移行時(分析項目Eの分注終了後の洗浄)の分注プローブ50を通常洗浄し(配管内圧力3KPa)、検体ID1003の最初の分析項目である分析項目Bの分注を分注プローブ50で行なった場合、分注プローブ50の1度の分注により、検体容器22内の検体ID1003には、6×E−5の検体ID1002がキャリーオーバーされる。これに対し、検体ID1002から検体ID1003への移行時(分析項目Eの分注終了後の洗浄)の分注プローブ50を強化洗浄し(配管内圧力3.6KPa)、検体ID1003の最初の分析項目である分析項目Bの分注を分注プローブ50で行なった場合、検体ID1002のキャリーオーバー量は、2×E−5まで削減されることが確認された。
【0051】
また、同条件での反応容器32への検体ID1002のキャリーオーバー量は(検体ID1003の最初の分析項目である分析項目Bを分注した反応容器32内へのキャリーオーバー)、通常洗浄では1×E−3であるのに対し、強化洗浄では3×E−4と低減することが確認された。
【0052】
検体分注装置5の配管内圧力を、通常洗浄時の1.1〜1.4倍となるよう送液ポンプの駆動条件を変更するだけで、検体間のキャリーオーバーを大幅に低減することが可能となる。
【0053】
続いて、本実施の形態1の検体分注処理について、図5を参照して説明する。図5は、本実施の形態1にかかる検体分注処理のフローチャートである。まず、読取部23は、分析を行う検体の検体容器22に付された記憶媒体から、該検体が指定検体であるか否かを含む検体情報を読み取り、該検体情報を、制御部101を介して洗浄管理部108に送信する(ステップS101)。判定部108aは、送信された検体情報に基づき、該検体が指定検体であるか否かを判定する(ステップS102)。判定部108aが指定検体と判定した場合(ステップS102、Yes)、検体分注装置5により該検体についてオーダーされている分析項目用に検体の分注を行う(ステップS103)。検体の吸引および吐出を行なう度に、洗浄制御部108bは、当該分注が1の検体の最終分析項目用の分注であるか否かを確認する(ステップS104)。
【0054】
検体分注が1の検体の最終分析項目用の分注でない場合(ステップS104、No)、制御部101は、送液ポンプ59を通常の駆動条件で駆動して分注プローブ50の内壁を洗浄した後(ステップS110)、ステップS103に戻る。なお、分注プローブ50の洗浄は、分注プローブ洗浄装置6で行い、シャワー等の噴射圧力を用いて分注プローブ50外壁面についても洗浄する。洗浄制御部108bが、検体分注が1の検体の最終分析項目用の分注であると確認した場合(ステップS104、Yes)、洗浄制御部108bは、送液ポンプ59の駆動条件を変更することにより、検体分注装置5の配管内圧力を上昇させて、分注プローブ50の強化洗浄を行なう(ステップS105)。検体の吸引は、キャリーオーバーを防止するために、分注プローブ50の検体内への挿入を最小減として行なうため、分注プローブ50への検体残留は、外壁面で少なく、内壁面で非常に大きくなる。検体分注装置5の配管内圧力を上昇させて、分注プローブ50の強化洗浄を行なうことにより、内壁に残存する検体を効果的に除去することが可能となる。洗浄制御部108bは、検体テーブル2上のすべての検体の分注が終了したか否かを確認し(ステップS106)、終了していない場合は(ステップS106、No)、ステップS101から検体分注を繰り返す。すべての検体の分注が終了した場合は(ステップS106、Yes)、検体分注処理を終了する。
【0055】
一方、ステップS102において、判定部108aが指定検体でないと判定した場合(ステップS102、No)、1の検体のすべての分析項目の分注が終了するまで(ステップS109、No)、ステップS107およびステップS108を繰り返す。1の検体のすべての分析項目が終了した場合(ステップS109、Yes)、ステップS106に進む。
【0056】
本実施の形態1では、前回分析値が異常である指定検体の分注終了後にのみ強化洗浄を行なっているが、検体切り替え時において、強化洗浄を行なうよう制御することもできる。また、本実施の形態1では、押し出し水L1を送液する送液ポンプ59の駆動条件を変更することにより、検体分注装置5の配管内圧力を上昇させて分注プローブ50の内壁洗浄を行なうことにより、分析サイクルを延長することなく、検体のキャリーオーバーを効果的に防止することができ、また洗剤を使用しないため、コスト低減が可能となるだけでなく、洗剤タンクの設置スペースも必要ないというメリットを有する。
【0057】
なお、本実施の形態1の送液ポンプ59は、押し出し液L1の送液量を段階的に制御できるポンプであれば使用することができ、好適な径を選択することによりシリンジポンプも使用することが可能である。
【0058】
(実施の形態2)
実施の形態2における自動分析装置は、受け付けられた分析項目に使用する試薬の分注の順番が試薬コンタミネーションとなる指定試薬の組み合わせがあるか否かを判定し、指定試薬の組み合わせがある場合に、当該指定試薬間の分注プローブの洗浄を強化洗浄することにより、試薬のキャリーオーバーを低減して、試薬間コンタミネーションを防止する。
【0059】
図6は、本発明の実施の形態2にかかる自動分析装置1Aの構成を示す模式図である。自動分析装置1Aは、洗浄管理部109を有する点で、実施の形態1の自動分析装置1と異なる。
【0060】
実施の形態2の洗浄管理部109は、判定部109aと、洗浄制御部109bとを備える。また、実施の形態2の試薬分注装置7は、実施の形態1の検体分注装置5と同様の構造を有する。
【0061】
判定部109aは、読取部23が取得した分析項目等の検体情報に基づき、受け付けられた分析項目に使用する試薬の分注の順序の中に、試薬コンタミネーションとなる指定試薬の組み合わせがあるか否かを判定する。
【0062】
洗浄制御部109bは、判定部109aにより指定試薬の組み合わせがあると判定された場合、前記指定試薬の組み合わせの先の試薬分注終了後の前記分注プローブ洗浄において、押し出し水の送液手段の駆動条件を変更して配管内圧力を増加させるよう制御する。
【0063】
次に、本実施の形態2にかかる試薬分注処理について説明する。図7は、実施の形態2にかかる試薬の分注シーケンスを示す図である。
【0064】
実施の形態2において、読取部23が検体容器に貼付される記憶媒体から分析項目等の検体情報を読取り、判定部109aは、読み取られた分析項目情報に基づき記憶部104から該分析項目に使用される試薬を抽出し、抽出した試薬の中に、指定試薬の組み合わせがあるか否かを判定する。
【0065】
ここで、指定試薬の組み合わせとは、分析に使用する試薬が次の分析項目用の試薬中に分注プローブ50を介して持ち込まれた場合、ごく微量であっても分析に悪影響を及ぼすことが知られている組み合わせをいい、例えば、(1)ZTT(クンケル混濁試験)、Zn(亜鉛)、(2)Mg(マグネシウム)、TP(総蛋白)、(3)CK(クレアチンキナーゼ)、CHE(コリンエステラーゼ)、(4)TTT(チモール混濁試験)、IgG(免疫グロブリンG)などの組み合わせが例示される。上記の例は、分注の順序が上記と同じ場合にのみ該当し、例えば、Znの後にZTTが分析される場合には該当せず、また各分析項目間に少なくとも1項目他の分析項目を挟む場合には、試薬コンタミネーションは発生しない。上記の例に加えて、指定試薬の組み合わせはユーザーにより追加されうる。
【0066】
たとえば、分析項目Bに使用する試薬と分析項目Cに使用する試薬が指定試薬の組み合わせである場合、図7に示すように、検体ID1002および検体ID1003の分析項目Bの分注終了後であって、分析項目Cの分注前に分注プローブの強化洗浄を行なう。
【0067】
実施の形態2においても、指定試薬の組み合わせとなる試薬分注間に強化洗浄を行なう場合、試薬分注装置7の配管内圧力を通常洗浄時の1.1〜1.4倍となるように送液ポンプの駆動条件を変更するだけで、試薬間のキャリーオーバーを大幅に低減することが可能となる。
【0068】
続いて、本実施の形態2の試薬分注処理について、図8を参照して説明する。図8は、実施の形態2にかかる試薬分注処理のフローチャートである。まず、読取部23は、分析を行う検体の検体容器22に付された記憶媒体から、該検体の分析項目等の検体情報を読み取り、該検体情報を、制御部101を介して洗浄管理部109に送信する(ステップS201)。判定部109aは、送信された分析項目情報に基づき、該分析項目に使用される試薬を記憶部104から抽出し、抽出した試薬に指定試薬の組み合わせがあるか否かを判定する(ステップS202)。判定部109aが指定試薬の組み合わせありと判定した場合(ステップS202、Yes)、試薬分注装置7により該検体についてオーダーされている分析項目用に試薬の分注を行う(ステップS203)。試薬の吸引および吐出を行なう度に、洗浄制御部109bは、当該分注が指定試薬の組み合わせの先の分注であるか否かを確認する(ステップS204)。
【0069】
試薬分注が指定試薬の組み合わせの先の分注でない場合(ステップS204、No)、制御部101の制御の元、送液ポンプ59を通常の駆動条件で駆動して分注プローブを洗浄した後(ステップS211)、ステップS203に戻る。洗浄制御部109bが、試薬分注が指定試薬の組み合わせの先の試薬分注であると確認した場合(ステップS204、Yes)、洗浄制御部109bは、送液ポンプ59の駆動条件を変更することにより、試薬分注装置7の配管内圧力を上昇させて、分注プローブの強化洗浄を行なう(ステップS205)。試薬の吸引においても、検体の場合と同様に、キャリーオーバーを防止するために、分注プローブの試薬内への挿入を最小減として行なうため、分注プローブへの試薬残留は、外壁面で少なく、内壁面で非常に大きくなる。試薬分注装置7の配管内圧力を上昇させて、分注プローブの強化洗浄を行なうことにより、内壁に残存する試薬を効果的に除去することが可能となる。その後、洗浄制御部109bは、1の検体のすべての分析項目の試薬分注が終了したか否かを確認し(ステップS206)、1の検体のすべての分析項目の試薬分注が終了していない場合(ステップS206、No)、ステップS203から繰り返す。
【0070】
1の検体のすべての分析項目の試薬分注が終了した場合(ステップS206、Yes)、洗浄制御部109bは、検体テーブル2上のすべての検体の試薬分注が終了したか否かを確認し(ステップS207)、1の検体のすべての分析項目の試薬分注が終了していない場合は(ステップS207、No)、ステップS201から検体分注を繰り返す。終了した場合は(ステップS207、Yes)、試薬分注処理を終了する。
【0071】
一方、ステップS202において、判定部109aが指定試薬の組み合わせが存在しないと判定した場合(ステップS202、No)、1の検体のすべての分析項目の分注が終了するまで(ステップS210、No)、ステップS208およびステップS209を繰り返す。1の検体のすべての分析項目の分注が終了した場合(ステップS210、Yes)、ステップS207へ進む。
【0072】
なお、指定検体の組み合わせは、1の検体の分析項目内だけでなく、検体間でも生じうるため、読取部23により、分注する検体および次検体の分析項目情報を取得し、判定部109aは、該分析項目情報に基づき、分注を開始する検体の最終分析項目と次検体の最初の分析項目とが、試薬コンタミネーションとなる指定試薬の組み合わせであるか否かを判定し、洗浄制御部109bは、判定部109aにより分注を開始する検体の最終分析項目と次検体の最初の分析項目とが指定試薬の組み合わせであると判定された場合にも、これから分注を開始する検体の最終分析項目用の試薬分注終了後の前記分注プローブ洗浄において、強化洗浄を行なうことができる。
【0073】
(実施の形態3)
実施の形態3における自動分析装置は、キャリーオーバーの回避レベルの異なる複数の分析項目、たとえば、生化学分析項目と免疫分析項目とを両方分析する、生化学分析ユニットと免疫分析ユニットとを備える複合装置であって、キャリーオーバーの高回避レベルの免疫分析項目がオーダーされている検体の直前に分析される検体について強化洗浄を行なわせることにより、処理能力を維持しつつ検体間のキャリーオーバーを防止して免疫分析の擬陽性判定を回避することができる。
【0074】
図9は、実施の形態3の自動分析装置1Bを示す概略構成図である。自動分析装置1Bは、生化学分析ユニット11、免疫分析ユニット12、検体容器移送機構40および制御機構10Bからなる。生化学分析ユニット11は、検体容器移送機構40が同ユニット外に設けられ、試薬テーブル4、4A、ならびに試薬分注装置7、7Aを各2持つ以外は、上述した自動分析装置1と同様の機構を有する。
【0075】
検体容器移送機構40は、図9に示すように、配列された複数の検体ラック22bを矢印方向に沿って1つずつ歩進させながら移送する。検体ラック22bは、検体を収容した複数の検体容器22を保持している。ここで、検体容器22は、検体容器移送機構40によって移送される検体ラック22bの歩進が停止するごとに、検体分注装置5および44によって検体が各反応容器32および32aへ分注される。
【0076】
免疫分析ユニット12は、大別して、免疫反応テーブル24と、BFテーブル25と、第1試薬テーブル26、第2試薬テーブル27と、第1試薬分注装置28、第2試薬分注装置29と、酵素反応テーブル30と、測光部37および反応容器移送部35、36と、チップ格納部45とからなる。
【0077】
チップ格納部45は、複数のチップを整列したチップケースを設置しており、該ケースからチップが供給される。該チップは、感染症項目測定時のキャリーオーバー防止のため、検体分注装置44のノズル先端に装着され、検体分注ごとに交換されるディスポーザブルのサンプルチップである。
【0078】
検体分注装置44は、検体の吸引および吐出を行なうチップが先端部に取り付けられ鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。検体分注装置44は、検体容器移送機構40によって所定位置に移動された検体容器22内の検体をチップによって吸引し、アームを旋回させ、BFテーブル25によって所定位置に搬送された反応容器32aに分注する。
【0079】
免疫反応テーブル24は、反応容器32a内で検体と所定の試薬とを反応させるための反応ラインを有し、検体と磁性粒子試薬との第一反応用の外周ラインと、検体と標識試薬との第二反応用の内周ラインの2つの反応ラインを有する。免疫反応テーブル24は、免疫反応テーブル24の中心を通る鉛直線を回転軸として図9の矢印の方向に回動自在であり、免疫反応テーブル24上の反応容器32aを所定タイミングで所定位置に移送する。
【0080】
BFテーブル25は、所定の洗浄液を吸引吐出して検体または試薬における未反応物質を分離するBF(bound−free)分離を実施するBF洗浄処理を行なう。BFテーブル25は、BFテーブル25の中心を通る鉛直線を回転軸として図9の矢印の方向に回動自在であり、BFテーブル25に配置された反応容器32aを所定タイミングで所定位置に移送する。BFテーブル25は、BF分離に必要な磁性粒子を集磁する集磁機構と、BF液を反応容器内に吐出・吸引してBF分離を実施するBF洗浄プローブを有するBF洗浄部と、集磁された磁性粒子を分散させる攪拌機構とを有する。このBFテーブル25におけるBF洗浄処理として、第1BF洗浄処理および第2BF洗浄処理が行われる。
【0081】
試薬テーブル26は、BFテーブル25に配置された反応容器32a内に分注される第1試薬が収容された第1試薬容器を複数収納できる。試薬テーブル27は、BFテーブル25に配置された反応容器32a内に分注される第2試薬が収容された第2試薬容器を複数収納できる。試薬テーブル26および試薬テーブル27は、駆動機構が駆動することによって、図9の矢印の方向に回動自在であり、所望の試薬容器を試薬分注装置28または試薬分注装置29による試薬吸引位置まで移送する。第1試薬は、分析対象である検体内の抗原または抗体と特異的に結合する反応物質を固相した磁性粒子を含む試薬である。第2試薬は、磁性粒子と結合した抗原または抗体と特異的に結合する標識物質(たとえば酵素)を含む試薬である。また、試薬テーブル27は、標識物質との酵素反応によって発光する基質を含む基質液が収容された基質液容器を収納し、図9の矢印の方向に回動して所定の基質液容器を試薬分注装置28による基質液吸引位置まで搬送する。また、試薬テーブル26および27は、試薬容器の記録媒体の情報を読み取る読取部43aを備えている。
【0082】
試薬分注装置28は、第1試薬の吸引および吐出を行なうプローブが先端部に取り付けられ鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。試薬分注装置28は、試薬テーブル26によって所定位置に移動された第1試薬容器内の試薬をプローブによって吸引し、アームを旋回させ、BFテーブル25によって第1試薬吐出位置に搬送された反応容器32aに分注する。また、試薬分注装置28は、試薬テーブル27によって所定位置に移動された基質液容器内の基質液をプローブによって吸引し、アームを旋回させ、BFテーブル25によって基質液吐出位置に搬送された反応容器32aに分注する。
【0083】
試薬分注装置29は、試薬分注装置28と同様の構成を有し、試薬テーブル27によって所定位置に移動された第2試薬容器内の試薬をプローブによって吸引し、アームを旋回させ、BFテーブル25によって第2試薬吐出位置に搬送された反応容器32aに分注する。
【0084】
分注プローブ洗浄装置38は、試薬分注装置28の分注プローブの水平移動の軌跡の途中位置に、また分注プローブ洗浄装置39は試薬分注装置29の分注プローブの水平移動の軌跡の途中位置に設けられる。
【0085】
酵素反応テーブル30は、反応容器32a内に注入された基質液内の基質が発光可能となる酵素反応処理を行なうための反応ラインである。酵素反応テーブル30には、周方向に反応容器32aを収容する反応容器収容部が形成される。酵素反応テーブル30は、酵素反応テーブル30の中心を通る鉛直線を回転軸として図9の矢印の方向に回動自在であり、酵素反応テーブル30に配置された反応容器32aを所定タイミングで所定位置に移送する。
【0086】
測光部37は、反応容器32a内の反応液内の基質から発する発光を測定する。測光部37は、たとえば、化学発光で生じた微弱な発光を検出する光電子倍増管を有し、カウント法を用いて発光量を測定する。また、測光部37は、光学フィルターを保持し、発光強度に応じて光学フィルターにより減光された測定値によって真の発光強度を算出する。
【0087】
第1反応容器移送部35は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行ない、検体および所定の試薬を収容した反応容器32aを所定タイミングで、免疫反応テーブル24、BFテーブル25、酵素反応テーブル30、図示しない反応容器供給部の所定位置に移送するアームを備える。また、第2反応容器移送部36は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行ない、検体ならびに所定の試薬および基質を収容した反応容器32aを所定タイミングで、酵素反応テーブル30、測光部37、図示しない反応容器廃棄部の所定位置に移送するアームを備える。
【0088】
実施の形態3の洗浄管理部110は、判定部110aと、洗浄制御部110bとを備える。
【0089】
判定部110aは、読取部23が取得した分注する検体および次検体についての分析項目情報に基づき、次検体が指定検体であるか否か、すなわち、次検体の分析項目にキャリーオーバーが高回避レベルの免疫分析項目が存在するか否かを判定する。ここで、キャリーオーバーが高回避レベルの免疫分析項目とは、キャリーオーバーが生じた結果、診断結果に、たとえば誤判定などの深刻な影響を及ぼす可能性が高い免疫分析項目をいう。
【0090】
洗浄制御部110bは、判定部110aにより次検体が指定検体と判定された場合、これから分注を行なう検体のキャリーオーバー回避レベルの低い分析項目、すなわち、生化学分析ユニット11での最後の分注後に行う分注プローブ洗浄において、押し出し水の送液手段の駆動条件を変更して配管内圧力を増加させる、強化洗浄を行うよう制御する。
【0091】
次に、本実施の形態3にかかる検体分注処理について説明する。図10A、図10Bおよび図10Cは、検査オーダーを示す一例である。図11は、実施の形態3にかかる生化学分析ユニット11における検体の分注シーケンスを示す図である。
【0092】
たとえば、検体ID1001、1002および1003について、図10に示すような分析項目のオーダーがされたものとする。分析項目A、BおよびCは生化学項目であるから、生化学分析ユニット11の検体分注装置5で該分析項目用の検体が分注され、反応テーブル3上の反応容器32に分注される。分析項目DおよびEは免疫分析項目であるから、免疫分析ユニット12の検体分注装置44で該分析項目用の検体が分注され、BFテーブル25上の反応容器32aに検体が分注される。
【0093】
図9に示す自動分析装置1Bのように、通常、検体容器移送機構40により分析する検体を収容する検体容器22を、まず生化学分析ユニット11に搬送し、生化学分析ユニット11での分析用の分注終了後、免疫分析ユニット12に搬送する。生化学分析ユニット11の検体分注装置5の分注プローブは、洗浄されて繰り返し使用されるものであるため、分注する検体が変更される際、分注プローブを介して検体間キャリーオーバーが発生するおそれがある。そのため、これから分注を行う検体の次に分注する検体が、キャリーオーバーが高回避レベルの免疫分析項目がオーダーされている指定検体である場合、図11に示すようなシーケンスで生化学分析ユニット11において検体の分注処理が行われる。
【0094】
図10に示すように、検体ID1002および1003は免疫分析項目がオーダーされている指定検体であるため、検体ID1002および1003の分注前に強化洗浄を行なう。図11に示すように、検体ID1001の生化学分析ユニット11での最後の分注である分析項目B用の検体分注後、および検体ID1002の生化学分析ユニット11での最後の分注である分析項目C用の検体分注後に強化洗浄を行なう。
【0095】
続いて、本実施の形態3の検体分注処理について、図12を参照して説明する。図12は、実施の形態3にかかる検体分注処理のフローチャートである。まず、読取部23は、分析を行う検体および次検体の検体容器22に付された記憶媒体から、各検体の分析項目情報を読み取り、該分析項目情報を、制御部101を介して洗浄管理部110に送信する(ステップS301)。制御部101は、分析を行う検体の分析項目に生化学分析項目があるか否かを判定し(ステップS302)、生化学分析項目がある場合(ステップS302、Yes)、判定部110aは、送信された分析項目情報に基づき、次検体が指定検体であるか否か、すなわち次検体の分析項目にキャリーオーバーが高回避レベルの免疫分析項目が含まれる指定検体であるか否かを判定する(ステップS303)。判定部110aが、次検体は指定検体と判定した場合(ステップS303、Yes)、検体分注装置5により該検体についてオーダーされている生化学分析項目用に検体の分注を行う(ステップS304)。検体の吸引および吐出を行なう度に、洗浄制御部110bは、分注が該検体の最後の生化学分析項目の分注であるか否かを確認する(ステップS305)。
【0096】
検体分注が該検体の最終の生化学分析項目の分注でない場合(ステップS305、No)、送液ポンプを通常の駆動条件で駆動して分注プローブを洗浄した後(ステップS314)、ステップS304に戻る。洗浄制御部110bが検体分注は該検体の最終の生化学分析項目の分注であると確認した場合(ステップS305、Yes)、洗浄制御部110bは、送液ポンプの駆動条件を変更することにより、検体分注装置5の配管内圧力を上昇させて、分注プローブの強化洗浄を行なう(ステップS306)。
【0097】
ステップS306の強化洗浄が終了した後、制御部101は、該検体の分析項目に免疫分析項目があるか否かを判定する(ステップS307)。免疫分析項目がある場合は(ステップS307、Yes)、検体容器移送機構40により該検体を免疫分析ユニット12まで搬送し、検体分注装置44により免疫分析項目用の検体の分注を行う(ステップS308)。該検体のすべての免疫分析項目の分注が終了するまで(ステップS309、No)、ステップS308の検体分注を行う。
【0098】
該検体のすべての免疫分析項目の分注が終了した後(ステップS309、Yes)、洗浄制御部110bは、検体容器移送機構40上のすべての検体の分注が終了したか否かを確認し(ステップS310)、すべての検体の分注が終了していない場合は(ステップS310、No)、ステップS301から検体分注を繰り返す。すべての検体の分注が終了した場合は(ステップS310、Yes)、検体分注処理を終了する。
【0099】
一方、ステップS302において、生化学分析項目がないとされた場合は(ステップS302、No)、ステップS308に移行する。また、ステップS303において、判定部110aが、次検体は指定検体でないと判定した場合(ステップS303、No)、該検体のすべての生化学分析項目用の検体分注が終了するまで(ステップS313、No)、ステップS311およびステップS312を繰り返す。
【0100】
1の検体のすべての生化学分析項目が終了した場合(ステップS313、Yes)、ステップS307に移行する。また、ステップS307において、免疫分析項目のオーダーがないとされた場合(ステップS307、No)、ステップS310に移行する。さらにステップS310において、すべての検体の分注が終了していない場合は(ステップS310、No)、ステップS301から検体分注を繰り返す。
【0101】
実施の形態3にかかる自動分析装置1Bは、キャリーオーバーが高回避レベルの免疫分析項目がオーダーされている検体の直前検体の分注後、押し出し水を送液する送液ポンプの駆動条件を変更して、配管内圧力を増加させて分注プローブを強化洗浄することにより、処理能力を維持しつつ検体間のキャリーオーバーを防止することが可能となり、免疫分析の擬陽性判定を回避して分析精度の向上を図ることができる。
【0102】
なお、実施の形態3の変形例として、図13に示す自動分析装置が例示される。図13の自動分析装置1Cは、分析ユニット15内に、生化学的分析を行う生化学分析モジュールと、免疫学的分析を行う免疫学分析モジュールとを1つの分析ユニット15内に備える統合装置である。自動分析装置1Cのような統合装置においても、判定部111aにより、読取部23が取得した分注する検体および次検体についての分析項目情報に基づき、次検体が指定検体であるか否か、すなわち、次検体の分析項目に免疫分析項目が存在するか否かを判定し、洗浄制御部111bは、判定部111aにより次検体が指定検体と判定された場合、これから分注を行なう検体の生化学分析モジュールでの最後の分注後に行う分注プローブ洗浄において、押し出し水の送液手段の駆動条件を変更して配管内圧力を増加させるよう制御することで、検体間のキャリーオーバーを防止することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上のように、本発明の自動分注装置、および分注装置の洗浄方法は、分析精度が要求される分析装置に有用であり、特に、キャリーオーバー回避レベルの高い分析項目と低い分析項目の両方の分析を行う複合装置および統合装置の分野に適している。
【符号の説明】
【0104】
1、1A、1B、1C 自動分析装置
2 検体テーブル
6、8、8A、38、39 分注プローブ洗浄装置
11 生化学分析ユニット
12 免疫学分析ユニット
21 検体容器収納部
22 検体容器
22b 検体ラック
23、43、43a 読取部
24 免疫反応テーブル
25 BFテーブル
3 反応テーブル
30 酵素反応テーブル
31 反応容器収納部
32、32a 反応容器
33 測光装置
33a 光源
33b 受光部
34 反応容器洗浄装置
35、36 反応容器移送部
37 測光部
4、4A、26、27 試薬テーブル
40 検体容器移送機構
41 試薬容器収納部
42 試薬容器
5、44 検体分注装置
50 分注プローブ
51 アーム
52 支軸
53 分注プローブ移送部
54a、54b、54c、54d チューブ
55 シリンジ
55a シリンダー
55b プランジャー
56 プランジャー駆動部
57 タンク
58 三方弁
59 送液ポンプ
7、7A、28、29 試薬分注装置
9 測定機構
10、10A、10B、10C 制御機構
101 制御部
102 入力部
103 分析部
104 記憶部
105 出力部
106 表示部
107 送受信部
108、109、110、111 洗浄管理部
108a、109a、110a、111a 判定部
108b、109b、110b、111b 洗浄制御部
L1 押し出し液
O 鉛直軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬との反応物を光学的に分析する自動分析装置であって、
細管状の分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、シリンジポンプにより吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブの一端部で検体の吸引または吐出を行なう検体分注手段と、
分注する検体の検体情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した検体情報に基づき、前記検体が分注後の前記分注プローブに対して通常の洗浄より強化した強化洗浄を行なう必要がある指定検体であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により指定検体であると判定された場合、該検体の最終分析項目の分注終了後の前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させるよう制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
検体と試薬との反応物を光学的に分析する自動分析装置であって、
細管状の分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、シリンジポンプにより吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブの一端部により試薬の吸引または吐出を行なう試薬分注手段と、
分注する検体の検体情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した検体情報に基づき、受け付けられた分析項目に使用する試薬の分注の順序の中に、試薬コンタミネーションとなる指定試薬の組み合わせがあるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により指定試薬の組み合わせがあると判定された場合、前記指定試薬の組み合わせの先の試薬分注終了後の前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させるよう制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
前記取得手段は、分注する検体および次検体の検体情報を取得し、
前記判定手段は、前記取得手段が取得した検体情報に基づき、前記検体の最終分析項目と、次検体の最初の分析項目とが、試薬コンタミネーションとなる指定試薬の組み合わせがあるか否かを判定し、
前記制御手段は、前記判定手段により指定試薬の組み合わせであると判定された場合、前記検体の最終分析項目用の試薬分注終了後の前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させるよう制御することを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
検体と試薬との反応物を光学的に分析する自動分析装置であって、
該自動分析装置は、キャリーオーバー回避レベルの異なる複数の分析項目の分析を行うことを特徴とし、
細管状の分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、シリンジポンプにより吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブの一端部により検体の吸引または吐出を行なう検体分注手段と、
分注する検体および次検体の検体情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した検体情報に基づき、次検体についてキャリーオーバーが高回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の高い分析項目が存在する指定検体であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により分注する検体の次検体が指定検体であると判定された場合、分注する検体についてオーダーされたキャリーオーバーが低回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の低い分析項目の最終の検体分注後に行う前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させるよう制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検体分注手段または前記試薬分注手段の押し出し水を送液する送液手段の駆動条件を変更することにより、前記配管内圧力を増加させるよう制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項6】
キャリーオーバーが高回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の高い分析項目は、免疫分析項目または遺伝学的分析項目であることを特徴とする請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項7】
キャリーオーバーが高回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の高い分析項目を分析する第1の分析モジュールと、該第1の分析モジュールよりキャリーオーバーが低回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の低い分析項目を分析する分析モジュールとが、個別のユニットとして設置されることを特徴とする請求項4または6に記載の自動分析装置。
【請求項8】
キャリーオーバーが高回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の高い分析項目を分析する第1の分析モジュールと、該第1の分析モジュールよりキャリーオーバーが低回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の低い分析項目を分析する分析モジュールとが、1つのユニット内に設置されることを特徴とする請求項4または6に記載の自動分析装置。
【請求項9】
細管状の分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、シリンジポンプにより吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブにより検体の吸引または吐出を行なう分注手段の洗浄方法であって、
分注する検体の検体情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した検体情報に基づき、前記検体が分注後の前記分注プローブに対して通常の洗浄より強化した強化洗浄を行なう必要がある指定検体であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより指定検体であると判定された場合、該検体の最終分析項目の分注終了後の前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させて洗浄するよう制御する洗浄ステップと、
を含むことを特徴とする分注手段の洗浄方法。
【請求項10】
細管状の分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、シリンジポンプにより吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブにより試薬の吸引または吐出を行なう分注手段の洗浄方法であって、
分注する検体の検体情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得した検体情報に基づき、受け付けられた分析項目に使用する試薬の分注の順序の中に、試薬コンタミネーションとなる指定試薬の組み合わせがあるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより指定試薬の組み合わせがあると判定された場合、前記指定試薬の組み合わせの先の試薬分注終了後の前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させて洗浄するよう制御する洗浄ステップと、
を含むことを特徴とする分注手段の洗浄方法。
【請求項11】
キャリーオーバー回避レベルの異なる複数の分析項目の分析を行う自動分析装置における分注手段の洗浄方法であって、
分注する検体および次検体の検体情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得した検体情報に基づき、次検体がキャリーオーバーが高回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の高い分析項目が存在する指定検体であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより分注する検体の次検体が指定検体であると判定された場合、分注する検体についてオーダーされたキャリーオーバーが低回避レベル、即ち、キャリーオーバーが生じた結果、誤判定を含む診断結果に深刻な影響を及ぼす可能性の低い分析項目の最終の検体分注後に行う前記分注プローブ洗浄において、前記配管内圧力を増加させて洗浄するよう制御する洗浄ステップと、
を含むことを特徴とする分注手段の洗浄方法。
【請求項12】
前記洗浄ステップは、前記分注手段の配管内に充填される押し出し水を送液する送液手段の駆動条件を変更することにより、前記配管内圧力を増加させて前記分注プローブを洗浄することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一つに記載の分注手段の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−163909(P2011−163909A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26704(P2010−26704)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】