説明

自動分析装置および自動分析装置の駆動制御方法

【課題】分析装置の起動時に、分析装置の安定化を確実に検知することができ、さらに稼働率および作業効率を向上することができる自動分析装置を提供すること。
【解決手段】自動分析装置1は、反応テーブル14内の恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御部261と、分析開始を所定時間制限するロック機構263aと、分析装置1筐体内の周辺温度を検知する複数の温度センサ30、31、32、33と、前記温度センサにより検知された温度が所定温度範囲であることを判定する周辺温度判定部262と、周辺温度判定部262により所定温度と判定された場合に、ロック機構263aのロックを解除するよう制御する駆動制御手段263と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や体液等の検体の成分を分析する自動分析装置ならびに当該自動分析装置の駆動制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の検体を自動的に分析する装置として、試薬が分注された反応容器に試料を加え、反応容器内の試薬と検体の間で生じた反応を光学的に検出する分析装置が知られている。
【0003】
ところで、このような分析装置において、試薬と検体の間の反応を促進するために通常体温付近に加温した反応テーブル上で前記反応をさせた後、測光装置の光源から反応液を収容する反応容器に光を照射し、受光系が受光した前記反応容器の通過光量により分析を行っているが、このような分析装置では、電源スイッチ入力後、安定した分析を行うために、測光装置の光源や反応テーブルの恒温槽等の装置各部が安定するまで1時間程度の起動時間を要していた。
【0004】
このため、装置各部の安定化までの時間が異なるという点に注目し、安定化に不要な時間は電力供給を制限して不要な電力消費を低減する分析装置や、反応容器温度やランプ発光量をモニタして装置の使用可否を決定する分析装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−43401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された分析装置では、装置各部の安定化までの時間を、装置の設置環境、使用時期、時刻に応じて設定する必要があり、使用条件の設定が煩雑であると共に、使用条件の設定が適切でない場合は起動時間の短縮は困難である。また、分析装置の使用環境の変化により、分析装置が十分に安定していない場合でも分析が開始されるおそれがあり、この場合、分析精度に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、分析装置の起動時に、分析装置の安定化を確実に検知することができ、さらに稼働率および作業効率を向上することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置において、前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御手段と、分析開始を所定時間制限するロック機構と、前記分析装置の筐体内の周辺温度を検知する複数の装置内周辺温度検知手段と、前記装置内周辺温度検知手段により検知された各部の温度が所定温度範囲であるか否かを判定する周辺温度判定手段と、前記周辺温度判定手段により所定温度と判定された場合に、前記ロック機構のロックを解除するよう制御する駆動制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の自動分析装置は、所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置において、前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御手段と、分析開始を所定時間制限するロック機構と、前記分析装置の筐体内の周辺温度を検知する複数の装置内周辺温度検知手段と、前記装置内周辺温度検知手段により検知された各部の温度の時間変化率を算出する温度変化率算出手段と、前記温度変化率算出手段が算出した各温度変化率が所定範囲であるか否かを判定する温度変化率判定手段と、前記温度変化率判定手段により各温度変化率が所定範囲と判定された場合に、前記ロック機構のロックを解除するよう制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の自動分析装置は、所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置において、前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御手段と、分析開始を所定時間制限するロック機構と、前記分析装置の筐体内の周辺温度を検知する複数の装置内周辺温度検知手段と、前記装置内周辺温度検知手段により検知された各部の温度差を算出する温度差算出手段と、前記温度差算出手段が算出した各温度差が所定範囲であるか否かを判定する温度差判定手段と、前記温度差判定手段により各温度差が所定範囲と判定された場合に、前記ロック機構のロックを解除するよう制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の自動分析装置は、所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置において、前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御手段と、分析開始を所定時間制限するロック機構と、前記分析装置の筐体内の周辺温度を検知する複数の装置内周辺温度検知手段と、前記装置内周辺温度検知手段により検知された各部の温度変化率および温度差を算出する算出手段と、前記装置内周辺温度検知手段により検知された各部の温度、前記算出手段により算出された温度変化率および温度差が所定温度範囲であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が、各部の温度、温度変化率または温度差のいずれかひとつ以上が所定範囲と判定する場合に、前記ロック機構のロックを解除するよう制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の自動分析装置は、上記の発明において、前記装置内周辺温度検知手段は、少なくとも前記恒温槽周辺に複数設置されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の自動分析装置は、上記の発明において、前記自動分析装置の分析可否の状態を表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の自動分析装置は、上記の発明において、前記制御駆動手段は、前記ロック機構のロック解除前は、前記表示手段により前記分析装置が分析待機状態である旨表示し、前記ロック機構のロック解除後であって、前記表示手段による分析可能状態の表示以降に、前記判定手段が、各部の温度、温度変化率または温度差のいずれかひとつ以上が所定範囲外と判定する場合に、前記表示手段により警告を表示させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の自動分析装置の駆動制御方法は、所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置の駆動制御方法において、前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御ステップと、前記分析装置の筐体内各部の周辺温度を検知する装置内周辺温度検知ステップと、前記装置内周辺温度検知ステップにより検知された各部の温度が所定温度範囲であるか否かを判定する周辺温度判定ステップと、前記周辺温度判定ステップにおいて所定温度範囲と判定される際に、分析開始を所定時間制限するロック機構のロックを解除する駆動制御ステップと、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の自動分析装置の駆動制御方法は、所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置の駆動制御方法において、前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御ステップと、前記分析装置の筐体内各部の周辺温度を検知する装置内周辺温度検知ステップと、前記装置内周辺温度検知ステップにより検知された各部の温度の時間変化率を算出する温度変化率算出ステップと、前記温度変化率算出ステップが算出した各温度変化率が所定範囲であるか否かを判定する温度変化率判定ステップと、前記温度変化率判定ステップにおいて各温度変化率が所定範囲と判定される際に、分析開始を所定時間制限するロック機構のロックを解除する駆動制御ステップと、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の自動分析装置の駆動制御方法は、所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置の駆動制御方法において、前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御ステップと、前記分析装置の筐体内各部の周辺温度を検知する装置内周辺温度検知ステップと、前記装置内周辺温度検知ステップにより検知された各部の温度差を算出する温度差算出ステップと、前記温度差算出ステップが算出した各温度差が所定範囲であるか否かを判定する温度差判定ステップと、前記温度差判定ステップにおいて各温度差が所定範囲と判定される際に、分析開始を所定時間制限するロック機構のロックを解除する駆動制御ステップと、を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の自動分析装置の駆動制御方法は、所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置の駆動制御方法において、前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御ステップと、前記分析装置の筐体内各部の周辺温度を検知する装置内周辺温度検知ステップと、前記装置内周辺温度検知ステップにより検知された各部の温度変化率および温度差を算出する算出ステップと、前記装置内周辺温度検知ステップにより検知された各部の温度、前記算出ステップが算出した各部の温度変化率および温度差が所定範囲であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて各部の温度、温度変化率または温度差のいずれかひとつ以上が所定範囲と判定される際に、分析開始を所定時間制限するロック機構のロックを解除する駆動制御ステップと、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の自動分析装置の駆動制御方法は、上記の発明において、前記自動分析装置の分析可否の状態を表示する表示ステップを含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の自動分析装置の駆動制御方法は、上記の発明において、前記制御駆動ステップは、前記ロック機構のロック解除前は、前記表示ステップにより前記分析装置が分析待機状態である旨表示し、前記ロック機構のロック解除後であって、前記表示ステップによる分析可能状態の表示以降に、前記判定ステップが各部の温度、温度変化率または温度差のいずれかひとつ以上が所定範囲外と判定した場合に、前記表示ステップにより警告を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、恒温槽制御部により恒温槽が所定温度に調整制御された後、分析装置筐体内に設置された複数の温度センサにより周辺温度を検知し、検知した各部の温度の時間変化率または温度差を算出部により算出し、検出した各部の温度や、算出した各温度変化率または温度差が所定範囲であるか判定部により判定し、判定部が所定範囲と判定する際に分析装置のロックを駆動制御部により解除することにより、分析装置の安定化を確実に検知することができ、さらに分析装置の稼働率および作業効率を向上することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態である自動分析装置について説明する。なお、各実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分または相当する部分には同一の符号を付している。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる自動分析装置1の構成を示す模式図である。図1に示すように、自動分析装置1は、検体および試薬を反応容器51にそれぞれ分注し、分注した反応容器51内で生じる反応を光学的に測定する測定機構11と、測定機構11を含む自動分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構11における測定結果の分析を行う制御機構21とを備える。自動分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の生化学的、免疫学的あるいは遺伝学的な分析を自動的に行う。
【0024】
測定機構11は、大別して検体移送部12と、検体分注機構15と、反応テーブル14と、試薬庫13と、読取部CR1およびCR2と、試薬分注機構16と、攪拌部17と、測光部18と、反応容器洗浄部19と、分注プローブ洗浄部153および163と、温度センサ30、31、32および33とを備える。また、制御機構21は、制御部26と、入力部22と、分析部24と、記憶部25および出力部23とを備える。測定機構11および制御機構21が備えるこれらの各部は、制御部26に電気的に接続されている。
【0025】
検体移送部12は、血液や尿等、液体である検体を収容した複数の検体容器120を保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック121を備える。検体移送部12上の所定位置に移送された検体容器120内の検体は、検体分注機構15によって、反応テーブル14上に配列して搬送される反応容器51に分注される。検体容器120の側面部には、検体容器120に収容された検体情報が記録された記録媒体が付されている。記録媒体は、符号化された各種の情報を表示しており、光学的に読み取られる。検体移送部12内には、この記録媒体を光学的に読み取る読取部CR1が設けられている。読取部CR1は、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。また、読取部CR1は、記録媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記録媒体の情報を取得してもよい。
【0026】
検体分注機構15は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアーム152を備える。このアーム152の先端部には、検体の吸引および吐出を行うプローブが取り付けられている。検体分注機構15は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注機構15は、上述した検体移送部12上の所定位置に移送された検体容器120の中から分注プローブによって検体を吸引し、アーム152を図中反時計回りに旋回させ、反応容器51に検体を吐出して分注を行う。
【0027】
反応テーブル14は、反応容器51への検体や試薬の分注、反応容器51の攪拌、洗浄または測光を行うために反応容器51を所定の位置まで移送する。この反応テーブル14は、制御部26の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル14の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応テーブル14の上方と下方には、図示しない開閉自在な蓋と恒温槽とがそれぞれ設けられている。恒温槽は、反応容器51に分注される検体と試薬の反応を促進させる温度に加温され、恒温槽の温度管理を行なうためのヒータ、温度センサを備える。
【0028】
試薬庫13は、反応容器51内に分注される試薬が収容された試薬容器41を複数収納できる。試薬庫13には、複数の収納室が等間隔で配置されており、各収納室には試薬容器41が着脱自在に収納される。試薬庫13は、制御部26の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、試薬庫13の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器41を試薬分注機構16による試薬吸引位置まで移送する。試薬庫13の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられている。また、試薬庫13の下方には、保冷槽が設けられている。このため、試薬庫13内に試薬容器41が収納され、蓋が閉じられたときに、試薬容器41内に収容された試薬を一定の温度状態に保ち、試薬容器41内に収容された試薬の蒸発や変性を抑制することができる。試薬庫13内の温度は、温度センサから得られる温度情報によって温度管理を行う。
【0029】
試薬容器41の側面部には、試薬容器41に収容された試薬に関する試薬情報が記録された記録媒体が付されている。記録媒体は、符号化された各種の情報を表示しており、光学的に読み取られる。試薬庫13の外周部には、この記録媒体を光学的に読み取る読取部CR2が設けられている。読取部CR2は、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。また、読取部CR2は、記録媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記録媒体の情報を取得してもよい。
【0030】
試薬分注機構16は、検体分注機構15と同様に、試薬の吸引および吐出を行うプローブが先端部に取り付けられたアーム162を備える。アーム162は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。試薬分注機構16は、試薬庫13上の所定位置に移動された試薬容器41内の試薬を分注プローブによって吸引し、アーム162を図中時計回りに旋回させ、反応テーブル14上の所定位置に搬送された反応容器51に分注する。攪拌部17は、反応容器51に分注された検体と試薬との攪拌を行い、反応を促進させる。
【0031】
分注プローブ洗浄装置153および163は、検体分注機構15および試薬分注機構16による検体または試薬の分注後に分注プローブを洗浄する。分注プローブ洗浄装置153および163は、検体分注機構15および試薬分注機構16のアーム152および162の水平移動の軌跡の途中位置に設けられる。分注プローブ洗浄装置153および163は、円柱形または角柱形の洗浄槽を有し、当該洗浄槽に貯留した洗浄水に分注プローブを浸漬、またはシャワー等の噴射圧力を用いてプローブ外壁面を洗浄し、内壁面は、各分注機構のシリンジポンプの押し出し液を分注プローブから噴出させたり、貯留した洗浄水を吸・排水することにより洗浄する。洗浄に使用する洗浄水は、予めヒータにより加熱したものを使用することも可能である。
【0032】
測光部18は、発光部と、受光部とを備え、所定の測光位置に搬送された反応容器51内の試料を透過した光を受光して強度測定を行う。この測光部18による測定結果は、制御部26に出力され、分析部24において分析される。発光部は、光源ランプを備え、温度を一定に保つため、光源ランプは適度の熱容量を持ったランプハウス内に設置され、ファンおよび温度センサを用いて調節することでランプハウス内およびランプの温度管理を行なう。
【0033】
反応容器洗浄部19は、図示しないノズルによって、測光部18による測定が終了した反応容器51内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行う。この洗浄した反応容器51は再利用されるが、検査内容によっては1回の測定終了後に反応容器51を廃棄してもよい。また、反応容器洗浄部19は、洗浄に使用する洗剤および洗浄水を一定温度まで加温するために、ヒータを有するタンクを備えていてもよい。反応テーブルの恒温槽の温度まで洗剤温度を加温することにより、洗浄効果が向上するだけでなく、恒温槽の温度制御が容易となる。
【0034】
温度センサ30、31、32および33は、自動分析装置1筐体内の周辺温度、特に、反応テーブル14の周辺温度を検知するために設置される。各温度センサは、装置各部が駆動される際、発熱されるか否かの検知のために設置され、かかる発熱の有無をモニタすることにより恒温槽の温度制御が容易となる。実施の形態1では、反応容器洗浄部19外部に温度センサ30、攪拌部17外部に温度センサ31、測光部18外部に温度センサ32、反応テーブル14の駆動機構外部に温度センサ33を設置する。その他、測定機構11を構成する検体分注機構15、試薬分注機構16、検体移送部12、試薬庫駆動機構、試薬庫保冷槽などの外部に温度センサを設置してもよい。
【0035】
つぎに、制御機構21について説明する。制御部26は、CPU等を用いて構成され、自動分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部26は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。また、制御部26は、恒温槽制御部261と、周辺温度判定部262と、駆動制御部263とを備える分析開始判定部260を有する。恒温槽制御部261は、反応テーブル14下部の恒温槽内に備える温度センサにより温度を検知し、検知した温度が設定温度より低い場合はヒータに電力供給し、検知した温度が設定温度より高い場合は、ヒータへの電力供給を停止することにより、恒温槽の温度が所定温度になるよう制御する。周辺温度判定部262は、温度センサ30、31、32および33が検知した温度が、所定温度範囲か否か判定する。駆動制御部263は、自動分析装置1の電源スイッチ入力後、所定時間分析を制限するロック機構263aを備え、周辺温度判定部262が周辺温度は所定範囲と判定後、ロック機構263aのロックを解除する。
【0036】
入力部22は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部24は、測光部18から取得した測定結果に基づいて吸光度等を演算し、検体の成分分析等を行う。記憶部25は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部25は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。出力部23は、ディスプレイ等を用いて構成された表示部27を備える。表示部27は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。入力部22および表示部27はタッチパネルによって実現するようにしてもよい。
【0037】
以上のように構成された自動分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器51に対して、試薬分注機構16が試薬容器41中の試薬を分注し、検体分注機構15が検体容器120中の検体を分注した後、測光部18が検体と試薬とを反応させた反応液の分光強度測定を行い、この測定結果を分析部24が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、反応容器洗浄部19が測光部18による測定が終了した後に搬送される反応容器51を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0038】
つぎに、本発明の自動分析装置にかかる実施の形態1について、図2を参照して詳細に説明する。図2は、実施の形態1に係る自動分析装置1の駆動制御方法のフローチャートを示す。
【0039】
まず、自動分析装置1の電源スイッチが入力されると、自動分析装置1はロック機構263aにより所定時間ロックされているため、表示部27には分析待機状態である旨出力される(ステップS100)。分析装置の分析精度を高く保持するために、分析装置の電源入力後、装置各部が安定した後に分析を行うことが必要であり、安定するまで駆動制御部263はロック機構263aにより分析装置の分析開始を制限するようロックされている。この旨、作業者に周知させるために、「分析開始までしばらくお待ちください。」等のコメントを表示部27に出力する。電源入力後、装置各部に電力が供給され、反応テーブル14下部の恒温槽が所定温度であるか確認される(ステップS101)。電源入力後、装置各部が安定するまでの時間は長短であるが、最も時間を要する恒温槽の安定化を確認することにより、他の装置各部も安定化したものと推定されるためである。恒温槽は、恒温槽制御部261により、恒温槽内に備える温度センサにより温度を検知し、検知した温度が設定温度より低い場合はヒータに電力供給し、検知した温度が設定温度より高い場合は、ヒータへの電力供給を停止することにより、恒温槽の温度が所定温度になるよう制御される。恒温槽が所定温度でない場合は(ステップS101、No)、恒温槽が所定温度になるまで、一定時間毎にステップS101が確認される。恒温槽が所定温度となった後(ステップS101、Yes)、温度センサ30、31、32および33により、反応テーブル周辺温度が検知される(ステップS102)。恒温槽が所定温度となった後、直ちに分析装置のロックの解除を行わない理由として、反応テーブル周辺温度が安定化していない場合、周辺状況により一旦安定化した恒温槽温度が所定範囲外となることがあり、この場合、反応液の加熱に影響を与えることになって、分析精度の低下につながるおそれがあるためである。
【0040】
その後、検知した周辺温度が所定範囲か否か周辺温度判定部262により確認する(ステップS103)。周辺温度範囲は、装置の設置環境や使用時期により多少上下するものの、恒温槽の設定温度から±数度の範囲である。周辺温度が所定温度でない場合は(ステップS103、No)、再度ステップS102に戻って周辺温度の検知を行なう。設置されるすべての温度センサ30、31、32および33により検知された周辺温度が所定温度となるまでステップS102〜S103が繰り返される。検知されたすべての周辺温度が所定温度となった後(ステップS103、Yes)、駆動制御部263によりロック機構263aのロックが解除され(ステップS104)、分析可能となった旨を表示部27により出力する(ステップS105)。
【0041】
なお、実施の形態1は分析装置の電源入力後の駆動制御方法にかかるものであるが、分析装置の駆動中に、図2に示した駆動制御方法の一部を行なうことにより、分析装置の安定性を確認することができる。図3は、実施の形態1の変形例にかかる分析装置の駆動制御方法のフローチャートである。
【0042】
分析装置がすでに駆動されて分析が行なわれている場合は、反応テーブル14下部の恒温槽は恒温槽制御部261により所定温度に調整制御されているため、恒温槽の安定性の確認は行わず、まず、反応テーブル14周辺に設置される温度センサ30、31、32および33により、反応テーブル周辺温度を検知する(ステップS200)。検知した周辺温度が所定範囲か否か確認し(ステップS201)、分析装置内に問題がない場合は、検知した周辺温度は通常所定範囲内であり(ステップS201、Yes)、駆動制御ステップは終了し、引き続き分析が行われる。しかしながら、装置内の温度の安定化のために設置されるファンのフィルター詰まりにより排熱が不十分であったり、装置各部のモータや基板からの発熱等により周辺温度が不安定化したような場合に、ステップS201を行なうことで、装置内の問題を検知することが可能となる。周辺温度が所定範囲でない場合は(ステップS201、No)、装置内に問題があるとして、分析中止または分析条件が正常でない旨の警告を、表示部27により出力する(ステップS202)。分析中止の警告を行なう場合は、合わせて装置のどの部分に異常があるのかを表示してもよい。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態1では、反応テーブル14周辺温度を温度センサにより検知し、検知した温度が所定範囲か否かで分析装置の安定性を判断したが、実施の形態2は検知した温度の時間変化率を算出し、温度変化率が所定範囲か否かで分析装置の安定性を判断するものである。周辺温度は、装置の設置環境や使用時期により多少上下するため、所定範囲をその都度設定する必要があるが、実施の形態2では温度変化率を採用するため、装置の設置環境や使用時期に影響されず、装置安定性の判定が容易となる。
【0044】
図4に、実施の形態2に係る自動分析装置1Aの概略図を示す。自動分析装置1Aは、制御機構21Aが備える制御部26Aが、周辺温度判定部262に替えて、温度変化率算出部264および温度変化率判定部265を有する点で自動分析装置1と異なる。図5に示す、実施の形態2に係る自動分析装置1Aの駆動制御方法のフローチャートを参照して、実施の形態2について詳細に説明する。
【0045】
図5では、まず、自動分析装置の電源スイッチが入力されると、自動分析装置1はロック機構263aにより所定時間ロックされているため、表示部27には分析待機状態である旨出力される(ステップS300)。分析装置の分析精度を高く保持するために、自動分析装置1Aの電源入力後、装置各部が安定した後に分析を行うことが必要であり、安定するまで駆動制御部263はロック機構263aにより分析装置の分析開始を制限するようロックされている。この旨、作業者に周知させるために、「分析開始までしばらくお待ちください。」等のコメントを表示部27に出力する。電源入力後、装置各部に電力が供給され、反応テーブル14下部の恒温槽が所定温度であるか確認される(ステップS301)。電源入力後、装置各部が安定するまでの時間は長短であるが、最も時間を要する恒温槽の安定化を確認することにより、他の装置各部も安定化したものと推定されるためである。恒温槽は、恒温槽制御部261により、恒温槽内に備える温度センサにより温度を検知し、検知した温度が設定温度より低い場合はヒータに電力供給し、検知した温度が設定温度より高い場合は、ヒータへの電力供給を停止することにより、恒温槽の温度が所定温度になるよう制御される。恒温槽が所定温度でない場合は(ステップS301、No)、恒温槽が所定温度になるまで、一定時間毎にステップS301が確認される。恒温槽が所定温度となった後(ステップS301、Yes)、温度センサ30、31、32および33により、反応テーブル周辺温度が検知される(ステップS302)。恒温槽が所定温度となった後、直ちに分析装置のロックの解除を行わない理由として、反応テーブル周辺温度が安定化していない場合、周辺状況により一旦安定化した恒温槽温度が所定範囲外となることがあり、この場合、反応液の加熱に影響を与えることになって、分析精度の低下につながるおそれがあるためである。
【0046】
その後、検知した周辺温度の時間変化率を温度変化率算出部264により算出する(ステップS303)。前記温度変化率算出部264により算出した温度変化率について、所定範囲か否か温度変化率判定部265により判定する(ステップS304)。温度変化率が所定範囲でない場合は(ステップS304、No)、まだ自動分析装置1Aが安定していないと判断されるため、再度ステップS302に戻って周辺温度の検知を行なう。設置されるすべての温度センサ30、31、32および33により検知された周辺温度の温度変化率が所定範囲となるまでステップS302〜S304が繰り返される。算出されたすべての温度変化率が所定範囲となった後(ステップS304、Yes)、駆動制御部263によりロック機構263aのロックが解除され(ステップS305)、分析可能となった旨を表示部27により出力する(ステップS306)。
【0047】
なお、実施の形態2は分析装置の電源入力後の駆動制御方法にかかるものであるが、分析装置の駆動中に、図5に示した駆動制御方法の一部を行なうことにより、分析装置1Aの安定性を確認することができる。図6は、実施の形態2の変形例にかかる自動分析装置1Aの駆動制御方法のフローチャートである。
【0048】
分析装置がすでに駆動されて分析が行なわれている場合は、反応テーブル14下部の恒温槽は恒温槽制御部261により所定温度に調整制御されているため、恒温槽の安定性の確認は行わず、まず、反応テーブル14周辺に設置される温度センサ30、31、32および33により、反応テーブル周辺温度を検知する(ステップS400)。検知した周辺温度の時間変化率を温度変化率算出部264により算出し(ステップS401)、温度変化率判定部265により温度変化率が所定範囲か否か確認する(ステップS402)。分析装置内に問題がない場合は、温度変化率は通常所定範囲内であり(ステップS402、Yes)、駆動制御ステップは終了し、引き続き分析が行われる。しかしながら、装置内の温度の安定化のために設置されるファンのフィルター詰まりにより排熱が不十分であったり、装置各部のモータや基板からの発熱等により周辺温度が不安定化したような場合に、ステップS401〜S402を行なうことで、装置内の問題を検知することが可能となる。温度変化率が所定範囲でない場合は(ステップS402、No)、装置内に問題があるとして、分析中止または分析条件が正常でない旨の警告を、表示部27により出力する(ステップS403)。分析中止の警告を行なう場合は、合わせて装置のどの部分に異常があるのかを表示してもよい。
【0049】
(実施の形態3)
実施の形態3は検知した各周辺温度の温度差を算出し、当該温度差が所定範囲か否かで分析装置の安定性を判断するものである。周辺温度は、装置の設置環境や使用時期により多少上下するため、所定範囲をその都度設定する必要があるが、実施の形態3では複数の温度センサにより検知した各温度の温度差により判定するため、装置の設置環境や使用時期に影響されず、装置安定性の判定が容易となる。温度差は、複数検知した周辺温度の任意の2点の差でもよいが、検知した周辺温度の平均温度を算出し、当該平均温度との差を使用してもよい。
【0050】
図7に、実施の形態3に係る自動分析装置1Bの概略図を示す。自動分析装置1Bは、制御機構21Bが備える制御部26Bが、周辺温度判定部262に替えて、温度差算出部266および温度差判定部267を有する点で自動分析装置1と異なる。図8に示す、実施の形態3に係る自動分析装置1Bの駆動制御方法のフローチャートを参照して、実施の形態3について詳細に説明する。
【0051】
図8では、まず、自動分析装置の電源スイッチが入力されると、自動分析装置1はロック機構263aにより所定時間ロックされているため、表示部27には分析待機状態である旨出力される(ステップS500)。分析装置の分析精度を高く保持するために、自動分析装置1Bの電源入力後、装置各部が安定した後に分析を行うことが必要であり、安定するまで駆動制御部263はロック機構263aにより分析装置の分析開始を制限するようロックされている。この旨、作業者に周知させるために、「分析開始までしばらくお待ちください。」等のコメントを表示部27に出力する。電源入力後、装置各部に電力が供給され、反応テーブル14下部の恒温槽が所定温度であるか確認される(ステップS501)。電源入力後、装置各部が安定するまでの時間は長短であるが、最も時間を要する恒温槽の安定化を確認することにより、他の装置各部も安定化したものと推定されるためである。恒温槽は、恒温槽制御部261により、恒温槽内に備える温度センサにより温度を検知し、検知した温度が設定温度より低い場合はヒータに電力供給し、検知した温度が設定温度より高い場合は、ヒータへの電力供給を停止することにより、恒温槽の温度が所定温度になるよう制御される。恒温槽が所定温度でない場合は(ステップS501、No)、恒温槽が所定温度になるまで、一定時間毎にステップS501が確認される。恒温槽が所定温度となった後(ステップS501、Yes)、温度センサ30、31、32および33により、反応テーブル周辺温度が検知される(ステップS502)。恒温槽が所定温度となった後、直ちに分析装置のロックの解除を行わない理由として、反応テーブル周辺温度が安定化していない場合、周辺状況により一旦安定化した恒温槽温度が所定範囲外となることがあり、この場合、反応液の加熱に影響を与えることになって、分析精度の低下につながるおそれがあるためである。
【0052】
その後、検知した各周辺温度の温度差を温度差算出部266により算出する(ステップS503)。前記温度差算出部266により算出した温度差について、所定範囲か否か温度差判定部267により判定する(ステップS504)。温度差が所定範囲でない場合は(ステップS504、No)、まだ自動分析装置1Bが安定していないと判断されるため、再度ステップS502に戻って周辺温度の検知を行なう。設置されるすべての温度センサ30、31、32および33により検知された各周辺温度の温度差が所定範囲となるまでステップS502〜S504が繰り返される。算出されたすべての温度差が所定範囲となった後(ステップS504、Yes)、駆動制御部263によりロック機構263aのロックが解除され分(ステップS505)、分析可能となった旨を表示部27により出力する(ステップS506)。
【0053】
なお、実施の形態3は分析装置の電源入力後の駆動制御方法にかかるものであるが、分析装置の駆動中に、図8に示した駆動制御方法の一部を行なうことにより、分析装置1Bの安定性を確認することができる。図9は、実施の形態3の変形例にかかる自動分析装置1Bの駆動制御方法のフローチャートである。
【0054】
自動分析装置1Bがすでに駆動されて分析が行なわれている場合は、反応テーブル14下部の恒温槽は恒温槽制御部261により所定温度に調整制御されているため、恒温槽の安定性の確認は行わず、まず、反応テーブル14周辺に設置される温度センサ30、31、32および33により、反応テーブル周辺温度を検知する(ステップS600)。検知した各周辺温度の温度差を温度差算出部266により算出し(ステップS601)、温度差判定部267により温度差が所定範囲か否か確認する(ステップS602)。分析装置内に問題がない場合は、温度差は通常所定範囲内であり(ステップS602、Yes)、駆動制御ステップは終了し、引き続き分析が行われる。しかしながら、装置内の温度の安定化のために設置されるファンのフィルター詰まりにより排熱が不十分であったり、装置各部のモータや基板からの発熱等により周辺温度が不安定化したような場合に、ステップS601〜S602を行なうことで、装置内の問題を検知することが可能となる。温度差が所定範囲でない場合は(ステップS602、No)、装置内に問題があるとして、分析中止または分析条件が正常でない旨の警告を、表示部27により出力する(ステップS603)。分析中止の警告を行なう場合は、合わせて装置のどの部分に異常があるのかを表示してもよい。
【0055】
なお、温度センサ30、31、32および33により検知された各周辺温度の温度変化率および温度差の両方を算出して、検知された各部の温度、算出された温度変化率および温度差について所定温度範囲であるか否かを判定して、各部の温度、温度変化率または温度差のいずれかひとつ以上が所定範囲と判定する場合に、駆動制御部263にロック機構263aのロックを解除するよう制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる分析装置の要部構成を示す模式図である。
【図2】この発明の実施の形態1にかかる自動分析装置の駆動制御方法のフローチャートを示した図である。
【図3】この発明の実施の形態1の変形例にかかる自動分析装置の駆動制御方法のフローチャートを示した図である。
【図4】この発明の実施の形態2にかかる分析装置の要部構成を示す模式図である。
【図5】この発明の実施の形態2にかかる自動分析装置の駆動制御方法のフローチャートを示した図である。
【図6】この発明の実施の形態2の変形例にかかる自動分析装置の駆動制御方法のフローチャートを示した図である。
【図7】この発明の実施の形態3にかかる自動分析装置の要部構成を示す模式図である。
【図8】この発明の実施の形態3にかかる自動分析装置の駆動制御方法のフローチャートを示した図である。
【図9】この発明の実施の形態3の変形例にかかる自動分析装置の駆動制御方法のフローチャートを示した図である。
【符号の説明】
【0057】
1、1A、1B 自動分析装置
11、11A、11B 測定機構
21、21A、21B 制御機構
12 検体移送部
120 検体容器
121 検体ラック
15 検体分注機構
16 試薬分注機構
152、162 アーム
14 反応テーブル
13 試薬庫
41 試薬容器
17 攪拌部
18 測光部
19 反応容器洗浄部
51 反応容器
30、31、32、33 温度センサ
153、163 分注プローブ洗浄部
22 入力部
23 出力部
24 分析部
25 記憶部
26、26A、26B 制御部
27 表示部
260、260A、260B 分析開始判定部
261 恒温槽制御部
262 周辺温度判定部
263 駆動制御部
263a ロック機構
264 温度変化率算出部
265 温度変化率判定部
266 温度差算出部
267 温度差判定部
CR1、CR2 読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置において、
前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御手段と、
分析開始を所定時間制限するロック機構と、
前記分析装置の筐体内の周辺温度を検知する複数の装置内周辺温度検知手段と、
前記装置内周辺温度検知手段により検知された各部の温度が所定温度範囲であるか否かを判定する周辺温度判定手段と、
前記周辺温度判定手段により所定温度と判定された場合に、前記ロック機構のロックを解除するよう制御する駆動制御手段と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置において、
前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御手段と、
分析開始を所定時間制限するロック機構と、
前記分析装置の筐体内の周辺温度を検知する複数の装置内周辺温度検知手段と、
前記装置内周辺温度検知手段により検知された各部の温度の時間変化率を算出する温度変化率算出手段と、
前記温度変化率算出手段が算出した各温度変化率が所定範囲であるか否かを判定する温度変化率判定手段と、
前記温度変化率判定手段により各温度変化率が所定範囲と判定された場合に、前記ロック機構のロックを解除するよう制御する駆動制御手段と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置において、
前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御手段と、
分析開始を所定時間制限するロック機構と、
前記分析装置の筐体内の周辺温度を検知する複数の装置内周辺温度検知手段と、
前記装置内周辺温度検知手段により検知された各部の温度差を算出する温度差算出手段と、
前記温度差算出手段が算出した各温度差が所定範囲であるか否かを判定する温度差判定手段と、
前記温度差判定手段により各温度差が所定範囲と判定された場合に、前記ロック機構のロックを解除するよう制御する駆動制御手段と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置において、
前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御手段と、
分析開始を所定時間制限するロック機構と、
前記分析装置の筐体内の周辺温度を検知する複数の装置内周辺温度検知手段と、
前記装置内周辺温度検知手段により検知された各部の温度変化率および温度差を算出する算出手段と、
前記装置内周辺温度検知手段により検知された各部の温度、前記算出手段により算出された温度変化率および温度差が所定温度範囲であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が、各部の温度、温度変化率または温度差のいずれかひとつ以上が所定範囲と判定する場合に、前記ロック機構のロックを解除するよう制御する駆動制御手段と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
前記装置内周辺温度検知手段は、少なくとも前記恒温槽周辺に複数設置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記自動分析装置の分析可否の状態を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記制御駆動手段は、前記ロック機構のロック解除前は、前記表示手段により前記分析装置が分析待機状態である旨表示し、前記ロック機構のロック解除後であって、前記表示手段による分析可能状態の表示以降に、前記判定手段が、各部の温度、温度変化率または温度差のいずれかひとつ以上が所定範囲外と判定する場合に、前記表示手段により警告を表示させることを特徴とする請求項6に記載の自動分析装置。
【請求項8】
所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置の駆動制御方法において、
前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御ステップと、
前記分析装置の筐体内各部の周辺温度を検知する装置内周辺温度検知ステップと、
前記装置内周辺温度検知ステップにより検知された各部の温度が所定温度範囲であるか否かを判定する周辺温度判定ステップと、
前記周辺温度判定ステップにおいて所定温度範囲と判定される際に、分析開始を所定時間制限するロック機構のロックを解除する駆動制御ステップと、
を備えることを特徴とする自動分析装置の駆動制御方法。
【請求項9】
所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置の駆動制御方法において、
前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御ステップと、
前記分析装置の筐体内各部の周辺温度を検知する装置内周辺温度検知ステップと、
前記装置内周辺温度検知ステップにより検知された各部の温度の時間変化率を算出する温度変化率算出ステップと、
前記温度変化率算出ステップが算出した各温度変化率が所定範囲であるか否かを判定する温度変化率判定ステップと、
前記温度変化率判定ステップにおいて各温度変化率が所定範囲と判定される際に、分析開始を所定時間制限するロック機構のロックを解除する駆動制御ステップと、
を備えることを特徴とする自動分析装置の駆動制御方法。
【請求項10】
所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置の駆動制御方法において、
前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御ステップと、
前記分析装置の筐体内各部の周辺温度を検知する装置内周辺温度検知ステップと、
前記装置内周辺温度検知ステップにより検知された各部の温度差を算出する温度差算出ステップと、
前記温度差算出ステップが算出した各温度差が所定範囲であるか否かを判定する温度差判定ステップと、
前記温度差判定ステップにおいて各温度差が所定範囲と判定される際に、分析開始を所定時間制限するロック機構のロックを解除する駆動制御ステップと、
を備えることを特徴とする自動分析装置の駆動制御方法。
【請求項11】
所定温度に保持された恒温槽を備える反応テーブルと、検体または試薬を分注する分注機構と、発光部および受光部を有する測光部とを備え、前記反応テーブルに収納される反応容器に前記分注機構により検体および試薬を分注し、所定温度で反応後、測光部により反応容器内の反応液を透過する光量を測定する自動分析装置の駆動制御方法において、
前記恒温槽を所定温度に調整する恒温槽制御ステップと、
前記分析装置の筐体内各部の周辺温度を検知する装置内周辺温度検知ステップと、
前記装置内周辺温度検知ステップにより検知された各部の温度変化率および温度差を算出する算出ステップと、
前記装置内周辺温度検知ステップにより検知された各部の温度、前記算出ステップが算出した各部の温度変化率および温度差が所定範囲であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて各部の温度、温度変化率または温度差のいずれかひとつ以上が所定範囲と判定される際に、分析開始を所定時間制限するロック機構のロックを解除する駆動制御ステップと、
を備えることを特徴とする自動分析装置の駆動制御方法。
【請求項12】
前記自動分析装置の分析可否の状態を表示する表示ステップを含むことを特徴とする請求項8〜11のいずれか一つに記載の自動分析装置の駆動制御方法。
【請求項13】
前記制御駆動ステップは、前記ロック機構のロック解除前は、前記表示ステップにより前記分析装置が分析待機状態である旨表示し、前記ロック機構のロック解除後であって、前記表示ステップによる分析可能状態の表示以降に、前記判定ステップが各部の温度、温度変化率または温度差のいずれかひとつ以上が所定範囲外と判定した場合に、前記表示ステップにより警告を表示させることを特徴とする請求項12に記載の自動分析装置の駆動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−66108(P2010−66108A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232293(P2008−232293)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】