説明

自動分析装置および試料容器

【課題】自動分析装置において、試薬ボトルの蓋の適切な載置場所を確保することにより、試薬ボトルを試薬庫から取り外す際の測定者等の混乱を回避し、試薬ボトルと蓋の対応関係を明瞭にする技術の提供を目的とする。
【解決手段】自動分析装置が試薬庫に収容された試薬ボトルの配列と並行した配列で、かつ試薬ボトルと1対1で対応する位置において、対応する試薬ボトルの蓋を保持可能な凹部または凸部を有する載置台を備え、移動手段によって試薬庫内部で試薬ボトルが移動した後においても、当該移動開始前の試薬ボトルと蓋との対応関係が保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体中に含まれる成分、特に血液や尿等に含まれる化学成分を分析する自動分析装置とそれに用いる試料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機関の検査室などで自動分析装置が用いられている。この自動分析装置は、反応管で血液や尿等の被検試料(以下、「検体」とする。)と試薬とを分注してこれらを反応させた後、反応によって生じる色調の変化を光測定することにより検体中の被測定物質または酵素の濃度や活性を測定する。
【0003】
また、一般に自動分析装置は試薬庫を備えており、この試薬庫には多数の試薬ボトルが設置可能とされている。これらの試薬ボトルそれぞれには、自動分析装置で使用する様々な試薬が内蔵されており、この試薬は、試薬ボトルにおける試薬を注入するための注入口から注入される。また、当該試薬ボトルの注入口には、蓋が装着可能とされており、この蓋が注入口を塞いでいる。
【0004】
このような自動分析装置には様々な種類のものがあり、例えば次のようなものがある。試薬ボトル(試料容器)から目的の試薬を吸引(分取)するプローブと、試薬庫内で回転する試薬ボトルとを有する自動分析装置において、試薬庫に、プローブの移送軌跡と、試薬容器の注入口(吸引口)の移動軌跡とが交わる位置に複数の試薬容器の吸引位置を設ける。さらに、試薬容器は移動距離の短くなる吸引位置を選択して移動するように構成されたものがある(特許文献1)。この自動分析装置は、試薬容器の移動距離を短く構成することにより、試薬液面の揺れを抑え試薬分注不良等を防止することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−48801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような自動分析装置において検体の分析・測定を行う場合には、試薬ボトルの設置後、試薬ボトルの注入口から外した蓋を図10のように処理していた。図10は、従来の自動分析装置における試薬庫および当該試薬庫上に載置された試薬ボトルの蓋を示す概略斜視図である。
【0007】
自動分析装置を用いて検体の分析・測定を行うにあたり、測定者等は、注入口の蓋をはずして試薬ボトルを試薬庫に設置する。このとき従来の自動分析装置を用いる場合、測定者等はこの試薬ボトルの蓋を自動分析装置の空きスペース、例えば図10に示すような試薬庫310の上面を覆う試薬庫扉311の上に載置していた。
【0008】
また、自動分析装置による検体の分析・測定を行った後に測定者等は、試薬ボトルを試薬庫から取り外し、試薬ボトルの注入口の蓋を閉める。
【0009】
しかしながら、試薬ボトルは一旦、試薬庫に設置されると当該試薬ボトルの側面や下面に記載された内蔵試薬名などの情報を視認することができないものが多い。また、試薬ボトル自体に試薬名が記載されていないものがある。このような場合、図10のように装置の空きスペース等に蓋が散乱していると、載置されている蓋がどの試薬ボトルに対応するものなのかがわからなくなり、混乱が生じる。さらに誤って蓋を元の試薬ボトルと異なる試薬ボトルの注入口に取り付けてしまうと、蓋の内側に付着した元の試薬ボトルにかかる試薬と、誤って取り付けられた試薬ボトルに内蔵された試薬とが反応してしまうおそれがある。すなわち次に当該試薬を使用する際に、自動分析装置による分析・測定に支障をきたすおそれが生じる。
【0010】
また、自動分析装置の空きスペース等に載置された試薬ボトルの蓋が、自動分析装置の機構部、例えば検体を収容した検体ラックを搬送する搬送装置の隙間に挟まってしまうことがある。これにより当該機構部から騒音が生じたり、機構部の誤動作が生じたりする場合があった。さらには、当該機構部の損傷、破損につながるおそれがあった。
【0011】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、試薬ボトルが設置される試薬庫を備えた自動分析装置において、試薬ボトルの蓋の適切な載置場所を確保することにより、試薬ボトルを試薬庫から取り外す際の測定者等の混乱を回避し、試薬ボトルと蓋の対応関係を明瞭にする技術の提供を目的とする。さらには、自動分析装置の機構部に蓋が挟まってしまうことによる騒音、誤動作および機構部破損を防止することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、試料を注入可能とする注入口と該注入口を塞ぐ蓋とを有する試料容器それぞれを隣接させて複数配列し保持する保持部と、該保持部ごと該試料容器を収容する試薬庫と、少なくとも該保持部を移動することにより該保持された試料容器を移動可能とする移動手段とを有する自動分析装置であって、前記試薬庫に収容された前記試料容器の配列と並行した配列で、かつ該試料容器と1対1で対応する位置において、対応する前記蓋を保持可能な載置台を備え、前記移動手段によって前記試薬庫内部で前記試料容器が移動した後においても、該移動開始前の該試料容器と前記蓋との対応関係が保持されること、を特徴とする自動分析装置である。
また上記の課題を解決するために、請求項8記載の発明、自動分析装置における試薬庫に設置され、かつ試料を注入可能とする注入口と該注入口を塞ぐ蓋とを有する自動分析装置用の試料容器であって、前記試料容器における前記注入口が形成されている面において前記蓋を保持可能な大きさの凹部を備えたこと、を特徴とする試料容器である。
また上記の課題を解決するために、請求項12記載の発明は、自動分析装置の試薬庫に設置可能であり、かつ試料を注入可能とする注入口と該注入口を塞ぐ蓋とを有する試料容器であって、前記試料容器における前記注入口が形成されている面において前記蓋を保持可能な大きさの凸部を備えたこと、を特徴とする試料容器である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、当該自動分析装置が試薬ボトルと対応づけられた位置に、試薬ボトルの蓋の設置場所を確保することにより、当該試薬ボトルと当該蓋とが一対一となるように対応関係を保つことが可能である。したがって、試薬ボトルの蓋が散乱してしまう事態を防止することができるので、測定者等の混乱を回避することができる。また、蓋を取り違えてしまうことによって自動分析装置の分析・測定に支障をきたす事態を防止することが可能となる。さらには、蓋が散乱していることによって自動分析装置の機構部に支障をきたす事態を防止することが可能となる。
【0014】
また、請求項8及び12記載の発明によれば、試料容器自体に蓋の設置場所が設けられていることにより、当該試薬ボトルと当該蓋とが一対一となるように対応関係を保つことが可能である。したがって、試薬ボトルの蓋が散乱してしまう事態を防止することができるので、測定者等の混乱を回避することができる。また、蓋を取り違えてしまうことによって自動分析装置の分析・測定に支障をきたす事態を防止することが可能となる。さらには、蓋が散乱していることによって自動分析装置の機構部に支障をきたす事態を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の一例について図1〜図9を参照して説明する。
【0016】
[第1実施形態]
(全体構成)
この発明の第1実施形態にかかる自動分析装置100の全体構成の概略について、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態にかかる自動分析装置100の概略構成を示す全体斜視図である。
【0017】
図1に示すようにこの実施形態にかかる自動分析装置100は、分析部210を備えている。分析部210は、試薬ラック111を収納した第1試薬庫110と、当該第1試薬庫110に並設され試薬ラック121を収納した第2試薬庫120と、を備え、検体の分析に使用する試薬を供給可能とする。また、分析部210は、第1試薬庫110の周囲に配置され反応管131を複数配置可能な反応ディスク130と、第1試薬庫110近傍に配置され、複数の検体容器141を搬送するサンプラ140と、を備え、検体を装置の各部へ搬送可能とする。また、分析部210は、試薬を反応管131へ搬送する分注アーム112・122と、検体を反応管131へ搬送するサンプリングアーム142とを備え、検体や、試薬を異なる容器間で分注・吐出可能とする。また、分析部210は、反応ディスク130の周囲に設置される攪拌ユニット150、測光ユニット160、洗浄ユニット170を備え、検体の測定などを実行する。
【0018】
〈試薬ラックおよび第1試薬庫〉
図1に示すように第1試薬庫110の内部には、複数の試薬ボトル180を環状に並べて設置可能な試薬ラック111が設けられている。この試薬ラック111に設置された試薬ボトル180には、標準試料や被検試料に含まれる各項目の成分に対して選択的に反応する第1試薬が入っている。また、この試薬ラック111は、後述する制御部200によって制御された試薬ラック駆動部211により、試薬ボトル180を収容した状態で回転可能にされている。また、第1試薬庫110における開口部分の上端縁の円周部には、試薬ボトル180の蓋182を保持可能とする載置台113を備えている。この載置台113については後述する。なお、試薬ボトル180は、本発明の「試料容器」の一例に該当する。また、試薬ラック111・121は、本発明の「保持部」の一例に該当する。
【0019】
〈第2試薬庫〉
また、第2試薬庫120は、図1に示すように第1試薬庫110の近傍に配置され、当該第1試薬庫110と同様の構成となっている。つまり第2試薬庫120内部には、試薬ボトル180を収容し、回転移動可能に構成された試薬ラック121を備え、開口部分の上端縁の円周部分に試薬ボトル180の蓋を保持可能とする載置台123を備える。また試薬ラック121には、標準試料や被検試料に含まれる各項目の成分に対して選択的に反応する第2試薬が入った試薬ボトル180が設置される。また、本発明における自動分析装置は、複数の試薬庫を有するものに限られず、例えばこの第2試薬庫120を備えない構成であってもよい。
【0020】
〈反応ディスク〉
また、図1に示すように反応ディスク130は、第1試薬庫110の周囲を囲うように円環状に形成される。この反応ディスク130には、自動分析装置100によって分析・測定を行うための検体および試薬を収容する反応管131が、当該反応ディスク130の形状に合わせて円環状に配列されて設置される。この反応管131は、上端が開放されており、この開口部分から第1・第2試薬や検体を分注可能とするため、開口部分が上方へ向くように反応ディスク130に設置される。また、反応ディスク130は、反応管131を収容したまま回転移動する。
【0021】
〈分注アーム〉
当該反応ディスク130の周囲には、分注アーム112が設けられる。この分注アーム112は、反応ディスク130の近傍で略垂直に立設する回動軸112aと、当該回動軸112aの上端に回動軸112aと略直交して回動可能に接続されたアーム部112bと、当該アーム部112bの回動軸112a側に対する他端に接続されたプローブ112cとを備えて構成される。分注アーム112は、回動軸112aを軸中心として、アーム部112bおよび当該アーム部112bの先端に接続されたプローブ112cが回動するように構成されている。このプローブ112cの回動範囲は、少なくとも第1試薬庫110に収容された試薬ボトル180の注入口181と、反応管131との間を往復可能とする範囲である。またプローブ112cは、アーム部112bに対し、上下動(昇降)可能に接続されている。またこのプローブ112cは、ポンプを備えており第1試薬庫110に収容された試薬ボトルの注入口181から試薬を吸引し、検体が収容された反応管131に吐出・分注する。
【0022】
また、図1に示すように反応ディスク130と第2試薬庫120の間には、分注アーム122が設けられている。分注アーム122は、分注アーム112と同様の構成となっており、回動軸122a、アーム部122bおよびプローブ122cを備えている。また、回動軸122aを軸中心とし、アーム部122bを介してプローブ122cが回動する。プローブ122cの回動範囲は、少なくとも第2試薬庫120に収容された試薬ボトル180の注入口181と、反応管131との間となる。また、プローブ122cは、アーム部122bに対し上下動可能に接続され、ポンプを備えており、第2試薬庫120に収容された試薬ボトル180の注入口181から試薬を吸引し、検体が収容された反応管131に吐出・分注する。なお、自動分析装置が単一の試薬庫のみを有して構成される場合は、当該第2試薬庫120に対応する分注アーム122は設けられない。
【0023】
〈サンプラ〉
また、図1に示すようにサンプラ140は、円盤状の外形を有し、第1試薬庫110、反応ディスク130および第2試薬庫120の近傍に配置される。また、このサンプラ140は上面に、所定個数の検体容器141を収容可能な検体ラック(不図示)を複数備えており、回転移動して検体容器141を検体ラックごと移動させる。当該検体容器141には、各項目の標準試料や被検試料などの検体が収容されている。
【0024】
〈サンプリングアーム〉
また、図1に示すように反応ディスク130とサンプラ140との間には、サンプリングアーム142が設置される。サンプリングアーム142は、分注アーム112・122と同様の構成となっており、回動軸142a、アーム部142bおよびプローブ142cを備えている。また、回動軸142aを軸中心とし、アーム部142bを介してプローブ142cが回動する。プローブ142cの回動範囲は、サンプラ140に収容された検体容器141と、反応管131との間となる。また、プローブ142cは、サンプラ140に収容された検体容器141から検体を吸引し、反応管131に吐出・分注する。
【0025】
〈攪拌ユニット〉
また、図1に示すように、攪拌ユニット150は反応ディスク130の近傍であって、サンプリングアーム142の位置より、反応ディスク130の回転方向における下流側へ配置される。サンプラ140にあった検体が分注され、かつ第1試薬庫110、第2試薬庫120にあった試薬が分注された各反応管131は、反応ディスク130の回転移動により、当該攪拌ユニット150の位置まで移動する。攪拌ユニット150は搬送されてきた反応管131に内蔵された、検体と試薬の混合液を攪拌する。このように検体と試薬とが、反応管131内で攪拌されることにより、検体内の特定の成分と試薬との反応が生じ、検体の吸光度が変化する。
【0026】
〈測光ユニット〉
また、図1に示すように、測光ユニット160は反応ディスク130の近傍であって、攪拌ユニット150の位置より、反応ディスク130の回転方向における下流側(進行方向側)へ配置される。攪拌された検体と試薬の混合液を有する反応管131は、反応ディスク130によって、攪拌ユニット150の攪拌位置から下流側に配置された測光ユニット160の位置(図1参照)まで移動する。測光ユニット160は、搬送されてきた反応管131に内蔵され、攪拌された検体と試薬の混合液の吸光度を測定する。このように測光ユニット160で検体の吸光度を測定することにより、検体内における特定の成分についての濃度を得ることができる。
【0027】
〈洗浄ユニット〉
また、測定ユニット160により吸光度を測定され、分析が終了された検体と試薬の混合液は、洗浄ユニット170により反応管131から廃棄される。また混合液が廃棄された状態の反応管131は、洗浄ユニット170により洗浄される。
【0028】
(試薬庫の構成)
次に本実施形態における試薬庫の構成につき、第1試薬庫110を例として図2を用いて説明する。図2(A)は、第1実施形態における第1試薬庫110における載置台113および複数の試薬ボトル180を収容する試薬ラック111を示す概略斜視図である。図2(B)は、試薬ボトル180の外観を示す概略斜視図である。第2試薬庫120は、第1試薬庫110と同様の構成となる。ただし、全体・各部の大きさや、試薬ラック111と試薬ラック121における試薬ボトル180の許容収容数が異なる場合があるものとする。
【0029】
上述のように、図2(A)に示す第1試薬庫110は、上面が開放された開口部を有した円筒状に形成され、内部の深さは、試薬ボトル180の高さよりやや深くなるように形成される。また、第1試薬庫110の内部に配置される試薬ラック111は、略円形に形成され、試薬ボトル180を円環状に並べて配置可能に形成されている。
【0030】
図2(B)に示すように試薬ボトル180は、対向して配置される一対の面をそれぞれ略台形に形成し、これらを上面および下面とし、当該面と直交する方形の面とからなる六面体として構成される。つまり、上面および下面は、一端側から他端側へ幅が狭くなっていくように形成されている。また、図2(A)・(B)に示すように、試薬ボトル180の上面において、幅が広い側の一端側に注入口181を備えている。この注入口181は、円筒形状となっており、上端の開口部分から第1試薬が注入されるために設けられ、またプローブ112cによって内蔵する第1試薬を吸引可能とするために設けられるものである。また、試薬ボトル180は、注入口181に対し着脱可能な蓋182を備えている。さらに試薬ボトル180の一端側に対する他端側には切片部183が設けられる。
【0031】
図2(A)に示すように、試薬ラック111は、このような形状の複数の試薬ボトル180それぞれが、互いに隣接して設置されるように構成され、かつ各試薬ボトル180の上面の注入口181を隣接させて設置されるように構成される。つまり試薬ボトル180は、試薬ラック111の中心から注入口181が外側(外周側)へ向くように設置される。このような向きで試薬ボトル180を設置することにより、試薬ボトル180は試薬ラック111に対し、試薬ラック111の中心から放射(輻射)状にかつ環状に設置されて収容される。
【0032】
また、図2(A)に示すように、試薬ラック111に配置される試薬ボトル180は、注入口181側の背面(図2(B)参照)が第1試薬庫110の内壁と隣接するように配置される。さらに図2(A)に示すように、第1試薬庫110は、当該第1試薬庫110の開口部の端縁において、このように隣接して設置される試薬ボトル180群の周囲を囲うように形成された環状の載置台113を備えている。
【0033】
また図2(A)に示すように、この載置台113には、収容された試薬ボトル180における試薬ラック111の中心側(内側)から注入口181側(外側)へ向かう方向の延長線上の位置に、各試薬ボトル180それぞれに対応して、蓋182を嵌合させて保持可能な嵌合部114が設けられている。
【0034】
この嵌合部114は、載置台113の上面に、第1試薬庫110の中心側(内側)から収容された試薬ボトル180の注入口181側(外側)へ向かう方向へ伸長する凹形状の溝が形成されることによって構成される。また、この溝は、溝の中央部分に向かって幅方向に膨出し、徐々に幅が広くなっている。この溝の中央部分の膨出する形状は、蓋182の外形に合わせた形状(円弧状)に形成される。
【0035】
図2(A)に示すように、嵌合部114における溝の当該中央部分の幅(載置台113の円周方向における溝の内壁間の長さ)は、試薬ボトル180の蓋182の円形部分の直径とほぼ同じ長さを有する。また、嵌合部114は可撓性を有する素材によって構成されている。また、嵌合部114の溝の深さは、蓋182の高さの約1/3〜1/2の長さとなる。したがって、嵌合部114は、試薬ボトル180の蓋182を挟むようにして保持することが可能である。
【0036】
なお、試薬ボトル180の蓋182には試薬が付着している場合があるので、蓋182を載置した際、当該載置台113に該試薬が付着する可能性がある。したがって嵌合部114を含む載置台113には、試薬に反応しにくい素材、または試薬に対する耐薬性を有する素材が用いられる。例えば、試薬ボトルと同様の素材を用いて形成される。
【0037】
このように、試薬ラック111に環状に設置された試薬ボトル180の周囲には、載置台113が設けられている。また載置台113には、第1試薬庫110の中心から輻射状に設置された試薬ボトル180の延長線上に嵌合部114が設けられている。したがって、自動分析装置100を用いて分析・測定を行うに際して試薬ボトル180の注入口181の蓋182を取り外した後、試薬ボトル180の周囲にある載置台113、嵌合部114に載置することが可能となる。すなわち、試薬ボトル180それぞれに対応して蓋182の載置場所を確保することができ、蓋182が自動分析装置100内で散乱せず、測定者等の混乱を回避することが可能となる。また、蓋が散乱することによって、自動分析装置100の各種機構部に蓋が入り込み、当該機構部の破損や騒音の発生を防止することが可能となる。
【0038】
(制御)
次に、図3を用いて、自動分析装置100の制御構成について説明する。図3は、この発明の実施形態にかかる自動分析装置の構成を示すブロック図である。
【0039】
図3に示すように自動分析装置100は、先に述べた分析部210の他に、データ処理部220、操作部230、表示部240、印刷部250および記憶部260を備える。また、これらの各部は制御部200によって制御される。
【0040】
制御部200は例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。記憶部260には、あらかじめ制御プログラムが記憶され、CPUが当該制御プログラムを適宜RAM上に展開することにより、制御部200として機能する。
【0041】
分析部210は、第1試薬庫110の試薬ラック111と第2試薬庫120の試薬ラック121とをそれぞれ駆動する試薬ラック駆動部211、分注アーム112・122とサンプリングアーム142をそれぞれ駆動するアーム駆動部212、反応ディスク130を駆動する反応ディスク駆動部213、サンプラ140を駆動するサンプラ駆動部214、を備えている。自動分析装置100の操作者が、操作部230を介し、自動分析装置100を稼働させる操作を行うと、制御部200は当該操作に基づき、上述の制御プログラムに基づき、分析部210の各駆動部を、あらかじめ定められた量だけ駆動するよう制御を行う。また、分析部210の各部は、それぞれの動作に合わせて同期して作動するように制御され、かつ連動するように駆動される。
【0042】
〈試薬ラック駆動部〉
試薬ラック駆動部211は、制御部200により試薬ラック111と試薬ラック121とをそれぞれ回転駆動させる。第1実施形態の試薬ラック駆動部211は、自動分析装置100の測定時に、制御部200により試薬ラック111および試薬ラック121を所定角度回転させ、その後暫時停止するという動作を繰り返すように駆動される。なお、試薬ラック駆動部211は、本発明における「移動手段」の一例に該当する。
【0043】
この所定角度とは、試薬ラック111・121における分注アーム112・122の分注位置を基準に、試薬ボトル180が1つ分移動するように試薬ラック111・121が回転移動するような角度である。また、この試薬ラック111・121が停止する時間は、少なくとも分注アーム112・122がプローブ112c・122cを試薬ボトル180の注入口181に到達させてから第1試薬・第2試薬の吸引動作を終了し、分注アーム112・122が回動動作を開始するまでの間である。
【0044】
また、第1実施形態の試薬ラック駆動部211は、制御部200に制御され、自動分析装置100の測定終了時に、試薬ラック111・121を測定開始前の初期位置に戻すように回転駆動する。すなわち、試薬ラック駆動部211は試薬ラック111・121を測定開始前、すなわち回転動作前の試薬ラック111・121の位置(以下、単に「初期位置」という。)に戻す位置復帰動作を行う(本発明の「第1位置復帰手段」の一例に該当する)。
【0045】
例えば、制御部200が試薬ラック駆動部211によって試薬ラック111・121を回転移動させた量(または回数)を記憶部260等に記憶させておき、制御部200は、当該記憶しておいた、測定開始時から終了時までの間に試薬ラック111・121を回転させた量だけ各試薬ラック111・121を元に戻すように試薬ラック駆動部211を駆動させる。試薬ラック111・121の回転する角度は上述の通り、あらかじめ定められているので、制御部200は試薬ラック駆動部211を所定回数回転させることにより、位置復帰動作を行わせる。
【0046】
なお、制御部200は、測定者による操作部230の操作を介して測定終了の指示を受けることによって測定終了と判断してもよく、またはあらかじめ定められた測定工程の全部を終了させたことによって測定終了と判断してもよい。
【0047】
また、記憶部260等が記憶している試薬ラック111・121の回転量が360°以上であるとき(例えば540°のとき)は、位置復帰動作における試薬ラック111・121の回転量を360°以下となるように差し引き(例えば540°−360°)、差し引いた分(例えば180°)の量だけ復帰動作させるように構成してもよい。
【0048】
〈サンプラ駆動部〉
サンプラ駆動部214は、制御部200によりサンプラ140を回転駆動させるように駆動される。このサンプラ140の回転動作は、サンプリングアーム142のプローブ142cの吸引および分注動作に同期して行われる。すなわちサンプラ駆動部214は制御部200により、サンプラ140を所定角度回転させその後暫時停止させるという動作を繰り返すように駆動される。また、サンプラ駆動部214はサンプリングアーム142のプローブ142cによる吸引動作が完了するまで停止しているが、当該吸引が完了すると、再び回転動作を開始する。このようにサンプラ駆動部214は、サンプリングアーム142の動作に同期して、サンプラ140を所定角度回転させ、停止させ、再び回転させるという一連の動作を繰り返すように制御される。この所定角度とは、サンプリングアーム142のプローブ142cの停止位置に、吸引が完了した検体容器141の次の検体容器141が位置するようにサンプラ140が回転移動するような角度である。
【0049】
なお、サンプラ駆動部214は、必ずしもサンプリングアーム142に同期して駆動する必要はない。例えば、サンプリングアーム142のプローブ142cが1つの検体容器141に収容された検体の吸引を完了した時点から、次の検体容器141の検体の吸引を完了するまでの時間に基づき、制御部200が、サンプラ駆動部214を駆動させる制御を行ってもよい。
【0050】
〈アーム駆動部〉
アーム駆動部212は、分注アーム112・122およびサンプリングアーム142の回動軸112a・122a・142aをそれぞれ駆動する各駆動部と、プローブ112c・122c・142cを上下動させるようにそれぞれ駆動する各駆動部と、プローブ112c・122c・142cの吸引および分注動作をそれぞれ行わせる各駆動部によって構成される。
【0051】
アーム駆動部212における、回動軸112a・122a・142aをそれぞれ駆動する各駆動部は、各アームにおける各プローブを、吸引場所から反応ディスク130の反応管131の位置(後述の分注位置)まで回動させるために、制御部200に制御されて各回動軸を回動させるように駆動される。
【0052】
アーム駆動部212における、プローブ112c・122c・142cをそれぞれ上下動させるように駆動する各駆動部は、各アームが回動することによりプローブ112c・122cが第1試薬・第2試薬の吸引位置に到達したとき、およびプローブ142cが検体の吸引位置に到達したときに、各プローブの下端をそれぞれ吸引対象へ向けて下降させて、当該対象物を吸引可能とするように駆動される。また、対象物を吸引した後においては、各アームを回動可能とするためにプローブ112c・122c・142cを上昇させるように駆動される。
【0053】
さらに当該各駆動部は、プローブ112c・122c・142cが反応管131の位置に到達したときは、各プローブの下端をそれぞれ反応管131へ向けて下降させて、吸引した対象物を分注可能とするように駆動される。また、当該対象物を分注した後においては、再び各アームを回動可能とするためにプローブ112c・122c・142cを上昇させるように駆動される。
【0054】
アーム駆動部212におけるプローブ112c・122c・142cの吸引および分注動作をそれぞれ行わせる各駆動部は、各アームに設けられたポンプによって、吸引位置においては吸引動作を、分注位置においては分注動作を行うように駆動される。なお、分注アーム112は第1分注位置、分注アーム122は第2分注位置、サンプリングアーム142は、検体分注位置において分注を行う。
【0055】
〈反応ディスク駆動部〉
反応ディスク駆動部213は、制御部200により反応ディスク130を回転駆動させるように駆動される。この反応ディスク130の回転動作は、分注アーム112・122、サンプリングアーム142の各プローブ112c・122c・142cにおける分注動作や、攪拌ユニット150、測光ユニット160、洗浄ユニット170の各動作に同期して行われる。
【0056】
すなわち、反応ディスク駆動部213は、制御部200により反応ディスク130が所定角度回転する度に暫時停止させるように駆動される。また、反応ディスク駆動部213は各プローブ112c・122c・142cによる分注動作が完了するまで回転移動を停止する。また反応管131それぞれに対する攪拌ユニット150、測光ユニット160、洗浄ユニット170の各動作が完了するまで回転移動を停止する。その後、反応ディスク130の周囲にある各部が反応管131に対する各種動作を完了すると、再び回転動作を開始する。
【0057】
このように反応ディスク駆動部213は、各プローブ112c・122c・142cや攪拌ユニット150、測光ユニット160、洗浄ユニット170の動作に同期して、反応ディスク130を所定角度回転させ、停止させ、再び回転させるという一連の動作を繰り返すように制御される。この所定角度とは、各部の動作位置(例えばサンプリングアーム142の分注位置)を基準に、反応管131が1つ分移動するように反応ディスク130が回転移動するような角度である。
【0058】
〈データ処理部〉
データ処理部220は、標準試料や被検試料の測定により分析部210から出力される標準試料のデータや被検試料のデータを処理して検量線の作成や分析データの生成を行う。これら被検試料のデータや分析データは、記憶部260に送信されて、記憶される。また、これらのデータは測定者の指示によって、表示部240に表示され、印刷部250によって印刷される。
【0059】
〈操作部および表示部〉
操作部230はキーボード、マウスや電子ペンを含んで構成される。なお、電子ペンが設けられる場合、表示部240にはディスプレイとしてタッチパネル式のLCD(Liquid Crystal Dispray/例えばタブレット)が用いられる。操作部230によって各項目の標準試料や検量線などの分析条件の入力や、各種コマンド信号を入力可能とする。
【0060】
〈印刷部〉
印刷部250は、データ処理部220や記憶部260から各種データを受け、分析結果等の印刷を行う。
【0061】
(動作)
次に、本実施形態の自動分析装置100を用いて測定者が測定を行う際の測定者の動作指示に対応する自動分析装置100の動作について概略を説明する。
【0062】
まず測定者は、自動分析装置100の測定の準備として、検体を検体容器141に収容する。また測定者は、必要に応じて試薬ボトル180に第1試薬を補充する。あわせて測定者は、第1試薬を補充した試薬ボトル180を第1試薬庫110の試薬ラック111に収容する。その際、測定者は試薬ボトル180の注入口181を塞いでいた蓋182を、第1試薬庫110の載置台113の、当該試薬ボトル180の収容位置に対応する嵌合部114に載置する。第2試薬庫120についての準備も同様である。
【0063】
測定者が測定の準備を完了し、操作部230によって測定開始の指示をすると、自動分析装置100では、分析部210が検体と試薬を混合して、攪拌し、測定する。測定された結果は、表示部240に表示されるとともに、記憶部260に記憶される。また、測定者の指示に応じて印刷部250は測定結果を印刷して出力する。
【0064】
自動分析装置100は、操作部230を介して操作者による測定の終了指示を受けたこと、またはあらかじめ定められた測定工程の全部を終了することによって測定を終了させる。測定を終了すると、制御部200が記憶部260等に記憶しておいた試薬ラック111・121の回転量を読み出す。制御部200はその回転量に基づき、試薬ラック111・121を測定開始前における初期位置まで戻す位置復帰動作を試薬ラック駆動部211に行わせる制御を行う。
【0065】
試薬ラック111・121は試薬ラック駆動部211によって、初期位置まで回転移動する。
【0066】
(作用・効果)
以上説明した第1実施形態にかかる自動分析装置100の作用及び効果について説明する。
【0067】
第1実施形態にかかる自動分析装置100は、試薬ボトル180を収納する試薬庫(第1試薬庫110・第2試薬庫120)に蓋182の載置台113および第2試薬庫120における載置台(不図示)を設け、これらの載置台には、蓋182を嵌合させて保持する嵌合部(114)が設けられている。また、これらの嵌合部は試薬ラック111・121に収容された各試薬ボトル180それぞれに対応した位置に設けられている。また制御部200は測定終了時において、試薬ラック駆動部211に試薬ラック111・121を初期位置に戻す位置復帰動作を行わせる。
【0068】
したがって、自動分析装置による検体の分析・測定を行った後においても当該試薬ボトル180と当該試薬ボトル180の蓋182とが一対一となるように対応関係を保つことが可能である。また、試薬ボトル180の蓋182が散乱してしまう事態を防止することができるので、測定者等の混乱を回避することができる。また、蓋182を取り違えてしまうことによって、蓋182を本来の試薬ボトル180と異なる試薬ボトルに取り付けてしまい、蓋182に付着した試薬と試薬ボトル内の試薬が反応してしまい、自動分析装置100の分析・測定に支障をきたす事態を防止することが可能となる。さらには、蓋182が散乱していることによって自動分析装置100の機構部に支障をきたす事態を防止することが可能となる。
【0069】
(変形例)
以上説明した第1実施形態における自動分析装置100の制御部200は、試薬ラック111・121の位置復帰動作を行うにあたり、試薬ラック駆動部211により試薬ラック111・121を回転移動させた量を記憶しておくことにより、その量だけ試薬ラック111・121を元に戻すように構成されているが、本発明における自動分析装置の位置復帰動作の制御は他の構成であってもよい。
【0070】
例えば、第1試薬庫110および第2試薬庫120において基準となる位置を定めてこれを初期位置とするとともに、試薬ラック111・121の近傍(下方、周囲など)に位置検出手段(ロータリーエンコーダ等)を設ける。制御部200は、位置検出手段から位置情報を受け、第1試薬庫110、第2試薬庫120における基準位置からの試薬ラック111・121の変位量を求め、その変位量に基づいて、測定終了時における試薬ラック111・121の位置から初期位置まで戻すように試薬ラック駆動部211を駆動させるように構成してもよい。
【0071】
また、本発明の自動分析装置における位置復帰動作のその他の手段としては例えば次のようなものがある。円環状の第1試薬庫110および第2試薬庫120におけるいずれかの位置を基準位置とし、かつ試薬ラック111・121においても基準位置を設け、試薬ラック111・121の回転移動開始時には必ずこれらの基準位置を合わせておく。こうした上で、測定終了時に制御部200が試薬ラック111・121の基準位置を、試薬庫110・120の基準位置に合わせるように試薬ラック駆動部211を駆動させる構成であってもよい(本発明の「第2位置復帰手段」の一例に該当する)。
【0072】
このような構成においても、自動分析装置による検体の分析・測定を行った後においても試薬ボトル180と当該試薬ボトル180の蓋182とが一対一となるように対応関係を保つことが可能である。
【0073】
また、本実施形態における第1試薬庫110の載置台113の嵌合部114における溝の中央部分の幅は、蓋182の直径とほぼ同じ長さを有するように構成されている。ただし、本発明における自動分析装置100の嵌合部114としては他の構成であってもよい。例えば、図4に示すような嵌合部114であってもよい。図4(A)は、第1実施形態にかかる試薬庫の載置台における嵌合部114の変形例を示す概略斜視図である。図4(B)は、第1実施形態にかかる試薬庫の載置台113における嵌合部114の変形例を示す概略部分拡大図である。
【0074】
図4に示すように、第1実施形態における嵌合部114の溝の中央部分の幅は、蓋182の直径より長く形成することが可能である。この構成によっても、蓋と試薬ボトルとの対応関係を保ったまま蓋を載置することができる。また、この構成によれば、蓋の直径にばらつきがあっても、蓋を載置することが可能となるから、使用する試薬ボトルに左右されず自動分析装置の汎用性を確保することができる。
【0075】
[第2実施形態]
次にこの発明の第2実施形態にかかる自動分析装置100について説明する。
【0076】
(全体構成)
第2実施形態にかかる自動分析装置100においては、前述の第1の実施形態にかかる自動分析装置100と比較して試薬ラック駆動部211、試薬ラック111・121の動作および載置台113の嵌合部114の構成が異なる。その他の部分は第1実施形態にかかる自動分析装置100と同様である。以下、これらの相違点について図4〜図6を参照して説明する。
【0077】
第2実施形態におけるデータ処理部220、操作部230、表示部240、印刷部250、記憶部260の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を割愛する。また、第2実施形態における試薬庫と試薬ラックがともに回転するので、制御部200は試薬ラック駆動部211に位置復帰動作をさせる制御を行わない。ただし制御部200のその他の制御構成は、第1実施形態と同様である。
【0078】
また、第2実施形態にかかる分析部210のうち、分注アーム112・122、反応ディスク130、反応管131、サンプラ140、検体容器141、サンプリングアーム142、攪拌ユニット150、測光ユニット160、洗浄ユニット170、試薬ボトル180の構成も、第1実施形態と同様であるため、説明を割愛する。また、分析部210のアーム駆動部212、反応ディスク駆動部213、サンプラ駆動部214の構成や動作およびこれらを制御する制御部200の制御構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を割愛する。
【0079】
(試薬庫の構成)
第2実施形態にかかる第1試薬庫110および第2試薬庫120について、例として第1試薬庫110を挙げて説明する。第2実施形態においても第2試薬庫120は、第1試薬庫110の構成と同様である。
【0080】
第2実施形態にかかる第1試薬庫110は、第1実施形態と異なり、試薬ラック111上の試薬ボトル180とともに回転される。すなわち第2実施形態にかかる第1試薬庫110は、試薬ラック駆動部211上に載置され、試薬ラック駆動部211が制御部200により駆動されると、試薬ラック111に収容された試薬ボトル180の周りで、試薬ボトル180とともに回転する。
【0081】
また、第2実施形態における自動分析装置100においては、試薬庫(第1試薬庫110および第2試薬庫120)が試薬ラック駆動部211によって回転する。したがって、載置台113における嵌合部114は、試薬庫が回転しても試薬ボトル180の蓋182が飛散しないように構成することが必要となる。つまり、嵌合部114と蓋182との嵌合を確実にし、蓋182の保持状態を安定させる構成が必要となる。
【0082】
この点、第2実施形態にかかる嵌合部114も溝を有し、第1実施形態と同じく、当該溝に試薬ボトル180の蓋182を嵌合させて保持可能とする(図2(A)参照)。つまり、図2(A)に示す嵌合部と同じように第2実施形態における嵌合部114の溝の中央部分の幅(載置台113の円周方向における溝の内壁間の長さ)も、第1実施形態における嵌合部114と同様、蓋182の直径とほぼ同じ長さを有する。また、嵌合部114は可撓性を有する素材によって構成されている。したがって、第2実施形態における嵌合部114も、試薬ボトル180の蓋182を挟むようにして保持することが可能であり、蓋182の保持状態を安定させることが可能となる。
【0083】
(作用・効果)
以上説明した第2実施形態にかかる自動分析装置100の作用及び効果について説明する。
【0084】
第2実施形態にかかる自動分析装置100には、試薬庫に蓋の載置台を設け(図2(A)参照)、当該載置台には、蓋182を嵌合させて保持する嵌合部(114)が設けられている。また、これらの嵌合部は試薬ラックに収容された各試薬ボトル180それぞれに対応した位置に設けられている。また、第2実施形態における試薬庫は試薬ラック駆動部211上載置されており、試薬ラック駆動部211が試薬ラック111・121を回転させると、試薬庫もともに回転する。
【0085】
したがって、自動分析装置による検体の分析・測定を行った後においても当該試薬ボトル180と当該試薬ボトル180の蓋182とが一対一となるように対応関係を保つことが可能である。したがって、試薬ボトル180の蓋182が散乱してしまう事態を防止することができるので、測定者等の混乱を回避することができる。また、蓋182を取り違えてしまうことによって、蓋182を本来の試薬ボトル180と異なる試薬ボトルに取り付けてしまい、蓋182に付着した試薬と試薬ボトル内の試薬が反応してしまい、自動分析装置100の分析・測定に支障をきたす事態を防止することが可能となる。さらには、蓋182が散乱していることによって自動分析装置100の機構部に支障をきたす事態を防止することが可能となる。
【0086】
(第1変形例)
以上説明した第2実施形態における自動分析装置100の嵌合部114は、蓋182を保持するために、中央部分の幅が蓋182の直径とほぼ同じ長さとなる溝を備えて構成されている。つまり嵌合部114の溝に蓋182を嵌合させて溝の内壁によって蓋を挟んで保持するように構成されている。しかし、本発明における自動分析装置の嵌合部114はこのような構成に限られず、例えば図5のような構成とすることも可能である。図5(A)は、第2実施形態にかかる自動分析装置100の嵌合部114の変形例を示す部分拡大図である。図5(B)は、図5(A)にかかる嵌合部114に載置された蓋182を保持する保持部材を示す概略斜視図である。
【0087】
図5(A)に示すように、第2実施形態における嵌合部114の溝の中央部分の幅は、蓋182の直径より長く形成することも可能である。この場合、試薬庫が回転することによって嵌合部114に載置した蓋182が飛散しないように構成することが必要となる。この点、図5(A)に示す嵌合部114においては、溝の底面から立設し、蓋182を載置する突起部115を備えている。図5(A)に示すように、この突起部115は、蓋182の高さおよび直径より若干縮小された寸法で、かつ蓋182の内形に合わせた形状で形成されている。すなわちこの突起部115には、試薬ボトル180の蓋182を被せるようにして載置することができる。
【0088】
また図5(A)・(B)に示すように、この変形例にかかる嵌合部114では、蓋182を突起部115に載置した後に蓋182の円形部分を挟持して、突起部115に蓋182を固定する挟持部材116が設けられている。
【0089】
図5(B)に示すように挟持部材116は、コの字状の基部116aと、当該基部116aの一端から、弧を描くように湾曲して伸延する、湾曲アーム116bと、コの字状の基部116aの他端から弧を描くように湾曲して伸延し、湾曲アーム116bの弧の内側に対し弧の内側を対向させるように形成された湾曲アーム116cとによって構成されている。また、湾曲アーム116b・116cには、可撓性を有するプラスチックまたは、バネ用ステンレス(stainless steel/ステンレス鋼)が用いられる。
【0090】
このような挟持部材116において対向して配置された湾曲アーム116bと湾曲アーム116cの弧の内側部分で、突起部115に被せられた蓋182の外周部分を挟持することによって、嵌合部114上の蓋182を保持する。
【0091】
この構成によっても、蓋と試薬ボトルとの対応関係を保ったまま蓋を載置することができる。また、蓋の直径にばらつきがあっても、蓋を載置することが可能となるから、使用する試薬ボトルに左右されず自動分析装置の汎用性を確保することができる。また、試薬庫が回転しても、突起部115と挟持部材116とによって蓋182を保持するので、蓋182が飛散してしまい、蓋182が自動分析装置100の機構部に挟まって破損したり、機構部から騒音を発したりする事態を防止することができる。
【0092】
(第2変形例)
また、載置台113が設けられた試薬庫と試薬ラックがともに回転する自動分析装置100の嵌合部114のその他の構成としての第2変形例について図6(A)〜(C)を参照して説明する。図6(A)は、第2実施形態にかかる自動分析装置100の嵌合部114を示す概略部分拡大図である。図6(B)は、図6(A)に示す嵌合部114における保持台117を示す概略斜視図である。図6(C)は、図6(B)に示す保持台117の各部を示す概略斜視図である。
【0093】
上記説明した第1変形例においては、蓋182より若干小さい突起部115と、挟持部材116によって蓋182を保持する構成であるが、図6(A)に示すような第2変形例にかかる嵌合部114は、突起部115および挟持部材116の替わりに、階段状に形成され、かつ嵌合部114における溝の底面から立設する保持台117によって蓋182を保持する。
【0094】
この保持台117は、図6(B)に示すように、径の異なる3つの円柱状(または円盤状の)の保持台(117a〜117c)を備えて構成される。図6(C)に示す最も大きな径を有する下部保持台117aは、嵌合部114の溝の底面側に設けられる。同じく図6(C)に示す下部保持台117aの次に大きな径を有する中間保持台117bは、下部保持台の上に配置される(図6(B))。最も小さな径を有する上部保持台117cは、最も中間保持台117bの上に配置される。このように、保持台117は、径の大きなものが下方(溝の底面側)に配置され、径が小さくなるにつれて、順次上方に配置されて構成される。
【0095】
このように保持台117には、図6(B)蓋182の径に合わせた複数の保持台(117a〜117c)のいずれかに、蓋182が押し込まれて嵌合されることによって、蓋182が保持される。
【0096】
この構成によっても、蓋182と試薬ボトル180との対応関係を保ったまま蓋182を載置することができる。また、蓋182を保持可能な複数の保持部分(117a〜117c)を備えているから、蓋182の直径にばらつきがあっても、蓋182を載置することが可能となり、使用する試薬ボトルに左右されず自動分析装置100の汎用性を確保することができる。また、試薬庫(110・120)が回転しても、保持台117によって蓋182を保持するので、蓋182が飛散してしまい、蓋182が自動分析装置100の機構部に挟まって破損したり、機構部から騒音を発したりする事態を防止することができる。
【0097】
[第3実施形態]
次にこの発明の第3実施形態にかかる自動分析装置100について説明する。
【0098】
(全体構成)
第3実施形態にかかる自動分析装置100においては、前述の第2の実施形態にかかる自動分析装置100と比較して試薬ラック駆動部211、試薬ラック111・121の動作および第1試薬庫110および第2試薬庫120の動作が異なる。また、第2実施形態と比較して制御部200の試薬ラック駆動部211の制御が異なる。その他の部分は第2実施形態にかかる自動分析装置100と同様である。以下、これらの相違点について説明する。
【0099】
第3実施形態における試薬ラック駆動部211は、試薬ラック111と試薬庫(110・120)を個別に駆動する。すなわち、第3実施形態にかかる試薬ラック駆動部211は、第1実施形態と同様、自動分析装置100の分析・測定に伴って試薬ラック111・121を回転させる。このとき、試薬庫(110・120)は回転させない。また、試薬ラック駆動部211は、分析・測定が終了すると、第1試薬庫110を試薬ラック111の回転量だけ回転させ、同じく第2試薬庫120を試薬ラック121の回転量だけ回転させる。なお、ここでの回転量とは、回転した距離ではなく、回転した角度のことをいう。
【0100】
制御部200は、試薬ラック111・121の回転量を記憶しておき、分析・測定が終了すると記憶していた当該回転量を読み出して、当該回転量分だけ試薬庫を回転させる。つまり、試薬庫(110・120)は試薬ラック111・121が回転した分だけ回転する。したがって、試薬ラック111・121に収容された試薬ボトル180と試薬庫(110・120)の載置台113等に載置された蓋182は、試薬ラック111・121が回転する前と回転した後で同じ試薬ボトル180の位置に到達する。
【0101】
(作用・効果)
以上説明した第3実施形態にかかる自動分析装置100の作用及び効果について説明する。
【0102】
第3実施形態にかかる自動分析装置100は、測定が終了した後、試薬庫(110・120)を試薬ラック111・121の回転量分だけ回転させる。つまり、当該自動分析装置100では、試薬ラック111・121に収容された試薬ボトル180が移動することにより、回転開始前の試薬ボトル180と嵌合部114等に載置された蓋182が離れてしまうが、測定終了後に載置台113等を備えた試薬庫(110・120)が回転し、載置された蓋182が、当該蓋182に対応する試薬ボトル180の位置まで到達するように構成されている。
【0103】
したがって、自動分析装置による検体の分析・測定を行った後においても当該試薬ボトル180と当該試薬ボトル180の蓋182とが一対一となるように対応関係を保つことが可能である。また、試薬ボトル180の蓋182が散乱してしまう事態を防止することができるので、測定者等の混乱を回避することができる。また、蓋182を取り違えてしまうことによって、蓋182を本来の試薬ボトル180と異なる試薬ボトルに取り付けてしまい、蓋182に付着した試薬と試薬ボトル内の試薬が反応してしまい、自動分析装置100の分析・測定に支障をきたす事態を防止することが可能となる。さらには、蓋182が散乱していることによって自動分析装置100の機構部に支障をきたす事態を防止することが可能となる。
【0104】
[第4実施形態]
次にこの発明の第4実施形態にかかる自動分析装置100について説明する。
【0105】
(全体構成)
第4実施形態にかかる自動分析装置100においては、前述の第1の実施形態にかかる自動分析装置100と比較して試薬ラック駆動部211、第1試薬庫110および第2試薬庫120の構成が異なる。また、第1実施形態と比較して試薬ボトル180の構成が異なる。その他の部分は第1実施形態にかかる自動分析装置100と同様である。以下、これらの相違点について説明する。
【0106】
(試薬庫の構成)
第4実施形態にかかる第1試薬庫110および第2試薬庫120は、試薬ボトル180における蓋182の載置台113を備えない。
【0107】
(試薬ボトルの構成)
次に、第4の実施形態にかかる試薬ボトル180について図7を参照して説明する。図7は、第4の実施形態にかかる自動分析装置100の試薬ボトル180を示す概略斜視図である。
【0108】
図7に示すように第4実施形態にかかる試薬ボトル180は、第1実施形態にかかる試薬ボトル(図2(B)参照)と同じく、対向して配置される一対の面を略台形に形成し、これらを上面および下面とし、当該面と直交する方形の面とからなる六面体として構成される。つまり、上面および下面は、一端側から他端側へ幅が狭くなっていくように形成されている。また、図7に示すように、試薬ボトル180の上面において幅が広い側の一端に、注入口181を備えている。また、試薬ボトル180は、注入口181に対し着脱可能な蓋182を備えている。さらに試薬ボトル180は、上面において注入口181が形成されている一端と反対側の他端に切片部183を備えている。
【0109】
また図7に示すように、第4実施形態にかかる試薬ボトル180は、第1実施形態と異なり、上面かつ注入口181の近傍に、上面から陥没して形成された凹部を備えている。この凹部における、注入口181から切片部183へ向かう方向と直交し、対向して形成された一対の面は、円を描くように、かつ外側に膨出するように円弧状に湾曲している。またこの一対の面の中央部分の間隔は、蓋182の直径とほぼ同じ長さとなる。つまり、この凹部の円弧状の面は、蓋182の外形(円形状)に合わせて形成されている。また、この凹部の深さ(底面から試薬ボトル180の上面までの長さ)は、蓋182の高さの約1/3〜1/2の長さとなる。すなわち、当該凹部は、蓋182を嵌合可能にとするように形成されている。
【0110】
また図7に示すように、第4実施形態にかかる試薬ボトル180における凹部においては、上記説明した湾曲面と直交する面が開放されている。これによって開放部分から蓋182を把持することを容易にする。ただし、この開放部分は少なくとも蓋182の直径より短く形成される。試薬ボトル180は試薬ラック111・121が回転することによって遠心力を受けるため、それによって、蓋182が飛散しないようにするためである。
【0111】
(作用・効果)
以上説明した第4実施形態にかかる自動分析装置100の作用及び効果について説明する。
【0112】
第4実施形態にかかる自動分析装置100は、試薬ボトル180の蓋を、取り外した試薬ボトル180に取り付けることができる。
【0113】
したがって、自動分析装置による検体の分析・測定を行った後においても当該試薬ボトル180と当該試薬ボトル180の蓋182とが一対一となるように対応関係を保つことが可能である。また、試薬ボトル180の蓋182が散乱してしまう事態を防止することができるので、測定者等の混乱を回避することができる。また、蓋182を取り違えてしまうことによって、蓋182を本来の試薬ボトル180と異なる試薬ボトルに取り付けてしまい、蓋182に付着した試薬と試薬ボトル内の試薬が反応してしまい、自動分析装置100の分析・測定に支障をきたす事態を防止することが可能となる。さらには、蓋182が散乱していることによって自動分析装置100の機構部に支障をきたす事態を防止することが可能となる。
【0114】
また、試薬ラック111・121から試薬ボトル180を取り外す際、蓋182との対応関係を保つことができ、また、蓋182と試薬ボトル180を同時に取り外すことができるので、作業が簡易化される。
【0115】
(第1変形例)
次に、第4の実施形態にかかる自動分析装置の変形例について、以下に説明する。
【0116】
また、第4実施形態における試薬ボトル180の凹部の中央部分の幅は、蓋182の直径とほぼ同じ長さを有し、蓋182を当該凹部に嵌合させるように構成されている。ただし、第4実施形態における試薬ボトル180の凹部としては他の構成であってもよい。例えば、図8に示すような凹部であってもよい。図8は、第4実施形態にかかる試薬ボトル180の変形例を示す概略斜視図である。
【0117】
図8に示すように第1変形例においては試薬ボトル180の凹部の底面に突起部184を備えている。この突起部184は、蓋182の高さおよび直径とほぼ同様の寸法で、かつ蓋182の内形に合わせた形状で形成されている。すなわちこの突起部184には、試薬ボトル180の蓋182を被せるように押し込んで、突起部184と蓋182を嵌合させて保持させることが可能である。
【0118】
このような第1変形例の構成であっても、蓋182を対応する試薬ボトル180において保持可能とすることが可能である。
【0119】
(第2変形例)
また、蓋182を保持させる手段を設けた試薬ボトル180のその他の構成としての第2変形例について図9を参照して説明する。図9は、第4実施形態にかかる試薬ボトルの変形例を示す概略斜視図である。
である。
【0120】
上記説明した第1変形例においては、蓋182の高さおよび直径と同様の寸法かつ、蓋182の内形に合わせた形状で形成された突起部184に、蓋182を被せるように押し込んで、突起部184と蓋182を嵌合させて保持させる構成であるが、図9に示すような第2変形例にかかる突起部184は、蓋182の高さおよび直径より若干縮小された寸法で形成され、かつ突起部184には、注入口181と同様のネジ山186が形成されている。このネジ山186に蓋182の内部に形成されたネジ山を螺合させて蓋182を保持する。
【0121】
このような第1変形例の構成であっても、蓋182を対応する試薬ボトル180において保持可能とすることが可能である。
【0122】
(第3変形例)
また、蓋182を保持させる手段を設けた試薬ボトル180のその他の構成としての第3変形例について説明する。
【0123】
上記説明した第1変形例および第2変形例においては、蓋182の内形に合わせた形状で形成された突起部184に、蓋182を保持させる構成であるが、第3変形例にかかる突起部は、凹部の底面の中心から等距離に延伸する十字状に形成されている。ここでいう等距離とは蓋182の直径とほぼ同じ長さである。また突起部の高さは蓋182とほぼ同じ寸法で形成されている。
【0124】
このような第1変形例の構成であっても、蓋182を対応する試薬ボトル180において保持可能とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】第1実施形態にかかる自動分析装置の概略構成を示す全体斜視図である。
【図2】(A)第1実施形態における第1試薬庫における載置台および複数の試薬ボトルを収容する試薬ラックを示す概略斜視図である。(B)試薬ボトルの外観を示す概略斜視図である。
【図3】この発明の実施形態にかかる自動分析装置の構成を示すブロック図である。
【図4】(A)第1実施形態にかかる試薬庫の載置台における嵌合部の変形例を示す概略斜視図である。(B)第1実施形態にかかる試薬庫の載置台における嵌合部の変形例を示す概略部分拡大図である。
【図5】(A)第2実施形態にかかる自動分析装置の嵌合部の変形例を示す部分拡大図である。(B)図5(A)にかかる嵌合部に載置された蓋を保持する保持部材を示す概略斜視図である。
【図6】(A)第2実施形態にかかる自動分析装置の嵌合部を示す概略部分拡大図である。(B)図6(A)に示す嵌合部における保持台を示す概略斜視図である。(C)図6(B)に示す保持台の各部を示す概略斜視図である。
【図7】第4の実施形態にかかる自動分析装置の試薬ボトルを示す概略斜視図である。
【図8】第4実施形態にかかる試薬ボトルの変形例を示す概略斜視図である。
【図9】第4実施形態にかかる試薬ボトルの変形例を示す概略斜視図である。
【図10】自動分析装置における試薬庫および当該試薬庫上に載置された試薬ボトルの蓋を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0126】
100 自動分析装置
110 第1試薬庫
111 試薬ラック
112 分注アーム
113 載置台
114 嵌合部
115 突起部
116 挟持部材
116a 基部
116b・116c 湾曲アーム
117 保持台
120 第2試薬庫
130 反応ディスク
131 反応管
140 サンプラ
141 検体容器
142 サンプリングアーム
150 攪拌装置
160 測光ユニット
170 洗浄ユニット
180 試薬ボトル
190 表示部
200 制御部
210 分析部
211 試薬ラック駆動部
212 アーム駆動部
213 反応ディスク駆動部
214 サンプラ駆動部
220 データ処理部
260 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を注入可能とする注入口と該注入口を塞ぐ蓋とを有する試料容器それぞれを隣接させて複数配列し保持する保持部と、該保持部ごと該試料容器を収容する試薬庫と、少なくとも該保持部を移動することにより該保持された試料容器を移動可能とする移動手段とを有する自動分析装置であって、
前記試薬庫に収容された前記試料容器の配列と並行した配列で、かつ該試料容器と1対1で対応する位置において、対応する前記蓋を保持可能な載置台を備え、
前記移動手段によって前記試薬庫内部で前記試料容器が移動した後においても、該移動開始前の該試料容器と前記蓋との対応関係が保持されること、
を特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記試薬庫における前記保持部には、前記試料容器が環状に配列され、
前記載置台は、環状に形成され、前記保持部に保持された試料容器の配列の内側または外側に配置されること、
を特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記移動手段による前記試料容器の移動後に、前記試料容器の前記試薬庫における移動開始前の位置から該移動後の位置までのあらかじめ定められた移動量分だけ、該試料容器の位置を戻すように前記移動手段を制御する第1位置復帰手段を備えたこと、
を特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記移動手段による前記試料容器の移動後に、前記試薬庫における前記複数の試料容器のうち、特定の試料容器の位置を検出し、該試料容器を移動開始前の位置へ戻すように該移動手段を制御する第2位置復帰手段を備えたこと、
を特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記移動手段は、対応する前記試料容器と前記蓋との位置関係を保ちつつ、前記保持部とともに前記載置台を移動させること、
を特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記載置台は、対応する前記蓋を保持可能な凹部または凸部を有し、かつ前記保持部に環状に配列された試料容器の周縁近傍の位置で前記試薬庫に形成されること、
を特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記載置台は、可撓性を有するとともに前記蓋の直径とほぼ同じ幅を有して該蓋それぞれを嵌合させて保持可能な凹部を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項8】
自動分析装置における試薬庫に設置され、かつ試料を注入可能とする注入口と該注入口を塞ぐ蓋とを有する自動分析装置用の試料容器であって、
前記試料容器における前記注入口が形成されている面において前記蓋を保持可能な大きさの凹部を備えたこと、
を特徴とする試料容器。
【請求項9】
前記試料容器は、前記注入口から前記凹部へ向かう方向に長さ方向を有するように形成され、
前記凹部は、前記試料容器の前記面から、該試料容器内部側へ陥没するように形成され、かつ前記試料容器の長さ方向と平行な面が開放されて形成されること、
を特徴とする請求項8に記載の試料容器。
【請求項10】
前記凹部の開放部分の前記長さ方向における長さは、少なくとも前記蓋の径より短くなるように形成されること、
を特徴とする請求項9に記載の試料容器。
【請求項11】
前記凹部における陥没方向の深さは、前記蓋の高さのおよそ1/3程度となるように形成されること、
を特徴とする請求項8に記載の試料容器。
【請求項12】
自動分析装置の試薬庫に設置可能であり、かつ試料を注入可能とする注入口と該注入口を塞ぐ蓋とを有する試料容器であって、
前記試料容器における前記注入口が形成されている面において前記蓋を保持可能な大きさの凸部を備えたこと、
を特徴とする試料容器。
【請求項13】
前記試料容器は、前記注入口から前記凸部へ向かう方向に長さ方向を有するように形成され、
前記凸部の前記長さ方向と直交する方向の幅は、前記蓋の幅とほぼ同じ長さとなるように形成されること、
を特徴とする請求項12に記載の試料容器。
【請求項14】
前記試料容器の凸部は、前記蓋の内形に合わせた形状となるように形成されること、
を特徴とする請求項13に記載の試料容器。
【請求項15】
前記試料容器の凸部は、該凸部の中心から等距離に延伸する略十字状に形成されていること、
を特徴とする請求項12に記載の試料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−85916(P2009−85916A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259625(P2007−259625)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】