説明

自動分析装置及びその精度管理方法

【課題】精度管理に要する時間を低減し、迅速に被検試料の測定を行うことができる自動
分析装置及びその精度管理方法を提供する。
【解決手段】被検試料や判定試料を測定して被検信号や判定信号を生成する分析部18と
、生成された被検信号や判定信号から被検データや判定データを生成して記憶部32に保
存する演算部31と、被検データの生成毎に最新の被検データが異常であるか否かを推測
する精度管理部41と、記憶部32に保存された被検データが異常であるか否かを判定す
る判定部42とを備え、判定部42は、精度管理部41で異常であると推測された異常推
測情報に応じて生成された判定データに基づいて、記憶部32に保存されている被検デー
タの内の、前記異常推測情報が付加された被検データ、及びこの被検データと前記判定デ
ータの間に保存されている被検データが異常であるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に含まれている成分を分析する自動分析装置及びその精度管理方法に係
り、特に、血液や尿等の生体試料に含まれる成分を自動的に分析する自動分析装置及びそ
の精度管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目などを対象とし、ほとんどの項目は被検
試料と各項目に該当する試薬との混合液の反応によって生ずる色調などの変化を、光の透
過量を測定することにより、被検試料中の様々な成分の濃度や酵素の活性を測定する。ま
た、生化学検査項目の内のナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンなどの電解質
の項目では、被検試料とこの被検試料を希釈する試薬との混合液をイオン選択性電極を用
いて測定することにより、被検試料中の電解質の濃度を測定する。
【0003】
この自動分析装置では、被検試料毎に分析条件の設定により測定可能になった多数の項
目の中から、検査に応じて選択された項目の測定が行われる。そして、被検試料及び項目
に該当する試薬は、サンプル及び試薬分注プローブにより反応容器に分注され、反応容器
に分注された被検試料及び試薬の混合液は撹拌子により撹拌され、撹拌された混合液は測
光ユニットや電解質測定ユニットにより測定される。更に、被検試料及び試薬に接触した
サンプル及び試薬分注プローブ、混合液に接触した反応容器及び撹拌子は、洗浄された後
に繰り返し測定に使用される。
【0004】
また、測光ユニットや電解質測定ユニットでは測定により生成した被検試料の分析信号
を演算部に出力し、演算部で検量線を用いて各項目の成分の濃度や活性などの被検データ
が生成される。
【0005】
ところで、自動分析装置では、多数の被検試料の測定が正常に行われたか否かを管理す
るために、予め管理値が設定された管理試料など特定の試料を被検試料測定中の例えば一
定の間隔で測定して精度管理を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
測定終了後、自動分析装置の操作者が特定試料の管理データを確認し、管理値から外れ
た特定試料の区間で測定された被検試料については、調査してその原因を取り除いてから
その区間の被検試料が再測定される。
【特許文献1】特開2000−275249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特定の試料は予め設定した所定のタイミングで測定が行われるため、被
検試料の処理速度が低下し、検査に時間が掛かる問題がある。また、特定の試料が管理試
料である場合、管理試料が高価であるためランニングコストがかかる問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、精度管理に要する時間を低減
し、迅速に被検試料の測定を行うことができる自動分析装置及びその精度管理方法を提供
することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明の自動分析装置は、被検試料及び試
薬の混合液を測定する自動分析装置において、前記混合液を測定して被検データを生成す
る分析データ生成手段と、前記分析データ生成手段により生成された第1の被検データが
異常であるか否かを推測する推測手段と、前記推測手段により前記第1の被検データが異
常であると推測されたとき、予め設定された判定試料及び前記試薬の混合液を測定して前
記分析データ生成手段により生成された判定データに基づいて、前記第1の被検データと
前記判定データの間に前記分析手段により生成された第2の被検データが異常であるか否
かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項8に係る本発明の自動分析装置の精度管理方法は、被検試料及び試薬の混
合液を測定する自動分析装置の精度管理方法において、前記混合液を測定して被検データ
を分析データ生成手段により生成し、前記分析データ生成手段により生成された第1の被
検データが異常であるか否かを推測手段により推測し、前記第1の被検データが異常であ
ると推測されたときに、予め設定された判定試料及び前記試薬の混合液を測定して前記分
析データ生成手段により生成された判定データに基づいて、前記第1の被検データと前記
判定データの間に前記分析手段により生成された第2の被検データが異常であるか否かを
判定手段により判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被検データの生成毎に、この被検データが異常であるか否かを推測し
、異常であると推測されたときに、予め判定値が設定された判定試料の測定により生成さ
れた判定データに基づいて、異常であると推測された被検データと判定データの間に生成
された被検データが異常であるか否かを判定することができる。これにより、精度管理に
要する時間を低減し、迅速に被検試料の測定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0013】
以下に、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図8を参照して説明する。
図1は、実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装
置100は、各項目の予め標準値が設定された標準試料、予め参照値が設定された管理試
料、被検体から採取された血清及び尿などの被検試料、及び予め判定値が設定された判定
試料等のサンプルを測定する分析ユニットを有する分析部18と、分析部18における各
分析ユニットの測定動作の制御を行う分析制御部20と、各サンプルの測定により分析部
18から出力された標準信号や、管理信号、被検信号、及び判定信号の分析信号を処理し
て各項目の検量線の作成や、各分析データ(管理データ、被検データ、判定データ)の生
成を行うデータ処理部30とを備えている。
【0014】
また、データ処理部30で生成された各項目の管理データや被検データによる精度管理
を行うデータ管理部40と、データ処理部30で作成した検量線や生成した各分析データ
を出力する出力部50と、精度管理を行うための精度管理条件、管理条件、及び判定条件
の設定や、各種コマンド信号の入力等を行う操作部60と、分析制御部20、データ処理
部30、データ管理部40、及び出力部50を統括して制御するシステム制御部70とを
備えている。
【0015】
図2は、分析部18の構成の詳細を示した図である。この分析部18は、サンプルを収
容した試料容器17が所定の位置に配置されたディスクサンプラ6と、サンプルに含まれ
る各項目の成分に対して選択的に反応する第1試薬や第1試薬と対をなす第2試薬が入っ
た試薬ボトル7とを備えている。
【0016】
また、試薬ボトル7を収納する試薬ラック1と、第1試薬の入った試薬ボトル7を収納
した試薬ラック1を収納する試薬庫2と、第2試薬の入った試薬ボトル7を収納した試薬
ラック1を収納する試薬庫3と、サンプル及び試薬を収容する上側が開口した反応容器4
と、円周上に複数の反応容器4を保持する反応ディスク5とを備えている。そして、試薬
庫2、試薬庫3、及びディスクサンプラ6は夫々回動し、反応ディスク5は回転して分析
制御部20により制御された位置に停止する。
【0017】
更に、試料容器17からサンプルを吸引して反応容器4に吐出する分注動作を行うサン
プル分注プローブ16と、試薬庫2,3の試薬ボトル7から第1及び第2試薬を吸引して
反応容器4に吐出する分注動作を行う第1及び第2試薬分注プローブ14,15と、サン
プル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2試薬分注プローブ15を夫
々回動及び上下動可能に保持するサンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、及び
第2試薬分注アーム9とを備えている。
【0018】
更にまた、反応容器4内に吐出されたサンプル及び第1試薬の混合液や、サンプル、第
1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する撹拌ユニット11と、反応容器4に収容された
各混合液を測定する測光ユニット13や電解質測定ユニット19と、反応容器4内の測定
を終えた各混合液を吸引すると共に、反応容器4内を洗浄・乾燥する洗浄ユニット12と
を備えている。
【0019】
測光ユニット13は、回転移動する反応容器4に光を照射し、混合液を収容した反応容
器4を透過した光を吸光度に変換して標準信号や各分析信号を生成した後、データ処理部
30に出力する。また、電解質測定ユニット19は、反応容器4から混合液を吸引し、吸
引した混合液中のナトリウムイオン、カリウムイオン、及び塩素イオンなどの電解質を測
定して標準信号や各分析信号を生成した後、データ処理部30に出力する。そして、測定
後の反応容器4、サンプル分注プローブ16、第1及び第2試薬分注プローブ14,15
、撹拌ユニット11などの各分析ユニットは、洗浄された後、再び測定に使用される。
【0020】
分析制御部20は、分析部18の各分析ユニットを駆動する機構を備えた機構部21と
、機構部21の各機構を制御する制御部22とを備えている。機構部21は、試薬庫2、
試薬庫3、及びディスクサンプラ6を夫々回動する機構、反応ディスク5を回転する機構
、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、撹拌ユニッ
ト11、及び電解質測定ユニット19を夫々回動及び上下移動する機構、洗浄ユニット1
2を上下移動する機構等を備えている。
【0021】
図1に戻り、データ処理部30は、分析部18の測光ユニット13や電解質測定ユニッ
ト19から出力された標準信号や各分析信号から検量線の作成や各分析データの生成を行
う演算部31と、演算部31で作成した検量線や生成した各分析データなどを保存する記
憶部32とを備えている。
【0022】
演算部31は、測光ユニット13や電解質測定ユニット19から出力された各項目の標
準信号及びこの標準信号に対応する標準値から検量線を作成して記憶部32に保存すると
共に出力部50に出力する。また、測光ユニット13や電解質測定ユニット19から出力
された各項目の各分析信号(管理信号、被検信号、判定信号)に対して、その項目の検量
線を記憶部32から読み出し、読み出した検量線を用いて濃度や活性値などの各分析デー
タ(管理データ、被検データ、判定データ)を生成する。そして、生成した各分析データ
を記憶部32に保存すると共に、データ管理部40及び出力部50に出力する。
【0023】
記憶部32は、ハードディスクなどを備え、演算部31から出力された検量線を項目毎
に保存し、演算部31から出力された各分析データを時系列に保存する。
【0024】
データ管理部40は、データ処理部30の演算部31から出力された各項目の管理デー
タや被検データに基づいて精度管理を行う精度管理部41と、精度管理部41で行われた
精度管理の結果に応じて演算部31から出力された各項目の判定データに基づいてデータ
処理部30の記憶部32に保存されている被検データが異常であるか否かを判定する判定
部42とを備えている。
【0025】
精度管理部41は、システム制御部70から供給される精度管理条件及び管理条件の情
報に基づいて、演算部31から出力された管理データや被検データを保存するメモリ41
aを備えている。そして、精度管理の対象となる項目の管理データをメモリ41aに保存
し、保存した複数の管理データを項目毎に統計処理して平均値、標準偏差等の精度管理デ
ータを生成し、生成した精度管理データをデータ処理部30の記憶部32に保存すると共
に出力部50に出力する。
【0026】
また、精度管理の対象となる項目の被検データをメモリ41aに保存し、メモリ41a
への保存毎にその項目の被検データが異常であるか否かを推測する。
【0027】
そして、保存した被検データを異常であると推測したときに、その被検データの異常推
測情報を、記憶部32に保存された異常であると推測した被検データに付加すると共に、
判定部42、出力部50、及びシステム制御部70に出力する。
【0028】
判定部42は、精度管理部41からの異常推測情報に応じて演算部31から出力される
判定データ、及びこの判定データに対応するシステム制御部70から供給される判定条件
の情報に基づいて、記憶部32に保存されている被検データが異常であるか否かを項目毎
に判定する。
【0029】
そして、演算部31から出力された判定データが判定条件の許容範囲を外れている場合
、記憶部32の異常推測情報が付加された被検データ、及びこの被検データとその判定デ
ータの間に保存されている被検データを異常であると判定する。次いで、記憶部32の異
常であると判定した被検データに異常情報を付加すると共に、その異常情報を出力部50
に出力する。
【0030】
出力部50は、データ処理部30から出力された検量線、各分析データなどを印刷出力
する印刷部51及び表示出力する表示部52と、データ管理部40から出力された異常推
測情報や異常情報を音声出力する音声部53とを備えている。
【0031】
印刷部51は、プリンタなどを備え、データ処理部30の演算部31から出力された検
量線や各分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙に印刷出力す
る。また、データ管理部40の精度管理部41から出力された精度管理データや異常推測
情報を印刷出力する。更に、データ管理部40の判定部42から出力された異常情報を印
刷出力する。
【0032】
表示部52は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31から出力された検
量線や各分析データを表示する。また、精度管理部41から出力された精度管理データや
異常推測情報を表示する。更に、判定部42から出力された異常情報を表示する。
【0033】
また、精度管理条件を設定するための精度管理条件設定画面、各項目の被検データを精
度管理する管理条件を設定するための管理条件設定画面、この管理条件設定画面を含む測
定波長、サンプル量などの分析条件の設定するための分析条件設定画面、判定条件を設定
するための判定条件設定画面、被検試料毎に測定項目を選択するための測定項目選択画面
、被検試料の測定結果の一覧を表示する測定結果一覧画面などを表示する。
【0034】
音声部53は、スピーカやブザーなどを備え、精度管理部41や判定部42から出力さ
れた異常推測情報や異常情報を音声やブザー音による出力を行う。
【0035】
操作部60は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを
備え、測定項目毎の分析条件の設定、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報の
入力、精度管理条件、管理条件、判定条件等の設定、被検試料毎の測定する項目の選択な
どの様々な操作を行う。
システム制御部70は、図示しないCPUと記憶回路71を備え、操作部60から供給
される操作者のコマンド信号、各項目の分析条件、被検体情報、精度管理条件、判定条件
、被検試料毎の測定項目などの入力情報を記憶回路71に保存した後、これらの入力情報
に基づいて、分析部18を構成する各分析ユニットなどを一定サイクルの所定のシーケン
スで測定動作させる制御、検量線の作成や分析データの生成などシステム全体の制御を行
う。
【0036】
また、データ管理部40の精度管理部41から出力された異常推測情報に基づいて、分
析制御部20の制御部22に判定試料の測定による判定データの生成を指示する。
【0037】
次に、図3乃至5を参照して、出力部50の表示部52に表示される精度管理を行うた
めの各設定画面について説明する。図3は、表示部52に表示される精度管理条件設定画
面を示す図である。図4は、表示部52に表示される管理条件設定画面を示す図である。
図5は、表示部52に表示される判定条件設定画面を示す図である。
【0038】
図3において、精度管理条件設定画面54は、管理試料を用いて精度管理を行う場合に
精度管理条件を設定するための「管理試料」の欄と、被検試料を用いて精度管理を行う場
合に精度管理条件を設定するための「被検試料」の欄と、各欄に設けられた精度管理条件
を選択入力するダイアログボックス54a乃至54iとにより構成される。
【0039】
そして、操作部60から各欄への設定が行われると、各欄の精度管理条件に対応する各
ダイアログボックス54a乃至54i内に選択した入力情報が表示されると共に、システ
ム制御部70の記憶回路71に選択した入力情報が保存される。
【0040】
「管理試料」の欄には、「QC after calib」、「Start QC」、
「Interbal QC」、及び「End QC」が表示されている。
【0041】
ここで、「QC after calib」が選択されると、ダイアログボックス54
a内に「レ」が表示される。この場合、キャリブレーション操作により、標準試料を測定
した後に予め設定された管理試料を測定する。この測定により検量線を作成し、作成した
検量線を用いて管理データを生成する。生成した管理データを予め設定された参照値と照
合して、作成された検量線が正常であるか否かを判断できるようになっている。
【0042】
また、「Start QC」が選択されると、「Start QC」に対応するダイア
ログボックス54b内に「レ」が表示される。この場合、被検試料測定操作により、被検
試料の測定前に管理試料を測定して管理データを生成する。この管理データを参照値と照
合して、検量線が正常であるか否かを判断することができるようになっている。
【0043】
更に、「Interbal QC」が選択されると、「Interbal QC」に対
応するダイアログボックス54c内に「レ」が表示される。この場合、被検試料測定操作
により、予め設定された数の被検試料の測定毎に予め設定された管理試料を測定して管理
データを生成する。次いで、生成した複数の管理データを統計処理して平均値、中央値、
標準偏差値等の精度管理データを生成する。管理データや精度管理データを参照値や予め
設定された各制度管理データの許容値と照合して、項目毎に被検データが正常であるか否
かを判断できるようになっている。
【0044】
更にまた、「End QC」が選択されると、「Interbal QC」に対応する
ダイアログボックス54d内に「レ」が表示される。この場合、被検試料測定操作により
、被検試料の測定後に管理試料を測定して管理データを生成する。この管理データを参照
値と照合して、検量線や被検データ等が正常であるか否かを判断することができるように
なっている。
【0045】
「被検試料」の欄には「QC」及び「Self Check」が表示されており、「Q
C」が選択されると、ダイアログボックス54e内に「レ」が表示され、「管理方法」の
欄が表示される。
【0046】
「管理方法」の欄には「Continuity」、「SD」、及び「Moving a
varage」が表示され、「Continuity」を選択すると、ダイアログボック
ス54g内「レ」が表示される。また、「SD」を選択するとダイアログボックス54h
内に「レ」が表示され、「Moving avarage」を選択すると、ダイアログボ
ックス54i内に「レ」が表示される。この場合、被検試料測定操作により、生成した各
項目の被検データが異常であるか否かを、選択された管理方法及び管理条件設定画面で設
定される管理項目及び管理値に基づいて推測する。
【0047】
「QC」と共に「Self Check」が選択されると、ダイアログボックス54f
内にも「レ」が表示される。この場合、被検試料測定操作により、生成した各項目の被検
データが異常であると推測されたときに、判定条件設定画面に設定された判定試料を測定
して生成された判定データに基づいて、記憶部32に保存された異常であると推測された
被検データ、及びこの被検データとその判定データの間に保存されている被検データが異
常であるか否かを判定する。
【0048】
ここでは、「被検試料」の欄の「QC」及び「Self Check」及び「管理方法
」の欄の「Continuity」の選択により、ダイアログボックス54e,54f,
54g内に「レ」が表示されており、記憶回路71に「QC」、「Self Check
」、及び「Continuity」の入力情報が保存されている。
【0049】
図4は、表示部52に表示される管理条件設定画面の一例を示した図である。この管理
条件設定画面55は、項目名を表示する「項目名」の欄と、「項目名」の欄に表示された
項目の精度管理を行うか否かを設定するための「管理項目」の欄と、管理方法が表示され
た「管理方法」の欄と、「管理方法」の欄に表示された各管理方法の管理値を設定するた
めの「管理値」の欄と、各欄に入力するダイアログボックス55a乃至55iとにより構
成される。
【0050】
そして、操作部60から入力操作が行われると、各ダイアログボックス内に入力情報が
表示されると共に、システム制御部70の記憶回路71に選択及び設定した情報に対応す
る入力情報が保存される。
【0051】
「項目名」の欄には、表示部52に分析条件設定画面を表示させ、項目名として例えば
TPを設定した後、このTPの分析条件設定画面の中の管理条件設定画55を表示させる
ことにより、「TP」が表示されている。
【0052】
「管理項目」の欄に精度管理する選択を行うと、ダイアログボックス55a内に「レ」
が表示されると共に、記憶回路71にその入力情報が保存される。この設定により、被検
試料測定中に、管理項目である「TP」の被検データを用いて精度管理を行う。
【0053】
「管理方法」の欄には、図3の精度管理条件設定画面54における「管理方法」の欄に
対応する「Continuity」、「SD」、及び「Moving avarage」
が表示されている。
【0054】
「管理値」の欄には、「管理方法」の欄の「Continuity」、「SD」、及び
「Moving avarage」に対応する「数」、「許容範囲」、及び「基準値」が
表示されている。
【0055】
そして、「管理方法」の欄の「Continuity」に対応する「管理値」の欄の「
数」への例えば「2」の設定により、ダイアログボックス55b内に「2」が表示されて
いる。また、また「基準値」への例えば「7.5」の設定により、ダイアログボックス5
5c内に「7.5」が表示され、「許容値」への例えば「±0.9」の設定により、ダイ
アログボックス55d内に「±0.9」が表示されている。更に、記憶回路71には「2
」、「7.5」、及び「±0.9」が保存されている。
【0056】
なお、「基準値」として、健常人から採取した統計学的に信頼性のある数の被検試料の
被検データを統計処理して算出した例えば正規分布集団の中央値を用いる。また、「許容
値」として、前記数の被検データを統計処理して算出した例えば±2SD(標準偏差)の
値を用いる。通常、健常者の被検データは中央値±2SD内(基準範囲)に含まれ、健康
を害した患者の被検体データは中央値±2SDから外れる異常範囲に含まれる。
【0057】
ここで、精度管理条件設定画面54の「管理方法」の欄において「Continuit
y」が選択されていると、被検試料の測定項目である「TP」の被検データ生成に応じて
データ管理部40における精度管理部41のメモリ41aに保存される。このメモリ41
aに保存される毎に、メモリ41aに保存された最新の「数」への設定値である「2」個
の「TP」の被検データが異常であるか否かを推測する。
【0058】
そして、最新の「2」個の被検データが、「基準値」の欄への設定値である「7.5」
及び「許容値」の欄への設定値である「±0.9」からなる7.5±0.9の許容範囲を
外れている場合、「2」個の「TP」の被検データを異常であると推測する。
【0059】
なお、「数」には、各項目の被検データが連続して許容範囲を外れる確率が低い回数を
設定する。しかしながら、低い確率で許容範囲を外れるような患者の被検試料を連続して
測定する可能性があるので、被検データを生成した段階では異常であると推測するに留め
る。患者数が多い施設では、連続して許容範囲を外れる確率が高くなるので、患者数に応
じて「数」への設定をする。
【0060】
「管理方法」の欄の「SD」に対応する「管理値」の欄の「数」への例えば「5」の設
定により、ダイアログボックス55e内に「5」が表示され、「許容値」への例えば「±
0.3」の設定により、ダイアログボックス55f内に「±0.3」が表示されている。
また、記憶回路71に「5」及び「±0.3」が保存されている。
【0061】
ここで、精度管理条件設定画面54の「管理方法」の欄で「SD」が選択されていると
、「TP」の被検データがメモリ41aに保存される毎に、このメモリ41aに保存され
た最新の「数」への設定値である「5」個の「TP」の被検データから標準偏差を算出す
る。次いで、算出した標準偏差の値が、「許容値」への設定値である「±0.3」の許容
範囲を外れている場合、最新の「5」個の「TP」の被検データを異常であると推測する

【0062】
「管理方法」の欄の「Moving avarage」に対応する「管理値」の欄の「
数」への例えば「5」の設定により、ダイアログボックス55g内に「5」が表示されて
いる。また、「基準値」への例えば「7.5」の設定により、ダイアログボックス55h
内に「7.5」が表示され、「許容値」への例えば「±0.5」の設定により、ダイアロ
グボックス55i内に「±0.5」が表示されている。更に、記憶回路71に「10」、
「7.5」、及び「±0.5」が保存されている。
【0063】
ここで、精度管理条件設定画面54の「管理方法」の欄で「Moving avara
ge」が選択されていると、「TP」の被検データがメモリ41aに保存される毎に、こ
のメモリ41aに保存された最新の「数」への設定値である「5」個の「TP」の被検デ
ータの平均を算出する。次いで、算出した平均の値が、「基準値」への設定値である「7
.5」及び「許容値」への設定値である「±0.5」からなる7.5±0.5の許容範囲
を外れている場合、最新の「5」個の「TP」の被検データを異常であると推測する。
【0064】
なお、複数の項目の管理条件設定画面で各「管理項目」の欄の選択及び「管理値」欄の
設定をすることにより、被検試料測定中に同時に複数の項目の精度管理を行うことができ
る。
【0065】
このように、設定された管理方法及び管理値に基づいて、各項目の被検データを生成す
る毎に、その項目の予め設定された最新の数の被検データが異常であるか否かを推測する
ことができる。
【0066】
図5は、表示部52に表示される判定条件設定画面の一例を示した図である。この判定
条件設定画面56は、判定試料を用いて判定する項目を設定するための判定試料の名が表
示された「判定試料」の欄と、「判定試料」の欄で選択された項目の値を設定するための
「判定値」の欄と、各欄に入力するダイアログボックス56aa乃至56hdとにより構
成される。
【0067】
そして、操作部60から各欄への入力操作が行われると、各欄に対応する各ダイアログ
ボックス56aa乃至56hd内に入力情報が表示されると共に、システム制御部70の
記憶回路71に入力情報が保存される。
【0068】
「判定試料」の欄には、判定試料名である「A判定試料」が表示されており、図4の管
理条件設定画面55における「管理項目」の欄を選択した例えば「TP」の選択により、
ダイアログボックス56aa内に「TP」が表示され、記憶回路71に「TP」が「A判
定試料」に関連付けて保存されている。また、「TP」以外の各項目名の選択が行われる
と、各ダイアログボックス56ba,56ca,・・・,56ha内に判定項目として選
択された各項目名が表示されると共に記憶回路71に「A判定試料」に関連付けて選択さ
れた項目名の情報も保存される。
【0069】
「判定値」の欄には、「繰返数」、「判定値」、及び「許容値」が表示されており、「
判定試料」の欄で選択した「TP」に対応する各値を設定する。そして、「繰返数」への
例えば「2」の設定によりダイアログボックス56ab内に「2」が表示されている。ま
た、「判定値」への例えば「7.7」の設定により、ダイアログボックス56ac内に「
7.7」が表示されている。更に、「許容値」への例えば「±0.2」の設定によりダイ
アログボックス56ad内に「±0.2」が表示され、記憶回路71に「A判定試料」の
「TP」の各値として「2」、「7.7」、及び「±0.2」が保存されている。
【0070】
また、「判定試料」の欄で選択された「TP」以外の各項目名が表示される各ダイアロ
グボックスba,ca,・・・,haに対応する「判定値」の欄への各値の設定により、
各ダイアログボックス56bb乃至56bd,56cb乃至56cd,・・・,56hb
乃至hd内に設定された各判定値が表示されると共に記憶回路71に設定された各値が保
存される。
【0071】
ここで、管理条件設定画面55の「管理方法」及び「管理値」の欄に設定された管理条
件に基づいて、測定項目である「TP」の被検データが異常であると推測されたときに、
「A判定試料」を「繰返数」である「2」回続けて測定して「2」個の「TP」の判定デ
ータを生成する。次いで、生成した「2」個の判定データの内の少なくとも1個が、「判
定値」である「7.7」及び「許容値」である「±0.2」からなる7.7±0.2の許
容範囲を外れている場合、記憶部32に時系列的に保存されている「TP」の被検データ
の内の、異常であると推測した被検データ、及びこの被検データと前記「2」個の判定デ
ータの間に保存されている被検データを異常であると判定する。
【0072】
なお、判定条件設定画面56以外にも、この画面と同様に構成されるB判定試料、C判
定試料等の判定試料名が表示された複数の判定条件設定画面を有する。
【0073】
また、「判定値」の欄の「判定値」に標準試料の標準値や管理試料の参照値を設定して
、標準試料や管理試料を判定試料として用いるようにしてもよい。
【0074】
このように、各項目の被検データを異常であると推測したときに、この推測に応じて判
定試料を測定して判定データを生成し、生成した判定データに基づいて、記憶部32に保
存されている各項目の被検データの内の、異常であると推測した被検データ、及びこの被
検データと判定データの間に保存されている被検データが異常であるか否かを判定するこ
とができる。
【0075】
以下、図1乃至図8を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。図6は
、表示部52に表示される測定項目設定画面の一例を示す図である。図7は、自動分析装
置100の動作を示すフローチャートである。図8は、判定部42の動作を示すフローチ
ャートである。図9は、表示部52に表示される図7の測定項目設定画面で設定した各被
検試料の測定により生成される被検データの測定結果一覧画面を示す図である。
【0076】
システム制御部70の記憶回路71には、図3の精度管理条件設定画面54に表示され
た精度管理の条件、図4の管理条件設定画面55に表示された管理値、及び図5の判定条
件設定画面56に表示された「A判定試料」の各判定値の入力情報が保存されている。ま
た、データ処理部30の記憶部32には各項目の検量線が保存されている。更に、操作部
60からの測定項目選択入力により、記憶回路71には、被検試料毎に選択された測定項
目の情報が保存されている。
【0077】
図6は、表示部52に表示される測定項目が選択された測定項目設定画面の一例を示し
た図である。この測定項目設定画面57は、被検体情報入力画面で入力された被検体のI
Dを表示する「ID」の欄と、分析条件設定画面に設定された項目名を表示する「項目」
の欄と、「ID」の欄に表示された被検体のID毎に「項目」の欄に表示された項目名の
中から測定する項目を設定するための測定項目設定エリア57aから構成される。
【0078】
「ID」の欄には、予め入力された例えば「1」乃至「M+1」の被検体のIDが表示
されている。また、「項目」の欄には、例えば「GOT」、「GPT」、「LDH」、「
Ca」、「TP」等の項目名が表示されている。
【0079】
測定項目設定エリア57aには、「ID」の欄の各IDに対応する「項目」の欄の項目
名が選択された場合には、選択されたIDに対応する被検試料の選択された項目名の項目
が測定される印しである「○」が表示され、設定されない場合には「・」が表示される。
【0080】
そして、操作部60から「ID」の欄に表示された「1」に対する例えば「TP」の選
択により、測定項目設定エリア57aの「ID」の欄の「1」及び「項目」の欄の「TP
」に対応する位置に1テストである「○」が表示されている。「ID」の欄の「2」に対
する「GOT」、「GPT」、及び「LDH」の選択と、「ID」の欄の「3」に対する
「GOT」、「GPT」、及び「TP」の選択と、「ID」の欄の「4」に対する「Ca
」及び「TP」の選択とにより、測定項目設定エリア57aの各位置に2乃至9テストで
ある「○」が表示されている。
【0081】
また、「ID」の欄の「5」に対する「GOT」、「GPT」、「LDH」、及び「T
P」の選択と、「ID」の欄の「6」に対する「GOT」、「GPT」、及び「TP」の
選択と、「ID」の欄の「7」に対する「TP」の選択と、「ID」の欄の「8」に対す
る「GOT」、「GPT」、及び「TP」の選択と、「ID」の欄の「9」に対する「G
OT」、「GPT」、及び「LDH」の選択とにより、測定項目設定エリア57aの各位
置に10乃至23テストである「○」が表示されている。
【0082】
更に、「ID」の欄の「10」乃至「(M−1)」に対する「GOT」、「GPT」、
「LDH」、「Ca」、及び「TP」以外の項目名の選択により、測定項目設定エリア5
7aの「ID」の欄の「11」乃至「M−1」に対する各位置に25乃至(2t+6)テ
ストである「○」が表示され、「M」に対する各位置に(2t+7)乃至(2t+13)
テストである「○」が表示され、「M+1」に対する各位置に(2t+14)乃至(2t
+16)テストである「○」が表示されている。
【0083】
測定項目設定画面57の測定項目設定エリア57aで選択された1乃至(2t+16)
テストの入力情報は、システム制御部70の記憶回路71に保存されている。そして、被
検試料の測定では、測定項目設定エリア57aで選択された1テストから順に測定される

【0084】
図7は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。まず、分析部18
のディスクサンプラ6に、被検体IDである「1」乃至「M+1」の被検試料、及び「A
判定試料」に対応する判定試料を夫々収容した(M+2)個の試料容器17が、ディスク
サンプラ6の所定の位置に収納されている。そして、操作部60からの被検試料の測定操
作により、自動分析装置100は測定の動作を開始する(ステップS1)。
【0085】
システム制御部70は、分析制御部20、データ処理部30、データ管理部40、及び
出力部50に、システム制御部70の記憶回路71に保存した被検試料毎の測定項目の測
定を指示する。分析制御部20の制御部22は、分析部18の各分析ユニットを一旦ホー
ムポジションに移動させてから測定動作を開始させる。
【0086】
分析部18のサンプル分注プローブ16は、mサイクル(m=1)目において、測定項
目設定画面57のmテストに対応する試料容器17から被検試料を吸引して反応容器4に
吐出する。第1試薬分注プローブ14は、例えば(m+3)サイクル目において、試薬ボ
トル7からmテストに対応する第1試薬を吸引して、mテストの被検試料が分注された反
応容器4に吐出する。撹拌ユニット11は、例えば(m+6)サイクル目において、mテ
ストの被検試料及び第1試薬が分注された反応容器4内の混合液を撹拌する。
【0087】
測光ユニット13は、(m+n)サイクル目において、mテストの混合液を収容した反
応容器4に光を照射して、透過した光から設定波長の吸光度を測定する。そして、生成し
た被検信号をデータ処理部30の演算部31に出力する。演算部31は、測光ユニット1
3から出力された被検信号に対して、mテストの項目の検量線を記憶部32から読み出し
、その読み出した検量線を用いてmテストの被検データを生成して記憶部32に保存する
と共に、データ管理部40の精度管理部41、及び出力部50の印刷部51及び表示部5
2に出力する。
【0088】
精度管理部41は、システム制御部70から供給された管理条件の情報に基づいて、例
えば(m+n)サイクル目において演算部31から出力されたmテストの項目が管理条件
設定画面55に設定された「TP」であるか否かを識別する。そして、mテストの項目が
「TP」である場合(ステップS2のはい)、mテストの被検データをメモリ41aに保
存してステップS3へ移行する。また、mテストの項目が「TP」以外である場合(ステ
ップS2のいいえ)、ステップS6へ移行する。
【0089】
そして、メモリ41aに保存したmテストの被検データを含む最新の被検データが管理
条件設定画面55に設定された「2」個以上ある場合(ステップS3のはい)、ステップ
S4へ移行する。また、2個未満である場合(ステップS3のいいえ)、ステップS6へ
移行する。
【0090】
ステップS3の「はい」の後に、mテストの被検データを含む最新の「2」個の被検デ
ータが共に管理条件設定画面55に設定された7.5±0.9の許容範囲から外れている
場合(ステップS4のいいえ)、mテストの被検データを含む最新の被検データを異常で
あると推測し、ステップS5に移行する。また、mテストの被検データを含む最新の「2
」個の被検データの内、少なくとも1個が許容範囲内である場合(ステップS4のはい)
、ステップS6に移行する。
【0091】
ステップS4の「いいえ」の後に、精度管理部41は、記憶部32に保存されている前
記最新の2個の被検データに異常推測情報を付加して保存すると共に、その異常推測情報
を判定部42、出力部50、及びシステム制御部70に出力する(ステップS5)。
【0092】
ステップS5の後に、システム制御部70は、精度管理部41から出力されたmテスト
の被検データの異常推測情報に基づいて、制御部22に「A判定試料」の「TP」の測定
を指示する。分析部18は、制御部22による機構部21の制御により、一旦被検試料の
サンプル分注を中断して、「A判定試料」の分注を行う。そして、「A被検試料」を2回
分注した後に、中断した被検試料の分注を再開する。
【0093】
分析部18は、「A判定試料」の測定を判定条件設定画面56に設定された「2」回の
測定を行い、2つの判定信号を生成して演算部31に出力する。演算部31は、分析部1
8から出力された判定信号から判定データを生成して記憶部32に保存する。また、生成
した判定データをデータ管理部40の判定部42に出力すると共に出力部50に出力する

【0094】
このように、被検データが異常であると推測されたときに、判定試料を測定することに
より、精度管理を行うための試料の測定を低減することができる。
【0095】
図8は、判定部42の動作を示したフローチャートである。判定部42は、演算部31
から出力された2個の「TP」の判定データに基づいて、記憶部32に保存されている「
TP」の被検データが異常であるか否かを判定する。
【0096】
そして、2個の判定データの少なくとも1個が判定条件設定画面56に設定された7.
7±0.2の許容範囲から外れている場合(ステップS11のいいえ)、記憶部32に時
系列的に保存されている「TP」の被検データの内のmテストの被検データ、及びmテス
トの被検データと前記2個の判定データの間に保存されている被検データを異常であると
判定し、ステップS12に移行する。また、2個の判定データが共に許容範囲内である場
合(ステップS11のはい)、図7のステップS6へ移行に移行する。
【0097】
ステップS11の「いいえ」の後に、判定部42は、異常情報を出力部50に出力する
と共に、記憶部32の保存されている異常であると判定した被検データに異常情報を付加
して保存する(ステップS12)。
【0098】
図7に戻り、ステップS2の「いいえ」、又はステップS3の「いいえ」、又はステッ
プS4の「はい」、又はステップS11の「はい」、又はステップS12の後に、mが(
2t+16)である場合(ステップS6のはい)、ステップS7に移行する。また、mが
(2t+16)未満である場合(ステップS6のいいえ)、ステップS2に戻る。
【0099】
ステップS6の「はい」の後に、データ管理部40は、被検データの精度管理を終了す
る。出力部50の印刷部51及び表示部52に、1乃至(2t+16)の被検データや、
判定データ、異常推測情報、異常情報などが出力された時点で、システム制御部70は、
分析制御部20、データ処理部30、データ管理部40、及び出力部50に測定動作の停
止を指示する。そして、自動分析装置100は、測定動作を終了する(ステップS7)。
【0100】
測定終了後、測定結果一覧画面の表示操作が操作部60から行われると、記憶部32に
保存された各1乃至(2t+16)テストの被検データや、この被検データの精度管理に
よって生成された判定データ、異常推測情報、及び異常情報の一覧が表示された測定結果
一覧画面が表示部52に表示される。
【0101】
図9は、表示部52に表示された測定結果一覧画面の一例を示した図である。この測定
結果一覧画面58は、測定項目設定画面57と同じ被検体のIDを表示する「ID」の欄
と、項目名を表示する「項目」の欄と、「ID」の欄に表示された被検体のID毎に「項
目」の欄に表示された項目名の分析データが表示される「分析データ」の欄と、「分析デ
ータ」の欄の分析データに付加された異常推測情報が表示される「エラー1」の欄及び異
常情報が表示される「エラー2」の欄とにより構成される。
【0102】
なお、測定結果一覧画面58の外側には、「分析データ」の欄の各分析データが生成さ
れた「サイクル」及び「分析データ」の欄の各分析データに対応する測定項目設定画面5
7の各1乃至(2t+16)テストの「テスト」の情報を示している。
【0103】
「分析データ」の欄の「項目」の欄の「TP」に対応する各位置に、(n+1)サイク
ル目で生成された1テストの被検データである「7.7」が表示されている。また、(n
+7)サイクル目で生成された7テストの被検データである「8.8」、(n+9)サイ
クル目で生成された9テストの被検データである「7.6」、(n+13)サイクル目で
生成された13テストの被検データである「6.4」、(n+16)サイクル目で生成さ
れた16テストの被検データである「6.5」、(n+17)サイクル目で生成された1
7テストの被検データである「7.4」、(n+20)サイクル目で生成された20テス
トの被検データである「7.2」が表示されている。
【0104】
また、「分析データ」の欄に「項目」の欄の「TP」以外の項目名の位置にも、夫々被
検データが表示されている。
【0105】
そして、「TP」の連続する2個である13,16テストの被検データ「6.4」,「
6.5」が7.5±0.9の許容範囲から外れているので、各13,16テストの被検デ
ータに対応する「エラー1」の欄に異常推測情報である「E1」が表示されている。
【0106】
また、13,16テストの被検データ「6.4」,「6.5」の異常推測情報に応じて
、(2n+16)及び(2n+17)サイクル目で生成された「A判定試料」の判定デー
タである「7.4」及び「7.3」が表示されている。
【0107】
そして、(2n+16),(2n+17)サイクル目の判定データ「7.4」,「7.
3」が7.7±0.2の許容範囲から外れているので、13,16テストの被検データ「
6.4」,「6.5」、及び16テストの被検データ「6.5」と(2n+16)サイク
ル目の判定データ「7.4」の間に表示されている17,20テストの被検データ「7.
4」,「7.2」の「エラー2」の欄に異常情報である「E2」が表示されている。
【0108】
以上述べた本発明の実施例によれば、予め設定された管理条件に基づいて、各項目の被
検データを生成する毎に、その項目の生成した被検データを含む最新の設定された数の被
検データが異常であるか否かを推測することができる。そして、異常であると推測した被
検データに異常推測情報を付加して記憶部32に保存すると共に、その異常推測情報を出
力部50に出力することができる。
【0109】
また、各項目の異常推測情報に応じて予め設定された判定試料の測定により生成された
判定データに基づいて、記憶部32に保存されているその項目の被検データの内の、前記
異常推測情報が付加された被検データ、及びこの被検データとその判定データの間に保存
されている被検データが異常であるか否かを判定することができる。そして、異常である
と判定した被検データに異常情報を付加して記憶部32に保存すると共に、その異常情報
を出力部50に出力することができる。
【0110】
これにより、精度管理に要する時間とコストを低減し、迅速に被検試料の測定を行うこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示す図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成を示す図。
【図3】本発明の実施例に係る表示部に表示される精度管理条件設定画面を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る表示部に表示される管理条件設定画面を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る表示部に表示される判定条件設定画面を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る表示部に表示される測定項目設定画面を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施例に係る判定部の動作を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施例に係る表示部に表示される測定結果一覧画面を示す図。
【符号の説明】
【0112】
18 分析部
20 分析制御部
21 機構部
22 制御部
30 データ処理部
31 演算部
32 記憶部
40 データ管理部
41 精度管理部
41a メモリ
42 判定部
50 出力部
51 印刷部
52 表示部
53 音声部
60 操作部
70 システム制御部
71 記憶回路
100 自動分析装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検試料及び試薬の混合液を測定する自動分析装置において、
前記混合液を測定して被検データを生成する分析データ生成手段と、
前記分析データ生成手段により生成された第1の被検データが異常であるか否かを推測す
る推測手段と、
前記推測手段により前記第1の被検データが異常であると推測されたとき、予め設定され
た判定試料及び前記試薬の混合液を測定して前記分析データ生成手段により生成された判
定データに基づいて、前記第1の被検データと前記判定データの間に前記分析手段により
生成された第2の被検データが異常であるか否かを判定する判定手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記推測手段は、前記第1の被検データ及びこの第1の被検データの前に生成された最
新の少なくとも1つの被検データが共に、予め設定された許容範囲を外れたときに前記第
1の被検データを異常であると推測することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置

【請求項3】
前記推測手段は、前記第1の被検データ及びこの第1の被検データの前に生成された最
新の少なくとも1つの被検データの移動平均を算出し、算出した移動平均の値が予め設定
された許容範囲を外れたときに前記第1の被検データを異常であると推測することを特徴
とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記推測手段は、前記第1の被検データ及びこの第1の被検データの前に生成された最
新の少なくとも1つの被検データの標準偏差を算出し、算出した標準偏差の値が予め設定
された許容範囲を外れたときに前記第1の被検データを異常であると推測することを特徴
とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記分析データ生成手段により生成された判定データが予め設定され
た許容範囲を外れたときに前記第2の被検データを異常であると判定することを特徴とす
る請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記分析データ生成手段により生成された被検データを出力する出力手段を有し、
前記第1の被検データの異常推測情報、及び前記第2の被検データの異常情報を前記出力
手段に出力するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記分析データ生成手段により生成された被検データを保存する記憶手段を有し、
前記第1の被検データの異常推測情報をこの第1の被検データに付加して前記記憶手段に
保存し、
前記第2の被検データの異常情報をこの第2の被検データに付加して前記記憶手段に保存
するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項8】
被検試料及び試薬の混合液を測定する自動分析装置の精度管理方法において、
前記混合液を測定して被検データを分析データ生成手段により生成し、
前記分析データ生成手段により生成された第1の被検データが異常であるか否かを推測手
段により推測し、
前記第1の被検データが異常であると推測されたときに、予め設定された判定試料及び前
記試薬の混合液を測定して前記分析データ生成手段により生成された判定データに基づい
て、前記第1の被検データと前記判定データの間に前記分析手段により生成された第2の
被検データが異常であるか否かを判定手段により判定することを特徴とする自動分析装置
の精度管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−209144(P2008−209144A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44164(P2007−44164)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】