説明

自動分析装置

【課題】
解決しようとする問題は、血液,尿等の生体サンプルの定性・定量分析を行う自動分析装置において、装置が分析状態か停止状態かなどの状態を遠くから認識する手段が、コスト上昇なしで、できないことである。
【解決手段】
装置が分析状態か停止状態かなどの状態を遠くから認識する手段が、コスト上昇なしで実現する方法として、表示装置のスクリーンセーバー機能に、装置の状態を認識してスクリーンセーバーの表示内容に反映する機能をもたせることを最も主要な特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液,尿等の生体サンプルの定性・定量分析を行う自動分析装置に係り、特に操作画面を表示する表示装置を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液,尿等の生体サンプル中の特定成分の量あるいは特定の抗原あるいは抗体の有無を分析する自動分析装置は、用手法に比べ迅速な測定ができ、かつ結果の再現性が高い等の理由により、大きな病院,検査センターを中心に普及が進んでいる。近年では分析の効率化,省力化のために複数台の分析装置を導入し、1人の臨床検査技師が複数台の分析装置にまたがって操作する状況も発生している。
【0003】
そのような状況においても、検査技師は個々の分析装置の分析状況を知るためにそれぞれの分析装置の表示装置をチェックするか、あるいは自動分析装置に近づいて分析装置の機構の動作状態を見る必要があった。
【0004】
しかし、近年の自動分析装置では、安全上の理由等から、カバーがかかっており、機構の動作状態を遠くから見ることは難しくなっている。
【0005】
また、表示装置のチェックも表示されている画面を詳細に見る必要があり、分析装置の動作状況を一目で知ることは難しい。また、近年の表示装置では、表示装置の画面焼きつき防止等の目的で、通常は、スクリーンセーバー機能をつけることが多くなっているため、スクリーンセーバーが働いてしまえば、表示画面が見えなくなってしまう。
【0006】
特許文献1は上記のような自動分析装置の技術ではないが、入力部を介さずに通知すべき情報、例えば撮影が実行されたとか、予約の追加があったなどの場合に、スクリーンセーバーが実行中であっても画面を切り替えてその情報を表示することができる機能を備えた医用画像撮影システムが開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−290196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1記載の技術では装置に異常が発生した場合に表示画面を用いて該異常を報知することはできない。また、自動分析装置の異常の発生を表示するための、表示灯をつけることも考えられるが、コストが上昇する。
【0009】
本発明の目的は、装置が分析状態か停止状態かあるいは異常が発生したなどの状態を遠くから認識することができる手段を備えた自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の構成は以下の通りである。
【0011】
少なくとも、分析実行中、と、分析停止中、の2つの装置状態を含む、自動分析装置の複数の装置状態と該自動分析装置の操作画面に表示する表示デザインとの対応を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された装置状態と表示デザインとの対応に基づき、前記自動分析装置の装置状態に応じて画面の表示デザインを制御する制御手段と、
を備えた自動分析装置。
【0012】
装置状態には異常発生を含んでいても良い。また、分析の進行状況、例えば検体投入直後、分析中、まもなく結果出力が可能など、細かく装置状態を分けても良い。表示デザインとは、例えば画面にデータを表示している場合は画面の背景色であっても良いし、スクリーンセーバーを表示している場合は、スクリーンセーバーの表示パターン,デザインであっても良い。要は装置の状態が遠目からでも識別できるよう異なる複数の表示画面であれば良い。
【0013】
この画面デザインはユーザーの好みで自由に設定できる機能があっても良い。また、画面デザインに合わせて音を出す(音楽を奏でる)機能があっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、遠くから自動分析装置の状態を判断できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図5は自動分析装置の原理的な装置構成図である。図5において2−1は反応ディスクであり、反応ディスク2−1の外周上には反応容器2−2が設けられている。反応ディスク2−1全体は保温槽2−3によって所定の温度に保持されている。
【0016】
2−5は検体を設置するサンプルディスク機構であり、この機構にはバーコード2−6を貼付けした多数の検体の試験管が設置されている。バーコードを貼付けした試験管内の検体はピペッティング機構2−7のノズル2−8によって適宜に抽出され、検体分注位置の反応容器2−2に注入される。2−9A1と2−9B1はバーコードラベル付きの試薬ボトルが設置された試薬ディスク機構であり、各試薬ディスク機構2−9A1,2−9B1ごとにバーコード読み取り装置2−27A,2−27Bが付属しており試薬登録時にバーコードを読み込みポジションに対応した試薬ボトル情報を登録する。また各々試薬ディスクには第2試薬ピペッティング機構2−10Aと、第1試薬ピペッティング機構2−10Bが設置されている。試薬ディスク機構2−9A1,2−9B1に近接されて配置された2−11は撹拌機構である。2−12は多波長光度計、2−13は光源であり、多波長光度計2−12と光源2−13と間に測光の対象を収容する反応容器2−2が配置されている。2−14は洗浄機構である。制御系及び信号処理系について、2−15はマイクロコンピューター、2−16はインターフェイス、2−17はLog(対数)変換器、2−18はA/D変換器、2−19は試薬分注機構、2−20は洗浄ポンプ、2−21はサンプル試薬分注機構である。また2−22は印字のためのプリンタ、2−23は表示のCRT、2−24は記憶装置としてハードディスク、2−25は入力するための操作パネル(キーボード、あるいはタッチスクリーンやマウスなどのポインティングデバイス)である。
【0017】
図5でバーコードを貼付けした試験管に入れられた検体は、操作パネルより入力された、マイクロコンピューター2−15内のメモリに記憶されている分析パラメータにしたがって、検体ピペッティング機構2−7のノズル2−8を用いて反応容器2−2に所定量分注する。
【0018】
次に、検体が分注された反応容器2−2を、反応ディスク2−1を回転させ試薬分注位置へ移送する。その後、試薬を操作パネルより入力された、マイクロコンピューター2−
15内に記憶されている分析パラメータにしたがって、試薬ピペッティング機構2−10A及び2−10Bのノズルを用いて、検体が分注された反応容器2−2へ所定量分注する。
【0019】
その後、撹拌機構2−11で検体と試薬との撹拌が行われ、混合される。
【0020】
この反応容器2−2が、測光位置を横切る時、多波長光度計2−12により吸光度が測光される。測光された吸光度は、Log変換2−17,A/D変換器2−18,インターフェイス2−16を経由して、マイクロコンピューター2−15に取り込まれる。この吸光度は、あらかじめ項目毎に指定された分析法で測定しておいた標準試料液の吸光度から作成した検量線に基づき、濃度データに変換される。この測定された成分濃度データは、プリンタや画面に出力される。
【0021】
以上の測定原理において、ユーザーは、測定に必要な種々のパラメータ設定や検体の登録、そして分析結果の確認を画面(CRT)2−23で行う。
【0022】
本自動分析装置は、操作を行う部分(以後、操作部と呼ぶ。図1中の1および2,3。)が、分析を行う部分4と分離していて、操作を行う部分に画面がある。
【0023】
自動分析装置のソフトウェアの、各種システム設定画面において、スクリーンセーバーの設定画面を選択すると、本発明に関わるスクリーンセーバーの設定ができる(図2)。
【0024】
本スクリーンセーバー設定画面では、分析状態での表示内容,停止状態での表示内容,スクリーンセーバーへの移行時間、を定義できる。
【0025】
本実施例では、分析状態の時の表示内容は、「Operation」と設定し、停止状態の時の表示内容は、「Stand-by」と設定してある。スクリーンセーバーへの移行時間は、10分と設定してある。
【0026】
表示文字のフォントやサイズ,色などは、「表示文字の設定」のボタンを選択すれば、子画面が開き、ユーザーの任意で、設定可能となる。
【0027】
本実施例の設定では、キーボードやタッチパネルなどの操作がなくなってから10分が経過し、そのときの装置の状態を自動的に判断する。分析中であれば、図2のような画面となる。また、停止状態であれば図3のような画面となる。これらの画面中の
「Operation 」等の文字は、焼き付き防止のため、画面上の一定個所に留まらないような設計となっている。
【0028】
また、スクリーンセーバーが実行されている途中であっても、スクリーンセーバーは、装置の状態を監視しているので、装置の状態が変化すれば、例えば、分析中から停止状態に変化すれば、スクリーンセーバーも装置の状態を画面は「Operation 」から「Stand-by」に移行する。
【0029】
そして、キーボードやタッチパネルなどの入力装置から入力があればスクリーンセーバーは解除され、通常の装置の画面に戻る。
【0030】
なお、本スクリーンセーバーを使用する場合は、操作部のコンピューターなどで使用するオペレーティングシステムなどが提供するスクリーンセーバーは起動しないように設定しておく必要がある。
【0031】
また、スクリーンセーバーを使用しないユーザーにおいては、もしくは、スクリーンセーバーが起動していない間、通常の操作画面の背景色を、装置の状態にあわせて変化させるように設定することもできる。この装置状態による背景色の設定を行うための設定画面も用意されている。
【0032】
本設定画面においては、状態により色を選択できるだけではなく、背景が点滅するというモードなども選択できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
スクリーンセーバーソフトウェアが、状態を監視し、判断して、状態を表示するのは、自動分析装置に限らず他の分野においても利用できる可能性をもつ。例えば、コンピューター上で、画像処理を行っている時に、処理中なのか処理が終了したか等を判断して、表示するようなスクリーンセーバーを作りこめばユーザーへの利便が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】自動分析装置の外観。
【図2】スクリーンセーバーの設定画面例。
【図3】分析中を示すスクリーンセーバーの例。
【図4】停止状態を示すスクリーンセーバーの例。
【図5】自動分析装置の構成を示す図。
【符号の説明】
【0035】
1…タッチパネル付きの画面、2…操作部コンピューター、3…キーボード、4…分析部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、分析実行中、と、分析停止中、の2つの装置状態を含む、自動分析装置の複数の装置状態と該自動分析装置の操作画面に表示する表示デザインとの対応を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された装置状態と表示デザインとの対応に基づき、前記自動分析装置の装置状態に応じて画面の表示デザインを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示デザインが、表示画面の背景色であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置において、
該自動分析装置に予め定められた時間操作を行わない場合に前記操作画面に特定の動画を表示するスクリーンセーバー機能を備え、
前記表示デザインが、スクリーンセーバー画面の表示デザインであることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の自動分析装置において、
前記自動分析装置の装置状態に応じた画面の表示デザインの対応を変更する変更手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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