説明

自動分析装置

【課題】静電気を帯びた採取管を非接触で除電することができる自動分析装置を提供すること。
【解決手段】検体供給位置に採取管21を搭載したラック20を搬送するラック搬送コンベア23と、検体供給位置に搬送された採取管21に収容してある検体を吸引するプローブ342と、プローブ342の静電容量を監視することにより、検体の液面を検出する液面検出手段とを備え、検体の液面を検出した後に、所定の深さまでプローブ342の先端を浸漬させて、検体を吸引する自動分析装置において、検体供給位置に至る搬送経路に位置する採取管21の側面と対向する態様で、導電性の突起26aを備えた除電部材26を配設し、搬送経路において非接触で採取管21を除電するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学分析、免疫検査等の分析を自動で行う自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生化学分析等の分析を自動で行う自動分析装置が広く知られている。自動分析装置は、試薬を反応容器に分注するとともに採取管から吸引した検体を反応容器に吐出し、試薬と検体とからなる検液の吸光度を測定することにより、測定した吸光度から分析結果を取得するものである(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、検体の吸引は、液面を検出した後に液面から所定の深さまでプローブの先端を浸漬させることにより行われ、液面の検出は、検体を吸引するプローブの静電容量を監視することにより行われていた。
【0004】
しかしながら、採取管が静電気を帯びている場合には、プローブの先端が液面に到達する前に静電容量に変化が現れ、液面に到達していないにもかかわらず液面に到達したと誤認してしまうことがあった。このような課題を解決すべく、検体を収容した採取管の搬送経路に除電ブラシを配設し、採取管を除電ブラシに接触させて採取管を除電していた。
【0005】
【特許文献1】特許第3152711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、採取管の側面に検体が付着している場合には、付着している検体により除電ブラシが汚れ、除電効果が失われるという課題を内包している。また、採取管が除電ブラシに接触させるために、採取管に搬送方向と反対方向の力が働き、搬送トラブルを引き起こすことがあった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、静電気を帯びた採取管を非接触で除電することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、吸引位置に採取管を搬送する搬送手段と、吸引位置に搬送された採取管に収容してある検体を吸引するプローブと、プローブの静電容量を監視することにより、検体の液面を検出する液面検出手段とを備え、検体の液面を検出した後に、所定の深さまでプローブの先端を浸漬させて、検体を吸引する自動分析装置において、吸引位置に至る搬送経路に位置する採取管の側面と対向する態様で、導電性の突起を備えた除電部材を配設し、搬送経路において非接触で採取管を除電することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる自動分析装置は、吸引位置に至る搬送経路に位置する採取管の側面と対向する態様で、導電性の突起を設けた除電部材を配設し、搬送経路において非接触で採取管を除電するので、採取管の側面に検体が付着している場合であっても除電部材の除電効果が失われることがない。また、除電部材は非接触で採取管を除電するので、採取管が除電部材と接触して採取管に搬送方向と反対方向の力が働くことがない。このため、採取管と除電部材とが接触することによる搬送トラブルを引き起こすこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる自動分析装置を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
本発明にかかる自動分析装置は、生化学分析、免疫検査等の分析を自動で行う自動分析装置に適用可能であるが、ここでは、臨床検査等に用いられる生化学分析装置を例に説明する。
【0012】
(実施の形態)
まず、図1〜図3を参照し、実施の形態にかかる自動分析装置の構成を説明する。なお、図1は本発明の実施の形態にかかる自動分析装置の構成を示す正面図、図2は検体供給部および分析部の構成を示す平面図、図3は検体供給部および分析部の構成を示す概念斜視図である。
【0013】
自動分析装置1は、図1に示すように、検体供給部2、分析部3、データ処理部4を有している。検体供給部2は、図2に示すように、採取管21(たとえば、採血管)を搭載したラック20を分析部3に逐次供給可能である。本実施の形態にかかるラック20は、10本の採取管21が搭載可能であり、150検体分をセット可能である。採取管21には、採取した検体(たとえば血液)が収容してあり、その側面には、検体を識別するバーコードラベル(図示せず)が貼付してある。このバーコードラベルは、検体に関する情報が表示してある。
【0014】
図2に示すように、検体供給部2は、ラック供給コンベア22、ラック搬送コンベア23、ラック回収コンベア24を備えている。ラック供給コンベア22は、搬送方向に対して直交するL字状のアタッチメント22aを複数備えたコンベアであり、アタッチメント22aの相互間にラック20を搭載可能である。したがって、ラック20は、ラック供給コンベア22上で整列し、アタッチメント22aに支承されて倒伏することがない。
【0015】
ラック搬送コンベア23は、検体供給位置にラック20を搬送するものであり、コンベアにより構成してある。ラック搬送コンベア23は、ラック20を間欠的に搬送可能であり、ラック20上の採取管21を検体供給位置に逐次移送可能である。また、ラック搬送コンベア23の搬送方向手前側には、バーコードリーダ25が配設してあり、検体供給位置に搬送する採取管21に収容してある検体の情報を取得可能である。
【0016】
また、図4および図5に示すように、ラック搬送コンベア23の検体供給位置(吸引位置)に至る搬送経路、具体的には搬送経路を画成する側壁27には、除電部材26が配設してある。除電部材26は、導電性を有する材料、たとえば金属により構成してあり、自動分析装置1のフレームグランド(図示せず)にアースしてある。除電部材26には、搬送方向に延在する複数の突起26aが設けてあり、検体供給位置に至る搬送経路に位置する採取管21の側面と対向する。このため、除電部材26は、採取管21に帯電した静電気を非接触で除電することができる。
【0017】
なお、除電部材26は、検体供給位置に至る搬送経路に位置する採取管の側面と対向するものであれば良く、図6および図7に示すように、搬送方向と交差する方向に延在する突起26bを設けたものでも良い。
【0018】
図2に示すように、ラック回収コンベア24は、ラック供給コンベア22と同様に、搬送方向に対して直交するL字状のアタッチメント24aを複数備えたコンベアであり、ラック搬送コンベア23から搬送されたラック20をアタッチメント24aの相互間に収容することにより、ラック20を回収可能である。回収されたラック20は、ラック回収コンベア24上で整列し、アタッチメント24aに支承されて倒伏することがない。
【0019】
分析部3は、反応槽31、第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33を備えている。反応槽31は、分析部3の略中央部に配設してある。反応槽31は、内部に加温装置(図示せず)と温度センサ(図示せず)とを備えるとともに、円板状の蓋312により覆ってあり、内部の温度を人体の体温と同一の温度(摂氏37度)で維持する恒温槽を構成している。また、反応槽31は、図3に示すように、内部にキュベットホイール313および測定光学系314を備え、検液(検体と試薬の混合液)の吸光度から分析結果を取得可能である。
【0020】
キュベットホイール313は、リング状に成形された環状の部材であり、間欠して回転可能である。キュベットホイール313の径外方向略中央には、収容凹部313aが周方向に等間隔(以下、この間隔を1ピッチという)で設けてある。また、キュベットホイール313の内側側面と外側側面とには、収容凹部313aに挿通し、キュベットホイール313の外側から内側に光束を案内する測光窓313bが設けてある。収容凹部313aには、キュベットと称される反応容器(以下、「キュベットC」という)が収容してある。キュベットCは、角筒形状の透明容器であり、上方部が開口している。したがって、光束は、キュベットホイール313の外側からキュベットCを通過してキュベットホイール313の内側に案内される。
【0021】
キュベットホイール313の外側となる位置には、キュベットホイール313の径内方向に光を照射する光源314aが設けてあり、光源314aと分析対象となるキュベットを結ぶ直線上には測光センサ314bが設けてある。光源314aは、試薬と検体とが反応したキュベットC内の検液を分析するための照射光(340〜800nm)を出射するものである。測光センサ314bは、キュベットC内の検液を透過し、測光窓313bを通過した平行光を測光するものである。これら光源314aおよび測光センサ314bは、上述した測定光学系314を構成する。
【0022】
測定光学系314は、光源314a、測光センサ314bのほか、キュベットホイールの外側となる位置にコリメーションレンズ314cを、キュベットホイールの内側となる位置にフィルタ(図示せず)を備えている。コリメーションレンズ314cは、光源314aが出射した光を平行光に収束させるものである。フィルタは、検液に特異的に吸収される波長の光を選択する光学フィルタであり、測定項目毎に予め定めたものが使用される。
【0023】
上述したキュベットホイール313は、4.5秒かけて反時計方向に(1周−1ピッチ)/4回転し(以下「1周期」という)、キュベットホイール313が18秒かけて4周期すると(1周−1ピッチ)回転する。この結果、キュベットCは、4周期で時計方向に1ピッチ移動することになる。
【0024】
ここで、キュベットホイール313が検体供給位置に近接する位置が第一検体分注位置となり、当該第一検体分注位置と略対向する位置が第一試薬分注位置となる。また、第一検体分注位置から時計方向に第一検体分注位置と第一試薬分注位置との間を略二分する位置が第二試薬分注位置となり、第一検体分注位置から反時計方向に第一検体分注位置と第一試薬分注位置との間を略二分する位置が第二検体分注位置となる。さらに、第二試薬分注位置の反時計方向近傍位置が第一攪拌位置となり、第二検体分注位置の時計方向近傍位置が第二攪拌位置となる。またさらに、第二検体分注位置の反時計方向近傍位置が洗浄・乾燥位置となる。
【0025】
そして、反応槽31を覆う蓋312には、これら第一検体分注位置、第二検体分注位置、第一試薬分注位置、第二試薬分注位置、第一攪拌位置、第二攪拌位置、洗浄位置に対応して、図2に示すように、第一検体分注孔312a、第二検体分注孔312b、第一試薬分注孔312c、第二試薬分注孔312d、第一攪拌孔(図示せず)、第二攪拌孔(図示せず)、洗浄孔312gが設けてある。
【0026】
第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33は、反応槽31の左部に配設してある。第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33は、それぞれ、内部に冷却装置(図示せず)と温度センサ(図示せず)とを備えるとともに、円盤状の蓋322,332により覆ってあり、内部の温度を所定の温度以下とする保冷庫を構成している。第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33は、内部にターンテーブル(図示せず)を備えている。
【0027】
ターンテーブルは、間欠して回転可能であり、ターンテーブルの上面には、中央部から径外方向に延在する仕切りが複数配設してある。仕切りは、ワンタッチで着脱可能であって、ターンテーブルを任意の領域に画成可能である。
【0028】
各ターンテーブルには、図3に示すように、それぞれ複数の試薬ボトルBが開栓した状態で収容してある。各試薬ボトルBには、検査項目に対応する所定の試薬が収容してあり、その外周面には試薬を識別するバーコードラベル(図示せず)が貼付してある。バーコードラベルは、試薬に関する情報を表示するものであり、たとえば、試薬の種類、容量、製造ロット番号、有効期限等が表示してある。
【0029】
第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33には、それぞれバーコードリーダ323,333が配設してある。バーコードリーダ323,333は、試薬ボトルBに貼付したバーコードラベルを読み取るものであり、試薬ボトルBに収容した試薬に関する情報を取得可能である。したがって、任意の試薬ボトルBを任意のタイミングで試薬供給位置に移送可能である。
【0030】
そして、第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33を覆う蓋322,332には、図2に示すように、試薬供給位置に対応して、それぞれ第一試薬孔322a、第二試薬孔332aが設けてある。
【0031】
また、分析部3は、検体分注ユニット34、第一試薬分注ユニット35および第二試薬分注ユニット36を備えている。
検体分注ユニット34は、検体供給位置に移送された採取管21からキュベットCに所定量の検体を分注するものであり、アーム341とプローブ342とを有している。アーム341は、検体供給位置と第一検体分注位置との間、および、検体供給位置と第二検体分注位置との間を回動可能、かつ上下方向に昇降可能である。プローブ342は、検体を吸引する部分であり、アーム341の下降時に静電容量を監視することにより、採取管21に収容された検体の液面を検出可能である。また、検体供給位置と第一検体分注位置とを結ぶ軌跡上には、洗浄部343が設けてある(図2参照)。洗浄部343には、図示せぬ洗浄水タンクから洗浄水が供給され、プローブ342を洗浄可能である。
【0032】
第一試薬分注ユニット35および第二試薬分注ユニット36は、試薬供給位置に移送された試薬ボトルBからキュベットCに所定量の試薬を分注するものであり、検体分注ユニット34と同様に、それぞれ、アーム351,361とプローブ352,362とを有している。アーム351,361は、試薬供給位置と試薬分注位置との間を回動可能、かつ上下方向に昇降可能である。プローブ352,362は、試薬を吸引する部分であり、アーム351,361の下降時に静電容量を監視することにより、試薬ボトルBに収容された試薬の液面を検出可能である。また、試薬供給位置と試薬分注位置とを結ぶ軌跡上には、洗浄部353,363が設けてある(図2参照)。洗浄部353,363には、図示せぬ洗浄水タンクから洗浄水が供給され、プローブ352,362を洗浄可能である。
【0033】
さらに、分析部3は、第一攪拌ユニット37および第二攪拌ユニット38を備えている。
第一攪拌ユニット37および第二攪拌ユニット38は、第一攪拌位置と第二攪拌位置に移送されたキュベットCの混合液(検体と試薬)を攪拌して反応を促進させるものであり、それぞれ、回転アーム371,381と撹拌棒372,382とを備えている。回転アーム371,381は、回転(公転)可能、かつ上下方向に昇降可能であって、平面視略三角形状を有している。撹拌棒372,382は、回転アーム371,381の各頂部近傍に配設してある。撹拌棒372,382は、回転アーム371,381と独立して回転(自転)可能である。また、撹拌棒372,382の公転軌跡上には、洗浄部373,383が設けてある(図2参照)。洗浄部373,383は、図示せぬ洗浄水タンクから洗浄水が供給され、撹拌棒372,382を洗浄可能である。
【0034】
またさらに、分析部3は、洗浄・乾燥ユニット39を備えている。
洗浄・乾燥ユニット39は、キュベットホイール313が四周期するごと、すなわち1周−1ピッチ回転するごとに上下方向に昇降可能であって、複数のノズル391を有している。これらノズルは、キュベットから分析を終了した検液を吸引する吸引ノズル、キュベットに洗浄液を供給する洗浄ノズル、キュベットから洗浄液を吸引する吸引ノズル、キュベットに圧縮空気を供給するエアノズル等のノズルである。
【0035】
上述した検体供給部2、分析部3の各ユニットおよび構成要素は、制御部に接続してあり、統括的に制御可能である。制御部は、たとえば、マイクロコンピュータ等を採用可能である。制御部は、自動分析装置1の各部の作動を制御するとともに、試薬のロットや有効期限等が設定範囲外の場合、分析作業を規制するように分析部を制御する。
【0036】
制御部には、データ処理部4(以下、DPR4という)が接続してある。DPR4は、制御部が取得した各種データを処理する部分である。DPR4は、入力部と出力部とを備えている。入力部は、たとえば、キーボードやマウス等であり、検体数や検査項目等の各種情報が入力可能である。出力部は、たとえば、ディスプレイパネルやプリンタ等であり、分析結果を含む分析内容や警報等の各種情報が出力可能である。
【0037】
また、DPR4は、制御部を介して測光センサ314bと接続してあり、測光センサ314bが測光した光量(吸光度)に基づいて、検体の成分濃度等を分析可能である。吸光度は、測光センサ314bによって予めブランク試料に関する光量を測定しておくことにより比較対照が可能である。この分析結果は、出力部42に出力可能である。
【0038】
つぎに、上述した本実施の形態にかかる自動分析装置の作用を説明する。
分析を開始すると、検体供給部2では、分析部3に検体を供給する。具体的には、ラック供給コンベア22がラック20をラック搬送コンベア23に供給し、ラック搬送コンベア23が当該ラック20を検体供給位置に搬送する。このとき、採取管21に帯電した静電気は、除電部材26によって除電される。
【0039】
一方、分析部3では、試薬保冷庫32,33および検体供給部2から試薬および検体をキュベットCに分注し、これらの混合液の反応を測光することにより分析する。具体的に説明する。
【0040】
まず、第一試薬保冷庫32において、分析項目に対応する試薬が収容してある試薬ボトルBを試薬供給位置に移動する。そして、分析項目に対応する試薬ボトルBが試薬供給位置に移動すると、第一試薬分注ユニット35が、試薬ボトルBから第一試薬を吸引して第一試薬分注位置に位置するキュベットCに第一試薬を分注する。そして、分注を終えたプローブ352は洗浄部353で洗浄される。
【0041】
キュベットホイール313が回転し、第一試薬が分注されたキュベットCが検体分注位置に移動すると、検体分注ユニット34が検体供給位置に搬送された採取管21から検体を吸引して、検体分注位置に位置するキュベットCに検体を分注する。
【0042】
具体的には、アーム341を回動することにより、プローブ342を検体供給位置(吸引位置)に移動させた後、静電容量を監視した状態でプローブ342を下降し、検体の液面を検出する。つづいて、プローブ342の先端を所定の深さまで浸漬させて検体を吸引する。その後、プローブ342を上昇させた後、アーム341を回動することにより、検体供給位置にプローブを検体分注位置に移動する。つづいて、プローブ342を下降させて検体を吐出する。このようにして分注を終えたプローブ342は洗浄部343で洗浄される。
【0043】
そして、キュベットホイール313が4周期回転すると、第一試薬と検体を分注したキュベットCは、上述したように、第一試薬を分注した位置から時計方向に1ピッチ移動したことになる。したがって、当該キュベットCと反時計方向に隣り合うキュベットCに第一試薬を分注可能となる。
【0044】
その後、キュベットホイール313が回転し、キュベットCが第一攪拌位置に移動すると、第一攪拌ユニット37がキュベットCに収容された第一試薬と検体の混合液を攪拌する。このとき、前回攪拌に用いた撹拌棒372が洗浄部373において洗浄される。
【0045】
そして、キュベットホイール313が回転し、攪拌された混合液を収容したキュベットCが第二試薬分注位置に移動すると、第二試薬が分注可能となる。ここで、通常の分析において第二試薬を分注することはなく、必要に応じて第二試薬を分注する。第二試薬を分注する場合には、第一試薬を分注する場合と同様に、第二試薬保冷庫33において、分析項目に対応する試薬が収容してある試薬ボトルBを試薬供給位置に移動する。このとき、非接触温度センサ333の下方を通過した全ての試薬ボトルBに収容した試薬の温度が測定される。そして、分析項目に対応する試薬ボトルBが試薬供給位置に移動すると、第二試薬分注ユニット36が、試薬ボトルBから第二試薬を吸引して第二試薬分注位置に位置するキュベットCに第二試薬を分注する。そして、分注に用いられたプローブ362は洗浄部363で洗浄される。
【0046】
さらに、キュベットホイール313が回転し、混合液に第二試薬を分注したキュベットCが第二攪拌位置に移動すると、第二攪拌ユニット38がキュベットCに収容された混合液が攪拌可能となる。ここで、第二試薬を分注してない場合には攪拌する必要はない。
【0047】
そして、試薬および検体を混合攪拌した検液を収容したキュベットCが測定光学系314を横切るごとに測光センサ314bが測光する。そして、DPR4は、測光センサ314bが測光した光量(吸光度)に基づいて、検体の成分濃度等を分析する。
【0048】
このようにして検液の測光が終了したキュベットCは、洗浄・乾燥位置において洗浄・乾燥ユニット39が内部の検液が吸引されて廃棄されるとともに、洗浄水タンクから供給された洗浄水によって内部が洗浄された後、圧縮空気により乾燥される。そして、キュベットCは、再び第一試薬分注ユニット35によって第一試薬が分注され、分析に使用される。
【0049】
上述した実施の形態にかかる自動分析装置1によれば、検体供給位置に至る搬送経路に位置する採取管21の側面と対向する態様で、導電性の突起26a(26b)を設けた除電部材26を配設し、搬送経路において非接触で採取管21を除電するので、採取管21の側面に検体が付着している場合であっても除電部材26の除電効果が失われることがない。また、除電部材26は非接触で採取管21を除電するので、採取管21が除電部材26と接触して採取管21に搬送方向と反対方向の力が働くことがない。このため、採取管21と除電部材26とが接触することによる搬送トラブルを引き起こすこともない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態にかかる自動分析装置の構成を示す正面図である。
【図2】検体供給部および分析部の構成を示す平面図である。
【図3】検体供給部および分析部の構成を示す概念斜視図である。
【図4】除電部材を示す正面図である。
【図5】図4に示した除電部材を示す斜視図である。
【図6】他の形態にかかる除電部材を示す正面図である。
【図7】図6に示した除電部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
2 検体供給部
20 ラック
21 採取管
23 ラック搬送コンベア
26 除電部材
26a 突起
26b 突起
27 側壁
34 検体分注ユニット
341 アーム
342 プローブ
C キュベット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引位置に採取管を搬送する搬送手段と、
吸引位置に搬送された採取管に収容してある検体を吸引するプローブと、
プローブの静電容量を監視することにより、検体の液面を検出する液面検出手段と
を備え、
検体の液面を検出した後に、所定の深さまでプローブの先端を浸漬させて、検体を吸引する自動分析装置において、
吸引位置に至る搬送経路に位置する採取管の側面と対向する態様で、導電性の突起を備えた除電部材を配設し、
搬送経路において非接触で採取管を除電することを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−309742(P2007−309742A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137732(P2006−137732)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】