説明

自動分析装置

【課題】アルバイタ等の装置に不慣れなオペレータであっても操作しやすい自動分析装置を提供すること。
【解決手段】当該自動分析装置1に必要な特定の操作作業内容をバーコードとしてコード化し、該操作作業内容とバーコードとをそれぞれ一義的な関係を持つように対応させて予め記憶しておき、識別用ダミーラック41a,41b,…,41nに付与されたバーコードをバーコードリーダ18で認識し、認識結果に基づき記憶手段を参照して該識バーコードに対応する操作作業内容の処理を制御部51によって自動的に実行させるようにしたので、操作に不慣れなオペレータであっても複雑な画面操作を習得したり表示部52の画面上で入力操作したりする必要なく、必要なバーコードが付与された識別用ダミーラック41a,41b,…,41nをバーコードリーダ18で認識させればよく、操作しやすいようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の検体を自動的に分析して検体中の特定成分の物質濃度、吸光度等の特性を測定する自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置は、キュベット(容器)に分注した検体と試薬とを混合して反応させ、その反応液の吸光度から液体中に含まれる物質濃度を分析している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような自動分析装置では、当該自動分析装置に必要な操作作業は、オペレータが自動分析装置本体に接続されているパソコンのキーボード、マウス等の入力部を操作して表示部の画面上で行うようにしている。
【0004】
【特許文献1】特許第3152711号公報
【特許文献2】特開2004−28932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自動分析装置は、分析処理の開始までにやらなくてはならない手順が色々あり、オペレーションがかなり複雑である。特に、面倒なオペレーションとして、検査の受付、検査パラメータの設定、試薬IDの読取等を総称した所定のマニュアル動作、分析の開始、終了などの当該装置のオペレーションなどがある。加えて、自動分析装置のオペレータとしては、操作方法等を熟知した熟練者だけでなく、夜間勤務を行うアルバイタ等の装置に不慣れなオペレータも存在することから、操作性の改善が要望されている。
【0006】
ここで、特許文献2によれば、予め登録されているガイダンスに従って、分析処理が実行できる装置が提案されている。しかしながら、特許文献2のものは、操作性は改善されているものの、自動分析装置本体に接続されているパソコンの表示部画面上での操作を必要とする点では、従来のものと変わりなく、不慣れなオペレータにとって操作が判りにくいものとなっている。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、アルバイタ等の装置に不慣れなオペレータであっても操作しやすい自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る自動分析装置は、当該自動分析装置に必要な特定の操作作業内容を識別コードとしてコード化し、該操作作業内容と識別コードとを、それぞれ一義的な関係を持つように対応させて予め記憶する記憶手段と、媒体に付与された前記識別コードを認識する認識手段と、該認識手段によって前記識別コードが認識された場合に前記記憶手段を参照して該識別コードに対応する操作作業内容の処理を自動的に実行させる動作制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、前記識別コードとしてコード化される前記特定の操作作業内容は、検査の受付、検査パラメータの設定、所定のマニュアル動作、当該自動分析装置のオペレーションなる操作作業内容のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、前記識別コードとしてコード化される前記特定の操作作業内容は、予め登録された表示画面を自動的に表示させてオペレータに分析結果の確認を促す作業操作内容を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、前記識別コードは、特定のラック番号をコード化したものであり、前記媒体は、前記特定のラック番号が付与されて、サンプルチューブが載置される検体ラックと同一の搬送ラインによって搬送処理される識別用ダミーラックであり、前記認識手段は、前記搬送ラインに対して設けられて前記識別用ダミーラックに付与された特定のラック番号を認識することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、前記媒体は、前記識別コードが付与されて、搬送ライン上を搬送される検体ラックに載置される識別用ダミーサンプルチューブであり、前記認識手段は、前記搬送ラインに対して設けられて前記識別用ダミーサンプルチューブに付与された前記識別コードを認識することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、前記識別コードは、コードシンボルからなり、前記認識手段は、前記コードシンボルを読み取り認識するコードリーダからなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、前記識別コードは、コードシンボルからなり、前記媒体は、必要な特定の操作作業内容の手順に従い対応するコードシンボルを併記したシート状部材からなり、前記認識手段は、前記シート状部材に併記された前記コードシンボルを読み取り認識するハンディコードリーダからなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、当該自動分析装置に必要な特定の操作作業内容を前記識別コードとしてコード化し、該操作作業内容と識別コードとを、それぞれ一義的な関係を持つように対応させて予め前記記憶手段に記憶させる登録手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る自動分析装置によれば、当該自動分析装置に必要な特定の操作作業内容を識別コードとしてコード化し、該操作作業内容と識別コードとをそれぞれ一義的な関係を持つように対応させて予め記憶しておき、媒体に付与された識別コードを認識手段で認識し、認識結果に基づき記憶手段を参照して該識別コードに対応する操作作業内容の処理を自動的に実行させるようにしたので、操作に不慣れなオペレータであっても複雑な画面操作を習得したり画面上で入力操作したりする必要なく、必要な識別コードが付与された媒体を認識手段で認識させればよく、操作しやすい自動分析装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係る自動分析装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、本実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る自動分析装置として臨床検査等に用いられる生化学分析装置の全体構成を示す図である。本実施の形態の自動分析装置1は、自動分析装置本体10と、パソコン50とを備える。
【0019】
自動分析装置本体10は、例えばシングルユニット構成の例を示し、ラック供給部11、ラック回収部12、分析部30、搬送レーン13等を備える。ここで、シングルユニット構成の分析部30は、キュベットホイール31と、試薬保冷庫32とを備え、搬送レーン13とキュベットホイール31との間に検体分注機構33が設けられ、キュベットホイール31と試薬保冷庫32との間に試薬分注機構(図示せず)が設けられている。
【0020】
ラック供給部11は、複数の検体ラック14が配列され、各検体ラック14には血清等の検体を保持したサンプルチューブ15が載置されている。ラック供給部11は、サンプルチューブ15が載置された検体ラック14を搬送レーン13による搬送ライン上を順次搬送し、検体分注機構33のプローブ(図示せず)によって各サンプルチューブ15に保持された検体がキュベットホイール31のキュベット(図示せず)に分注される。また、キュベットホイール31は、リング状に成形された環状部材の外周に、キュベットの収容凹部が周方向に等間隔で複数設けられたものであり、発光素子と受光素子とが特定位置でキュベットを挟んで検体の光学的特性を検知する光学的検知手段(図示せず)を備える。
【0021】
キュベットホイール31により搬送されるキュベットに対して、試薬分注機構によって試薬保冷庫32中の検査項目に応じた所定の試薬が分注される。試薬が分注されたキュベットは、攪拌装置(図示せず)によって検体と試薬とが攪拌される。
【0022】
図2は、検体ラック14の構成例を示す斜視図である。各検体ラック14は、図2に示すように、各検体ラック14のラックIDを示すラック番号がバーコード16としてコード化したバーコードラベル17が所定位置に付与されている。そして、自動分析装置本体10は、ラック供給部11とラック回収部12との間の搬送レーン13に臨ませて、ラック供給部11から搬送レーン13上を搬送される検体ラック14に付与されたバーコードラベル17のバーコード16を読み取り認識する認識手段であるコードリーダとしてのバーコードリーダ18を備える。なお、ラック検知センサ19は、ラック供給部11の所定位置に配設されて、該ラック供給部11において搬送レーン13上に供給すべき検体ラック14が存在するか否かを検知する。また、搬送レーン13に対しては、検体ラック14の割り込み等を行うためのラックバックスイッチ20やラックフィードスイッチ21を備える。
【0023】
パソコン50は、自動分析装置本体10との間で各種データの授受を行い、該自動分析装置本体10に対してデータ処理装置として機能するもので、CPU、RAMおよびROM等により構成されて自動分析装置本体10全体の制御を司る動作制御手段となる制御部51と、制御部51に接続されて各種情報等を画面表示する表示部52と、キーボード、マウス等からなり各種情報を入力するための入力部53と、各種情報を記憶するメモリ54と、メモリ54に対する所定の登録処理を行うための登録部55と、を備える。
【0024】
ここで、本実施の形態の自動分析装置1は、当該装置のオペレーション用に、図2中に示すような複数種類の識別用ダミーラック41a〜41nを用いることを特徴とする。識別用ダミーラック41a〜41n自体の構造は、検体ラック14と同一であり、可搬性を有して検体ラック14と同じく搬送レーン13上を搬送可能なものである。それぞれの識別用ダミーラック41a〜41nは、当該自動分析装置1に必要な特定の操作作業内容を識別コードである特定のラック番号をバーコード42a〜42nとしてコード化したバーコードラベル43がバーコードラベル17と同一の位置に貼付されたものである。これにより、識別用ダミーラック41a〜41nに貼付されたバーコードラベル43のバーコード42a〜42nはバーコードリーダ18により読み取り認識可能とされている。
【0025】
一方、当該自動分析装置1に必要な特定の操作作業内容は、バーコード化されたラック番号による識別コードとしてコード化されて、各操作作業内容を示す実行コマンドと識別コード(バーコード42、ラック番号)とは、例えば図3に示すように、それぞれ一義的な対応関係を持つように対応させて予め記憶手段であるラック番号別コマンドテーブル44としてメモリ54中に記憶されている。図3に示す例では、例えば、特定のラック番号“1001”が“試薬ID読み取り”なる実行コマンドに相当し、特定のラック番号“1003”が“分析開始”なる実行コマンドに相当し、特定のラック番号“1005”が“[出力データ画面]開く”なる実行コマンドに相当し、特定のラック番号“3999”が“エンド処理後シャットダウン”なる実行コマンドに相当する。すなわち、本実施の形態における“実行コマンド”は、従来オペレータがパソコン画面上で操作していた操作作業内容に相当する。
【0026】
ここで、図4を参照してパソコン50を用いた特定のラック番号と実行コマンドとの対応関係の登録部55による登録処理例を説明する。図4は、パソコン50の表示部52の画面上に表示された実行コマンド登録メニュー例を示す説明図である。まず、オペレータは、予め特定の事象が発生した際の扱い(操作作業内容=実行コマンド)を表示部52の操作画面上から入力する。この場合に操作するオペレータは、操作方法等を熟知した熟練オペレータである。なお、特定のラック番号と実行コマンドとの対応関係は、既定値として予め製品出荷時にメモリ54に登録しておいてもよい。
【0027】
図4に示す実行コマンド登録メニュー例では、特定のラック番号“1001”〜“1006”“3999”…に関して、実行コマンドの設定登録が可能とされ、併せて、実行可能モード1,2の設定登録が可能とされている。本実施の形態では、実行コマンドとして、“<処理マクロ>検査受付1”で示す検査の受付、“試薬ID読み取り”等の総称として示す所定のマニュアル動作、“分析開始”“分析中断”“エンド処理後シャットダウン”等で示す当該自動分析装置1のオペレーションなる操作作業内容、さらには、“[出力データ画面]開く”で示す予め登録された表示画面を自動的に表示させてオペレータに分析結果の確認を促す作業操作内容を含む。また、実行可能モードとは、自動分析装置1がこのモードのときに当該実行コマンドが実行可能なモードを意味するが、このような実行可能モード1,2としては、“スタンバイ”“メジャー”“ストップ”が設定される。ここで、“スタンバイ”は、分析の開始可能な状態にあることを意味し、“メジャー”は、分析中の状態にあることを意味し、“ストップ”は、オペレータが強制的に停止させる場合と、メカニカルなエラーが生じた場合とを意味する。いずれにしても、“ストップ”を生じた場合には、ユニット状態の再チェックが必要なため、メカニカルなイニシャライズをかけないと再開できない。
【0028】
このような実行コマンド登録メニューに従って特定のラック番号と実行コマンドとを対応付けてラック番号別コマンドテーブル44に登録するとともに、必要なラック番号をバーコードラべラー(図示せず)でバーコード42a〜42nとしてコード化したバーコードラベル42を発行し、識別用ダミーラック41a〜41nに貼付しておく。なお、各識別用ダミーラック41a〜41nには、各バーコード42a〜42nに対応する実行コマンドの内容を併記させておけば、オペレータにとって一層扱いやすいものとなる。
【0029】
ここで、特定のラック番号に対応付けて登録する実行コマンドは、実行コマンド登録メニュー中に予め用意されているものに加え、例えば、検査パラメータの設定に相当する特定の検査受付の操作などをオペレータが登録することも可能とされている。図5−1〜図5−3は、例えばラック番号“1002”の検査受付1に関する検査パラメータの設定登録例を示す説明図である。まず、図5−1に示すようなマクロ登録開始画面を出現させ、処理対象となるラック番号を選択し、マクロ登録開始キー(OKキー)を押下する。次いで、図5−2に示すように、検査受付メニューを開いて検査受付の登録を行う。図5−2に示す例では、サンプルチューブ15のサンプル番号“0012”、サンプルID“00000023”の検体に対して、“TEST1”〜“TEST4”で示す検査項目中、“TEST1”“TEST3”の検査項目を行うことを設定した例を示している。この後、図5−3に示すように、マクロ登録終了画面を出現させ、マクロ登録終了(OKキー)を押下することにより、登録が完了する。
【0030】
熟練したオペレータは、このようにして特定のラック番号と実行コマンドとを対応付けてラック番号別コマンドテーブル44に登録するとともに、必要なラック番号をバーコード42a〜42nとしてコード化したバーコードラベル42を発行し、該バーコードラベル42が貼付された識別用ダミーラック41a〜41nを用意して、引継ぐべき不慣れなオペレータに渡す。不慣れなオペレータは、用意された識別用ダミーラック41a〜41nを通常の検体ラック14を扱う感覚でラック供給部11に投入することにより、自動分析装置1に必要な特定の操作作業内容に相当する処理を自動的に実行させる。
【0031】
図6を参照して、制御部51により実行される操作作業内容の処理実行例の一例について説明する。図6は、オペレータによる操作を含めて示す操作作業内容の処理実行例の一例を示す概略フローチャートである。まず、装置の電源を立上げ(ステップS1)、試薬保冷庫32に試薬をセットする(ステップS2)。次いで、ラック番号“1001”の識別用ダミーラック41aをラック供給部11から搬送レーン13上に投入させる(ステップS3)。この投入動作は、ラック供給部11にセットされた識別用ダミーラック41aをラック検知センサ19が検知したことを制御部51が認識することにより実行される。
【0032】
そして、搬送レーン13上を搬送される識別用ダミーラック41aに貼付されたバーコードラベル43のバーコード42aはバーコードリーダ18により読み取り認識され、認識されたラック番号情報が制御部51に送られる。制御部51は、ラック番号別コマンドテーブル44を参照することで、認識されたラック番号“1001”に一義的な関係を持つように対応付けられた実行コマンドが登録されているか否かを確認し、登録されている場合には、対応する実行コマンド“試薬ID読み取り”なる操作作業内容の処理を自動分析装置本体10に自動的に実行させる。ここで、実行コマンドの実行に先立ち、自動分析装置本体10が実行可能なモードにあるか否かを判断し、実行可能なモードにない場合には、当該実行コマンドの実行を見送る。これにより、ステップS3に示すように、ラック番号“1001”の識別用ダミーラック41aが投入されると、対応する試薬ID読み取りなる操作作業内容の処理を自動分析装置本体10に自動的に実行させる。
【0033】
次に、同様にして、ラック番号“1002”の識別用ダミーラック41bをラック供給部11から搬送レーン13上に投入させる(ステップS4)。これにより、制御部51は、認識されたラック番号“1002”に対応する“検査受付1”なる操作作業内容の処理を自動分析装置本体10に自動的に実行させる。そして、処理対象となる検査受付1の検体を保持したサンプルチューブ15が載置された検体ラック14をセットする(ステップS5)。引き続き、ラック番号“1003”の識別用ダミーラック41cをラック供給部11から搬送レーン13上に投入させる(ステップS6)。これにより、制御部51は、認識されたラック番号“1003”に対応する“分析開始”なる操作作業内容の処理を自動分析装置本体10に自動的に実行させる。
【0034】
さらに、ラック番号“1004”の識別用ダミーラック41dをラック供給部11から搬送レーン13上に投入させる(ステップS7)。これにより、制御部51は、認識されたラック番号“1004”に対応する“[システムステータス画面]開く”なる操作作業内容の処理を表示部52に自動的に実行させる。そこで、オペレータは、表示部52の画面によって分析状況を確認する(ステップS8)。引き続き、ラック番号“1005”の識別用ダミーラック41eをラック供給部11から搬送レーン13上に投入させる(ステップS9)。これにより、制御部51は、認識されたラック番号“1005”に対応する“[出力データ画面]開く”なる操作作業内容の処理を表示部52に自動的に実行させる。そこで、オペレータは、表示部52の画面によって分析結果を確認する(ステップS10)。そして、最後に、ラック番号“3999”の識別用ダミーラック41nをラック供給部11から搬送レーン13上に投入させる(ステップS11)。これにより、制御部51は、認識されたラック番号“3999”に対応する“エンド処理後シャットダウン”なる操作作業内容の処理を自動分析装置本体10に自動的に実行させる。
【0035】
なお、分析途中で、識別用ダミーラック41を割り込ませたい場合には、ラックバックスイッチ20を押下してラック供給部11の検体ラック14等を後退させ、ラック検知センサ19の位置に所望の識別用ダミーラック41をセットすればよい。
【0036】
このように、本実施の形態によれば、当該自動分析装置1に必要な特定の操作作業内容を特定のラック番号を利用して該ラック番号をバーコード42a〜42nなる識別コードとしてコード化し、該操作作業内容とバーコード42a〜42nとをそれぞれ一義的な関係を持つように対応させて予めラック番号別コマンドテーブル44に記憶しておき、識別用ダミーラック41a〜41nに付与されたバーコード42a〜42nをバーコードリーダ18で認識し、認識結果に基づきラック番号別コマンドテーブル44を参照して該バーコード42a〜42nに対応する操作作業内容の処理を自動的に実行させるようにしたので、操作に不慣れなオペレータであっても複雑な画面操作を習得したり表示部52の画面上で入力操作したりする必要なく、必要なバーコード42a〜42nが付与された識別用ダミーラック41a〜41nを所定の順番でバーコードリーダ18に認識させればよく、操作しやすい自動分析装置1を提供することができる。
【0037】
特に、不慣れなオペレータであっても検体ラック14の扱いは日常的に操作セットすることにより慣れているものであり、このような検体ラック14と同等な識別用ダミーラック41を利用して操作作業内容の指示を行うので、オペレータにとって判りやすくて操作しやすいものとなる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、登録されている実行コマンドを変更することや、運用に応じて投入する識別用ダミーラック41a〜41nの順番や種類を変更することで、自動実行する処理を容易にカスタマイズすることも可能となる。
【0039】
図7は、搬送レーン13によって複数の分析部30A,30B,30Cが連結された自動分析装置の変形例を示す概略平面図である。本実施の形態によれば、図7に示すように、搬送レーン13によって複数の分析部30A,30B,30Cが連結された自動分析装置構成の場合にも、識別用ダミーラック41を利用することにより、操作性を向上させることができる。例えば、複数の分析部30A,30B,30Cを管理する場合において、本日の分析処理が全て終了した時点で、特定の識別用ダミーラック41を搬送レーン13によって当該装置に搬入させ、洗浄動作などの後処理を行わせた後、シャットダウンさせることが可能となる。
【0040】
また、朝の装置立上げ時においても、必要以上に早い時期から装置の電源を入れっぱなしにしなくてもすむように、搬送レーン13を利用して当該装置へ、分析開始前の所定の時刻になると特定の識別用ダミーラック41を送り込み、電源を投入して準備動作を開始させることも可能となる。例えば、分析部30Aの本日分の分析が終了した時点で、搬送レーン13から洗浄動作を行わせるための識別用ダミーラック41を投入することで、分析部30Aに分析後の後処理を行わせることが可能となる。
【0041】
なお、本実施の形態では、媒体として検体ラック14と同等の識別用ダミーラック31を用いるようにしたが、ラックに限らず、例えば図8および図9に示すように、サンプルチューブ15と同等の識別用ダミーサンプルチューブ45a〜45nを媒体として利用するようにしてもよい。これは、オペレータは、サンプルチューブ15の単位で自動分析装置本体10に投入するので、必ずしもラック単位に限らないためである。ここで、通常のサンプルチューブ15は、検体15bを保持するとともに、サンプル番号がバーコード15aとしてコード化されたバーコードラベル15cが貼付され、バーコード15aの情報が、バーコードリーダ18等の認識手段によって読み取り認識されるものである。識別用ダミーサンプルチューブ45a〜45n自体の構造は、サンプルチューブ15と同一であり、可搬性を有して検体ラック14に載置されて搬送レーン13上を搬送可能なものである。それぞれの識別用ダミーサンプルチューブ45a〜45nは、当該自動分析装置1に必要な特定の操作作業内容を識別コードである特定のサンプル番号をバーコード46a〜46nとしてコード化したバーコードラベル47がバーコードラベル15cと同一の位置に貼付されたものである。これにより、識別用ダミーサンプルチューブ45a〜45nに貼付されたバーコードラベル47のバーコード46a〜46nはバーコードリーダ18により読み取り認識可能とされている。これにより、上述の識別用ダミーラック41a〜41nの場合と同様に利用できることが判る。
【0042】
さらには、媒体としては、識別用ダミーラック41a〜41nや識別用ダミーサンプルチューブ45a〜45nに限らず、図10に示すように、バーコード42a〜42n等に相当するバーコード48a〜48nが特定の操作作業内容の手順に従い順に併記する形で印字あるいは貼付されたシート状部材48を用いるようにしてもよい。各バーコード48a〜48nには、対応する操作作業内容である実行コマンドの内容がオペレータに判る形で併記されている。シート状部材48を用いる場合、自動分析装置1にあっては、パソコン50が、図11に示すように、バーコード48a〜48nを読み取り認識する認識手段であるハンディコードリーダとしてのハンディバーコードリーダ56を備えていればよい。
【0043】
これにより、熟練者等のオペレータは、例えば不慣れなオペレータ○○さん用にシート状部材48を予め作成して引継ぎ時に○○さんに作業指示シートとして手渡す。そこで、自動分析装置1の操作を引継ぐ○○さんは、手渡されたシート状部材48とハンディバーコードリーダ56とを用い、シート状部材48が有するバーコード48a〜48nをハンディバーコードリーダ56によって所定の順番で順次読み込み認識して、認識結果を制御部51に出力させることで、上述の場合と同様な操作作業内容の処理を自動的に行わせることができる。
【0044】
また、上述の説明では、識別コードとしてバーコード方式によるコード化の例を示したが、バーコードに限らず、QRコード等を含む2次元コード等のコードシンボルであってもよい。これに対応して、バーコードリーダ18、ハンディバーコードリーダ56も、対応するコードシンボルの読み取り認識が可能なものであればよい。さらには、自動分析装置としても、生化学分析用に限らず、例えば免疫分析用、たん白分画用であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動分析装置の全体構成を示す図である。
【図2】検体ラックおよび識別用ダミーラックの構成例を示す斜視図である。
【図3】ラック番号別コマンドテーブル例を示す説明図である。
【図4】パソコンの表示部の画面上に表示された実行コマンド登録メニュー例を示す説明図である。
【図5−1】検査受付1に関する検査パラメータの設定登録に関してマクロ登録開始画面例を示す説明図である。
【図5−2】検査受付1に関する検査パラメータの設定登録に関して検査受付メニュー画面例を示す説明図である。
【図5−3】検査受付1に関する検査パラメータの設定登録に関してマクロ登録終了画面例を示す説明図である。
【図6】オペレータによる操作を含めて示す操作作業内容の処理実行例の一例を示す概略フローチャートである。
【図7】搬送レーンによって複数の分析部が連結された自動分析装置の変形例を示す概略平面図である。
【図8】サンプルチューブおよび識別用ダミーサンプルチューブの構成例を示す斜視図である。
【図9】検体ラックへの載置例を示す斜視図である。
【図10】媒体をシート状部材とした変形例を示す説明図である。
【図11】シート状部材を用いる場合のパソコンの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
13 搬送レーン
14 検体ラック
15 サンプルチューブ
18 バーコードリーダ
41a〜41n 識別用ダミーラック
42a〜42n バーコード
44 ラック番号別コマンドテーブル
45a〜45n 識別用ダミーサンプルチューブ
46a〜46n バーコード
48 シート状部材
48a〜48n バーコード
51 制御部
55 登録部
56 ハンディバーコードリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該自動分析装置に必要な特定の操作作業内容を識別コードとしてコード化し、該操作作業内容と識別コードとを、それぞれ一義的な関係を持つように対応させて予め記憶する記憶手段と、
媒体に付与された前記識別コードを認識する認識手段と、
該認識手段によって前記識別コードが認識された場合に前記記憶手段を参照して該識別コードに対応する操作作業内容の処理を自動的に実行させる動作制御手段と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記識別コードとしてコード化される前記特定の操作作業内容は、検査の受付、検査パラメータの設定、所定のマニュアル動作、当該自動分析装置のオペレーションなる操作作業内容のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記識別コードとしてコード化される前記特定の操作作業内容は、予め登録された表示画面を自動的に表示させてオペレータに分析結果の確認を促す作業操作内容を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記識別コードは、特定のラック番号をコード化したものであり、
前記媒体は、前記特定のラック番号が付与されて、サンプルチューブが載置される検体ラックと同一の搬送ラインによって搬送処理される識別用ダミーラックであり、
前記認識手段は、前記搬送ラインに対して設けられて前記識別用ダミーラックに付与された特定のラック番号を認識することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記媒体は、前記識別コードが付与されて、搬送ライン上を搬送される検体ラックに載置される識別用ダミーサンプルチューブであり、
前記認識手段は、前記搬送ラインに対して設けられて前記識別用ダミーサンプルチューブに付与された前記識別コードを認識することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記識別コードは、コードシンボルからなり、
前記認識手段は、前記コードシンボルを読み取り認識するコードリーダからなることを特徴とする請求項4または5に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記識別コードは、コードシンボルからなり、
前記媒体は、必要な特定の操作作業内容の手順に従い対応するコードシンボルを併記したシート状部材からなり、
前記認識手段は、前記シート状部材に併記された前記コードシンボルを読み取り認識するハンディコードリーダからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項8】
当該自動分析装置に必要な特定の操作作業内容を識別コードとしてコード化し、該操作作業内容と前記識別コードとを、それぞれ一義的な関係を持つように対応させて予め前記記憶手段に記憶させる登録手段を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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