説明

自動分析装置

【課題】将来の一定期間に対するキャリブレーション及び精度管理検体の分析スケジュール表を自動的に作成・表示し、且つ分析スケジュール表作成のための分析実施予測の論理を各施設の運用条件に応じてユーザが選択できる仕組みを提供する。
【解決手段】自動分析装置に、将来の一定期間に対するキャリブレーション及び精度管理検体の測定実施予定日時1−5を含む分析スケジュール表を表示する画面を設ける。例えば、検査項目1−6毎に、キャリブレーション実施時刻と実施時間間隔とから次回以降のキャリブ実施の日時、有効期限による新試薬切替え日時、試薬残量と分析依頼予定数から新試薬切替え日時等を特定・推定し、過去の検量線データや精度管理データのトレンドから再キャリブレーションや再精度管理実施を推奨する、など複数の論理(実施理由1−8)を装置内に保持する。組合せで選択された論理に従って将来の実施スケジュール表が作成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体試料の成分を分析する自動分析装置に係り、自動分析装置におけるキャリブレーション及び精度管理の効率的な運用、管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液や尿等の生体試料を試薬を用いて分析する自動分析装置においては、分析開始時、もしくは分析処理中各試薬に応じて定まる所定時間毎に、あるいは分析処理中の必要に応じて、検量線校正操作であるキャリブレーションや自動分析装置が良好な状態を保つための精度管理を行う必要がある。
【0003】
キャリブレーションや精度管理を実施すべき要因としては、キャリブレーションや精度管理を一定の周期で実行させるための所定時間の経過、試薬のボトルの切り替え、測定失敗時の再測定などがある。
【0004】
キャリブレーションは、各項目に応じて定められた濃度の標準液を用いて行なわれる。キャリブレーションや精度管理には各分析項目に応じた有効期限がある。このため有効期限を過ぎると再キャリブレーションや再精度管理を行わなければならない、また各分析項目において、一つの試薬ボトルの試薬を使いきり、新しい試薬ボトルの試薬を使う場合にも再キャリブレーションや再精度管理を行わなければならない。
【0005】
従来の自動分析装置では、前述の各試薬に応じて定まる所定時間や、有効期限、新しい試薬ボトルへの切り替え等を装置が自動的に検知し、オペレータにキャリブレーションや精度管理の実施が必要なことを知らしめる機能を有している(特許文献1参照)。こうした機能は、ある時点で即時キャリブレーションや精度管理検体分析が必要かどうかを分析項目毎に示す有効な技術であるが、いずれの要因に対してもユーザが実施要否を知ることができるのはそれが間近に迫った時である。将来の一定期間に対し、キャリブレーションや精度管理の必要性を予測し、分析予定を立てる手段はなかった。このためユーザにとっては、キャリブレーション用の標準試料や、精度管理用のコントロール検体、及びこれらを分析するための試薬等の事前準備や在庫管理を行うことが難しかった。
【特許文献1】特開2006−53164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、キャリブレーションや精度管理の現時点での実施要否だけでなく、将来に対する実施予定を容易に知ることができれば検査室等のユーザ施設において装置や試薬の効率的な運用が期待できる。
【0007】
本発明の目的は、キャリブレーションや精度管理の実施に対し、実施直前だけでなく、将来の一定期間における実施を予測し、スケジュール表を作成・表示することで、ユーザが試料や試薬の事前準備や在庫管理を効率的に行うことができるシステムを提供することにある。
【0008】
本発明のもうひとつの目的は、スケジュール表を作成するためのキャリブレーションや精度管理の実施予測論理を複数提示し、それらのうちの単独もしくは複数をユーザが選択可能とし、さらに作成されたスケジュール表を手動でも編集可能とすることで、それぞれのユーザ施設の運用形態に適したスケジュール表を作成することができるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による自動分析装置は、キャリブレーションや精度管理を実施すべき要因である、キャリブレーションや精度管理一定の周期で実行させるための所定時間の経過や試薬のボトルの切り替えを自動的に検知できることを特徴とする。
【0010】
自動分析装置の操作画面に、キャリブレーション及び精度管理実施スケジュール表を表示する画面を設ける。このスケジュール表は分析項目毎に将来の一定期間、例えば現時点から一ヶ月後までのキャリブレーション又は精度管理実施予定を示すスケジュール表である。このスケジュール表はユーザの必要に応じて帳票や各種メディアに出力可能とする。また別の画面にスケジュール表作成のためのキャリブレーション及び精度管理の実施推定方法を選択する画面を設ける。
【0011】
キャリブレーション及び精度管理の実施推定方法の例としては、下記のようなものが挙げられる。
(1)試薬ボトルの切り替えによるもの。
各項目を分析するための試薬には有効期限がある。試薬が期限切れになると、新しい試薬ボトルに切り替える必要が生じる。また、あるボトルの試薬の残量と分析依頼予定数から当該ボトルの試薬を使いきり、新しい試薬ボトルへの切り替え時期が予測できる。試薬ボトルが切り替わると新しい試薬ボトルに対するキャリブレーション及び精度管理が必要になる。即ち、試薬の切り替え時期からキャリブレーション及び精度管理の実施が必要な時期が予測できるので、これをスケジュール表に書き込む。
(2)測定間隔パラメータによるもの。
自動分析装置には、キャリブレーション及び精度管理を自動的且つ周期的に行わせるための、測定間隔をパラメータとして保持している。これを利用することにより前回のキャリブレーション及び精度管理の実施時刻と測定間隔から、次回以降の実施時刻を特定できるので、その時刻をスケジュールする。
(3)過去の精度管理データのトレンドから実施を推奨するもの。
自動分析装置の機能として、精度管理が失敗した場合、再キャリブレーションと再精度管理を指示するものがある。精度管理の失敗とは、精度が測定できなかった、あるいは測定された精度が所定の精度を保っていない状態をいう。この場合、過去の精度管理データのログを調べると失敗にまでは至らなかったデータでも、結果の値が徐々にドリフトしている傾向を示す場合がある。このことから、項目毎にある閾値を設けておき、例えば過去N回のデータのうちM回のデータが閾値を超えた場合、キャリブレーションの実施を推奨する機能を設け、これをスケジュール表に書き込む。
(4)キャリブレーション実施後の再精度管理実施によるもの。
キャリブレーションを行った直後に必ず再精度管理を実施するか否かを項目毎に装置にパラメータとして記憶することができる。このパラメータを利用し、既に予定されているキャリブレーション実施に連続して精度管理の予定をスケジュール表に書き込む。
ユーザは以上(1)〜(4)の実施推定方法のうち一つ又は複数を選択でき、選択した方法に従ってスケジュール表を作成することができる。
更に、本発明による自動分析装置では、スケジュール表をユーザが編集可能とし、ユーザ独自の判断でキャリブレーションや精度管理の実施の予定を追加したり変更したりすることができるようにする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の自動分析装置によれば、ユーザは、将来の一定期間にわたる分析項目毎のキャリブレーション及び精度管理実施予定を示すスケジュール表を得ることができる。これにより、各ユーザ施設において日付毎の分析スケジュールの立案や検査技師のアサインを適切に行うことができるようになる。またキャリブレーションや精度管理に必要な試料や試薬の事前準備や在庫管理を効率的に行うことが可能である。
【0013】
また、過去の精度管理データのトレンドを調べ、その結果から早めにキャリブレーションの実施を推奨しその実施予定をスケジュール表に追加する機能により、精度管理の失敗による試料や試薬の無駄使い及び装置の運用効率の低下を防ぐことができる。
【0014】
更に、スケジュール表をユーザが編集できる機能を活用することにより、装置が自動的に検知することが難しい部品の交換時やメンテナンスの実施時に、ユーザの判断でキャリブレーション及び精度管理実施をスケジュール表に追加することができるため、各施設の運用条件に適したスケジュール表を作成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図2は自動分析装置の原理的な装置構成図である。図2において2−1は反応ディスクであり、反応ディスク2−1の外周上には反応容器2−2が設けられている。反応ディスク2−1全体は保温槽2−3によって所定の温度に保持されている。
【0016】
2−5は検体を設置するサンプルディスク機構であり、この機構にはバーコード2−6を貼り付けた多数の検体の試験管が設置されている。バーコードを貼付けした試験管内の検体はピペッティング機構2−7のノズル2−8によって適宜に抽出され、検体分注位置の反応容器2−2に注入される。2−9Aと2−9Bはバーコードラベル付きの試薬ボトルが設置された試薬ディスク機構であり、各試薬ディスク機構2−9A,2−9B毎にバーコード読み取り装置2−27が付属しており試薬登録時にバーコードを読み込みポジションに対応した試薬ボトル情報を登録する。また各々試薬ディスクには試薬ピペッティング機構2−10が設置されている。試薬ディスク機構2−9A,2−9Bに近接されて配置された2−11は撹拌機構である。2−12は多波長光度計、2−13は光源であり、多波長光度計2−12と光源2−13との間に測光の対象を収容する反応容器2−2が配置されている。2−14は洗浄機構である。制御系及び信号処理系について、2−15はマイクロコンピュータ、2−16はインターフェイス、2−17はLog(対数)変換器、2−18はA/D変換器、2−19は試薬分注機構、2−20は洗浄水ポンプ、2−21はサンプル分注機構である。また、2−22は印字のためのプリンタ、2−23は操作画面としてのCRT、2−24は記憶装置としてのハードディスク、2−25は入力するための操作パネル(キーボード、あるいはタッチスクリーンやマウス等のポインティングデバイス)である。
【0017】
図2でバーコードを貼付けした試験管に入れられた検体は、操作画面2−23より入力された、マイクロコンピュータ2−15内のメモリに記憶されている分析パラメータに従って、検体ピペッティング機構2−7のノズル2−8を用いて反応容器2−2に所定量分注される。
【0018】
次に、検体が分注された反応容器2−2を、反応ディスク2−1を回転させ試薬分注位置へ移送する。その後、マイクロコンピュータ2−15内に記憶されている分析パラメータに従い、試薬ピペッティング機構2−10のノズルを用いて、試薬を検体が分注された反応容器2−2へ所定量分注する。その後、撹拌機構2−11で検体と試薬との撹拌が行われ、混合される。
【0019】
反応容器2−2が、測光位置を横切る時、多波長光度計2−12により吸光度が測光される。測光された吸光度は、Log変換2−17,A/D変換器2−18,インターフェイス2−16を経由して、マイクロコンピュータ2−15に取り込まれる。この吸光度は、あらかじめ項目毎に指定された分析法で測定しておいた標準試料液の吸光度から作成した検量線に基づき、濃度データに変換される。この測定された成分濃度データは、プリンタや画面に出力される。
【0020】
操作者は測定に必要な種々のパラメータ設定、検体の登録、試薬の登録、分析結果の確認、そして装置のメンテナンスなどを操作画面2−23で行う。以上の測定原理の自動分析装置における、本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0021】
本発明の一実施形態であるキャリブレーション・精度管理スケジュール表示画面を図1に示した。本画面は操作画面2−23上に表示される諸画面の一つとする。1−1は現在の時刻を示す時刻表示エリア、1−2はスケジュール表示の対象となるスケジュール期間入力エリア、1−3はその期間内のスケジュール表を当該画面に表示させることを装置に指示するため表示ボタンである。オペレータが1−2のスケジュール期間を入力後、1−3の表示ボタンを押すことにより、1−4に示されるスケジュール表を表示する。スケジュール表内の1−5はキャリブレーションもしくは精度管理の実施予定日時、1−6は分析項目、1−7は、キャリブレーションか精度管理かを示す実施種別を表す。1−8はキャリブレーションや精度管理がなぜ予定されたのかを示す実施理由の表示エリアである。1−9にタイプとして、キャリブレーションの場合リニアやブランクなどのキャリブレーションのタイプを表示する。ここで、リニアとは2本以上の濃度の異なる標準試料を用いて、直線検量線を求める方式、ブランクとは、濃度ゼロの標準試料一本のみを用い、既作成の検量線のブランク補正のみを行う方式である。精度管理の場合は、測定に用いるコントロール検体の種類を表示する。1−10はスクロールバーであり、表示項目数が多く、一画面に表示しきれない場合スクロールさせて表示させるためのものである。
【0022】
1−11は、オペレータが手動でスケジュールを追加するための追加ボタンであり、この機能については後述する。1−12は本画面表示を終了し、前の画面に戻るためのボタンである。
【実施例2】
【0023】
次に、スケジュール表を作成するためのキャリブレーションと精度管理実施予測論理をオペレータが選択するためのスケジュール表作成方法選択画面を図3を用いて説明する。3−1はキャリブレーションの実施を予測してスケジュール表を作成する方法の一覧、3−2は一覧に示された方法のうちどの方法を用いてスケジュール表を作成するかを選択するためのチェックボックスである。オペレータは1つ又は複数の方法を選択することができ、装置は選択された方法を用いてキャリブレーションの実施を予測し、スケジュール表を作成する。同様に3−3、3−4は精度管理に関するスケジュール表を作成する方法の一覧と選択ボタンである。オペレータは3−2及び3−4の選択ボタンで任意の方法を選択した後、3−5の更新ボタンを押せば、選択した内容が記憶装置に保存され、装置はこれに従いスケジュール表を作成する。また、3−6のキャンセルボタンを押せば選択した内容はキャンセルされ、前の画面に戻る。
【実施例3】
【0024】
次に選択されたスケジュール作成方法を用いて装置がスケジュール表を作成するための処理フローを図4及び図5に示す。装置は、図3のスケジュール表作成方法選択画面でオペレータが選択した方法に従ってスケジューリングを行う。図4に示すフローにおいて、ステップ4−1でキャリブレーション試薬ボトル選択があるかを判定し、あればステップ4−2の試薬ボトル切替えによるキャリブレーション実施計画処理へ進み、なければステップ4−3へ進む。ステップ4−3で精度管理試薬ボトル切替えの選択があるかを判定し、あればステップ4−4の試薬ボトル切替えによる精度管理実施計画処理へ進み、なければステップ4−5へ進む。ステップ4−5でキャリブレーション定期実施の選択があるかを判定し、あればステップ4−6の測定間隔パラメータによるキャリブレーション実施計画処理へ進み、なければステップ4−7へ進む。ステップ4−7で精度管理試薬定期実施選択があるかを判定し、あればステップ4−8の測定間隔パラメータによる精度管理実施計画処理へ進み、なければステップ5−1(図5)へ進む。
【0025】
図5に示すフローにおいて、ステップ5−1でキャリブレーション精度管理トレンドの選択があるかを判定し、あればステップ5−2の精度管理トレンドによるキャリブレーション実施計画処理へ進み、なければステップ5−3へ進む。ステップ5−3で精度管理キャリブレーション実施の選択があるかを判定し、あればステップ5−4のキャリブレーション実施後の精度管理実施計画処理へ進み、なければ終了する。以上のフローを装置に登録されている分析項目の数分繰り返し、全項目に対するスケジューリングを行う。
【0026】
次に図4及び図5の処理フロー内に示した、個々の実施計画処理の詳細を図6以降に示す。図6に試薬ボトル切替えによるキャリブレーション実施計画処理のフローチャートを示す。ステップ6−1で当該分析項目の試薬切替え時のキャリブレーションタイプパラメータを記憶装置から読み出す。ステップ6−2で当該分析項目の試薬の有効期限パラメータを記憶装置から読み出す。ステップ6−3で当該分析項目の試薬の有効期限が切れる日時と試薬切替え時のキャリブレーションタイプをスケジュール表に追加し、記憶装置に書き込む。ステップ6−4で当該分析項目の分析依頼数を記憶装置から読み出す。ステップ6−5で当該分析項目の試薬残量を記憶装置から読み出す。1分析依頼に対して使用する試薬量が判っているので、ステップ6−6で当該分析項目の試薬残量と分析依頼数から試薬ボトルの切り替え日時を計算する。ステップ6−7で当該分析項目の試薬切替え日時と試薬切替え時のキャリブレーションタイプをスケジュール表に追加し、記憶装置に書き込む。
【0027】
次に、図7に試薬ボトル切替えによる精度管理実施計画処理のフローチャートを示す。ステップ7−1で当該分析項目の試薬切替え時の精度管理用検体の種類を記憶装置から読み出す。ステップ7−2で当該分析項目の試薬の有効期限パラメータを記憶装置から読み出す。ステップ7−3で当該分析項目の試薬の有効期限が切れる日時と試薬切替え時の精度管理用検体の種類をスケジュール表に追加し、記憶装置に書き込む。ステップ7−4で当該分析項目の分析依頼数を記憶装置から読み出す。ステップ7−5で当該分析項目の試薬残量を記憶装置から読み出す。ステップ7−6で当該分析項目の試薬残量と分析依頼数から試薬ボトルの切り替え日時を計算する。ステップ7−7で当該分析項目の試薬の切替え日時と試薬切替え時の精度管理用検体の種類をスケジュール表に追加し、記憶装置に書き込む。
【0028】
次に、図8に測定間隔パラメータによるキャリブレーション実施計画処理のフローチャートを示す。ステップ8−1で当該分析項目のキャリブレーション定期実施時のキャリブレーションタイプパラメータを記憶装置から読み出す。ステップ8−2で当該分析項目のキャリブレーション定期実施の測定間隔パラメータを記憶装置から読み出す。ステップ8−3で当該分析項目の前回のキャリブレーション実施日時を記憶装置から読み出す。ステップ8−4で当該分析項目の前回のキャリブレーション実施日時と測定間隔から次回以降のキャリブレーション実施日時を計算する。ステップ8−5で計算した次回以降のキャリブレーション実施日時と定期実施時のキャリブレーションタイプパラメータをスケジュール表に追加し、記憶装置に書き込む。
【0029】
次に、図9に測定間隔パラメータによる精度管理実施計画処理のフローチャートを示す。ステップ9−1で当該分析項目の精度管理定期実施時の精度管理用検体の種類を記憶装置から読み出す。ステップ9−2で当該分析項目の精度管理定期実施の測定間隔パラメータを記憶装置から読み出す。ステップ9−3で当該分析項目の前回の精度管理実施日時を記憶装置から読み出す。ステップ9−4で当該分析項目の前回の精度管理実施日時と測定間隔から次回以降の精度管理実施日時を計算する。ステップ9−5で計算した次回以降の精度管理日時と定期実施時の精度管理用検体の種類をスケジュール表に追加し、記憶装置に書き込む。
【実施例4】
【0030】
次に、精度管理結果のトレンドによりキャリブレーション実施を計画する処理について説明する。図10は累積精度管理データ表示画面の例である。10−1は項目名選択のプルダウンメニューであり、メニューを開くと装置に登録されている分析項目の一覧を表示し、オペレータはそのうちの一つを選択できる。10−2は選択した分析項目に対する累積のデータ数及び精度管理用検体の基準となる平均値及びSD(標準偏差)を表示するエリアである。10−3は精度管理データをグラフ表示するための表示エリアであり、横軸10−4は精度管理累積測定回数、縦軸10−5は測定濃度で基準の平均値やSD値に基づいた目盛りを表示する。10−6は選択した分析項目の精度管理測定結果をプロットし、トレンドを示したものである。10−7の戻るボタンにより表示を終了し前の画面に戻ることができる。
【0031】
次に、図11に精度管理トレンドによるキャリブレーション実施パラメータを示す。11−1の項目エリアに装置に登録されている分析項目の一覧を表示し、11−2実施しき値(閾値)は、キャリブレーションを実施するかどうかを判定する閾値をオペレータが入力するエリアである。11−3は、キャリブレーションを実施するための判定論理をオペレータが入力するエリアである。これは最新の精度管理結果から過去に遡ってN回中M回閾値を超えたらキャリブレーションを実施するためのNとMの値をオペレータが入力するエリアである。NとMはオペレータが自由に決められるため、例えば一度でも閾値を超えたら実施という場合にはN=1、M=1とし、3回連続で閾値を超えたら実施という場合にはN=3、M=3とし、3回測定において多数決で決めるという場合にはN=3、M=2とするなど、オペレータが自由に論理を設定できる。11−4は実施するキャリブレーションのタイプをプルダウンメニューでオペレータが選択するエリアである。11−5はスクロールバーであり、装置に登録されている分析項目が一画面で表示しきれない場合にスクロールさせて表示する。オペレータが入力した内容は11−6の更新ボタンにより記憶装置に保存することができ、11−7のキャンセルボタンを押した場合には保存せずに前の画面に戻る。
【0032】
以上、図10及び11に示した画面の内容に基づく、精度管理トレンドによるキャリブレーション実施計画のフローチャートを図12に示す。ステップ12−1で当該分析項目の精度管理トレンドによるキャリブレーション実施パラメータを記憶装置から読み出す。ステップ12−2で当該分析項目の過去の精度管理結果を記憶装置から読み出す。ステップ12−3で当該分析項目の精度管理トレンドによるキャリブレーション実施パラメータを過去の精度管理結果に適用し、キャリブレーション実施条件に当てはまるか判定する。ステップ12−4でキャリブレーション実施条件に当てはまる場合、即時キャリブレーシを行うよう日時とキャリブレーションタイプをスケジュールし、記憶装置に書き込む。
【実施例5】
【0033】
次に、図13にキャリブレーション実施後の精度管理実施計画処理のフローチャートを示す。ステップ13−1で当該分析項目のキャリブレーション後の自動精度管理実施のパラメータを記憶装置から読み出す。ステップ13−2で当該分析項目がキャリブレーション後の自動精度管理実施要の場合スケジュール表内の当該分析項目のキャリブレーション実施直後に精度管理実施を追加し記憶装置に書き込む。
【実施例6】
【0034】
更に本発明ではキャリブレーション及び精度管理実施必要時期をオペレータが独自に判断し、手動でスケジュール表の内容を追加・削除・編集することが可能である。これは、装置が自動的に検知することが難しい部品の交換時やメンテナンスの実施時に、ユーザの判断でキャリブレーション及び精度管理実施をスケジュール表に追加したい場合などに特に有効である。一例としてスケジュール表への手動での追加の方法を図1及び図14を用いて説明する。図1におけるキャリブレーション・精度管理スケジュール画面における1−11追加ボタンを押すと、同画面上に図14に示すキャリブレーション・精度管理予定追加ウインドウ14−1を表示する。14−2は追加する実施予定日時の入力エリア、14−3は項目選択メニューで装置に登録されている分析項目の一覧を表示しオペレータが任意の1項目を選択できるのに加え、全項目を一括して選択できるようにする。14−4の種別選択メニューでキャリブレーションか精度管理を選択する。14−5の実施理由入力エリアにはキャリブレーションもしくは精度管理を計画する理由を文字列でオペレータが任意に入力できる。14−6タイプ選択メニューでキャリブレーションの場合はリニア・ブランクなどの検量線作成方式、精度管理の場合には測定に用いるコントロール検体の種類を選択できる。オペレータが14−7追加ボタンを押すと、入力した内容がスケジュール表に追加され、記憶装置に保存される。14−8キャンセルボタンを押すと保存せずに図1のキャリブレーション・精度管理スケジュール表画面に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による自動分析装置の一実施形態におけるキャリブレーション・精度管理スケジュール画面の一例を示す図である。
【図2】本発明による自動分析装置の一実施形態と操作画面からなる概略システム構成図である。
【図3】本発明による自動分析装置の一実施形態におけるキャリブレーション・精度管理実施スケジュール表作成方法選択画面の一例を示す図である。
【図4】本発明による自動分析装置のキャリブレーション・精度管理実施スケジュール作成処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明による自動分析装置のキャリブレーション・精度管理実施スケジュール作成処理を示すフローチャートである。
【図6】試薬ボトルの切り替え時期によるキャリブレーション実施をスケジュールする方法を示すフローチャートである。
【図7】試薬ボトルの切り替え時期による精度管理実施をスケジュールする方法を示すフローチャートである。
【図8】測定間隔パラメータによるキャリブレーション実施をスケジュールする方法を示すフローチャートである。
【図9】測定間隔パラメータによる精度管理実施をスケジュールする方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明による自動分析装置の一実施形態における累積精度管理結果表示画面の一例を示す図である。
【図11】過去の精度管理データのトレンドからキャリブレーション実施をスケジュールするためにユーザが閾値等のパラメータを設定する画面の一例を示す図である。
【図12】過去の精度管理データのトレンドからキャリブレーション実施をスケジュールする方法を示すフローチャートである。
【図13】キャリブレーション実施後の精度管理実施をスケジュールする方法を示すフローチャートである。
【図14】本発明による自動分析装置の一実施形態におけるキャリブレーションスケジュール表画面上でユーザが手動で予定を追加するための予定追加ウインドウの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
2−1 反応ディスク 2−2 反応容器
2−3 保温層 2−4 反応ディスク回転機構
2−5 サンプルディスク 2−6 バーコードラベル付き検体
2−7 検体ピペッティング機構 2−8 検体ピペッティング機構ノズル
2−9 試薬ディスク 2−10 試薬ピペッティング機構
2−11 攪拌機構 2−12 多波長光度計
2−13 光源 2−14 洗浄機構
2−15 マイクロコンピュータ 2−16 インターフェイス
2−17 Log変換器 2−18 A/D変換器
2−19 試薬分注機構 2−20 洗浄水ポンプ
2−21 サンプル分注機構 2−22 プリンタ
2−23 CRT 2−24 ハードディスク
2−25 操作パネル 2−26 検体バーコード読み取り装置
2−27 試薬バーコード読み取り装置 2−28 検体ピペッティングノズル
2−29 公衆回線網 2−30 リモートコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を自動的に分析する装置と、装置を操作するための操作画面を備え、且つ分析項目毎にキャリブレーション又は精度管理を行う必要が発生したことをオペレータに知らせる機能を有する自動分析装置において、将来の一定期間に対するキャリブレーション及び精度管理の実施スケジュール表を自動的に作成・表示する機能を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記キャリブレーション又は前記精度管理の実施予定を立てるための実施予測論理を装置内に複数保持するとともに、そのうちのオペレータが選択した単独もしくは複数の論理に基づいてスケジュール表を作成し、且つ前記オペレータが選択した前記論理をリアルタイムに更新・保持する機能を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動分析装置において、
前記キャリブレーション又は前記精度管理の実施予定を立てるための実施予測の一手段として、試薬の残量又は有効期限をもとに、現在使用している試薬から新しい試薬に切り替わる時期を予測し、試薬切り替わり時に前記キャリブレーション又は前記精度管理を行うことをスケジュール表に入れる機能を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項2記載の自動分析装置において、
前記キャリブレーション又は前記精度管理の実施予定を立てるための実施予測の一手段として、前回のキャリブレーション実施時刻と当該キャリブレーション実施間隔とから次回以降のキャリブレーション実施時刻を特定することにより、前記キャリブレーション及びそれに同期して実施する前記精度管理をスケジュール表に入れる機能を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項2記載の自動分析装置において、
前記精度管理の実施予定を立てるための実施予測の一手段として、前回の精度管理実施時刻と精度管理実施間隔とから次回以降の精度管理実施時刻を特定し、当該精度管理実施時刻をスケジュール表に入れる機能を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項2記載の自動分析装置において、
前記キャリブレーション又は前記精度管理の実施をスケジュール表に記載するための実施予測論理の一つとして、過去N回の累積精度管理の結果のトレンドと、装置がパラメータとして保持する一定の閾値との比較から、再キャリブレーション又は再精度管理を自動的に推奨することを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項2記載の自動分析装置において、
前記精度管理の実施をスケジュール表に記載するための実施予測論理の一つとして、装置がパラメータとして保持するキャリブレーション後の自動精度管理実施要否の設定パラメータを利用してキャリブレーション直後の精度管理の実施をスケジュール表に入れる機能を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記キャリブレーション又は前記精度管理の実施必要時期をオペレータが独自に判断し、手動で前記スケジュール表の内容を追加・削除・編集することを可能としたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−168730(P2009−168730A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9281(P2008−9281)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】