説明

自動分析装置

【課題】試薬または検体を含む液体が、分析項目毎に予め設定された液量で分注が行われたか否かを確実に判定すること。
【解決手段】反応容器40に保持された試薬または検体を含む液体を攪拌することで反応させ、この反応液の光学的特性を測定することによって前記液体を分析する自動分析装置において、反応容器40に保持された液体の液面に向けて超音波を照射し、該液面で反射される超音波を受信する超音波照射部38と、超音波照射部38によって照射された超音波の送受信信号の時間差をもとに液体の高さを求め、該高さをもとに前記液体の液量を算出し、この算出された液量が、分析項目毎に予め設定された規定量の範囲内でない場合、分注に異常が生じたものと判定する分注判定部44と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応容器に保持された試薬または検体を含む液体を攪拌することで反応させ、この反応液の光学的特性を測定することによって前記液体を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、試薬および検体を反応容器に分注し、この反応容器に保持された試薬または検体を含む液体を攪拌することで反応させ、この反応液の光学的特性を測定することによって液体を分析する自動分析装置が知られている。ここで、この自動分析装置の反応容器に保持された液体は、攪拌棒または超音波を用いて攪拌されていた。
【0003】
しかし、試薬または検体を分注する分注装置の故障または分注ノズルの詰まり等によって試薬または検体を含む規定量の液体が、反応容器に分注されなかった場合、液体を攪拌する攪拌棒が空回りし、液体が飛散するという問題点があった。また、超音波を用いて液体を攪拌する場合であって、規定量の液体の分注が行われなかった場合、反応容器は、超音波照射によって温度が上昇し、熱によって変形し、破損するという問題点があった。
【0004】
そこで、この問題を解決するため、反応容器に保持された液体の攪拌を行う前に、反応容器に分注された試薬または検体を含む液体の量が規定量範囲内であるか否かの判定を行った後に攪拌するものがある。例えば、反応容器に測定光を照射して吸光度測定を行い、この吸光度測定結果をもとに試薬または検体を含む液体の量が規定量範囲内であるか否かを判定し、規定量範囲内である場合に液体の攪拌を行うようにした自動分析装置が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−108842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した測定光を用いて分注の判定を行う自動分析装置では、試薬または検体を含む液体の量が規定量範囲内であるか否かを判定することができても、試薬または検体を含む液体の量が、各分析項目毎に予め設定された液体の規定量で分注されたか否かを判定することができない場合がある。この場合、検体あるいは試薬の分注量が規定量でないので、正しい分析結果を得ることができないという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、試薬または検体を含む液体が、分析項目毎に予め設定された液量で分注が行われたか否かを確実に判定することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、反応容器に保持された試薬または検体を含む液体を攪拌することで反応させ、この反応液の光学的特性を測定することによって前記液体を分析する自動分析装置において、反応容器に保持された前記液体の液面に向けて超音波を照射し、該液面で反射される超音波を受信する超音波照射手段と、前記超音波照射手段によって照射された超音波の送受信信号の時間差をもとに液体の高さを求め、該高さをもとに前記液体の液量を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された液量が、分析項目毎に予め設定された規定量の範囲内でない場合、前記液体の分注に異常が生じたものと判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記反応容器の移動中に前記超音波照射手段による超音波の照射を行わせる制御手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記反応容器の停止中に前記超音波照射手段による超音波の照射を行わせる制御手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記超音波発生手段は、前記反応容器の移動軌跡上であって該反応容器の鉛直上部に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる自動分析装置では、算出手段が、超音波照射手段によって照射された超音波の送受信信号の時間差をもとに液体の高さを求め、該高さをもとに前記液体の液量を算出し、判定手段が、前記算出手段によって算出された液量が、分析項目毎に予め設定された規定量の範囲内でない場合、前記液体の分注に異常が生じたものと判定するようにしているので、分析項目毎に規定量範囲内の液体が分注されたか否かを確実に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の自動分析装置にかかる好適な実施の形態について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる自動分析装置の概要構成を示す模式図である。また、図2は、図1に示した実施の形態1にかかる自動分析装置の概要構成を示す平面図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる自動分析装置は、分析対象である検体を供給する検体移送機構2と、分析対象である検体および試薬を反応容器40にそれぞれ分注し、分注した反応容器40内で生じる反応を光学的に測定する測定機構3と、検体移送機構2および測定機構3を含む自動分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構3における測定結果の分析を行う制御機構4とを備える。自動分析装置1は、これらの3つの機構が連携することによって複数の検体の分析を自動的に行う。
【0015】
まず、検体移送機構2について説明する。図1に示すように、検体移送機構2は、液体検体を収容した複数の検体容器20を保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック21を備える。検体移送機構2上の検体吸引位置P1に移送された検体容器20内の検体は、検体分注機構22によって、反応テーブル30a上に配列して搬送される反応容器40に分注される。
【0016】
検体分注機構22は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアーム22aを備える。このアーム22aの先端部には、検体の吸引および吐出を行うプローブ22bが取り付けられている。検体分注機構22は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注機構22は、検体移送機構2上の検体吸引位置P1に移送された検体容器20の中からプローブ22bによって検体を吸引し、アーム22aを図中時計回りに旋回させ、反応容器40に検体を吐出して分注を行う。
【0017】
つぎに、測定機構3について説明する。図1に示すように、測定機構3は、反応槽30、第1試薬保冷庫31、第2試薬保冷庫32、第1試薬分注機構33、第2試薬分注機構34、第1攪拌機構35、第2攪拌機構36、測光機構37、超音波照射部38(図2参照)および洗浄・乾燥機構39を備える。
【0018】
反応槽30は、図1および図2に示すように、測定機構3の略中央部に配設され、内部に加温装置(図示せず)と温度センサ(図示せず)とを備える。加温装置および温度センサは、内部の温度を人体の体温と同一の温度(摂氏37度)で維持する恒温槽を備える。また、反応槽30は、内部に反応テーブル30aと測光機構37とを備え、試薬および検体を含む液体の吸光度を測定する。
【0019】
反応テーブル30aは、反応容器40への検体または試薬の分注、反応容器40の攪拌、洗浄または測光を行うために反応容器40を所定の位置まで移送する。この反応テーブル30aは、制御機構4の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル30aの中心を通る鉛直線を回転軸として回転自在である。反応テーブル30aの径方向外側には、収容凹部30bが周方向に等間隔で設けてある。また、反応テーブル30aの内側側面と外側側面には、収容凹部30bに挿通し、反応テーブル30aの外側から内側に光束を案内する測光窓30cが設けてある。収容凹部30bには、反応容器40が収容される。
【0020】
上述した反応テーブル30aは、隣接する反応容器40間の間隔を1ピッチとすると、1回の動作で時計方向に(1周分の総ピッチ−1ピッチ)/4のピッチ分回転移動し、この略1/4周の回転移動を4回繰り返すことによって、略1周分回転する。この略1周分の回転移動によって、反応容器40は、略、元の位置に戻るが、反時計方向に1ピッチずれた位置となる。
【0021】
反応槽30は、図2に示すように、上方に蓋30dを備える。蓋30dは、反応テーブル30a外周に時計回りに設けられた検体分注機構22、第1攪拌機構35、第1試薬分注機構33、第2試薬分注機構34、洗浄・乾燥機構39、第2攪拌機構36にそれぞれ対応した位置に、それぞれのプローブが挿脱できるように、検体分注孔30e、第1攪拌孔(図示せず)、第1試薬分注孔30f、第2試薬分注孔30g、洗浄・乾燥孔30hおよび第2攪拌孔(図示せず)が設けられる。また、これら検体分注孔30e、第1攪拌孔、第1試薬分注孔30f、第2試薬分注孔30g、洗浄・乾燥孔30hおよび第2攪拌孔の位置にそれぞれ対応して、検体分注位置P11、第1攪拌位置P12、第1試薬分注位置P13、第2試薬分注位置P14、洗浄・乾燥位置P15および第2攪拌位置P16が決定される。
【0022】
また、蓋30dは、超音波照射部38を有する。超音波照射部38は、反応容器40の移動軌跡上であって反応容器40の鉛直上部に設けられ、反応容器40の液面高さを求めるため、反応容器40内に保持された液体の液面に向けて超音波を照射し、液面で反射された超音波を受信する。蓋30dには、接続部30iが設けられ、接続部30iは、反応テーブル30a側と開閉自在な蓋30dに設けられた超音波照射部38との間を電気的に接続する。この接続部30iは、凸部あるいは凹部形状をなし、電極の接触による電気的接続を行うとともに、反応テーブル30aに対する蓋30dの位置決め機構としての機能を兼ね備える。
【0023】
反応容器40は、容量が数nL〜数mL程度の微量な容器であり、側壁と底壁とによって液体を保持する液体保持部が形成され、液体保持部の上部に開口を有する。反応容器40は、測光機構37の光源から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。
【0024】
第1試薬保冷庫31および第2試薬保冷庫32は、反応槽30の近傍に配置され、それぞれ内部に冷却装置(図示せず)および温度センサ(図示せず)を備え、冷却装置および温度センサを用いて、各保冷庫内の内部の温度を所定の温度以下に保冷するようにしている。なお、第1試薬保冷庫31および第2試薬保冷庫32は、図2に示すように、上方にそれぞれ蓋31bおよび蓋32bを備える。
【0025】
第1試薬分注機構33は、検体分注機構22と同様に、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアーム33aを備える。このアーム33aの先端部には、試薬の吸引および吐出を行うプローブ33bが取り付けられている。第1試薬分注機構33は、第1試薬保冷庫31の所定位置に移動された試薬ボトル31aに収容された試薬をプローブ33bによって吸引し、アーム33aを図中時計方向周りに旋回させ、反応テーブル30a上の第1試薬分注位置P13に搬送される反応容器40に分注する。
【0026】
第2試薬分注機構34は、検体分注機構22および第1試薬分注機構33と同様に、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアーム34aを備える。このアーム34aの先端部には、試薬の吸引および吐出を行うプローブ34bが取り付けられている。第2試薬分注機構34は、第2試薬保冷庫32の所定位置に移送された試薬ボトル32aに収容された試薬をプローブ34bによって吸引し、アーム34aを図中反時計方向周りに旋回させ、反応テーブル30a上の第2試薬分注位置P14に搬送される反応容器40に分注する。
【0027】
第1攪拌機構35は、第1攪拌位置P12に移送された反応容器40の液体(検体と試薬)を攪拌して反応を促進させるものであり、回転アーム35a、攪拌棒35bおよび洗浄部35cを備える。回転アーム35aは、回転(公転)可能、かつ上下方向に昇降可能であって、平面視略三角形状を有している。攪拌棒35bは、回転アーム35aと独立して回転(自転)可能である。洗浄部35cは、攪拌棒35bの公転軌跡上に設けている。洗浄部35cは、洗浄水タンク(図示せず)から洗浄水が供給され、攪拌棒35bを洗浄する。
【0028】
第2攪拌機構36は、第2攪拌位置P16に移送された反応容器40の液体(検体と試薬)を攪拌して反応を促進させるものであり、第2攪拌機構35と同様に、回転アーム36a、攪拌棒36bおよび洗浄部36cを備える。回転アーム36aは、回転(公転)可能、かつ上下方向に昇降可能であって、平面視略三角形状を有している。攪拌棒36bは、回転アーム36aと独立して回転(自転)可能である。洗浄部36cは、攪拌棒36bの公転軌跡上に設けている。洗浄部36cは、洗浄水タンク(図示せず)から洗浄水が供給され、攪拌棒36bを洗浄する。
【0029】
測光機構37は、光源37a、測光センサ37b、コリメーションレンズ37cおよびフィルタ(図示せず)を備える。光源37aは、試薬と検体とが反応した反応容器40内の液体を分析するため反応テーブル30aの径内方向に照射光(340〜800nm)を出射する。測光センサ37bは、反応容器40内の液体を透過し、測光窓30cを通過した平行光を測光する。コリメーションレンズ37cは、光源37aが出射した光を平行光に収束させる。フィルタは、液体に吸収される波長の光を選択する光学フィルタが使用される。
【0030】
洗浄・乾燥機構39は、ノズル部39aを備える。洗浄・乾燥機構39は、測光機構37による測定が終了した反応容器40内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤または洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで分析処理が終了した反応容器40を洗浄する。ノズル部39aは、反応容器40から分析が終了した液体を吸引する吸引ノズル、反応容器40に洗浄液を供給する洗浄ノズル、反応容器40から洗浄液を吸引する吸引ノズル等を備える。
【0031】
つぎに、制御機構4について説明する。制御機構4は、制御部41、入力部42、分析部43、分注判定部44、記憶部45、出力部46および表示部47を備える。検体移送機構2、測定機構3および制御機構4が備えるこれらの各部は、制御部41に接続されている。
【0032】
制御部41は、CPU等を用いて構成され、自動分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部41は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。
【0033】
入力部42は、キーボード、マウス、入出力機能を兼ねたタッチパネル等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。また、入力部42は、図示しない通信ネットワークを介して制御部41への指示情報を取得し、送信する。
【0034】
分析部43は、測光機構37によって測定された吸光度に基づいて検体の成分分析等を行う。
【0035】
分注判定部44は、超音波照射部38によって反応容器40に保持された液体の液面に向けて照射された超音波の送受信信号の時間差をもとに液体の高さを求め、反応容器40に保持された液体の高さをもとに液量を算出し、反応容器40に保持された試薬または検体を含む液体の量が分析項目毎に予め設定された規定量の範囲内の液量であるか否かを判定する。
【0036】
記憶部45は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部45は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0037】
出力部46は、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。また、出力部46は、図示しない通信ネットワークを介して外部装置に諸情報を出力する。
【0038】
表示部47は、ディスプレイ等を用いて構成され、出力部46で出力された検体の分析結果を含む諸情報を表示する。表示部47は、反応容器40に保持された試薬または検体を含む液体の量が分析項目毎に予め設定された規定量の範囲内の液量で分注されていない場合、分析項目毎に予め設定された規定量の範囲内の液量で分注が行われなかった旨を報知する警告を表示する。さらに、表示部47は、検体の分析結果などの表示または警告の表示を行った後に、反応容器40に分注された試薬または検体を含む液体の量を表示する。
【0039】
以上のように構成された自動分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器40に対して、第1試薬分注機構33が試薬ボトル31aの試薬を分注し、検体分注機構22が検体容器20中の検体を分注した後、第2試薬分注機構34が試薬ボトル32aの試薬を分注する。さらに、測光機構37が検体と試薬とを反応させた状態の検体の分光吸光度測定を行い、この測定結果を分析部43が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄・乾燥機構39が測光機構37による測定が終了した後に搬送される反応容器40を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0040】
つぎに、図2に示した超音波照射部38および分注判定部44について説明する。図3は、超音波照射部38および分注判定部44を含んだ構成を示す模式図である。図3に示すように、超音波照射部38は、駆動制御回路38aおよび超音波送受信部38bを有する。
【0041】
駆動制御回路38aは、制御部41を介して入力される制御信号に基づいて超音波送受信部38bを駆動制御し、超音波送受信部38bは、駆動制御回路38aの制御のもとに、反応容器40に保持された液体の液面に向けて超音波W1を照射し、反応容器40内の液面からの反射波W2を受信して制御部41に出力する。超音波送受信部38bが照射する超音波の周波数は、数MHz〜数百MHz程度である。なお、駆動制御回路38aは、蓋30dに設けてもよいし、反応テーブル30a側あるいは制御機構4側に設けてもよい。
【0042】
分注判定部44は、図3に示すように、分注量取得部44a、液面高さ算出部44b、液量算出部44c、液量記録部44dおよび比較判定部44eを有する。分注量取得部44aは、制御部41を介して、これから分析しようとする分析項目毎に予め設定された分注の規定量である第1試薬分注量、第2試薬分注量および検体分注量を取得する。液面高さ算出部44bは、超音波送受信部38bによって送受信された超音波信号の時間差をもとに反応容器40内の液面と超音波送受信部38bとの間の距離を算出し、この算出された距離をもとに液面高さを算出する。液量算出部44cは、液面高さ算出部44bによって算出された液面高さと反応容器40の形状とをもとに反応容器40に保持されている液体の液量を算出する。液量記録部44dは、液量算出部44cによって算出された液量を反応容器40の分注状態に対応づけて記録する。比較判定部44eは、液量算出部44cによって算出され、液量記録部44dに記録された液量が、分注量取得部44aによって取得した分析項目毎の分注量である規定量の範囲内の液量で分注が行われたか否かを判定する。
【0043】
ここで、図4を参照して、制御部41および分注判定部44による分注判定処理手順について説明する。図4において、まず、分注量取得部44aは、制御部41を介して、これから分析しようとする分析項目毎に予め設定された分注の規定量である第1試薬分注量、第2試薬分注量および検体分注量を取得する(ステップS101)。その後、分注判定部44は、制御部41の制御状態から、超音波照射部38を通過する反応容器40が、第1試薬、第2試薬または検体分注後に初めて通過するものか否かを判断する(ステップS102)。超音波照射部38を通過する反応容器40が、第1試薬、第2試薬または検体分注後に初めて通過するものでない場合(ステップS102:No)、このステップS102の判断処理を繰り返す。一方、超音波照射部38を通過する反応容器40が、第1試薬、第2試薬または検体分注後に初めて通過するものである場合(ステップS102:Yes)、制御部41は、駆動制御回路38aを介して、この超音波照射前の反応容器40の液面に向けて超音波信号を送信させるとともに反射波を受信し、送受信タイミングを液面高さ算出部44bに出力し、液面高さ算出部44bは、入力された超音波の送受信信号の時間差を算出する(ステップS103)。
【0044】
その後、液面高さ算出部44bは、この時間差をもとに反応容器40の液面と超音波送受信部38bとの間の距離を算出し、この距離をもとに液面高さを算出する(ステップS104)。その後、液量算出部44cは、この液面高さおよび反応容器40の形状をもとに反応容器40に保持された液体の液量を算出する(ステップS105)。さらに、液量記録部44dは、液量算出部44cによって算出された液量を反応容器40の分注状態に対応づけて記録する(ステップS106)。
【0045】
その後、比較判定部44eは、液量記録部44dによって記録された液量が、分注量取得部44aによって取得した分析項目毎に予め設定された規定量の範囲内であるか否かを判断する(ステップS107)。規定量の範囲内の液量である場合(ステップS107:Yes)、反応容器40に分注された液量は正常であると判定し(ステップS108)、ステップS111に移行する。一方、規定量の範囲内の液量でない場合(ステップS107:No)、反応容器40に分注された液量は異常であると判定し(ステップS109)、分注判定部44は、制御部41を介して表示部47に、対応する第1試薬分注、第2試薬分注、または検体分注に異常が生じた旨を表示し(ステップS110)、ステップS111に移行する。
【0046】
その後、分注判定部44は、制御部41から分析終了の指示を受けたか否かを判断し(ステップS111)、分析終了の指示を受けていない場合(ステップS111:No)、ステップS102に移行し、上述した処理を繰り返し、分析終了の指示を受けた場合(ステップS111:Yes)、本処理を終了する。
【0047】
この実施の形態1では、超音波照射部38を用いて反応容器40内の液量を測定するようにしているので、反応容器40内に第1試薬、第2試薬および検体が分析項目毎に予め設定された規定量範囲内の液量で分注されたか否かを確実に判定することができる。
【0048】
また、上述した実施の形態1では、予め超音波照射前の反応容器に第1試薬、第2試薬、または検体が、最新に分注されている場合にのみ超音波を照射して分注の液量を判定するようにしていたが、これに限らず、超音波送受信部38bを通過する全ての反応容器に超音波を照射し、所望の反応容器内の液量を判定するようにしてもよい。
【0049】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、超音波送受信部38bが、反応容器40が移動軌跡を移動中に反応容器40の液面に向けて超音波を照射するようにしていたが、この実施の形態2では、移動軌跡上の反応容器40が停止中に反応容器40の液面に向けて超音波を照射して液量を測定するようにしている。
【0050】
図5は、本実施の形態2にかかる自動分析装置の構成を模式的に示した平面図である。図6は、実施の形態2にかかる自動分析装置の超音波照射部および分注判定部の構成を示すブロック図である。この実施の形態2では、実施の形態1に示した超音波照射部38に対応した3つの超音波照射部51〜53が蓋30dに設けられる。超音波照射部51は、第2試薬分注位置P14と洗浄・乾燥機構39との間に設けられ、超音波照射部52は、検体分注位置P11と第1攪拌機構35との間に設けられ、超音波照射部53は、洗浄・乾燥機構39と第2攪拌機構36との間に設けられる。各超音波照射部51〜53は、各位置P13,P11,P14から略1/4周の移動後の位置に設け、分注後早い時期に液量を測定することが好ましい。なお、図6に示すように、各超音波照射部51〜53は、超音波送受信部38bに対応する超音波送受信部51b〜53bと、各超音波送受信部51b〜53bに接続され、駆動制御回路38aに対応する駆動制御回路51a〜53aとを有する。また、駆動制御回路51a〜53aは、蓋30dに設けてもよいし、反応テーブル30a側あるいは制御機構4側に設けてもよい。さらに、接続部30jは、接続部30iに対応した構成を有し、各超音波照射部51〜53と、反応テーブル30a側とを電気的に接続するとともに蓋30dの位置決めを行う。なお、実施の形態1に示したように、各超音波照射部51〜53の近傍にそれぞれ接続部30jを設けるようにしてもよい。
【0051】
制御部61は、制御部41に対応し、各超音波照射部51〜53の超音波照射制御を行う。ここで、制御部61は、各駆動制御回路51a〜53aを介して各超音波送受信部51b〜53bを制御する。制御部61は、各超音波送受信部51b〜53bが配置される場所で反応容器40が停止したときに超音波を反応容器40の液面に照射して液量を測定するようにしている。
【0052】
一方、分注判定部64は、分注判定部44に対応した3つの独立した第1試薬分注判定部71、検体分注判定部72、および第2試薬分注判定部73を有する。また、第1試薬分注判定部71、検体分注判定部72、および第2試薬分注判定部73は、それぞれ超音波照射部51〜53によって得られた超音波送受信信号の時間差をもとに分注判定を行う。
【0053】
ここで、図7を参照して、制御部61および分注判定部64による分注判定処理手順について説明する。なお、ここでは、超音波照射部51および第1試薬分注判定部71による処理について説明するが、超音波照射部52および検体分注判定部72と、超音波照射部53および第2試薬分注判定部73との各処理も同様に行われる。図7において、まず、分注量取得部71aは、制御部61を介して、これから分析しようとする分析項目毎に予め設定された分注の規定量である第1試薬分注量を取得する(ステップS201)。その後、第1試薬分注判定部71は、制御部61の制御状態から、超音波送受信部51bの位置に停止した超音波照射前の反応容器40が、第1試薬分注後に初めて停止するものか否かを判断する(ステップS202)。超音波照射前の反応容器40が、第1試薬分注後に初めて停止するものでない場合(ステップS202:No)、このステップS202の判断処理を繰り返す。一方、超音波照射前の反応容器40が、第1試薬分注後に初めて停止するものである場合(ステップS202:Yes)、制御部61は、駆動制御回路51aを介して、この超音波照射前の反応容器40の液面に向けて超音波信号を送信させるとともに反射波を受信し、送受信タイミングを液面高さ算出部71bに出力し、液面高さ算出部71bは、入力された超音波の送受信信号の時間差を算出する(ステップS203)。
【0054】
その後、液面高さ算出部71bは、この時間差をもとに反応容器40の液面と超音波送受信部51bとの間の距離を算出し、この距離をもとに液面高さを算出する(ステップS204)。その後、液量算出部71cは、この液面高さおよび反応容器40の形状をもとに反応容器40に保持された液体の液量を算出する(ステップS205)。さらに、液量記録部71dは、液量算出部71cによって算出された液量を反応容器40の分注状態に対応づけて記録する(ステップS206)。
【0055】
その後、比較判定部71eは、液量記録部71dによって記録された液量が、分注量取得部71aによって取得した分析項目毎に予め設定された規定量の範囲内であるか否かを判断する(ステップS207)。規定量の範囲内の液量である場合(ステップS207:Yes)、反応容器40に分注された液量は正常であると判定し(ステップS208)、ステップS211に移行する。一方、規定量の範囲内の液量でない場合(ステップS207:No)、反応容器40に分注された液量は異常であると判定し(ステップS209)、第1試薬分注判定部71は、制御部61を介して表示部47に、第1試薬分注に異常が生じた旨を表示し(ステップS210)、ステップS211に移行する。
【0056】
その後、分注判定部71は、制御部61から分析終了の指示を受けたか否かを判断し(ステップS211)、分析終了の指示を受けていない場合(ステップS211:No)、ステップS202に移行し、上述した処理を繰り返し、分析終了の指示を受けた場合(ステップS211:Yes)、本処理を終了する。
【0057】
この実施の形態2では、第1試薬、第2試薬または検体が分注された反応容器40が軌道軌跡上で停止する各位置に超音波照射部51〜53を配置し、停止中の反応容器40液面に向けて超音波を照射することにより、分析項目毎に予め設定された所定範囲内の液量で分注を行うことができたか否かを判定することができる。特に、この実施の形態2では、停止中の反応容器40の液量を測定しているので、反応容器40の移動によって生じる液面の傾きを考慮せずに精度の高い液量測定を行うことができる。
【0058】
なお、実施の形態1では、移動中の反応容器40の液量を測定しているため、遠心力によって液面が傾くが、超音波照射位置を径方向の液面中心とすることによって精度の高い液量測定を行うことができる。また、分注判定部44が、液面の傾きによる誤差を補正するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる自動分析装置の概要構成を示す摸式図である。
【図2】図1に示した自動分析装置の概要構成を示す平面図である。
【図3】超音波照射部および分注判定部を含んだ構成を示す模式図である。
【図4】図3に示した制御部および分注判定部による分注判定処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2にかかる自動分析装置の構成を模式的に示した平面図である。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる自動分析装置の超音波照射部および分注判定部の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示した制御部および分注判定部による分注判定処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 自動分析装置
2 検体移送機構
3,5 測定機構
4 制御機構
20 検体容器
21 検体ラック
22 検体分注機構
22a,33a,34a アーム
22b,33b,34b プローブ
30 反応槽
30a 反応テーブル
30b 収容凹部
30c 測光窓
30d,31b,32b 蓋
30e 検体分注孔
30f 第1試薬分注孔
30g 第2試薬分注孔
30h 洗浄・乾燥孔
30i,30j 接続部
31 第1試薬保冷庫
31a,32a 試薬ボトル
32 第2試薬保冷庫
33 第1試薬分注機構
34 第2試薬分注機構
35 第1攪拌機構
35a,36a 回転アーム
35b,36b 攪拌棒
35c,36c 洗浄部
36 第2攪拌機構
37 測光機構
37a 光源
37b 測光センサ
37c コリメーションレンズ
38,51〜53 超音波照射部
38a,51〜53a 駆動制御回路
38b,51b〜53b 超音波送受信部
39 洗浄・乾燥機構
39a ノズル部
40 反応容器
41,61 制御部
42 入力部
43 分析部
44,64 分注判定部
44a,71a 分注量取得部
44b,71b 液面高さ算出部
44c,71c 液量算出部
44d,71d 液量記録部
44e,71e 比較判定部
45 記憶部
46 出力部
47 表示部
71 第1試薬分注判定部
72 検体分注判定部
73 第2試薬分注判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器に保持された試薬または検体を含む液体を攪拌することで反応させ、この反応液の光学的特性を測定することによって前記液体を分析する自動分析装置において、
反応容器に保持された前記液体の液面に向けて超音波を照射し、該液面で反射される超音波を受信する超音波照射手段と、
前記超音波照射手段によって照射された超音波の送受信信号の時間差をもとに液体の高さを求め、該高さをもとに前記液体の液量を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された液量が、分析項目毎に予め設定された規定量の範囲内でない場合、前記液体の分注に異常が生じたものと判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記反応容器の移動中に前記超音波照射手段による超音波の照射を行わせる制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記反応容器の停止中に前記超音波照射手段による超音波の照射を行わせる制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記超音波発生手段は、前記反応容器の移動軌跡上であって該反応容器の鉛直上部に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−192303(P2009−192303A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31810(P2008−31810)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】