説明

自動分析装置

【課題】異なる複数の検査項目の分析を並行して行っても、異なる検査項目間における試薬や検体のクロスコンタミネーションを防止し、分析の信頼性や分析時間を従来通りに維持できる小型な自動分析装置を提供すること。
【解決手段】検査項目の異なる複数の検査項目の分析を並行して行う自動分析装置1は、異なる検査項目用の複数の試薬分注プローブを一体に移動させる試薬分注装置7,9と、異なる検査項目用の複数の検体分注プローブを一体に移動させる検体分注装置12とを備え、複数列の反応容器の列ごとに異なる試薬分注プローブ及び検体分注プローブを使用してそれぞれ異なる検査項目用の試薬及び検体を分注し、異なる複数の検査項目の分析を並行して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿等の生体試料を分析する自動分析装置は、検査項目ごとに分かれた分析ユニットを複数有し、検査項目に応じて複数の分析ユニットのうちの特定の分析ユニットを選択して検体を分析する多ユニット分析装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3271604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された多ユニット分析装置は、複数の分析ユニットを並べたものであることから大きな配置スペースを占め、小型化が望まれていた。この場合、単に複数の分析ユニットを1つのユニットとしても、検体分注プローブ、試薬分注プローブ及び反応容器を共用し、検査項目ごとに検体や試薬を分注して検体を分析することになることから、異なる検査項目間で試薬又は検体のクロスコンタミネーションが発生して分析の信頼性が低下するうえ、分析に時間が掛かるという不具合が生じてしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、異なる複数の検査項目の分析を並行して行っても、異なる検査項目間における試薬や検体のクロスコンタミネーションを防止し、分析の信頼性や分析時間を従来通りに維持できる小型な自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、検査項目の異なる複数の検査項目の分析を並行して行う自動分析装置であって、異なる検査項目用の試薬容器の配置間隔及び複数並行に配列して搬送される反応容器の配列間隔に合わせて離隔配置され、異なる検査項目用の試薬を異なる試薬容器から異なる反応容器へ個別に分注する試薬分注プローブを複数有し、前記複数の試薬分注プローブを一体に移動させる試薬分注装置と、異なる検査項目用の検体容器の配置間隔及び前記反応容器の配列間隔に合わせて離隔配置され、異なる検査項目用の検体を異なる検体容器から異なる反応容器へ個別に分注する検体分注プローブを複数有し、前記複数の検体分注プローブを一体に移動させる検体分注装置と、を備え、前記複数列の反応容器の列ごとに異なる前記試薬分注プローブ及び前記検体分注プローブを使用してそれぞれ異なる検査項目用の試薬及び検体を分注し、異なる複数の検査項目の分析を並行して行うことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の自動分析装置は、上記の発明において、前記反応テーブルは、一方の検査項目用の検体及び試薬が分注される前記反応容器と、他方の検査項目用の検体及び試薬が分注される前記反応容器とが同心円上の内外2列に配列されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の自動分析装置は、上記の発明において、前記異なる検査項目用の試薬は、外周側と内周側に分けて試薬テーブルに保持されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の自動分析装置は、上記の発明において、前記検体分注装置及び前記試薬分注装置は、前記2つの検体分注プローブ及び前記2つの試薬分注プローブのそれぞれを上下方向に移動させて互いの先端高さを変更する駆動手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の自動分析装置は、複数列の反応容器の列ごとに異なる試薬分注プローブ及び検体分注プローブを使用してそれぞれ異なる検査項目用の試薬及び検体を分注し、異なる複数の検査項目の分析を並行して行うので、異なる複数の検査項目の分析を並行して行っても、異なる検査項目間における試薬や検体のクロスコンタミネーションを防止し、分析の信頼性や分析時間を従来通りに維持でき、小型化することもできるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の自動分析装置にかかる実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の自動分析装置を示す概略構成図である。図2は、図1の自動分析装置で使用している反応テーブルの平面図である。図3は、図1の自動分析装置で使用している試薬分注装置の側面図である。
【0012】
自動分析装置1は、生化学検査項目、遺伝子検査項目又は免疫検査項目のうちの異なる2つの検査項目、例えば、生化学検査項目と遺伝子検査項目の分析を並行して行う自動分析装置であり、図1に示すように、第1試薬テーブル2、第2試薬テーブル3、反応テーブル5、第1試薬分注装置7、第2試薬分注装置9、検体容器移送部11、攪拌部14、測光部15、洗浄部16及び制御部17を備えている。
【0013】
第1試薬テーブル2及び第2試薬テーブル3は、それぞれ構造が同一であるので、第1試薬テーブル2について説明し、第2試薬テーブル3については、対応する構成要素に対応する符号を使用することで説明を省略する。
【0014】
第1試薬テーブル2は、図1に示すように、半径方向外周側の部分と内周側の部分がそれぞれ独立して回転し、外周側には生化学検査項目用の第1試薬の試薬容器2aが、内周側には遺伝子検査項目用の第1試薬の試薬容器2bが、それぞれ保持されており、保持した試薬容器2a,2bを周方向に搬送する。このとき、試薬容器2a,2bは、試薬分注口の間隔L1が反応テーブル5に保持される複数の反応容器6A,6Bの半径方向における中心間の間隔L2と等しくなるように設定されている。
【0015】
反応テーブル5は、図1及び図2に示すように、リング状に成形されており、複数の反応容器6A,6Bが半径方向に中心間の間隔L2を置いて周方向に沿って内外2列に配列されている。反応テーブル5は、試薬テーブル2,3の駆動手段とは異なる駆動手段によって正転或いは逆転され、反応容器6A,6Bを周方向に沿って搬送する。反応テーブル5は、例えば、一周期で時計方向に(1周−1反応容器)/4回転し、四周期で(1周−1反応容器)回転する。
【0016】
反応容器6A,6Bは、四角筒形状の容量が数nL〜数十μLと微量なキュベットであり、測光部15が出射する分析光に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器6A,6Bは、反応テーブル5の近傍に設けた第1試薬分注装置7や第2試薬分注装置9によって第1試薬テーブル2の試薬容器2a,2bや第2試薬テーブル3の試薬容器3a,3bから試薬が分注される。このとき、反応テーブル5に保持された複数の反応容器6A,6Bは、外周側の反応容器6Aが生化学検査項目用として使用され、内周側の反応容器6Bが遺伝子検査項目用として使用される。
【0017】
ここで、第1試薬分注装置7及び第2試薬分注装置9は、それぞれ構造が同一であるので、第1試薬分注装置7について説明し、第2試薬分注装置9については、対応する構成要素に対応する符号を使用することで説明を省略する。
【0018】
第1試薬分注装置7は、図1及び図3に示すように、水平面内を矢印方向(図1参照)に回動されるアーム7aと試薬を分注するプローブ7b,7cとを有し、洗浄水によってプローブ7b,7cを洗浄する洗浄槽8がプローブ7b,7cの移動軌跡上に配置されている。プローブ7b,7cは、中心間の間隔L3(=L2)が反応容器6A,6Bの半径方向の間隔L2と等しくなるように設定され、図3に示すように、アーム7aに上下動自在に支持されており、これらを覆うスリーブ7dの上部にラック7eが取り付けられている。プローブ7b,7cは、ラック7eに噛み合うピニオン7fをアーム7aに設置したモータによって回動させることによって上下動される。ここで、アーム7aは、基部が支柱7gに支持されて水平方向に回動される。また、プローブ7b,7cは、前記各モータを同期させることによって同時に上下動させることも、タイミングをずらして上下動させることも可能である。
【0019】
ここで、第1試薬分注装置7は、プローブ7b,7cによって第1試薬テーブル2に内周側と外周側に2重に保持された試薬容器2a,2bから第1試薬を同時に吸引すると共に、反応テーブル5に内外2列に配列された反応容器6A,6Bに同時に分注可能なように配置する。従って、第1試薬分注装置7は、回動した際にアーム7aの先端が第1試薬テーブル2の回転中心や反応テーブル5の回転中心Cを向く位置に配置する。
【0020】
なお、洗浄槽8は、第1試薬分注装置7のプローブ7b,7cの移動軌跡上に配置され、プローブ7b,7cの内側を洗浄した洗浄水を廃棄すると共に、槽内に噴出する洗浄水によってプローブ7b,7cの外側を洗浄する。同様に、洗浄槽10は、第2試薬分注装置9のプローブ9b,9cの移動軌跡上に配置され、プローブ9b,9cを洗浄する。
【0021】
検体容器移送部11は、図1に示すように、複数のラック11aを矢印方向に沿って移送する移送手段であり、ラック11aを歩進させながら移送する。ラック11aは、検体を収容した複数の検体容器11bを保持している。ここで、検体容器移送部11は、検体分注装置12に隣接する位置においては、図示のように2つのラック11aを並行させて移送し、検体分注装置12のプローブ12b,12cと対応する位置に存在する2つの検体容器11bの間隔L4(=L2)が反応容器6A,6Bの半径方向の間隔と等しくなるように設定されている。また、並行して移送される2つのラック11aは、右側が遺伝子検査項目用の検体を採取した検体容器11bを保持し、検体分注装置12に隣接する左側が生化学検査項目用の検体を採取した検体容器11bを保持している。
【0022】
検体分注装置12は、検体容器移送部11によって移送される2列のラック11aの歩進が停止するごとに検体を2つの検体容器11bから反応容器6A,6Bへ分注する。検体分注装置12は、水平方向に回動すると共に、上下方向に昇降する駆動アーム12aと、駆動アーム12aに支持され、第1試薬分注装置7のプローブ7b,7cと同様に構成されるプローブ12b,12cとを有している。プローブ12b,12cは、中心間の間隔L5(=L2)が反応容器6A,6Bの半径方向の間隔L2と等しくなるように設定されている。
【0023】
このため、検体分注装置12は、並行して移送される2つのラック11aに保持された2つ検体容器11bから検体を同時に吸引すると共に、反応テーブル5に内外2列に配列された反応容器6A,6Bに同時に分注可能なように、回動した際に駆動アーム12aの先端が反応テーブル5の回転中心Cを向く位置に配置する。但し、プローブ12b,12cは、これらを駆動する各モータを同期させることによって同時に上下動させることも、タイミングをずらして上下動させることも可能である。そして、検体分注装置12は、検体を分注したプローブ12b,12cを洗浄水によって洗浄する洗浄槽13がプローブ12b,12cの移動軌跡上に配置されている。
【0024】
攪拌部14は、図1に示すように、反応テーブル5外周の第2試薬分注装置9近傍に配置され、半径方向に隣り合う反応容器6A,6Bに分注された検体と試薬とを含む液体試料を攪拌する。攪拌部14は、例えば、表面弾性波素子によって液体試料を非接触で攪拌する攪拌装置や、攪拌棒によって液体試料を攪拌する攪拌装置が使用される。
【0025】
測光部15は、図1に示すように、反応テーブル5外周の攪拌部14と洗浄部16との間に配置され、試薬と検体とが反応した半径方向に隣り合う反応容器6A,6B内の反応液を個々に分析するための分析光を出射し、反応容器6A,6B内の反応液を透過した分析光の光量に関する光信号を制御部17へ出力する。
【0026】
洗浄部16は、半径方向に隣り合い、測光が終了した反応容器6A,6Bを洗浄するもので、反応容器6A,6Bから反応液や洗剤又は洗浄水を吸引する吸引ノズルと、洗剤又は洗浄水を分注する分注ノズルとを有している。洗浄部16は、測光終了後の反応容器6A,6Bから測光後の反応液を吸引した後、洗剤又は洗浄水を分注する。洗浄部16は、洗剤や洗浄水の分注と吸引の動作を複数回繰り返すことにより、反応容器6A,6Bを洗浄する。このようにして洗浄された反応容器6A,6Bは、再度、新たな検体の分析に使用される。
【0027】
制御部17は、例えば、マイクロコンピュータ等が使用され、図1に示すように自動分析装置1と接続され、自動分析装置1の各構成部の作動を制御すると共に、測光部15が出力した光信号に基づく反応液の吸光度から検体の成分濃度等を分析する。また、制御部17は、キーボード等の入力部18から入力される分析指令に基づいて自動分析装置1の各構成部の作動を制御しながら分析動作を実行させると共に、分析結果や警告情報の他、入力部18から入力される表示指令に基づく各種情報等をディスプレイパネル等の表示部19に表示する。
【0028】
このとき、本発明の自動分析装置1は、第1試薬テーブル2及び第2試薬テーブル3が外周側と内周側に試薬容器2a,2b及び試薬容器3a,3bを2重に保持し、第1試薬分注装置7及び第2試薬分注装置9は、水平面内を矢印方向に回動されると共に、上下方向に昇降されるアーム7aとアーム9aに試薬を分注するプローブ7b,7cとプローブ9b,9cがそれぞれ設けられている。そして、反応テーブル5は、複数の反応容器6A,6Bが周方向に沿って内外2列に配列されると共に、検体分注装置12は、検体容器移送部11によって移送される2列のラック11aのそれぞれの検体容器11bから検体を反応容器6A,6Bへ分注するプローブ12b,12cを有している。
【0029】
従って、自動分析装置1は、第1試薬分注装置7及び第2試薬分注装置9のプローブ7b,9bを用いて第1試薬テーブル2及び第2試薬テーブル3の外側に配置された生化学検査項目用の試薬容器2a,3aから反応テーブル5の外側に配置した生化学検査項目用の反応容器6Aに試薬を分注する。そして、自動分析装置1は、検体分注装置12のプローブ12bを用いて2列のラック11aのうち生化学検査項目用の検体を保持した近い方の検体容器11bから反応テーブル5の外側に配置した反応容器6Aへ検体を分注する。
【0030】
一方、自動分析装置1は、生化学検査項目用の試薬や検体の分注と並行して第1試薬分注装置7及び第2試薬分注装置9のプローブ7c,9cを用いて第1試薬テーブル2及び第2試薬テーブル3の内側に配置された遺伝子検査項目用の試薬容器2b,3bから反応テーブル5の内側に配置した遺伝子検査項目用の反応容器6Bに試薬を分注する。そして、自動分析装置1は、検体分注装置12のプローブ12cを用いて2列のラック11aのうち遺伝子検査項目用の検体を保持した遠い方の検体容器11bから反応テーブル5の内側に配置した反応容器6Bへ検体を分注する。
【0031】
このように、自動分析装置1は、生化学検査項目用の試薬を分注するプローブ7b,9b、検体を分注するプローブ12b及び反応テーブル5の外側に配置した生化学検査項目用の反応容器6Aと、遺伝子検査項目用の試薬を分注するプローブ7c,9c、検体を分注するプローブ12c及び反応テーブル5の内側に配置した遺伝子検査項目用の反応容器6Bとに分け、生化学検査項目と遺伝子検査項目の異なる2つの検査項目の分析を並行して行う。従って、自動分析装置1は、異なる検査項目間での試薬や検体のクロスコンタミネーションを防止することができ、分析の信頼性や分析時間を従来通りに維持しつつ、小型化を図ることができる。
【0032】
ここで、自動分析装置1は、異なる2つの検査項目の分析を並行して行う必要がない場合、例えば、生化学検査項目のみの分析を行う場合には、試薬を分注するプローブ7b,9b、検体を分注するプローブ12b及び反応テーブル5の外側に配置した反応容器6Aのみを使用し、プローブ7c,9c及びプローブ12cを上方へ引き上げておけばよい。或いは、自動分析装置1は、第1試薬テーブル2及び第2試薬テーブル3の試薬容器の配置を変更し、第1試薬分注装置7のプローブ7b,7c及び第2試薬分注装置9のプローブ9b,9cを用いて試薬を分注し、検体分注装置12のプローブ12b,12cを用いて検体を分注することにより、生化学検査項目のみの分析を行うことも可能である。
【0033】
更に、例えば、生化学検査項目に比べて遺伝子検査項目の検体が少ないような場合には、生化学検査項目の分析と遺伝子検査項目の分析とを並行して行った後、プローブ7c,9c及びプローブ12cを上方へ引き上げ、残る生化学検査項目の分析をプローブ7b,9b及びプローブ12bをのみを使用して行うようにする。
【0034】
また、第1試薬分注装置7、第2試薬分注装置9及び検体分注装置12、例えば、第1試薬分注装置7は、プローブ7b,7cを必ずしも同時に上下動させる必要がなければ、図4に示すように、プローブ7b,7cのスリーブ7dに取り付けた2つのラック7e間にピニオン7fを配置すると、ピニオン7fを回動させるモータを1つにすることができる。
【0035】
そして、第1試薬分注装置7は、例えば、生化学検査項目の分析を行う場合には、図5に示すように、プローブ7bを上昇させると共に、プローブ7cを下降させ、プローブ7cによって生化学検査項目用の試薬を分注する。一方、第1試薬分注装置7は、例えば、遺伝子検査項目の分析を行う場合には、図6に示すように、プローブ7cを上昇させると共に、プローブ7bを下降させ、プローブ7bによって遺伝子検査項目用の試薬を分注する。
【0036】
このとき、第1試薬分注装置7は、図7に示すように、プローブ7bのラック7eとプローブ7cのラック7eのそれぞれにピニオン7fを噛み合わせ、更にアーム7aを支柱7gに対して矢印で示すように上下動自在としてもよい。このように構成すると、第1試薬分注装置7は、アーム7aを支柱7gに対して上下動させて分注のための昇降動作をさせた後、ピニオン7fによってプローブ7b,7cの高さを微調整することができる。このため、第1試薬分注装置7は、プローブ7b,7cに設けるラック7eの長さを短くすることができ、製造コストを低減することができる。
【0037】
この場合、第1試薬分注装置7は、ピニオン7fに代えて、図8に示すように、プローブ7b、7cの上部に連結部材7hを設けると共に、アーム7aに支持させたプーリ7i,7j間にタイミングベルト7kを巻き掛け、プーリ7iをアーム7aに設けたモータによって回転させることでプローブ7b,7cを上下動させてもよい。このとき、タイミングベルト7kは、各連結部材7hを介してプローブ7b,7cと連結されている。このように構成すると、第1試薬分注装置7は、プローブ7b,7cにスリーブを設けなくてもよいので、構造が簡単になる。
【0038】
また、第1試薬分注装置7、第2試薬分注装置9及び検体分注装置12は、回動した際にアーム7a,9a及び駆動アーム12aの先端が反応テーブル5の回転中心Cを向く位置に配置した。しかし、異なる検査項目間における試薬や検体のクロスコンタミネーションを防止することができ、試薬や検体を適正な反応容器6A,6Bに分注することができれば、第1試薬分注装置7、第2試薬分注装置9及び検体分注装置12は、必ずしも回動した際にアーム7a,9a及び駆動アーム12aの先端が第1試薬テーブル2,第2試薬テーブル3の回転中心や反応テーブル5の回転中心Cを向く位置に配置する必要はない。
【0039】
このような配置とする場合、第1試薬分注装置7、第2試薬分注装置9及び検体分注装置12、例えば、第1試薬分注装置7は、図9に示すように、プローブ7b,7cの中心間の間隔L3を反応容器6A,6Bの半径方向の間隔L2よりも大きく設定し、周方向に位置がずれた2つの試薬容器2a,2bから検査項目の異なる試薬をプローブ7b,7cに吸引し、周方向に位置がずれ、検査項目が異なる反応容器6A,6Bのそれぞれへ吸引した試薬を吐出する。
【0040】
尚、上述の実施の形態は、自動分析装置1が生化学検査項目、遺伝子検査項目又は免疫検査項目のうち生化学検査項目と遺伝子検査項目の異なる2つの検査項目の分析を並行して行う場合について説明した。しかし、自動分析装置1は、生化学検査項目と免疫検査項目或いは遺伝子検査項目と免疫検査項目の異なる2つの検査項目の分析を並行して行うことも可能である。
【0041】
また、自動分析装置1の反応テーブル5は、保持する複数の反応容器6A,6Bの半径方向における中心間の間隔L2が試薬容器2a,2bの試薬分注口の間隔L1と等しくなるように設定するために、図2に示したように、反応容器6Aと反応容器6Bの数を等しく設定した。しかし、反応テーブル5は、反応容器6A,6Bの間隔L2が試薬容器2a,2bの間隔L1と等しければ、反応容器6Aと反応容器6Bの数は必ずしも等しく設定する必要はなく、例えば、遺伝子検査項目用の反応容器6Bの数を生化学検査項目用の反応容器6Aよりも少なくしてもよい。
【0042】
更に、上述の実施の形態の第1試薬分注装置7、第2試薬分注装置9及び検体分注装置12は、プローブ7b,7c、プローブ9b,9c及びプローブ12b,12cの2本のプローブを有する場合について説明した。しかし、第1試薬分注装置7、第2試薬分注装置9及び検体分注装置12は、試薬分注プローブや検体分注プローブが複数であれば2本に限定されるものではない。この場合、反応容器も2列に代えて複数列とすれば、複数の検査項目の分析を並行して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の自動分析装置を示す概略構成図である。
【図2】図1の自動分析装置で使用している反応テーブルの平面図である。
【図3】図1の自動分析装置で使用している試薬分注装置の側面図である。
【図4】図1の自動分析装置で使用している試薬分注装置の第1の変形例を示す側面図である。
【図5】図4の試薬分注装置において生化学検査項目の分析を行う場合のプローブの配置を示す側面図である。
【図6】図4の試薬分注装置において遺伝子検査項目の分析を行う場合のプローブの配置を示す側面図である。
【図7】図1の自動分析装置で使用している試薬分注装置の第2の変形例を示す側面図である。
【図8】図1の自動分析装置で使用している試薬分注装置の第3の変形例を示す側面図である。
【図9】プローブの中心間の間隔を反応容器の半径方向の間隔よりも大きく設定した分注装置の変形例を示す自動分析装置の要部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 自動分析装置
2 第1試薬テーブル
2a,2b 試薬容器
3 第2試薬テーブル
3a,3b 試薬容器
5 反応テーブル
6 反応容器
7 第1試薬分注装置
7a アーム
7b,7c プローブ
8 洗浄槽
9 第2試薬分注装置
10 洗浄槽
11 検体容器移送部
11a ラック
11b 検体容器
12 検体分注装置
12a 駆動アーム
12b,12c プローブ
13 攪拌部
14 測光部
15 洗浄部
17 制御部
18 入力部
19 表示部
C 反応テーブルの回転中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査項目の異なる複数の検査項目の分析を並行して行う自動分析装置であって、
異なる検査項目用の試薬容器の配置間隔及び複数並行に配列して搬送される反応容器の配列間隔に合わせて離隔配置され、異なる検査項目用の試薬を異なる試薬容器から異なる反応容器へ個別に分注する試薬分注プローブを複数有し、前記複数の試薬分注プローブを一体に移動させる試薬分注装置と、
異なる検査項目用の検体容器の配置間隔及び前記反応容器の配列間隔に合わせて離隔配置され、異なる検査項目用の検体を異なる検体容器から異なる反応容器へ個別に分注する検体分注プローブを複数有し、前記複数の検体分注プローブを一体に移動させる検体分注装置と、
を備え、前記複数列の反応容器の列ごとに異なる前記試薬分注プローブ及び前記検体分注プローブを使用してそれぞれ異なる検査項目用の試薬及び検体を分注し、異なる複数の検査項目の分析を並行して行うことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記反応テーブルは、一方の検査項目用の検体及び試薬が分注される前記反応容器と、他方の検査項目用の検体及び試薬が分注される前記反応容器とが同心円上の内外2列に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記異なる検査項目用の試薬は、外周側と内周側に分けて試薬テーブルに保持されていることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記検体分注装置及び前記試薬分注装置は、前記2つの検体分注プローブ及び前記2つの試薬分注プローブのそれぞれを上下方向に移動させて互いの先端高さを変更する駆動手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−53028(P2009−53028A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219908(P2007−219908)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】