説明

自動分析装置

【課題】試料濃度の変化に起因する測定結果の誤差を抑制することができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】測定対象の試料を収容した試料容器11と、試料と反応させるための試薬を収容した試薬容器21と、試料と試薬とを混合した反応液を収容して反応させる反応容器31と、試料容器11から試料を反応容器31に分注する試料分注機構4と、試薬容器21から試薬を反応容器31に分注する試薬分注機構5とを備えた自動分析装置において、吸光度測定機構12により試料容器11に収容された試料の吸光度を測定し、吸光度測定機構34により反応容器31に収容された反応液の吸光度を測定する。試料の吸光度に基づいて反応液の吸光度を補正し、その補正後の吸光度を用いて反応液の濃度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体試料などの分析を行う自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、測定対象である試料(例えば、尿、血液など)と、その試料と反応させるための試薬とを反応容器において混合し、その混合液の物性(例えば吸光度)を測定することにより、試料の分析を行うものである。
【0003】
このような自動分析装置としては、例えば、ある項目の測定結果に異常が発見された場合、その原因となる異常現象の影響が及ぶと考えられる測定項目(測定結果)に対しても所定のデータ・エラーコードを付加し、試料の再確認や再検作業を漏れなく行うものが知られている。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−12442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、分析コスト削減などの観点から分析に用いる試料及び試薬は微量化の傾向にあり、試料の水分蒸発による濃縮、或いは、分注ノズルに付着した洗浄水等の持ち込みによる希釈などの原因による試料の濃度変化が測定結果に与える影響も大きくなる傾向にある。
【0006】
特許文献1に記載のような自動分析装置においては、試料の再確認や再検作業を漏れなく行うことにより、測定結果の信頼性向上を図っている。しかし、試料の再確認や再検作業においても試料の濃度は変化しており、したがって、上記のような試料の濃度変化が測定結果に与える影響を抑制することは難しかった。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、試料濃度の変化に起因する測定結果の誤差を抑制することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、測定対象の試料を収容した試料容器と、前記試料と反応させるための試薬を収容した試薬容器と、前記試料と前記試薬とを混合した反応液を収容して反応させる反応容器と、試料容器から前記試料を前記反応容器に分注する試料分注機構と、試薬容器から前記試薬を前記反応容器に分注する試薬分注機構と、前記試料容器に収容された試料の濃度を測定する試料濃度測定手段と、前記反応容器に収容された前記反応液の濃度を測定する反応液濃度測定手段とを備えたものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、試料濃度の変化に起因する測定結果の誤差を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る試料容器の一構成例を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る試料容器の他の構成例を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る吸光度測定機構の構成を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る試料容器に収容された試料の容量と吸光度測定機構の位置関係を、分注直前について示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る試料容器に収容された試料の容量と吸光度測定機構の位置関係を、試料の量が減少した場合について示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る試料容器に収容された試料の容量と吸光度測定機構の位置関係を、試料の量が大幅に減少した場合について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る自動分析装置の全体構成を示す図である。
【0013】
図1において、自動分析装置100は、主として、サンプルディスク1と、試薬ディスク2と、反応ディスク3と、試料分注機構4と、試薬分注機構5と、制御部6とを備えている。
【0014】
サンプルディスク1には、測定対象の試料(例えば、尿や血液)が収容された複数の試料容器11が、円周上に固定され配置されている。サンプルディスク1は図示しない回転駆動機構により周方向に回転され、所定の位置に停止される。
【0015】
また、サンプルディスク1は、試料容器11に収容された試料の吸光度を測定する吸光度測定機構12を備えている。吸光度測定機構12は、吸光度測定に用いるための光(以下、測定光と記載する)を発生する光源13と、光源13から放射され、試料容器11及び試料容器11に収容された試料を透過した光の強度を測定する光度計14とを備えている。光源13と光度計14は、試料容器11の動線を挟んで対向するように配置されており、吸光度測定機構12は、光源13と光度計14の間の位置(以下、吸光度測定位置と記載する)に停止された試料容器11について透過光の強度を測定する。測定結果は伝送線路12aを介して制御部6に送られる。制御部6においては、吸光度測定機構12からの光強度の測定結果に基づいて試料容器11に収容された試料の吸光度が算出される。なお、試料容器11は、測定光として用いる光を透過するよう形成されており、例えば、透明度の高いガラスやプラスチックなどにより形成されている。ここで、吸光度とは、測定対象に入射される光の強度と透過する光の強度の関係から求められる値であり、測定対象に入射される光(つまり、光源13から放射される光)の強度を変えない場合、光度計14で検出される光の強度から一意的に求められる。
【0016】
光源13は、例えば、多波長光源であり、発生する光の波長を可変に構成されている。また、光度計14は、例えば、多波長光度計であり、測定波長を可変に構成されている。なお、本実施の形態においては光源13として多波長光源を用いたが、例えは、波長を可変とした単波長光源を用いても良い。
【0017】
図2は、試料容器11の構成を示す図であり、図2(a)は試料容器11の鉛直断面形状を、図2(b)は試料容器11の水平断面形状をそれぞれ模式的に示す図である。
【0018】
図2において、試料容器11の水平断面形状は方形であり、4つの側面の互いに向き合う面が平行となるように形成されている。試料容器11が吸光度測定機構12における吸光度測定位置にある場合、光源13から放射された測定光は、その光源13に対向する面(例えば、図2中右側に示す面)を透過して試料容器11に入り、試料容器11に収容された試料を透過して、試料容器11の測定光が入った面に対向する面(例えば、図2中左側に示す面)を透過して試料容器11から出て、光度計14に到達する。このように、試料容器11を測定光が入る面と出る面が平行となるように構成することにより、試料容器11の底面からの高さによって、吸光度測定時に試料容器11内を透過する光の光路長が変わらない。
【0019】
なお、本実施の形態の場合は、試料容器11の水平断面形状が方形となるように構成したが、試料容器11の底面からの高さによって、吸光度測定時に試料容器11内を透過する光の光路長が変わらない構成であれば良く、図3に示すように、試料容器11の水平断面形状が円形となるように構成しても良い。
【0020】
図4は、吸光度測定機構12の構成を示す側面図である。
【0021】
図4において、吸光度測定機構12は、光源13と光度計14が固定された筐体15を有している。筐体15は、光源13から放射された測定光が光度計14に到達可能に形成されている。また、吸光度測定機構12は、筐体15を水平方向(図4中左右方向)、すなわち、サンプルディスク1の半径方向(図1参照)に駆動する水平方向駆動機構16と、筐体15を垂直方向(図4中上下方向)に駆動する垂直方向駆動機構18とを有している。歯車形状の水平駆動機構16を駆動装置(図示せず)により回転駆動させることにより、筐体15に設けられた歯17を水平方向に移動させ、吸光度測定機構12を水平方向に移動させる。同様に、垂直駆動機構18を駆動装置(図示せず)により回転駆動させることにより、筐体15に設けられた歯19を垂直方向に移動させ、吸光度測定機構12を垂直方向に駆動させる。なお、水平駆動機構16は筐体15と共に垂直方向に駆動可能に設けられており、垂直駆動機構18は筐体15と共に水平方向に駆動可能に設けられている。
【0022】
図5〜図7は、試料容器11に収容された試料の量の変化と吸光度測定機構12の位置関係を示す図であり、図5は試料分注直前の様子を、図6は試料の量が減少した場合の様子を、図7は試料の量がさらに減少した場合の様子をそれぞれ示している。
【0023】
図5〜図7において、吸光度測定機構12は、試料容器11に収容された試料の液面付近の吸光度を測定する。試料分注直前(図5参照)においては、その時点での試料の液面付近の吸光度を測定する。後述する試料の分注などにより試料容器11に収容された試料の液面が下がった場合(図6及び図7参照)は、その都度、吸光度測定機構12の垂直位置を調整し、試料の液面付近の吸光度を測定する。試料容器11内の試料の液面位置は、予め制御部6の記憶部63(後述)に記憶された液量と試料分注量などから算出される。また、吸光度測定機構12を試料容器11内の液面よりも上方から下方に移動させながら吸光度を測定し、吸光度の変化位置を試料の液面位置として検出しても良い。或いは、液面検出機構を設け、試料液面の検出結果に基づいて吸光度測定機構12の垂直位置を調整しても良い。
【0024】
図1に戻る。
【0025】
試薬ディスク2には、試料と混合して反応させるための試薬が収容された複数の試薬容器21が、円周上に固定され配置されている。また、試薬容器21の周囲は、温度制御された保冷庫(図示せず)となっている。試薬ディスク2は図示しない回転駆動機構により周方向に回転され、所定の位置に停止される。
【0026】
反応ディスク3には、試料と試薬とを混合するための複数の反応容器31が、円周上に固定され配置されている。反応ディスク3は図示しない回転駆動機構により周方向に回転され、所定の位置に停止される。
【0027】
反応ディスク3は、反応容器31に入れられた試料と試薬の混合液(反応液)を、例えば、超音波を反応液に照射することにより攪拌する攪拌機構6と、反応容器31の洗浄を行う洗浄機構33とを備えている。
【0028】
また、反応ディスク3は、反応容器31に収容された反応液の吸光度を測定する吸光度測定機構34を備えている。吸光度測定機構34は、吸光度測定に用いるための光(測定光)を発生する光源35と、光源35から放射され、反応容器31及び反応容器31に収容された反応液を透過した光の強度を測定する光度計36とを備えている。光源35と光度計36は、反応容器31の動線を挟んで対向するように配置されている。吸光度測定機構34は、光源35と光度計36の間の位置(以下、吸光度測定位置と称する)に停止された反応容器31について透過光の強度を測定する。測定結果は伝送線路36aを介して制御部6に送られる。制御部6においては、吸光度測定機構36aからの光強度の測定結果に基づいて反応容器31に収容された反応液の吸光度が算出される。
【0029】
試料分注機構4は、サンプルディスク1と反応ディスク3の間に配置されており、試料を吸引、吐出する分注ノズル(図示せず)をサンプルディスク1と反応ディスク3の間で往復移動させる。試料容器11に収容された試料は、試料分注機構4の分注ノズル(図示せず)によって吸引され、反応ディスク3に設置された所定の反応容器31に吐出される。このとき、試料分注機構4は、分注ノズル(図示せず)への試料の付着を抑制するため、その分注ノズルの試料への浸漬量を抑え、試料の液面付近において試料を吸引する。また、試料分注機構4の傍らには分注ノズル洗浄機構41が配置されており、試料を分注する毎に試料分注機構4の分注ノズルを洗浄する。
【0030】
試薬分注機構5は、試薬ディスク2と反応ディスク3の間に配置されており、試薬を吸引、吐出する分注ノズル(図示せず)を試薬ディスク2と反応ディスク3の間で往復移動させる。試薬容器21に収容された試薬は、試薬分注機構5の分注ノズル(図示せず)によって吸引され、反応ディスク3に設置された所定の反応容器31に吐出される。このとき、試薬分注機構5は、分注ノズル(図示せず)への試薬の付着を抑制するため、その分注ノズルの試薬への浸漬量を抑え、試薬の液面付近において試薬を吸引する。また、試薬分注機構5の傍らには分注ノズル洗浄機構51が配置されており、試薬を分注する毎に試薬分注機構5の分注ノズルを洗浄する。
【0031】
制御部6は、自動分析装置100全体の動作を制御するものであり、表示部62、記憶部63、コンピュータ64、A/Dコンバータ65、及びインターフェース61を備えている。
【0032】
制御部6の表示部62、記憶部63、コンピュータ64、及びA/Dコンバータ65は、インターフェース61により接続されており、そのインターフェース61を介して各種データのやり取りを行う。
【0033】
A/Dコンバータ65は、伝送線路12aを介して光度計12と、伝送線路36aを介して光度計36とそれぞれ接続されており、吸光度測定機構12及び吸光度測定機構34からアナログ信号で送られてくる測定結果、つまり、試料及び反応液に関する強度の測定結果をデジタル信号に変換し、インターフェース61を介して記憶部63に記憶する。
【0034】
記憶装置63には、入力装置(図示せず)からオペレータにより入力された試料の測定条件、試薬や反応液に関する光強度、光強度から演算して得られる試薬や反応液の吸光度、或いは、その吸光度から演算して得られる試薬や反応液の濃度などの測定結果、各種ソフトウェア、各種計算式などが記憶されている。
【0035】
表示部62は、コンピュータ64からの指示に基づいて、測定条件の入力画面や各種測定結果、或いは、異常を報せる警告などを表示する。
【0036】
コンピュータ64は、記憶部63に記憶された測定条件に基づき、各種ソフトウェアを用いて自動分析装置100の各構成の動作を制御する。
【0037】
また、コンピュータ64は、記憶部63に記憶された反応液の吸光度を、その反応液に用いた試料の分注時点における吸光度を用いて補正する。コンピュータ64は、その補正された反応液の吸光度に基づいて濃度を演算し、その結果を記憶部63に記憶する。このように、試料の吸光度に基づいて反応液の吸光度を補正することは、すなわち、吸光度に基づいて反応液の濃度の測定値を補正することであり、対象となる試料の初回の試料吸引時からの濃度変化を反応液の測定結果に反映することができる。
【0038】
上記の補正に用いる補正式の一例として、下記に式1を示す。
【0039】
=A×(X/X) ・・・(式1)
ここで、上記式1におけるAは補正後の反応液の吸光度、Aは補正前の反応液の吸光度、Xは分注開始直前の試料の吸光度、Xは分注時の試料の吸光度をそれぞれ示している。
【0040】
また、コンピュータ64は、記憶部63に記憶された試料の吸光度から試料中の固形物、試料のにごり、或いは、溶血度合を算出する。例えば、試料の吸光度を予め定めた閾値と比較し、その比較結果により、試料中への固形物の析出、不純物の混入による試料のにごり、或いは、試料中への気泡の混入などを検出する。
【0041】
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
【0042】
上記の自動分析装置100を操作する場合、オペレータは、まず入力装置(図示せず)で分析情報を入力する。操作者が入力した分析情報は記憶部63に記憶される。
【0043】
次に、吸光度測定機構12によりサンプルディスク1の所定の位置にセットされた試料容器11内の試料の吸光度を測定し、その吸光度を記憶部63に記憶する。
【0044】
次に、記憶部63に記憶された分析情報に従って、サンプルディスク1の所定の位置にセットされた試料容器11内の試料が試料分注機構4の分注ノズル(図示せず)によって反応ディスク3の所定の位置にセットされた反応容器31に所定量分注される。分注ノズル(図示せず)は洗浄機構41によって水洗浄される。また、記憶部63に記憶された分析情報に従って、試薬ディスク2の所定の位置にセットされた試薬容器21内の試薬が試薬分注機構5の分注ノズル(図示せず)によって反応ディスク3の所定の位置にセットされた反応容器31に所定量分注される。反応容器31内の試料と試薬の混合液(反応液)を、撹拌機構32により撹拌し、吸光度測定機構12により反応液の吸光度を測定し、その吸光度を記憶部63に記憶する。
【0045】
その後、サンプルディスク1の試料容器11内の試料を分注する毎に、その試料容器11内の試料の吸光度を測定し、記憶部63に記憶させる。
【0046】
コンピュータ64は、記憶部63に記憶された反応液の吸光度を試料の吸光度を用いて補正し、その補正された反応液の吸光度に基づいて濃度を演算し、その結果を記憶部63に記憶する。
【0047】
コンピュータ64は、分析情報により支持された項目の測定が終了するまで上記の動作を繰り返す。
【0048】
以上のように構成した本実施の形態の効果を説明する。
【0049】
分析に用いる試料及び試薬が微小量である場合、試料の水分蒸発による濃縮、或いは、分注ノズルに付着した洗浄水等の持ち込みによる希釈などの原因による試料の濃度変化が測定結果に与える影響が大きい。
【0050】
上記従来技術のような自動分析装置においては、試料の再確認や再検作業を漏れなく行うことにより、測定結果の信頼性向上を図っている。しかし、試料の再確認や再検作業においても試料の濃度は変化しており、したがって、上記のような試料の濃度変化が測定結果に与える影響を抑制することは難しかった。
【0051】
これに対し、本実施の形態における自動分析装置においては、試料を分注する毎に試料の吸光度を測定し、その吸光度を用いて反応液の吸光度を補正するように構成したので、試料の再確認や再検作業を行うことなく、試料濃度の変化に起因する測定結果の誤差を抑制することができる。
【0052】
また、試料の濃度変化を検知し、測定結果を補正する方法としては、例えば、試料分注の1回目と最後で同じ項目を測定し、その測定結果の差から分注1回あたりの濃度変化量を計算し、その計算結果を基に測定結果を補正することが考えられる。しかし、濃度変化の度合は時間に比例するとは限られず、また、試料及び試薬の双方における分注誤差、光度計誤差などが影響するため、測定結果の濃度を正確に補正することは難しい。さらに、同じ項目を複数回測定する必要があるため、スループットの低下やランニングコストの増加などの点が懸念される。
【0053】
これに対し、本実施の形態における自動分析装置においては、試料を分注する毎に試料の吸光度を測定し、その吸光度を用いて反応液の吸光度を補正するように構成したので、各測定項目毎に吸光度の補正を行うことができ、試料濃度の変化に起因する測定結果の誤差を抑制することができる。また、同じ項目を複数回測定する必要がないため、スループットの低下やランニングコストの増加などを抑制することができる。
【0054】
なお、以上に説明した各実施の形態においては、吸光度測定機構12により試料容器11の試料の吸光度を測定し、その吸光度を用いて吸光度測定機構34により測定した反応液の吸光度の測定結果を補正し、その補正後の吸光度を用いて反応液の濃度を算出するように構成したが、これに限られず、複数の電極を試料容器11の試料に浸漬させて試料の電気伝導率を測定し、電気伝導率から試料の濃度をコンピュータ64により算出し、この試料の濃度を用いて反応液の濃度を補正するようにしても良い。この場合、試料に対する大気中の二酸化炭素の溶解や分注ノズル洗浄用の洗剤の持込などの影響による水素イオン濃度の変化を検出することができ、記憶部63に予め記憶させた水素イオン濃度の変化による各測定項目への影響度合に基づいて、警告などを発することができる。
【0055】
また、本実施の形態においては、試料の吸光度を用いて反応液の吸光度の測定結果を補正するように構成したが、試料分注量を補正するようにしても良い。
【0056】
さらに、本実施の形態においては、試料の吸光度に基づいて反応液の吸光度を補正することにより反応液の濃度の測定値を補正するようにしたが、これに限られず、コンピュータ64により試料の吸光度から求めた試料の濃度、或いは、試料の電気伝導度から求めた試料の濃度に基づいて反応液の濃度の測定値を補正するようにしても良い。
【0057】
また、本実施の形態においては、試料容器11をサンプルディスク1に配置した場合を例にとり説明したが、サンプルディスク1に換えてラックを用い、このラックに試料容器11を配置するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0058】
1 サンプルディスク
2 試薬ディスク
3 反応ディスク
4 試料分注機構
5 試薬分注機構
6 制御部
11 試料容器
12 吸光度測定機構
13 光源
14 光度計
15 筐体
16 水平方向駆動機構
18 垂直方向駆動機構
21 試薬容器
31 反応容器
32 攪拌機構
33 洗浄機構
34 吸光度測定機構
35 光源
36 光度計
61 インターフェース
62 表示部
63 記憶部
64 コンピュータ
65 A/Dコンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の試料を収容した試料容器と、
前記試料容器に収容された試料の濃度を測定する試料濃度測定手段と、
前記試料容器からの試料と試薬とを混合した反応液を収容して反応させる反応容器と、
前記反応容器に収容された前記反応液の濃度を測定する反応液濃度測定手段と
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記試料濃度測定手段により測定された試料濃度に基づいて、前記反応液濃度の測定値を補正する反応液濃度補正手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記試料濃度測定手段により測定された試料濃度に基づいて、前記試料分注機構により分注される試料の分量を調整する試料分注量調整手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記の試料濃度測定手段は、
前記試料容器に光を照射する光源と、
前記光源から照射され、前記試料容器及び前記反応液を透過した光の強度を測定する光度計と、
前記光の強度に基づいて前記試料の濃度を算出する試料濃度算出手段と
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項4記載の自動分析装置において、
前記光度計により測定された強度に基づいて、前記反応液濃度の測定値を補正する反応液濃度補正手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項4記載の自動分析装置において、
前記光源は、複数の波長を含む光を照射する多波長光照射手段であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項4記載の自動分析装置において、
前記光源は、単一の波長の光を照射する単波長光照射手段であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項4記載の自動分析装置において、
前記光源から照射される光の波長を調整する波長調整手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記の濃度測定手段は、
前記反応液に浸漬させる複数の電極と、
前記複数の電極間の電気伝導率を検出する電気伝導率測定手段と、
前記電気伝導率に基づいて前記試料の濃度を算出する試料濃度算出手段と
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項4記載の自動分析装置において、
前記光の強度に基づいて前記試料内の固形物を検出する手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項4記載の自動分析装置において、
前記光の強度に基づいて前記試料のにごり、或いは、溶血度合を検出する手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−169581(P2010−169581A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13255(P2009−13255)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】