説明

自動分析装置

【課題】反応容器の劣化を防いで、反応容器内を強力に洗浄することができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】反応容器3内へ進入可能に配置され、低圧流路5251及びこの低圧流路5251に合流する高圧流路5261を有する洗浄ノズル521と、反応容器3内に進入した洗浄ノズル521の低圧流路5251へ反応容器3内を洗浄するための洗浄液を低圧力で供給する低圧ポンプ61及び高圧流路5261へ低圧力よりも高い高圧力で洗浄液を供給する高圧ポンプ62とを有する反応容器洗浄部12を備え、低圧ポンプ61及び高圧ポンプ62からの供給により低圧流路5251を流動する洗浄液に合流した高圧流路5261からの洗浄液を吐出して反応容器3内の洗浄を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に含まれている成分を分析する自動分析装置に係り、特に、洗浄機能を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された被検試料と各検査項目の試薬との混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を、分光光度計や比濁計等の測光部で光学的に測定することにより、被検試料中の様々な検査項目成分の濃度や酵素の活性等で表される分析データを生成する。
【0003】
この自動分析装置では、被検試料毎に多数の検査項目の中から選択された検査対象の項目の分析を行う。そして、分析を行うために、被検試料をサンプル分注プローブで試料容器から反応容器に分注し、各検査項目の試薬を試薬分注プローブで試薬容器から反応容器に分注する。次いで、反応容器に分注された被検試料及び試薬の混合液を撹拌子で撹拌した後、測光部で測定する。更に被検試料及び試薬に接触したサンプル及び試薬分注プローブ、並びに混合液に接触した撹拌子及び反応容器を洗浄した後、繰り返して測定に使用する。
【0004】
しかしながら、多数の被検試料をしかも多項目に亘って測定する自動分析装置では、測定中における混合液の測定終了毎の洗浄で除去できない被検試料に含まれる蛋白質、脂質等の物質、試薬に含まれるラテックス等の物質、被検試料と試薬の反応生成物質が反応容器内に残留して、混合液の測定に悪影響を与え、その測定により生成される分析データが悪化する恐れがある。
【0005】
この残留物質を反応容器から除去するため、混合液の測定終了毎にアルカリ性洗浄液や酸性洗浄液等を反応容器内に供給して洗浄を行うことができる自動分析装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかしながら、反応容器内を短時間で洗浄する必要があるため、検査項目が例えば尿中蛋白質等の微量成分の分析である場合、通常の検査項目では無視できる微量の残留物質が、分析データに悪影響を与える問題がある。
【0007】
このような問題に対して、洗浄に大きな効果がある超音波を反応容器の外側から照射して反応容器の洗浄を行う自動分析装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−160398号公報
【特許文献2】特開2004−279289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2の洗浄方法では、短時間で大きな洗浄効果が得られるものの、外側から反応容器に超音波を照射して反応容器内の洗浄を行おうとすると、強力な超音波を反応容器に照射する必要がある。このため、過剰な超音波により反応容器の外面が劣化する問題がある。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、反応容器の劣化を防いで、反応容器内を強力に洗浄することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、試料及び試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、前記反応容器内へ進入可能に配置され、低圧流路及びこの低圧流路に合流する高圧流路を有する洗浄ノズルと、前記反応容器内に進入した前記洗浄ノズルの前記低圧流路へ前記反応容器内を洗浄するための洗浄液を低圧力で供給する低圧ポンプ、及び前記高圧流路へ前記低圧力よりも高い高圧力で前記洗浄液を供給する高圧ポンプとを有する反応容器洗浄手段を備え、前記反応容器洗浄手段は、前記低圧ポンプ及び前記高圧ポンプからの供給により前記低圧流路を流動する前記洗浄液に合流した前記高圧流路からの前記洗浄液を用いて前記反応容器内の洗浄を行うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、洗浄液を低圧力で供給する低圧ポンプ及び低圧力よりも高い高圧力で供給する高圧ポンプと、各ポンプから供給される洗浄液からキャビテーションにより気泡を発生させる洗浄ノズルとを設け、その洗浄ノズルから供給されるキャビテーションにより発生した気泡を含む洗浄液を用いて反応容器内の洗浄を行うことができる。これにより、過剰な洗浄力を必要としないため、反応容器の劣化を防ぐことができる。また、反応容器内の洗浄を強力に行うことが可能となり、分析データの悪化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る反応容器洗浄部の構成を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る第1の洗浄ノズルユニットの構成を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る第2の洗浄ノズルユニットの構成を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る第3の洗浄ノズルユニットの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0015】
以下、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図6を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料と各検査項目に該当する試薬との混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部24と、分析部24の測定に関る各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御部25とを備えている。
【0017】
また、分析部24で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データの生成を行うデータ処理部30と、データ処理部30で生成された検量データや分析データを印刷出力や表示出力する出力部40と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部80と、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部90とを備えている。
【0018】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料や被検試料等の各試料を収容する試料容器17と、この試料容器17を保持するサンプルディスク5と、各試料に含まれる検査項目の成分と反応する1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、この試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aを有する試薬庫1と、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、この試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aを有する試薬庫2と、円周上に配置された複数の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
【0019】
また、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の各試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、このサンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10と、各試料の分注終了毎にサンプル分注プローブ16を洗浄する洗浄槽16aとを備えている。
【0020】
また、試薬庫1に収納された試薬容器6内の第1試薬を吸引して各試料が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8と、第1試薬の分注終了毎に第1試薬分注プローブ14を洗浄する洗浄槽14aとを備えている。
【0021】
また、反応容器3内に吐出された各試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子18と、第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム20と、混合液の撹拌終了毎に第1撹拌子18を洗浄する洗浄槽18aとを備えている。
【0022】
また、試薬庫2に収納された試薬容器7内の第2試薬を吸引して各試料及び第1試薬が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9と、第2試薬の分注終了毎に第2試薬分注プローブ15を洗浄する洗浄槽15aとを備えている。
【0023】
また、反応容器3内の各試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子19と、第2撹拌子19を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21と、混合液の撹拌終了毎に第2撹拌子19を洗浄する洗浄槽19aとを備えている。
【0024】
また、反応容器3内の混合液に光を照射して光学的に測定する測光部13と、測光部13で測定を終了した反応容器3内を洗浄する反応容器洗浄部12とを備えている。
【0025】
そして、測光部13は、光路を通過する反応容器3に光を照射し、その反応容器3内の標準試料や被検試料を含む混合液を透過した各検査項目の波長光を検出する検出信号に基づいて、例えば吸光度データで表される標準データや被検データを生成する。そして、生成した標準データや被検データをデータ処理部30に出力する。
【0026】
分析制御部25は、分析部24の各分析ユニットを駆動する機構を有する機構部26と、機構部26の各機構及び分析部24の反応容器洗浄部12を制御する制御部28とを備えている。そして、機構部26は分析サイクル毎に、サンプルディスク5、試薬庫1の試薬ラック1a、及び試薬庫2の試薬ラック2aを夫々回動した後に停止する機構、並びに反応ディスク45を回転した後に停止する機構を備えている。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム20、及び第2撹拌アーム21を夫々回動及び上下移動する機構等を備えている。
【0027】
図1に示したデータ処理部30は、分析部24の測光部13から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部31と、演算部31で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部32とを備えている。
【0028】
演算部31は、測光部13から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に予め設定された標準値から、各検査項目成分の濃度や活性と標準データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0029】
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。更に、演算部31から出力された各検査項目の管理分析データを管理試料毎に保存する。
【0030】
出力部40は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0031】
表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを表示する。また、自動分析装置100で検査可能な各検査項目の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面、各検査項目に該当する試薬の試薬情報を設定するための試薬情報設定画面、被検試料毎にこの被検試料を識別する氏名やID等の識別情報及び検査項目を設定するための被検試料情報設定画面等を表示する。
【0032】
操作部80は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎の分析パラメータの設定、試薬情報の設定、被検試料の識別情報及び検査項目の設定等の操作を行う。
【0033】
システム制御部90は、CPU及び記憶回路を備え、操作部80からの操作により入力されたコマンド信号、各検査項目の分析パラメータの情報、試薬情報、被検試料の識別情報及び検査項目の情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括してシステム全体を制御する。
【0034】
以下、図1乃至図6を参照して、分析部24における反応容器洗浄部12の構成及び動作の詳細を説明する。
【0035】
図3は、反応容器洗浄部12の構成を示した図である。この反応容器洗浄部12は、反応容器3内を洗浄する例えば純水等の洗浄液を吐出及び吸引する洗浄ノズルユニット50と、この洗浄ノズルユニット50に対して洗浄液の供給及び供給した洗浄液の排出を行う洗浄ポンプユニット60とを備えている。そして、反応ディスク4が回転しているときは洗浄位置Wの上停止位置に保持され、反応ディスク4が停止したときに下停止位置へ移動して、洗浄位置Wに停止した反応容器3の洗浄を行う。
【0036】
洗浄ノズルユニット50は上下移動して反応容器3内へ進入可能に配置され、洗浄位置Wの第1洗浄位置W1に対応する排液ノズル51と、第2乃至第4洗浄位置W2乃至W4に対応する第1乃至第3の洗浄ノズルユニット52乃至54と、第5洗浄位置W5に対応する乾燥ノズル55とにより構成される。
【0037】
排液ノズル51は、反応容器3内の混合液を吸引する吸引ノズルにより構成される。そして、測光部13で測定を終えて第1洗浄位置W1に停止した反応容器3内の混合液を、洗浄ポンプユニット60より行われる混合液の排出動作により排出する。その後、第1洗浄位置W1の反応容器3は、第2洗浄位置W2へ回転移動される。
【0038】
第1の洗浄ノズルユニット52は、第1洗浄位置W1で混合液が排出された後、第2洗浄位置W2に停止した反応容器3内を洗浄ポンプユニット60より行われる洗浄液の供給及び供給した洗浄液の排出からなる一連の洗浄動作により洗浄する。その後、第2洗浄位置W2の反応容器3は、第3洗浄位置W3へ回転移動される。
【0039】
第2の洗浄ノズルユニット53は、第2洗浄位置W2で洗浄された後、第3洗浄位置W3に停止した反応容器3内を、洗浄ポンプユニット60より行われる洗浄液の供給及び供給した洗浄液の排出からなる一連の洗浄動作により洗浄する。その後、第3洗浄位置W3の反応容器3は、第4洗浄位置W4へ回転移動される。
【0040】
第3の洗浄ノズルユニット54は、第3洗浄位置W3で洗浄された後、第4洗浄位置W4に停止した反応容器3内を、洗浄ポンプユニット60より行われる洗浄液の供給及び供給した洗浄液の排出からなる一連の洗浄動作により洗浄する。その後、第4洗浄位置W4の反応容器3は、第5洗浄位置W5へ回転移動される。
【0041】
乾燥ノズル55は、反応容器3内を吸引する吸引ノズルにより構成される。そして、第4洗浄位置W4で洗浄された後、第5洗浄位置W5に停止した反応容器3内を、洗浄ポンプユニット60より行われる排出からなる乾燥動作により乾燥する。その後、第5洗浄位置W5の反応容器3は、表示部42の被検試料情報設定画面で設定された被検試料毎の検査項目の情報に基づいて、サンプル分注プローブ16により試料の分注が可能な位置へ回転移動される。
【0042】
洗浄ポンプユニット60は、洗浄ノズルユニット50における各第1乃至第3の洗浄ノズルユニット52乃至54に洗浄液を供給する低圧ポンプ61及び高圧ポンプ62と、洗浄ノズルユニット50の排液ノズル51、第1乃至第3の洗浄ノズルユニット52乃至54、及び乾燥ノズル55から混合液や洗浄液を排出する排液ポンプユニット63とを備えている。
【0043】
また、洗浄液が貯留された洗浄液槽64と、排液ノズル51から排出された混合液を貯留する第1排液タンク65と、第1乃至第3の洗浄ノズルユニット52乃至54及び乾燥ノズル55から排出された洗浄液を貯留する第2排液タンク66とを備えている。
【0044】
低圧ポンプ61は、洗浄液槽64から洗浄液を吸引し、吸引した洗浄液を第1乃至第3の洗浄ノズルユニット52乃至54に例えば0.1MPaの低圧力で供給する。また、高圧ポンプ62は、洗浄液槽64から洗浄液を吸引し、吸引した洗浄液を低圧ポンプ61とほぼ同じタイミングで、第1乃至第3の洗浄ノズルユニット52乃至54に低圧ポンプ61の低圧力よりも高い例えば3MPaの高圧力で供給する。
【0045】
排液ポンプユニット63は、第1洗浄位置W1に停止した反応容器3内の混合液を第1排液タンク65内に排出する第1排液ポンプ631と、第2乃至第4洗浄位置W2乃至W4に停止した反応容器3内に吐出された洗浄液及び第5洗浄位置W5に停止した反応容器3内に僅かに残留する洗浄液を第2排液タンク66内に排出する第2排液ポンプ632とを備えている。
【0046】
次に、第1乃至第3の洗浄ノズルユニット52乃至54の構成の詳細を説明する。
図4は、第1の洗浄ノズルユニット52の構成を示した図である。この第1の洗浄ノズルユニット52は、第2洗浄位置W2に停止した反応容器3内に洗浄液を吐出する洗浄ノズル521と、反応容器3内に吐出された洗浄液を吸引する吸引ノズル522と、洗浄ノズル521及び吸引ノズル522を保持する保持体523と、洗浄ノズル521から吐出された洗浄液の反応容器3外への飛散を防ぐ飛び跳ね防止カバー524とにより構成される。
【0047】
洗浄ノズル521は、洗浄ノズルユニット50の下停止位置において、反応容器3内のほぼ中央に位置する。そして、洗浄ポンプユニット60の低圧ポンプ61から供給される洗浄液が上から下に流動する低圧流路5251を形成している外管525、及び洗浄ポンプユニット60の高圧ポンプ62から供給される洗浄液が上から下に流動して低圧流路5251に合流する高圧流路5261を形成している内管526により構成される。
【0048】
外管525は、上端部近傍に設けられた開口部が内管526で閉塞され、内管526の上端部以外の閉塞部分と下端部間を内包している。そして、内面と内包している内管526の外面とにより低圧流路5251が形成されている。また、下端部及びこの近傍に洗浄液が反応容器3内の混合液と接触する全ての面に向けて放射状に吐出可能な複数の孔5252を有している。
【0049】
内管526は、上端部が外管525の上端部と同じ高さに配置され、下端部が外管525の下端部よりも高い位置に配置されている。
【0050】
そして、低圧ポンプ61及び高圧ポンプ62により供給される洗浄液が外管525及び内管526の上端の開口部から流入し、流入した洗浄液は低圧流路5251及び高圧流路5261を下方へ流動する。次いで、高圧流路5261を流動した洗浄液は、内管526の下端の開口部から噴流して、低圧流路5251を流動する洗浄液に合流する。この合流した流域でキャビテーションにより発生する気泡を含む洗浄液を、外管525の孔5252から反応容器3内面に向けて吐出する。吐出された洗浄液は、反応容器3内面に残留する混合液を洗い落とす。また、洗浄液に含まれる気泡が反応容器3内面に衝突したときに崩壊する衝撃力を利用して、反応容器3内面に付着した混合液の残留物質を洗い落とす。
【0051】
なお、低圧ポンプ61及び高圧ポンプ62は、高圧流路5261からの洗浄液が低圧流路5251を流動する洗浄液に合流した流域でキャビテーションにより気泡が発生する低圧力及び高圧力に設定されている。
【0052】
このように、洗浄ノズル521が反応容器3内に進入し、反応容器3内面に近い位置からキャビテーションにより発生した気泡を含む洗浄液を吐出して反応容器3内の洗浄を行うことができる。これにより、超音波洗浄のように過剰な洗浄力を必要とせず、反応容器3の劣化を防ぐことができる。また、反応容器3内の洗浄を強力に行うことができる。
【0053】
なお、低圧ポンプ61及び高圧ポンプ62に圧力を可変できるポンプを用い、表示部42の被検試料情報設定画面で設定された被検試料毎の検査項目の情報に基づいて、洗浄ノズル521供給する洗浄液の圧力を可変するように実施してもよい。そして、反応容器3を汚染しやすい例えばラテックスを含む試薬に該当する検査項目の情報を予め設定し、その検査項目の混合液を収容した反応容器3を洗浄するときには、通常よりも高圧ポンプ62の圧力を上げて強力に洗浄する。また、汚れの影響を受けやすい例えば尿中蛋白質の分析が行われるとき、その検査項目に使用する反応容器3を通常よりも強力に洗浄する。
【0054】
吸引ノズル522は、洗浄ノズル521に対して反応容器3が回転移動する方向側である例えば第3洗浄位置W3側に配置され、洗浄ノズルユニット50の下停止位置において、下端部が反応容器3内の底面に近接している。そして、洗浄ノズル521の外管525から吐出された洗浄液を、洗浄ポンプユニット60における排液ポンプユニット63の第2排液ポンプ632の吸引動作により吸引する。
【0055】
飛び跳ね防止カバー524は、洗浄ノズル521の外管525から吐出された洗浄液が反応容器3外へ飛散して他の反応容器3への浸入を防ぐために設けられ、洗浄ノズルユニット50の下停止位置において、反応容器3上端部に近接する高さで洗浄ノズル521及び吸引ノズル522に保持されている。
【0056】
図5は、第2の洗浄ノズルユニット53の構成を示した図である。この第2の洗浄ノズルユニット53が第1の洗浄ノズルユニット52と異なる点は、吸引ノズルの配置が異なる点である。なお、第2の洗浄ノズルユニット53を構成しているユニットの内、第1の洗浄ノズルユニット52と同じものには同じ符号を付与し説明を省略又は簡略する。
【0057】
第2の洗浄ノズルユニット53は、第3洗浄位置W3に停止した反応容器3内に洗浄液を吐出する洗浄ノズル521と、反応容器3内に吐出された洗浄液を吸引する吸引ノズル522aと、洗浄ノズル521及び吸引ノズル522aを保持する保持体523aと、洗浄ノズル521から吐出された洗浄液の反応容器3外への飛散を防ぐ飛び跳ね防止カバー524aとにより構成される。
【0058】
このように、洗浄ノズル521が反応容器3内に進入し、反応容器3内面に近い位置からキャビテーションにより発生した気泡を含む洗浄液を吐出して反応容器3内の洗浄を行うことができる。これにより、超音波洗浄のように過剰な洗浄力を必要とせず、反応容器3の劣化を防ぐことができる。また、反応容器内の洗浄を強力に行うことができる。
【0059】
吸引ノズル522aは、洗浄ノズル521に対して反応容器3が回転移動する方向とは反対方向側である第2洗浄位置W2側に配置され、洗浄ノズルユニット50の下停止位置において、下端部が反応容器3内の底面に近接している。そして、洗浄ノズル521の外管525から吐出された洗浄液を第2排液ポンプ632の吸引動作により吸引する。
【0060】
このように、吸引ノズル522aを第1の洗浄ノズルユニット52の吸引ノズル522と異なる位置に配置することにより、第2洗浄位置W2では吸引ノズル522が障害になって洗浄液を当てることができなかった反応容器3の内面に洗浄液を当てて洗浄することができる。
【0061】
図6は、第3の洗浄ノズルユニット54の構成を示した図である。この第3の洗浄ノズルユニット54が第1及び第2の洗浄ノズルユニット52,53と異なる点は、吸引ノズルの配置が異なる点である。なお、第3の洗浄ノズルユニット54を構成しているユニットの内、第1及び第2の洗浄ノズルユニット52,53と同じものには同じ符号を付与し説明を省略又は簡略する。
【0062】
第3の洗浄ノズルユニット54は、第4洗浄位置W4に停止した反応容器3内に洗浄液を吐出する洗浄ノズル521と、反応容器3内に吐出された洗浄液を吸引する吸引ノズル522bと、洗浄ノズル521及び吸引ノズル522bを保持する保持体523bと、洗浄ノズル521から吐出された洗浄液の反応容器3外への飛散を防ぐ飛び跳ね防止カバー524bとにより構成される。
【0063】
このように、洗浄ノズル521が反応容器3内に進入し、反応容器3内面に近い位置からキャビテーションにより発生した気泡を含む洗浄液を吐出して反応容器3内の洗浄を行うことができる。これにより、超音波洗浄のように過剰な洗浄力を必要とせず、反応容器3の劣化を防ぐことができる。また、反応容器3内の洗浄を強力に行うことができる。
【0064】
吸引ノズル522bは、洗浄ノズル521に対して反応容器3が回転移動する方向の内周又は外周側に配置され、洗浄ノズルユニット50の下停止位置において、下端部が反応容器3内の底面に近接している。そして、洗浄ノズル521の外管525から吐出された洗浄液を第2排液ポンプ632の吸引動作により吸引する。
【0065】
このように、吸引ノズル522bを第1及び第2の洗浄ノズルユニット52,53の吸引ノズル522,522aと異なる位置に配置することにより、第2及び第3洗浄位置W2,W3では吸引ノズル522,522aが障害になって洗浄液を当てることができなかった反応容器3の内面に洗浄液を当てて洗浄することができる。
【0066】
なお、洗浄槽64を、例えばアルカリ性の洗浄液を貯留した第1の洗浄液槽、酸性の洗浄液を貯留した第2の洗浄液槽、及び純水を貯留した第3の洗浄液槽に置き換える。また、低圧ポンプ61及び高圧ポンプ62をこのポンプと同様の機能を有する第1の洗浄液槽から洗浄液を吸引して第1の洗浄ノズルユニット52に供給する第1の低圧ポンプ及び第1の高圧ポンプ、第2の洗浄液槽から洗浄液を吸引して第2の洗浄ノズルユニット53に供給する第2の低圧ポンプ及び第2の高圧ポンプ、並びに第3の洗浄液槽から洗浄液を吸引して第3の洗浄ノズルユニット54に供給する第3の低圧ポンプ及び3の高圧ポンプに置き換えて実施するようにしてもよい。これにより、より大きな洗浄効果を得ることができる。
【0067】
また、洗浄液に界面活性剤を添加するように実施してもよい。これにより、より大きな洗浄効果を得ることができる。
【0068】
以上述べた本発明の実施例によれば、低圧流路5251及びこの低圧流路5251に合流する高圧流路5261を有する反応容器3内へ進入可能に配置された洗浄ノズル521と、洗浄液を低圧流路5251へ低圧力で供給する低圧ポンプ61及び高圧流路5261へ高圧力で供給する高圧ポンプ62とを設ける。そして、反応容器3内に洗浄ノズル521を進入させ、反応容器3内面に近い位置からキャビテーションにより発生した気泡を含む洗浄液を吐出して反応容器3内の洗浄を行うことができる。これにより、反応容器の外側から洗浄する超音波洗浄のように過剰な洗浄力を必要としないため、反応容器3の劣化を防ぐことができる。また、反応容器3内の洗浄を強力に行うことが可能となり、分析データの悪化を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0069】
3 反応容器
52 第1の洗浄ノズル
61 低圧ポンプ
62 高圧ポンプ
632 第2排液ポンプ
521 洗浄ノズル
522 吸引ノズル
523 保持体
524 飛び跳ね防止カバー
525 外管
526 内管
5251 低圧流路
5252 孔
5261 高圧流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及び試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記反応容器内へ進入可能に配置され、低圧流路及びこの低圧流路に合流する高圧流路を有する洗浄ノズルと、
前記反応容器内に進入した前記洗浄ノズルの前記低圧流路へ前記反応容器内を洗浄するための洗浄液を低圧力で供給する低圧ポンプ、及び前記高圧流路へ前記低圧力よりも高い高圧力で前記洗浄液を供給する高圧ポンプとを有する反応容器洗浄手段を備え、
前記反応容器洗浄手段は、前記低圧ポンプ及び前記高圧ポンプからの供給により前記低圧流路を流動する前記洗浄液に合流した前記高圧流路からの前記洗浄液を用いて前記反応容器内の洗浄を行うようにしたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記低圧力及び前記高圧力は、前記高圧流路からの前記洗浄液が前記低圧流路を流動する前記洗浄液に合流した流域でキャビテーションにより気泡が発生する圧力であることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記反応容器内に進入した前記洗浄ノズルは、前記低圧流路を流動する前記洗浄液に合流した前記高圧流路からの前記洗浄液を、前記混合液に接触した前記反応容器内面に向けて吐出可能な複数の孔を有することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記反応容器洗浄手段は、前記反応容器内に吐出された前記洗浄液を吸引するための吸引ノズルを有することを特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記反応容器洗浄手段は、前記洗浄ノズルから吐出された前記洗浄液の前記反応容器外への飛散を防ぐための前記洗浄ノズルに保持された飛散防止カバーを有することを特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記洗浄ノズルは、前記高圧流路を形成している内管、及び前記高圧ポンプからの前記洗浄液が流入する前記内管の一端部以外の部分を内包して前記低圧流路を形成している外管を有することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記洗浄液は、アルカリ性洗浄液、又は酸性洗浄液、又は界面活性剤を含有する洗浄液であることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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