説明

自動分析装置

【課題】簡易な構成で複数の反応ラインの測光を行なうことができる自動分析装置を提供すること。
【解決手段】反応容器20を収容し、同一軸心上に径の異なる環状の内径側反応ライン231a、外径側反応ライン231bを有する回転可能な反応テーブル23を具備した自動分析装置であって、各反応ラインの外径側および内径側に、それぞれ内径側および外径側の前記反応容器に照射する内径側照射部271、外径側照射部272と、反応ライン間に設けられ、測定対象の反応容器20を通過した光の光路を選択して受光部に光を入射させる光路作成部400とを備え、光路作成部400によって選択された光路の光を受光部が受光することによって、2つの反応ラインの測光を一つの受光部によって測光を行なうことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応容器に収容された検体と試薬との反応物の光学的特性を測定して前記検体の分析処理を行う自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の試料を自動的に分析する装置として、試薬が分注された反応容器に試料を加え、反応容器内の試薬と試料の間で生じた反応を光学的に検出する自動分析装置が知られている。このような自動分析装置では、光源と受光系とを備える測光機構を設け、光源が試料を収容した反応容器に光を照射後、受光系が受光した反応容器内の液体の通過光量をもとに試料の分析を行っている。
【0003】
ところで、反応容器が収容される反応ラインを2つ有する反応テーブルを具備した自動分析装置が用いられ、分析処理の高速化を図っている。反応ラインを二つ以上有する場合、反応ラインに対応して測光部を設ける必要があり、装置の大型化の防止、コスト抑制のため、一つの光源から出射される光を、光ファイバを介して各反応容器に照射する自動分析装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−146006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す自動分析装置は、光源または光を反応容器に向けて出射する出射部および反応容器を通過した光を受信する受光部を反応ラインに対応して別個設置する必要があり、装置が複雑化するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で複数の反応ラインの測光を行なうことができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる自動分析装置は、反応容器を収容し、同一軸心上に径の異なる環状の反応ラインを2以上有する回転可能な反応テーブルを具備し、前記反応容器に収容された検体と試薬との反応液の光学的特性を測定して前記検体の分析処理を行う自動分析装置において、前記反応ラインの外径側および内径側に光源が配置され、該光源から出射される光をそれぞれ内径側および外径側の前記反応容器に照射する照射部と、前記照射部から出射された光を受光する受光部と、前記反応ライン間に設けられ、各照射部から前記受光部への光路を形成する光路形成部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、反応容器を収容し、同一軸心上に径の異なる環状の反応ラインを2以上有する回転可能な反応テーブルを具備し、前記反応容器に収容された検体と試薬との反応液の光学的特性を測定して前記検体の分析処理を行う自動分析装置において、前記反応ライン間に光源を設け、該光源から光を出射する出射部と、前記出射部から出射され、各反応テーブルの外径側および内径側に設けられた前記反応容器を通過した光を受信する受光部と、前記反応ライン間に設けられ、前記照射部から各受光部への光路を形成する光路形成部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記光路形成部は、軸回りに回転可能であって、各照射部から前記反応容器を通過した光を前記受光部に入射させる光路を形成する反射部材が設けられた筒状部材と、前記筒状部材に連結され、該筒状部材を軸回りに回転駆動させる駆動部と、前記駆動部を、前記反応テーブルの回転に連動して回転するよう制御する駆動制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記反応容器の検出位置を、各反応ライン毎に高低差を設け、前記光路形成部は、一方の反応容器を通過した光を反射させる反射部材と、前記反射部材と前記受光部との間に設けられ、前記反応テーブルに連動して回転する回転部材とを有し、前記回転部材は、前記反応ラインと歯合する歯合部と、一方の反応容器を通過し、前記反射部材によって前記受光部への光路を形成された光が通過する通過孔と、他方の反応容器を通過した光を前記受光部に向けて反射する反射部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記反応ラインの内径側および外径側の反応容器を周方向にずらして配置するとともに、検出位置に高低差を設け、前記光路形成部は、一方の反応容器を通過した光を前記受光部側に反射する反射部材と、前記反射部材と前記受光部との光路上であって、他方の反応容器を通過した光を反射するとともに、前記反射部材によって反射された光を透過させる半透過型反射部材と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記光路形成部は、軸回りに回転可能であって、前記照射部からの光を各受光部に入射させる光路を形成する反射部材が設けられた筒状部材と、前記筒状部材に連結され、該筒状部材を軸回りに回転駆動させる駆動部と、前記駆動部を、前記反応テーブルの回転に連動して回転するよう制御する駆動制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記反応容器の検出位置を、各反応ライン毎に高低差を設け、前記光路形成部は、前記照射部から出射された光を一方の受光部に反射させる反射部材と、前記反射部材と前記照射部との間に設けられ、前記反応テーブルに連動して回転する回転部材とを有し、前記回転部材は、前記反応ラインと歯合する歯合部と、前記照射部から出射された光を通過させる通過孔と、前記照射部から出射された光を他方の受光部に向けて反射する反射部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記反応容器の検出位置を、各反応ライン毎に高低差を設け、前記光路形成部は、前記照射部からの光を一方の受光部への光路に反射する反射部材と、前記反射部材と前記照射部との光路上であって、他方の受光部への光路に反射するとともに、前記照射部からの光を透過させて、前記反射部材への光路を形成する半透過型反射部材と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記反応ラインの内径側および外径側の反応容器は、周方向にずらして配置されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記反応ラインは、所定間隔で前記反応容器を配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の反応ラインに対して、1つの受光部によって測光を行なうようにしたので、簡易な構成で複数の反応ラインの測光を行なうことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である自動分析装置について、血液や尿等の液体検体を反応容器に分注して検体を分析する自動分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる自動分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる自動分析装置1は、分析対象である検体および試薬を反応容器20にそれぞれ分注し、分注した反応容器20内で生じる反応を光学的に測定する測定機構2と、測定機構2を含む自動分析装置1全体の制御を行なうとともに測定機構2における測定結果の分析を行なう制御機構3とを備える。自動分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の生化学分析を自動的に行なう。なお、反応容器20は、容量が数μL〜数mLと微量な容器であり、測光部27の光源から出射された分析光に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、たとえば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。
【0020】
まず、測定機構2について説明する。測定機構2は、大別して検体移送部21、内径側検体分注機構22a、外径側検体分注機構22b、反応テーブル23、内径側第1試薬分注機構24a、外径側第1試薬分注機構24b、内径側第2試薬分注機構24c、外径側第2試薬分注機構24d、第1試薬保冷庫25、第2試薬保冷庫26、測光部27、洗浄部28および攪拌部29を備える。
【0021】
検体移送部21は、血液等の液体検体を収容した複数の検体容器21aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック21bを備える。検体移送部21上の所定位置に移送された検体容器21a内の検体は、内径側検体分注機構22aまたは外径側検体分注機構22bによって、反応テーブル23上に配列して搬送される反応容器20に分注される。
【0022】
内径側検体分注機構22aおよび外径側検知分注機構22bは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。このアームの先端部には、検体の吸引および吐出を行なう検体プローブが取り付けられている。内径側検体分注機構22aおよび外径側検体分注機構22bは、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。内径側検体分注機構22aおよび外径側検体分注機構22bは、上述した検体移送部21上の所定の検体吸引位置に移送された検体容器21aの中から、検体プローブによって検体を吸引し、アームを図中時計回りに旋回させ、反応テーブル23上の所定の検体吐出位置に搬送された反応容器20に検体を吐出して分注を行なう。
【0023】
反応テーブル23は、反応容器20への検体や試薬の分注、反応容器20の攪拌、測光、洗浄を行なうために反応容器20を所定の位置まで回転移送する回転部材を有する。この回転部材は、駆動制御部37の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル23の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応テーブル23の上方と下方には、図示しない開閉自在な蓋と恒温槽がそれぞれ設けられている。また、回転部材は、内径側反応ライン231a,外径側反応ライン231bを有する。
【0024】
内径側第1試薬分注機構24a、外径側第1試薬分注機構24b、内径側第2試薬分注機構24cおよび外径側第2試薬分注機構24dは、内径側検体分注機構22aおよび外径側検体分注機構22bと同様に、試薬の吸引および吐出を行なう試薬プローブが先端部に取り付けられたアームを備える。アームは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なう。内径側第1試薬分注機構24a、外径側第1試薬分注機構24b、内径側第2試薬分注機構24cおよび外径側第2試薬分注機構24dは、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。内径側第1試薬分注機構24a、外径側第1試薬分注機構24b、内径側第2試薬分注機構24cおよび外径側第2試薬分注機構24dは、第1試薬保冷庫25,第2試薬保冷庫26上の所定の試薬吸引位置に移動された試薬容器25a,26a内の試薬をプローブによって吸引し、アームを図中時計回りまたは反時計回りに旋回させ、反応テーブル23上の所定の試薬吐出位置に搬送された反応容器20に試薬を吐出して分注する。
【0025】
試薬庫25,26は、反応容器20内に分注される試薬が収容された試薬容器25a,26aを複数収納できる。試薬庫25,26には、複数の収納室が等間隔で配置されており、各収納室には試薬容器25a,26aが着脱自在に収納される。試薬庫25,26は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、試薬庫25,26の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器25a,26aを試薬分注機構による試薬吸引位置まで移送する。試薬庫25,26の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられている。また、試薬庫25,26の下方には、保冷庫が設けられている。このため、試薬庫25,26内に試薬容器25a,26aが収納され、蓋が閉じられたときに、試薬容器25a,26a内に収容された試薬を冷却し、試薬容器25a,26a内に収容された試薬の蒸発や変性を抑制することができる。
【0026】
測光部27は、たとえば、所定の測光位置に搬送された反応容器20に光源から分析光(340〜800nm)を照射し、反応容器20内の液体を透過した光を分光し、PDA等の受光素子による各波長光の強度測定を行なうことによって、分析対象である検体と試薬との反応液に特有の波長の吸光度を測定する。また、測光部27は、各反応ラインに対応して内径側照射部271と、外径側照射部272とを有し、内径側照射部271は、内径側反応ライン231aに収容されている反応容器20に向けて光を出射し、外径側照射部272は、外径側反応ライン231bに収容さている反応容器20に向けて光を出射する。各光源から出射された光は、反応容器20を通過して光路作成部400に入射する。なお、測光部27は、測定した各吸光度を制御部31に出力する。
【0027】
洗浄部28は、洗浄プローブによって、測光部27による測定が終了した反応容器20内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで分析処理が終了した反応容器20を洗浄する。攪拌部29は、反応容器20に分注された検体と試薬との攪拌を行ない、反応を促進させる。
【0028】
つぎに、制御機構3について説明する。制御機構3は、制御部31、入力部32、分析部33、記憶部34、出力部35および送受信部36を備える。測定機構2および制御機構3が備えるこれらの各部は、制御部31に電気的に接続されている。
【0029】
制御部31は、CPU等を用いて構成され、自動分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部31は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行ない、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行なう。また、制御部31は、駆動制御部37を有する。駆動制御部37は、反応テーブル23にかかる回転駆動の制御を行なう。
【0030】
入力部32は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部33は、測光部27によって測定された吸光度に基づいて検体の成分分析等を行なう。
【0031】
記憶部34は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部34は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0032】
出力部35は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。また、出力部35は、図示しない通信ネットワークを介し、外部装置に検体の分析結果を含む諸情報を出力してもよい。送受信部36は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行なうインターフェースとしての機能を有する。
【0033】
以上のように構成された自動分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器20に対して、内径側検体分注機構22aおよび外径側検知分注機構22bが検体容器21a中の検体を分注し、内径側第1試薬分注機構24a、外径側第1試薬分注機構24b、内径側第2試薬分注機構24cおよび外径側第2試薬分注機構24dが試薬容器25a,26a中の試薬を分注した後、測光部27が検体と試薬とを反応させた反応液の分光強度測定を行ない、この測定結果を分析部33が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行なわれる。また、洗浄部28が測光部27による測定が終了した後に搬送される反応容器20を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行なわれる。
【0034】
ここで、本発明の実施の形態1にかかる反応テーブル23の反応容器20の配置の一例について、図2を参照して説明する。図2は、本発明の実施の形態1にかかる反応テーブル23の反応容器配置例を示す模式図である。図2に示す反応テーブル23は、図1の測光部27付近の構成を示している。反応テーブル23は、反応容器20を収容する回転部材を備え、回転部材は、反応容器20を収容する収容溝である内径側反応ライン231aと外径側反応ライン231bとを有し、各反応ラインには、各反応容器20の検出位置に対応した内径側測光窓231c,外径側測光窓231dが設けられている。また、反応テーブル23は、回転部材を支持し、回転部材に収容される反応容器20の温度管理を行なう筐体232を有し、筐体232は、回転部材とベアリング等を介して接続し、回転部材による回転動力が伝達しないようになっている。温度管理は、図示しない温度制御機構によって所定温度に調節される。筐体232は、内径側照射部271,外径側照射部272に対応して内径側照射孔232a,外径側照射孔232bが設けられ、光源L1,L2から出射された光がレンズ271a,272aによって集光され、内径側測光窓231c,外径側測光窓231dを通過して反応容器20に光を照射する。
【0035】
なお、筐体232に設けられ、内径側反応ライン231aと外径側反応ライン231bとの間であって、内径側照射部271と外径側照射部272とを結ぶ線上に、光路作成部400が設けられ、光路作成部400の下部に位置する受光部に入射させる光路を選択する。各反応容器20は、内径側反応ライン231aと外径側反応ライン232bとに収容される反応容器20の検出位置が重ならないように配置される。図2に示す配置例では、反応ラインが回転することで光路作成部400に配置される反応容器20は、内径側反応ライン231aの反応容器20と外径側反応ライン231bの反応容器20とが交互になるように各反応ラインに配列される。反応テーブル23の径に対して、内径側反応ライン231aに設けられる内径側測光窓231cと外径側反応ライン231bに設けられる外径側測光窓231dとが、反応テーブル23の同一半径上に設置されないよう設けられる。同一半径上に配置されなければ、各反応ラインの反応容器20は所定の間隔で配置されてもよく、間隔が不均等であってもよい。
【0036】
つぎに、測光処理にかかる光路作成部400の動作について、図3,4を参照して説明する。図3,4は、本発明の実施の形態1にかかる測光部27のX−X線断面を示す断面図である。まず、図3に示す断面図は、外径側反応ライン231bを測光する場合を示しており、筐体232に設けられ、外径側照射部272からの光を反応容器20の検出位置に照射させる外径側照射孔232bと、外径側測光窓231dと、筐体232に設けられ、反応容器20に収容された反応液Aを通過した光を光路作成部400に入射させる外径側入射孔232dとによって、外径側照射部272と光路作成部400とを結ぶ一つの空間を形成している。
【0037】
筐体232は、内径側反応ライン231aと外径側反応ライン231bとの間に光路作成部400を有する。光路作成部400は、モータ405に連結され、モータ405の回転駆動に連動して回転する筒状部材401を有し、筒状部材401は、上部に内径側入射孔232cまたは外径側入射孔232dから入射する光を鉛直下方に反射させる反射部材402と、反射部材402によって反射された光を集光して受光部273に入射させるレンズ403とを備える。また、内径側照射部271の光源L1から出射された光は、レンズ271aによって集光されて内径側照射孔232aを通過するが、内径側反応ライン231aの側壁によって光が遮断され、受光部273に到達しない。外径側反応ライン231bの反応容器20の測光が終了した後、内径側反応ライン23aの反応容器20の測光を行なう場合は、駆動制御部37は、回転部材231を回転させて反応容器20を回転移動させるとともに、モータ405を駆動して筒状部材401を、反射部材402が内径側反応ライン231aの反応容器20を通過した光を反射する位置まで回転させる。
【0038】
図4に示す断面図は、内径側反応ライン231aを測光する場合を示しており、筐体232に設けられた内径側照射部271からの光を反応容器20の検出位置に照射させる内径側照射孔232aと、内径側測光窓231cと、筐体232に設けられ、反応容器20に収容された反応液Aを通過した光を光路作成部400に入射させる入射孔232cとが、内径側照射部271と光路作成部400とを結ぶ一つの空間を形成している。図3と同様に、内径側照射部271の光源L1から出射された光をレンズ271aが集光し、内径側照射孔232aに入射する。その後、内径側測光窓231cを介して反応液Aを通過した光は、内径側入射孔232cを通過し、反射部材402によって受光部273に入射する。
【0039】
上述した実施の形態1は、各反応ラインに設けられた測光窓と、照射孔および入射孔が形成した空間を光が通過し、駆動制御部の制御によって、回転部材と連動して回転する筒状部材の反射部材が、受光部に入射させる光路を選択することで、2つの反応ラインを一つの受光部によって測光を行なうことが可能となる。また、受光部を1つにすることによって、装置にかかるコストを削減するとともに、装置の設置容積を縮小させることができる。
【0040】
なお、図2に示す反応容器20の配置は、一つの反応ライン中に複数の列で配列させてもよい。図5は、図2に示す反応テーブル23の反応容器配置例の変形例を示す模式図である。図5に示す外径側反応ライン231bのように、反応容器20を2列に配列し、反応ラインの周方向に対する反応容器間距離を縮めてもよい。反応容器間距離を短縮することによって、分析処理能力を向上させることが可能となる。ここで、各測光窓は、反応テーブル23の径方向に対して同一径上に配置されないように設置する。
【0041】
また、筒状部材401は、円筒状であっても角筒状であってもよい。特に、回転による空間の形成を抑制するため、円筒状であることが好ましい。
【0042】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について図6〜8を参照して説明する。図6,7は、本発明の実施の形態2にかかる測光部27を示す断面図である。実施の形態2にかかる光路作成部410は、反応容器20の保持位置に差異を設けた内径側反応ライン233aと外径側反応ライン233bとの間に、筒状部材411を設け、筒状部材411は、筐体234に連通し、外径側反応ライン233bの反応液Aの検出位置に対応した位置に外径側入射孔234dと、反射部材412とが配置される。また、筒状部材411は、内径側反応ライン233aの反応液Aの検出位置に対応した位置に内径側入射孔234cと、内径側の入射光を反射させ、支持部材234eを軸として回転可能な反射板415と、受光部に入射させる光を集光するレンズ413とが配置される。反射板415は、側面部に形成された図8に示す歯合部415cが、外径側反応ライン233bの底部に設けられ、歯合部415cと歯合可能なガイド部233eと歯合し、回転部材233に連動して回転する。また、反射板415は、光を透過させる透過孔415aを有する。なお、筐体234は、内径側測光窓233c、外径側測光窓233dに対応する内径側出射孔234a、外径側出射孔234bを有する。
【0043】
図6は、外径側反応ライン233bの反応容器20の測光を行なう場合を示す断面図である。外径側反応ライン231bの反応容器20の測光を行なう場合、反射板415の透過孔415aが、筒状部材411内部に位置し、反射部材412によって反射された光が透過するように配置される。透過孔415aによって、外径側照射部275から照射された光は、外径側反応ライン233bの反応容器20内に収容される反応液Aを通過し、反射部材412によって、受光部273側に反射された後、透過孔415aを透過させることで受光部273に受光させることができる。内径側照射部274の光源L3から出射され、レンズ274aによって集光された光は、内径側反応ライン233aの側壁によって反応容器20を通過せず、受光部273には到達しない。
【0044】
また、図7は、内径側反応ライン233aの反応容器20の測光を行なう場合を示す断面図である。図6に示す外径側反応ライン233bの反応容器20の測光後、内径側反応ライン233aの反応容器20の測光を行なう場合、回転部材233に連動して回転した反射板415が、筒状部材411内部に位置し、反応液Aを通過した光を受光部273側に反射させることによって内径側反応ライン233aの反応容器20の測光を行なうことができる。このとき、外径側照射部275の光源L4から出射され、レンズ275aによって集光された光は、外径側反応ライン233bの側壁によって遮断され、受光部273に到達しない。
【0045】
ここで、図6,7に示す反射板415について、図8を参照して説明する。図8は、図6,7に示す反射板415の一例を模式的に示す模式図である。図8に示す反射板415は、円筒形であって、筒状部材411を通過する光径に対応する面積で形成される透過孔415aおよび反射部415bと、ガイド部233eと歯合する歯合部415cとを有する。また、反射板415は、中央にベアリング415dを介して支持部材234eと連結する連結孔を有し、反射板415の回転が筐体234への伝達を防ぐ。なお、回転部材233に連動して反射板415が回転する際に、内径側反応ライン233a、外径側反応ライン233bに対応して、筒状部材411内に透過孔415a、反射部415bが配置されるように、反射板415の径または透過部415aおよび反射部415bの面積または間隔が調整される。
【0046】
また、実施の形態2にかかる測光部27の変形例について、図9,10を参照して説明する。図9,10は、図6,7に示す測光部27の変形例を示す断面図である。図9,10に示す光路作成部420は、筒状部材421内部の内径側反応ライン233aの反応容器20の検出位置に対応してハーフミラー425が設けられている。ハーフミラー425は、外径側反応ライン233bの反応容器20に収容された反応液Aを通過し、反射部材422によって受光部273側に反射された筒状部材421の軸方向の光を透過させ、内側反応ライン233aの反応容器20を通過した筒状部材421の軸に対して鉛直方向の光を受光部273側に反射する。ハーフミラー425によって、内径側、外径側から入射される光に対して、レンズ423で集光し、受光部273に入射させることが可能となり、順次回転して得られる各反応容器20の測光を行なうことができる。
【0047】
上述した実施の形態2にかかる光路作成部によって、光路作成部に駆動機構を設けずに2つの反応ラインの測光を一つの受光部によって行なうことが可能となる。
【0048】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について、図11〜13を参照して説明する。図11は、本発明の実施の形態3にかかる自動分析装置5を示す模式図である。上述した実施の形態1,2では、反応テーブル23の内径側反応ライン231a,233aと外径側反応ライン231b,233bとの間に受光部を有したが、この実施の形態3では、内径側反応ライン235aと外径側反応ライン235bとの間に光源を有する光路作成部430を備え、反応テーブルの内径側および外径側にそれぞれ内径側受光部276、外径側受光部277が設けられる。また、駆動制御部38は、反応テーブル23にかかる回転制御を行なう。その他の構成は、実施の形態1,2と同様であり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0049】
ここで、測光処理にかかる光路作成部430の動作について、図12,13を参照して説明する。図12,13は、本発明の実施の形態3にかかる測光部27のY−Y線断面を示す断面図である。まず、図12に示す断面図は、外径側反応ライン235bに収容される反応容器20を測光する場合を示しており、筐体236に設けられ、光路作成部430からの光を反応容器20の検出位置に照射させる内径側照射孔236dと、外径側測光窓235dと、筐体236に設けられ、反応容器20に収容された反応液Aを通過した光を外径側受光部277に入射させる外径側入射孔236bとによって、外径側受光部277と光路作成部430とを結ぶ一つの空間を形成している。
【0050】
筐体236は、内径側反応ライン235aと外径側反応ライン235bとの間に光路作成部430を有する。光路作成部430は、モータ433に連結され、モータ433の回転駆動に連動して回転する筒状部材431を有し、筒状部材431は、上部に照射部278の光源L5から出射され、レンズ278aによって集光された光を内径側反応ライン235aまたは外径側反応ライン235bに反射させる反射部材432と、反射部材432によって反射され、反応容器20の反応液Aを通過した光を集光して、外径側受光部277に入射させるレンズ236fとを備える。外径側反応ライン235bの反応容器20の測光が終了した後、内径側反応ライン235aの反応容器20の測光を行なう場合、駆動制御部38は、回転部材235を回転させて反応容器20を回転移動させるとともに、モータ433を駆動して筒状部材431を、反射部材432が内径側反応ライン235aの反応容器20に向けて光を反射する位置まで回転させる。
【0051】
図13に示す断面図は、内側径反応ライン235aを測光する場合を示しており、筐体236に設けられ、照射部278からの光を反応容器20の検出位置に照射させる内径側照射孔236cと、内径側測光窓235cと、筐体236に設けられ、反応容器20に収容された反応液Aを通過した光を内径側受光部276に入射させる内径側入射孔236aとが、内径側受光部276と光路作成部430とを結ぶ一つの空間を形成している。図12と同様に、照射部278の光源L5から出射された光をレンズ278aが集光し、光路作成部430に入射する。その後、反射部材432によって内径側反応ライン235a側に反射された光は、内径側測光窓235c、反応液A、内径側入射孔236aを通過してレンズ236eによって集光され、内径側受光部276に入射することで測光を行なう。
【0052】
上述した実施の形態3は、各反応ラインに設けられた測光窓と、照射孔および入射孔が形成した空間を光が通過し、駆動制御部の制御によって、回転部材と連動して回転する筒状部材の反射部材が、受光部に入射させる光路を切り替えることで、2つの反応ラインを一つの照射部によって測光を行なうことが可能となる。
【0053】
なお、上述した実施の形態3に示す照射部と受光部との置換は、実施の形態2における光路作成部410,420の構成においても適用できる。特に、図9,10に示す光路作成部420は、内径側反応ライン233aおよび外径側反応ライン233bに収容される反応容器20が反応テーブル23の同一半径上に配置されてもよく、内径側反応ライン232aおよび外径側反応ライン233bの各反応容器20が同時に検出位置に配置された場合でも、ハーフミラー425によって同時に測光を行なうことが可能である。
【0054】
また、検体および試薬の分注は、図1,11中の内径側検体分注機構22a、内径側第1試薬分注機構24aおよび内径側第2試薬分注機構24cのみの構成として、各分注機構が外径側の反応容器20に検体または試薬を分注するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる自動分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる反応テーブルの反応容器配置例を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる測光部のX−X線断面を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる測光部のX−X線断面を示す断面図である。
【図5】図2に示す反応テーブルの反応容器配置例の変形例を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる測光部を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2にかかる測光部を示す断面図である。
【図8】図6,7に示す反射板の一例を模式的に示す模式図である。
【図9】図6,7に示す測光部の変形例を示す断面図である。
【図10】図6,7に示す測光部の変形例を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態3にかかる自動分析装置を示す模式図である。
【図12】本発明の実施の形態3にかかる測光部のY−Y線断面を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態3にかかる測光部のY−Y線断面を示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1,5 自動分析装置
2 測定機構
3 制御機構
20 反応容器
21 検体移送部
22a 内径側検体分注機構
22b 外径側検体分注機構
23 反応テーブル
24a 内径側第1試薬分注機構
24b 外径側第1試薬分注機構
24c 内径側第2試薬分注機構
24d 外径側第2試薬分注機構
25 第1試薬保冷庫
26 第2試薬保冷庫
27 測光部
28 洗浄部
29 攪拌部
31 制御部
32 入力部
33 分析部
34 記憶部
35 出力部
36 送受信部
400,410,420,430 光路作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器を収容し、同一軸心上に径の異なる環状の反応ラインを2以上有する回転可能な反応テーブルを具備し、前記反応容器に収容された検体と試薬との反応液の光学的特性を測定して前記検体の分析処理を行う自動分析装置において、
前記反応ラインの外径側および内径側に光源が配置され、該光源から出射される光をそれぞれ内径側および外径側の前記反応容器に照射する照射部と、
前記照射部から出射された光を受光する受光部と、
前記反応ライン間に設けられ、各照射部から前記受光部への光路を形成する光路形成部と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
反応容器を収容し、同一軸心上に径の異なる環状の反応ラインを2以上有する回転可能な反応テーブルを具備し、前記反応容器に収容された検体と試薬との反応液の光学的特性を測定して前記検体の分析処理を行う自動分析装置において、
前記反応ライン間に光源を設け、該光源から光を出射する出射部と、
前記出射部から出射され、各反応テーブルの外径側および内径側に設けられた前記反応容器を通過した光を受信する受光部と、
前記反応ライン間に設けられ、前記照射部から各受光部への光路を形成する光路形成部と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
前記光路形成部は、
軸回りに回転可能であって、各照射部から前記反応容器を通過した光を前記受光部に入射させる光路を形成する反射部材が設けられた筒状部材と、
前記筒状部材に連結され、該筒状部材を軸回りに回転駆動させる駆動部と、
前記駆動部を、前記反応テーブルの回転に連動して回転するよう制御する駆動制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記反応容器の検出位置を、各反応ライン毎に高低差を設け、
前記光路形成部は、一方の反応容器を通過した光を反射させる反射部材と、前記反射部材と前記受光部との間に設けられ、前記反応テーブルに連動して回転する回転部材とを有し、
前記回転部材は、
前記反応ラインと歯合する歯合部と、
一方の反応容器を通過し、前記反射部材によって前記受光部への光路を形成された光が通過する通過孔と、
他方の反応容器を通過した光を前記受光部に向けて反射する反射部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記反応ラインの内径側および外径側の反応容器を周方向にずらして配置するとともに、検出位置に高低差を設け、
前記光路形成部は、
一方の反応容器を通過した光を前記受光部側に反射する反射部材と、
前記反射部材と前記受光部との光路上であって、他方の反応容器を通過した光を反射するとともに、前記反射部材によって反射された光を透過させる半透過型反射部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記光路形成部は、
軸回りに回転可能であって、前記照射部からの光を各受光部に入射させる光路を形成する反射部材が設けられた筒状部材と、
前記筒状部材に連結され、該筒状部材を軸回りに回転駆動させる駆動部と、
前記駆動部を、前記反応テーブルの回転に連動して回転するよう制御する駆動制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記反応容器の検出位置を、各反応ライン毎に高低差を設け、
前記光路形成部は、前記照射部から出射された光を一方の受光部に反射させる反射部材と、前記反射部材と前記照射部との間に設けられ、前記反応テーブルに連動して回転する回転部材とを有し、
前記回転部材は、
前記反応ラインと歯合する歯合部と、
前記照射部から出射された光を通過させる通過孔と、
前記照射部から出射された光を他方の受光部に向けて反射する反射部と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記反応容器の検出位置を、各反応ライン毎に高低差を設け、
前記光路形成部は、
前記照射部からの光を一方の受光部への光路に反射する反射部材と、
前記反射部材と前記照射部との光路上であって、他方の受光部への光路に反射するとともに、前記照射部からの光を透過させて、前記反射部材への光路を形成する半透過型反射部材と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記反応ラインの内径側および外径側の反応容器は、周方向にずらして配置されることを特徴とする請求項1〜4,6〜8のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記反応ラインは、所定間隔で前記反応容器を配置することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−217041(P2010−217041A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65092(P2009−65092)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】