説明

自動分析装置

【課題】洗浄液の消費量を削減することができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】各試料を測定する分析部24と、分析部24で測定に使用された反応容器3を識別する容器IDを含む検査情報を保存する検査情報記憶部32と、測定外洗浄のときに洗浄液を用いて洗浄する洗浄対象の反応容器3を決定する検索部40と、検査情報に含まれる検索情報を設定するための表示部72に表示される各第1乃至第3の検索情報設定画面73,74,75とを備え、検索部40は、各第1乃至第3の検索情報設定画面73,74,75で設定された検索情報を有する検査情報を検査情報記憶部32に保存された検査情報の中から検索し、検索した検査情報に含まれる容器IDで識別される反応容器3を、洗浄液を用いて洗浄する洗浄対象の反応容器3として決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に含まれている成分を分析する自動分析装置に係り、特に、洗浄機能を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された被検試料とこの被検試料の検査項目に該当する試薬の反応によって生ずる色調や濁りの変化を、分光光度計や比濁計等の光分析器を用いて光学的に測定することにより、被検試料に含まれる各検査項目の成分濃度や酵素の活性等の分析データを生成する。
【0003】
この自動分析装置では、多数の検査項目の中から、検査対象となる検査項目を設定した被検試料の分析が行われる。そして、被検試料は、サンプル分注プローブを用いて試料容器から反応容器に分注される。また、試薬は、試薬分注プローブを用いて試薬容器から反応容器に分注される。更に、反応容器に分注された被検試料及び試薬の混合液は、撹拌子を用いて撹拌された後、光分析器を用いて測定される。
【0004】
そして、サンプル分注プローブ、試薬分注プローブ、及び撹拌子の各分析ユニットは、洗浄水を用いて被検試料の分注終了毎、試薬の分注終了毎、及び混合液の撹拌終了毎に洗浄される。また、反応容器は、洗浄ユニットにより洗浄水及びこの洗浄水よりも強力な洗浄力を有する洗浄液を用いて混合液の測定終了毎に洗浄される。
【0005】
しかしながら、多数の被検試料をしかも多項目に亘って測定する自動分析装置では、測定中における混合液の測定終了毎の洗浄だけでは除去できない被検試料或いは試薬に含まれる物質、又は被検試料と試薬の反応により生成された物質が反応容器内に蓄積して、分析データが悪化する問題がある。この問題を避けるために、測定終了後に反応容器に洗浄液を供給して測定終了毎の洗浄よりも長時間に亘って洗浄を行うことができる自動分析装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−289864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数の反応容器を有する自動分析装置で測定終了後に反応容器を洗浄する場合、洗浄液を用いてすべての反応容器の洗浄を行うため、大量の洗浄液を必要とする問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、洗浄液の消費量を削減することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、被検試料及びこの被検試料の検査項目に該当する試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する分析手段を備えた自動分析装置において、前記分析手段により測定に使用された反応容器を識別する識別情報を含む検査情報を保存する検査情報記憶手段と、前記検査情報記憶手段に保存された検査情報に含まれる検索情報を設定する検索情報設定手段と、前記分析手段による測定以外のときに、前記検索情報設定手段により設定された検索情報を有する検査情報に含まれる識別情報で識別される反応容器を、洗浄液を用いて洗浄する第1の洗浄手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、測定以外の洗浄のときに、洗浄液を用いて洗浄する反応容器を予め設定された検索情報に基づいて決定することにより、洗浄液の消費量を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図8を参照して説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料等の各試料及び各検査項目に該当する試薬の混合液の測定により標準データや被検データを生成する分析部24と、分析部24の測定に関る各分析ユニットの制御を行う分析制御部25と、分析部24で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データを生成するデータ処理部30とを備えている。
【0012】
また、分析部24の測定以外のときに洗浄液を用いて洗浄する洗浄対象のユニットを決定する検索部40と、データ処理部30で生成された検量データや分析データを出力する出力部70と、各試料を識別する識別情報やその試料の検査項目を含む検査情報等の入力を行う操作部80と、上述した各ユニットを統括して制御するシステム制御部90とを備えている。
【0013】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は純水装置110に接続され、標準試料や被検試料等の各試料を収容する試料容器17と、この試料容器17を収納するディスクサンプラ5と、ディスクサンプラ5に収納する試料容器17に貼付されたその試料容器17内の各試料を識別する識別情報を読み取るリーダ17aと、各試料に含まれる各検査項目の成分に選択的に反応する第1試薬が収容された試薬容器6と、この試薬容器6を保持する試薬ラック1aを有する試薬庫1と、2試薬系により構成される検査項目の第1試薬と対をなす第2試薬が収容された試薬容器7と、この試薬容器7を保持する試薬ラック2aを有する試薬庫2と、円周上に配置された複数の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
【0014】
また、リーダ17aに読み取られた識別情報が予め設定された識別情報に一致する又は含まれる試料容器17内の各試料をサンプル分注プローブ16内に吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注ポンプ16bと、各試料の分注終了毎にサンプル分注プローブ16を純水装置110で精製された純水等の洗浄水を用いて洗浄する洗浄槽16aと、各試料の分注を行うためにサンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10とを備えている。
【0015】
また、試薬庫1に収納された試薬容器6内の第1試薬を第1試薬分注プローブ14内に吸引して各試料が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注ポンプ14bと、第1試薬の分注終了毎に第1試薬分注プローブ14を純水装置110の洗浄水を用いて洗浄する洗浄槽14aと、第1試薬の分注を行うために第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8とを備えている。
【0016】
また、反応容器3内に分注された各試料及び第1試薬からなる第1混合液を撹拌するための第1撹拌子18と、第1混合液の撹拌終了毎に第1撹拌子18を純水装置110の洗浄水を用いて洗浄する洗浄槽18aと、第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム20とを備えている。
【0017】
また、試薬庫2に収納された試薬容器7内の第2試薬を第2試薬分注プローブ15内に吸引して各試料及び第1試薬が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注ポンプ15bと、第2試薬の分注終了毎に第2試薬分注プローブ15を純水装置110の洗浄水を用いて洗浄する洗浄槽15aと、第2試薬の分注を行うために第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9とを備えている。
【0018】
また、反応容器3内に分注された各試料、第1試薬、及び第2試薬からなる第2混合液を撹拌するための第2撹拌子19と、第2混合液の撹拌終了毎に第2撹拌子19を純水装置110の洗浄水を用いて洗浄する洗浄槽19aと、第2撹拌子19を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21とを備えている。
【0019】
また、反応容器3内の第1混合液や第2混合液を光学的に測定する測光ユニット13と、反応容器3内の測定を終えた第1混合液や第2混合液を吸引した後に、洗浄水よりも強力な洗浄力を有する分析部24内に配置されたタンクの洗浄液及び純水装置110の洗浄水を用いて反応容器3内を洗浄する洗浄ユニット12とを備えている。なお、洗浄液として、例えば酸性洗浄液、アルカリ性洗浄液、界面活性剤を含む洗浄液等を用いる。
【0020】
そして、測光ユニット13は、回転移動する反応容器3内の標準試料を含む第1混合液や第2混合液に光を照射し、各混合液内を透過した各検査項目の波長光を検出して標準データを生成する。また、反応容器3内の被検試料を含む第1混合液や第2混合液に光を照射し、その混合液内を透過した各検査項目の波長光を検出して被検データを生成する。そして生成した標準データや被検データをデータ処理部30に出力する。また、測定後の反応容器3は、洗浄された後、再び測定に使用される。
【0021】
分析制御部25は、分析部24の各分析ユニットを駆動する機構部26及びこの機構部26を制御して分析部24の各分析ユニットを作動させる制御部27を備えている。そして、機構部26は、分析部24のディスクサンプラ5、試薬庫1の試薬ラック1a、及び試薬庫2の試薬ラック2aを夫々回動する機構、反応ディスク4を回転する機構、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム20、及び第2撹拌アーム21を夫々回動及び上下移動する機構を備えている。また、サンプル分注ポンプ16b、第1試薬分注ポンプ14b、及び第2試薬分注ポンプ15bを夫々吸引及び吐出駆動する機構、洗浄ユニット12を洗浄駆動する機構等を備えている。
【0022】
制御部27は、機構部26の各機構を制御する制御回路を備え、機構部26の各機構を制御して分析部24に各試料の測定動作を実行させる。また、各試料を試料容器17から反応容器3に分注したときの時刻(分注時刻)、及び各試料の測定に使用する反応容器3を識別する識別情報である例えば容器IDをシステム制御部90に出力する。更に、測定開始前又は測定終了後に各分析ユニットを洗浄する測定外洗浄における動作を分析部24に実行させる。
【0023】
図1のデータ処理部30は、分析部24の測光ユニット13から出力された標準データや被検データから各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部31と、演算部31で生成された検量データや分析データを保存する検査情報記憶部32とを備えている。
【0024】
演算部31は、測光ユニット13から出力された標準データ及び予め設定された標準試料の標準値から、各検査項目の成分の濃度や活性値と標準データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを検査情報記憶部32及び出力部70に出力する。
【0025】
また、測光ユニット13から出力された被検データに対応する検査項目の検量データを検査情報記憶部32から読み出す。次いで読み出した検量データを用いてその被検データから濃度や活性値として表される分析データを生成し、生成した分析データに検査項目の情報を付加する。また、生成した分析データにこの分析データが予め設定された健康として診断される範囲である基準範囲から外れる場合には異常データフラグを付加する。更に、生成した分析データにこの分析データが予め設定された自動分析装置100で分析可能な範囲(測定範囲)から外れる場合には測定異常フラグを付加する。更にまた、生成した分析データにシステム制御部90から供給される分注時刻及び容器IDを付加する。
【0026】
そして、異常データフラグ、測定異常フラグ、分析時刻、容器ID等の検査情報を付加した分析データを検査情報記憶部32及び出力部70に出力する。
【0027】
検査情報記憶部32は、ハードディスクなどを備え、演算部31から出力された検量データを保存する。また、演算部31から出力された検査情報が付加された分析データを保存する。
【0028】
検索部40は、データ処理部30の検査情報記憶部32に保存された検査情報の中から予め設定された検索情報を有する検査情報を検索する。そして、検索した検査情報に含まれる容器IDで識別される反応容器3を、測定外洗浄のときに、例えば酸性洗浄液、アルカリ性洗浄液、界面活性剤を含む洗浄液等の洗浄液を用いて洗浄する洗浄対象の反応容器3として決定する。
【0029】
出力部70は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データや検査情報が付加された分析データを印刷出力する印刷部71及び表示出力する表示部72を備えている。そして、印刷部71は、プリンタなどを備え、演算部31から出力された検量データや検査情報が付加された分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0030】
表示部72は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31から出力された検量データや検査情報が付加された分析データを表示する。また、自動分析装置100で検査可能な検査項目の基準範囲及び測定範囲を含む分析条件を設定するための分析条件設定画面、検索部40で検索する検索情報(第1乃至第3の検索情報)を設定するための第1乃至第3の検索情報設定画面、測定対象の各試料の識別情報を設定するための識別情報設定画面、被検試料の検査項目を設定するための検査項目設定画面、測定外洗浄の洗浄条件を設定するための洗浄条件設定画面等を表示する。
【0031】
操作部80は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析条件の設定や、各検索情報、各試料の識別情報、検査項目の情報等の検査情報の設定を行うための入力操作を行う。
【0032】
システム制御部90は、CPU及び記憶回路91を備え、操作部80から入力されたコマンド信号、分析条件、検索情報、識別情報、検査項目の情報等の入力情報を記憶回路91に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30、検索部40、及び出力部70を統括して制御する。
【0033】
次に、図1乃至図7を参照して、分析部24で実行される測定外洗浄について説明する。図3は、検査情報記憶部32に保存された検査情報の構成の一例を示す図である。図4は、表示部72に表示された第1の検索情報設定画面の一例を示す図である。図5は、表示部72に表示された第2の検索情報設定画面の一例を示す図である。図6は、表示部72に表示された第3の検索情報設定画面の一例を示す図である。図7は、表示部72に表示された洗浄条件設定画面を示す図である。
【0034】
図3において、検査情報記憶部32には時系列的に分析データ及び検査情報A1乃至AKが保存されている。そして、分析データ及び検査情報A1は、分注時刻a10a、試料の識別情報a10b、この識別情報a10bの試料が分注された反応容器3の容器IDa10c、検査項目の情報a10d、分析データa10e、異常データフラグの有無の情報a10f、及び測定異常フラグの有無の情報a10g等により構成される。
【0035】
分析データ及び検査情報A2は、分注時刻a20a、分析データ及び検査情報A1と同じ識別情報a10b、容器IDa20c、検査項目の情報a20d、分析データa20e、異常データフラグの有無の情報a20f、及び測定異常フラグの有無の情報a20g等により構成される。
【0036】
各分析データ及び検査情報A3乃至A5は、各分注時刻a30a乃至a50a、検査情報A1と同じ識別情報a10b、各容器IDa30c乃至a50c、各検査項目の情報a30d乃至a50d、各分析データa30e乃至a50e、各異常データフラグの有無の情報a30f乃至a50f、及び各測定異常フラグの有無の情報a30g乃至a50g等により構成される。
【0037】
分析データ及び検査情報AKは、分注時刻aK0a、検査情報A1とは異なる識別情報aK0b、容器IDaK0c、検査項目の情報aK0d、分析データaK0e、異常データフラグの有無の情報aK0f、及び測定異常フラグの有無の情報aK0g等により構成される。
【0038】
表示部72に表示された第1の検索情報設定画面の一例を示した図である。第1の検索情報設定画面73は、表示部72の分析条件設定画面で設定された検査可能な項目の中から最大でn種類の検査項目を第1の検索情報として設定するための「項目」の欄により構成される。そして、操作部80からの入力操作により、「項目」の欄に設定された第1の検索情報は、システム制御部90の記憶回路91に保存される。
【0039】
「項目」の欄には、分析部24の洗浄ユニット12による測定中の洗浄だけでは、第1試薬又は第2試薬が反応容器3内に残存して、他の検査項目の分析に影響を与える可能性がある試薬に該当する検査項目を第1の検索情報として設定する。そして、他の検査項目の分析に影響を与える可能性がある検査項目を選択して入力する操作が操作部80から行われると、ダイアログボックス731内に影響を与える可能性がある検査項目である例えば「項目A」が表示される。また、検査項目が入力されない例えば各ダイアログボックス732乃至73n内は空白になる。
【0040】
ここで、第1の検索情報として「項目A」が設定されていると、検索部40では、データ処理部30の検査情報記憶部32に保存された検査情報の中から検査項目の情報である「項目A」を有する検査情報を検索する。次いで、検索した検査情報に含まれる容器IDで識別される反応容器3を、洗浄対象の反応容器として決定する。
【0041】
図5は、表示部72に表示された第2の検索情報設定画面の一例を示した図である。この第2の検索情報設定画面74は、第2の検索情報を設定するための「測定範囲」の欄、「基準範囲」の欄、及び「データ」の欄により構成される。そして、操作部80からの入力操作により、各欄に設定された第2の検索情報は、システム制御部90の記憶回路91に保存される。
【0042】
「測定範囲」の欄に、測定異常フラグを第2の検索情報として設定する入力操作が操作部80から行われると、ダイアログボックス741内に「レ」が表示される。また、測定異常フラグを第2の検索情報として設定しない場合、ダイアログボックス741内は空白になる。
【0043】
ここで、第2の検索情報として測定異常フラグが設定されていると、検索部40では、検査情報記憶部32に保存された検査情報の中から測定異常フラグを有する検査情報を検索する。次いで、検索した検査情報に含まれる容器IDで識別される反応容器3を、洗浄対象の反応容器として決定する。
【0044】
「基準範囲」の欄に、異常データフラグを第2の検索情報として設定する入力操作が操作部80から行われると、ダイアログボックス742内に「レ」が表示される。また、異常データフラグを第2の検索情報として設定しない場合、ダイアログボックス742内は空白になる。なお、基準範囲は測定範囲に含まれるため、「測定範囲」の欄に測定異常フラグが第2の検索情報として設定されていると、異常データフラグも第2の検索情報として設定され、ダイアログボックス742内に「レ」が表示される。
【0045】
ここで、第2の検索情報として測定異常フラグが設定されていると、検索部40では、検査情報記憶部32に保存された検査情報の中から測定異常フラグを有する検査情報を検索する。次いで、検索した検査情報に含まれる容器IDで識別される反応容器3を、洗浄対象の反応容器として決定する。
【0046】
「データ」の欄は、「1」乃至「p」の欄と、各「1」乃至「p」の欄に対応する「識別情報」、「項目」、及び「時刻」の欄とにより構成される。そして、「1」の欄に対応する「識別情報」の欄に、反応容器3を含む要因により悪化した可能性がある例えば分析データに対応する被検試料の識別情報を設定するための入力操作が行われると、ダイアログボックス741a内に入力された識別情報が表示される。また、「項目」の欄に、反応容器3を含む要因により悪化した可能性がある分析データの検査項目を設定するために選択入力する操作が行われると、ダイアログボックス741b内に入力された検査項目が表示される。更に、「時刻」の欄に、「項目」の欄に設定した検査項目を分析するために「識別情報」の欄に設定した識別情報の被検試料を分注したときの分注時刻を設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス741c内に入力された分注時刻が表示される。
【0047】
また、各「2」乃至「p」の欄に対応する「識別情報」、「項目」、及び「時刻」の欄に、「1」の欄の場合と同様にして、反応容器3を含む要因により悪化した可能性がある夫々異なる分析データに対応する識別情報、検査項目、及び分注時刻を設定するための入力操作が行われると、各ダイアログボックス742a乃至74pa内に入力された識別情報が表示される。また、各ダイアログボックス742b乃至74pb内に入力された検査項目が表示される。更に、各ダイアログボックス742c乃至74pc内に入力された分注時刻が表示される。
【0048】
ここで、第2の検索情報として各「1」乃至「p」の欄に対応する「識別情報」、「項目」、及び「時刻」の欄に識別情報、検査項目の情報、及び分注時刻が設定されていると、検索部40では、設定された識別情報、検査項目の情報、及び分注時刻を有する検査情報を検査情報記憶部32に保存された検査情報の中から検索する。次いで、検索した検査情報に含まれる容器IDで識別される反応容器3を、洗浄対象の反応容器として決定する。
【0049】
図6は、表示部72に表示された第3の検索情報設定画面の一例を示した図である。この第3の検索情報設定画面75は、表示部72の識別情報設定画面で設定された識別情報の試料を第3の検索情報として設定するための「試料の種類」の欄により構成される。そして、操作部80からの入力操作により、「試料の種類」の欄に設定された第3の検索情報は、システム制御部90の記憶回路91に保存される。
【0050】
「試料の種類」の欄には、被検試料が定期的に透析を行っている透析前の被検体から採取された血液を処理して得られた血清である「透析前の血清」、被検試料が被検体から採取された尿である「尿」、被検試料が被検体の血液から抽出された赤血球成分である「赤血球成分」等の様々な種類の試料が表示されている。この欄に表示された試料の中から、分析部24の洗浄ユニット12による測定中の洗浄だけでは、反応容器3内に残存して、各検査項目の分析に影響を与える可能性がある試料を第3の検索情報として設定する。
【0051】
そして、「試料の種類」の欄に表示された試料の中から設定するための入力操作が操作部80から行われると、その試料に対応するダイアログボックス内に「レ」が表示され、設定されない試料のダイアログボックス内は空白になる。例えば「透析前の血清」を設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス751内に「レ」が表示され、設定されないとダイアログボックス751内は空白になる。また、「尿」を設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス752内に「レ」が表示され、設定されないとダイアログボックス752内は空白になる。更に、「赤血球成分」を設定する入力操作が行われると、ダイアログボックス753内に「レ」が表示され、設定されないとダイアログボックス753内は空白になる。
【0052】
ここで、「試料の種類」の欄に表示された各試料の識別が可能なように、表示部72の識別情報設定画面に識別情報を設定することができる。そして、第3の検索情報として試料が設定されていると、検索部40では、設定された試料の識別情報を有する検査情報を検査情報記憶部32に保存された検査情報の中から検索する。次いで、検索した検査情報に含まれる容器IDで識別される反応容器3を、洗浄対象の反応容器として決定する。
【0053】
図7は、表示部72に表示された洗浄条件設定画面の一例を示した図である。この洗浄条件設定画面76は、洗浄液を用いて反応容器3を洗浄するか否かを設定するための「反応容器」の欄と、洗浄液を用いてサンプル分注プローブ16を洗浄するか否かを設定するための「サンプル分注プローブ」の欄と、洗浄液を用いて第1及び第2試薬分注プローブ14,15を洗浄するか否かを設定するための「試薬分注プローブ」の欄と、洗浄液を用いて第1及び第2撹拌子18,19を洗浄するか否かを設定するための「撹拌子」の欄とにより構成される。そして、操作部80からの入力操作により、各欄に設定された洗浄条件の情報は、システム制御部90の記憶回路91に保存される。
【0054】
「反応容器」の欄には、「第1の検索」、「第2の検索」、及び「第3の検索」の欄が表示される。そして、「第1の検索」の欄に、洗浄液を用いて洗浄する洗浄対象の反応容器3を図4の第1の検索情報設定画面73で設定された第1の検索情報に基づいて決定することを設定するための入力操作が行われると、ダイアログボックス761内に「レ」が表示され、第1の検索情報に基づいて決定することを設定しない場合、ダイアログボックス761内は空白になる。
【0055】
また、「第2の検索」の欄に、洗浄液を用いて洗浄する洗浄対象の反応容器3を図5の第2の検索情報設定画面74で設定された第2の検索情報に基づいて決定することを設定するための入力操作が行われると、ダイアログボックス762内に「レ」が表示され、第2の検索情報に基づいて決定することを設定しない場合、ダイアログボックス762内は空白になる。
【0056】
更に、「第3の検索」の欄に、洗浄液を用いて洗浄する洗浄対象の反応容器3を図6の第3の検索情報設定画面75で設定された第3の検索情報に基づいて決定することを設定するための入力操作が行われると、ダイアログボックス763内に「レ」が表示され、第3の検索情報に基づいて決定することを設定しない場合、ダイアログボックス763内は空白になる。
【0057】
そして、「第1の検索」、「第2の検索」、及び「第3の検索」の欄に設定された全ての検索情報に基づいて、洗浄対象の反応容器3を決定する。また、全ての欄に検索情報が設定されていない場合、洗浄ユニット12により、測定中と同様の動作で反応容器3が洗浄される。
【0058】
「サンプル分注プローブ」の欄に、洗浄液を用いてサンプル分注プローブ16を洗浄する設定を行うための入力操作が行われると、ダイアログボックス764内に「レ」が表示される。また、洗浄槽16aで洗浄水を用いてサンプル分注プローブ16を洗浄する設定を行うための入力操作が行われると、ダイアログボックス764内は空白になる。
【0059】
「試薬分注プローブ」の欄に、洗浄液を用いて第1及び第2試薬分注プローブ14,15を洗浄する設定を行うための入力操作が行われると、ダイアログボックス765内に「レ」が表示される。また、洗浄槽14a,15aで洗浄水を用いて第1及び第2試薬分注プローブ14,15を洗浄する設定を行うための入力操作が行われると、ダイアログボックス765内は空白になる。
【0060】
「撹拌子」の欄に、洗浄液を用いて第1及び第2撹拌子18,19を洗浄する設定を行うための入力操作が行われると、ダイアログボックス766内に「レ」が表示される。また、洗浄槽18a,19aで洗浄水を用いて第1及び第2撹拌子18,19を洗浄する設定を行うための入力操作が行われると、ダイアログボックス766内は空白になる。
【0061】
なお、反応容器3の洗浄液を用いた測定外洗浄の間隔は、自動分析装置100を使用する施設で処理する被検試料や検査項目の数に応じて定められる。また、反応容器3以外の各分析ユニットの洗浄液を用いた測定外洗浄は、1日の各試料の測定終了後に行われる。更に、1日の各試料の測定前の測定外洗浄では、反応容器3を洗浄ユニット12で洗浄し、反応容器3以外の各分析ユニットを各洗浄槽で洗浄水を用いて洗浄する。
【0062】
このように、各第1乃至第3の検索情報を設定することにより、設定された検索情報に基づいて洗浄液を用いて洗浄する反応容器3を決定することができる。また、反応容器3、サンプル分注プローブ16、第1及び第2試薬分注プローブ14,15、並びに第1及び第2撹拌子18,19を、洗浄液を用いて洗浄する洗浄条件に設定することにより、測定中の洗浄や洗浄水を用いた洗浄よりも強力に洗浄することができる。
【0063】
以下、図1乃至図8を参照して、自動分析装置100における測定外洗浄の動作の一例を説明する。
図8は、自動分析装置100における測定外洗浄の動作を示したフローチャートである。システム制御部90の記憶回路91には、図4の第1の検索情報設定画面73で設定された第1の検索情報、図5の第2の検索情報設定画面74で設定された第2の検索情報、図6の第3の検索情報設定画面75で設定された第3の検索情報、及び図7の洗浄条件設定画面76で設定された洗浄液を用いて洗浄する洗浄条件の情報が保存されている。また、データ処理部30の検査情報記憶部32には、多数の分析データ及び検査情報が保存されている。
【0064】
そして、各試料の測定終了後に、洗浄液を収容した試料容器17をディスクサンプラ5に収納し、また洗浄液を収容した試薬容器6,7を試薬庫1,2に収納した後、操作部80から測定外洗浄操作が行われると、自動分析装置100は、測定外洗浄の動作を開始する(ステップS1)。
【0065】
システム制御部90は、分析制御部25、データ処理部30、及び検索部40に洗浄液を用いた測定外洗浄を指示する。分析制御部25の制御部27は、機構部26を制御して分析部24の各分析ユニットを作動させる。
【0066】
サンプル分注ポンプ16bは、ディスクサンプラ5に収納された試料容器17内の洗浄液をサンプル分注プローブ16内に吸引した後、吸引した洗浄液を洗浄槽16a内に吐出して、サンプル分注プローブ16の洗浄を行う(ステップS2)。
【0067】
第1及び第2試薬分注ポンプ14b,15bは、試薬庫1,2に収納された試薬容器6,7内の洗浄液を第1及び第2試薬分注プローブ14,15内に吸引した後、吸引した洗浄液を洗浄槽14a,15a内に吐出して、第1及び第2試薬分注プローブ14,15の洗浄を行う(ステップS3)。
【0068】
第1試薬分注ポンプ14bは、試薬容器6内の洗浄液を第1試薬分注プローブ14内に吸引した後、吸引した洗浄液を2つの反応容器3内に吐出する分注を行う。反応ディスク4は、洗浄液が分注された反応容器3を第1及び第2撹拌子18,19の下方に移動する。第1及び第2撹拌アーム20,21は、洗浄液を収容した反応容器3内に第1及び第2撹拌子18,19を移動して、第1及び第2撹拌子18,19の洗浄を行う(ステップS4)。
【0069】
検索部40は、検査情報記憶部32に保存された検査情報の中から前回の測定外洗浄操作が行われてから今回の測定外洗浄操作が行われるまでの間の時刻の情報を有する検査情報を検索する。次いで、検索した検査情報の中からシステム制御部90から供給される各第1乃至第3の検索情報を有する検査情報を検索する。そして、検索した検査情報に含まれる容器IDで識別される反応容器3を洗浄対象の反応容器3として決定し、その容器IDを制御部27に出力する(ステップS5)。
【0070】
このように、設定された各第1乃至第3の検索情報に基づいて洗浄対象の反応容器3を決定することにより、全ての反応容器3を洗浄するときの量以下の洗浄液を用いて洗浄することができる。
【0071】
制御部27は、検索部40から出力された容器IDの反応容器3の洗浄を行うために機構部26を制御して各分析ユニットを作動させる。
【0072】
第1及び第2試薬分注ポンプ14b,15bは、試薬容器6,7内の洗浄液を第1及び第2試薬分注プローブ14,15内に吸引した後、吸引した洗浄液を洗浄対象の反応容器3内に吐出して、洗浄対象の反応容器3の洗浄を行う。そして、洗浄ユニット12が測定中に各反応容器3の洗浄を行う時間よりも長い時間経過した後に、洗浄ユニット12は、洗浄液を収容した反応容器3の洗浄を行う。
【0073】
このように、洗浄ユニット12が測定中に反応容器3の洗浄を行う時間よりも長い時間、洗浄対象の反応容器3内に洗浄液を入れておくことにより、洗浄ユニット12が測定中に行う洗浄よりも強力に洗浄することができる。また、洗浄対象の反応容器3のみを洗浄することにより、洗浄に要する時間を短縮することができる。
【0074】
そして、洗浄ユニット12が反応容器の洗浄を終えたとき、システム制御部90が測定外洗浄の動作の停止を、分析制御部25及びデータ処理部30に指示することにより自動分析装置100は測定外洗浄の動作を終了する(ステップS7)。
【0075】
なお、洗浄対象の反応容器3に洗浄液を入れた状態で測定外洗浄を終了させるように実施してもよい。この場合、測定外洗浄動作の後に行われる例えば翌日の各試料の測定前の洗浄液を用いない洗浄条件に設定して行う測定外洗浄のときに、洗浄対象の反応容器3から洗浄液が排出されることになる。このように、反応容器3に洗浄液を入れた状態で測定外洗浄を終了させることにより、より強力に反応容器3を洗浄することができる。また、洗浄に要する時間をより短縮することができる。
【0076】
以上述べた本発明の実施例によれば、第1の検索情報として検査項目の情報を設定することができる。また、測定異常フラグ、又は異常データフラグ、又は試料の識別情報、検査項目の情報、及び分注時刻を第2の検索情報として設定することができる。更に、試料の識別情報を第3の検索情報として設定することができる。そして、設定された各第1乃至第3の検索情報に基づいて、測定外洗浄のときに洗浄液を用いて洗浄する洗浄対象の反応容器3を決定することができる。
【0077】
そして、測定外洗浄のときに、洗浄ユニット12が測定中に反応容器3の洗浄を行う時間よりも長い時間、洗浄対象の反応容器3内に洗浄液を入れておくことにより、洗浄対象の反応容器3を洗浄ユニット12が測定中に行う洗浄よりも強力に洗浄することができる。
【0078】
これにより、全ての反応容器3を洗浄するときの量以下の洗浄液を用いて洗浄することが可能となり、洗浄液の消費量を削減することができる。また、洗浄対象の反応容器3を洗浄することにより、洗浄に要する時間を短縮することが可能となり、効率よく洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る検査情報記憶部に保存された検査情報の構成の一例を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る表示部に表示された第1の検索情報設定画面の一例を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る表示部に表示された第2の検索情報設定画面の一例を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る表示部に表示された第3の検索情報設定画面の一例を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る表示部に表示された洗浄条件設定画面の一例を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る自動分析装置における測定外洗浄の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0080】
24 分析部
25 分析制御部
26 機構部
27 制御部
30 データ処理部
31 演算部
32 検査情報記憶部
40 検索部
70 出力部
71 印刷部
72 表示部
80 操作部
90 システム制御部
91 記憶回路
100 自動分析装置
110 純水装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検試料及びこの被検試料の検査項目に該当する試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する分析手段を備えた自動分析装置において、
前記分析手段により測定に使用された反応容器を識別する識別情報を含む検査情報を保存する検査情報記憶手段と、
前記検査情報記憶手段に保存された検査情報に含まれる検索情報を設定する検索情報設定手段と、
前記分析手段による測定以外のときに、前記検索情報設定手段により設定された検索情報を有する検査情報に含まれる識別情報で識別される反応容器を、洗浄液を用いて洗浄する第1の洗浄手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記検索情報設定手段により設定された検索情報は、前記検査項目の情報であることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記検索情報設定手段により設定された検索情報は、前記分析手段の測定により生成された分析データが予め設定された範囲から外れている場合に付加されるフラグであることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記検索情報設定手段により設定された検索情報は、前記被検試料を識別する識別情報であることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記分析手段による測定のときに、前記反応容器を洗浄する第2の洗浄手段を有し、
前記第1の洗浄手段は、前記検索情報設定手段により設定された検索情報を有する検査情報に含まれる識別情報で識別される反応容器内に前記洗浄液を供給した後、前記第2の洗浄手段が洗浄する時間よりも長い時間経過した後にその反応容器内の洗浄液を排出して洗浄動作を終了するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記第1の洗浄手段は、前記検索情報設定手段により設定された検索情報を有する検査情報に含まれる識別情報で識別される反応容器内に、前記洗浄液を供給して洗浄動作を終了するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−2344(P2010−2344A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162338(P2008−162338)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】