説明

自動分析装置

【課題】試薬容器を移動する搬送機構の小型化が可能な自動分析装置を提供する。
【解決手段】第1試薬を収容した試薬容器6を収納する第1試薬庫1内に配置され、中心C1の周りを回動可能に試薬容器6を保持する第1試薬ラック22及び第1試薬ラック22の外周に配置された第2試薬ラック23と、試薬容器6を移動する第1搬送機構45とを備え、第1搬送機構45は、第1試薬庫1上方の中心C1上を通る第1の直線484の軌道を経由して、第1及び第2試薬ラック22,23に保持された第1及び第2収納位置F11,F12の試薬容器6を第1退避位置44へ移動し、第1待機位置41の試薬容器6を第1及び第2試薬ラック22,23により保持可能な第1及び第2収納位置F11,F12へ移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体から採取された被検試料の成分を分析する自動分析装置に係り、特に、ヒトの血液や尿などの体液中に含まれる成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目などを対象とし、被検体から採取された被検試料と各検査項目の試薬との混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を、分光光度計や比濁計等の測光部で光学的に測定することにより、被検試料中の様々な検査項目成分の濃度や酵素の活性等で表される分析データを生成する。
【0003】
この自動分析装置では、各検査項目の試薬を収容した試薬容器を試薬庫に収納してから、検査に応じて選択された検査項目の分析を行う。そして、サンプル分注プローブにより検査対象の被検試料を収容した試料容器から被検試料を吸引して反応容器に吐出する。また、試薬分注プローブにより試薬庫内の試薬容器から試薬を吸引して反応容器に吐出する。そして、反応容器に吐出された被検試料及び試薬の混合液を測光部で測定する。
【0004】
最近では、自動分析装置で分析可能な検査項目の数の増加に伴い、多数の試薬容器の収納が可能なように、円周上に試薬容器を保持する第1試薬ラック及びこの第1試薬ラックの外周に試薬容器を保持する第2試薬ラックが配置された試薬庫が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この試薬庫には多数の試薬容器が収納されるため、測定終了後に残量が少なくなった試薬容器への試薬の補充や試薬が充填された試薬容器への交換作業に負担がかかっている。この問題に対して、試薬が充填された試薬容器を試薬庫内へ移動する搬送機構を備えた自動分析装置を用いることにより解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−119156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、搬送機構は、試薬容器を保持する保持機構、この保持機構を上下移動する上下機構、及びこの上下機構を試薬庫へ移動する移動機構を必要とする。また、第1試薬ラックと第2試薬ラックでは試薬容器を保持する円周の大きさが異なるため、第1試薬ラック及び第2試薬ラックの保持する位置の角度に合わせて試薬容器を回転させる回転機構を必要とする。このため、搬送機構が大型化して複雑になる問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、試薬容器を移動する搬送機構の小型化が可能な自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る本発明の自動分析装置は、被検試料及び試薬を分注してその混合液を測定する自動分析装置において、前記試薬を収容した試薬容器を収納する試薬庫内に配置され、回動可能に前記試薬容器を保持する第1試薬ラックと、前記試薬庫内の前記第1試薬ラックの外周に配置され、前記第1試薬ラックの回動中心を中心にして回動可能に前記試薬容器を保持する第2試薬ラックと、前記試薬庫内の前記第1試薬ラックで保持可能な第1収納位置或いは前記第2試薬ラックで保持可能な第2収納位置、又は前記試薬庫外の所定の位置の一方の位置から他方の位置へ、前記試薬庫上方では前記第1及び第2試薬ラックの回動中心上を通る第1の直線の軌道を経由して前記試薬容器を移動する搬送手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項9に係る本発明の自動分析装置は、被検試料及び試薬を分注してその混合液を測定する自動分析装置において、前記試薬を収容した試薬容器を収納する試薬庫内に配置され、回動可能に前記試薬容器を保持する試薬ラックと、前記試薬ラックで保持可能な収納位置又は前記試薬庫外の所定の位置の一方の位置から他方の位置へ、前記試薬庫上方では前記試薬ラックの回動中心上を通る直線の軌道を経由して前記試薬容器を移動する搬送手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、試薬庫内外へ試薬容器を移動する搬送機構を設け、試薬庫上方で試薬容器を、第1及び第2試薬ラックの回動中心上を通る直線の軌道を経由して移動することにより、搬送機構に回転機構を設けることなく、試薬庫内外へ試薬容器を移動することが可能となり、搬送機構の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成の詳細を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る試薬容器の外観を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る第1及び第2試薬ラックの構成を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る第1搬送部の構成を示す平面図。
【図6】本発明の実施例に係る第1搬送部における第1保持機構の一例を示す平面図。
【図7】本発明の実施例に係る第1搬送部における第1上下機構の一例を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る第1搬送部における第1ガイドレールの一例を示す図。
【図9】本発明の実施例に係る第1ガイドレールの他の例を示す図。
【図10】本発明の実施例に係る第1搬送部における第1移動機構の構成を示す平面図。
【図11】本発明の実施例に係る第2搬送部の構成を示す平面図。
【図12】本発明の実施例に係る表示部に表示された試薬情報設定画面の一例を示す図。
【図13】本発明の実施例に係る表示部に表示された試薬残量表示画面の一例を示す図。
【図14】本発明の実施例に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【図15】本発明の実施例に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図15を参照して説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料と各検査項目に該当する試薬との混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部26と、分析部26の測定に関る各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御部27と、各検査項目の試薬を収容した試薬容器を搬送する搬送部30とを備えている。
【0015】
また、分析部26で混合液の測定により生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データの生成を行うデータ処理部60と、データ処理部60で生成された検量データや分析データを印刷出力や表示出力する出力部70と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部80と、分析制御部27、搬送部30、データ処理部60、及び出力部70を統括して制御するシステム制御部90とを備えている。
【0016】
図2は、分析部26の構成の詳細を示した斜視図である。この分析部26は、標準試料や被検試料の各試料を収容する試料容器17と、各試料を収容した試料容器17を回動可能に保持するディスクサンプラ5と、各検査項目に該当する1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、円周上に配置された複数の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
【0017】
また、試薬容器6を収納する第1試薬庫1と、複数の試薬容器6を回動可能に保持する第1試薬庫1内に配置された第1及び第2試薬ラック22,23と、この第1及び第2試薬ラック22,23に保持された試薬容器6から第1試薬を識別する第1試薬情報を読み取るリーダ1aとを備えている。
【0018】
また、試薬容器7を収納する第2試薬庫2と、複数の試薬容器7を回動可能に保持する第2試薬庫2内に配置された第1及び第2試薬ラック24,25と、この第1及び第2試薬ラック24,25に保持された試薬容器7から第2試薬を識別する第2試薬情報を読み取るリーダ2aとを備えている。
【0019】
また、ディスクサンプラ5に保持された試料容器17内の各試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、このサンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10と、第1及び第2試薬ラック22,23に保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して各試料が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14とを備えている。
【0020】
また、第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8と、反応容器3内に吐出された各試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子18と、この第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム19と、第1及び第2試薬ラック24,25に保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して各試料及び第1試薬が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15とを備えている。
【0021】
また、第1試薬分注プローブ14が第1試薬を吸引するために第1及び第2試薬ラック22,23に保持された試薬容器6内の第1試薬と接触したときにその液面を検出する第1試薬液面検出器14aと、第2試薬分注プローブ15が第2試薬を吸引するために第1及び第2試薬ラック24,25に保持された試薬容器7内の第2試薬と接触したときにその液面を検出する第2試薬液面検出器15aとを備えている。そして、各第1及び第2試薬液面検出器14a,15aは、試薬容器6,7内の第1及び第2試薬の液面を検出した検出信号を分析制御部27に出力する。
【0022】
また、第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9と、反応容器3内の各試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子20と、第2撹拌子20を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21と、反応容器3内の混合液に光を照射して光学的に測定する測光部13と、測光部13で測定を終了した反応容器3内を洗浄する洗浄ユニット12とを備えている。
【0023】
そして、測光部13は、反応容器3に光を照射し、その反応容器3内の標準試料や被検試料を含む混合液を透過した各検査項目の波長光を検出する検出信号に基づいて、例えば吸光度や吸光度の変化量で表される標準データや被検データを生成する。そして、生成した標準データや被検データをデータ処理部60に出力する。
【0024】
分析制御部27は、分析部26の各分析ユニットを駆動する機構を備えた機構部28と、機構部28の各機構を制御して分析部26の各分析ユニットを分析サイクル毎に所定のタイミングで作動させる制御部29とを備えている。
【0025】
機構部28は、分析部26のディスクサンプラ5、第1試薬ラック22、第2試薬ラック23、第1試薬ラック24、及び第2試薬ラック25を夫々回動する機構、反応ディスク4を回転する機構、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム19、及び第2撹拌アーム21を夫々回動及び上下移動する機構、洗浄ユニット12を上下移動する機構等を備えている。
【0026】
また、サンプル分注プローブ16により各試料の吸引及び吐出を行わせるサンプル分注ポンプ、第1試薬分注プローブ14により第1試薬の吸引及び吐出を行わせる第1試薬分注ポンプ、及び第2試薬分注プローブ15により第2試薬の吸引及び吐出を行わせる第2試薬分注ポンプを夫々吸引及び吐出駆動する機構、第1撹拌子18及び第2撹拌子20を夫々撹拌駆動する機構、洗浄ユニット12の洗浄ノズルから混合液の吸引や洗浄液の吐出及び吸引を行わせる洗浄ポンプを駆動する機構、洗浄ユニット12の乾燥ノズルから吸引を行わせる乾燥ポンプを駆動する機構等を備えている。
【0027】
制御部29は、機構部28の第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9等の分析ユニットを駆動する機構を夫々制御する制御回路を備えている。
【0028】
制御部29の第1試薬分注アーム8の制御回路は、第1試薬分注アーム8を上停止位置の高さで各第1及び第2試薬ラック22,23に保持された試薬容器6の上方まで回動させた後、上下移動機構に下移動駆動パルスを供給して第1試薬分注アーム8を下に移動させる。そして、第1試薬分注プローブ14の先端が試薬容器6内の第1試薬の液面に接触した位置(液面検出位置)において、第1試薬液面検出器14aから出力される検出信号を受信して第1試薬分注アーム8を停止させる。このとき、上停止位置から液面検出位置まで第1試薬分注アーム8を移動するために供給した下移動駆動パルスの情報をシステム制御部90にする。
【0029】
また、第2試薬分注アーム9の制御回路は、第2試薬分注アーム9を上停止位置の高さで各第1及び第2試薬ラック24,25に保持された試薬容器7の上方まで回動させた後、上下移動機構に下移動駆動パルスを供給して第2試薬分注アーム9を下に移動させる。そして、第2試薬分注プローブ15の先端が試薬容器7内の第2試薬の液面に接触した液面検出位置において、第2試薬液面検出器15aから出力される検出信号を受信して第2試薬分注アーム9を停止させる。このとき、上停止位置から液面検出位置まで第2試薬分注アーム9を移動するために供給した下移動駆動パルスの情報をシステム制御部90にする。
【0030】
図1に示した搬送部30は分析部26に配置され、試薬容器6を第1試薬庫1内外へ移動する第1搬送部40と、試薬容器7を第2試薬庫2内外へ移動する第2搬送部50と、第1及び第2搬送部40,50の試薬容器6,7を移動する機構を夫々制御する搬送制御部31とを備えている。
【0031】
データ処理部60は、分析部26の測光部13から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部61と、演算部61で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部62とを備えている。
【0032】
演算部61は、測光部13から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に対して予め設定された標準値から、各検査項目成分の濃度や活性と標準データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部70に出力すると共にデータ記憶部62に保存する。
【0033】
また、測光部13から出力された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部62から読み出し、読み出した検量データを用いて測光部13から出力された被検データから濃度値や酵素の活性値として表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを出力部70に出力すると共にデータ記憶部62に保存する。
【0034】
データ記憶部62は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部61から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部61から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0035】
出力部70は、データ処理部60の演算部61から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部71及び表示出力する表示部72を備えている。そして、印刷部71は、プリンタなどを備え、演算部61から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0036】
表示部72は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、データ処理部60の演算部61から出力された検量データや分析データを表示する。また、自動分析装置100で検査可能な各検査項目の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面、分析パラメータを設定する各検査項目の第1及び第2試薬情報を設定するための試薬情報設定画面、被検試料毎に被検試料を識別する氏名やID等の識別情報及び検査対象の検査項目を設定するための被検試料情報設定画面、分析部26の第1及び第2試薬庫1,2に収納された各試薬容器6,7内の試薬残量を示す試薬残量表示画面等を表示する。
【0037】
操作部80は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎の分析パラメータ、第1及び第2試薬情報、被検試料の識別情報及び検査項目等を設定するための入力操作を行う。また、出力部70における表示部72の被検試料情報設定画面で設定された被検試料毎に検査項目を分析するための操作を行う。
【0038】
また、分析部26の第1及び第2試薬庫1,2に収納された試薬容器6,7の内の予め設定された残量以下の第1及び第2試薬を収容している試薬不足の試薬容器6,7を、その第1及び第2試薬が充填された試薬容器6,7に置き換えるための操作を行う。
【0039】
システム制御部90は、CPU及び記憶回路91を備え、操作部80からの操作により入力されたコマンド信号、各検査項目の分析パラメータの情報、第1及び第2試薬情報、被検試料の識別情報及び検査項目の情報等の入力情報を記憶回路91に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部27、搬送部30、データ処理部60、及び出力部70を統括してシステム全体を制御する。
【0040】
また、分析制御部27の制御部29から出力される下移動駆動パルスの情報及び予め設定された試薬容器6,7の底面積の情報等に基づいて、分析部26の第1及び第2試薬庫1,2に収納された各試薬容器6,7内の第1及び第2試薬の残量を算出し、算出した試薬残量を、表示部72に表示可能なように記憶回路91に保存する。
【0041】
次に、図2乃至図4を参照して、分析部26の第1及び第2試薬ラック22,23並びに第1及び第2試薬ラック24,25の構成の詳細を説明する。図3は、試薬容器6,7の外観を示す図である。図4は、第1及び第2試薬ラック22,23の構成を示す図である。
【0042】
図3において、試薬容器6,7は、夫々同じ形状及び寸法を成している。そして、試薬容器6,7の上面及び底面は夫々同じ寸法で、円形以外の例えば上底と下底間の長さである高さの方向を長手方向とする台形を成している。また、各試薬容器6,7の側面は、上面の上底を一辺とする長方形を成す内周側面と、上面の下底を一辺とする長方形を成す外周側面と、上面の上底及び下底以外の対辺を一辺とする長方形を成す2つの幅側面とにより構成される。この形状により、円周上に多数の試薬容器6,7を配列することができる。
【0043】
そして、試薬容器6,7の上面の外周側面近傍には、第1及び第2試薬分注プローブ14,15が第1及び第2試薬を吸引するために進入する開口部が設けられている。また、試薬容器6,7の外周側面には、第1及び第2試薬情報である試薬ID、検査項目名、試薬名等が例えば一次元又は二次元コード化されたラベル6a,7aが貼付されている。
【0044】
図4は、第1及び第2試薬ラック22,23の構成を示した図である。そして、図4(a)は第1及び第2試薬ラック22,23の平面図であり、図4(b)は図4(a)に示した第1及び第2試薬ラック22,23のA−A線矢視断面図である。この第1及び第2試薬ラック22,23は、第1試薬庫1に収納された各試薬容器6内の第1試薬を第1試薬分注プローブ14で吸引可能な位置へ移動するために設けられている。
【0045】
第1試薬ラック22は、第1試薬庫1の中心C1の周りを回動可能に配置され、試薬容器6の形状に合わせて上側に開口部を有する環状の保持体221及びこの保持体221内に所定の間隔で放射状に複数配置された仕切り板222により構成される。
【0046】
そして、保持体221内の仕切り板222間に試薬容器6が上から遊嵌されると、試薬容器6の底面、内周側面、及び外周側面を保持体221で保持し、試薬容器6の両幅側面を隣り合う2つの仕切り板222で保持する。
【0047】
これにより、第1試薬ラック22は、互いに隣り合う各試薬容器6を離間して保持することができる。また、試薬容器6上面の長手方向を中心C1に向けて多数の試薬容器6を円周上に保持することができる。
【0048】
第2試薬ラック23は、第1試薬ラック22の外周に中心C1の周りを回動可能に配置され、試薬容器6の形状に合わせて上側に開口部を有する環状の保持体231及びこの保持体231内に所定の間隔で放射状に複数配置された仕切り板232により構成される。
【0049】
そして、保持体231内の仕切り板232間に試薬容器6が底部から遊嵌されると、試薬容器6の底面、内周側面、及び外周側面を保持体231で保持し、試薬容器6の両幅側面を互いに隣り合う仕切り板232で保持する。
【0050】
これにより、第2試薬ラック23は、互いに隣り合う各試薬容器6を離間して保持することができる。また、各試薬容器6上面の長手方向を中心C1に向けて円周上に多数の試薬容器6を保持することができる。
【0051】
第1及び第2試薬ラック24,25は、第2試薬庫2に収納された各試薬容器7内の第2試薬を第2試薬分注プローブ15で吸引可能な位置へ移動するために設けられている。そして、第1試薬ラック24は、第2試薬庫2の中心の回りを回動可能に配置され、第1試薬ラック22と同様に構成される。これにより、互いに隣り合う各試薬容器7を離間して保持することができる。また、各試薬容器7上面の長手方向を前記中心の方向に向けて円周上に多数の試薬容器7を保持することができる。
【0052】
また、第2試薬ラック25は、第1試薬ラック24の外周に第2試薬庫2の中心の回りを回動可能に配置され、第2試薬ラック23と同様に構成される。これにより、互いに隣り合う各試薬容器7を離間して保持することができる。また、各試薬容器7上面の長手方向を前記中心の方向に向けて円周上に多数の試薬容器7を保持することができる。
【0053】
次に、図2乃至図10を参照して、搬送部30における第1搬送部40の構成の詳細を説明する。図5は、第1搬送部40の構成を示す平面図である。図6乃至図10は、第1搬送部40の試薬容器6を移動する各機構の構成の詳細を示す図である。
【0054】
図5において、第1搬送部40は、第1試薬が充填された試薬容器6が載置される第1待機位置41と、第1待機位置41上に載置された試薬容器6を検出する第1検出器42と、この第1検出器42により検出された試薬容器6に貼付されたラベル6aから第1試薬情報を読み取るリーダ43と、第1試薬が不足した試薬容器6が載置される第1退避位置44と、試薬容器6を第1試薬庫1内外へ移動する第1搬送機構45とを備えている。
【0055】
第1待機位置41は、第1試薬庫1の例えば前側に位置し、第1試薬庫1内へ移動する第1試薬が充填された試薬容器6を所定の角度で載置するエリアである。
【0056】
第1検出器42は第1待機位置41に配置され、第1待機位置41上に載置された試薬容器6を検出する。そして、その検出信号を搬送制御部31に出力する。搬送制御部31では、第1検出器42からの検出信号に応じて、第1待機位置41上の試薬容器6に貼付されたラベル6aの読み取りをリーダ43に指示する。
【0057】
リーダ43は、例えばバーコードリーダであり、搬送制御部31からの指示により第1検出器42により検出された第1待機位置41の試薬容器6のラベル6aから第1試薬情報を読み取り、読み取った第1試薬情報をシステム制御部90に出力する。
【0058】
第1退避位置44は、第1試薬庫1の前側の第1待機位置41の隣に位置し、第1搬送機構45により第1試薬庫1内から移動された第1試薬が不足している試薬容器6が載置されるエリアである。
【0059】
第1搬送機構45は、試薬容器6を開放可能に保持する第1保持機構46、第1保持機構46を上下移動可能に支持する第1上下機構47、この第1上下機構47の進路を誘導する第1ガイドレール48、及び第1上下機構47を第1ガイドレール48に沿って移動する第1移動機構49により構成される。
【0060】
図6は、第1搬送部40における第1保持機構46の構成の一例を示した図である。この第1保持機構46は、第1待機位置41上に所定の角度で載置された試薬容器6の幅方向における中心線が第1待機位置41近傍の第1ガイドレール48に対して平行になるように、試薬容器6の両幅側面を狭持する2つの狭持板461,462と、狭持板461,462を矢印L1方向及びこのL1方向とは反対方向である矢印L2方向にスライド自在に支持するLMガイド463と、搬送制御部31の駆動制御により狭持板461,462をL1方向及びL2方向へ駆動する駆動部464とにより構成される。
【0061】
そして、第1移動機構49が第1上下機構47を第1試薬庫1内の第1及び第2収納位置F11,F12近傍まで移動した後、駆動部464は、第1及び第2収納位置F11,12の上方に位置する狭持板461,462を、第1及び第2試薬ラック22,23の隣り合う仕切り板222,232間の距離に達する幅(狭持幅)までL1方向及びL2方向へ移動駆動する。次いで、第1上下機構47が第1保持機構46を下停止位置まで移動した後、狭持板461をL2方向へ移動駆動すると共に狭持板462をL1方向へ移動駆動する。これにより、第1及び第2試薬ラック22,23に保持された第1及び第2収納位置F11,F12の第1試薬が不足している試薬容器6とこの試薬容器6の隣の試薬容器6の間に狭持板461,462が進入して、第1試薬が不足した試薬容器6を保持する。
【0062】
また、第1移動機構49により第1退避位置44近傍まで移動された第1上下機構47が第1保持機構46を下停止位置まで移動した後、駆動部464は、狭持板461をL1方向へ移動駆動すると共に狭持板462をL2方向へ移動駆動して、保持していた試薬容器6を開放する。これにより、第1試薬が不足した試薬容器6が第1退避位置44上に載置される。
【0063】
更に、第1移動機構49が第1上下機構47を第1待機位置41近傍まで移動した後、駆動部464は、第1待機位置41の上方に位置する狭持板461,462を狭持幅までL1方向及びL2方向へ移動駆動する。次いで、第1上下機構47が第1保持機構46を下停止位置まで移動した後、狭持板461をL2方向へ移動駆動すると共に狭持板462をL1方向へ移動駆動して、第1待機位置41上に載置された第1試薬が充填された試薬容器6を保持する。
【0064】
更にまた、第1移動機構49により第1及び第2収納位置F11,F12近傍まで移動された第1上下機構47が第1保持機構46を下停止位置まで移動した後、駆動部464は、狭持板461をL1方向へ移動駆動すると共に狭持板462をL2方向へ移動駆動して、保持していた試薬容器6を開放する。これにより、第1試薬が充填された試薬容器6が第1及び第2収納位置F11,F12で第1及び第2試薬ラック22,23に保持される。
【0065】
図7は、第1搬送部40における第1上下機構47の構成の一例を示した図である。この第1上下機構47は、搬送制御部31の駆動制御により回転駆動するモータ471、このモータ471の回転軸に固定された歯車472、この歯車472の下方に位置するプーリ473、歯車472及びプーリ473に巻回された歯車472に係合するベルト474、及び第1保持機構46を上下移動自在に支持する上下方向に延びたシャフト475により構成される。また、モータ471、プーリ473、及びシャフト475を支持するフレーム476に固定された第1ガイドレール48に係合する支持アーム477により構成される。
【0066】
そして、モータ471は、第1及び第2収納位置F11,F12、第1待機位置41、及び第1退避位置44で、歯車472を回転させて第1保持機構46の一部が結合されたベルト474に駆動力を伝達する。ベルト474は、歯車472からの駆動力により、第1保持機構46を上下方向に移動する。
【0067】
図8は、第1搬送機構45における第1ガイドレール48の構成の一例を示した平面図である。第1ガイドレール48は、直線状のガイドレール481、このガイドレール481に一端部が連結された湾曲状のガイドレール482、及びこのガイドレール482の他端部に一端部が連結された直線状のガイドレール483により構成される。
【0068】
ガイドレール481は、第1待機位置41及び第1退避位置44近傍の上方に配置され、第1待機位置41及び第1退避位置44上へ載置される試薬容器6上面の幅方向における中心線に対して平行に配置される。そして、第1保持機構46に保持された試薬容器6を第1退避位置44上に載置可能な位置へ第1上下機構47を誘導する。また、第1待機位置41上に載置された試薬容器6を第1保持機構46で保持可能な位置へ第1上下機構47を誘導する。
【0069】
ガイドレール482は、第1待機位置41と第1試薬庫1の間の上方に配置され、ガイドレール481及びガイドレール483へ第1上下機構47を誘導する。
【0070】
ガイドレール483は、第1及び第2収納位置F11,F12近傍の上方に配置され、中心C1上並びに第1及び第2収納位置F11,F12の試薬容器6の幅方向における中心線上を通る仮想の第1の直線484に対して平行に配置される。これにより、第1試薬庫1上方で、第1保持機構46に保持された試薬容器6は長手方向に移動して第1の直線484の軌道を通る。
【0071】
そして、第1及び第2試薬ラック22,23により保持された第1及び第2収納位置F11,F12の試薬容器6を第1保持機構46で保持可能な位置へ第1上下機構47を誘導する。また、第1及び第2試薬ラック22,23で保持可能な第1及び第2収納位置F11,F12へ第1上下機構47を誘導する。
【0072】
なお、図9に示すように、第1ガイドレール48のガイドレール483の他端部に湾曲状のガイドレール485の一端部を連結すると共にガイドレール485の他端部に直線状のガイドレール486を連結することにより構成される第1ガイドレール48aに置き換える。そして、ガイドレール485を中心C1近傍の上方に配置すると共に、ガイドレール486を第3及び第4収納位置F11a,F12aの試薬容器6の幅方向における中心線上に位置し、第1の直線484に中心C1上で交わる第2の直線487に対して平行に配置する。
【0073】
そして、ガイドレール483,485,486を利用して、第2の直線487の下方の第1及び第2試薬ラック22,23により保持された第3及び第4収納位置F11a,F12aの第1試薬が不足している試薬容器6を、第1試薬庫1上方の第1及び第2の直線484,487の軌道を経由して第1退避位置44へ移動するように実施してもよい。
【0074】
また、第1試薬が充填された試薬容器6を、第1及び第2収納位置F11,F12へ移動するために第1待機位置41上に載置する角度に対して180°回転した角度で第1待機位置41上に載置して、第1試薬庫1上方の第1及び第2の直線484,487の軌道を経由して第1及び第2試薬ラック22,23により保持可能な第3及び第4収納位置F11a,F12aへ移動するように実施してもよい。
【0075】
図10は、第1搬送部40における第1移動機構49の構成の一例を示した図である。この第1移動機構49は、第1ガイドレール48の一端部に配置された搬送制御部31の駆動制御により回転駆動するモータ491、このモータ491の回転軸に固定された歯車492、第1ガイドレール48の他端部に配置されたプーリ493、歯車492及びプーリ493に巻回された歯車492に係合するワイヤ494、及び第1ガイドレール48のガイドレール482に沿ってワイヤ494を湾曲状に移動自在に支持する2つのガイド495,496により構成される。そして、歯車492、プーリ493、ワイヤ494、及びガイド495,496は、第1ガイドレール48内に配置され、ワイヤ494の一部に第1上下機構47の支持アーム477が固定されている。
【0076】
そして、モータ491が歯車492を回転させてワイヤ494に駆動力を伝達し、歯車492から駆動力を伝達されたワイヤ494が第1上下機構47を第1ガイドレール48に沿って移動する。
【0077】
このように、第1待機位置41及び第1退避位置44上へ載置される試薬容器6と、第1及び第2収納位置F11,F12で第1及び第2試薬ラック22,23に保持される試薬容器6の角度が異なる場合、湾曲状のガイドレール482を有する第1ガイドレール48を設けることにより、第1試薬庫1上方で試薬容器6を長手方向に第1の直線484の軌道を経由して移動することができる。
【0078】
そして、第1及び第2試薬ラック22,23に保持された第1試薬が不足している試薬容器6を、第1及び第2収納位置F11,F12から第1退避位置44へ移動する場合、第1試薬庫1上方では試薬容器6を長手方向における外周側面の方向へ移動することができる。また、第1待機位置41上に載置される第1試薬が充填された試薬容器6を、第1待機位置41から第1及び第2収納位置F11,F12へ移動する場合、第1試薬庫1上方では試薬容器6を長手方向における内周側面の方向へ移動することができる。
【0079】
これにより、第1保持機構46を回転する回転機構を設けることなく、第1及び第2試薬ラック22,23で保持された第1及び第2収納位置F11,F12の試薬容器6を第1退避位置44へ移動することができる。また、第1待機位置41の試薬容器6を第1及び第2試薬ラック22,23で保持可能な第1及び第2収納位置F11,F12へ移動することができる。
【0080】
図11は、搬送部30における第2搬送部50の構成を示した平面図である。この第2搬送部50は、第2試薬が充填された試薬容器7が載置される第2待機位置51と、第2待機位置51上に載置された試薬容器7を検出する第2検出器52と、この第2検出器52により検出された試薬容器7に貼付されたラベル7aから第2試薬情報を読み取るリーダ53と、第2試薬が不足した試薬容器7が載置される第2退避位置54と、試薬容器7を第2試薬庫2内外へ移動する第2搬送機構55とを備えている。
【0081】
第2待機位置51は、第2試薬庫2の例えば後側に位置し、第2試薬庫2内へ移動するための第2試薬が充填された試薬容器7が所定の角度で載置されるエリアである。
【0082】
第2検出器52は第2待機位置51上に配置され、第2待機位置51上に載置された試薬容器7を検出する。そして、その検出信号を搬送制御部31に出力する。搬送制御部31では、第2検出器52からの検出信号に応じて、第2待機位置51上の試薬容器7に貼付されたラベル7aの読み取りをリーダ53に指示する。
【0083】
リーダ53は、搬送制御部31からの指示により第2検出器52により検出された第2待機位置51の試薬容器7のラベル7aから第2試薬情報を読み取り、読み取った第2試薬情報をシステム制御部90に出力する。
【0084】
第2退避位置54は、例えば第2試薬庫2の後側の第2待機位置51の斜め後方に位置し、第2試薬が不足している試薬容器7が載置されるエリアである。
【0085】
第2搬送機構55は、試薬容器7を開放可能に保持する第2保持機構56、第2保持機構56を上下移動可能に支持する第2上下機構57、この第2上下機構57の進路を誘導する第2ガイドレール58、及び第2上下機構57を第2ガイドレール58に沿って移動する第2移動機構59により構成される。
【0086】
第2保持機構56は、第1保持機構46と同様に構成され、第2待機位置51上に載置された試薬容器7の幅方向における中心線が第2ガイドレール58に対して平行になるように、試薬容器7を保持する。
【0087】
そして、第2移動機構59が第2上下機構57を第2試薬庫2内の第1及び第2収納位置F21,F22近傍まで移動した後、第2試薬庫2内の第1及び第2収納位置F21,F22の第2試薬が不足している試薬容器7を保持する。次いで、保持した試薬容器7を第2退避位置54で開放する。また、第2待機位置51上に載置される第2試薬が充填された試薬容器7を保持して、第1及び第2試薬ラック24,25が保持可能な第1及び第2収納位置F21,F22で開放する。
【0088】
第2上下機構57は、第1上下機構47と同様に構成される。そして、第1及び第2収納位置F21,F22、第2待機位置51、及び第2退避位置54で第2保持機構56を上下方向に移動する。
【0089】
第2ガイドレール58は直線を成し、第2退避位置54近傍の上方と第2試薬庫2の上方間に配置され、第1及び第2試薬ラック24,25の回動の中心C2上並びに第1及び第2収納位置F21,F22の試薬容器7の幅方向における中心線上を通る仮想の第1の直線584に対して平行に配置されている。これにより、第2試薬庫2上方で、試薬容器7は長手方向に移動して第1の直線584の軌道を通る。
【0090】
そして、第2保持機構56が試薬容器7を第2退避位置54上に載置可能な位置へ第2上下機構57を誘導する。また、第2待機位置51上に載置された試薬容器7を第2保持機構56で保持可能な位置へ第2上下機構57を誘導する。更に、第1及び第2試薬ラック24,25に保持された第1及び第2収納位置F21,F22の試薬容器7を第2保持機構56で保持可能な位置へ第2上下機構57を誘導する。また、第2保持機構56に保持された試薬容器7を、第1及び第2試薬ラック24,25で保持可能な第1及び第2収納位置F21,F22へ第2上下機構57を誘導する。
【0091】
第2移動機構59は、第1移動機構49のガイド495,496を除いて同様に構成される。そして、搬送制御部31の駆動制御により、第2上下機構57を第2ガイドレール58に沿って移動する。
【0092】
このように、第2待機位置51及び第2退避位置54上へ載置される試薬容器7と、第1及び第2試薬ラック24,25に保持される第1及び第2収納位置F21,F22の試薬容器7の角度が同じである場合、直線状の第2ガイドレール58を設けることにより、第2試薬庫2上方で試薬容器7を長手方向に第1の直線584の軌道を経由して移動することができる。
【0093】
そして、第1及び第2試薬ラック24,25に保持された第2試薬が不足している試薬容器7を、第1及び第2収納位置F21,F22から第2退避位置54へ移動する場合、第2試薬庫2上方では試薬容器7を長手方向における外周側面の方向へ移動することができる。また、第2待機位置51上に載置される第2試薬が充填された試薬容器7を、第2待機位置51から第1及び第2収納位置F21,F22へ移動する場合、第2試薬庫2上方では試薬容器7を長手方向における内周側面の方向へ移動することができる。
【0094】
これにより、第2保持機構56を回転する回転機構を設けることなく、第1及び第2試薬ラック24,25に保持された試薬容器7を第2退避位置54へ移動することができる。また、第2待機位置51の試薬容器7を第1及び第2試薬ラック24,25で保持可能な第1及び第2収納位置F21,F22へ移動することができる。
【0095】
以下、図1乃至図15を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。図12は、表示部72に表示された試薬情報設定画面の一例を示す図である。図13は、表示部72に表示された試薬残量表示画面の一例を示す図である。図14及び図15は、自動分析装置100の動作を示すフローチャートである。
【0096】
自動分析装置100で分析可能な各検査項目の第1及び第2試薬情報がシステム制御部90の記憶回路91に保存されている。そして、試薬情報設定画面を表示させる操作が操作部80から行われると、記憶回路91に保存されたた第1及び第2試薬情報を含む試薬情報設定画面が出力部70の表示部72に表示される。
【0097】
図12は、表示部72に表示された試薬情報設定画面の一例を示した図である。この試薬情報設定画面73は、連番である「1」乃至「m」の欄と、各「1」乃至「m」の欄に対応する「項目」、「試薬」、及び「ID」等の欄とにより構成される。
【0098】
「1」の欄に対応する「項目」の欄に検査項目名である例えば「AST」が表示され、「試薬」の欄に「項目」の欄に表示された「AST」における例えば2試薬系の第1試薬の試薬名である「ASTI」が表示されている。また、「ID」の欄に「試薬」の欄に表示された「ASTI」の試薬IDである「1000」が表示されている。
【0099】
「2」の欄に対応する「項目」の欄に「1」の欄の「項目」の欄に表示された検査項目名と同じ「AST」が表示され、「試薬」の欄に「1」の欄の「試薬」の欄に表示された「ASTI」と対を成す第2試薬の試薬名である「ASTII」が表示されている。また、「ID」の欄に「試薬」の欄に表示された「ASTII」の試薬IDである「1001」が表示されている。
【0100】
次に、分析部26の待機中に、各検査項目の分析に備えて、第1及び第2試薬庫1,2内に第1及び第2試薬が不足している試薬容器6,7を調べるために、操作部80から試薬残量表示画面を表示させる操作を行うと、表示部72に試薬残量表示画面が表示される。
【0101】
図13は、表示部72に表示された試薬残量表示画面の一例を示した図である。この試薬残量表示画面74は、「試薬」の欄、「残量閾値」の欄、及び「試薬残量」の欄により構成される。
【0102】
「試薬」の欄には、図12に示した試薬情報設定画面73の「試薬」の欄に表示された試薬名である「AST−1」、「AST−2」等が表示されている。
【0103】
「残量閾値」の欄には、「試薬」の欄に表示された各試薬名に対応する第1及び第2試薬庫1,2内における各試薬容器6,7内の第1及び第2試薬が不足しているか否かを判定するための予め設定された閾値が分析回数として表示されている。そして、「試薬」の欄に表示された「AST−1」及び「AST−2」に対応する閾値として例えば「5」が表示されている。
【0104】
「試薬残量」の欄には、「試薬」の欄に表示された各試薬名に対応する第1及び第2試薬庫1,2内における各試薬容器6,7内の第1及び第2試薬の残量が例えば分析可能な回数として表示されている。
【0105】
そして、「試薬」の欄の「AST−1」に対応する残量として例えば「3」が表示されていると、「残量閾値」の欄に表示された「5」よりも少ない回数であるため第1試薬が不足していると判定される。そして、「3」が点滅、赤色等により警告表示される。この場合、第1試薬庫1内の「AST−1」に対応する試薬容器6内には、分析部26の反応容器3に第1試薬を正常に3回分注することができる第1試薬が残っている。
【0106】
また、「試薬」の欄の「AST−2」に対応する残量として例えば「50」が表示されていると、「残量閾値」の欄に表示された「5」よりも多い回数であるため第2試薬が分析に問題ない量残存していると判定される。この場合、第2試薬庫2内の「AST−1」に対応する試薬容器7内に、分析部26の反応容器3に第2試薬を正常に50回分注することができる第2試薬が残っている。
【0107】
このように、予め設定した残量閾値よりも少ないとき、表示部72の試薬残量表示画面74に警告表示することができる。これにより、第1及び第2試薬が不足している各試薬容器6,7を容易に調べることができる。
【0108】
図14及び図15は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。図13に示した試薬残量表示画面74の「試薬残量」の欄で第1試薬が不足していると判定された第1試薬庫1内の「AST−1」に対応する試薬容器6を交換するために、その第1試薬が充填された試薬容器6が搬送部30における第1搬送部40の第1待機位置41上に載置されると、自動分析装置100は、動作を開始する(図14のステップS1)。
【0109】
第1検出器42は、第1待機位置41上の試薬容器6を検出し、その検出信号を搬送制御部31に出力する(図14のステップS2)。
【0110】
リーダ43は、第1検出器42の試薬容器6の検出に応じた搬送制御部31からの指示により、第1待機位置41上の試薬容器6のラベル6aから第1試薬情報を読み取り、読み取った第1試薬情報をシステム制御部90に出力する(図14のステップS3)。
【0111】
分析制御部27の制御部29は、リーダ43の第1試薬情報の読み取りに応じたシステム制御部90からの指示により、機構部28を制御して分析部26の第1及び第2試薬ラック22,23を回動させる。リーダ1aは、第1及び第2の試薬ラック22,23に保持された全ての試薬容器6のラベル6aから第1試薬情報を読み取ってシステム制御部90に出力する(図14のステップS4)。
【0112】
ステップS4の後に、システム制御部90は、リーダ1aから出力された第1試薬情報の中に「AST−1」の情報が含まれているか否かを調べる。そして、リーダ1aから出力された第1試薬情報の中にリーダ43から出力された第1試薬情報が含まれている場合(図14のステップS5のはい)、ステップS6へ移行する。また、リーダ1aから出力された第1試薬情報の中に「AST−1」の情報が含まれていない場合(図14のステップS5のいいえ)、図15のステップS24へ移行する。
【0113】
ステップS5の「はい」の後に、システム制御部90は、制御部29及び搬送部30の搬送制御部31に対して、例えば第1試薬ラック22に保持された「AST−1」の情報を有する試薬容器6を第1退避位置44に移動すると共に、第1待機位置41の試薬容器6を第1試薬ラック22へ移動するように指示する。第1試薬ラック22は、回動して「AST−1」の情報を有する第1試薬が不足した試薬容器6を第1収納位置F11へ移動する(図14のステップS6)。
【0114】
第1第1搬送部40における第1搬送機構45の第1移動機構49は、第1ガイドレール48に沿ってホームポジションから第1収納位置F11の近傍まで第1上下機構47を移動する(図14のステップS7)。
【0115】
第1収納位置F11の近傍まで移動した第1上下機構47は、上停止位置から下停止位置まで第1保持機構46を下げる(図14のステップS8)。
【0116】
下停止位置まで下がった第1保持機構46は、第1収納位置F11の試薬容器6を保持する(図14のステップS9)。
【0117】
第1保持機構46が試薬容器6を保持した後、第1上下機構47は、下停止位置から上停止位置まで第1保持機構46を上げる(図14のステップS10)。
【0118】
第1上下機構47が第1保持機構46を上げた後、第1移動機構49は、第1ガイドレール48に沿って第1収納位置F11の近傍から第1退避位置44の近傍まで第1上下機構47を移動する(図14のステップS11)。
【0119】
第1退避位置44の近傍まで移動した第1上下機構47は、上停止位置から下停止位置まで試薬容器6を保持した第1保持機構46を下げる(図14のステップS12)。
【0120】
下停止位置まで下がった第1保持機構46は、第1退避位置44で保持していた試薬容器6を開放する(図14のステップS13)。
【0121】
第1保持機構46が試薬容器6を開放した後、第1上下機構47は、下停止位置から上停止位置まで第1保持機構46を上げる(図14のステップS14)。
【0122】
第1上下機構47が第1保持機構46を上げた後、第1移動機構49は、第1ガイドレール48に沿って第1退避位置44の近傍から第1待機位置41の近傍まで第1上下機構47を移動する(図14のステップS15)。
【0123】
第1待機位置41の近傍まで移動した第1上下機構47は、上停止位置から下停止位置まで第1保持機構46を下げる(図15のステップS16)。
【0124】
下停止位置まで下がった第1保持機構46は、第1待機位置41の試薬容器6を保持する(図15のステップS17)。
【0125】
第1保持機構46が試薬容器6を保持した後、第1上下機構47は、下停止位置から上停止位置まで試薬容器6を保持した第1保持機構46を上げる(図15のステップS18)。
【0126】
第1上下機構47が第1保持機構46を上げた後、第1移動機構49は、第1ガイドレール48に沿って第1待機位置41の近傍から第1収納位置F11の近傍まで第1上下機構47を移動する(図15のステップS19)。
【0127】
第1収納位置F11の近傍まで移動した第1上下機構47は、上停止位置から下停止位置まで試薬容器6を保持した第1保持機構46を下げる(図15のステップS20)。
【0128】
下停止位置まで下がった第1保持機構46は、第1試薬ラック22により保持される第1収納位置F11で試薬容器6を開放する(図15のステップS21)。
【0129】
第1保持機構46が試薬容器6を開放した後、第1上下機構47は、下停止位置から上停止位置まで第1保持機構46を上げる(図15のステップS22)。
【0130】
第1上下機構47が第1保持機構46を上げた後、第1移動機構49は、第1ガイドレール48に沿って第1収納位置F11の近傍からホームポジションまで第1上下機構47を移動する(図15のステップS23)。
【0131】
このように、第1試薬庫1内の第1試薬が不足した試薬容器6と交換する第1試薬が充填された試薬容器6を第1待機位置41上に載置することにより、第1試薬庫1内の第1試薬が不足した試薬容器6を第1退避位置44へ移動した後、第1待機位置41の試薬容器6を、第1試薬ラック22の第1試薬が不足した試薬容器6と同じ位置へ移動することができる。
【0132】
ステップS5の「いいえ」の後に、システム制御部90は、リーダ43から出力された第1試薬情報を有する試薬容器6が第1試薬庫1に収納されていないことを示す不在情報を出力部70に出力する(ステップS24)。
【0133】
ステップS23又はステップS24の後に、第1搬送機構45及び第1試薬ラック22がホームポジションで停止することにより、自動分析装置100は、動作を終了する(図15のステップS25)。
【0134】
なお、第1及び第2試薬が不足した第1及び第2試薬庫1,2内の試薬容器6,7を交換するために、その第1及び第2試薬が充填された試薬容器6,7を分析部26における標準試料や被検試料の測定中に第1及び第2待機位置41,51上に載置した場合でも、第1及び第2試薬庫1,2内の第1及び第2試薬が不足した試薬容器6,7を第1及び第2退避位置44,54へ移動すると共に、第1及び第2待機位置41,51の試薬容器6,7を第1及び第2試薬庫1,2内へ移動することができる。
【0135】
以上述べた本発明の実施例によれば、第1及び第2試薬庫1,2内外へ試薬容器6,7を移動する第1及び第2搬送機構45,55を設けることにより、第1及び第2試薬庫1,2上方で試薬容器6,7を長手方向に第1の直線484,584の軌道を経由して移動することができる。
【0136】
そして、第1及び第2試薬ラック22,23に保持された第1試薬が不足している試薬容器6を第1及び第2収納位置F11,F12から第1退避位置44へ移動する場合、第1試薬庫1上方では試薬容器6を長手方向における外周側面の方向に移動することができる。
【0137】
また、第1待機位置41上に載置される第1試薬が充填された試薬容器6を、第1待機位置41から第1及び第2収納位置F11,F12へ移動する場合、第1試薬庫1上方では試薬容器6の長手方向における内周側面の方向に移動することができる。
【0138】
更に、第1及び第2試薬ラック24,25に保持された第2試薬が不足している試薬容器7を、第1及び第2収納位置F21,F22から第2退避位置54へ移動する場合、第2試薬庫2上方では試薬容器7を長手方向における外周側面の方向に移動することができる。
【0139】
更にまた、第2待機位置51上に載置される第2試薬が充填された試薬容器7を、第2待機位置51から第1及び第2収納位置F21,F22へ移動する場合、第2試薬庫2上方では試薬容器7を長手方向における内周側面の方向に移動することができる。
【0140】
これにより、第1及び第2搬送機構45,55に試薬容器6,7を回転する回転機構及びこの回転機構の制御回路を設けることなく、第1及び第2試薬庫1,2内外へ試薬容器6,7を移動することが可能となり、第1及び第2搬送機構45,55の構成の単純化及び小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0141】
C1 中心
F11 第1収納位置
F12 第2収納位置
1 第1試薬庫
1a リーダ
6 試薬容器
22 第1試薬ラック
23 第2試薬ラック
40 第1搬送部
41 第1待機位置
42 第1検出器
43 リーダ
44 第1退避位置
45 第1搬送機構
46 第1保持機構
47 第1上下機構
48 第1ガイドレール
49 第1移動機構
484 第1の直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検試料及び試薬を分注してその混合液を測定する自動分析装置において、
前記試薬を収容した試薬容器を収納する試薬庫内に配置され、回動可能に前記試薬容器を保持する第1試薬ラックと、
前記試薬庫内の前記第1試薬ラックの外周に配置され、前記第1試薬ラックの回動中心を中心にして回動可能に前記試薬容器を保持する第2試薬ラックと、
前記試薬庫内の前記第1試薬ラックで保持可能な第1収納位置或いは前記第2試薬ラックで保持可能な第2収納位置、又は前記試薬庫外の所定の位置の一方の位置から他方の位置へ、前記試薬庫上方では前記第1及び第2試薬ラックの回動中心上を通る第1の直線の軌道を経由して前記試薬容器を移動する搬送手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、
前記試薬容器を開放可能に保持する保持機構と、
前記保持機構を上下移動可能に支持する上下機構と、
前記所定の位置近傍の上方と前記収納位置上方間に配置され、前記上下機構の進路を誘導するガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って前記上下機構を移動する移動機構とを
備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記ガイドレールは直線を成し、前記第1の直線に対して平行に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記ガイドレールは、前記試薬庫上方で前記第1の直線に対して平行な直線を成し、前記試薬庫上方から離れた位置で湾曲していることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記ガイドレールは、前記回動中心近傍の上方で湾曲したガイドレールと、このガイドレールの一端部に一端部が連結された前記第1の直線に対して平行に配置されたガイドレールと、前記湾曲したガイドレールの他端部に一端部が連結され、前記試薬庫上方の前記第1の直線に前記回動中心上で交わる第2の直線に対して平行に配置されたガイドレールとにより構成されていることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記移動機構は、前記上下機構をこの上下機構に支持された前記保持機構に保持される前記試薬容器の長手方向に移動することを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記所定の位置は退避位置であり、
前記搬送手段は、前記第1試薬ラックに保持される第1収納位置或いは前記第2試薬ラックに保持される第2収納位置の前記試薬が不足した前記試薬容器を前記退避位置へ移動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記所定の位置は、待機位置であり、
前記搬送手段は、前記待機位置の前記試薬が充填された前記試薬容器を前記第1試薬ラックに保持される第1収納位置或いは前記第2試薬ラックに保持される第2収納位置へ移動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項9】
被検試料及び試薬を分注してその混合液を測定する自動分析装置において、
前記試薬を収容した試薬容器を収納する試薬庫内に配置され、回動可能に前記試薬容器を保持する試薬ラックと、
前記試薬ラックで保持可能な収納位置又は前記試薬庫外の所定の位置の一方の位置から他方の位置へ、前記試薬庫上方では前記試薬ラックの回動中心上を通る直線の軌道を経由して前記試薬容器を移動する搬送手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−271075(P2010−271075A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121208(P2009−121208)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】