説明

自動分析装置

【課題】 試薬プローブの試薬の干渉が前の測定項目を飛び越えて影響することなく、試
薬プローブの洗浄が頻繁に入らないよう測定項目の順序を自動的に切り換え、反応管が汚
れやすい測定項目も測定可能な自動分析装置を提供する。
【解決手段】 予め設定される試薬プローブ13の試薬干渉の組み合わせから、測定依頼
を試薬干渉に関連しない測定項目群(a)、試薬干渉を一方的に受ける測定項目群(b)
、試薬干渉を受けると共に与える測定項目群(c)、試薬干渉を与える測定項目群(d)
に分別し、(a)、(b)、(c)、(d)又は(b)、(c)、(d)、(a)又は(
c)、(d)、(a)、(b)又は(d)、(a)、(b)、(c)を測定順として決定
する。測定項目Tと所定数の過去の測定項目順を記憶している測定履歴又は反応情報の組
み合わせと、予め設定された試薬干渉の組み合わせを比較し、試薬プローブの洗浄方法と
洗浄回数を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬プローブ汚染防止および反応管からの汚染防止が可能な自動分析装置に
関する。
【背景技術】
【0002】
近年、測定項目に応じた試薬プローブで反応管にピペットしながら多項目の測定項目を
同時に測定するランダム方式の自動分析装置が可能になった。この自動分析装置において
は、サイクル毎に試薬をピペットした後に試薬プローブを水洗浄することにより、前に試
薬分注した測定項目の影響を除く方法がとられている。
【0003】
しかし、試薬プローブを水洗浄しても、前に試薬分注した測定項目の影響(クロスコン
タミネーション)が測定結果に現れるため、予め試薬が干渉する測定項目の組み合わせと
洗浄方法を設定することで、前に試薬分注をした測定項目の影響を取り除く方法が取られ
ている。洗浄方法には、試薬プローブを水洗浄する方法(水洗い)と、影響を受ける測定
項目の試薬をダミーで空き反応管に吐出して試薬プローブの内壁をなじませる洗浄方法(
試薬とも洗い)と、洗剤を試薬プローブに吸入して空き反応管に吐出する洗浄方法(洗剤
洗浄)がある。また、前の測定項目の試薬の影響が出ないように測定項目の順序を自動的
に切り換える方法も考案されている。
【0004】
また、測定に使用した反応管を洗浄してつぎの測定に使用するため、反応管を経由して
前回の測定項目の影響を除くため、予め試薬が干渉する測定項目の組み合わせを設定し、
該当する測定項目の組み合わせが生じたときには、その反応管を測定に供さない方法が取
られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−293448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来の技術においては、前の測定項目の試薬の影響を除去するのに1回の
試薬プローブ洗浄では足りないため、試薬プローブの洗浄回数を増加させなければならず
、この種の自動分析装置においては予め洗浄回数も設定するようになった。このため、測
定項目の組み合わせが単に前の測定項目だけにとどまらず、前の測定項目を飛び越えて影
響することが指摘されるに至り、臨床検査技師から測定結果の信頼を受けるには不十分で
あった。また、前の測定項目を飛び越えて影響することも考慮した測定項目の順序を切り
換える方法が考案されていないため、頻繁に入る試薬プローブ洗浄のため処理能力を落と
していた。
【0007】
近年の臨床検査室において、反応管が汚れ易い測定項目も自動分析装置で測定したいと
の要望がある。それらの測定項目は反応管の洗浄が1周や2周では除去できないため、自
動分析装置で測定することができなかった。
【0008】
本発明は、試薬プローブの試薬の干渉が前の測定項目を飛び越えて影響することなく、
試薬プローブの洗浄が頻繁に入らないよう測定項目の順序を自動的に切り換え、反応管が
汚れやすい測定項目も測定可能な自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明においては、試薬プローブ経由で試
薬干渉する測定項目と試薬干渉を受ける測定項目の組み合わせと洗浄方法、洗浄回数を設
定し、該当する測定項目の組み合わせが生じたときに設定された洗浄方法で試薬プローブ
を洗浄する洗浄手段を備え、前記洗浄方法の試薬とも洗い、洗剤洗浄、水洗いの種別によ
り、設定された前記洗浄回数の適用を変えることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために請求項6に記載の本発明においては、予め反応管経由
で試薬干渉する測定項目と試薬干渉を受ける測定項目の組み合わせを設定し、該当する測
定項目の組み合わせが生じたときに、その反応管を測定に使用しないランダム方式の自動
分析装置において、試薬干渉の前記測定項目の組み合わせと洗浄回数を予め記憶している
前記反応管の試薬干渉表と、設定される洗浄の最大回数分以上の前記反応管個々の測定履
歴を記憶する反応管情報部と、記憶している前記反応管情報部の測定履歴に測定しようと
している項目に影響を与える項目有無を調べる試薬干渉チェック部を設け、反応管経由で
試薬干渉しない場合にのみ、その反応管を測定に供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、試薬プローブの試薬の干渉が前の測定項目を飛び越えて影響すること
なく、試薬プローブの洗浄が頻繁に入らないよう測定項目の順序を自動的に切り換え、反
応管が汚れやすい測定項目も測定可能な自動分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態による自動分析装置の構成を説明するための概略図を示す。
【図2】本発明の実施の形態による自動分析装置の制御系を説明するための概略図を示す。
【図3】本発明の実施の形態による反応容器の配列を説明するための概略図を示す。
【図4】本発明の実施の形態によるサンプリングプローブ及び試薬プローブに接続される配管系統図を示す。
【図5】本発明の実施の形態による洗浄ノズルに接続される配管系統図を示す。
【図6】本発明の実施の形態による洗浄制御を説明するための図を示す。
【図7】本発明の実施の形態による洗浄制御を説明するための図を示す。
【図8】本発明の実施の形態による洗浄制御を説明するための図を示す。
【図9】本発明の実施の形態による洗浄制御を説明するための図を示す。
【図10】本発明の実施の形態による洗浄制御を説明するための図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明が適用された自動
分析装置の1実施の形態を示す構成図であり、図2はその制御系を示す図である。
【0013】
図1において、サンプラ1はサンプルディスク2とこれを回転させる駆動部(不図示)
を備え、サンプルディスク2には測定する試料液を満たした試料容器4が円周上に並べら
れ、これらの試料容器は必要に応じてサンプリングアーム3による試料吸入位置まで回転
移送される。サンプリングアーム3は、試料容器4内の試料液を採取して反応部に分注す
るものであり、該サンプリングアーム3に保持されるサンプリングプローブ5はサンプリ
ングアーム3の回転動作と上下動作により回転軌道下にある試料吸入位置、サンプリング
プローブ5の洗浄プール6位置、試料分注位置で回転停止し得るようになっている。そし
て、それぞれの位置で試料容器内、洗浄プール内、反応容器内にサンプリングプローブ5
の先端を降ろすことができ、かつその上方へ引き上げることができる。
【0014】
反応ディスク7はその円周上に複数の反応容器8を有し、これを回転させる駆動部(不
図示)を備え、反応容器8は試料分注位置から試薬位置を経由して洗浄エレベータ9の方
向へと1回転と1反応容器ピッチ移送する。1回転と1反応容器ピッチ回転する間に測光
部10の光軸を横切る反応容器の光量を計測する。図3は反応ディスク7をホームポジシ
ョンにしたときの図で反応容器番号と試料分注、試薬分注などの操作位置が記載されてい
る。
【0015】
また、図1に示す試薬庫11は複数の試薬と洗剤を各容器に蓄えるものであり、当該試
薬あるいは洗剤を分注する試薬アーム12に保持される試薬プローブ13は試薬アーム1
2の回転動と上下動により回転軌道下にある任意の試薬瓶位置、試薬分注位置、試薬プロ
ーブ13の洗浄プール14位置で回転停止される。そして、任意の試薬瓶位置、試薬プロ
ーブ13の洗浄プール14位置で試薬瓶内あるいは洗浄プール内に試薬プローブ13先端
を降ろすことができ、かつその上方へ引き上げることができるようになっている。
【0016】
また、当該自動分析装置は、その制御系として図2に示す如くインターフェイス40を
介してプリンタ15、CRT16、操作部17、制御部18、サンプリングポンプ19、
試薬ポンプ20、アルカリ洗剤21及び酸性洗剤23の残量を検出する管圧センサ22,
24と、図1のサンプラ1、サンプリングアーム3、反応ディスク7、洗浄エレベータ9
、測光部10、試薬アーム12に接続されている。
【0017】
図4はサンプリングプローブ5及び試薬プローブ13に接続される流路系を示す流れ図
である。同図において、サンプリングプローブ5はテフロン(登録商標)チューブでサン
プリングポンプ19に接続され、サンプリングポンプ19のシリンジの横からサンプリン
グ電磁弁27、分岐管28、プローブ内壁洗浄ポンプ29へと流路が接続され、この流路
には通常純水が満たされている。また、サンプリング電磁弁27のもう一方の流路はドレ
インパイプ(不図示)を介し装置外部の廃水へと流路が形成されている。そして、プロー
ブ内壁洗浄ポンプ29が作動すると分岐管28の方向へ純水が供給され、このときサンプ
リング電磁弁27が作動していない際には純水が廃水側へ導かれるように流路が通じ、作
動すると純水がサンプリングプローブ5へと供給される。
【0018】
サンプリングプローブ5の洗浄プール6は排水孔6aと純水噴射孔6bで構成され、排
水孔6aは重力差で廃水側へと流れるように接続されている。純水噴射孔6bは図示しな
い給水ポンプの作動で純水が供給される。
【0019】
試薬プローブ13はテフロン(登録商標)チューブで試薬ポンプ20に接続され、試薬
ポンプ20のシリンダの横から試薬電磁弁26、分岐管28、プローブ内壁洗浄ポンプ2
9へと流路が接続され、この流路には通常純水で満たされている。また、試薬電磁弁26
のもう一方の流路は装置外部の廃水へと流路が形成されている。そして、試薬電磁弁26
が作動していないときは、純水が廃水側へ導かれるように流路が通じ、作動させると純水
が試薬プローブ13へと供給される。
【0020】
試薬プローブ13の洗浄プール14は排水孔14aと純水噴射孔14bで構成され、排
水孔14aは重力差で廃水側へと流れるように接続されている。純水噴射孔14bは図示
しない給水ポンプの作動で純水が供給される。
【0021】
図5は図1に示した洗浄エレベータ9に接続される流路系を示す図である。洗浄エレベ
ータ9は6個の洗浄ノズル30と排水ノズル31と乾燥棒32を保持し、上下動により洗
浄ノズル30と排水ノズル30と乾燥棒32を反応容器8内に降ろすことができる。洗浄
ノズル30は排水孔と噴射孔で構成され、排水孔は洗浄ポンプ33の排水シリンジ、集合
管34へと接続され、洗浄ポンプ33の作動で排水される。純水で洗浄する洗浄ノズル3
0の噴射孔は洗浄ポンプ35の給水シリンジ、分岐管36へと流路が接続され、洗浄ポン
プ35の作動で噴射孔へ純水が供給される。
【0022】
アルカリ洗剤21および酸性洗剤23で洗浄するそれぞれの洗浄ノズル30a,30b
の噴射孔は洗剤ポンプ37のアルカリ性洗剤あるいは酸性洗剤の洗剤シリンジ、アルカリ
洗剤21の瓶あるいは酸性洗剤23の瓶に接続され、更に、該洗剤ポンプ37の洗剤シリ
ンジと洗浄ポンプ35の給水シリンジが接続されている。そして、洗剤ポンプ37と洗浄
ポンプ35を同時に作動させて希釈された洗剤を洗浄ノズル30a,30bに供給する。
乾燥棒32は管の周壁に小径の孔が開けられ、その周囲が吸水性のある材質で覆われたも
のであり、真空ポンプ38の動作により乾燥棒からの排水が行われる。
【0023】
図2に示す制御部18はμ−CPU39、プログラムを記憶するROM41、データを
記憶するRAM42、図示しないタイマで構成され、サンプラ1、サンプリングアーム3
、サンプリングポンプ19、サンプリング電磁弁27、プローブ内壁洗浄ポンプ29、反
応ディスク7、洗浄エレベータ9、試薬アーム12、試薬ポンプ20、洗浄ポンプ33,
35、洗剤ポンプ37、真空ポンプ38、測光部10、操作部17、CRT16及びプリ
ンタ15をインターフェイス10を介して制御する。
【0024】
また、制御部18はオペレータが操作する操作部17から測定条件(試料分注量、試薬
位置、試薬分注量、試薬の界面活性剤の有無、測定波長など)を受け付け、記憶し、CR
T16に表示する。また、同様に試薬プローブ経由の試薬干渉する測定項目組み合わせ、
洗浄方法、洗浄回数と、反応容器経由の試薬干渉する測定項目組み合わせ、洗浄回数を操
作部17から受け付け、記憶し、CRT16に表示する。また同様に測定する項目、サン
プラ1に置かれた試料のポジションと試料のIDを操作部17から受け付け、記憶し、C
RT16に表示する。測定結果は制御部18にて計算され、プリンタ15へ出力する。
【0025】
プログラムを記憶するROM41は周知のように、タイマの計時を利用して時分割処理
(TSS)するシステムにより構築され、多数のプログラムが時分割された時間だけ実行
されることで見かけ上、同時に処理が行われる。
【0026】
なお、プログラムには測定動作を指揮・統合するMAINプログラムと試料分注シーケ
ンスプログラム、試薬分注シーケンスプログラム、プローブ洗浄シーケンスプログラム、
反応ディスクシーケンスプログラム、演算処理プログラムがある。
【0027】
データを記憶するRAM42には試料をカウントする試料カウンタ、各反応容器に対応
して測定している試料番号と測定項目と試薬プローブの洗浄方法のマークと過去に測定し
た測定項目履歴を記憶する反応容器情報、試料分注位置の反応容器番号、測光部で計測し
た光量、過去の測定項目を記憶する測定履歴が記憶される。
【0028】
次に、図6乃至図10に示したフローチャートを参照しながら、本実施の形態の動作を
説明する。測定する試料をオペレータがサンプルディスク2に並べ、操作部17のスター
トボタンを押すと、自動分析装置の動作が開始される。
【0029】
図6に示す本発明の自動分析装置による分析動作処理の流れは、まず最初に分析パラメ
ータの登録が行われる。この登録後に分析結果に影響する測定動作の組み合わせの登録が
行われる。この登録は装置内に記憶される。登録された組み合わせを洗浄の程度を示す重
度に応じて洗浄順を並び替える。この順序の並び替えは、試薬とも洗い、洗剤洗い、水洗
いの順で回数の多い順に並べられる。これは並べられた順で測定項目の試薬干渉を調べる
ためである。
【0030】
次に、測定項目の依頼入力が行われる。この依頼入力の後に一つの検体の測定依頼の取
り出しがおこなわれ、この取り出された依頼を試薬プローブの試薬干渉に関係しない測定
項目群(a)、試薬干渉を一方的に受ける測定項目群(b)、試薬干渉を受けると共に与
える測定項目群(c)、試薬干渉を与える測定項目群(d)に分別する。この分別の後に
分別された測定項目群(a)、(b)、(c)、(d)の内容を接続して測定順序の作成
が行われ、測定項目Tをピックアップする。この測定項目Tがピックアップされた後に、
試薬干渉表を全て調べたか否かの判断が行われる。この判断が「yes」ならば図6に示
すように測定履歴を更新し、その後に通常の分析ならびに測定が行われる。
【0031】
「no」の場合には、試薬の干渉表の洗浄方式のうち、どの洗浄方式であるかを判断す
る。こうして判断される洗浄方式は、試薬とも洗い、洗剤洗い、水洗いの3通りであり、
図7〜図10にはそれぞれの洗浄方式に基づいての制御の流れを示す。
【0032】
図7は、試薬とも洗いの場合であり、測定履歴の中に測定項目Tに影響する測定項目が
あるか否かが判断される。この判断で「No」ならば制御の流れをバイパスし、「Yes
」の場合は、次に、指定された洗浄回数だけ測定項目Tの試薬をダミー吐出する。ダミー
吐出した回数だけ測定項目Tに測定履歴を更新する。
たとえば、測定履歴がD、C、B、Aの若い順で並んでいる場合は、測定項目Tを測定
しようとした時点で試薬とも洗いが4回行われる。
【0033】
図8は、洗剤洗いの第1の制御であり、測定項目Tに影響するか否かが判断される。こ
の判断で「No」ならば制御の流れをバイパスし、「Yes」の場合は、次に、指定され
た洗浄回数から影響する項目までの項目数を差し引いた回数だけ洗剤吐出が行われる。洗
剤吐出した回数だけ測定履歴を洗剤に更新する。この制御の流れでは、大概の測定試薬に
界面活性剤を含むため、測定履歴に影響する項目が有るか否かを試薬干渉組み合わせの洗
浄回数だけしらべる。たとえば、測定履歴がD,C,B,Aの若い順で並んでいる場合は
、D,C、Bの3項目が洗剤洗浄が必要な測定項目Aに至るまでの間に存在する。このた
め4回の洗剤洗浄の指定に対して3項目は洗剤洗浄の必要が無いので、結果として1回の
洗剤洗浄が行われる。
【0034】
図9は、洗剤洗いの第2の制御であり、測定項目Tに影響するか否かが判断される。こ
の判断で「No」ならば制御の流れをバイパスし、「Yes」の場合は、次に、指定され
た洗浄回数から影響する項目までの項目数を除き、この結果に界面活性剤の入っていない
項目数分の回数だけ洗剤の吐出を行う。この洗剤洗いの第2の制御では、界面活性剤の使
用の有無に着目した制御を行っている。
【0035】
測定履歴に影響する項目があるか試薬干渉組み合わせの洗浄回数と、および界面活性剤
なしの項目数だけ調べる。図9において、測定履歴がD、C,B,Aである場合で、D,
C,Bの3項目のうち項目Bのみが界面活性剤が含まれなく、項目C、項目Dにはそれぞ
れ界面活性剤があるとする。試薬干渉の組み合わせは測定項目Aを洗浄の目的・対象とな
る測定項目Tと設定するので、設定された洗浄回数は4回である。この洗剤洗浄の4回の
設定に対して洗剤洗浄4回から項目D,C、Bの3項目を減算する。この結果に対して項
目Bは界面活性剤を含んでいないので、1回の洗剤洗浄として加算する。このため合計で
2回の洗剤洗浄が行われることとなる。この洗剤洗浄の後に洗剤吐出した回数だけ測定履
歴を洗剤に更新する。
【0036】
図10は、水洗いの制御であり、測定項目Tに影響するか否かが判断される。
この判断で「No」ならば制御の流れをバイパスし、「Yes」の場合は、次に、指定
された洗浄回数から影響する項目までのサイクル数を減算する。この減算により得られた
回数に基づき水洗い(空きサイクル)が行われる。
【0037】
この制御は反応管情報に測定しようとしている測定項目Tに影響する測定項目があるか
試薬干渉組み合わせの洗浄回数だけ調べる。反応管情報部において項目設定の情報処理段
階で測定項目Tが設定される。この測定項目Tに影響するのは測定項目Aであり、制御の
内容は4回の水洗いである。測定項目はD,C,B,Aの4項目があるものの、測定項目
のD、C、Bは試薬干渉が起きないので、3回分の水洗いとしてカウントする。従って、
4回の水洗いの設定に対して3回分は完了することとなり、残りの1回の水洗いが項目A
にてなされるように制御される。
【0038】
以上説明した本発明によれば、予め試薬プローブ経由で試薬干渉する測定項目と試薬干
渉を受ける測定項目の組み合わせと洗浄方法、洗浄回数を設定し、該当する測定項目の組
み合わせが生じたときに設定された洗浄方法で試薬プローブを洗浄する試薬ピペット方式
の自動分析装置において、
(1)洗浄方法の試薬とも洗い、洗剤洗浄、水洗いの順で、更に各洗浄方法の中でも洗浄
回数の多い試薬干渉の測定項目の組み合わせから、測定項目の順序を調べることを特徴と
している。
【0039】
(2)試薬プローブの試薬干渉回避洗浄の洗浄方法の試薬とも洗い、洗剤洗浄、水洗いに
より、設定された洗浄回数の適用を変えることを特徴としている。
【0040】
(3)過去の測定項目を所定数記憶する測定履歴部と測定履歴部に測定しようとしている
項目に影響を与える項目があるか調べる試薬干渉チェック部を設け、記憶している測定履
歴部に測定しようとしている項目に影響を与える測定項目がある場合は、試薬プローブを
設定された回数だけ試薬とも洗い洗浄する手段を備えたことを特徴としている。
【0041】
(4)過去の測定項目を所定数記憶する測定履歴部と測定履歴部に測定しようとしている
項目に影響を与える項目があるか調べる試薬干渉チェック部を設け、記憶している測定履
歴部を洗浄回数だけ過去に遡り、その範囲の中に影響を与える測定項目がある場合は、試
薬プローブを設定された洗浄回数+1から影響を与える測定項目までのサイクル数を差し
引いた回数だけ洗浄洗浄する手段を備えたことを特徴としている。
【0042】
(5)個々の測定項目の試薬の界面活性剤の添加有無を試薬情報として予め登録・記憶す
る測定パラメータ部と過去の測定項目を所定数記憶する測定履歴部と測定履歴部に測定し
ようとしている項目に影響を与える項目があるか調べる試薬干渉チェック部を設け、記憶
している測定履歴部を洗浄回数と界面活性剤が無添加の項目数だけ過去に遡り、その範囲
の中に影響を与える測定項目がある場合は、試薬プローブを設定された洗浄回数+1から
影響を与える測定項目までの界面活性剤が添加されている測定項目数を差し引いた回数だ
け洗剤洗浄する手段を設けたことを特徴としている。
【0043】
(6)試薬分注位置の近傍に試薬分注する反応管が存在するときに試薬プローブを水洗浄
する制御部と、各反応管の現在の測定項目を記憶する反応管情報部と反応管情報部に測定
しようとしている項目に影響を与える項目があるか調べる試薬干渉チェック部を設け、
記憶している反応管情報部を洗浄回数だけ過去に遡り、その範囲の中に影響を与える測
定項目がある場合は、試薬プローブを設定された洗浄回数+1から影響を与える測定項目
までのサイクル数を差し引いた回数だけ試薬プローブを水洗浄する手段を設けたことを特
徴としている。
【0044】
(7)前述(1)〜(6)において、測定しようとしている試料の測定項目から、試薬プ
ローブの試薬干渉を受ける測定項目と与える測定項目が存在する測定項目の組み合わせを
抽出し、測定しようとしている試料の測定項目を
(a)試薬プローブの試薬干渉に関係しない測定項目群
(b)試薬プローブの試薬干渉を一方的に受ける測定項目群
(c)試薬プローブの試薬干渉を受けるとともに与える測定項目群
(d)試薬プローブの試薬干渉を与える測定項目群
に分類し、(a),(b),(c),(d)順、あるいは(b),(c),(d),(a
)順、あるいは(c),(d),(a),(b)順、あるいは(d),(a),(b),
(c)順のいずれかに測定順序を決定する手段により、
予め登録された試薬干渉する測定項目の組み合わせと洗浄方法、洗浄回数から試薬干渉
の発生し難い測定順序を決定することを特徴としている。
【0045】
また、予め反応管経由で試薬干渉する測定項目と試薬干渉を受ける測定項目の組み合わ
せを設定し、該当する測定項目の組み合わせが生じたときに、その反応管を測定に使用し
ないランダム方式の自動分析装置において、
(8)試薬干渉の測定項目の組み合わせと洗浄回数を予め記憶している反応管の試薬干渉
表と、設定される洗浄の最大回数分以上の反応管個々の測定履歴を記憶する反応管情報部
と、記憶している反応管情報部の測定履歴に測定しようとしている項目に影響を与える項
目があるか調べる試薬干渉チェック部を設け、反応管経由で試薬干渉しない場合にのみ、
その反応管を測定に供する手段を設けたことを特徴としている。
【0046】
これらの本発明の自動分析装置の備える特徴的な構成により、試薬プローブの試薬干渉
の組み合わせを重度の洗浄を要するものから測定項目の順序を調べることで見落とすこと
なく、設定された洗浄回数で測定履歴を遡ることで前の測定項目を飛び越えて試薬干渉す
ることのない信頼性の高い測定結果を得ることができる。
【0047】
また、洗剤洗浄のプローブ洗浄は試薬に添加されている界面活性剤の効果も加味して効
率よく洗浄する手段と、水洗浄のプローブ洗浄は毎サイクル行われるプローブの水洗浄も
加味して効率よく洗浄する手段により、試薬プローブの試薬干渉の回避洗浄を少なくする
ことができる。また、試薬プローブの試薬干渉の発生しにくい測定順序を自動的に判断し
て効率よく測定できる。
【0048】
また、反応管経由の試薬干渉の測定項目の組み合わせと洗浄回数を設定し、十分に洗浄
した反応管を測定に供することにより信頼性の高い測定結果を得るとともに、反応管が汚
れやすい測定項目も自動化することが可能になる。
【0049】
なお、以上説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたもので
あって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施の形
態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む
趣旨である。
【符号の説明】
【0050】
1…サンプラ、2…サンプルディスク、3…サンプリングアーム、4…試料容器、5…
サンプリングプローブ、6…洗浄プール、7…反応ディスク、8…反応容器、9…洗浄エ
レベータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬プローブ経由で試薬干渉する測定項目と試薬干渉を受ける測定項目の組み合わせと洗
浄方法、洗浄回数を設定し、該当する測定項目の組み合わせが生じたときに設定された洗
浄方法で試薬プローブを洗浄する洗浄手段を備え、
前記洗浄方法の試薬とも洗い、洗剤洗浄、水洗いの種別により、設定された前記洗浄回
数の適用を変えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
過去の測定項目を所定数記憶する測定履歴部と測定履歴部に測定しようとしている項目に
影響を与える項目の有無を調べる試薬干渉チェック部を設け、
記憶している前記測定履歴部に測定しようとしている項目に影響を与える前記測定項目
がある場合は、前記試薬プローブを少なくとも設定された回数試薬とも洗い洗浄すること
を特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
過去の前記測定項目を所定数記憶する測定履歴部と、この測定履歴部に測定しようとして
いる項目に影響を与える項目の有無を調べる試薬干渉チェック部を設け、
記憶している前記測定履歴部を洗浄回数だけ過去に遡り、その範囲の中に影響を与える
前記測定項目がある場合は、前記試薬プローブを少なくとも設定された洗浄回数から影響
を与える前記測定項目までの測定項目数を差し引いた回数洗剤洗浄することを特徴とする
請求項1記載の自動分析装置。
【請求項4】
個々の測定項目の試薬の界面活性剤の添加有無を試薬情報として予め登録・記憶する測
定パラメータ部と、
過去の測定項目を所定数記憶する測定履歴部と、この測定履歴部に測定しようとしてい
る項目に影響を与える項目の有無を調べる試薬干渉チェック部を設け、
記憶している測定履歴部を洗浄回数だけ遡り、その範囲の中に影響がある場合は、前記
試薬プローブを少なくとも設定された洗浄回数から影響を与える前記測定までの測定項目
数を差し引き、更にその間の界面活性剤が入っていない測定項目数を加えた回数洗剤洗浄
することを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項5】
試薬分注位置の近傍に試薬分注する反応管が存在するときに前記試薬プローブを水洗浄す
る制御部と、各前記反応管の現在の測定項目を記憶する反応管情報部と、この反応管情報
部に測定しようとしている項目に影響を与える項目の有無を調べる試薬干渉チェック部を
設け、
記憶している反応管情報部を洗浄回数だけ過去に遡り、その範囲の中に影響を与える測
定項目がある場合は、前記試薬プローブを設定された洗浄回数から影響を与える測定項目
までのサイクル数を差し引いた回数だけ試薬プローブを水洗浄することを特徴とする請求
項1記載の自動分析装置。
【請求項6】
予め反応管経由で試薬干渉する測定項目と試薬干渉を受ける測定項目の組み合わせを設定
し、該当する測定項目の組み合わせが生じたときに、その反応管を測定に使用しないラン
ダム方式の自動分析装置において、
試薬干渉の前記測定項目の組み合わせと洗浄回数を予め記憶している前記反応管の試薬
干渉表と、
設定される洗浄の最大回数分以上の前記反応管個々の測定履歴を記憶する反応管情報部
と、
記憶している前記反応管情報部の測定履歴に測定しようとしている項目に影響を与える
項目有無を調べる試薬干渉チェック部を設け、
反応管経由で試薬干渉しない場合にのみ、その反応管を測定に供することを特徴とする
自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−48827(P2010−48827A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273468(P2009−273468)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【分割の表示】特願2000−119460(P2000−119460)の分割
【原出願日】平成12年4月20日(2000.4.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】