説明

自動分析装置

【課題】本発明は、補充試薬容器保管庫に置かれる補充試薬容器で使用期限切れや分析ユニットでの分析に供給できない補充用の試薬容器を排除し、分析に供給できる補充用の試薬容器を出来るだけ多く補充試薬容器保管庫に備えることで、分析中に試薬不足を発生させず、分析動作中断を最小化する自動分析装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、分析機構および分注用の試薬容器を保管する分注用試薬容器保管庫を備える分析ユニット部と、前記分注用試薬容器として供給される補充用の試薬容器を予め保管して置く補充用試薬容器保管庫が備わる試薬補充ユニット部と、前記分注用の試薬容器として供給ができない前記補充用の試薬容器を前記補充用試薬容器保管庫から排除する試薬容器排除手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿などの検体を分析する自動分析装置に係り、試薬容器を交換する自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液、尿などの検体を分析する自動分析装置は、処理検体数の増加、測定項目の増加に伴い、試薬消費のスピードが速くなり、試薬容器交換の機会が増加している。一方、人件費等のコストを低減させるため可能な限りオペレータへの作業低減が求められており、試薬容器交換作業の簡素化が望まれている。
【0003】
また、自動分析装置の検体処理速度も高速化してきており、試薬交換作業においてもは、自動分析装置の動作を止めないことで分析動作の中断を最小限にすることが望まれている。
【0004】
例えば、特開2005−37171公開特許公報(特許文献1)では、分析ユニットにある試薬ディスク(分注試薬容器保管庫)とは別に、交換用に用いる補充試薬容器を保管する補充試薬容器保管庫を設け、補充試薬容器保管庫から試薬ディスク(分注試薬容器保管庫)に補充試薬容器を搬送する試薬搬送手段を設けることにより、試薬交換の作業の簡素化および分析作業中断の最小化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−37171公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1は、廃棄口を1つ備えている。試薬容器から外したキャップ(蓋栓)は廃棄口より廃棄される。また、使用済みの試薬容器は試薬ディスクより試薬保持手段で持ち運んで廃棄口から廃棄される。
【0007】
試薬ディスクに存在する試薬容器で使用期限切れや分析ユニットで分析が行えない目的外の試薬容器については、使用済みの試薬容器と同様に廃棄口に運び、オペレータが選別して廃棄するようにしていた。またオペレータが該当する試薬容器を取り出すまで自動分析装置を停止させていた。
【0008】
また、交換用に用いる補充用の試薬容器を保管する補充試薬容器保管庫が保冷機能を保持していない場合、試薬劣化などを考慮すると、その日の内に使用しなかった未交換の試薬容器は補充試薬容器保管庫から意図的に排出し、別の保冷機能が備わった保管庫で保管することが望まれる。この未交換の試薬容器を別の保管庫へ移しかえるときも、使用済みの試薬容器も同様、廃棄口から搬出される。この別の保管庫へ移しかえでも、オペレータが該当する試薬容器を選別して取り出すしかなかった。
【0009】
また、補充試薬容器保管庫に置かれる補充用の試薬容器で使用期限切れや分析ユニットで分析が行えない目的外の試薬容器に関し、その取り扱いについては何の配慮もされていない。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑み、補充試薬容器保管庫に置かれる補充試薬容器で使用期限切れや分析ユニットでの分析に供給できない補充用の試薬容器を排除し、分析に供給できる補充用の試薬容器を出来るだけ多く補充試薬容器保管庫に備えることで、分析中に試薬不足を発生させず、分析動作中断を最小化する自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、分析機構および分注用の試薬容器を保管する分注用試薬容器保管庫を備える分析ユニット部と、前記分注用試薬容器として供給される補充用の試薬容器を予め保管して置く補充用試薬容器保管庫が備わる試薬補充ユニット部と、前記分注用の試薬容器として供給ができない前記補充用の試薬容器を前記補充用試薬容器保管庫から排除する試薬容器排除手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、分析ユニット部に供給ができない補充用の試薬容器を前記補充用試薬容器保管庫から排除する試薬容器排除手段を有することにより、分析ユニット部に供給できる補充用の試薬容器を出来るだけ多く補充試薬容器保管庫に備えることができる。これにより、分析中に試薬不足を発生させず、分析動作中断を最小化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1に係るもので、自動分析装置の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施例2に係るもので、自動分析装置の概要を示す図である。
【図3】本発明の実施例3に係るもので、自動分析装置の概要を示す図である。
【図4(A)】本発明の実施例1に係るもので、自動分析装置に備える試薬容器排除手段の平面図である。
【図4(B)】本発明の実施例1に係るもので、自動分析装置に備える試薬容器排除手段の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
まず、実施例1に関し、図1、図4(A)、図4(B)に基づいて説明する。
【0016】
自動分析装置は、分析ユニット部10および試薬補充ユニット部11を有する。分析ユニット部10と試薬補充ユニット部11は別体であるが、一体に形成することも可能である。別体の場合は分析ユニット部10だけで単体使用することが可能である。
【0017】
分析ユニット部10は、分注用の試薬容器を保管する分注用試薬容器保管庫(A)28、分注用試薬容器保管庫(B)29を有する。分注用試薬容器保管庫(A)28は試薬補充ユニット部11に近い方に、分注用試薬容器保管庫(B)29は試薬補充ユニット部11から離れた方に位置する。分注用試薬容器保管庫(B)29の周囲には、反応容器、測定器を含む分析機構33が配置される。
【0018】
分注用試薬容器保管庫(A)28、分注用試薬容器保管庫(B)29、分析機構33は回転自在なるディスクになっている。分注用試薬容器保管庫(A)28、分注用試薬容器保管庫(B)29には、二つのディスクが二重になるように内外周に配置されている。
【0019】
分注用試薬容器保管庫(A)28の上側には試薬容器投入口(A)30が、分注用試薬容器保管庫(B)29の上側には試薬容器投入口(B)31が備えられ、ここから分注用の試薬容器がディスクに収められる。
【0020】
分析ユニット部10は試薬容器を運ぶ試薬移送手段が備わる。試薬移送手段は試薬補充ユニット部側に備わる第1試薬容器移送機構と、試薬補充ユニット部側に備わる第2試薬容器移送機構と、試薬補充ユニット部側に備わる試薬容器移送中継部を含む。
【0021】
第2試薬容器移送機構、および試薬容器移送中継部について述べる。
【0022】
第2試薬容器移送機構は搬送機構を構成する搬送ガイドレール27A、27B等で構成される。分析ユニット部10は分注用試薬容器保管庫(A)28の試薬容器投入口(A)30に隣接するところに試薬容器回転機構32を備える。この試薬容器回転機構32が試薬容器移送中継部になる。また、分析ユニット部10は試薬容器回転機構32を間にして試薬容器投入口(A)30の反対側に廃棄試薬容器収納部26を備える。試薬容器回転機構32は、試薬補充ユニット部11から試薬容器回転機構32に移された試薬容器の向きを変え、分析ユニット部側の第2試薬容器移送機構が試薬容器を持ち易くするのである。
【0023】
分析ユニット部側の第2試薬容器移送機構は搬送ガイドレール27Aが搬送ガイドレール27Bに案内され、試薬容器回転機構32を経由して試薬容器投入口(A)30と廃棄試薬容器収納部26の間を行き来するように構成されている。また、搬送ガイドレール28は分注用試薬容器保管庫(A)28の試薬容器投入口(A)30の部位から分注用試薬容器保管庫(B)29の試薬容器投入口(B)31の部位まで及ぶ長さである。
【0024】
分析ユニット部側の第2試薬容器移送機構は試薬補充ユニット部11から試薬容器回転機構32に移された試薬容器を分注用試薬容器保管庫(A)28の試薬容器投入口(A)30や分注用試薬容器保管庫(B)29の試薬容器投入口(B)31に運んでディスクに収める。また、第2試薬容器移送機構は使用済みの試薬容器を分注用試薬容器保管庫(A)28、分注用試薬容器保管庫(B)29から持ち込んで、廃棄試薬容器収納部26に搬送する。
【0025】
試薬補充ユニット部11は補充用試薬容器保管庫20を備える。補充用試薬容器保管庫20は、分注用試薬容器保管庫(A)28、分注用試薬容器保管庫(B)29に分注用試薬容器として供給される補充用試薬容器12を予め保管して置く。補充用試薬容器保管庫20は回転自在なるディスクになっている。
【0026】
試薬補充ユニット部11は補充用試薬容器補填搬入手段24を有する。補充用試薬容器補填搬入手段24には、補充用の試薬容器12を投入する投入口(図示せず)が設けられている。投入口から入れられた補充用の試薬容器12は補充用試薬容器補填搬入手段24によって補充用試薬容器保管庫20に搬入される。
【0027】
試薬補充ユニット部11は、前述した試薬移送手段に含まれる第1試薬容器移送機構22を備える。補充用試薬容器保管庫20にある補充用試薬容器は第1試薬容器移送機構22で搬送され、分析ユニット部10に備わる試薬移送手段の試薬容器回転機構32に運ばれる。試薬容器回転機構32に運ばれる補充用の試薬容器は試薬容器回転機構32を少し回して補充用の試薬容器の向きが変えられる。向きを変えることにより、補充用の試薬容器を試薬移送手段で分注用試薬容器保管庫(A)28または分注用試薬容器保管庫(B)29に移送する持ち運びがし易くなる。
【0028】
試薬補充ユニット部11は補充用試薬容器保管庫20にある補充用の試薬容器を補充用試薬容器保管庫20から排除する試薬容器排除手段25Aと排除試薬容器置部25Bを有する。試薬容器排除手段25Aは後で詳しく述べる。
【0029】
補充用試薬容器保管庫20にある補充用の試薬容器で分析に使用できない補充用試薬容器は分注用試薬容器保管庫(A)28、(B)29に供給できなので、試薬容器排除手段25Aにより排除試薬容器置部25Bに排除される。
【0030】
試薬補充ユニット部11は補充用試薬容器保管庫20にある補充用の試薬容器の情報を読む試薬情報読取り機構21を有する。試薬情報読取り機構21で読まれた補充用試薬容器の情報は、後述する供給可否判定手段に提供され、分注用試薬容器保管庫(A)28、(B)29に供給しても良いものか否を判定される。
【0031】
供給可否判定手段で分注用試薬容器保管庫(A)28、(B)29に供給することが可のものは、試薬移送手段で分注用試薬容器保管庫(A)28、(B)29に移送されるようになるが、供給することが否のものは試薬容器排除手段25Aで補充用試薬容器保管庫20の外に排除される。
【0032】
試薬補充ユニット部11は補充用の試薬容器に付いて蓋栓を外す蓋栓開放手段23と、外した蓋栓を廃棄する廃棄部34を有する。補充用の試薬容器は補充用試薬容器保管庫20に置かれたもとで蓋栓開放手段23により蓋栓が外され、試薬移送手段で分注用試薬容器保管庫(A)28、(B)29に移送される。
【0033】
試薬容器排除手段25Aについて、図4(A)、図4(B)に沿って説明する。
【0034】
図4(A)は試薬容器排除手段の平面図、図4(B)は試薬容器排除手段の正面図
である。
【0035】
試薬容器排除手段25Aは試薬補充ユニット部11の内部に組み込まれている。試薬容器排除手段25Aは試薬容器を運ぶ試薬容器押し爪107を有する。試薬容器押し爪107は、補充用試薬容器保管庫20の底面を貫いて突き出ているので、試薬容器の側面に係合するようになっている。
【0036】
試薬容器押し爪107は容器排除用モータ101で駆動されるベルト104に連結結合部材106で連結される。ベルト104は二つのプーリ103、104の間に張渡され、
容器排除用モータ101の正転・逆転により移動するので、試薬容器押し爪107は前後に移動する。この前後移動で試薬容器押し爪107に係合する補充用試薬容器保管庫20は運ばれて補充用試薬容器保管庫20から排除される。
【0037】
自動分析装置の制御回路に関し、本発明の実施例に関係するところについて図を用いず概略的に述べる。
【0038】
自動分析装置は、全体を管理する制御コンピュータのもとで管理されて分析作業を行う。この制御コンピュータのもとで分析ユニット部と試薬補充ユニット部は管理制御される。分析ユニット部、試薬補充ユニット部には、制御コンピュータで管理される制御回路や制御装置がそれぞれ備えられている。制御コンピュータは前述した供給可否判定手段の機能も備わっている。オペレータは制御コンピュータの操作画面を見たり、操作部を操作して分析作業を行う。
【0039】
例えば、分析ユニット部、試薬補充ユニット部は、電源部、制御部、各種の機器や各種の機構または各種の手段を駆動制御する駆動部を備える。また、試薬情報読取り機構21を供給可否判定手段、試薬容器排除手段、分析ユニット部での分析測定、分析ユニット部内で行われる試薬容器の搬送や廃棄等が制御操作される。
【0040】
また、同様に試薬補充ユニット部への試薬容器の搬入、試薬補充ユニット部から分析ユニット部への試薬容器や分析に使用できない試薬容器を補充用試薬容器保管庫から排除する制御操作、制御回路や制御装置あるいは補充用試薬容器保管庫、分注用試薬容器保管庫の回転駆動制御が制御回路や制御装置によって行われる。
【0041】
次に、試薬容器12の搬入・搬送について説明する。
【0042】
まず、オペレータが試薬容器12を補充用試薬容器補填搬入手段24の投入口より入れると、その試薬容器12は補充用試薬容器補填搬入手段24により補充用試薬保管庫20に移載される。
【0043】
補充用試薬保管庫20に移載された試薬容器12の情報は試薬補充ユニット部11に備わる試薬情報読取り機構21で読まれ、供給可否判定手段21で分注用試薬容器保管庫(A)28、(B)29に分注用試薬容器として供給できるか否かが判定される。
【0044】
すなわち、試薬容器12には試薬残量、ロット、使用期限等の情報が記録されたRFIDのタグが貼付されている。そのタグの情報は、補充用試薬保管庫20の上側に設けられた試薬情報読取り機構21で読み取られ、制御コンピュータに記憶される。制御コンピュータの供給可否判定手段21は、そのタグの情報をもとに使用期限切れ、試薬残量不足など分析に使用できるか否かを判断する。使用が否と判断された試薬容器12は、試薬補充ユニット部11の補充用試薬容器保管庫20から試薬容器排除手段25Aによって自動的に排除試薬容器置部25Bに排除される。
【0045】
このように、補充用試薬容器保管庫20内の試薬容器12は供給可否判定手段21で逐次、分析ユニット部での分析に使用できるか否かが監視され、分析ユニット部で使用できない不要な試薬容器12は補充用試薬容器保管庫20に置かれない。このため、補充用試薬容器保管庫20には、分析ユニット部に供給できる補充試薬容器を出来るだけ多く補充試薬容器保管庫に備えることができる。これにより、分析中に試薬不足を発生させず、分析動作中断を最小化することが可能になる。使用できるか否かのオペレータによる判断が不要になる分析作業の効率化が図られる。
【0046】
分析ユニット部で分析に使用できるものと、供給可否判定手段21で判定された補充用の試薬容器は、補充用試薬容器保管庫20にそのまま置かれて保管される。分析ユニット部10側への移送要求が来ると、該当する補充試薬容器は蓋栓開放手段23のところに送られ、蓋栓開放手段23で蓋栓が外される。そして、蓋栓の外された補充試薬容器は、分析ユニット部10の分注用試薬容器保管庫(A)28、(B)29に分注用試薬容器として試薬移送手段で運ばれる。外された蓋栓は廃棄部34に廃棄される。
【0047】
なお、補充試薬容器を補充用試薬容器保管庫20から分注用試薬容器保管庫(A)28、(B)29に移送する試薬交換のタイミングは試薬不足を起さない範囲であれば、試料サンプリングの切れ間の空きサイクルや、第一の試薬分注と第二の試薬分注の間等を利用し実施する。どうしても間に合わない場合は、試料サンプリングを中断し、中断前の試料への試薬分注終了後に試薬交換を行う。いずれの場合も自動分析装置の状態は分析中であり、自動分析装置を一時停止させ、試薬を補充するものではないため、分析中断の時間を短縮できる。
【0048】
分析ユニット部10内での補充用試薬容器の移送は、補充用試薬容器が分析ユニット部10に設けられた試薬容器回転機構32に設置されたところから始まる。試薬容器回転機構32では、第2試薬容器移送機構で補充用試薬容器の持ち運びがし易いように試薬容器回転機構32の回転により方向が変えられる。
【0049】
補充用試薬容器12は、試薬交換要求に応じて分注用試薬容器保管庫(A)28または分注用試薬容器保管庫(B)29に第2試薬容器移送機構で運ばれる。第2試薬容器移送機構は、試薬残量が少なくなった交換対象の分注用試薬容器を分注用試薬容器保管庫(A)28または分注用試薬容器保管庫(B)29から廃棄試薬容器収納部26は移送する。廃棄試薬容器収納部26には、オペレータが取り出すまで、その分注用試薬容器は置かれる。
【0050】
次に実施例2に関し、図2に沿って詳細に説明する。
【0051】
実施例2の説明は実施例1と違うところを主に述べ、実施例1と共通するところは共通の符号を付して説明は省略する。
【0052】
自動分析装置は、分析ユニット部10と試薬補充ユニット部11を有する。実施例2の分析ユニット部10は廃棄試薬容器収納部26に隣接して試薬容器排出収納部43を設けたところが、特徴で他は図1に示す実施例1と共通である。
【0053】
分注試薬容器保管庫(A)28または分注試薬容器保管庫(B)29に存在する分注用の試薬容器12を、一旦別の試薬保管庫で保管する必要があるときがある。そのときは、オペレータが意図的に操作画面等から指示する。その指示により、試薬移送手段の第2試薬容器移送機構は、分注試薬容器保管庫(A)28または分注試薬容器保管庫(B)29から該当の試薬容器12を持ち出し、試薬容器排出収納部43へ移送する。使用済みの試薬容器12は廃棄試薬容器収納部26に、未使用やまだ使用ができる試薬容器12は試薬容器排出収納部43に分別して収納されるので、その後の試薬容器12の取り扱いが容易である。
【0054】
図2に示す実施例2の試薬補充ユニット部11は、補充用試薬容器補填搬入手段24、
補充用試薬容器保管庫20、試薬容器排出機構25、試薬容器排除手段42、試薬情報読取り機構21、試薬容器搬出機構41、蓋栓開放機構23、蓋栓を外した試薬容器を分析ユニット部10側の試薬容器回転機構32に送り出す試薬容器送出機構22、廃棄部34を有する。前記試薬容器移送手段は、試薬容器搬出機構41、試薬容器送出機構22を含む。
【0055】
蓋栓開放機構23が位置するところには、蓋栓を外す蓋栓開放位置がある。また、蓋栓開放位置は蓋栓を外した試薬容器が試薬容器回転機構32に向け送り出す位置にもなっている。
【0056】
オペレータが補充用試薬容器補填搬入手段24の投入口(図示せず)に補充用の試薬容器を入れると、補充用試薬容器補填搬入手段24は所定の位置まで運ぶ。所定の位置で運ばれて来た試薬容器のタグ情報が試薬情報読取り機構21で読まれる。タグ情報は前述した実施例1と同様に供給可否判定手段21で判定される。使用期限切れ、試薬残量不足など分析に使用できないと判定されると、補充用試薬容器保管庫20に送られことなく、試薬容器排除手段42で試薬容器排出機構25に搬送され、排出される。
【0057】
供給可否判定手段21の判定により、分析に使用可能とされて試薬容器12は前記所定の位置から補充用試薬保管庫20へと補充用試薬容器補填搬入手段24で移送される。
【0058】
補充用試薬保管庫20内に存在する試薬容器12を、一旦別の試薬保管庫で保管する必要があるときがある。そのときは、オペレータが意図的に操作画面等から指示する。その指示により、補充用試薬保管庫20内の該当する試薬容器が試薬容器排除手段42で持ち出されて試薬容器排出機構25に搬送され、排出される。
【0059】
補充用試薬保管庫20内に存在する補充用の試薬容器12に試薬補充要求(試薬交換要求)が来ると、該当する試薬容器は試薬容器搬出機構41で運ばれ、蓋栓開放位置に置かれる。ここで、試薬容器の蓋栓は蓋栓開放機構23で外される。外した蓋栓は廃棄部34に廃棄される。
【0060】
蓋栓が外された試薬容器は試薬容器送出機構22によって蓋栓開放位置から分析ユニット部10側の試薬容器回転機構32に送られる。そして、試薬交換要求があった分注用試薬容器保管庫(A)28または分注用試薬容器保管庫(B)29に試薬容器移送手段の第2試薬容器移送機構で運び届けられる。
【0061】
試薬容器移送手段の第2試薬容器移送機構は試薬容器の補充以外の搬送もする。試薬残量が少なくなった交換対象の試薬容器12を分注試薬容器保管庫(A)28または分注試薬容器保管庫(B)29から廃棄試薬容器収納部26に搬出する。搬出された試薬容器12はオペレータが取り出すまで、廃棄試薬容器収納部26に置かれる。
【0062】
次に実施例3に関し、図3に沿って詳細に説明する。
【0063】
実施例3の説明は実施例1と違うところを主に述べ、実施例1と共通するところは共通の符号を付して説明は省略する。
【0064】
自動分析装置は、分析ユニット部10、試薬補充ユニット部11、試薬容器移送手段を有する。実施例1と実施例3は試薬容器移送手段が相違する。他は実質的に共通であるので、試薬容器移送手段について説明する。
【0065】
試薬容器移送手段27は搬送ガイドレール27A、27Bを有する。搬送ガイドレール27Aは試薬補充ユニット部11から分析ユニット部10に亘って延在する長さを有する。このため、試薬容器移送手段27の左右方向の移送範囲は、試薬補充ユニット部11に備わる補充用試薬容器保管庫20から分析ユニット部10の右側(試薬補充ユニット部11から離れた方側)に備わる分注用試薬容器保管庫(B)29に及ぶ。
【0066】
搬送ガイドレール27Aと交差するように設けられた搬送ガイドレール27Bは分析ユニット部10の前後方向に延在する。搬送ガイドレール27Bの長さは分析ユニット部10に備わる分注用試薬容器保管庫(A)28の外径に近い範囲に及ぶ長さである。
【0067】
このように、交差する搬送ガイドレール27A、27Bで構成した試薬容器移送手段27は、分析ユニット部10に備わる分注用試薬容器保管庫(A)28、分注用試薬容器保管庫(B)29、および試薬補充ユニット部11に備わる補充用試薬容器保管庫20に亘って広範囲に試薬容器を搬送できる一つの試薬容器移送機構部になっている。
【0068】
前述した実施例1に備わる試薬容器移送手段は、試薬移送手段は試薬補充ユニット部側に備わる第1試薬容器移送機構と、試薬補充ユニット部側に備わる第2試薬容器移送機構と、試薬補充ユニット部側に備わる試薬容器移送中継部を含む三つの移送機構部から構成されている。
【0069】
実施例3の試薬容器移送手段は一つの試薬容器移送機構部で出来ているので、実施例1の試薬容器移送手段に比べ、構成が簡単で作り易い。また、三つの移送機構部から出来ている試薬容器移送手段は試薬容器移送中継部で受け渡しの作業が介在する。しかし、実施例3の試薬容器移送手段は一つの試薬容器移送機構部で出来ているので、受け渡しが不要で搬送が能率的に行われる。
【0070】
その他の実施例について、図を用いずに概略的に説明する。
【0071】
分析では、分注用試薬容器保管庫に存在する分注用の試薬容器以外の試薬を必要とすることがある。このときは、分析対象とする検体の検査項目に対応する試薬を調べ、その試薬が入っている補充用の試薬容器を試薬容器移送手段で補充用試薬容器保管庫から搬出して分注用試薬容器保管庫に移すことで対応する。
【0072】
補充用試薬容器保管庫に保管する補充用の試薬容器は蓋栓をしたままで保管されるが、分注用試薬容器保管庫での保管に比べ長くなる。補充用試薬容器保管庫に保冷機能を備えることで、補充用の試薬容器内の試薬は保存状態が良好に保たれる。
【0073】
補充用の試薬容器は分注用試薬容器保管庫に移送する前に補充用試薬容器保管庫がある試薬補充ユニット部側で試薬容器の蓋栓を外す。蓋栓を外す蓋栓開放手段は、実施例2、実施例3に備わる試薬容器移送手段に設けることにより、試薬補充ユニット部の構成を簡単化できる。
【0074】
試薬容器に付されるタグ情報を読む読み取り手段は試薬容器移送手段に設けることにより、試薬補充ユニット部の構成を簡単化できる。
【符号の説明】
【0075】
10…分析ユニット部
11…試薬補充ユニット部
12…試薬容器
20…補充用試薬容器保管庫
21…読み取り手段
22…第1試薬容器移送機構
23…蓋栓開放手段
24…補充用試薬容器補填搬入手段
25A…試薬容器排除手段
26…廃棄試薬容器収納部
27…試薬容器移送手段
28…分注用試薬容器保管庫(A)
29…分注用試薬容器保管庫(B)
30…試薬容器投入口(A)
31…試薬容器投入口(B)
32…試薬容器回転機構
33…分析機構
34…廃棄部
41…試薬容器搬出機構
42…試薬容器排除手段
43…試薬容器排出収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析機構および分注用の試薬容器を保管する分注用試薬容器保管庫を備える分析ユニット部と、前記分注用の試薬容器として供給される補充用の試薬容器を予め保管して置く補充用試薬容器保管庫が備わる試薬補充ユニット部と、前記分注用の試薬容器として供給ができない前記補充用の試薬容器を前記補充用試薬容器保管庫から排除する試薬容器排除手段を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記補充用試薬容器保管庫に存在する前記補充用の試薬容器を前記分注用の試薬容器として供給できるか否を判定する供給可否判定手段を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記試薬補充ユニット部は前記試薬容器排除手段で排除された試薬容器を置く排除試薬容器置部を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記試薬補充ユニット部は前記補充用試薬容器保管庫に補填する前記補充用の試薬容器を搬入する補充用試薬容器補填搬入手段を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記試薬補充ユニット部は前記補充用試薬容器保管庫に存在する前記補充用の試薬容器の蓋栓を外す蓋栓開放手段を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項5記載の自動分析装置において、
前記試薬補充ユニット部は前記補充用の試薬容器から外した前記蓋栓を捨てる蓋栓廃棄部を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記補充用の試薬容器を前記補充用試薬容器保管庫から前記分注用試薬容器保管庫に前記分注用の試薬容器として移す試薬容器移送手段を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項7記載の自動分析装置において、
前記試薬容器移送手段は、前記分析ユニット部に設ける試薬容器移送中継部と、前記補充用の試薬容器を前記補充用試薬容器保管庫から前記試薬容器移送中継部に移送する前記試薬補充ユニット部に設けられる第1試薬容器移送機構と、前記試薬容器移送中継部から前記分注用試薬容器保管庫に前記補充用の試薬容器を移送する前記分析ユニット部に設けられる第2試薬容器移送機構を含むことを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項8記載の自動分析装置において、
前記分注用の試薬容器の前記分注用試薬容器保管庫への移送は試薬補充要求に応じて前記試薬容器移送手段が行い、不要になった分注用の試薬容器を前記試薬容器移送手段で前記分注用試薬容器保管庫から取り出すことを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項8記載の自動分析装置において、
前記分注用試薬容器保管庫に存在する前記分注用の試薬容器内の試薬と異なる試薬を使用する分析では、分析対象とする検体の検査項目に対応する試薬が入っている前記補充用の試薬容器を前記試薬容器移送手段で前記補充用試薬容器保管庫から搬出して前記分注用試薬容器保管庫に移すことを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記補充用試薬容器保管庫は保冷機能を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
請求項7記載の自動分析装置において、
前記試薬容器移送手段は前記補充用の試薬容器の蓋栓を外す蓋栓開放手段を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項13】
請求項7記載の自動分析装置において、
前記試薬容器移送手段は前記補充用の試薬容器に付されている試薬情報を読むところの読み取り手段を有することを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(A)】
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【図4(B)】
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