説明

自動分析装置

【課題】プローブまたは撹拌子などの部品に関する洗浄についてのメンテナンスを容易とする。
【解決手段】洗浄ユニット16,29-1〜29-4,331-1〜331-4は、検体、試薬、あるいは反応液の少なくともいずれか1つに接触するサンプルプローブ15、試薬プローブ27a,27b,28a,28bおよび撹拌子332-1〜332-4などの部品を洗浄水を噴射することによって洗浄する。水量センサ151-1〜151-18は、洗浄ユニット16,29-1〜29-4,331-1〜331-4における洗浄水の噴射量をそれぞれ検出する。システム制御部170は、水量センサ151-1〜151-18により検出された噴射量の経時変化をモニタする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体と試薬との反応液の性質に基づいて前記検体を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動分析装置は、生化学測定と免疫測定との複合装置となっている。そして、免疫測定には、検体(サンプル)間のキャリーオーバーを例えば0.1ppmといった程度まで十分に低減できる性能仕様が要求されている。そしてこの仕様を確保するためには、サンプルプローブの洗浄がとても重要とされている。
【0003】
このほか、試薬プローブや撹拌子においてもキャリーオーバーが生じるため、試薬プローブや撹拌子の洗浄もなされている。
【0004】
従来の自動分析装置は、各種プローブや撹拌子に洗浄液(通常は水)を噴射することによって各種プローブや撹拌子を洗浄する機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−133466
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
洗浄液の噴射量は、その流路の状態の変化やポンプの吐出能力の変化などに起因して、経時的に変化する。そしてこのような洗浄液の噴射量の経時変化に伴って、各種プローブや撹拌子の洗浄能力も変化し、必要な洗浄能力を得られなくなってしまうおそれがあった。そして洗浄能力が低下した場合には、キャリーオーバーが増加し、分析の信頼性が低下してしまうおそれがあった。
【0007】
洗浄液の噴射量は従来、メスシリンダーなどを用いて作業員が手作業によって計測しており、その作業には30分〜1時間に及ぶ時間を要していた。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、プローブまたは撹拌子などの部品に関する洗浄についてのメンテナンスが容易な自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による自動分析装置は、検体と試薬との反応液の性質に基づいて前記検体を分析する自動分析装置であって、前記検体、前記試薬、あるいは前記反応液の少なくともいずれか1つに接触する部品に洗浄液を噴射して前記部品を洗浄する洗浄手段と、前記洗浄手段による前記洗浄液の噴射量を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された噴射量の経時変化をモニタするモニタ手段とを備えた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プローブまたは撹拌子などの部品に関する洗浄についてのメンテナンスが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図。
【図2】図1中の測定部の構成を示す斜視図。
【図3】図2中の洗浄ユニットの一部を破断して示す図。
【図4】図1中の水量センサの具体的な配置状況の一例を示す図。
【図5】洗浄動作が行われる際に図1中のシステム制御部が実行する処理のフローチャート。
【図6】図1中の洗浄ユニットの機能の経時変化をオペレータに確認させるため画像の一例を示す図。
【図7】図1中の洗浄ユニットの機能の経時変化をオペレータに確認させるため画像の一例を示す図。
【図8】図1中の洗浄ユニットの機能の経時変化をオペレータに確認させるため画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は本実施形態に係る自動分析装置100の構成を示したブロック図である。
【0014】
自動分析装置100は図1に示すように、測定部110、分析制御部120、分析データ処理部130、出力部140、センサ部150、操作部160およびシステム制御部170を含む。
【0015】
測定部110はさらに、サンプル部111、試薬部112および反応部113を含む。サンプル部111は、測定項目毎のキャリブレータや、被検体から採取された被検試料(サンプル)を管理する。試薬部112は、測定項目に応じたサンプルの成分と化学反応させるための試薬を管理する。反応部113は、サンプルと試薬との反応液に関して、測定項目に応じた測定を行う。反応部113は、キャリブレータおよびサンプルについての測定結果をそれぞれ表すキャリブレータ信号および分析信号を分析データ処理部130に出力する。
【0016】
分析制御部120はさらに、機構部121および機構制御部122を含む。機構部121は、測定部110に含まれた後述する各種の可動要素を駆動する。機構制御部122は、機構部121の動作を制御する。
【0017】
分析データ処理部130はさらに、演算部131および記憶部132を含む。演算部131は、測定部110から出力されたキャリブレータ信号に基づいて、測定項目毎のキャリブレーションテーブルを作成する。演算部131は、測定部110から出力された分析信号とキャリブレーションテーブルとに基づいて、測定項目毎の分析データを算出する。記憶部132はハードディスクなどを備え、キャリブレーションテーブルや分析データなどを記憶する。演算部131は、キャリブレーションテーブルや分析データを、必要に応じて出力部140へ出力する。
【0018】
出力部140はさらに、印刷部141、表示部142およびオンライン部143を含む。印刷部141はプリンタなどを備え、演算部131から出力されたキャリブレーションテーブルや分析データを予め設定されたフォーマットでプリンタ用紙などに印刷する。表示部142はCRT(cathode-ray tube)やLCD(liquid crystal display)などを備え、演算部131から出力されたキャリブレーションテーブルや分析データを表示する。表示部142は、被検体のIDおよび氏名などを入力するための被検体情報入力画面、測定項目毎の分析条件を設定するための分析条件設定画面、サンプル毎の測定項目を選択設定するための測定項目設定画面などを、システム制御部170の制御の下に表示する。オンライン部143は、演算部131から出力されたキャリブレーションテーブルや分析データを、ネットワーク200を介して操作端末300などの他の装置へ送信する。なお操作端末300は、自動分析装置100の操作や管理を自動分析装置100の設置場所から離れた場所にて行うためにオペレータにより使用される。操作端末300は、パーソナルコンピュータを利用するような据え置きタイプであっても良いし、携帯電話端末などを利用するような可搬タイプであっても良い。
【0019】
センサ部150は、複数(n個)の水量センサ151-1,151-2…,151-nを含む。水量センサ151-1,151-2…,151-nは後述する洗浄水の噴射水量を検出する。なお、以下において、水量センサ151-1,151-2…,151-nの個々を特に区別する必要がない場合には、「水量センサ151」と記述する。
【0020】
操作部160は、キーボード、マウス、ボタン、あるいはタッチキーパネルなどの入力デバイスを備える。操作部160は、測定項目毎の分析条件の設定、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報の入力、サンプル毎の測定項目の選択入力、各測定項目のキャリブレーションやサンプル測定などのために操作者により操作される。操作部160は、操作者による操作の内容を表すコマンド信号をシステム制御部170へ出力する。
【0021】
システム制御部170は、CPUと記憶回路とを備え、自動分析装置100の各部を統括して制御する。具体的にはシステム制御部170は、操作部160から供給されるコマンド信号に基づいて、測定項目の分析条件、被検体情報、サンプル毎の測定項目などを判定し、これらの情報を記憶しておく。そしてシステム制御部170は、これらの情報に基づいて、一定サイクルの中の所定のシーケンスで測定を行うように測定部110の動作を制御する。システム制御部170は、所要のキャリブレーションテーブルの作成や所要の分析データの算出を行うように分析データ処理部130を制御する。さらにシステム制御部170は、キャリブレーションテーブルや分析データを所要の形態で出力するように出力部140を制御する。システム制御部170は既存の自動分析装置が備える機能を実現するためのこれらの機能に加えて、水量センサ151での検出値に基づいて洗浄水の噴射水量の管理に係わる後述する処理を行う機能を備えている。上記の噴射水量の管理には、噴射水量の経時変化のモニタ(監視)が含まれる。すなわちシステム制御部170は、洗浄水の噴射水量の経時変化をモニタする手段としての機能を有する。
【0022】
図2は測定部110の構成を示す斜視図である。
【0023】
サンプル部111は、試料容器11a,11b、サンプラ12、ラック13、アーム14、サンプルプローブ15および洗浄ユニット16を含む。
【0024】
試料容器11a,11bは、キャリブレータ、精度管理用試料、あるいは検体(被検試料)などのサンプルを収容する。試料容器11bは、小児などから採取した微量の検体を吸引可能に収容する。つまり試料容器11bは、試料容器11aよりも水平断面が小さく、収容された微量の検体の水面を試料容器11aよりも高くすることができる。
【0025】
サンプラ12は、多数のラック13をセットできる。ラック13は、複数の試料容器11a,11bを直線状に配列してセットできる。ラック13は、試料容器11a,11bの配列方向に直交する方向に沿って配列される。サンプラ12は、ラック13をその配列方向に移動させる。またサンプラ12は、サンプル吸引位置においては、ラック13をその配列方向に直交する方向にも移動させる。ラック13における試料容器11a,11bをセットする位置のそれぞれは、検体のセット位置に予め割り当てられており、検体を収容した試料容器11a,11bがこのセット位置にセットされる。
【0026】
アーム14は、回動が可能なように一端において支持されている。アーム14の他端には、サンプルプローブ15が取り付けられている。アーム14は、サンプルプローブ15を鉛直方向に移動させるために鉛直方向に移動可能である。かくしてアーム14は、サンプルプローブ15を円弧状の軌道に沿って移動させたり上下動させる。
【0027】
サンプルプローブ15は、内部に細い空洞を有していて、この空洞にアーム14の内部空間およびチューブを介して機構部121に備えられたポンプ(図示せず)が接続されている。サンプルプローブ15は、ポンプによって空洞内が負圧とされることによって、サンプルを吸引する。そしてサンプルプローブ15は、ポンプによって空洞内の負圧が解消されることによって、空洞内に保持していたサンプルを吐出する。サンプルプローブ15の先端には、サンプルの液面を検出するためのセンサが設けられており、サンプルプローブ15の先端がサンプルの液面から例えば数mm程度の所定の深さまで入った際に液面を検出するようになっている。
【0028】
洗浄ユニット16は、図2においてはその形状を抽象化して示している。洗浄ユニット16は、機構部121に備えられたポンプ(図示せず)より吐出された洗浄水をサンプルプローブ15に噴射することによってサンプルプローブ15を洗浄する。
【0029】
図3は洗浄ユニット16の一部を破断して示す図である。
【0030】
洗浄ユニット16は、その内部の空間(以下、洗浄プール16aと称する)にサンプルプローブ15の先端を挿入可能である。そして洗浄ユニット16は、サンプルプローブ15の先端に噴射口16b,16cから洗浄水を噴射することによって、サンプルプローブ15の先端を洗浄する。噴射口16b,16cは、洗浄プール16aを挟んで互いに対向して形成されており、洗浄水を図3に矢印で示すような相対する2方向からサンプルプローブ15へと噴射できる。噴射口16b,16cは、入口ノズル16d,16eのそれぞれの内部貫通孔の一方の開口である。なお、洗浄プール16aに溜まった洗浄液は、図示しない排出口より排出される。
【0031】
試薬部112は、試薬ボトル21、試薬ラック22a,22b、アーム23a,23b,24a,24b、脚部25a,25b,26a,26bおよび試薬プローブ27a,27b,28a,28bを含む。
【0032】
試薬ボトル21は、サンプルに対して選択的に反応する試薬を収容する。
【0033】
試薬ラック22a,22bは、それぞれ複数の試薬ボトル21を収納する。試薬ラック22a,22bはそれぞれ、上面を開口したほぼ円柱状の容器である。試薬ラック22a,22bはそれぞれ、複数の試薬ボトル21を円周状に2列配列した状態で収容できる。試薬ラック22a,22bは、図1では示されていない後述する回転機構によってそれぞれ回転される。
【0034】
アーム23a,23b,24a,24bは、その一端が脚部25a,25b,26a,26bによってそれぞれ支持されている。アーム23a,23b,24a,24bの他端には、試薬プローブ27a,27b,28a,28bがそれぞれ取り付けられている。
【0035】
脚部25a,25b,26a,26bは、図1では図示されていない周知の構造の回転機構によってそれぞれ回転されることによって、アーム23a,23b,24a,24bをそれぞれ回動させる。脚部25a,25b,26a,26bは、図1においてはその一部のみが示されていて、実際には図示されているよりも長い。そして脚部25a,25b,26a,26bは、図1では図示されていない周知の構造の直線移動機構によってそれぞれに鉛直方向に直線移動される。
【0036】
試薬プローブ27a,27b,28a,28bは、アーム23a,23b,24a,24bおよび脚部25a,25b,26a,26bによって、それぞれ円弧状の軌道に沿って移動されたり、上下動される。試薬プローブ27a,27b,28a,28bは、内部に細い空洞を有していて、この空洞にアーム23a,23b,24a,24bおよび脚部25a,25b,26a,26bを介して、機構部121に備えられたポンプ(図示せず)がそれぞれに接続されている。試薬プローブ27a,27b,28a,28bは、サンプルプローブ15と同様の動作により、試薬を吸引し、吐出する。
【0037】
なお、図2においては図示を省略しているが、洗浄ユニット16と同様な構造の洗浄ユニットを4つ備える。これら4つの洗浄ユニットは、試薬プローブ27a,27b,28a,28bをそれぞれ洗浄する。
【0038】
反応部113は、反応容器群31、ディスク32、撹拌ユニット33a,33b、測光ユニット34および洗浄ユニット35を含む。
【0039】
反応容器群31は、第1および第2の測定チャネルにそれぞれ割り当てられる多数ずつの反応容器31a,31bを交互に、かつ円周状に配列して形成される。反応容器31a,31bは、サンプルと試薬とが混合された反応液を収容する。
【0040】
ディスク32は、反応容器群31を回転可能に保持する。
【0041】
撹拌ユニット33aは、2つの撹拌子を備える。撹拌ユニット33aは、反応容器31a,31bの上方にそれぞれ相当する2つの撹拌位置と、これとは異なる2つの洗浄位置との間で2つの撹拌子を移動させることができる。また撹拌ユニット33aは、2つの撹拌子を鉛直方向に移動させることができる。この撹拌ユニット33aは、反応容器31a,31bに分注されたサンプルと第1の試薬とを撹拌するために使用される。なお、図2では表れていないが、撹拌ユニット33aは、洗浄ユニット16と同様な構造の洗浄ユニットを2つ備える。これら2つの洗浄ユニットは、撹拌ユニット33aの2つの撹拌子をそれぞれ洗浄する。
【0042】
撹拌ユニット33bは、2つの撹拌子を備える。撹拌ユニット33bは、反応容器31a,31bの上方にそれぞれ相当する2つの撹拌位置と、これとは異なる2つの洗浄位置との間で2つの撹拌子を移動させることができる。また撹拌ユニット33bは、2つの撹拌子を鉛直方向に移動させることができる。この撹拌ユニット33bは、反応容器31a,31bに分注されたサンプルと第1の試薬と第2の試薬とを撹拌するために使用される。なお、図2では表れていないが、撹拌ユニット33bは、洗浄ユニット16と同様な構造の洗浄ユニットを2つ備える。これら2つの洗浄ユニットは、撹拌ユニット33bの2つの撹拌子をそれぞれ洗浄する。
【0043】
測光ユニット34は、反応容器31a,31bが測光位置を通過する時に光を照射して、透過した光から設定波長の吸光度を測定する。そして測光ユニット34は、測定した吸光度を表す信号として分析信号を生成する。
【0044】
洗浄ユニット35は、洗浄ノズルおよび乾燥ノズルを備える。洗浄ユニット35は、洗浄ノズルにより、反応容器31a,31b内の反応液を吸引するとともに洗浄する。また洗浄ユニット35は、洗浄後の反応容器31a,31b内を乾燥ノズルにより乾燥する。洗浄ユニット35で洗浄および乾燥された反応容器31a,31bは、測定に再び使用される。
【0045】
なお、反応部113は、反応液の電解質としての性質を測定する電解質測定ユニットを備える場合も有る。
【0046】
図4は水量センサ151の具体的な配置状況の一例を示す図である。なお、図1および図2と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
図4の例では、センサ部150は18個の水量センサ151-1〜151-18を含む。
【0048】
さて上述したように、サンプル部111、試薬部112および反応部113には総計で9つの洗浄ユニットが含まれる。具体的には、サンプル部111には、図4に示す洗浄ユニット16が含まれる。試薬部112には、図4に示す洗浄ユニット29-1〜29-4の4つが含まれる。反応部113には、図4に示す洗浄ユニット331-1〜331-4の4つが含まれる。洗浄ユニット29-1〜29-4は、試薬プローブ27a,27b,28a,28bをそれぞれ洗浄する。洗浄ユニット331-1〜331-4は、撹拌ユニット33a,33bが備える2つずつの撹拌子332-1〜332-4をそれぞれ洗浄する。
【0049】
機構部121には、これら9つの洗浄ユニット16,29-1〜29-4,331-1〜331-4のそれぞれに対応して1つずつ、すなわち全部で9つのポンプ41-1〜41-9が備えられている。これらのポンプ41-1〜41-9の吐出口には、送水チューブ51-1〜51-9が接続されている。そしてポンプ41-1〜41-9は、送水チューブ51-1〜51-9のそれぞれへと洗浄水を吐出する。なおポンプ41-1〜41-9は、機構制御部122の制御の下に洗浄水の吐出量を変更できる。
【0050】
送水チューブ51-1〜51-9は、その中間部において2つに分岐している。そしてここで分岐した2つのチューブの端部は、2つの水量センサ151の流入口にそれぞれ接続されている。具体的には、送水チューブ51-1が水量センサ151-1,151-2に、送水チューブ51-2が水量センサ151-3,151-4、送水チューブ51-3水量センサ151-5,151-6に、送水チューブ51-4が水量センサ151-7,151-8に、送水チューブ51-5が水量センサ151-9,151-10に、送水チューブ51-6が水量センサ151-11,151-12に、送水チューブ51-7が水量センサ151-13,151-14に、送水チューブ51-8が水量センサ151-15,151-16に、送水チューブ51-9が水量センサ151-17,151-18に、それぞれ接続されている。そして、水量センサ151-1,151-3,151-5,151-7,151-9,151-11,151-13,151-15,151-17の流出口と洗浄ユニット16,29-1〜29-4,331-1〜331-4の一方の入口ノズルとが送水チューブ52-1〜52-9のそれぞれを介してそれぞれ接続されているとともに、水量センサ151-2,151-4,151-6,151-8,151-10,151-12,151-14,151-16,151-18の流出口と洗浄ユニット16,29-1〜29-4,331-1〜331-4の他方の入口ノズルとが送水チューブ53-1〜53-9のそれぞれを介してそれぞれ接続されている。
【0051】
そして各水量センサ151は、流入口から流入する洗浄水を流出口から流出させるとともに、その洗浄水の流量を検出する。かくして、水量センサ151-1,151-2は洗浄ユニット16の2つの噴射口からそれぞれ噴射される洗浄水のそれぞれの量を、水量センサ151-3,151-4は洗浄ユニット29-1の2つの噴射口からそれぞれ噴射される洗浄水のそれぞれの量を、水量センサ151-5,151-6は洗浄ユニット29-2の2つの噴射口からそれぞれ噴射される洗浄水のそれぞれの量を、水量センサ151-7,151-8は洗浄ユニット29-3の2つの噴射口からそれぞれ噴射される洗浄水のそれぞれの量を、水量センサ151-9,151-10は洗浄ユニット29-4の2つの噴射口からそれぞれ噴射される洗浄水のそれぞれの量を、水量センサ151-11,151-12は洗浄ユニット331-1の2つの噴射口からそれぞれ噴射される洗浄水のそれぞれの量を、水量センサ151-13,151-14は洗浄ユニット331-2の2つの噴射口からそれぞれ噴射される洗浄水のそれぞれの量を、水量センサ151-15,151-16は洗浄ユニット331-3の2つの噴射口からそれぞれ噴射される洗浄水のそれぞれの量を、そして水量センサ151-17,151-18は洗浄ユニット331-4の2つの噴射口からそれぞれ噴射される洗浄水のそれぞれの量を、それぞれ検出することになる。
【0052】
次に以上のように構成された自動分析装置100の動作について説明する。なお、検体の分析のための動作などは既存の自動分析装置と同様であってよいので、その説明は省略する。そしてここでは、洗浄ユニット16,29-1〜29-4,331-1〜331-4の管理に関する動作について説明する。ただし、洗浄ユニット16,29-1〜29-4,331-1〜331-4に関する動作およびそれらの管理に関する動作はいずれも同様であるので、以下においては洗浄ユニット16に関する動作についてのみ説明する。
【0053】
サンプルプローブ15を洗浄する必要が生じると、サンプルプローブ15の先端を洗浄ユニット16の洗浄プール16aに差し込んだ状態にて、機構制御部122の制御の下にポンプ41-1が起動される。そうするとポンプ41-1が洗浄水を送水チューブ51-1へと吐出する。洗浄水は、送水チューブ51-1、水量センサ151-1および送水チューブ52-1を介して、あるいは送水チューブ51-1、水量センサ151-2および送水チューブ53-1を介して、それぞれ洗浄ユニット16へと送られて、洗浄ユニット16の2つの噴射口からサンプルプローブ15へと噴射される。このときに、洗浄ユニット16の2つの噴射口のそれぞれからの洗浄水の噴射量が、水量センサ151-1,151-2によってそれぞれ検出される。
【0054】
このような洗浄動作が行われる際にシステム制御部170は、図5に示すような処理を例えば一定の時間間隔で繰り返し実行する。
【0055】
ステップSa1においてシステム制御部170は、水量センサ151-1,151-2の検出値をそれぞれ取得し、記憶回路に保存する。なおシステム制御部170は、少なくとも最近の一定期間に記憶回路に保存した検出値を消去することなく、今回取得した検出値をこれらの検出値に追加して記憶回路に保存する。またシステム制御部170は、記憶回路に保持している検出値を、それを出力した水量センサ151のそれぞれに対応付けて、かつ取得した日時を識別可能なように管理する。
【0056】
ステップSa2においてシステム制御部170は、洗浄ユニット16の2つの噴射口からの総噴射量Vを算出する。総噴射量Vは単純には、上記の取得した2つの検出値の和として求めればよい。しかしながら、最近の一定期間において水量センサ151-1,151-2から取得した全ての検出値の和を総噴射量Vとしても良い。すなわち総噴射量Vは、洗浄ユニット16の2つの噴射口からサンプルプローブ15へと噴射される洗浄水の量の多少を認識できる値であれば良く、そのような値になるように任意に定められたルールを常に適用して求めればよい。
【0057】
ステップSa3においてシステム制御部170は、総噴射量Vが閾値Tv1よりも小さいか否かを確認する。そして総噴射量Vが閾値Tv1よりも小さいならば、システム制御部170はステップSa3からステップSa4へ進む。
【0058】
ステップSa4においてシステム制御部170は、ポンプ41-1の吐出量を増加するように機構制御部122に指示する。この指示に応じて機構制御部122は、吐出量を増加するようにポンプ41-1を制御する。
【0059】
一方、総噴射量が閾値Tv1以上であった場合にシステム制御部170は、ステップSa3からステップSa5へ進む。
【0060】
ステップSa5においてシステム制御部170は、総噴射量Vが閾値Tv2よりも大きいか否かを否かを確認する。そして総噴射量Vが閾値Tv2よりも大きいならば、システム制御部170はステップSa5からステップSa6へ進む。
【0061】
ステップSa6においてシステム制御部170は、ポンプ41-1の吐出量を減少するように機構制御部122に指示する。この指示に応じて機構制御部122は、吐出量を減少するようにポンプ41-1を制御する。なお、ポンプ41-1の吐出量の増加量および減少量は、閾値Tv1と閾値Tv2との差の1/2程度の値に予め定めておけば良い。あるいはポンプ41-1の吐出量の増加量および減少量は、閾値Tv1と閾値Tv2との間の値として予め定めた基準値と総噴射量Vとの差を補うように定めても良い。
【0062】
かくして、総噴射量Vが閾値Tv1以上で閾値Tv2以下の範囲として定められた許容範囲から外れている場合には、総噴射量Vが上記の許容範囲内となるようにポンプ41-1の吐出量が調整される。なお閾値Tv1は例えば、サンプルプローブ15に残留する検体の量を規定量以下に低下させるのに必要な最低限の洗浄水の噴射量として予め定められる。また閾値Tv2は例えば、サンプルプローブ15へ洗浄水の付着量が過多となったり、洗浄ユニット16からの洗浄水の飛び散りが過多となることがないように予め定められる。
【0063】
さて、ステップSa4またはステップSa6の処理が終了した場合、あるいはステップSa5にて総噴射量Vが閾値Tv2以下であると判定した場合にシステム制御部170は、各ステップからステップSa7へ進む。
【0064】
ステップSa7においてシステム制御部170は、洗浄ユニット16の2つの噴射口からサンプルプローブ15へと噴射される洗浄水の量の差(噴射量差)Dを算出する。噴射量差Dは、例えば水量センサ151-1,151-2のそれぞれの検出値の差として算出することができる。
【0065】
ステップSa8においてシステム制御部170は、噴射量差Dが閾値Tdよりも大きいか否かを確認する。そして噴射量差Dが閾値Tdよりも大きい場合には、システム制御部170はステップSa8からステップSa9へ進む。
【0066】
ステップSa9においてシステム制御部170は、洗浄ユニット16の2つの噴射口のそれぞれからの洗浄水の噴射量のばらつきが大きくなっているためにサンプルプローブ15の洗浄が不十分となる恐れがあることをオペレータに報知するための警報処理を実行する。この警報処理は例えば、上記の報知のための画面を表示部142に表示させる処理、上記の報知のための画像を印刷部141に印刷させる処理、あるいは上記の報知のための画面を操作端末300にて表示させるための指令をオンライン部143より送信させる処理のうちの少なくとも1つとすることが考えられる。また、音声再生装置や警報ブザーなどを設けて、音声メッセージや警報音による報知を行うことも可能である。
【0067】
かくして、洗浄ユニット16が正常な動作を行えなくなる恐れがあることをオペレータに認識させることができる。
【0068】
そしてステップSa9の処理を終えた場合、あるいはステップSa8にて噴射量差Dが閾値Td以下であると判定した場合には、システム制御部170は図5の処理を終了する。
【0069】
かくして自動分析装置100では、洗浄ユニット16,29-1〜29-4,331-1〜331-4によるサンプルプローブ15、試薬プローブ27a,27b,28a,28bおよび撹拌子332-1〜332-4の洗浄を、長期間に渡り適切な状態で安定的に行うことが可能となる。
【0070】
また自動分析装置100では、洗浄ユニット16,29-1〜29-4,331-1〜331-4が正常な動作を行えなくなる恐れがあることをオペレータに認識させることができる。
【0071】
ところで図5の処理は、オペレータによる日頃のメンテナンスを省く機能を実現するものである。自動分析装置100はこれとは別に、オペレータによる日頃のメンテナンスの手間を低減するために、洗浄ユニット16,29-1〜29-4,331-1〜331-4の機能の経時変化をオペレータに確認させるための機能を備える。この機能を実現するためにシステム制御部170は、内部の記憶回路に蓄積している検出値を分析して、例えば図6乃至図8に示すような画像をオペレータの要求に応じて生成する。当該画像は、印刷部141で印刷させたり、表示部142で表示させたり、オンライン部143より操作端末300へと送信することが可能である。
【0072】
図6に示す画像は、1回の洗浄の開始から終了までにおける洗浄水の瞬間的な噴射量の変化を表す。なお瞬間的な噴射量は、例えば1つの洗浄ユニットに対応した2つの水量センサの検出値の和とすれば良い。
【0073】
図7に示す画像は、洗浄水の平均的な噴射量の自動分析装置100の据付時からの経時変化を表す。なお平均的な噴射量は、例えば1つの洗浄ユニットに対応した2つの水量センサから一定期間内に得られた複数の検出値の平均値とすれば良い。
【0074】
図8に示す画像は、洗浄水の噴射量差の自動分析装置100の据付時からの経時変化を表す。なお噴射量差は、上記のステップSa7にて算出されるものをそのまま利用できる。
【0075】
かくして、これらの図6乃至図8に示すような画像を確認することによってオペレータは、洗浄ユニット16,29-1〜29-4,331-1〜331-4の動作状態の経時変化の様子を容易、かつ客観的に把握することが可能となる。そしてオペレータが、洗浄ユニット16,29-1〜29-4,331-1〜331-4が正常な動作を行えなくなるのに先立つ適切なタイミングで、清掃や部品交換などのメンテナンスを講じることが可能となる。
【0076】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0077】
洗浄ユニットは、1つのみまたは3つ以上の噴射口から噴出した洗浄水を洗浄対象となるプローブまたは撹拌子の先端に噴射する構造であっても良い。もちろん、流路は1つのみの噴射口に、あるいは3つ以上の噴射口のそれぞれに洗浄水を供給するように形成すれば良く、水量センサ151もこの1つの流路または3つ以上の流路のそれぞれに設けられれば良い。
【0078】
サンプルプローブ15、試薬プローブ27a,27b,28a,28bおよび撹拌子332-1〜332-4以外の部品に対する洗浄ユニットが設けられるならば、その洗浄ユニットに関しても上記実施形態の構造および処理を適用しても良い。
【0079】
洗浄ユニット16,29-1〜29-4,331-1〜331-4の一部については、上記実施形態の構造および処理の適用を省略しても良い。
【0080】
ポンプ41-1〜41-9の吐出量は変化させずに、洗浄水の供給経路中に弁を設けるとともに、この弁の開度を変化させることによって総噴射量を調整しても良い。
【0081】
吐出量の調整、噴射量差に関する警報処理、あるいは図6乃至図8に示すような画像の提示のうちの1つまたは2つを省略しても良い。また吐出量の調整を行うのに代えて、吐出量が許容範囲から外れた場合に警報を発するようにしても良い。また図6乃至図8に示す画像のうちの1つまたは2つを提示する機能を省略しても良いし、これらとは異なる画像を提示しても良い。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0083】
15…サンプルプローブ、16,29-1〜29-4,331-1〜331-4…洗浄ユニット、16b,16c…噴射口、27a,27b,28a,28b…試薬プローブ、41-1〜41-9…ポンプ、100…自動分析装置、110…測定部、111…サンプル部、112…試薬部、113…反応部、120…分析制御部、121…機構部、122…機構制御部、130…分析データ処理部、131…演算部、132…記憶部、140…出力部、141…印刷部、142…表示部、143…オンライン部、150…センサ部、151-1〜151-18…水量センサ、160…操作部、170…システム制御部、200…ネットワーク、300…操作端末、332-1〜332-4…撹拌子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬との反応液の性質に基づいて前記検体を分析する自動分析装置であって、
前記検体、前記試薬、あるいは前記反応液の少なくともいずれか1つに接触する部品に洗浄液を噴射して前記部品を洗浄する洗浄手段と、
前記洗浄手段における前記洗浄液の噴射量を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された噴射量の経時変化をモニタするモニタ手段とを具備したことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記洗浄手段は、複数の噴射口から前記部品へと前記洗浄液を噴射し、
前記検出手段は、前記複数の噴射口のそれぞれからの前記洗浄液の噴射量をそれぞれ検出し、
前記モニタ手段は、前記検出手段により検出された前記複数の噴射口のそれぞれの噴射量の経時変化を個別にモニタすることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記モニタ手段によりモニタされた噴射量の経時変化に基づいて前記洗浄手段による前記洗浄液の噴射量を規定量とするように前記洗浄手段を制御する制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記モニタ手段によりモニタされた噴射量の経時変化が予め定められた基準変化と異なる場合に警報を発する警報手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記モニタ手段によりモニタされた前記複数の噴射口のそれぞれの噴射量の経時変化に基づいて前記複数の噴射口からの前記洗浄液の噴射量のばらつき度合いを判断し、このばらつき度合いが予め定められた基準値を超えた場合に警報を発する警報手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項6】
記憶手段をさらに備え、
前記モニタ手段は、前記噴射量の前記検出手段による検出値を繰り返し取得し、少なくとも最近の一定期間に取得した検出値をそれぞれ前記記憶手段に記憶させるとともに、各検出値を取得した日時を管理することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項7】
記憶手段をさらに備え、
前記モニタ手段は、前記噴射量の前記検出手段による検出値を前記複数の噴射口のそれぞれについて繰り返し取得し、少なくとも最近の一定期間に取得した検出値を前記複数の噴射口に対応付けてそれぞれ前記記憶手段に記憶させるとともに、各検出値を取得した日時を管理することを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記記憶手段に記憶されている複数の前記検出値とそれを取得した日時とに基づいて、前記噴射量の経時変化をオペレータに確認させるための画像を生成する生成手段をさらに備えることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記生成手段は、1回の洗浄の開始から終了までにおける前記検出値の経時変化を表すものとして前記画像を生成することを特徴とする請求項8に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記生成手段は、一定期間における平均的な前記検出値の前記自動分析装置の据付時からの経時変化を表すものとして前記画像を生成することを特徴とする請求項8に記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記生成手段は、前記複数の噴射口のそれぞれからの前記噴射量の差の前記自動分析装置の据付時からの経時変化を表すものとして前記画像を生成することを特徴とする請求項8に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−22028(P2011−22028A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167865(P2009−167865)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】