説明

自動分析装置

【課題】プローブ洗浄に用いる洗浄水の水量を制御することにより洗浄水を効率的に使用する。
【解決手段】 プローブを用いてサンプル及び試薬を容器に分注し、その混合液を測定する自動分析装置において、前記プローブを洗浄水を用いて洗浄する洗浄部と、前記プローブが分注したサンプルあるいは試薬の、種別あるいは分注量のうち少なくともいずれか一方に基づいて、前記プローブの洗浄に用いる洗浄水の水量を変化させる制御部とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、精製水を用いてプローブの洗浄を行う自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、被検体から吸引された血液や尿などの被検試料(以下、サンプルと記す)の成分分析を自動的に行う装置である。サンプルの成分分析は、プローブと呼ばれる中空の針を用いてサンプルや試薬を反応管へと分注し、この反応管中でサンプルと試薬を混合する。そして、この混合液に対して光を照射し、照射した光の透過光の波長成分からその反応状態を調べることで行われる。この自動分析装置は様々な項目についての分析を多数のサンプルについて行えるために、病院や検査機関などにおいて広く利用されている。
【0003】
ところで先述したプローブには、分注動作を行う度にサンプルや試薬が内外に付着することとなる。このプローブ内外に付着したサンプルや試薬を洗浄するため、自動分析装置は洗浄水を用いてプローブを洗浄する洗浄機構を備える。自動分析装置は、このプローブの分注と洗浄とを合わせて1つの動作サイクルとし、この動作サイクルを繰り返すことで多数のサンプルについての分析を行っている。サンプルが大量に付着したプローブの洗浄を十分に行うために、プローブが行った分注の積算量に応じて、分注を行わず洗浄のみを行う動作サイクルを追加してプローブの洗浄を行う発明が公開されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−225608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先述したプローブは血液、血清、及び尿などの種々のサンプルに対して分注を行うが、例えば血液と尿とではその粘度や濃度が異なるため、プローブを十分に洗浄するために必要な洗浄水の量はサンプルの種類ごとに異なる。同様に、試薬の粘度や濃度もその種類によって異なるため、試薬の種類によって必要な洗浄水の量は異なる。また、サンプルあるいは試薬の分注量は測定項目毎に異なるため、プローブを十分に洗浄するために必要な洗浄水の量は測定項目によっても異なる。
【0006】
しかし従来の自動分析装置においては、1つの動作サイクルで洗浄に用いる洗浄水の量は固定されていた。そのため、例えば粘度の大きなサンプルを大量に分注した場合にプローブの十分な洗浄が行えず、あるいは粘度の少ないサンプルを少量だけ分注した場合にも必要以上の洗浄水を使用するため、効率的に洗浄水を使用できないという課題があった。
【0007】
そこで本開示においては、プローブ洗浄に用いる洗浄水の水量を制御することにより使用量を減らし、洗浄水を効率的に使用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本開示は、プローブを用いてサンプル及び試薬を容器に分注し、その混合液を測定する自動分析装置において、前記プローブを洗浄水を用いて洗浄する洗浄部と、前記プローブが分注したサンプルあるいは試薬の、種別あるいは分注量のうち少なくともいずれか一方に基づいて、前記プローブの洗浄に用いる洗浄水の水量を変化させる制御部とを有することを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するため本開示は、測定項目に基づきプローブを用いてサンプル及び試薬を容器に分注し、その混合液を測定する自動分析装置において、前記プローブを洗浄水を用いて洗浄する洗浄部と、前記測定項目に基づいて、前記プローブの洗浄に用いる洗浄水の水量を変化させる制御部とを有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る自動分析装置の内部構成を示すブロック図。
【図2】実施形態に係る自動分析装置の構成を示す外観斜視図。
【図3】実施形態に係る、測定項目のパラメータ設定画面及び測定項目割当画面の画面表示例を示す図。
【図4】実施形態に係る洗浄部の構成を示す図。
【図5】実施形態に係る流路を切り替えた洗浄部の構成を示す図。
【図6】実施形態に係る、サンプル種別に応じて洗浄時間を切り替える動作を示す図。
【図7】実施形態に係る、試薬の分注量及び濃度に応じて洗浄時間を切り替える動作を示す図。
【図8】実施形態に係る、測定項目に応じて洗浄時間を切り替える動作を示す図。
【図9】実施形態に係る、サンプル種別、分注量及び洗浄時間との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(自動分析装置1の内部構成)
図1は、本開示に係る自動分析装置1の構成を示したブロック図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、システム制御部10、操作部11、記憶部12、表示部13、成分分析部14、洗浄部20、サンプル部31、試薬部32、及び反応部33から構成される。なお、自動分析装置1の構成はこれに限られるものではなく、適宣構成要素を追加し、あるいは省略しても構わない。
【0014】
システム制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などから構成される。システム制御部10は後述する操作部11から入力された指示信号に従って、ROMやRAMにロードされた各種のアプリケーションプログラムに従って処理を実行する。システム制御部10は、各部から供給される信号を処理し、また種々の制御信号を生成して各部に供給することで、自動分析装置1を統括的に制御する。
【0015】
操作部11は、例えばタッチパネルディスプレイや機械的なボタンなどから構成され、自動分析装置1の使用者が操作部11に対して行った入力を受け付ける。操作部11は使用者の入力に応じた指示信号をシステム制御部10へと出力する。
【0016】
記憶部12は、電気的に書き換えや消去が可能なHDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリであるフラッシュメモリなどの記憶媒体で構成される。記憶部12は、後述する成分分析部14から出力された分析結果を記憶する。また、記憶部12はサンプル毎に使用する試薬や試薬の分注量などを対応付ける測定項目を記憶する。また、記憶部12は試薬やサンプルの種別と汚染ランクとを対応付けるテーブルを記憶する。また、記憶部12は汚染ランクと分注量、及び試薬濃度などと洗浄時間とを対応付ける関数を記憶する。
【0017】
表示部13は、例えばLCD(Lucid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)から構成されるディスプレイである。表示部13は例えば後述する成分分析部14から出力された分析情報や、自動分析装置1が行う分析の進捗情報、操作部11が入力を行うための入力画面など、種々の情報を表示する。
【0018】
成分分析部14は、後述する反応部33から出力された波長成分情報を解析して、測定されたサンプルの成分情報を算出する。成分分析部14は成分情報を算出すると、この分析情報を記憶部52へと出力する。
【0019】
(サンプル部31、試薬部32、反応部33の構成)
次に、図2を参照してサンプル部31、試薬部32、及び反応部33の構成について述べる。図2は、自動分析装置1の構成を示す外観斜視図である。
【0020】
サンプル部31は、サンプルテーブル311に収められたサンプル容器から任意のサンプルを抽出し、後述する反応管331へと分注する機構部である。サンプル部31はサンプル容器を収めるサンプルテーブル311と、サンプルを反応管331へと分注するサンプルプローブ312から構成される。
【0021】
サンプルテーブル311にはサンプル容器が円状に並べて収容される。ここでサンプルとは、分析を行う被検体の血液、血清、尿、及び髄液などの体液や、分析時の基準値を定めるために用いるキャリブレータ(基準試料)などを指す。サンプルテーブル311には図示せぬ回転モータが取り付けられ、回転モータはサンプルテーブル311を回転させる。サンプルテーブル311が回転することによって、分析対象のサンプル容器をサンプルプローブ312の分注位置へと移動させる。
【0022】
サンプルプローブ312は、サンプル容器からサンプルを規定量だけ抽出して反応管331へと分注する動作を行うための、可動アームによって支持された中空の針である。サンプルプローブ312には図示せぬモータが取り付けられ、システム制御部10が出力した指示信号に応じてプローブ先端を分注位置あるいは反応管331の上部へと移動させる。具体的には、サンプルプローブ312がサンプル容器からサンプルを抽出する際には、システム制御部10はサンプルプローブ312に取り付けられたモータを駆動してサンプルプローブ312の据付軸を中心にサンプルプローブ312を回転させ、サンプルプローブ312の先端をサンプル容器の上部まで移動させる。サンプルプローブ312の先端がサンプル容器の上部まで移動すると、システム制御部10はサンプルプローブ312の可動アームを下降させて、サンプル容器の内部へサンプルプローブ312の先端を移動させる。サンプルプローブ312の先端がサンプル容器の内部へ移動すると、システム制御部10はサンプルプローブ312に取り付けられたプローブポンプ22を駆動して、サンプル容器に収容されたサンプルを吸い出すことでサンプルプローブ312の内部へとサンプルを抽出する。なおこの時のサンプルの抽出量は、記憶部12に記憶された測定項目に予め定められている。プローブポンプ22には容積可変の円筒状容器であるシリンジ24が取り付けられており、システム制御部10はこのシリンジ24の容積を変化させることによってサンプル抽出量を制御する。サンプルプローブ312が規定量のサンプルを抽出すると、システム制御部10はサンプルプローブ312の可動アームを駆動してサンプル容器の上部へサンプルプローブ312を移動させたあと、サンプルプローブ312の先端を反応管331の上部へと移動させる。サンプルプローブ312の先端が反応管331の上部に移動すると、システム制御部10はサンプルプローブ312の可動アームを駆動して反応管331の内部へサンプルプローブ312を移動させ、更にプローブポンプ22を駆動して抽出したサンプルを反応管331の内部へと吐出する。こうした一連の動作によって、サンプルプローブ312はサンプル容器内のサンプルを反応管の内部へと分注する。
【0023】
試薬部32は、第1試薬テーブル321及び第2試薬テーブル323に収められた試薬容器から任意の試薬を抽出し、後述する反応管331へと分注する機構部である。試薬部32は試薬容器を円状に並べて収納する第1試薬テーブル321及び第2試薬テーブル323と、第1試薬テーブル321から任意の試薬を反応管331へと分注する第1試薬プローブ322、第2試薬テーブル323から任意の試薬を反応管331へと分注する第2試薬プローブ324から構成される。
【0024】
第1試薬テーブル321及び第2試薬テーブル323には試薬容器が円状に並べて収容される。ここで試薬とは、サンプルに混合されることで特定の化学反応を起こす薬品のことを指す。試薬は混合される順に第1試薬と第2試薬との2つに分類され、それぞれ第1試薬テーブル321と第2試薬テーブル323とに分類されて収容される。第1試薬テーブル321及び第2試薬テーブル323には種別、濃度、及び粘度などが異なる様々な試薬が試薬容器ごとに収められる。また、サンプルに対してどの試薬をどれだけの量用いるかは記憶部12に記憶された測定項目に予め定められている。第1試薬テーブル321及び第2試薬テーブル323には図示せぬ回転モータが取り付けられ、回転モータは第1試薬テーブル321及び第2試薬テーブル323を回転させる。第1試薬テーブル321は回転することによって、分析に用いる任意の第1試薬が納められた試薬容器を第1試薬プローブ322の分注位置へと移動させる。第2試薬テーブル323も同様に回転することによって、分析に用いる任意の第2試薬が納められた試薬容器を第2試薬プローブ324の分注位置へと移動させる。
【0025】
第1試薬プローブ322及び第2試薬プローブ324は、試薬容器から試薬を規定量だけ抽出して反応管331へと分注する動作を行うための、可動アームによって支持された中空の針である。サンプルプローブ312と同様に第1試薬プローブ322及び第2試薬プローブ324には図示せぬモータ、プローブポンプ22、及びシリンジ24が取り付けられ、システム制御部10が出力した指示信号に応じてプローブ先端を移動させ、試薬の分注動作を行う。具体的には、例えば第1試薬プローブ322が試薬容器から試薬を抽出する際には、システム制御部10は第1試薬プローブ322に取り付けられたモータを駆動して第1試薬プローブ322の据付軸を中心に第1試薬プローブ322を回転させ、第1試薬プローブ322の先端を試薬容器の上部まで移動させる。第1試薬プローブ322の先端が試薬容器の上部まで移動すると、システム制御部10は第1試薬プローブ322の可動アームを下降させて、試薬容器の内部へ第1試薬プローブ322の先端を移動させる。第1試薬プローブ322の先端が試薬容器の内部へ移動すると、システム制御部10は第1試薬プローブ322に取り付けられたプローブポンプ22を駆動して、試薬容器に収容された試薬を吸い出すことで第1試薬プローブ322の内部へと試薬を抽出する。システム制御部10はこのシリンジ24の容積を変化させることによってこのときの試薬抽出量を制御する。第1試薬プローブ322が規定量の試薬を抽出すると、システム制御部10は第1試薬プローブ322の可動アームを駆動して試薬容器の上部へ第1試薬プローブ322を移動させたあと、第1試薬プローブ322の先端を反応管331の上部へと移動させる。第1試薬プローブ322の先端が反応管331の上部に移動すると、システム制御部10は第1試薬プローブ322の可動アームを駆動して反応管331の内部へ第1試薬プローブ322を移動させ、更にプローブポンプ22を駆動して抽出した試薬を反応管331の内部へと吐出する。こうした一連の動作によって、第1試薬プローブ322は試薬容器内の試薬を反応管331の内部へと分注する。なお、第2試薬も同様の動作によって、試薬容器内の試薬を反応管331の内部へと分注する。
【0026】
反応部33は、サンプル部31と試薬部32から分注されたサンプルと試薬とを混合して、その混合液を測光分析する機構部である。反応部33は混合液を収容する反応管331と、反応管331を円状に並べて収納する恒温槽332、反応管331内の混合液を攪拌するスターラ333、及び混合液を測光分析する測光部334から構成される。
【0027】
反応管331はサンプルプローブ312から分注されたサンプルと、第1試薬プローブ322及び第2試薬プローブ324から分注された試薬との混合液を収容する容器である。反応管331は光を透過する透明な容器によって構成され、後述する恒温槽332内に円状に並べられる。
【0028】
恒温槽332は、反応管331を円状に並べて配置する容器である。恒温槽332内には図示せぬ回転モータが設けられ、回転モータは反応管331に接続される。恒温槽332は回転モータを駆動することにより反応管331を回転して移動させ、任意の反応管331をサンプルプローブ312、第1試薬プローブ322、及び第2試薬プローブ324の分注位置、スターラ332の攪拌位置、及び測光部334の測光位置へと移動させる。
【0029】
スターラ332は反応管331内に挿入される攪拌棒と、これに接続した振動子とを組み合わせることで構成される。スターラ332は、攪拌位置へと移動した反応管331の内部へ攪拌棒を挿入する。攪拌棒を反応管331の内部へと挿入すると、スターラ332は攪拌棒に取り付けられた振動子を振動させることで、攪拌棒を振動させて混合液を攪拌する。スターラ332は攪拌を終了すると、攪拌棒を反応管331の上部へと移動させる。
【0030】
測光部334は、特定波長の光を照射する発光部と、混合液を透過した透過光を受光する受光部とを組み合わせて構成される。発光部は反応管331内の混合液へ向かって光を照射する。照射された光は混合液を透過して受光部へと入射する。このとき、透過光の波長成分は混合液の成分に応じて変化することとなる。受光部は透過光を受光すると、透過光の波長成分を分析して波長成分情報を取得する。測光部334はこの波長成分情報を成分分析部14へと出力する。
【0031】
(測定項目の設定)
先述したサンプルプローブ312、第1試薬プローブ322、及び第2試薬プローブ324による分注動作は、記憶部12に記憶された測定項目に沿って行われる。本実施例において測定項目とは、測定項目名、サンプル分注量、第1試薬分注量、第2試薬分注量、及び分注する試薬の種別やサンプルの種別、及び測定項目に対応付けられた洗浄時間などを指定するパラメータ群として定義する。システム制御部10は測定項目に含まれる各パラメータに従って、各プローブを駆動し分注動作や洗浄動作を行う。
【0032】
図3(a)は、表示部13に表示される測定項目のパラメータ設定画面である。使用者は操作部11を用いて、測定項目に例えば「AST」なる名称を付与し、この測定項目が実行された際のサンプル分注量、第1試薬分注量、第2試薬分注量、及びプローブの洗浄時間などのパラメータを入力する。あるいは、図3には図示しないが使用する試薬の種別や反応時間、測光部334による測光波長、スターラ332による攪拌回数などの種々のパラメータを入力するものであっても構わない。また、測定項目は操作部11から逐一入力される替わりに、例えば自動分析装置1にネットワーク接続された外部装置から入力されるものであっても構わない。
【0033】
図3(b)は、表示部13に表示されるサンプル毎の測定項目の割当設定画面である。使用者は操作部11を用いて、各々のサンプルに対してどの測定項目の分析を行うかを入力する。例えば図3(b)においては、サンプル101というサンプルに対しては「AST」「ALT」及び「Γ−GPT」と名づけられた測定項目の分析がそれぞれ行われることとなる。測定項目の割り当ては操作部11から逐一入力される替わりに、例えば自動分析装置1にネットワーク接続された外部装置から入力されるものであっても構わない。
【0034】
(洗浄部20の構成)
先述した構成により、サンプル部31、試薬部32は測定項目に基づいて任意のサンプル及び試薬を反応部33の反応管331へと分注する動作を行う。反応部33は反応管331内の混合液を測光分析し、混合液の波長成分情報成分分析部14へと出力することでサンプルの分析を行う。ところで、分注動作を行う際にサンプルプローブ312、第1試薬プローブ322、及び第2試薬プローブ324は、サンプルあるいは試薬をプローブ内部へと抽出して吐出する動作を行う。このため分注動作を終えたプローブの内壁には、抽出したサンプルあるいは試薬の残滓が付着することとなる。内壁に付着したサンプルあるいは試薬の残滓を残したまま別のサンプルに対して分注動作を行うと、残滓が別のサンプルと混合してしまうため、分析に誤差を生じる(以下、この残滓の混入を単にキャリーオーバと記載する)。自動分析装置1においては、このキャリーオーバを防ぐため洗浄部20を備える。図4及び図5は、洗浄部20の構成を示す図である。洗浄部20は、先述したプローブポンプ22、シリンジ24に加えて、洗浄水を蓄える貯水タンク21、洗浄水の流路を切り替える切替弁23、及びプローブから排出される洗浄水を受けて排出口へと導く洗浄槽25から構成される。洗浄部20はプローブを通じて貯水タンク21に蓄えられた洗浄水を洗浄槽25へ向けて排出することで、プローブ内壁に付着したサンプルあるいは試薬の残滓を洗浄水と共に排水口へ排出する。
【0035】
なお、図4及び図5においてはサンプルプローブ311を洗浄する構成について述べるが、第1試薬プローブ312及び第2試薬プローブ324についても同様の構成によってプローブ内壁を洗浄する機構が設けられる。
【0036】
以下、図4及び図5を用いて洗浄部20がサンプルプローブ311を洗浄する動作について述べる。なお第1試薬プローブ312及び第2試薬プローブ324のプローブ内壁を洗浄する動作も同様である。
【0037】
サンプルプローブ311の洗浄を行う場合には、まずプローブポンプ22が貯水タンク21から洗浄水を吸出し切替弁23へ向けて洗浄水を吐出させる。プローブポンプ22が洗浄水の吐出を開始すると、システム制御部10は切替弁23の流路を切り替えて、図4に示すように吐出される洗浄水をシリンジ24へと導く。切替弁23が流路を切り替えると、吐出された洗浄水はシリンジ24を通過してサンプルプローブ311へと吐出される。サンプルプローブ311内に吐出された洗浄水は、サンプルプローブ311の内壁に付着したサンプルの残滓と共にサンプルプローブ311の先端から排出される。排出された洗浄水は、洗浄槽25の排出口から排出される。
【0038】
一方、サンプルプローブ311の洗浄を終了する場合には、システム制御部10は切替弁23の流路を切り替えて、プローブポンプ22から吐出される洗浄水を図5に示すように貯水タンク21へと導く。つまり、貯水タンク21から吸出された洗浄水はサンプルプローブ311から吐出される替わりに、切替弁23を通って再び貯水タンク21へと戻ることとなる。システム制御部10は切替弁23の流路を切り替えると、プローブポンプ22の動作を停止して洗浄動作を終了する。
【0039】
なお、本実施例においては例として切替弁23の流路切替によって洗浄の開始及び停止を制御する構成について述べた。しかし、自動分析装置1の構成はこれに限られるものではなく、例えば切替弁23及び貯水タンク21への循環流路を省略し、プローブポンプ22の動作を開始あるいは停止させるタイミングによって洗浄の開始及び停止を制御する構成をとっても構わない。あるいは切替弁23及び貯水タンクへの循環流路を省略し、流路をせき止める電磁弁などを取り付け、電磁弁が流路を開放あるいは閉鎖するタイミングによって洗浄の開始及び停止を制御する構成をとっても構わない。
【0040】
(洗浄時間の制御)
先述した洗浄部20を用いて、自動分析装置1はサンプルあるいは試薬の残滓が付着したプローブの内壁を洗浄する。実際に自動分析装置1が分析動作を行う際には、各プローブは分注と洗浄の動作を交互に行うこととなる。この分注や洗浄の動作は、恒温槽332が定期的に行う反応管331の回転動作と停止にタイミングを合わせて行われる。本実施例においては、この反応管331の回転動作の時間間隔を1サイクルと定義する。自動分析装置1を構成する各プローブやサンプルテーブル311、第1試薬テーブル321、第2試薬テーブル323、恒温槽332、スターラ332、及び測光部334などの各構成要素は、この1サイクルを基準時間として各々の動作を行う。
【0041】
自動分析装置1は、サンプルや試薬の種別、濃度、及び検査パラメータなどに基づいて1サイクル中の洗浄に用いる時間を変化させ、洗浄水を効率的に使用する。より具体的には、システム制御部10はサンプルプローブ311が分注動作を行う際に記憶部12から測定項目を読み出し、現在サンプルプローブ311が分注しているサンプルの種別や分注量を読み出す。同様に、システム制御部10は第1試薬プローブ322及び第2試薬プローブ324が分注動作を行う際に記憶部12から測定項目を読み出し、現在第1試薬プローブ322及び第2試薬プローブ324が分注している試薬の種別や分注量、及び試薬の濃度、粘度、及びPH(水素イオン濃度)などの試薬パラメータを読み出す。システム制御部10は読み出したこれらの情報に基づいて洗浄時間を決定し、切替弁23を制御して洗浄時間を変化させる。
【0042】
なお、後述する実施例においては分注するサンプル及び試薬の種別、分注量、及び測定項目と対応付けられた洗浄時間のパラメータなど、様々な要素に基づいて洗浄時間を決定する動作を述べる。どの要素に基づいて洗浄時間を決定するかは自動分析装置1の動作設定として予め定められていても構わないし、操作者が洗浄時間を決定する要素を選択しても構わない。あるいは、複数の要素を組み合わせて洗浄時間を加減する構成を取っても構わない。
【0043】
図6は、サンプルの種別に応じて洗浄時間を変化させる動作を示した図である。例えば水溶性物質のみが含まれたキャリブレータや尿などのサンプルは粘度が低いため、粘度の高い血液、血清、及び髄液などに比べてサンプルプローブ311の内壁に付着する度合いが少ない。そこで自動分析装置1においては、キャリブレータや尿などのサンプルを分注したサンプルプローブ311の洗浄時間を、血液、血清、及び髄液を分注した場合の洗浄時間に比べて短くするよう制御する。より具体的には、記憶部12にはサンプルの種別と、残滓の洗浄のし難さを示す指標値である汚染ランクとを対応付けて記憶する汚染ランクテーブルが記憶される。例えば粘度の低い尿の汚染ランクは、粘度の高い血液、血清、髄液に比べ低い値に設定される。同様に粘度の高い血液の汚染ランクは、血液に比べて粘度の低い尿や血液に比べ高い値に設定される。システム制御部10は記憶部12から測定項目を読み出して、サンプルプローブ311が分注するサンプルの種別を検知する。その後、システム制御部10は記憶部12から汚染ランクテーブルを読み出して、サンプルプローブ311が分注するサンプルの汚染ランクに基づいて1サイクル中の洗浄時間を決定する。システム制御部10は切替弁23が流路を切り替えるタイミングを制御することによって、洗浄時間を制御する。
【0044】
図6においては、1度目の分注(図中の「分注1」)では尿を、2度目の分注(図中の「分注2」)では血清を、3度目の分注(図中の「分注3」)では血液を、それぞれ同量づつ分注している。システム制御部10は先述した汚染ランクに基づく洗浄時間制御によって、分注1では短い洗浄時間を、分注2では分注1より長い洗浄時間を、そして分注3では分注2より更に長い洗浄時間を持つように切替弁23を切り替える。
【0045】
以上の制御により、システム制御部10はサンプルの種別に応じて1サイクル中の洗浄時間を切り替える処理を行う。粘度などが高くサンプルプローブ311の内壁に残滓の付着しやすいサンプルに対しては長い時間洗浄を行うことで、キャリーオーバの発生を防ぐことができる。一方粘度などが低く内壁に残滓の付着しにくいサンプルに対しては短い時間だけ洗浄を行うことで、洗浄タンク21内の洗浄水がサンプルプローブ311から排出される水量を減らし、結果として洗浄水の消費量を下げることができる。
【0046】
なお、本実施例においてはサンプルプローブ311の洗浄時間制御について述べたが、第1試薬プローブ322及び第2試薬プローブ324の洗浄時間制御についても同様の処理が行われる。つまり、記憶部12の汚染ランクテーブルには試薬の種別とその汚染ランクとを関連付ける情報が記憶される。システム制御部10は測定項目から第1試薬プローブ322あるいは第2試薬プローブ324が分注する試薬の種別を読み取って、汚染ランクテーブルに基づいて分注する試薬の汚染ランクを決定する。システム制御部10は汚染ランクに基づいて洗浄時間を決定し、汚染ランクの値が低い場合には第1試薬プローブ322あるいは第2試薬プローブ324の洗浄時間が短くなるように、値が高い場合には洗浄時間が長くなるように切替弁23を切り替えて洗浄時間を制御する。こうした制御により、粘度などが高く第1試薬プローブ322及び第2試薬プローブ324の内壁に残滓の付着しやすい試薬に対しては長い時間洗浄を行うことで、キャリーオーバの発生を防ぐことができる。一方粘度などが低く内壁に残滓の付着しにくい試薬に対しては短い時間だけ洗浄を行うことで、洗浄タンク21内の洗浄水が第1試薬プローブ322あるいは第2試薬プローブ324から排出される水量を減らし、結果として洗浄水の消費量を低減できる。
【0047】
図7は、分注する試薬の量及び濃度に応じて洗浄時間を変化させる動作を示した図である。例えば試薬の分注量が多い場合は、分注量が少ない場合に比べてプローブ内壁に試薬が付着する度合いが高い。そこで自動分析装置1においては、第1試薬プローブ322あるいは第2試薬プローブ324の分注量が多い場合には、それらの洗浄時間が長くなるよう制御する。一方試薬の濃度について見ると、濃度の高い試薬は、濃度の低い試薬に比べてプローブ内壁に付着する度合いが高い。そこで自動分析装置1においては、第1試薬プローブ322あるいは第2試薬プローブ324が分注を行う試薬の濃度が高い場合には、それらの洗浄時間が長くなるよう制御する。システム制御部10は記憶部12から測定項目を読み出して、第1試薬プローブ322あるいは第2試薬プローブ324が分注を行う試薬の分注量及び濃度の情報を読み出す。その後、システム制御部10は試薬の分注量及び濃度に応じた1サイクル中の洗浄時間を決定する。
【0048】
図7においては、1度目の分注(図中の「分注4」)では濃度0.50%の試薬を100μL、2度目の分注(図中の「分注5」)では濃度0.50%の試薬を150μL、3度目の分注(図中の「分注6」)では濃度1.50%の試薬を100μL分注している。システム制御部10は試薬の分注量及び濃度に応じて、分注5では分注4に比べ長い洗浄時間を、分注6では分注4に比べ長い洗浄時間を持つように切替弁23を切り替える。
【0049】
以上の制御により、システム制御部10は試薬の分注量及び濃度に応じて1サイクル中の洗浄時間を切り替える処理を行う。分注量あるいは濃度が高く内壁に残滓の付着しやすい試薬に対しては長い時間洗浄を行うことで、キャリーオーバの発生を防ぐことができる。一方分注量あるいは濃度が低く内壁に残滓の付着しにくい試薬に対しては短い時間だけ洗浄を行うことで、洗浄タンク21内の洗浄水が第1試薬プローブ322あるいは第2試薬プローブ324を介して排出される水量を減らし、結果として洗浄水の消費量を低減できる。
【0050】
なお、本実施例においては第1試薬プローブ322及び第2試薬プローブ324の洗浄時間制御について述べたが、サンプルプローブ311の洗浄時間制御についても同様の処理が行われる。つまり、システム制御部10は記憶部12から測定項目を読み出して、サンプルプローブ311が分注するサンプルの分量を検知する。システム制御部10はサンプルプローブ311の分注量に基づいて洗浄時間を決定し、分注量が多い場合にはサンプルプローブ311の洗浄時間が長くなるように、分注量が少ない場合には洗浄時間が短くなるように切替弁23を切り替えて洗浄時間を制御する。こうした制御により、分注量が多くサンプルプローブ311の内壁に残滓が多く付着している場合には長い時間洗浄を行うことで、キャリーオーバの発生を防ぐことができる。一方分注量が少なく内壁に付着する残滓の量が少ない場合は短い時間だけ洗浄を行うことで、洗浄タンク21内の洗浄水がサンプルプローブ311から排出される水量を減らし、結果として洗浄水の消費量を下げることができる。
【0051】
(測定項目と洗浄時間との対応付け)
先述した洗浄時間の制御においては、システム制御部10が記憶部12の測定項目を読み出し、測定項目内のサンプルや試薬の種別、分注量、及び濃度などのパラメータを逐一読み出して、これらのパラメータに応じて洗浄時間を制御していた。しかし、自動分析装置1の構成はこれに限られるものではなく、測定項目とサンプルプローブ311、第1試薬プローブ322、及び第2試薬プローブ324の洗浄時間とを対応付けて記憶部12に記憶しておき、システム制御部10がこの測定項目に基づいて1サイクル中の洗浄時間を決定する構成を取っても構わない。図8は、測定項目に応じて洗浄時間を変化させる動作を示した図である。例えば測定項目が指定するサンプルの種別が汚染ランクの高いサンプルであり、分注量が多い場合は、汚染ランクが低くあるいは分注量の少ないサンプルを用いる測定項目に比べてプローブ内壁に試薬が付着する度合いが高い。一方、分注動作を行わずスキップする動作を行う場合には、プローブ内壁に試薬あるいはサンプルが付着しないためプローブ洗浄の必要がない。記憶部12に記憶される測定項目に予め測定項目と洗浄時間とを対応付けておき、汚染ランクの高いサンプルを使用する測定項目や、分注量の多い測定項目に対しては長い洗浄時間を割り当て、一方濃度の低いサンプルを使用する測定項目や、分注量の低い測定項目に対しては短い洗浄時間を割り当てる。更に、分注を行わない測定項目である場合には洗浄時間を割り当てない。記憶部10は分注を行う際に測定項目を読み出すことで、1サイクル中の洗浄時間を決定する。
【0052】
図8は、測定項目に応じて洗浄時間を検査させる動作を示した図である。図8においては、1度目の分注(図中の「分注7」)では測定項目1、2度目の分注(図中の「分注8」)では測定項目2に基づいて分注動作を行う。一方3度目の分注(図中の「分注9」)では分注動作を行わない。システム制御部10は記憶部12から読み出した測定項目と洗浄時間テーブルに基づいて洗浄時間を決定して、決定した洗浄時間に基づいて切替弁23を切り替える。システム制御部10は分注8では分注7よりも長い洗浄時間を持つように切替弁23を切り替え、一方分注9では切替弁23を切り替えず洗浄を行わない。
【0053】
以上の制御により、システム制御部10は測定項目に応じて1サイクル中の洗浄時間を切り替える処理を行う。汚染ランクが高い試薬あるいはサンプルを使用する測定項目や、分注量の多い測定項目などに対しては長い時間洗浄を行うことで、キャリーオーバの発生を防ぐことができる。一方汚染ランクが低い試薬あるいはサンプルを使用する測定項目や、分注量の少ない測定項目などに対しては短い時間だけ洗浄を行うことで、洗浄タンク21内の洗浄水がサンプルプローブ311、第1試薬プローブ322、あるいは第2試薬プローブ324を介して排出される水量を減らし、結果として洗浄水の消費量を低減できる。
【0054】
(洗浄時間決定関数)
先述した洗浄時間の制御においては、記憶部12内に洗浄時間と測定項目とを対応付けて記憶し、システム制御部10が測定項目に基づいて洗浄時間を決定していた。しかし、自動分析装置1の構成はこれに限られるものではなく、汚染ランクや分注量などの種々のパラメータと洗浄時間とを結びつける洗浄時間決定関数を記憶部12内に記憶させ、システム制御部10が洗浄時間テーブルの替わりに洗浄時間決定関数に基づいて1サイクル中の洗浄時間を算出する構成を取っても構わない。
【0055】
図9は、洗浄時間決定関数の関数をプロットしたグラフの一例である。図9の洗浄時間決定関数は例として、分注量とサンプルの種別から1サイクル中の洗浄時間を決定する関数として示している。洗浄時間決定関数は、例えば汚染ランクの値や分注量、あるいは試薬の濃度などの値が増加するにつれて洗浄時間を長くする関数として設定される。システム制御部10は分注を行う際に、記憶部12から測定項目及び洗浄時間決定関数を読み出し、測定項目中のパラメータを用いて洗浄時間決定関数から洗浄時間を算出する。システム制御部10は算出した洗浄時間に基づいて切替弁23を切り替えて洗浄時間を制御する。
【0056】
なお、図9において洗浄時間決定関数は例として、汚染ランクと分注量の2つのパラメータに基づいて1サイクル中の洗浄時間を決定するものとした。しかし自動分析装置1の構成はこれに限られるものではなく、試薬濃度などの種々のパラメータに基づいて1サイクル中の洗浄時間を決定する関数としても構わない。
【0057】
(その他のパラメータに基づく洗浄時間の決定処理)
先述した洗浄時間の制御においては、サンプルプローブ311、第1試薬プローブ322、及び第2試薬プローブ324の洗浄時間はサンプルや試薬の種別により決められる汚染ランク、分注量、濃度あるいは測定項目に応じて決定されると述べた。しかし、システム制御部10が1サイクル中の洗浄時間を決定するために用いるパラメータはこれらに限定されず、種々のパラメータに基づいて洗浄時間を決定する構成としても構わない。例えば、システム制御部10は分注動作を行う際、サンプルに対応付けられた検体IDを基に自動分析装置1にネットワーク接続されたRIS/HISサーバにアクセスし、サンプルが採取された被検体の性別、年齢、現在患っている疾患名、過去の病歴、過去の被検体のサンプルに含まれる蛋白量、及び脂質量などを読み出す。システム制御部10は、被検体の年齢が高い場合や、被検体が現在疾患を患っている場合、被検体に過去の病歴がある場合、被検体の過去のサンプルが蛋白量あるいは脂質量の多いサンプルであった場合には、サンプルプローブ311の洗浄時間を多くするよう制御する。先述したようなサンプルにおいては、通常のサンプルには含まれない成分(細菌や薬物など)が含まれる場合や、通常のサンプルとは異なる性質(粘度が高い、濁りを含むなど)を示す場合が考えられる。自動分析装置1はこのようなサンプルを検知して洗浄時間を増やすことで、キャリーオーバの発生を防ぐことができる。
【0058】
同様に、システム制御部10は分注動作を行う際、試薬のPHなどのパラメータを読み出す。システム制御部10は、試薬のPHが中性から離れた値である場合には、第1試薬プローブ322あるいは第2試薬プローブ324の洗浄時間を、中性から離れているほど多くするように制御する。先述したような試薬においては異なるサンプルに混入した際に生じる誤差が大きいため、洗浄時間を増やすことで、キャリーオーバの発生を防ぐことができる。
【0059】
なお、自動分析装置1の構成は上述の実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内において、種々の形態で実施することが可能である。
【0060】
例えば、本実施例において自動分析装置1はサンプルプローブ312、第1試薬プローブ322、及び第2試薬プローブ324の洗浄時間をそれぞれ制御するものとして述べた。しかし、洗浄時間の制御はこれに限られるものではなく、例えばサンプルプローブ312の洗浄時間のみを制御し、第1試薬プローブ322及び第2試薬プローブ324の洗浄時間を常に一定の値としても構わない。あるいは第1プローブ322及び第2試薬プローブ324の洗浄時間のみを制御し、サンプルプローブ312の洗浄時間を常に一定の値としても構わない。
【0061】
また例えば、本実施例において洗浄水の使用量は洗浄時間を加減することにより制御すると述べた。しかし、洗浄水の使用量の加減はこれに限られるものではなく、例えばプローブポンプ22の単位時間当たりの送出速度を加減するなどの方法で洗浄水の使用量を加減する構成を取っても構わない。
【0062】
また例えば、本実施例においてサンプルや試薬の種別、試薬の濃度といった情報は記憶部12に記憶された測定項目から読み出すと述べた。しかし、これらの情報の読み出し方法はこれに限られるものではなく、例えばサンプル容器や試薬容器にこれらの情報を示すバーコードを貼り付け、自動分析装置1に取り付けたバーコードリーダがこれを読み取ることによって情報を読み出す構成を取っても構わない。
【0063】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宣な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。あるいは、異なる実施例にわたる構成要素を適宣組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 自動分析装置
10 システム制御部
11 操作部
12 記憶部
13 表示部
14 成分分析部
20 洗浄部
21 貯水タンク
22 プローブポンプ
23 切替弁
25 洗浄槽
31 サンプル部
32 試薬部
33 反応部
311 サンプルテーブル
312 サンプルプローブ
321 第1試薬テーブル
322 第1試薬プローブ
323 第2試薬テーブル
324 第2試薬プローブ
331 反応管
332 反応槽
333 スターラ
334 測光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブを用いてサンプル及び試薬を容器に分注し、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記プローブを洗浄水を用いて洗浄する洗浄部と、
前記プローブが分注したサンプルあるいは試薬の、種別または分注量のうち少なくともいずれか一方に基づいて、前記プローブの洗浄に用いる洗浄水の水量を変化させる制御部と
を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
測定項目に基づきプローブを用いてサンプル及び試薬を容器に分注し、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記プローブを洗浄水を用いて洗浄する洗浄部と、
前記測定項目に基づいて、前記プローブの洗浄に用いる洗浄水の水量を変化させる制御部と
を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記洗浄部が洗浄を行う時間を変化させることにより、前記洗浄部が洗浄に用いる洗浄水の水量を変化させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記洗浄部が洗浄に用いる洗浄水を貯蔵する貯水タンクとを更に有し、
前記プローブは、サンプルを分注するサンプルプローブと、試薬を分注する試薬プローブとからなり、
前記洗浄部は、前記貯水タンクに貯蔵された洗浄水を前記サンプルプローブあるいは前記試薬プローブのうち少なくともいずれか一方へと導く第1の流路と、前記貯水タンクに貯蔵された洗浄水を前記貯水タンクへ導く第2の流路とを切り替える切替弁を更に備え、
前記制御部は、前記切替弁を用いて前記流路を切り替えることによって、前記洗浄部が洗浄に用いる洗浄水の水量を変化させる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記プローブが分注を行うサンプルの識別情報を記憶する記憶部とを更に備え、
前記制御部は、前記識別情報に基づいてサンプルを採取した被検体に関する情報を取得し、前記被検体に関する情報に基づいて前記プローブの洗浄に用いる洗浄水の水量を変化させる
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−220928(P2011−220928A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92275(P2010−92275)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】