説明

自動分析装置

【課題】廃液の残留による測定不良の発生や測定精度の低下を防止し、ランニングコストを低減することが可能な自動分析装置を提供する。
【解決手段】先端部に吸引口が設けられ、反応容器内から外部に廃液を排出するための吸引管と、先端部に供給口が設けられ、外部から反応容器内に洗浄液を供給するための供給管と、吸引口を、洗浄位置に移動された反応容器の上方位置と反応容器内の底部近傍位置との間を往復移動させるように、吸引管を移動させる吸引管駆動部と、底部近傍位置に移動させた吸引口から廃液を吸い出す吸引処理部と、供給口を、廃棄が吸い出された後の反応容器の上方位置と吸い出される前の廃液の液面に上方から近い液面近傍位置との間を往復移動させるように、供給管を移動させる供給管駆動部と、液面近傍位置に移動させた供給口へ洗浄液を供給する供給処理部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析するようにした自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
反応溶液の成分を分析した後、廃液としての反応溶液が排出される。また、廃液を排出した後、廃液を入れていた反応容器は洗浄される。
【0003】
反応容器を洗浄する従来技術としては、第1に、反応容器内の廃液を排出した後、洗浄液を反応容器内に供給し、その後、洗浄液を反応容器内から排出する。この洗浄液の供給排出を何サイクルか繰り返して、反応容器を洗浄する技術がある。第2に、上記第1の洗浄を終了した後、次の洗浄として、異なる種類の洗浄液を反応容器内に供給排出を行って、反応容器を洗浄する技術がある。第3に、反応容器を洗浄するとき、反応容器内に洗浄液を一旦溜めた後、洗浄液を反応容器内から排出する技術がある。第4に、反応容器を洗浄するとき、反応容器内に洗浄液を供給しながら排出して、反応容器内に洗浄液を溜めない技術がある。また、第5に、上記第1から第4の従来技術を組み合わせた技術も考えられる。
【0004】
異なる種類の洗浄液を反応容器内に供給排出を行う上記第2の従来技術としては、複数の洗浄液を収容する複数の洗剤ボトルと、複数の洗浄液が流通する複数の流路と、複数の洗浄液を複数の洗剤ボトルからそれぞれ吸入し複数の流路へ吐出する複数のポンプと、複数の流路にそれぞれつながれ、各流路を流通する各洗浄液で反応容器を洗浄する洗浄ノズルと、複数の洗剤ポンプと複数の流路との間の接続を切り替える弁と、を有する(例えば、特許文献1)。
【0005】
反応容器内に洗浄液を一旦溜めた後、洗浄液を反応容器内から排出する上記第3の従来技術としては、操作部を介して通常の洗浄サイクル時間よりも長い洗浄サイクル時間を設定すると、制御部が、操作部を介して設定された洗浄サイクル時間から通常の洗浄サイクル時間を減算処理して吸引待ち時間を算出しこのデータをメモリに記憶制御する。制御部は、測定終了検出部により例えば一日の測定の終了等の測定の終了が検出されると、メモリに記憶された吸引待ち時間のデータに基づいて、各反応容器に対して吐出した洗浄液(及び純水)を、該吐出した時刻から吸引待ち時間経過後に吸引するように洗浄ユニットを制御する。これにより、吐出した洗浄液等を吸引待ち時間分反応容器内に留めておくことができるため、高い洗浄効果を得ることができ、反応容器内に汚れが蓄積する不都合を防止することができる(例えば、特許文献2)。
【0006】
また、廃液を排出した後の反応容器には、廃液の液面付近に廃液が残っていることが知られている。反応容器を洗浄した後に、残った廃液が、反応溶液の成分を分析するときの測定不良の要因や測定精度を低下させる要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−115661号公報
【特許文献2】特開2001−289864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献に記載された第1から第5の従来技術では、反応容器に供給される洗浄液の液面が、廃液の液面より下方である場合、反応容器に廃液が残って、上記した測定不良の要因や測定精度を低下させる要因となる。これに対し、反応容器に供給される洗浄液の液面が、廃液の液面より上方であり過ぎると、洗浄液を無駄に消費することになって、ランニングコストが嵩むという問題点がある。
【0009】
この発明は、上記の問題を解決するものであり、廃液の残留による測定不良の発生や測定精度の低下を防止し、ランニングコストを低減することが可能な自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、この発明は、廃液の液面の位置に対応させた液量の洗浄液を供給することに着目した。
具体的に、この発明の第1の形態は、試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、前記分析した後の前記反応溶液、又は、前記反応容器を洗浄した後の洗浄液である廃液を、前記反応容器内から外部に排出するための吸引機構と、供給口を有し、該供給口を前記廃棄が排出される前の前記廃液の液面に上方から近い液面近傍位置に移動し、該移動した前記供給口を通して外部から前記反応容器内に洗浄液を供給するための供給機構と、を有することを特徴とする自動分析装置である。
また、この発明の第2の形態は、試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、前記分析した後の前記反応溶液、又は、前記反応容器を洗浄した後の洗浄液である廃液が入れられた前記反応容器を洗浄位置に移動させる駆動部と、先端部に吸引口が設けられ、前記反応容器内から外部に前記廃液を排出するための吸引管と、先端部に供給口が設けられ、外部から前記反応容器内に洗浄液を供給するための供給管と、前記吸引口を、前記洗浄位置に移動された前記反応容器の上方位置と前記反応容器内の底部近傍位置との間を往復移動させるように、前記吸引管を移動させる吸引管駆動部と、前記底部近傍位置に移動させた前記吸引口から前記廃液を吸い出す吸引処理部と、前記供給口を、前記廃棄が吸い出された後の前記反応容器の上方位置と前記吸い出される前の前記廃液の液面に上方から近い液面近傍位置との間を往復移動させるように、前記供給管を移動させる供給管駆動部と、前記液面近傍位置に移動させた前記供給口へ前記洗浄液を供給する供給処理部と、を有することを特徴とする自動分析装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によると、廃液の残留による測定不良の発生や測定精度の低下を防止し、ランニングコストを低減することが可能となる。
【0012】
この発明の第1の形態によると、供給口から供給された洗浄液により、液面近傍位置以下の廃液を洗浄することが可能となり、測定不良の要因や測定精度を低下させる要因となる液面以下に残った廃液を必要最小限の液量の洗浄液により、確実に洗浄することが可能となる。
また、この発明の第2の形態によると、排出前の廃液の液面近傍位置に供給口を移動させ、その供給口へ供給された洗浄液により、液面近傍位置以下の廃液を洗浄することが可能となり、測定不良の要因や測定精度を低下させる要因となる液面以下に残った廃液を必要最小限の液量の洗浄液により、確実に洗浄することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る自動分析装置の平面図である。
【図2】自動分析装置の概念図である。
【図3】自動分析装置の機能ブロック図である。
【図4】反応容器を洗浄するための洗浄装置の構成図である。
【図5】各反応容器に供給された洗浄液による一連の洗浄動作を示した図である。
【図6】この発明の第2の実施形態に係る自動分析装置における一連の洗浄動作を示した図である。
【図7】この発明の第3の実施形態に係る自動分析装置における一連の洗浄動作を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
(構成)
この発明の第1の実施形態に係る自動分析装置の構成について図1〜図5を参照して説明する。図1は、自動分析装置の平面図、図2は自動分析装置の概念図、図3は、自動分析装置の機能ブロック図である。
【0015】
先ず、自動分析装置の基本的な構成について図1から図3を参照して説明する。自動分析装置10は、試料庫100、試料(生体サンプル)を収容する試料容器101、試料プローブ103、第1及び第2の試薬庫200、試薬を収容する試薬容器201、試薬プローブ203、反応庫300、反応容器301、駆動制御部40、記憶部42、表示制御部44、表示部45、操作部46、洗浄装置50、吸引管71、供給管81、洗浄槽901、試料を吸引及び吐出させるためのポンプ(図示省略)、電磁弁(図示省略)、及び、電磁弁を駆動させるアクチュエータ(図示省略)を有する。
【0016】
上記構成により、自動分析装置10は、試料及び試薬を反応容器301に分注して反応溶液を生成する工程、反応溶液を測光する工程、反応溶液を排出した後の反応容器301を洗浄する工程、及び、反応容器301を乾燥する工程を順番に実行する。
【0017】
駆動制御部40は、制御部41、該制御部41の指示を受けて、それぞれ駆動する試料庫用駆動部104、試料プローブ駆動部105、試薬庫用駆動部204、試薬プローブ駆動部205、反応庫用駆動部304、吸引処理部704、吸引管駆動部705、供給処理部804、及び、供給管駆動部805を有する。なお、吸引処理部704、吸引管駆動部705、供給処理部804、及び、供給管駆動部805については、洗浄装置50の説明の中で詳述する。
【0018】
制御部41は、試料庫用駆動部104、試料プローブ駆動部105、試薬庫用駆動部204、試薬プローブ駆動部205、反応庫用駆動部304、及び、前記ポンプ、前記電磁弁、及び、前記アクチュエータを含む各種駆動部を制御する。
【0019】
制御部41は、前記各種駆動部を制御するための制御情報を記憶部42に記憶させる。制御部41は、記憶部42から制御情報を読み出し、前記試料プローブ駆動部105等を制御する。制御部41は、試料プローブ103、試薬プローブ203、吸引管71、及び、供給管81を含む各部品の下降及び上昇の各動作を制御する。
【0020】
次に、各種駆動部について説明する。先ず、試料庫100、及び、試料プローブ駆動部105について、図1から図3を参照して説明する。
【0021】
試料庫100は、複数の試料容器101を円周方向に並べた状態で載置するディスクサンプラである試料ラック130と、試料ラック130を円周方向に回転させることにより、複数の試料容器101を順番に吸引位置PIに移動させる試料庫用駆動部104とを有する。
【0022】
試料プローブ駆動部105は、試料プローブ103を吸引位置PIと吐出位置POとの間で回動させ、また、試料プローブ103を所定位置と作業位置との間で上昇及び下降させる。それにより、試料プローブ103は、吸引位置PIに回動して、所定位置から作業位置に下降し、吸引位置PIに移動させた試料容器101から試料を吸引する。その後、試料プローブ103は、作業位置から所定位置に上昇し、吐出位置POに回動して、前記吸引した試料を、吐出位置POに移動させた反応容器301に吐出する。
【0023】
次に、第1及び第2の各試薬庫200の構成について説明する。第1及び第2の各試薬庫200は基本的に同じ構成をしている。以下に、第1の試薬庫200について主に説明し、第2の試薬庫200については、第1の試薬庫200と重複する説明を省略する。
【0024】
試薬庫200は、試薬容器201を円周方向に並べた状態で載置し、試薬容器201を円周方向に回転させることにより、複数の試薬容器201を順番に吸引位置PIに移動させる試薬庫用駆動部204を有する。試薬容器201には、試料に含まれる特定成分に対して選択的に反応する試薬が収容されている。
【0025】
第2の試薬庫200の試薬容器201には、前記第1の試薬庫200の試薬容器201に収容されている試薬と対をなす試薬が収容されている。
【0026】
試薬プローブ駆動部205の構成は、試料プローブ駆動部105の構成と基本的に同じである。試薬プローブ駆動部205は、試薬プローブ203を吸引位置PIと吐出位置POとの間で回動させ、また、試薬プローブ203を所定位置と作業位置との間で上昇及び下降させる。それにより、試薬プローブ203は、吸引位置PIに回動して、所定位置から作業位置に下降し、吸引位置PIに移動させた試薬容器201から試薬を吸引する。その後、試薬プローブ203は、作業位置から所定位置に上昇し、吐出位置POに回動して、前記吸引した試薬を、吐出位置POに移動させた反応容器301に吐出する。
【0027】
次に、反応庫300について説明する。反応庫300には複数の反応容器301が収容されている。反応庫300は、複数の反応容器301を円周方向に並べた状態で載置する反応ライン330と、反応ライン330を円周方向に回転させることにより、複数の反応容器301を順番に吐出位置POに移動させる反応庫用駆動部304とを有する。反応庫用駆動部304は、試料及び試薬が分注された反応容器301を、測定位置に移動させる。吐出位置POから測定位置に移動させるまでの間、反応容器301内の試料及び試薬は攪拌子(図示省略)によって攪拌される。それにより、反応溶液が生成される。
【0028】
測定位置には測光ユニット190が配されている。測光ユニット190は、攪拌後の反応容器301に光を照射して、透過した光から設定波長における吸光度を測定する。反応庫用駆動部304は、反応容器301を測定位置から洗浄位置PWに移動させる。洗浄位置PWの近傍には洗浄装置50が配されている。洗浄装置50は、測定後の反応溶液である廃液を反応容器301から外部に排出し、廃液を排出した後の反応容器301に洗浄液を供給して反応容器301を洗浄する。
【0029】
次に、洗浄装置50、及び、洗浄装置50の動作を制御するための駆動制御部40について図3から図5を参照して説明する。図4は、反応容器301を洗浄するための洗浄装置50の構成図、図5は、各反応容器に供給された洗浄液による一連の洗浄動作を示した図である。
【0030】
駆動制御部40は、制御部41、吸引処理部704、吸引管駆動部705、供給処理部804、及び、供給管駆動部805を有している。
【0031】
洗浄装置50は、廃液を反応容器301から外部に排出するための第1の機構、廃液を排出した後の反応容器301に洗浄液である純水を供給するための第2の機構、廃液を排出した後の反応容器301に洗浄液である洗剤を供給するための第3の機構を有している。第1の機構が吸引機構を有している。また、第2の機構及び第3の機構が供給機構を有している。
【0032】
以下、第1の機構から第3の機構の各構成及び動作を順に説明する。前記廃液を反応容器301から外部に排出するための第1の機構は、ポンプ51、仕切弁55、廃液槽61、及び、吸引管71を有している。吸引管71は各反応容器301にそれぞれ配されている。吸引管71の先端部には吸引口72が設けられている。ここで、「廃液」とは、吸光度を測定した後の反応溶液であり、又は、反応容器301を洗浄した後の洗浄液をいう。
【0033】
反応容器301の移動方向の手前側から奥側にわたって複数回の洗浄をするために6つの洗浄位置PWが設けられている。反応庫用駆動部304は、反応容器301を前記移動方向の手前側にある始端の洗浄位置PWから前記移動方向の奥側にある終端の洗浄位置PWまでの間を1つずつ順次移動させる。6つの洗浄位置PWに移動させた6つの反応容器301を、図4にNo.1〜No.6の符号を付して示す。
【0034】
この第1実施形態においては、各洗浄位置PWに移動させた反応容器301に洗浄液を供給する場合、洗浄液の液面の位置を、洗浄位置PW毎に同じ高さとし、移動方向で手前の洗浄位置PWに移動させた反応容器301に供給される洗浄液の液面の位置に対し、移動方向で次の洗浄位置PWに移動させた反応容器301に供給される洗浄液の液面の位置を高くし、前段の洗浄位置PWに移動させた反応容器301内の液面付近に付着した廃液の汚れを、その反応容器301を後段の洗浄位置PWに移動させたときに洗浄するように、駆動制御部40、及び、洗浄装置50を構成した。
【0035】
各洗浄位置PWにおいて、反応容器301は予め定められた順番に洗浄される。その順番を図5にステップ1からステップ7を付して示した。以下、ステップ1からステップ7の順番に、洗浄装置50、及び、洗浄装置50の動作を制御するための駆動制御部40の構成を説明する。
【0036】
(ステップ1)
反応庫用駆動部304は、反応容器301を所定時間(例えば、9秒)毎に前の洗浄位置PWから次の洗浄位置PWに移動させる。終端の洗浄位置PWに移動させたNo.1の反応容器301、及び、始端の洗浄位置PWに移動させたNo.6の反応容器301であって、吸光度を測定した後の反応溶液である廃液L1の入ったNo.6の反応容器301を図5のステップ1に示す。
【0037】
(廃液の吸引処理:ステップ2)
制御部41からの指示を受けて、吸引管駆動部705は、吸引口72を反応容器301の上方である上方位置P1から反応容器301内の底部に近い底部近傍位置P2に移動させるように、吸引管71を移動させる。また、制御部41からの指示を受けて、吸引処理部704は、ポンプ51を作動させると共に、仕切弁55を開かせ、反応容器301内の廃液L1を吸引口72から外部の廃液槽61に排出する。
【0038】
吸引管駆動部705の構成は、試料プローブ駆動部105の構成と基本的に同じである。すなわち、試料プローブ103を移動させるための所要時間tを求める場合と同様に、生成部43は、制御部41の指示を受け、上記式(2)を基に、予め定められたパルス数n、及び、吸引管71を移動させる、予め定められた距離sから、所要時間tを求める。制御部41は、所要時間tを制御情報として、記憶部42に記憶させる。吸引管駆動部705は、パルス数nを所要時間t付与され、吸引管71を上方位置P1と底部近傍位置P2との間の所定距離sだけ上昇及び下降させる。
【0039】
上方位置P1に移動させた吸引管71を図4に破線で示し、また、底部近傍位置P2に移動させた吸引管71を図4に実線で示す。廃液L1の吸引処理を図5にステップ2で示す。ステップ2では、No.6の反応容器301は、空になっている。
【0040】
廃液L1の排出が完了した後、制御部41からの指示を受けて、吸引処理部704は、ポンプ51の作動を停止させると共に、仕切弁55を閉じさせる。また、制御部41からの指示を受けて、吸引管駆動部705は、吸引管71を底部近傍位置P2から上方位置P1に移動させる。
【0041】
(洗浄液の供給処理:ステップ3)
供給処理部804及び供給管駆動部805は、廃液を排出した後の反応容器301に洗浄液を供給する。ここで、「廃液」とは、測定後の反応溶液である前記廃液L1、並びに、洗浄後の純水L2、洗剤L3、及び洗剤L4をいう。また、「洗浄液」とは純水L2、並びに、洗剤L3、及び、洗剤L4をいう。
【0042】
廃液L1、L2、L4を排出した後の反応容器301に純水L2を供給するための第2の機構において、供給処理部804及び供給管駆動部805は、始端の洗浄位置PW、及び、終端側の3つの洗浄位置PWにそれぞれ移動させた全部で4つの反応容器301に純水L2を供給する。純水L2が供給される反応容器301を図4及び図5のステップ3にNo.1〜No.3、及び、No.6の番号を付して示す。
【0043】
廃液L2、L3を排出した後の反応容器301に洗剤L3、L4を供給するための第3の機構において、供給処理部804及び供給管駆動部805は、反応容器301の移動方向に2番目の洗浄位置PWに移動させた反応容器301に洗剤L3を供給し、前記移動方向に始端から3番目の洗浄位置PWに移動させた反応容器301に洗剤L4を供給する。洗剤L3が供給される反応容器301を図4にNo.5の番号を付して示し、洗剤L4が供給される反応容器301を図4にNo.4の番号を付して示す。
【0044】
先ず、廃液L1、L2、L4を排出した後の反応容器301に純水L2を供給するための第2の機構を説明する。第2の機構は、ポンプ52、仕切弁56、流量調整弁59、水槽62、及び、供給管81を有している。
【0045】
ステップ3において、制御部41からの指示を受けて、供給管駆動部805は、上方位置P1にある供給管81を、各反応容器301毎に予め定められた液面近傍位置P3(反応容器301内の吸い出される前の廃液の液面に上方から近い位置)に下降させる。次に、供給処理部804は、制御部41からの指示を受けて、ポンプ52を作動させると共に、仕切弁56を開かせ、外部の水槽62から供給口82を通って、各反応容器301に洗浄液を供給する。
【0046】
供給管駆動部805の構成は、試料プローブ駆動部105の構成と基本的に同じであり、供給口82を上方位置P1と液面近傍位置P3との間を往復移動させるように、供給管81を移動させる。すなわち、試料プローブ103を移動させるための所要時間tを求める場合と同様に、生成部43は、制御部41の指示を受け、上記式(2)を基に、予め定められたパルス数n、及び、供給管81を移動させる、予め定められた距離sから、所要時間tを求める。制御部41は、所要時間tを制御情報として、記憶部42に記憶させる。供給管駆動部805は、パルス数nを所要時間t付与され、供給管81を上方位置P1と液面近傍位置P3との間の所定距離sだけ上昇及び下降させる。
【0047】
終端側の洗浄位置PWに移動させたNo.1及びNo.2の各反応容器301であって、廃液L2を排出した後の反応容器301に純水L2を供給するための第2の機構が、流量調整弁59を有しないのに対し、始端の洗浄位置PWに移動させたNo.6の反応容器301であって、廃液L1を排出した後の反応容器301に純水L2を供給するための第2の機構が、流量調整弁59を有する点が異なる。始端の洗浄位置PWに移動させたNo.6の反応容器301に供給する純水L2の流量を調節することにより、調整後の純水L2の液面の位置aに対し、終端側の洗浄位置PWに移動させたNo.1及びNo.2の反応容器301に供給する純水L2の液面の位置dを所定幅だけ高くすることが可能となる。位置aから位置dまでの前記所定幅の間に、洗剤L3の液面の位置b、及び、洗剤L4の液面の位置cを設けることが可能となる。洗剤L3の液面の位置b、洗剤L4の液面の位置c、及び、純水L2の液面の位置dを図5に示す。なお、洗剤L3の液面の位置b、及び、洗剤L4の液面の位置cについては、廃液L2、L3を排出した後の反応容器301に洗剤L3、L4を供給するための第3の機構の説明の中で、後述する。
【0048】
以下、供給処理部804及び供給管駆動部805の構成及び動作を、No.1〜No.3、及び、No.6の各反応容器301に対応させて説明する。先ず、供給管駆動部805は、No.6の反応容器301の廃液L1の液面の位置H(ステップ1)に上方から近い液面近傍位置P3である位置aに供給管81を下降させ、また、No.3の反応容器301の廃液L4の液面の位置c(ステップ1)に上方から近い液面近傍位置P3である位置dに供給管81を下降させる。
【0049】
供給処理部804は、制御部41からの指示を受けて、ポンプ52を作動させると共に、仕切弁56を開かせ、外部の水槽62から供給口82を通って、No.3及びNo.6の各反応容器301内に純水L2を供給する。供給処理部804は、純水L2の予め定められた供給量(例えば、0.3〜0.6cc)に対応する時間だけ仕切弁56を開かせる。
【0050】
No.6の反応容器301内の液面近傍位置P3である位置aまで純水L2を満たす。それにより、反応容器301内面の液面の位置H以下に付着した廃液L1を洗浄することが可能となる。また、No.3の反応容器301内の液面近傍位置P3である位置dまで純水L2を満たす。それにより、反応容器301内面の液面の位置c以下に付着した廃液L4を洗浄することが可能となる。以上のように、必要最小限の液量の洗浄液により、液面以下に付着した廃液L1、L4を洗浄して、純水L2の無駄な消費を無くすことができる。
【0051】
ここで、「液面近傍位置」とは、供給口82と、反応容器301内の吸い出される前の廃液L1、L4の液面との位置関係において、液面に近い供給口82の位置をいう。廃液L1、L4の液面から液面近傍位置P3までの距離は、1mmから5mmであることが好ましく、さらに、2mmから3mmであることが好ましい。上方位置P1に移動させた供給管81を図4に破線で示し、また、液面近傍位置P3に移動させた供給管81を図4に実線で示す。
【0052】
また、供給管駆動部805は、ステップ3において、No.2の反応容器301の廃液L2の液面の位置d(ステップ1)に上方から近い液面近傍位置P3である位置d、また、No.1の反応容器301の廃液L2の液面の位置d(ステップ1)に上方から近い液面近傍位置P3である位置dに供給管81を下降させる。
【0053】
制御部41からの指示を受けて、供給処理部804は、ポンプ52を作動させると共に、仕切弁56を開かせ、外部の水槽62から供給口82を通って、No.1及びNo.2の各反応容器301内に純水L2を供給する。各反応容器301内の液面近傍位置P3まで純水L2を満たすことにより、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L2を洗浄することが可能となる。No.1及びNo.2の各反応容器301においては、液面近傍位置P3が、廃液L2の液面に対し共に位置dで一致しており、上方に位置していないが、No.1及びNo.2の各反応容器301を始端から5番目、及び6番目の洗浄位置PWに移動させるまでの間に、No.1及びNo.2の各反応容器301の内面に残留している廃液L2の濃度を許容値以下に低下させているので、廃液L2の残留による測定不良の発生要因とならない。
【0054】
次に、洗剤L3を供給するための第3の機構を説明する。この第3の機構は、ポンプ53、仕切弁57、洗剤槽63、及び、供給管81を有している。
【0055】
制御部41からの指示を受けて、供給管駆動部805は、供給管81を上方位置P1から液面近傍位置P3に移動させる。
【0056】
供給管駆動部805の構成は、試料プローブ駆動部105の構成と基本的に同じである。すなわち、試料プローブ103を移動させるための所要時間tを求める場合と同様に、生成部43は、制御部41の指示を受け、上記式(2)を基に、予め定められたパルス数n、及び、供給管81を移動させる、予め定められた距離sから、所要時間tを求める。制御部41は、所要時間tを制御情報として、記憶部42に記憶させる。供給管駆動部805は、パルス数nを所要時間t付与され、供給管81を上方位置P1と液面近傍位置P3との間の所定距離sだけ上昇及び下降させる。供給管駆動部805は、ステップ1で示すNo.5の反応容器301の廃液L2の液面の位置aに上方から近い位置bである液面近傍位置P3に供給管81を下降させる。
【0057】
制御部41からの指示を受けて、供給処理部804は、ポンプ53を作動させると共に、仕切弁57を開かせ、外部の洗剤槽63から供給口82を通って、反応容器301内に洗剤L3を供給する。反応容器301内の液面近傍位置P3まで洗剤L3を満たすことにより、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L2を洗浄することが可能となる。また、必要最小限の液量の洗剤L3により、液面以下に付着した廃液L2を洗浄することが可能となる。供給処理部804は、洗剤L3の供給量0.3〜0.6ccに対応する時間だけ仕切弁57を開かせる。
【0058】
ここで、「液面近傍位置」とは、反応容器301内の吸い出される前の廃液L2、L3の液面に上方から近い位置をいう。廃液L2の液面から液面近傍位置P3までの距離は、1mmから5mmであることが好ましく、さらに、2mmから3mmであることが好ましい。上方位置P1に移動させた供給管81を図4に破線で示し、また、液面近傍位置P3に移動させた供給管81を図4に実線で示す。
【0059】
供給管駆動部805は、パルス数nを所要時間t付与され、供給管81を上方位置P1と液面近傍位置P3との間の所定距離sだけ下降させる。それにより、始端の洗浄位置PWに移動させた反応容器301に供給する純水L2の液面の位置aに対し、前記移動方向に始端から2番目の洗浄位置PWに移動させた反応容器301に供給する洗剤L3の液面の位置bを高くすることが可能となる。反応容器30内の液面近傍位置P3まで洗剤L3を満たすことにより、反応容器301の内面の液面以下に付着した廃液L2を洗浄することが可能となる。また、必要最小限の液量の洗剤L3により、液面以下に付着した廃液L2を洗浄することが可能となる。洗剤L3の液面の位置bを図5に示す。
【0060】
次に、洗剤L4を供給するための第3の機構を説明する。この第3の機構は、ポンプ54、仕切弁58、洗剤槽64、及び、供給管81を有している。
【0061】
制御部41からの指示を受けて、供給管駆動部805は、供給管81を上方位置P1から液面近傍位置P3に移動させる。
【0062】
供給管駆動部805の構成は、試料プローブ駆動部105の構成と基本的に同じである。すなわち、試料プローブ103を移動させるための所要時間tを求める場合と同様に、生成部43は、制御部41の指示を受け、上記式(2)を基に、予め定められたパルス数n、及び、供給管81を移動させる、予め定められた距離sから、所要時間tを求める。制御部41は、所要時間tを制御情報として、記憶部42に記憶させる。供給管駆動部805は、パルス数nを所要時間t付与され、供給管81を上方位置P1と液面近傍位置P3との間の所定距離sだけ上昇及び下降させる。供給管駆動部805は、ステップ1で示すNo.4の反応容器301の廃液L3の液面の位置bに上方から近い位置cである液面近傍位置P3に供給管81を下降させる。
【0063】
制御部41からの指示を受けて、供給処理部804は、ポンプ54を作動させると共に、仕切弁58を開かせ、外部の洗剤槽64から供給口82を通って、反応容器301内に洗剤L4を供給する。反応容器301内の液面近傍位置P3まで洗剤L4を満たすことにより、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L3を洗浄することが可能となる。また、必要最小限の液量の洗剤L4により、液面以下に付着した廃液L3を洗浄することが可能となる。供給処理部804は、洗剤L4の供給量0.3〜0.6ccに対応する時間だけ仕切弁58を開かせる。
【0064】
ここで、「液面近傍位置」とは、反応容器301内の吸い出される前の廃液L3の液面に上方から近い位置をいう。廃液L3の液面から液面近傍位置P3までの距離は、1mmから5mmであることが好ましく、さらに、2mmから3mmであることが好ましい。上方位置P1に移動させた供給管81を図4に破線で示し、また、液面近傍位置P3に移動させた供給管81を図4に実線で示す。
【0065】
供給管駆動部805は、パルス数nを所要時間t付与され、供給管81を上方位置P1と液面近傍位置P3との間の所定距離sだけ下降させる。それにより、前記移動方向に始端から2番目の洗浄位置PWに移動させた反応容器301に供給する洗剤L3の液面の位置bに対し、前記移動方向に始端から3番目の洗浄位置PWに移動させた反応容器301に供給する洗剤L4の液面の位置cを高くすることが可能となる。反応容器30内の液面近傍位置P3まで洗剤L4を満たすことにより、反応容器301の内面の液面以下に付着した廃液L3を洗浄することが可能となる。また、必要最小限の液量の洗剤L4により、液面以下に付着した廃液L3を洗浄することが可能となる。洗剤L4の液面の位置cを図5に示す。
【0066】
上記した供給処理部804及び供給管駆動部805の構成により、洗浄液を満たす液面を位置aから位置dまで徐々に高くすることにより、洗浄後に廃液となった洗浄液であって、反応容器301内面の液面以下に付着した洗浄液を必要最小限の液量の次の洗浄液により洗浄することが可能となる。
【0067】
(廃液の吸引処理:ステップ4)
ステップ4では、前述したステップ2の廃液の吸引処理と基本的に同じ処理が行われる。反応容器301内の廃液L2、L3、L4が外部の廃液槽61に排出される。
【0068】
ステップ3、又は、ステップ4の後に、反応庫用駆動部304は、各反応容器301を移動方向で次の洗浄位置PWに移動させる。したがって、反応庫用駆動部304は、No.1の反応容器301を終端の洗浄位置PWから移動させ、No.2〜No.6までの反応容器301を次の洗浄位置PWに移動させ、No.7の反応容器301を始端の洗浄位置PWに移動させる。
【0069】
(洗浄液の供給処理:ステップ5)
ステップ5では、前述したステップ3の洗浄液の供給処理と基本的に同じ処理が行われる。
【0070】
駆動制御部40、及び、洗浄装置50は、各洗浄位置PWに移動させた反応容器301に洗浄液を供給する場合、洗浄液の液面の位置を、洗浄位置PW毎に同じ高さとし、移動方向で手前の洗浄位置PWに移動させた反応容器301に供給される洗浄液の液面の位置に対し、移動方向で次の洗浄位置PWに移動させた反応容器301に供給される洗浄液の液面の位置を高くし、前段の洗浄位置PWに移動させた反応容器301内の液面付近に付着した廃液の汚れを、その反応容器301を後段の洗浄位置PWに移動させたときに洗浄するように構成した。
【0071】
ステップ5の洗浄液の供給処理を、ステップ3の洗浄液の供給処理と対比して説明する。
【0072】
No.4の反応容器301において、反応容器30内の液面近傍位置P3まで純水L2を満たすことにより(ステップ3)、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L4を洗浄することが可能となる。また、No.5の反応容器301において、反応容器30内の液面近傍位置P3まで洗剤L4を満たすことにより(ステップ3)、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L3を洗浄することが可能となる。さらに、No.6の反応容器301において、反応容器301内の液面近傍位置P3まで洗剤L3を満たすことにより(ステップ3)、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L2を洗浄することが可能となる。ステップ3のいずれの反応容器301において、必要最小限の液量の洗浄液により、液面以下に付着した廃液を洗浄することが可能となる。
【0073】
なお、No.2及びNo.3の反応容器301において、反応容器30内の吸い出される前の純水L2の液面と同じ高い位置まで純水L2を満たしたが(ステップ3)、この時点で、No.2及びNo.3の反応容器301内の廃液L2の濃度を十分に低下させており、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L2を十分に洗浄することが可能となる。また、純水L2の液面を同じ高さにしたので、供給処理部804の構成を複雑化しないで済む。
【0074】
(廃液の吸引処理:ステップ6)
ステップ6では、前述したステップ2の廃液の吸引処理と基本的に同じ処理が行われる。反応容器301内の廃液L2、L3、L4が外部の廃液槽61に排出される。
【0075】
ステップ5、又は、ステップ6の後に、反応庫用駆動部304は、各反応容器301を移動方向で次の洗浄位置PWに移動させる。したがって、反応庫用駆動部304は、No.2の反応容器301を終端の洗浄位置PWから移動させ、No.3〜No.7までの反応容器301を次の洗浄位置PWに移動させ、No.8の反応容器301を始端の洗浄位置PWに移動させる。
【0076】
(洗浄液の供給処理:ステップ7)
ステップ7では、前述したステップ3の洗浄液の供給処理と基本的に同じ処理が行われる。
【0077】
駆動制御部40、及び、洗浄装置50は、各洗浄位置PWに移動させた反応容器301に洗浄液を供給する場合、洗浄液の液面の位置を、洗浄位置PW毎に同じ高さとし、移動方向で手前の洗浄位置PWに移動させた反応容器301に供給される洗浄液の液面の位置に対し、移動方向で次の洗浄位置PWに移動させた反応容器301に供給される洗浄液の液面の位置を高くし、前段の洗浄位置PWに移動させた反応容器301内の液面付近に付着した廃液の汚れを、その反応容器301を後段の洗浄位置PWに移動させたときに洗浄するように構成した。
【0078】
ステップ7の洗浄液の供給処理を、ステップ5の洗浄液の供給処理と対比して説明する。
【0079】
No.5の反応容器301において、反応容器30内の液面近傍位置P3まで純水L2を満たすことにより(ステップ5)、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L4を洗浄することが可能となる。また、No.6の反応容器301において、の反応容器30内の液面近傍位置P3まで洗剤L4を満たすことにより(ステップ5)、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L3を洗浄することが可能となる。さらに、No.7の反応容器301において、反応容器301内の液面近傍位置P3まで洗剤L3を満たすことにより(ステップ5)、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L2を洗浄することが可能となる。ステップ5のいずれの反応容器301においても、必要最小限の液量の洗浄液により、液面以下に付着した廃液を洗浄することが可能となる。
【0080】
なお、No.3及びNo.4の反応容器301において、反応容器30内の吸い出される前の純水L2の液面と同じ高い位置まで純水L2を満たしたが(ステップ5)、この時点で、No.3及びNo.4の反応容器301内の廃液L2の濃度を十分に低下させており、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L2を十分に洗浄することが可能となる。また、純水L2の液面を同じ高さにしたので、供給処理部804の構成を複雑化しないで済む。
【0081】
以上、ステップ1からステップ7の順番に、駆動制御部40及び洗浄装置50の構成を説明した。
【0082】
(自動分析装置の動作)
次に、自動分析装置の一連の動作について説明する。
(試料分注、試薬分注)
試料プローブ103が試料の吸引をし、吸引した試料を反応容器301に吐出する。分注後の試料プローブ103は、洗浄され、待機位置へ移動し、次の試料分注に備える。
また、試薬プローブ203が試薬の吸引をし、吸引した試薬を反応容器301に吐出する。分注後の試薬プローブ203は、洗浄され、待機位置へ移動し、次の試薬分注に備える。以上のようにして、試料及び試薬が反応容器301に分注される。
【0083】
(攪拌、測定)
試料及び試薬が分注された反応容器301を、反応庫用駆動部304によって、測光ユニット190の方へ移動させる。それまでの間、反応容器301内の試料及び試薬は攪拌子(図示省略)によって攪拌される。測光ユニット190は、攪拌後の反応容器301に光を照射して、透過した光から設定波長における吸光度を測定する。
【0084】
(洗浄、乾燥)
反応容器301の洗浄については、洗浄装置50の動作として、図4及び図5を参照して前述したので、ここでは省略する。
【0085】
反応容器301の乾燥について説明する。反応容器301の移動方向に沿って図示省略した乾燥装置が設けられている。乾燥装置は、前記洗浄装置50の先に設けられている。乾燥装置は、吸水性を有する多孔質のチップが用いられ、チップを反応容器301内に進入、後退させることにより、反応容器301内に付着した洗浄液を吸水し、洗浄後の反応容器301を乾燥させる。
【0086】
液面以下に残留した廃液を確実に洗浄し、洗浄後の反応容器301を乾燥させたので、廃液の残留による測定不良の発生や測定精度の低下を防止した反応容器301とすことができ、次回の試料及び試薬の分注に用いることが可能となる。
【0087】
前記第1実施形態において、前段の洗浄位置PWに移動させた反応容器301内の液面付近に付着した廃液の汚れを、その反応容器301を後段の洗浄位置PWに移動させたときに洗浄するように駆動制御部40、及び、洗浄装置50を構成したが、同一段の洗浄位置PWに移動させた反応容器301を複数回洗浄するとき、前回の洗浄で反応容器301内の液面付近に付着した廃液の汚れを、次回の洗浄で洗うように駆動制御部40、及び、洗浄装置50を構成しても良い。
【0088】
[第2の実施の形態]
次に、この発明の第2の実施形態について図6を参照して説明する。図6は、自動分析装置における一連の洗浄動作を示した図である。
【0089】
第2の実施形態に係る駆動制御部40、及び、洗浄装置50においては、同一段の洗浄位置PWに移動させた反応容器301を複数回洗浄するとき、前回の洗浄で反応容器301内の液面付近に付着した廃液の汚れを、次回の洗浄で洗うようにした。
【0090】
第2の実施形態に係る駆動制御部40、及び、洗浄装置50は、同一段の洗浄の回が進むに応じて、洗浄液の液面の位置を高くしていく点を除けば、第1の実施形態に係る駆動制御部40、及び、洗浄装置50と基本的に同じ構成である。
【0091】
以下、ステップ1からステップ7の順番に、駆動制御部40及び洗浄装置50の構成を説明する。
【0092】
(ステップ1)
反応庫用駆動部304が、吸光度を測定した後の反応溶液である廃液L1の入ったNo.6の反応容器301を始端の洗浄位置PWに移動させる。廃液L1の液面の位置Hを図6のステップ1に示す。
【0093】
(廃液の吸引処理:ステップ2)
制御部41からの指示を受けて、吸引処理部704、及び、吸引管駆動部705は、反応容器301内の廃液L1を吸引口72から外部の廃液槽61に排出する。
【0094】
(洗浄液の供給処理:ステップ3)
制御部41からの指示を受けて、供給処理部804は仕切弁56を開かせる開放時間を調整する。
ステップ1に示すNo.6の反応容器301に廃液L1の液面の位置Hに上方から近い位置aである液面近傍位置P3まで、純水L2を満たすことにより、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L1を洗浄することが可能となる。また、必要最小限の液量の純水L2により、液面以下に付着した廃液L1を洗浄することが可能となる。No.6の反応容器301に供給された純水L2の液面の位置aを図6のステップ3に示す。
【0095】
(廃液の吸引処理:ステップ4)
ステップ4では、前述したステップ2の廃液の吸引処理と基本的に同じ処理が行われる。反応容器301内の廃液L2、L3、L4が外部の廃液槽61に排出される。
【0096】
(洗浄液の供給処理:ステップ5)
ステップ5では、前述したステップ3の洗浄液の供給処理と基本的に同じ処理が行われる。
【0097】
駆動制御部40、及び、洗浄装置50は、前回(ステップ3)の反応容器301に供給される洗浄液(純水L2、及び、洗剤L3、L4)の液面の位置に対し、次回(ステップ5)の反応容器301に供給される洗浄液(純水L2、及び、洗剤L3、L4)の液面の位置を高くし、前回の反応容器301内の液面付近に付着した廃液L2、L3、L4の汚れを、次回の洗浄液L2、L3、L4で洗浄するように構成した。反応容器30内の液面近傍位置P3まで洗浄液(純水L2及び、洗剤L3、L4)を満たすことにより、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L2、L3、L4を洗浄することが可能となる。また、必要最小限の液量の洗浄液により、液面以下に付着した廃液を洗浄することが可能となる。次回の反応容器301に供給された純水L2、及び、洗剤L3、L4の液面の位置bを図6のステップ5に示す。
【0098】
(廃液の吸引処理:ステップ6)
ステップ6では、前述したステップ2の廃液の吸引処理と基本的に同じ処理が行われる。反応容器301内の廃液L2、L3、L4が外部の廃液槽61に排出される。
【0099】
(洗浄液の供給処理:ステップ7)
ステップ7では、前述したステップ3の洗浄液の供給処理と基本的に同じ処理が行われる。
【0100】
駆動制御部40、及び、洗浄装置50は、前回(ステップ5)の反応容器301に供給される洗浄液(純水L2、及び、洗剤L3、L4)の液面の位置に対し、次回(ステップ7)の反応容器301に供給される洗浄液(純水L2、及び、洗剤L3、L4)の液面の位置を高くし、前回の反応容器301内の液面付近に付着した廃液L2、L3、L4の汚れを、次回の洗浄液L2、L3、L4で洗浄するように構成した。反応容器30内の液面近傍位置P3まで洗浄液(純水L2及び、洗剤L3、L4)を満たすことにより、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L2、L3、L4を洗浄することが可能となる。また、必要最小限の液量の洗浄液により、液面以下に付着した廃液を洗浄することが可能となる。次回の反応容器301に供給された純水L2、及び、洗剤L3、L4の液面の位置cを図6のステップ5に示す。
【0101】
前記実施形態では、駆動制御部40、及び、洗浄装置50が、前回の反応容器301の洗浄処理と次回の反応容器301の洗浄処理との間に廃液の吸引処理(ステップ2、ステップ4、及び、ステップ6)をするように構成したが、反応容器301の洗浄処理、及び、廃液の吸引処理を同時に行うように構成しても良い。
【0102】
また、前記実施形態では、供給処理部804が前段又は前回の反応容器301内の廃液の液面の位置より高い位置に次段又は次回の洗浄液を満たすように構成したが、供給処理部804が前段又は前回の反応容器301内の廃液の液面の位置より高い位置に次段又は次回の洗浄液を吹き付けるように構成しても良い。
【0103】
[第3の実施の形態]
次に、この発明の第3の実施形態について図7を参照して説明する。図7は、自動分析装置における一連の洗浄動作を示した図である。
【0104】
第3の実施形態に係る駆動制御部40、及び、洗浄装置50は、第1の実施形態に係る各構成と基本的に同じであるが、反応容器31の洗浄処理、及び、廃液の吸引処理を同時に行うように構成され、また、供給処理部804が前段又は前回の反応容器301内の廃液の液面の位置より高い位置に次段又は次回の洗浄液を吹き付けるように構成されている点が、第1の実施形態に係る構成と異なる。
【0105】
以下、ステップ1からステップ7の順番に、駆動制御部40及び洗浄装置50の構成を説明する。
【0106】
(ステップ1)
反応庫用駆動部304が、吸光度を測定した後の反応溶液である廃液L1の入ったNo.6の反応容器301を始端の洗浄位置PWに移動させる。廃液L1の液面の位置Hを図7のステップ1に示す。
【0107】
(廃液の吸引処理:ステップ2)
制御部41からの指示を受けて、供給管駆動部805は、吸引口72を上方位置から底部近傍位置に移動させるように、吸引管71を移動させる。制御部41からの指示を受けて、吸引処理部704、及び、吸引管駆動部705は、反応容器301内の廃液L1を吸引口72から外部の廃液槽61に排出する。第3実施形態において、吸引管71及び供給管81は一体的に設けられており、供給管駆動部805が、吸引口72を上方位置から底部近傍位置に移動させることで、同時に、供給口82を上方位置から液面近傍位置に移動させる。一体的に設けられた吸引管71及び供給管81を図7のステップ3に示す。
【0108】
(洗浄液の供給処理:ステップ3)
ステップ2において、既に、供給口82は、廃液L1の液面に上方から近い液面近傍位置P3に移動している。廃液の吸引処理と洗浄液の供給処理との間で、吸引管71及び供給管81を移動させる必要が無く、反応容器301の洗浄を迅速に処理することが可能となる。
【0109】
反応容器30内の吸い出される前の廃液L1の液面より高い位置に、液面近傍位置に移動させた供給口82から純水L2を吹き付けることにより、反応容器301内面の液面以下に付着した廃液L1を洗浄することが可能となる。
【0110】
ここで、「液面近傍位置」とは、供給口82と、反応容器301内の吸い出される前の廃液L1、L2、L4の液面との位置関係において、該液面に洗浄液を吹き付ける程度に近い供給口82の位置をいう。廃液L1、L2、L4の液面から液面近傍位置P3までの距離は、3mmから10mmであることが好ましく、さらに、5mmから7mmであることが好ましい。液面近傍位置P3に移動させた供給管81を図7に示す。また、反応容器301に供給された純水L2、及び、洗剤L3、L4の液面の位置aを図7のステップ3に示す。
【0111】
(廃液の吸引処理:ステップ4)
ステップ4では、前述したステップ2の廃液の吸引処理と基本的に同じ処理が行われる。反応容器301内の廃液L2、L3、L4が外部の廃液槽61に排出される。
【0112】
(洗浄液の供給処理:ステップ5)
ステップ5では、前述したステップ3の洗浄液の供給処理と基本的に同じ処理が行われる。
【0113】
(廃液の吸引処理:ステップ6)
ステップ6では、前述したステップ2の廃液の吸引処理と基本的に同じ処理が行われる。反応容器301内の廃液L2、L3、L4が外部の廃液槽61に排出される。
【0114】
(洗浄液の供給処理:ステップ7)
ステップ7では、前述したステップ3の洗浄液の供給処理と基本的に同じ処理が行われる。
【0115】
また、洗浄液の供給処理と並行して、反応容器301内の廃液の吸引処理を行う。洗浄液の供給処理と廃液の吸引処理とを同時に行うため、各洗浄液による反応容器301の洗浄時間を短くし、反応容器301を各洗浄位置PWに移動させる時間を例えば、4.5秒に短縮させることが可能となる。
【0116】
前記実施形態では、廃液の種類、及び、廃液の量に関係なく、供給処理部804が、反応容器301に供給する洗浄液を予め定められた液量としたが、廃液の種類、及び、廃液の量に対応した液量の洗浄液を反応容器301に供給するようにしても良い。それにより、必要最小限の液量の洗浄液により、液面以下に付着した廃液を確実に洗浄することが可能となる。
【符号の説明】
【0117】
10 自動分析装置 100 試料庫 101 試料容器
103 試料プローブ 104 試料庫用駆動部
105 試料プローブ駆動部 120 ボールネジ 121 ナット
122 ステッピングモータ 122A 上下動用ステッピングモータ
123 スプライン軸 124 回動機構 125 スプライン側プーリ
127 モータ側プーリ 128 回動用ベルト 129 ブロック
130 試料ラック 190 測光ユニット
200 試薬庫 201 試薬容器 203 試薬プローブ
204 試薬庫用駆動部 205 試薬プローブ駆動部 210 試薬庫ケース
300 反応庫 301 反応容器 304 反応庫用駆動部
330 反応ライン
40 駆動制御部 41 制御部 42 記憶部 43 生成部
44 表示制御部 45 表示部 46 操作部
50 洗浄装置 51、52、53、54 ポンプ
55、56、57、58 仕切弁 59 流量調整弁
61 廃液槽 62 水槽 63、64 洗剤槽
71 吸引管 72 吸引口 705 吸引管駆動部
81 供給管 82 供給口 805 供給管駆動部
901 洗浄槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、
前記分析した後の前記反応溶液、又は、前記反応容器を洗浄した後の洗浄液である廃液を、前記反応容器内から外部に排出するための吸引機構と、
供給口を有し、該供給口を前記廃棄が排出される前の前記廃液の液面に上方から近い液面近傍位置に移動し、該移動した前記供給口を通して外部から前記反応容器内に洗浄液を供給するための供給機構と、
を有する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、
前記分析した後の前記反応溶液、又は、前記反応容器を洗浄した後の洗浄液である廃液が入れられた前記反応容器を洗浄位置に移動させる駆動部と、
先端部に吸引口が設けられ、前記反応容器内から外部に前記廃液を排出するための吸引管と、
先端部に供給口が設けられ、外部から前記反応容器内に洗浄液を供給するための供給管と、
前記吸引口を、前記洗浄位置に移動された前記反応容器の上方位置と前記反応容器内の底部近傍位置との間を往復移動させるように、前記吸引管を移動させる吸引管駆動部と、
前記底部近傍位置に移動させた前記吸引口から前記廃液を吸い出す吸引処理部と、
前記供給口を、前記廃棄が吸い出された後の前記反応容器の上方位置と前記吸い出される前の前記廃液の液面に上方から近い液面近傍位置との間を往復移動させるように、前記供給管を移動させる供給管駆動部と、
前記液面近傍位置に移動させた前記供給口へ前記洗浄液を供給する供給処理部と、
を有する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
前記反応容器の移動方向の手前側から奥側にわたって複数回の洗浄をするために、前記洗浄位置が複数設けられ、
前記吸引処理部は、各前記洗浄位置において、前記底部近傍位置に移動させた前記吸引口から前記廃液を吸い出し、
前記供給管駆動部は、前記奥側の前記洗浄位置に移動させた前記反応容器に対し、前記手前側の前記洗浄位置に移動させた反応容器内の前記液面近傍位置より高い前記液面近傍位置に前記供給口を移動させることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記供給処理部は、同一の前記洗浄位置に移動させた前記反応容器に対し、前記洗浄液を複数回供給し、
前記吸引処理部は、前記洗浄位置において、前記底部近傍位置に移動させた前記吸引口から前記廃液を吸い出し、
前記供給管駆動部は、前回の前記洗浄液を供給するときの前記反応容器に対し、次回の前記洗浄液を供給するときの前記反応容器内の前記液面近傍位置より高い前記液面近傍位置に前記供給口を移動させることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記供給管駆動部は、前記廃液の量に応じて予め定められた前記液面近傍位置に前記供給口を移動させたことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記供給管駆動部は、前記廃液の種類に応じて予め定められた前記液面近傍位置に前記供給口を移動させることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記供給処理部、及び、前記吸引処理部は、相互に同時に行われることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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