説明

自動分析装置

【課題】下層試料の分注精度を低下させることなくサンプル分注プローブの試料と接触した外面を洗浄することができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】試料を収容する試料容器17から吸引して、反応容器3内に吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、試料容器17内の試料をこの試料とサンプル分注プローブ16の一端部Dとの接触により検出する試料検出器16bと、サンプル分注プローブ16の試料と接触した一端部D及び広範囲Wの外面を洗浄する洗浄槽71及びこの洗浄槽71に洗浄液を供給する供給部73とを備え、供給部73からの供給により洗浄液が貫流する洗浄槽71に立設された第2の洗浄管714内にサンプル分注プローブ16を進入させて広範囲Wの外面を洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液体を分注する分注プローブを洗浄する機能を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された被検試料等の試料と各検査項目の試薬との混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を、分光光度計や比濁計の測光部で光学的に測定することにより、試料中の検査項目成分の濃度や酵素の活性等で表される分析データを生成する。
【0003】
この自動分析装置では、被検試料毎に複数の検査項目の中から設定された検査対象の項目の分析を行う。そして、サンプル分注プローブは、試料容器内の被検試料を吸引して反応容器に吐出する。また、試薬分注プローブは、試薬容器内の試薬を吸引して反応容器に吐出する。また、測光部は、反応容器内に吐出された被検試料及び試薬の混合液を測定する。そして、サンプル分注プローブは、試料の分注終了毎に洗浄槽で洗浄される。また、試薬分注プローブは、試薬の分注終了毎に洗浄槽で洗浄される。
【0004】
そして、自動分析装置で使用する試料容器には被検体から採血された全血を収容する採血管がある。この採血管に収容された全血は、血清又は血漿からなる上層の試料と血球成分等を含む下層の試料に分離され、上層の試料を分注して各検査項目の分析が行われる。この上層試料の分注における吸引では、サンプル分注プローブの一端が液面から例えば数mm下がった一端部が試料と接触する位置で試料を吸引するため、サンプル分注プローブの一端部外面に上層試料が付着する。サンプル分注プローブに付着した試料は、次に分注する試料容器内の試料を汚染する。この問題を解決する方法として、サンプル分注プローブの一端部外面を洗浄する洗浄方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
最近では、採血管内の下層試料を分注して、例えばグリコヘモグロビン等の検査項目の分析が行われるようになっている。この下層試料の吸引では、上層試料を通過して液面から例えば数十mm下方の下層試料を吸引するため、サンプル分注プローブの一端部を含む広範囲の外面に試料が付着する。このサンプル分注プローブ外面に試料が付着した状態で吸引した試料を反応容器に吐出させると、外面に付着した試料が反応容器に落下して、下層試料の分注精度が低下する問題がある。また、外面に付着した試料が次に分注する試料容器内の試料を汚染する問題がある。
【0006】
この問題を解決するために、このサンプル分注プローブの広範囲の外面に付着した試料を、特許文献1の方法で洗い落とそうとすると、洗浄パイプの径を大きくする必要がある。そして、大きくした洗浄パイプからサンプル分注プローブの広範囲外面にむら無く当てようとすると、強い圧力で多量の洗浄水を放出させる必要があるため、洗浄水の飛び散りを防ぐために洗浄槽が大型化する問題がある。
【0007】
ところで、試薬分注プローブの外面を広範囲に亘って洗浄する洗浄方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この方法を利用して、サンプル分注プローブを洗浄することが考えられる。この特許文献2の洗浄方法では、落下するように噴出する洗浄液をサンプル分注プローブに当てて洗浄することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4175916号公報
【特許文献2】特開2002−162403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、噴出した洗浄液が落下した位置では洗浄液が散けやすく、サンプル分注プローブの広範囲外面全体に洗浄液を行き亘らせることが困難であるため、サンプル分注プローブ外面に試料が残存して、次に分注する試料容器内の試料を汚染する問題がある。
【0010】
本発明の実施形態は、上記問題点を解決するためになされたもので、下層試料の分注精度を低下させることなくサンプル分注プローブの試料と接触した外面を洗浄することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、実施形態の自動分析装置は、試料と試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、前記試料を収容する試料容器から前記試料を吸引して、前記反応容器内に吐出する分注を行う分注プローブと、前記試料容器内の試料をこの試料と前記分注プローブの一端部との接触により検出する検出手段と、前記検出手段により検出される第1の吸引位置よりも下方の第2の吸引位置で前記試料容器内の試料を吸引した前記分注プローブの一端部よりも広い前記一端部を含む広範囲の外面を洗浄する洗浄手段とを備え、前記洗浄手段は、前記分注プローブの前記広範囲の部分が上方から進入する洗浄管、及び前記分注プローブを洗浄するための洗浄液を供給して前記洗浄管内を上方に貫流させるポンプを有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る第1及び第2の吸引位置で停止したサンプル分注プローブ及び試料容器を示す断面図。
【図4】本発明の実施例に係る洗浄部の構成の一例を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る洗浄槽の構成を示す外観図。
【図6】本発明の実施例に係る洗浄槽の配置の一例を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る洗浄槽の構成の詳細を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る第1及び第2の洗浄位置で停止したサンプル分注プローブを示す断面図。
【図9】本発明の実施例に係る洗浄槽の構成のうち、第2の洗浄管から流出する洗浄液の勢いを抑制するための抑制部の例を示す図である。
【図10】本発明の実施例に係る第1及び第2の分注工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0014】
以下、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図10を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検試料等の試料と各検査項目の分析に用いる試薬とを分注し、その混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部24と、分析部24の各ユニットを駆動して分注動作、測定動作、洗浄動作等の制御を行う分析制御部25とを備えている。
【0016】
また、自動分析装置100は、分析部24で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データを生成するデータ処理部30と、データ処理部30で生成された検量データや分析データを印刷出力や表示出力する出力部40と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部50と、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部60とを備えている。
【0017】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料や、尿、全血、全血から上下層に分離された上下層分離試料、及び分離された上層の試料である血清又は血漿等の各被検試料を収容する試料容器17と、この試料容器17を保持するサンプルディスク5と、標準試料や被検試料の各試料に含まれる検査項目の成分と反応する1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、この試薬容器6を格納する試薬庫1と、この試薬庫1に格納された試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aと、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、この試薬容器7を格納する試薬庫2と、この試薬庫2に格納された試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aと、円周上に配置された複数個の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
【0018】
また、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の各試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16に試料の吸引及び吐出を行わせるサンプル分注ポンプ16aと、サンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10とを備えている。また、例えば純水装置110で製造される純水を洗浄液として用いてサンプル分注プローブ16の試料と接触した外面を洗浄する洗浄部70と、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の試料をこの試料とサンプル分注プローブ16の一端部との接触により検出する試料検出器16bとを備えている。
【0019】
また、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して試料が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、この第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8と、第1試薬分注プローブ14の第1試薬と接触した外面を洗浄する洗浄部80と、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬をこの第1試薬と第1試薬分注プローブ14の一端部との接触により検出する第1試薬検出器14aとを備えている。
【0020】
また、反応容器3内に吐出された試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子18と、第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム20と、混合液の撹拌終了毎に第1撹拌子18を洗浄する洗浄槽18aとを備えている。
【0021】
また、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、この第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9と、第2試薬分注プローブ15の第2試薬と接触した外面を洗浄する洗浄部90と、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬をこの第2試薬と第2試薬分注プローブ15の一端部との接触により検出する第2試薬検出器15aとを備えている。
【0022】
また、反応容器3内の試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子19と、第2撹拌子19を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21と、混合液の撹拌終了毎に第2撹拌子19を洗浄する洗浄槽19aと、反応容器3内の混合液に光を照射して光学的に測定する測光部13と、測光部13で測定を終了した反応容器3内を洗浄する反応容器洗浄ユニット12とを備えている。
【0023】
そして、測光部13は光を照射し、照射した光の光路を回転移動して横切る反応容器3内の標準試料や各被検試料を含む混合液を透過した光を検査項目の波長毎に検出する。そして、検出した検出信号に基づいて、例えば吸光度データで表される標準データや被検データを生成し、生成した標準データや被検データをデータ処理部30に出力する。
【0024】
分析制御部25は、分析部24の各ユニットを駆動する機構を有する機構部26と、機構部26の各機構を制御して分析部24の各ユニットを作動させる制御部27とを備えている。そして、機構部26は、サンプルディスク5、試薬ラック1a、及び試薬ラック2aを夫々回動する機構、並びに反応ディスク4を回転する機構を備えている。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム20、及び第2撹拌アーム21を夫々回動及び上下移動する機構を備えている。また、反応容器洗浄ユニット12を上下移動する機構を備えている。また、サンプル分注ポンプ16aを吸引及び吐出駆動する機構、及び洗浄部70,80,90の各ユニットを洗浄駆動する機構を備えている。
【0025】
制御部27は、機構部26の各機構を制御する制御回路を備え、分析部24のサンプルディスク5、試薬ラック1a、試薬ラック2a、反応ディスク4、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム20、第2撹拌アーム21、反応容器洗浄ユニット12、及びサンプル分注ポンプ16a等の各ユニットや、洗浄部70,80,90の各ユニットを作動させる。
【0026】
そして、制御部27は、サンプル分注アーム10を回動駆動する回動機構に上死点の高さでサンプル分注プローブ16を移動させ、サンプルディスク5及び反応ディスク4の上方に位置する各上停止位置や、洗浄部70の上端近傍に位置する各第1及び第2の上停止位置で停止させる。また、サンプル分注アーム10を上下駆動する上下機構に下移動駆動パルスを供給して、サンプル分注プローブ16を各上停止位置から下に移動させる。
【0027】
ここで、サンプル分注プローブ16をサンプルディスク5の上停止位置で停止させた後に下に移動させ、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の試料が試料検出器16bにより検出される第1の吸引位置、及びサンプルディスク5の上停止位置から所定の距離下方の第1の吸引位置よりも下方に位置する第2の吸引位置の各吸引位置で停止させる。また、サンプル分注プローブ16を反応ディスク4の上停止位置で停止させた後に下に移動させ、例えばサンプル分注プローブ16の一端が反応容器3内の底面と接触する吐出位置で停止させる。
【0028】
更に、第1の吸引位置で試料を吸引したサンプル分注プローブ16を洗浄部70の第1の上停止位置である第1の洗浄位置で停止させる。更にまた、第2の吸引位置で吸引したサンプル分注プローブ16を洗浄部70の第2上停止位置で停止させた後、下に移動させて第2の洗浄位置で停止させる。
【0029】
図1に示したデータ処理部30は、分析部24の測光部13から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部31と、演算部31で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部32とを備えている。
【0030】
演算部31は、測光部13から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に対して予め設定された標準値から、標準値と標準データの関係を表す検量データを検査項目毎に生成し、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0031】
また、測光部13から出力された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部32から読み出す。そして、読み出した検量データを用いて測光部13より出力された被検データから、濃度値や活性値で表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0032】
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0033】
出力部40は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0034】
表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを表示する。また、自動分析装置100で分析可能な検査項目の分析パラメータである例えば反応容器3内に吐出させる試料量及び試薬量や試料容器17内の試料を吸引させる吸引位置等の設定を行う分析パラメータ設定画面、及びこの分析パラメータ設定画面で設定された検査項目の分析に用いる試薬の情報を設定するための試薬情報設定画面を表示する。
【0035】
操作部50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎の分析パラメータ、試薬情報等を設定するための入力を行う。
【0036】
システム制御部60は、CPU及び記憶回路を備え、操作部50からの操作により入力された各検査項目の分析パラメータ、試薬情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括してシステム全体を制御する。
【0037】
次に、図2及び図3を参照して、分析部24のサンプル分注プローブ16の構成及び第1及び第2の吸引位置について説明する。
図3は、第1及び第2の吸引位置で停止したサンプル分注プローブ16及び試料容器17を示した断面図である。そして、図3(a)は、第1の吸引位置で停止したサンプル分注プローブ16を示し、図3(b)は、第2の吸引位置で停止したサンプル分注プローブ16を示している。
【0038】
このサンプル分注プローブ16は、一端及び他端に開口を有する管状を成し、一端で試料の吸引及び吐出を行い、他端とサンプル分注ポンプ16a間が可撓性を有するチューブ161で連通している。そして、サンプル分注プローブ16及びチューブ161内には例えば純水等の圧力伝達媒体が充填されている。これにより、サンプル分注ポンプ16aからの吸引及び吐出動作による圧力がサンプル分注プローブ16一端に伝達され、一端から試料の吸引及び吐出を行う。また、サンプル分注プローブ16は、他端部がサンプル分注アーム10に保持され、このサンプル分注アーム10の回動動作により円周方向へ移動し、上下動作により上下方向に移動する。
【0039】
試料容器17には、全血を収容する所定サイズの採血管がある。また、図3に示すように、上層に位置する血清又は血漿の上層試料及び下層に位置する血球成分を含む下層試料からなる全血を上下層に分離した上下層分離試料を収容する前記採血管がある。更に、血清、血漿、尿等の各試料を収容する所定のサイズのサンプルカップや試験管がある。
【0040】
分析制御部25の制御部27は、システム制御部60から供給される分析パラメータに含まれる吸引位置の情報に基づいて、分析部24のサンプル分注アーム10を駆動する機構部26の機構を制御する。そして、サンプル分注アーム10を作動させてサンプル分注プローブ16を各吸引位置で停止させる。
【0041】
そして、図3(a)に示すように、サンプル分注プローブ16の一端部Dがサンプルディスク5に保持された試料容器17内の試料と接触することにより試料検出器16bで検出される第1の吸引位置A1である、サンプル分注プローブ16の一端が試料の液面から下に例えば2mm程度の一定の距離移動した位置で停止させる。
【0042】
サンプル分注プローブ16が第1の吸引位置A1で停止した後、制御部27は、システム制御部60から供給される分析パラメータに含まれる試料量の情報に基づいて、サンプル分注ポンプ16aを駆動する機構部26の機構を制御することにより、サンプル分注プローブ16内に設定された試料量に応じた量の上層に位置する血清又は血漿を吸引させる。
【0043】
このように、試料容器17内の下層に位置する試料に含まれる成分の分析を必要としない検査項目の分析では、第1の吸引位置A1で停止させたサンプル分注プローブ16内に試料を吸引させることができる。これにより、試料の吸引に不要なサンプル分注プローブ16外面の一端部D以外の部分と試料との接触を防いで、サンプル分注プローブ16外面の試料による汚染の範囲を低減することができる。
【0044】
また、図3(b)に示すように、サンプル分注プローブ16がサンプルディスク5の上停止位置から所定の距離下へ移動して第1の吸引位置A1よりも下方となる第2の吸引位置A2でサンプル分注プローブ16を停止させる。サンプル分注プローブ16が第2の吸引位置A2で停止した後、制御部27は、システム制御部60から供給される分析パラメータに含まれる試料量の情報に基づいて、サンプル分注ポンプ16aを駆動する機構部26の機構を制御することにより、サンプル分注プローブ16内に設定された試料量に応じた量の下層に位置する血球成分を含む下層試料を吸引させる。そして、第2の引位置A2でサンプル分注プローブ16を停止させる検査項目には例えばグリコヘモグロビンがあり、グリコヘモグロビンの場合には全血を吸引させるように実施してもよい。
【0045】
なお、試料容器17に収容された高さが最大となる試料を第2の吸引位置A2で吸引するときのサンプル分注プローブ16は、一端部Dよりも広い一端部Dを含む広範囲Wの外面が試料と接触することになる。
【0046】
このように、試料容器17の上下層に分離された下層試料や全血を試料とする検査項目の分析では、下層試料の吸引が可能な第2の吸引位置A2までサンプル分注プローブ16を移動させることができる。
【0047】
次に、図2乃至図8を参照して、洗浄部70の構成及びサンプル分注プローブ16の第1及び第2の洗浄位置について説明する。図4は、洗浄部70の構成の一例を示す図である。また、図5は、洗浄部70の一部の洗浄ユニットの構成を示す外観図である。また、図6は、図5に示した洗浄ユニットの配置の一例を示す図である。また、図7は、図5に示した洗浄ユニットの構成の詳細を示す図である。また、図8は、洗浄部70の第1及び第2の洗浄位置で停止したサンプル分注プローブ16を示す断面図である。
【0048】
図4において、洗浄部70は、サンプル分注プローブ16の洗浄を行う洗浄槽71、洗浄槽71でサンプル分注プローブ16を洗浄するための洗浄液を貯留するタンク72、及びタンク72に貯留された洗浄液を洗浄槽71に供給する供給部73により構成される。そして、試料検出器16bにより検出された第1の吸引位置A1で試料容器17内の試料を吸引したサンプル分注プローブの一端部D外面を洗浄する第1の洗浄手段と、第2の吸引位置A2で試料容器17内の試料を吸引したサンプル分注プローブ16の広範囲Wの外面を洗浄する第2の洗浄手段としての機能を有する。
【0049】
図5は、洗浄槽71の構成を示す外観図である。この洗浄槽71は、図6に示すように、サンプルディスク5の上停止位置と反応ディスク4の上停止位置間を移動するサンプル分注プローブ16の破線で示した円の軌道上に配置され、洗浄槽本体711、サンプル分注プローブ16の一端部Dに洗浄液を吐出する2つの第1の洗浄管712,713、サンプル分注プローブ16の広範囲W部分が上方から進入する第2の洗浄管714、及び洗浄液を洗浄槽本体711内から排出する排出管715により構成される。そして、洗浄槽本体711、第1の洗浄管712,713、排出管715、及び供給部73が第1の洗浄手段として機能する。また、洗浄槽本体711、第2の洗浄管714、排出管715、及び供給部73が第2の洗浄手段として機能する。
【0050】
図7は、洗浄槽71の構成の詳細を示した図である。そして、図7(a)は洗浄槽71の側面図であり、図7(b)は図7(a)に示した洗浄槽71のA−A矢視断面図である。洗浄槽71の洗浄槽本体711は、第1の洗浄管712,713、第2の洗浄管、及び排出管715を支持すると共に、サンプル分注プローブ16の洗浄に用いられた洗浄液を排出管715に導いて外部に飛び出すのを防ぐ。そして、上端が上死点の高さにおけるサンプル分注プローブ16の一端よりも上方に位置している。このため、洗浄槽本体711の両側面には、軌道上を移動するサンプル分注プローブ16が通過可能なように、2つの切欠き711aが設けられている。
【0051】
第1の洗浄管712,713は、図8(a)に示すように、洗浄部70の第1の上停止位置である第1の洗浄位置W1で停止したサンプル分注プローブ16の一端部Dを挟むように対向して洗浄槽本体711に横設される。そして、供給部73から供給される洗浄液をサンプル分注プローブ16の一端部D外面に向けて洗浄槽本体711内に設けられた吐出口から横方向へ吐出して、サンプル分注プローブ16の一端部D外面を洗浄する。また、図3に示したサンプル分注ポンプ16a及びチューブ161を介してサンプル分注プローブ16の他端に洗浄液が供給される。この供給によりサンプル分注プローブ16内を通過した洗浄液が一端から吐出され、サンプル分注プローブ16内面の洗浄が行われる。
【0052】
このように、サンプル分注プローブ16の一端部D外面に向けて両側から洗浄液を吐出させることにより、サンプル分注プローブ16の一端部D外面全体に洗浄液を行き亘らせて、第1の吸引位置A1で試料と接触したサンプル分注プローブ16外面全体を短時間で強力に洗浄することができる。これにより、サンプル分注プローブ16外面に付着した試料を洗い落とすことができる。また、他端からサンプル分注プローブ16内に洗浄液を供給して一端から吐出させることにより、サンプル分注プローブ16内面に付着した試料を洗い落とすことができる。
【0053】
第2の洗浄管714は、洗浄部70の第2の上停止位置で停止したサンプル分注プローブ16の下方の洗浄槽本体711内に立設され、供給部73から供給された洗浄液を上方に貫流させるために設けられている。そして、供給部73から供給される洗浄液が流入する洗浄槽本体711下側に位置する入口714aと、入口714aから流入した洗浄液が上方に流動する上下方向に貫通する流路714bと、流路714b内を流動した洗浄液が流出する上端に位置する出口714cとを有する。この出口714cを形成している上端面のサンプル分注プローブ16の軌道に対して垂直方向における位置に、出口714cの面積を広げて出口714cから流出する洗浄液の勢いを抑制するための抑制部として、例えばV字状の2つの窪み714dが設けられている。
【0054】
また、出口714cから流出する洗浄液の勢いを抑制するための構成は、図9(a)に示すような窪み714dに限らない。たとえば図9(b)に示されるように、出口714cを形成している上端面のサンプル分注プローブ16の軌道に対して垂直方向における位置に、切欠き711aに類似な形状の切欠き714eを、窪み714dと同様に2つ設けてもよいし、また、図9(c)に示されるように、第2の洗浄管714の管壁において、前記分注プローブの軌道に対して垂直方向における所定の位置に設けられ、前記洗浄管の内部と外部とを連通させる穴714fを、窪み714dと同様に2つ設けてもよい。
【0055】
そして、サンプル分注プローブ16が第2の上停止位置から下に移動する前に、第2の洗浄管714は、流路714b内が供給部73から供給される新鮮な洗浄液で満たされた後、更に供給される洗浄液が流路714b内を上方に流動して出口714cから流出している。この洗浄液が貫流している状態の第2の洗浄管714の上方からサンプル分注プローブ16が下に移動して、図8(b)に示すように、第2の洗浄管714内に広範囲Wの部分が進入した第2の洗浄位置W2で停止する。そして、サンプル分注プローブ16の一端が第2の洗浄管714内に進入し始めてから、上へ移動して第2の洗浄管714からの進出を開始する直前までの間、第2の洗浄管714内を貫流する洗浄液でサンプル分注プローブ16の広範囲Wの外面を洗浄する。この洗浄により、サンプル分注プローブ16から剥離した試料を含む洗浄液が出口714cから流出する。
【0056】
このように、洗浄液が満たされた状態で上方に貫流している第2の洗浄管714内にサンプル分注プローブ16の試料と接触した広範囲Wの部分を進入させることにより、サンプル分注プローブ16の試料と接触した外面全体に新鮮な洗浄液を行き亘らせて、サンプル分注プローブ16から剥離した試料を含む洗浄液を第2の洗浄管714から流出させることができる。これにより、サンプル分注プローブ16外面に付着した試料を短時間で洗い落とすことができる。
【0057】
また、第2の洗浄管714の出口714cから流出する洗浄液の勢いを抑制することにより、試料を含む洗浄液が洗浄槽本体711外へ飛び出すのを防ぐことができる。また、窪み714d、切欠き714e、穴714fなどの抑制部をサンプル分注プローブ16の軌道に対して垂直方向における位置に設けることにより、洗浄槽本体711の切欠き711a方向及び第1の洗浄管712,713方向への勢いを弱めて、試料を含む洗浄液が切欠き711aを通過して外へ飛び出すのを防ぐと共に第1の洗浄管712,713の吐出口が試料を含む洗浄液で汚染されるのを防ぐことができる。
【0058】
排出管715は、洗浄槽本体711の下端部に設けられ、第1の洗浄管712,713から吐出された洗浄液や、第2の洗浄管714から流出した洗浄液を洗浄槽本体711外へ排出する。
【0059】
図4に示した供給部73は、タンク72に貯留された洗浄液を吸引して洗浄槽71に供給するためのポンプ731と、ポンプ731と洗浄槽71間に配置された分析制御部25の制御部27により駆動制御される三方電磁弁732と、三方電磁弁732と洗浄槽71間に配置された三方電磁弁732からの洗浄液を分岐して洗浄槽71の第1の洗浄管712,713に供給する分岐管733とにより構成される。
【0060】
そして、三方電磁弁732がポンプ731と第1の洗浄管712,713間を開放すると共にポンプ731と第2の洗浄管714間を閉鎖した後、ポンプ731はタンク72内の洗浄液を吸引して第1の洗浄管712,713に供給する。この供給により、第1の洗浄管712,713が洗浄液を吐出して、第1の洗浄位置W1に停止したサンプル分注プローブ16の一端部D外面を洗浄する。
【0061】
また、第2の洗浄位置W2に停止するサンプル分注プローブ16の洗浄においては、三方電磁弁732がポンプ731と第2の洗浄管714間を開放すると共にポンプ731と第1の洗浄管712,713間を閉鎖した後、ポンプ731がタンク72内の洗浄液を吸引して第2の洗浄管714に供給する。この供給により、第2の洗浄管714の流路714b内を洗浄液が上方に流動して、流路714b内に進入したサンプル分注プローブの広範囲W外面を洗浄する。
【0062】
なお、洗浄槽71を第1の洗浄管712,713を設けた第1の洗浄槽と、第2の洗浄管714を設けた第2の洗浄槽に分け、第1及び第2の洗浄槽に夫々排出管715を設けて実施するようにしてもよい。
【0063】
以下、図1乃至図10を参照して、第1の吸引位置A1で試料を吸引して、吐出位置で吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16の第1の分注工程、及び第2の吸引位置A2で試料を吸引して、吐出位置で吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16の第2の分注工程について説明する。
【0064】
図10は、第1及び第2の分注工程を示したフローチャートである。先ず、第1の分注工程S1について説明する。
サンプル分注プローブ16は、ホームポジションである例えば第1の洗浄位置W1からサンプルディスク5の上停止位置へ移動する。この移動に並行して、所定量の空気を吸引する。サンプルディスク5の上停止位置で停止した後に下へ移動して、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の上層試料が試料検出器16bにより検出される第1の吸引位置A1で停止する。そして、図3(a)に示すように、試料容器17内の上層試料を吸引する(ステップS11)。
【0065】
試料容器17内の上層試料を吸引した後、サンプル分注プローブ16は、第1の吸引位置A1から上へ移動してサンプルディスク5の上停止位置で停止する。サンプルディスク5の上停止位置で停止した後、反応ディスク4の上停止位置へ移動する。反応ディスク4の上停止位置で停止した後、下へ移動して吐出位置で停止する。そして、反応容器3内に上層試料を吐出する(ステップS12)。
【0066】
反応容器3内へ試料を吐出した後、サンプル分注プローブ16は、吐出位置から上へ移動して反応ディスク4の上停止位置で停止する。反応ディスク4の上停止位置で停止した後、引き続き同じ試料の分注を行う場合、反応ディスク4の上停止位置から第1の吸引位置A1又は第2の吸引位置A2へ移動する。また、同じ試料の分注を終了する場合、反応ディスク4の上停止位置から移動して、洗浄部70の第1の上停止位置を第1の洗浄位置W1として停止する。
【0067】
そして、第1の洗浄位置W1でサンプル分注ポンプ16a及びチューブ161を介して他端に供給される洗浄液により、サンプル分注プローブ16の試料と接触した内面が洗浄される。また、洗浄部70は、洗浄槽71の第1の洗浄管712,713が、供給部73から供給される洗浄液をサンプル分注プローブ16の一端部D外面に向けて横方向から吐出することにより、サンプル分注プローブ16の上層試料と接触した一端部D外面を洗浄する(ステップS13)。
【0068】
このように、サンプル分注プローブ16を洗浄部70の第1の上停止位置から下へ移動させることなく洗浄することができるため、サンプル分注プローブ16を吐出位置から第1の洗浄位置W1へ短時間で移動することができる。また、サンプル分注プローブ16の試料と接触した一端部D外面に向けて両側から洗浄液を吐出させることにより、サンプル分注プローブ16の試料と接触した外面全体に洗浄液を行き亘らせて、外面に付着した試料を短時間で洗い落とすことができる。これにより、次に分注する試料容器71内の試料の汚染を防ぐことができる。
【0069】
洗浄槽71で洗浄された後、サンプル分注プローブ16は、次の試料の分注に備えて第1の洗浄位置W1で待機する。
【0070】
次に、第2の分注工程S2について説明する。
サンプル分注プローブ16は、第1の洗浄位置W1からサンプルディスク5の上停止位置へ移動する。この移動に並行して、所定量の空気を吸引する。サンプルディスク5の上停止位置で停止した後、所定の距離下へ移動して第1の吸引位置A1よりも下方となる第2の吸引位置A2で停止する。そして、図3(b)に示すように、試料容器17内の下層試料を吸引する(ステップS21)。
【0071】
試料容器17内の下層試料を吸引した後、サンプル分注プローブ16は、第2の吸引位置A2から上へ移動してサンプルディスク5の上停止位置で停止する。サンプルディスク5の上停止位置で停止した後、所定量の空気を吸引する(ステップS22)。
【0072】
空気を吸引したサンプル分注プローブ16は、サンプルディスク5の上停止位置から移動して、洗浄部70の第2の上停止位置で停止する。第2の上停止位置で停止した後、下へ移動する。洗浄部70の供給部73は、サンプル分注プローブ16が第2の洗浄管714に進入する前に第2の洗浄管714への洗浄液の供給を開始して第2の洗浄管714内を新鮮な洗浄液で満たした後、引き続きサンプル分注プローブ16が進入して第2の洗浄位置W2で停止している間、洗浄液を供給し続けて第2の洗浄管714内を上方に貫流させて、サンプル分注プローブ16の広範囲W外面を洗浄する(ステップS23)。
【0073】
このように、下層試料を吸引したサンプル分注プローブ16の外面を洗浄する前に空気を吸引させてサンプル分注プローブ16内の試料に隣接して空気の層を設けることにより、外面洗浄のときにサンプル分注プローブ16内に洗浄液が混入して試料が希釈されるのを防ぐことができる。
【0074】
また、洗浄液が満たされた状態で上方に貫流している第2の洗浄管714内にサンプル分注プローブ16の試料と接触した広範囲Wの部分を進入させることにより、サンプル分注プローブ16の試料と接触した外面全体に新鮮な洗浄液を行き亘らせて、試料を含む洗浄液を第2の洗浄管714から流出させることができる。これにより、サンプル分注プローブ16外面に付着した試料を短時間で洗い落とすことが可能となり、吐出位置へ移動するサンプル分注プローブ16外面に付着した試料が飛散して周囲を汚染するのを防ぐことができる。また、サンプル分注プローブ16に付着した分析に不要な試料が、試料が吐出された反応容器3内に落下して、下層試料の分注精度が低下するのを防ぐことができる。更に、次に分注する試料容器17内の試料の汚染を防ぐことができる。
【0075】
供給部73は、進入したサンプル分注プローブ16が第2の洗浄管714からの進出を開始する前に第2の洗浄管714への洗浄液の供給を停止し、サンプル分注プローブ16が第2の洗浄管714から進出した後、再び洗浄液を供給して第2の洗浄管714内を新鮮な洗浄液で満たす。
【0076】
このように、サンプル分注プローブ16が第2の洗浄管714からの進出を開始する前に第2の洗浄管714への洗浄液の供給を停止することにより、第2の洗浄管714から流出した洗浄液がサンプル分注プローブ16外面に付着し、付着した洗浄液が試料を吐出する反応容器3内に落下して、下層試料の分注精度が低下するのを防ぐことができる。
【0077】
洗浄液の供給が停止された後、サンプル分注プローブ16は、洗浄液で満たされた第2の洗浄管714から全ての部分が進出するまでゆっくりと上へ移動して第2の上停止位置で停止した後、反応ディスク4の上停止位置へ移動する。上停止位置で停止した後、下へ移動して吐出位置で停止する。そして、反応容器3内に下層試料を吐出する(ステップS24)。
【0078】
このように、洗浄液の供給が停止された後の洗浄液で満たされた第2の洗浄管714からサンプル分注プローブ16をゆっくりと上へ移動させることにより、サンプル分注プローブ16外面に付着した洗浄液を、第2の洗浄管714上部に滞留している洗浄液の表面張力によって拭うことができる。これにより、サンプル分注プローブ16外面に洗浄液が付着し、付着した洗浄液が試料を吐出する反応容器3内に落下して、下層試料の分注精度が低下するのを防ぐことができる。
【0079】
反応容器3内へ試料を吐出した後、サンプル分注プローブ16は、吐出位置から上へ移動して反応ディスク4の上停止位置で停止する。反応ディスク4の上停止位置で停止した後、引き続き同じ試料の分注を行う場合、反応ディスク4の上停止位置から第1の吸引位置A1又は第2の吸引位置A2へ移動する。また、同じ試料の分注を終了する場合、反応ディスク4の上停止位置から移動して、洗浄部70の第1の上停止位置を第1の洗浄位置W1として停止する。
【0080】
そして、第1の洗浄位置W1でサンプル分注ポンプ16a及びチューブ161を介して他端部から供給される洗浄液により、サンプル分注プローブ16の試料と接触した内面が洗浄される。また、洗浄部70は、第1の洗浄管712,713が供給部73からの洗浄液をサンプル分注プローブ16の一端部D外面に向けて横方向から吐出することにより、サンプル分注プローブ16の一端部D外面を洗浄する(ステップS25)。
【0081】
このように、サンプル分注プローブ16の一端部D外面に向けて両側から洗浄液を吐出させることにより、試料を吐出したときにサンプル分注プローブ16の一端に付着した試料を洗い落とすことができる。これにより、次に分注する試料容器71内の試料の汚染を防ぐことができる。
【0082】
洗浄槽71で洗浄された後、サンプル分注プローブ16は、次の分注に備えて第1の洗浄位置W1で待機する。
【0083】
以上述べた本発明の実施例によれば、2つの第1の洗浄管712,713を対向して洗浄槽本体711に横設し、第1の洗浄管712,713に一端部Dが挟まれる第1の洗浄位置W1でサンプル分注プローブ16を停止させる。そして、供給部73により供給される洗浄液を第1の洗浄管712,713から吐出させることにより、第1の吸引位置A1で試料と接触したサンプル分注プローブ16の外面全体に洗浄液を行き亘らせて、外面に付着した試料を短時間で洗い落とすことができる。これにより、次に分注する試料容器17内の試料の汚染を防ぐことができる。
【0084】
また、第2の洗浄管714を洗浄槽本体711内に立設し、第2の洗浄管714上方からサンプル分注プローブ16を下へ移動させる。そして、供給部73からの洗浄液の供給により洗浄液が満たされた状態で上方へ貫流している第2の洗浄管714内にサンプル分注プローブ16の試料と接触した広範囲Wの部分を進入させることにより、第2の吸引位置A2で試料と接触したサプル分注プローブ16の外面全体に新鮮な洗浄液を行き亘らせて、試料を含む洗浄液を第2の洗浄管714から流出させることができる。これにより、サンプル分注プローブ16外面に付着した試料を短時間で洗い落とすことが可能となり、吐出位置へ移動するサンプル分注プローブ16外面に付着した試料が飛散して周囲を汚染するのを防ぐことができる。また、サンプル分注プローブ16に付着した分析に不要な試料が、試料が吐出された反応容器3内に落下して、下層試料の分注精度が低下するのを防ぐことができる。更に、次に分注する試料容器17内の試料の汚染を防ぐことができる。
【0085】
更に、洗浄液を満たした状態で第2の洗浄管714への洗浄液の供給を停止させた後、進入した全ての部分が第2の洗浄管714から進出するまでサンプル分注プローブ16をゆっくりと上へ移動させることにより、サンプル分注プローブ16外面に付着した試料を拭うことができる。これにより、サンプル分注プローブ16外面に洗浄液が付着し、付着した洗浄液が試料を吐出する反応容器3内に落下して、下層試料の分注精度が低下するのを防ぐことができる。
【0086】
以上により、下層試料の分注精度を低下させることなく、サンプル分注プローブの試料と接触した外面を洗浄することができる。
【符号の説明】
【0087】
16 サンプル分注プローブ
70 洗浄部
71 洗浄槽
72 タンク
73 供給部
711 洗浄槽本体
711a 切欠き
712,713 第1の洗浄管
714 第2の洗浄管
714a 入口
714b 流路
714c 出口
714d 窪み
715 排出管
731 ポンプ
732 三方電磁弁
733 分岐管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記試料を収容する試料容器から前記試料を吸引して、前記反応容器内に吐出する分注を行う分注プローブと、
前記試料容器内の試料をこの試料と前記分注プローブの一端部との接触により検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される第1の吸引位置よりも下方の第2の吸引位置で前記試料容器内の試料を吸引した前記分注プローブの一端部よりも広い前記一端部を含む広範囲の外面を洗浄する洗浄手段とを備え、
前記洗浄手段は、前記分注プローブの前記広範囲の部分が上方から進入する洗浄管、及び前記分注プローブを洗浄する洗浄液を供給して前記洗浄管内を上方に貫流させるポンプを有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記ポンプは、前記分注プローブが前記洗浄管に進入する前に前記洗浄管への前記洗浄液の供給を開始し、進入した前記分注プローブが前記洗浄管からの進出を開始する前に前記洗浄液の供給を停止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記洗浄手段は、前記試料容器内の試料を吸引して前記反応容器に吐出する前の前記分注プローブを洗浄するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記分注プローブは、前記試料容器内の試料を吸引した後、前記洗浄管に進入する前に空気を吸引するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記洗浄管は、当該洗浄管の上端より流出する洗浄液の勢いを抑制するための抑制部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記抑制部は、前記洗浄管の管壁において、前記分注プローブの軌道に対して垂直方向における所定の位置に設けられ、前記洗浄管の内部と外部とを連通させる穴であることを特徴とする請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記抑制部は、前記洗浄管の上端面の前記分注プローブの軌道に対して垂直方向における位置に設けられた窪みであることを特徴とする請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記第2の吸引位置で吸引される前記試料容器内の試料は、全血又はこの全血から上層及び下層に分離された血球成分を含む下層試料であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記第1の吸引位置で前記試料容器内の試料を吸引した前記分注プローブの一端部外面に向けて前記ポンプから供給される前記洗浄液を複数の方向から吐出する洗浄管を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−257386(P2011−257386A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104758(P2011−104758)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】