説明

自動分析装置

【課題】分析中に任意のタイミングで試薬ボトルの交換を可能とすることで分析中に試薬切れを生じさせること無く継続して分析可能な分析中に試薬切れを生じさせることなく継続して分析可能な自動分析装置を提供することを目的とする。
【解決手段】反応容器に分注する試薬が入る第1の試薬容器と、前記分注にともなって試薬が減量する前記第1の試薬容器に試薬を補給する第2の試薬容器とを備え、送液手段で第2の試薬容器から第1の試薬容器に試薬を送る自動分析装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の生体サンプルの定性・定量分析を行う自動分析装置に係り、特に試薬容器を搭載する機構を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液、尿等の生体サンプル中の特定成分の定性・定量分析を行う自動分析装置では、生体サンプル中の特定成分と反応し色が変るような試薬をサンプルに添加し、サンプルの色の変化(吸光度の変化)を光度計等を用いて測定するものが一般的である。このような自動分析装置では検体の分析開始前に測定に必要な試薬を事前に装置上に配置する必要がある。
【0003】
そこで、試薬容器そのものを大型化する、あるいは複数の試薬容器を架設することで分析途中での試薬不足が発生しないようにしている。その為、特許文献1(特開平5−164760号公報)記載の発明においては、必要な試薬量を設定しておき分析開始前に事前に試薬残量が設定値以下の場合には画面上で表示することで分析中の試薬不足を回避する手段を提供している。
【0004】
また特許文献2(特開2006−337386号公報)記載の発明では分析に使用する試薬を架設する円形状や箱型等、様々な形状をした試薬保管庫とは別に、試薬を架設する試薬保管庫を有し、分析途中でも試薬を投入する手段を備えており、分析途中で試薬が無くなった場合でも最低限の分析の中断で分析を継続する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−164760号公報
【特許文献2】特開2006−337386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら大容量の試薬ボトルを使用することで試薬不足の発生頻度を抑えることが出来るが、大容量の試薬ボトルを使用することで試薬ボトル内の液揺れが無視出来ず、液揺れ防止手段が必要になる。
【0007】
また特許文献1の技術では、複数のボトルを設置可能になるが、事前に想定した以上の検体数が分析中に投入された場合には試薬不足を防ぐことは出来ない。また特許文献2の技術では、分析の途中で試薬を分析に使用する試薬保管庫に投入することは可能だが、一定時間、分析を中断することは避けられない。
【0008】
そこで本発明の目的は、試薬交換等の作業によるオペレータの負担を軽減するとともに分析中の試薬不足を発生させず、分析中断を最小化ないし抑える自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、反応容器に分注する試薬が入る第1の試薬容器と、前記分注にともなって試薬が減量する前記第1の試薬容器に試薬を補給する第2の試薬容器とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、試薬交換等の作業によるオペレータの負担を軽減するとともに分析中の試薬不足を発生させず、分析中断を最小化ないし抑える自動分析装置を提供できる。
【0011】
すなわち、第1の試薬容器より反応容器に分注して分析をするので、試薬ボトルの交換は分析稼働の途中でも任意のタイミングでき、分析稼働に支障にならなく、分析中断を最小化ないし抑えることができる。
【0012】
また、反応容器への試薬の分注は第2の試薬容器より試薬が補給される第2の試薬容器からするので、大容量の試薬ボトルから試薬分注機構の分注ポジションに試薬を移し変える機構を設けることで従来の自動分析装置で問題となっていた試薬分注時の試薬ボトル内の液揺れや飛び散りに起因した分注精度の低下を防ぐことでデータに対する信頼性の高い自動分析装置を提供できる。
【0013】
さらに、試薬容器の交換は分析稼働の途中でも任意のタイミングできる。試薬ボトル内の液揺れや飛び散りの影響がなく、大容量の試薬ボトルの使用で試薬容器の交換頻度を低減できる。このため、試薬交換等の作業によるオペレータの負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の1実施例における自動分析装置の全体構成を示すシステムブロック図である。
【図2】本発明の1実施例における試薬送液機構の第1の実施形態でのシステムブロック図である。
【図3】本発明の1実施例における試薬送液機構の第2の実施形態でのシステムブロック図である。
【図4】本発明の1実施例における試薬送液機構の第3の実施形態でのシステムブロック図である。
【図5】本発明の1実施例における試薬送液機構の第4の実施形態でのシステムブロック図である。
【図6】本発明の1実施例における試薬送液システム構成の第1の実施形態でのシステムブロック図である。
【図7】本発明の1実施例における試薬送液システム構成の第2の実施形態でのシステムブロック図である。
【図8】本発明の1実施例における試薬送液システム構成の第3の実施形態でのシステムブロック図である。
【図9】本発明の1実施例における試薬送液システム構成の第3の実施形態でのシステムブロック図における送液量の演算プロセスを示すフロー図である。
【図10(a)】本発明の実施例における別の実施形態の試薬パレットと試薬ボトルのシステムブロック図の平面図である。
【図10(b)】本発明の実施例における別の実施形態の試薬パレットと試薬ボトルのシステムブロック図の平面図である。
【符号の説明】
【0015】
101…サンプルディスク
102…検体容器
201…反応ディスク
202…反応容器
206…多波長光度計
207…攪拌機構
301…試薬保冷庫
302…試薬ボトル
303…試薬パレットボード
304…試薬パレット
305…送液ユニット
306…試薬分注機構
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る課題を解決するための手段は上述した構成の特徴にあるが、本発明の実施例について説明する前に本発明に係る他の主なる特徴を以下に述べる。
(1).本発明は第2の試薬容器から第1の試薬容器に試薬を送る送液手段を備えたことを特徴とする。
(2).本発明は、送液手段がサイフォン機構、ポンプ機構、シリンジ機構、分注機構の少なくとも一つを含むことを特徴とする自動分析装置。
(3).本発明は、第1の試薬容器より試薬を分注する度毎に第2の試薬容器から第1の試薬容器に補給が行なわれることを特徴とする。
(4).本発明は、上記分注する度毎に行なわれる補給は分注の試薬量と同量であることを特徴とする。
(5).本発明は、反応容器に分注する試薬量を算定し、この算定された試薬量に応じて第1の試薬容器に補給する試薬補給量が把握されることを特徴とする。
(6).本発明は、第1の試薬容器への補給は、分注する試薬量を算定してから行うことを特徴とする。
(7).本発明は、第1の試薬容器に試薬を入れることが可能な容積の限度内で、補給が行われることを特徴とする。
(8).本発明は、第1の試薬容器への補給が第1の試薬容器に入っている試薬量が残量基準値を下回ったら行われることを特徴とする。
【0017】
以下、図1〜図5を用いて、本発明の実施例に係る自動分析システムの構成及び動作について説明する。
【0018】
図1に、自動分析装置の全体構成を示している。
【0019】
間欠回転可能に設けられた反応ディスク201には、透光性材料からなる多数の反応容器202が円周に沿って装着されている。反応容器202は、反応ディスク201によって所定の温度(例えば37℃)に維持される。反応ディスク201内の流体/液体は、恒温維持装置203により温度調整される。
【0020】
サンプルディスク101上には、血液又は尿のような生体サンプルを収容した多数の検体容器102が載置される。可動アーム103に取り付けられたピペットノズル104は、サンプルディスク101の吸入位置に位置付けられた検体容器102から所定量のサンプルを吸入し、そのサンプルを反応ディスク201上の吐出位置にある反応容器202内に吐出する。
【0021】
試薬保冷庫301内には、バーコードの如き試薬識別情報を表示したラベルが貼られた複数の試薬ボトル302が載置される。これらの試薬ボトル302は、第2の試薬容器に含まれる。第2の試薬容器に含まれる、これらの試薬ボトル302には、分析装置によって分析され得る分析項目に対応する試薬である試薬液が収容されている。試薬保冷庫301に付属された試薬識別情報読み取り装置は、試薬登録時に、各試薬ボトルの外壁に表示されている試薬識別情報を読み取る。
【0022】
また、バーコードのラベルに代えてICタグ(RFID)を用いることも可能である。ICタグは試薬識別情報を含む多くの情報の取り扱いができる。また、ICタグは試薬ボトルに埋設することもきるので設置個所を種々選ぶことができる。
【0023】
読み取られた試薬情報は、試薬保冷庫301内に置かれる試薬ボトル302のポジションと共に後述するメモリ6に登録される。試薬保冷庫301に架設された各試薬ボトル302と試薬パレットボード303上に配置された各試薬パレット304は項目毎に対で配置されており項目毎の試薬ボトル302と各試薬パレット304は送液手段に含まれる試薬の送液ユニット305により結ばれている。
【0024】
各試薬ボトル302を総称して第2の試薬容器というのに対し、各試薬パレット304を総称して第1の試薬容器という。
【0025】
試薬分注機構306における試薬用ピペットノズルは、反応ディスク201上の試薬受け入れ位置に位置付けられる検査項目に応じた試薬パレットボード303にある各項目毎に分別されて試薬液が入る試薬パレット304から試薬液を吸引し、該当する反応容器202内へ吐出する。この時、試薬パレット304から試薬分注機構306により分取された試薬の分注量に相当する試薬が送液手段に含まれる試薬の送液ユニット305を経由または介して補充(補給)される。
【0026】
反応容器202内に収容されたサンプルと試薬の混合物は、撹拌機構207により撹拌される。反応容器202の列は、光源205と多波長光度計206とによって挟まれた測光位置を通るように回転移動される。
【0027】
各反応容器202内におけるサンプルと試薬との反応液は、反応ディスク201の回転動作中に測光される。サンプル毎に測定されたアナログ信号は、A/D変換器12に入力される。反応ディスク201の近傍に配置されている反応容器洗浄機構204は、使用済みの反応容器202の内部を洗浄することにより、反応容器の繰り返しの使用を可能にする。
【0028】
次に、図1の分析装置における制御系及び信号処理系について簡単に説明する。
【0029】
コンピュータ5は、インターフェース1を介して、サンプル分注制御部11,試薬分注制御部13,A/D変換器12に接続されている。コンピュータ5は、サンプル分注制御部11に対して指令を送り、サンプルの分注動作を制御する。また、コンピュータ5は、試薬分注制御部13に対して指令を送り、試薬の分注動作を制御する。
【0030】
A/D変換器12によってディジタル信号に変換された測光値は、コンピュータ5に取り込まれる。インターフェース1には、印字するためのプリンタ4,記憶装置であるメモリ6や外部記憶媒体2、操作指令等を入力するためのキーボード7,画面表示するためのCRTディスプレイ3が接続されている。画面表示装置としては、CRTディスプレイの他に液晶ディスプレイなどを採用できる。
【0031】
メモリ6は、例えばハードディスクメモリ又は外部メモリにより構成される。メモリ6には、各操作者のパスワード,各画面の表示レベル,分析パラメータ,分析項目依頼内容,キャリブレーション結果,分析結果等の情報が記憶される。
【0032】
自動分析装置によって分析可能な項目に関する分析パラメータは、予めキーボード7の如き情報入力装置を介して入力されておリ、メモリ6に記憶されている。操作者(オペレータ)は、後述する操作機能画面を用いて各サンプルに依頼されている検査項目を選択する。
【0033】
この際に、患者IDなどの情報もキーボード7から入力される。各サンプルに対して指示された検査項目を分析するために、ピペットノズル104は、分析パラメータにしたがって、検体容器102から反応容器202へ所定量のサンプルを分注する。
【0034】
サンプルを受け入れた反応容器は、反応ディスク201の回転によって移送され、試薬受け入れ位置に停止する。試薬分注機構306のピペットノズルは、該当する検査項目の分析パラメータにしたがって、反応容器202に所定量の試薬液を分注する。サンプルと試薬の分注順序は、この例とは逆に、サンプルより試薬が先であってもよい。
【0035】
その後、撹拌機構207により、サンプルと試薬との撹拌が行われ混合される。この反応容器202が、測光位置を横切る時、多波長光度計206により反応液の吸光度が測光される。測光された吸光度は、A/D変換器12,インターフェース1を経由して、コンピュータ5に取り込まれる。この吸光度は、検査項目毎に指定された分析法により予め測定しておいた検量線に基づき、濃度データに変換される。各検査項目の分析結果としての成分濃度データは、プリンタ4やCRT3の画面に出力される。
【0036】
以上の測定動作が実行される前に、操作者は、分析測定に必要な種々のパラメータの設定や試料の登録を、操作画面を介して行う。また、操作者は、測定後の分析結果をCRT3上の操作画面により確認する。
【0037】
次に、図2〜5により図1に示す送液手段に含まれる試薬送液機構305の実施形態を説明する。
【0038】
図2では試薬を試薬ボトル402から試薬パレット404に送液する送液手段に含まれる送液機構405の第1の実施形態について記載する。
【0039】
なお、図2記載の試薬ボトル402と試薬パレット404および試薬分注機構406は図1の試薬ボトル302と試薬パレット304および試薬分注機構306と同じである。第1の実施形態では、試薬ボトル402は試薬ボトルの高さ方向の位置を可変に出来る機構(バネ機構)411を備えた試薬架設ユニット412上に架設されている。
【0040】
試薬ボトル402と試薬パレット404とはチューブで接続されており、サイフォンの原理により試薬パレット404の液面と試薬ボトル402の液面は等しくなるように保たれている。この時、バネ機構411は、試薬ボトル402の高さを一定に保てるような機構であれば良く、本実施形態例ではバネとしているがモータなどにより試薬ボトルの高さ位置を任意の高さに出来る機構であってもよい。
【0041】
次に試薬分注機構406は、試薬パレット404から試薬を分注する。この時、試薬パレット404内の試薬の液面が下がるが、サイフォンの原理により試薬ボトル402と試薬パレット404の液面を保とうとするため送液手段に含まれる送液機構405を通して試薬ボトル402から試薬パレット404に試薬が供給される。
【0042】
試薬ボトル402では試薬を供給した量に従い、バネ機構411により試薬ボトルの高さ位置が上昇する。試薬ボトル402は、分析途中であっても分析に使用する試薬は試薬パレット404に残っていれば任意のタイミングで試薬ボトル402は交換可能である。
【0043】
このように、第2の試薬容器である試薬ボトル402から試薬が補給される第1の試薬容器である試薬パレット404より反応容器に分注しながら自動分析装置は分析稼働する。
【0044】
これにより、第1の試薬容器である試薬パレット404に残存する試薬を使って分析が行われる。このため、第2の試薬容器である試薬ボトル402の試薬が空になったり、残り少なくなったりして試薬ボトルを新しいものにする交換は、自動分析装置を止めずに分析稼働を続けたままできる。試薬ボトルの交換は分析稼働の途中でも任意のタイミングでき、分析稼働に支障にならなく、分析中断を最小化ないし抑えることができる。
【0045】
また、反応容器への試薬の分注は第2の試薬容器より試薬が補給される第2の試薬容器からするので、大容量の試薬ボトルから試薬分注機構の分注ポジションに試薬を移し変える機構を設けることで従来の自動分析装置で問題となっていた試薬分注時の試薬ボトル内の液揺れや飛び散りに起因した分注精度の低下を防ぐことでデータに対する信頼性の高い自動分析装置を提供できる。
【0046】
さらに、試薬容器の交換は分析稼働の途中でも任意のタイミングできる。試薬ボトル内の液揺れや飛び散りの影響がなく、大容量の試薬ボトルの使用で試薬容器の交換頻度を低減できる。このため、試薬交換等の作業によるオペレータの負担を軽減できる。
【0047】
上記試薬パレットと試薬ボトルの容積について触れる。
【0048】
第1の試薬容器である試薬パレット404は第2の試薬容器である試薬ボトル402に比べ、試薬を入れる容積は小さい。1分注量の10回から数10回分程度の試薬パレット404には分析稼働後に試薬が残らないように分析作業を行う。
【0049】
もし、使い切れず残ったときは10回分程度の容量をもつ試薬パレット場合は試薬を廃棄する。数10回分程度の試薬パレットの場合には、残った試薬を試薬ボトルに回収する。送液手段を用いて試薬パレットから試薬ボトルに回収されるように回収手段を備えている。
【0050】
次に、図3により試薬を試薬ボトル502から試薬パレット504に送液する送液手段に含まれる送液機構505の第2の実施形態について記載する。
【0051】
なお、図3記載の試薬ボトル502と試薬パレット504および試薬分注機構506は図1の試薬ボトル302と試薬パレット304および試薬分注機構306と同じである。
【0052】
第2の実施形態では、試薬ボトル502と試薬パレット504とは送液ポンプを介してチューブで接続されている。次に試薬分注機構506は、試薬パレット504から試薬を分注する。この時、試薬パレット504内の液面が下がる。この時、試薬分注量に応じて送液手段に含まれる送液機構505を通して試薬ボトル502から試薬パレット504に試薬を供給する。
【0053】
試薬の供給タイミングは試薬分注機構506の分注と同期しても、試薬分注機構506の分注動作終了前後の任意のタイミングで構わない。つまり、試薬を試薬ボトル502から試薬パレット504に補充する補給は分注で試薬が抜かれる度毎に、分注量と同量分が補う。試薬ボトル502を交換する場合には、分析途中であっても分析に使用する試薬は試薬パレット504に残っていれば任意のタイミングで試薬ボトル502は交換可能である。
【0054】
次に、図4により試薬を試薬ボトル602から試薬パレット607に送液する送液手段に含まれる送液機構の第3の実施形態について記載する。
【0055】
なお、図4記載の試薬ボトル602と試薬パレット607および試薬分注機構606は図1の試薬ボトル302と試薬パレット304および試薬分注機構306と同じである。
【0056】
第3の実施形態では、試薬ボトル602と試薬パレット604とは送液機構608を介してチューブで接続されている。次に試薬分注機構606は、試薬パレット607から試薬を分注する。この時、試薬分注量に応じて送液機構608を通して試薬ボトル602から試薬パレット607に試薬を供給する。送液機構608は送液シリンジ609と接続されており、送液する試薬量は送液シリンジ609により適量を送液可能である。
【0057】
試薬の供給タイミングは試薬分注機構606の分注と同期しても、試薬分注機構606の分注動作終了前後の任意のタイミングで構わない。試薬ボトル602を交換する場合には、分析途中であっても分析に使用する試薬は試薬パレット607に残っていれば任意のタイミングで試薬ボトル602は交換可能である。
【0058】
次に、図5により試薬を試薬ボトル651から試薬パレット653に送液する送液手段に含まれる送液機構の第4の実施形態について記載する。
【0059】
なお、図5記載の試薬ボトル651と試薬パレット653および試薬分注機構654は図1の試薬ボトル302と試薬パレット304および試薬分注機構306と同じである。第4の実施形態では、試薬ボトル651と試薬パレット653とは送液ポンプを介してチューブで接続されている。
【0060】
次に試薬分注機構654は、試薬パレット653から試薬を分注する。この時、試薬分注量に応じて試薬ボトル651から試薬パレット653に試薬を分取する試薬分取機構652を通して試薬ボトル651から試薬パレット653に試薬を供給する。
【0061】
試薬の供給タイミングは試薬分注機構606の分注と同期しても、試薬分注機構606の分注動作終了前後の任意のタイミングで構わない。試薬ボトル651を交換する場合には、分析途中であっても分析に使用する試薬は試薬パレット653に残っていれば任意のタイミングで試薬ボトル651は交換可能である。
【0062】
次に図6〜9により試薬を試薬ボトルから試薬パレットに送液する送液タイミングおよび送液量を制御するフローについて説明する。
【0063】
図6は試薬を試薬ボトルから試薬パレットに送液する送液手段を含む試薬送液システム構成の第1の実施形態である。吸引開始時(701)、試薬分注機構705は試薬パレット706から試薬を吸引する。この時、試薬パレット706内の液量を確認する手段として本実施形態では光学的な検知器(703/707)により液面を常に監視している。
【0064】
ただし検知器は光学的な検知手段だけでなく音波を用いた検知器など液面が確認できる手段であれば良い。吸引終了時(702)において試薬パレット706内の試薬が規定量以下であることが確認された場合には、送液機構704を経由して試薬ボトル702から試薬パレット707に規定量の試薬が送液される(703)。
【0065】
なお、試薬の送液に関しては、試薬分注のサイクルごとに行っても良いし、複数サイクル終了後に送液しても構わない。
【0066】
図7は試薬を試薬ボトルから試薬パレットに送液する送液手段を含む試薬送液システム構成の第2の実施形態である。第2の実施形態では、試薬パレット728の試薬液量は液面検知手段729により監視されている。吸引開始時(721)、試薬分注機構727は試薬パレット728から試薬を吸引する。
【0067】
吸引終了時(722)に試薬液面検知手段729により自動分析装置は試薬パレット728内の試薬量が規定の高さまで無い事を確認し、送液機構726は試薬ボトル724から試薬パレット728に対して試薬を送液する(723)。
【0068】
この時、試薬の送液は試薬パレット728の液面が液面検知手段729により試薬が十分量送液されたと判断されるまで続けられる。なお、試薬の送液に関しては、試薬分注のサイクルごとに行っても良いし、複数サイクル終了後に送液しても構わない。
【0069】
図8および図9は試薬を試薬ボトルから試薬パレットに送液する送液手段を含む試薬送液システム構成の第3の実施形態である。
【0070】
第3の実施形態では、試薬パレット756の試薬液量は図示されていない試薬分注機構755に備えられた液面検知手段により監視されている。吸引開始(751/801)時点では試薬分注機構755は液面高さを検知しながら降下する(802)。
【0071】
次に液面に到達した後に(803)、液面到達時点の液面高さを図示されていない装置の記憶領域に記憶する(804)。その後、試薬パレット756内の試薬を吸引し(805)、吸引動作終了後の液面を図示されていない装置の記憶領域に記憶する(806)。
【0072】
その後、吸引開始時に記憶した液面高さ(803)と吸引終了後に記憶した液面高さ(806)の差分に相当する試薬を試薬ボトル753から送液機構754を介して試薬パレット756に送液する。
【0073】
なお、試薬の送液に関しては、試薬分注のサイクルごとに行っても良いし、複数サイクル終了後に送液しても構わない。
【0074】
すなわち、上述した試薬の送液による第2の試薬容器(試薬ボトル)から第1の試薬容器(試薬パレット)への試薬の補給は試薬分注の1回毎あるいは複数回ごとでも構わないが、試薬ボトルに交換を済ませるときに第1の試薬容器の試薬切れで試薬分析稼働の中断が生じない程度の残量を限度として補給の頻度やタイミングは任意に設定できる。
【0075】
第1の試薬容器(試薬パレット)への補給は第1の試薬容器(試薬パレット)に入れることができる容積の限度内で行われるが、試薬ボトルに交換に費やす時間内で試薬分析稼働の中断が起きなければ、その補給をする量は任意に設定できる。
【0076】
また、反応容器に分注する試薬量を算定し、この算定された分注の試薬量に応じて第1の試薬容器(試薬パレット)に補給する試薬補給量を把握し、第1の試薬容器(試薬パレット)への補給は分注する試薬量を把握してから行うにすることもできる。
【0077】
上記の補給に関し、第1の試薬容器(試薬パレット)に入っている試薬量の残量基準値を定め、その残量基準値を下回ったら補給が行われようにすることもできる。残量基準値の採用は上記の補給の仕方との併用にすることで、試薬分析稼働の中断防止が更に向上する。
【0078】
なお、残量基準値は試薬ボトルに交換に費やす時間内で試薬分析稼働の中断が起きな残量値を目処としてきめられる。
【0079】
また、上述した送液手段は第1の試薬容器の試薬パレットと第2の試薬容器の各試薬ボトルに対応付けが定まって個々に設けられている。つまり、試薬パレットと試薬ボトルが同数で対応関係がきまっている組毎に送液手段が設けられている。このため、一つに送液手段で複数組みの補給をしないので、違う組の補給をする際に送液手段の洗浄が不要で試薬の混入防止になる。
【0080】
なお、一つに送液手段で複数組みの補給をするものにあって、図4に示すシリンジ方式を採用するときは、その送液手段に備わる三方向切替え弁をその都度洗浄することで試薬の混入を抑えることができる。
【0081】
図10(a)、図10(b)に示す試薬パレットと試薬ボトルとの実施形態について述べる。
【0082】
試薬パレットディスク1000は円状に並ぶ複数の試薬パレット1001を有する。この試薬パレットディスク1000はこれの中心を回転中心として回動自在に設けられている。試薬パレット1001は総称して第1の試薬容器という。
【0083】
給液部材としての給液ヘッド1002は円状に並ぶ複数の液注口1003を有する。給液ヘッド1002は試薬パレットディスク1000の上方に対向するように設けられる。液注口1003は試薬パレット1001の真上に来るように位置し、各液注口1003に間隔は試薬パレット1001の間隔と同じである。
【0084】
複数の試薬ボトル1004は総称して第2の試薬容器という。各試薬ボトル1004はチューブ1005を給液ヘッド1002の各液注口1003につながっている。各チューブ1005の途中には送液機構(ポンプ)1006が備えられる。
【0085】
試薬分注機構1007は試薬パレットディスク1000の上方に対向するように設けられ、かつ試薬パレットディスク1000の回転中心に対し、前記給液ヘッド1002より内側寄りまたは外側寄りに位置するように置かれる。
【0086】
試薬ボトル1004の試薬は試薬パレット1001に補給される。送液機構(ポンプ)1006で試薬ボトル1004から送液された試薬は給液ヘッド1002の液注口1003から試薬パレット1001に注がれて補給される。
【0087】
給液ヘッド1002の各液注口100と各試薬パレット1001は対応関係がきめられており、同じ試薬パレット1001に同じ試薬が補給される。補給に際し、試薬パレットディスク1000を回して対応関係がきめられた液注口100と試薬パレット1001との位置合せをしてから送液機構(ポンプ)1006を動かして補給する。
【0088】
試薬分注では試薬分注機構1007のところ分注する試薬が入る試薬パレット1001が来るように試薬パレットディスク1000を回し、該当する試薬パレット1001と試薬分注機構1007との位置合せをして分注が行われる。
【0089】
この試薬分注機構1007の分注での上下は試薬パレットディスク1000の回転中心に対し、前記給液ヘッド1002より内側寄りまたは外側寄りに位置するように置かれているので、衝突などの干渉が回避される。試薬分注機構1007は衝突を回避するための複雑な動作を必要としないので機構構成が簡単になる。
【0090】
また、図10(a)、図10(b)に示す試薬パレットディスクを回して試薬パレットから分注する試薬パレットディスク方式は、図1に示す試薬パレットボードが動かない固定式のものに比べ、試薬パレット、試薬ボトル、送液ユニット、試薬分注機構に係る機構構成が簡単である。
【0091】
次の述べる試薬パレットと試薬ボトルとの実施形態は図を引用せずに説明する。
【0092】
上述した実施形態はチューブや送液機構を用いたものであるが、チューブや送液機構を用いない補給を提案する。
【0093】
試薬ボトルを試薬パレットのところに搬送し、試薬パレットに適量の補給をしたら試薬ボトルに戻す構成である。更に具体的には、試薬ボトル保管個所で試薬ボトルを上げ下ろし、試薬ボトルを把持して試薬パレットと試薬ボトル保管個所を往復移動する試薬ボトル搬送機構と、試薬パレットの位置で試薬ボトル内の試薬を試薬パレットに分取って注ぐ試薬分取機構で構築されるものである。チューブを含む送液の配管構成が皆無になるメリットがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器に分注する試薬が入る第1の試薬容器と、前記分注にともなって試薬が減量する前記第1の試薬容器に試薬を補給する第2の試薬容器とを備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置にあって、
前記第2の試薬容器から前記第1の試薬容器に試薬を送る送液手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置にあって、
前記送液手段は、サイフォン機構、ポンプ機構、シリンジ機構、分注機構の少なくとも一つを含むことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析装置にあって、
前記補給は前記分注の都度毎に行なわれることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項4記載の自動分析装置にあって、
前記補給は前記分注の試薬量と同量を補うことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1記載の自動分析装置にあって、
前記反応容器に分注する試薬量を算定し、この算定された試薬量に応じて前記第1の試薬容器に補給する試薬補給量が把握されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項6記載の自動分析装置にあって、
前記第1の試薬容器への補給は、前記分注する試薬量を算定してから行うことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1記載の自動分析装置にあって、
前記第1の試薬容器に試薬を入れることが可能な容積の限度内で、前記補給が行われることを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項1記載の自動分析装置にあって、
前記第1の試薬容器への補給は、前記第1の試薬容器に入っている試薬量が残量基準値を下回ったら行われることを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項1記載の自動分析装置にあって、
第1の試薬容器は試薬を入れる容積が第2の試薬容器の容積よりも小さいことを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項10記載の自動分析装置にあって、
試薬が空になった前記第2の試薬容器を新たな第2の試薬容器に交換する際に、前記第1の試薬容器に残存する試薬で前記分注を含む分析稼働が継続されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
請求項10記載の自動分析装置にあって、
第2の試薬容器は複数の試薬ボトルを有し、
前記第1の試薬容器は複数の試薬パレットを有し、
各試薬パレットと各試薬ボトルは試薬の補給に関する対応付けが定まっていることを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【公開番号】特開2011−7719(P2011−7719A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153429(P2009−153429)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】