説明

自動分析装置

【課題】試薬を収容した試薬容器の移送に伴う停止時の試薬の揺れを低減することができる自動分析装置を提供すること。
【解決手段】読取部14eが読み取った分注対象の試薬容器13の試薬情報と移送長さ算出部34aが算出した移送長さと液量算出部34bが算出した試薬の液量とに基づいて、収納部14aが分注対象の試薬容器13を試薬吸引位置P2に移送する場合、分注対象の試薬容器13の移送に伴う停止時の試薬の揺れを低減させるよう予め設定された移送速度で収納部14aを制御する移送制御部34cを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体と試薬とを反応容器に分注し、この反応容器内で生じた反応液を測定することによって検体を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、検体と試薬とを反応容器に分注し、この反応容器内で反応した反応液の吸光度を測定することによって検体を分析する自動分析装置が知られている。この自動分析装置は、分析に使用する試薬を収容した試薬容器を試薬庫内の試薬トレイ上に複数収納し、この試薬トレイを回転させて検体や分析項目に応じた所望の試薬容器を分注プローブによる分注位置まで移送して試薬を分注している。
【0003】
ところで、近年、自動分析装置は、分析処理の処理能力向上のため、試薬トレイの高速回転化が図られている。この試薬トレイの高速回転化によって試薬に対する遠心力が増加し、移送中に試薬容器内の試薬の揺れが大きくなってしまう結果、分注精度の悪化または分注プローブの汚れが問題となっていた。このため、遠心方向に対して摩擦抵抗を生じさせるように容器の形状を変化させて移送中の試薬の揺れを小さくした試薬容器を用いる自動分析装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−275251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の自動分析装置は、試薬容器の形状を変更させて移送中に試薬容器内の試薬の揺れを小さくしているが、試薬トレイの回転速度が上がることによって進行方向に対する慣性力も大きくなる。このため、停止時に試薬容器の進行方向側に対する慣性力の反動によって試薬の揺れが大きくなるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、試薬を収容した試薬容器の移送に伴う停止時の試薬の揺れを低減することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる自動分析装置は、液面検知部を有する分注機構によって試薬と検体とを反応容器に分注し、該反応容器内で反応した反応液の吸光度を測定することによって前記検体を分析する自動分析装置において、前記試薬を収容した試薬容器を複数収納するとともに分注対象の試薬容器を試薬吸引位置まで移送する移送手段と、前記移送手段に複数収納された前記試薬容器それぞれに設けられ、試薬容器の形状および試薬の種類を含む試薬情報を記憶した記憶媒体と、前記記憶媒体から前記試薬情報を読み取る読取手段と、前記移送手段における前記分注対象の試薬容器の収納位置から前記試薬吸引位置までの移送長さを算出する移送長さ算出手段と、前記液面検知手段が検知した前記分注対象の試薬容器に収容された試薬の液面の高さと前記試薬情報とをもとに該分注対象の試薬容器に収容された試薬の液量を算出する液量算出手段と、前記移送手段が前記分注対象の試薬容器を前記試薬吸引位置に移送する場合に、前記試薬情報と前記移送長さと前記試薬の液量とに基づいて、該分注対象の試薬容器の移送に伴う停止時の試薬の揺れを低減させるよう予め設定された移送速度で前記移送手段を制御する移送制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記移送速度は、前記分注対象の試薬容器の形状が大きいほど遅いことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記移送速度は、前記移送長さが短いほど遅いことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記移送速度は、前記分注対象の試薬容器に収容された試薬の液量が多いほど遅いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる自動分析装置は、分注対象の試薬容器に設けられた記憶媒体から試薬情報と分注対象の試薬容器の移送長さと分注対象の試薬容器に収容された試薬の液量とに基づいて、分注対象の試薬容器の移送に伴う停止時の試薬の揺れを低減する移送速度で移送手段を制御するようにしているので、試薬容器の移送に伴う停止時の試薬の揺れを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態にかかる自動分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、試薬庫、試薬分注機構および試薬庫制御部を含む構成を示す模式図である。
【図3】図3は、収納部の移送速度が設定された移送速度テーブルを示す図である。
【図4】図4は、移送長さに対応して設定される収納部の移送速度を示す図である。
【図5】図5は、停止直後における試薬容器内の試薬の揺れの時間変化を示す図である。
【図6】図6は、試薬庫制御部が行う試薬容器移送処理の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の自動分析装置にかかる実施の形態について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態にかかる自動分析装置の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施の形態にかかる自動分析装置1は、試薬と検体とを反応容器20に分注し、反応容器20内で反応させ、この反応液の吸光度を測定する測定機構2と、測定機構2を含む自動分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構2における測定結果の分析を行う制御機構3と、を備える。自動分析装置1は、これらの2つの機構が連携することによって複数の検体の分析を自動的に行う。
【0015】
まず、測定機構2について説明する。図1に示すように、測定機構2は、血液や尿等の液体である検体を収容した複数の検体容器11aを保持する検体ラック11bを図中の矢印方向に順次移送する検体移送部11と、検体移送部11上の検体吸引位置P1で停止した検体容器11aから検体を吸引して反応容器20に検体を分注する検体分注機構12と、反応容器20内に分注される試薬が収容された試薬容器13を複数収納する試薬庫14と、試薬庫14の試薬吸引位置P2で停止した分注対象の試薬容器13から試薬を吸引して反応容器20に試薬を分注する試薬分注機構15と、反応容器20内に分注された試薬と検体とを攪拌する攪拌部16と、反応容器20内に分注された液体の吸光度を測定する測光部17と、測光部17による測定が終了した反応容器20を洗浄する洗浄部18と、反応容器20への検体や試薬の分注、攪拌、測光および洗浄を行うために反応容器20を所定の位置まで搬送する反応槽19と、を備える。
【0016】
つぎに、制御機構3について説明する。制御機構3は、CPU等によって実現され、自動分析装置1の各部の処理および動作を制御する制御部31と、キーボード、マウス、入出力機能を備えたタッチパネル等によって実現され、検体の分析に必要な情報や自動分析装置1の操作情報が入力される入力部32と、測光部17によって測定された吸光度の測定結果に基づいて検体の成分分析を行う分析部33と、試薬庫14に収容された分注対象の試薬容器13を試薬吸引位置P2まで移送するように制御する試薬庫制御部34と、ハードディスクやメモリ等によって実現され、自動分析装置1の各部の処理および動作にかかる各種プログラムや検体の分析に関する情報を含む各種情報を記憶する記憶部35と、ディスプレイやプリンタ等によって実現され、検体の分析に関する情報等を出力する出力部36と、を備える。
【0017】
以上のように構成された自動分析装置1では、反応槽19上で順次移送される複数の反応容器20に対して、試薬分注機構15が試薬庫14の試薬吸引位置P2で停止した分注対象の試薬容器13から試薬を分注後、検体分注機構12が検体吸引位置P1で停止した検体容器11aから検体を分注する。その後、測光部17が試薬および検体を反応させた状態の反応液の吸光度を測定し、この測定結果をもとに分析部33が分析することによって、検体の成分分析等が自動的に行われる。その後、洗浄部18が測光部17による測定が終了した後に搬送される反応容器20を搬送させながら洗浄し、反応容器20を再利用する。その後、洗浄された反応容器20を再利用し、複数の分析処理を行う。
【0018】
つぎに、図1に示した試薬庫14、試薬分注機構15および試薬庫制御部34について説明する。図2は、試薬庫14および試薬分注機構15および試薬庫制御部34を含んだ構成を示す模式図である。試薬庫14は、図2に示すように、収納部14a、駆動部14b、本体部14c、蓋14dおよび読取部14eを有する。
【0019】
収納部14aは、円盤状に形成され、上面に複数の収納室が周方向に沿って等間隔に形成される。収納部14aは、各収納室に試薬容器13が着脱自在に収納され、試薬吸引位置P2に分注対象の試薬容器13を移送する。駆動部14bは、パルスモータによって実現され、試薬庫制御部34の制御のもと、試薬庫14の中心を通る鉛直線を回転軸として収納部14aを回転させる。本体部14cは、収納部14aの側面および底面を一体に覆うように円筒状に形成され、外気が内部に浸入することを防止する。本体部14cの側壁の一部分には、窓部14fが設けられている。窓部14fは、透明な素材、たとえば、ガラス等によって実現される。蓋14dは、本体部14cに対して開閉自在であり、収納部14aの上部に設けられ、試薬容器13に収容した試薬の蒸発や変性を防止する。蓋14dには、試薬分注機構15による試薬を吸引するための試薬吸引位置P2として孔部14gが設けられている。
【0020】
読取部14eは、バーコードリーダ等によって実現され、窓部14fを介して収納部14aに収納された試薬容器13に設けられた記憶媒体(図示せず)から試薬情報を読み取る。読取部14eは、試薬容器13に設けられた記憶媒体から読み取った試薬情報を収納部14aにおける試薬容器13の収納位置に対応させて試薬庫制御部34に出力する。記憶媒体は、バーコードまたは2次元コード等で実現され、試薬情報を記憶する。ここで、試薬情報とは、少なくとも試薬容器13の形状と試薬の種類を含む情報をいう。また、試薬の種類毎に対応して粘度が設定される。読取部14eは、分析の開始前、たとえば、自動分析装置1の電源が入れられた初期化時、または収納部14aに新たな試薬容器13が収納される度に試薬容器13に設けられた記憶媒体から試薬情報を読み取る。また、読取部14eは、試薬容器13が読取部14eを横切る度に試薬容器13に設けられた記憶媒体から試薬情報を読み取る。
【0021】
試薬分注機構15は、図2に示すように、分注ノズル15a、アーム15b、駆動部15c、連結部15dおよび液面検知部15eを有する。分注ノズル15aは、ステンレス等によって棒管状に形成されたものからなり、アーム15bに装着される。アーム15bは、駆動部15cの駆動によって動作するものであり、アーム15bと駆動部15cとを連結する連結部15dを介して、鉛直方向への昇降および連結部15dを通る鉛直軸を中心とする回転を行う。液面検知部15eは、分注ノズル15aと試薬容器13に収容された試薬との接触による電気的な信号変化の変化量に基づいて試薬の液面の高さを検知する。液面検知部15eは、検知した試薬の液面の高さを試薬庫制御部34に出力する。
【0022】
試薬庫制御部34は、図2に示すように、移送長さ算出部34a、液量算出部34b、移送制御部34cおよび記憶部34dを有する。移送長さ算出部34aは、分注対象の試薬容器13の収納位置から試薬吸引位置P2までの移送長さを算出する。ここで、算出される移送長さは、パルスモータに出力するパルス数として換算される。液量算出部34bは、液面検知部15eが検知した分注対象の試薬容器13に収容された試薬の液面の高さと読取部14eが読み取った試薬情報に含まれる分注対象の試薬容器13の形状とに基づいて、分注対象の試薬容器13に収容された試薬の液量を算出する。移送制御部34cは、収納部14aが分注対象の試薬容器13を試薬吸引位置P2に移送する場合に、読取部14eが読み取った試薬情報と移送長さ算出部34aが算出した移送長さと液量算出部34bが算出した試薬の液量とに基づいて、分注対象の試薬容器13の移送に伴う停止時の試薬の揺れを低減させるよう予め設定された移送速度で収容部14aを制御する。記憶部34dは、分注対象の試薬容器13の移送に伴う停止時の試薬の揺れを低減させるよう予め設定された移送速度を記憶する。
【0023】
ここで、記憶部34dが記憶する収納部14aの移送速度について説明する。図3は、収納部14aの移送速度が設定された移送速度テーブルを示す図である。自動分析装置1は、通常、一定のシーケンスによって分析処理をしており、各部の動作時間が設定される。このため、収納部14aは、所定の時間内に分注対象の試薬容器13を試薬吸引位置P2に移送を終えるように設定される。すなわち、収納部14aは、試薬の種類(粘度)、試薬容器13の形状、試薬の液量および移送長さを考慮することなく、分注対象の試薬容器13を試薬吸引位置P2に所定の時間内で移送を終えるように設定される。このため、収納部14aが所定の移送速度で分注対象の試薬容器13を試薬吸引位置P2に移送した場合、試薬の種類(粘度)、試薬容器13の形状、試薬の液量および移送長さそれぞれによって試薬容器13の移送に伴う停止時の試薬の揺れが異なる。
【0024】
そこで、図3が示すように、移送速度テーブルR1は、試薬の種類(粘度)、試薬容器形状、液量および移送長さそれぞれの情報に対応させて、分注対象の試薬容器13の移送に伴う停止時の試薬の揺れを低減するように収納部14aの移送速度が設定される。たとえば、図3において、試薬「A」、試薬容器形状「α」、液量「a〜b」および移送長さ「d3」の場合、収納部14aの移送速度「s3」を設定する。すなわち、移送制御部34cは、収納部14aが分注対象の試薬容器13を試薬吸引位置P2に移送する場合、図3に示す移送速度テーブルR1を用いて、読取部14eが読み取った試薬情報と移送長さ算出部14aが算出した移送長さと液量算出部34bが算出した試薬の液量とに基づいて、分注対象の試薬容器13の移送に伴う停止時の試薬の揺れを低減する移送速度を記憶部34dから取得し、この取得した移送速度で収納部14aを制御する。これにより、収納部14aによる試薬吸引位置P2の停止時における試薬の揺れは、試薬の種類(粘度)、試薬容器13の形状、試薬の液量および移送長さそれぞれに対応させて収納部14aの移送速度を設定しない場合と比較して大幅に低減することができる。なお、上述した図3の移送速度テーブルR1における収納部14aの移送速度は、実験およびシミュレーション等によって予め求めて設定する。
【0025】
また、収納部14aによる移送速度は、試薬容器13の移送長さが長い場合に比べて短いほど遅く設定する。具体的には、収納部14aは、所定の時間内で試薬容器13の移送を終えるように設定されているため、移送長さが短い場合、移送速度を遅くして所定の時間内で試薬容器13の移送を終えればよい。これにより、停止に伴う慣性力による反動を低減することができ、試薬の揺れを低減することができる。さらに、移送速度は、試薬容器13の形状の容量および試薬の液量が多くなるほど遅く設定する。具体的には、停止に伴う慣性力による反動が液量(重量)と移送速度とによって決まるため、液量が多い場合、収納部14aによる移送速度を遅くするように設定する。これにより、停止に伴う慣性力による反動を低減することができるため、試薬の揺れを低減することができる。
【0026】
図4は、移送長さに対応して設定される収納部14aの移送速度を示す図である。図4において、横軸が時間を示し、縦軸が速度を示し、折れ線L1〜L4が図3の移送速度テーブルR1における移送速度s1〜s4それぞれを示す。具体的には、図3の移送速度テーブルR1で移送速度「s3」を設定した場合、折れ線L3となる。この場合、図5に示すように、試薬吸引位置P2の停止時における分注対象の試薬容器13に収容された試薬の揺れが低減されていることが確認されている。また、図4においては、加速時間および減速時間が移送長さに関わらず同じとしたが、試薬の種類(粘度)、試薬容器13の形状および試薬の種類それぞれに対応させて加速時間および減速時間を調整するようにしてもよい。たとえば、試薬の液量が多い場合、加速時間を短くするとともに減速時間を長くし、減速時の加速度を緩やかな傾斜にする。これにより、停止時における慣性力の反動を低減することによって試薬容器13に収容された試薬の揺れを低減することができる。
【0027】
ここで、図6に示すフローチャートを参照して、試薬庫制御部34が行う試薬容器移送処理について説明する。まず、試薬庫制御部34は、新たに受付された検体があるか否かを判断する(ステップS101)。具体的には、操作者によって入力部32に入力された情報に基づいて新たな検体が受付されたか否かを判断する。新たに受付された検体がないと判断した場合(ステップS101:No)、このステップS101の判断処理を繰り返す。一方、新たに受付された検体があると判断した場合(ステップS101:Yes)、試薬庫制御部34は、検体の分析項目に対応する試薬が収容された分注対象の試薬容器13の試薬情報と収納部14aにおける分注対象の試薬容器13の収納位置とを記憶部34dから取得し(ステップS102)、移送長さ算出部34aは、試薬庫制御部34が取得した収納部14aにおける分注対象の試薬容器13の収納位置から試薬吸引位置P2までの移送長さを算出する(ステップS103)。
【0028】
その後、液量算出部34bは、分注対象の試薬容器13の試薬情報と液面検知部15eが検知した分注対象の試薬容器13の液面の高さとをもとに分注対象の試薬容器13に収容された試薬の液量を算出する(ステップS104)。
【0029】
その後、移送制御部34cは、分注対象の試薬容器13の試薬情報と移送長さと試薬の液量とに基づいて、分注対象の試薬容器13の移送に伴う停止時の試薬の揺れを低減させるよう予め設定された移送速度を記憶部34dから取得する(ステップS105)。
【0030】
その後、移送制御部34cは、取得した移送速度で収納部14aを制御し、試薬吸引位置P2に分注対象の試薬容器13を移送させる(ステップS106)。具体的には、図3に示すように、分注対象の試薬容器13に収容された試薬「A」、分注対象の試薬容器13の形状「α」、液量「a〜b」および移送長さ「d3」とした場合、移送制御部34cは、移送速度「s3」を記憶部34dの移送速度テーブルR1から取得し、この移送速度「s3」で収納部14aを制御し、分注対象の試薬容器13を試薬吸引位置P2まで移送させる。
【0031】
その後、試薬庫制御部34は、制御部31より分析終了の指示があるか否かを判断する(ステップS107)。分析終了の指示がない場合(ステップS107:No)、ステップS101に戻り、上述したステップS101〜ステップS106までの処理を繰り返す。一方、試薬庫制御部34は、制御部31より分析終了の指示がある場合(ステップS107:Yes)、試薬容器移送処理を終了する。
【0032】
本発明の一実施の形態では、収納部14aが分注対象の試薬容器13を試薬吸引位置P2に移送する場合に、読取部14eが読み取った分注対象の試薬容器13の試薬情報と移送長さ算出部34aが算出した移送長さと液量算出部34bが算出した試薬の液量とに基づいて、移送制御部34cが記憶部34dに記憶された分注対象の試薬容器13の移送に伴う停止時の試薬の揺れを低減させるよう予め設定された移送速度を取得し、この取得した移送速度で収納部14aを制御することによって、試薬吸引位置P2の停止時における分注対象の試薬容器13に収容された試薬の揺れを低減することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 自動分析装置
2 測定機構
3 制御機構
11 検体移送部
11a 検体容器
11b 検体ラック
12 検体分注機構
13 試薬容器
14 試薬庫
14a 収納部
14b,15c 駆動部
14c 本体部
14d 蓋
14e 読取部
14f 窓部
14g 孔部
15 試薬分注機構
15a 分注ノズル
15b アーム
15d 連結部
15e 液面検知部
16 攪拌部
17 測光部
18 洗浄部
19 反応槽
20 反応容器
31 制御部
32 入力部
33 分析部
34 試薬庫制御部
34a 移送長さ算出部
34b 液量算出部
34c 移送制御部
34d,35 記憶部
36 出力部
P1 検体吸引位置
P2 試薬吸引位置
R1 移送速度テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面検知手段を有する分注機構によって試薬と検体とを反応容器に分注し、該反応容器内で反応した反応液の吸光度を測定することによって前記検体を分析する自動分析装置において、
前記試薬を収容した試薬容器を複数収納するとともに分注対象の試薬容器を試薬吸引位置まで移送する移送手段と、
前記移送手段に複数収納された前記試薬容器それぞれに設けられ、試薬容器の形状および試薬の種類を含む試薬情報を記憶した記憶媒体と、
前記記憶媒体から前記試薬情報を読み取る読取手段と、
前記移送手段における前記分注対象の試薬容器の収納位置から前記試薬吸引位置までの移送長さを算出する移送長さ算出手段と、
前記液面検知手段が検知した前記分注対象の試薬容器に収容された試薬の液面の高さと前記試薬情報とをもとに該分注対象の試薬容器に収容された試薬の液量を算出する液量算出手段と、
前記移送手段が前記分注対象の試薬容器を前記試薬吸引位置に移送する場合に、前記試薬情報と前記移送長さと前記試薬の液量とに基づいて、該分注対象の試薬容器の移送に伴う停止時の試薬の揺れを低減させるよう予め設定された移送速度で前記移送手段を制御する移送制御手段と、を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記移送速度は、前記分注対象の試薬容器の形状が大きいほど遅いことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記移送速度は、前記移送長さが短いほど遅いことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記移送速度は、前記分注対象の試薬容器に収容された試薬の液量が多いほど遅いことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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