説明

自動分析装置

【課題】試薬から蒸発した成分による汚染で分析データが悪化するのを防ぐことができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】第1試薬が収容された試薬容器6を収納する開口部を設けた試薬ケース36及び前記開口部を封止する試薬カバー37を有する試薬庫30と、試薬庫30内の空気を換気する換気部31と、試薬庫30内を冷却する冷却器35とを備え、試薬庫30内に収納された試薬容器6内の第1試薬及び換気部31により試薬庫30内へ流入する外部の空気を、試薬ケース36を介して冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体から採取された血液や尿などの体液中に含まれる成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目などを対象とし、被検体から採取された被検試料と、分析を行う各検査項目に該当する試薬との混合液の反応によって生ずる色調などの変化を光の透過量を測定することにより、被検試料中の様々な成分の濃度や酵素の活性値で示される分析データを得る。
【0003】
この自動分析装置では、多数の検査項目の中から、検査に応じて選択された項目の分析が行われる。被検試料は試料容器に収容され、サンプル分注プローブにより試料容器から反応容器に分注される。また、試薬は試薬容器に収容され、試薬分注プローブにより試薬容器から反応容器に分注される。反応容器に分注された被検試料及び試薬の混合液は、測光部により測定される。そして、各検査項目の試薬を収容する試薬容器は、試薬分注プローブで分注することができるように開蓋された状態で試薬庫に収納され、その試薬庫内は各試薬が変性して分析データが悪化するのを防ぐために保冷されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−283529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、試薬庫内は、低温に保つためにほぼ密封状態になっている。また、試薬庫内には、多数の試薬容器が収納されている。このため、一方の試薬容器内の試薬に含まれる成分が蒸発して他方の試薬容器内の試薬に混入し、他方の試薬が汚染されると、他方の試薬の検査項目の分析データが悪化する問題がある。
【0006】
実施形態は、上記問題点を解決するためになされたもので、試薬から蒸発した成分による汚染で分析データが悪化するのを防ぐことができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、実施形態の自動分析装置は、試料及び試薬を反応容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置において、前記試薬が収容された試薬容器を収納する開口部を設けた試薬ケース及び前記開口部を封止する試薬カバーを有する試薬庫と、前記試薬庫内の空気を換気する換気部と、前記試薬庫内に収納された前記試薬容器内の試薬及び前記換気部により前記試薬庫内へ流入する外部の空気を、前記試薬ケースを介して冷却する冷却器とを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】実施形態に係る分析部の構成の一例を示す斜視図。
【図3】実施形態に係る試薬部の構成の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検試料等の各試料と各検査項目の分析に用いる試薬とを分注し、その混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部26と、分析部26の各ユニットを駆動して分注動作、測定動作等の制御を行う分析制御部27とを備えている。
【0011】
また、自動分析装置100は、分析部26で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データを生成するデータ処理部40と、データ処理部40で生成された検量データや分析データを出力する出力部50と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部60と、分析制御部27、データ処理部40、及び出力部50を統括して制御するシステム制御部70とを備えている。
【0012】
図2は、分析部26の構成の一例を示した斜視図である。この分析部26は、各検査項目の標準試料や、被検試料等の試料を収容する試料容器17と、この試料容器17を保持する試料容器ホルダ5とを備えている。また、各試料に含まれる検査項目の成分と反応する1試薬系や2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、この試薬容器6を収納する試薬部1と、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、この試薬容器7を収納する試薬部2とを備えている。また、円周上に配置された複数個の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4を備えている。
【0013】
また、試料容器ホルダ5に保持された試料容器17内の試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10とを備えている。また、試薬部1に収納された試薬容器6内の第1試薬を吸引して試料が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8とを備えている。
【0014】
また、試薬部2に収納された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9と、反応容器3内の試料及び第1試薬の混合液、又は試料、第1試薬及び第2試薬の混合液に光を照射して光学的に測定する測光部13と、測定を終了した反応容器3内を洗浄する反応容器洗浄ユニット12とを備えている。
【0015】
そして、測光部13は光を照射し、照射した光の光路を回転移動して横切る反応容器3内の標準試料や被検試料を含む混合液を透過した光を検出する。そして、検出した検出信号に基づいて、例えば吸光度データで表される標準データや被検データを生成し、生成した標準データや被検データをデータ処理部40に出力する。
【0016】
分析制御部27は、分析部26の各ユニットを駆動する駆動部28と、駆動部28を制御して分析部26の各ユニットを作動させる駆動制御部29とを備えている。そして、駆動部28は、試薬部1,2の各ユニットを夫々駆動する。また、試料容器ホルダ5を回動する。また、反応ディスク4を回転する。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、及び第2試薬分注アーム9を夫々回動及び上下移動する。また、反応容器洗浄ユニット12を上下移動する。
【0017】
駆動制御部29は、駆動部28を夫々制御する制御回路を備え、分析部26の試薬部1、試薬部2、試料容器ホルダ5、反応ディスク4、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、及び反応容器洗浄ユニット12の各ユニットを作動させる。
【0018】
図1に示したデータ処理部40は、分析部26の測光部13から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部41と、演算部41で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部42とを備えている。
【0019】
演算部41は、測光部13から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に対して予め設定された標準値から、標準値と標準データの関係を表す検量データを検査項目毎に生成し、生成した検量データを出力部50に出力すると共にデータ記憶部42に保存する。
【0020】
また、測光部13から出力された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部42から読み出す。そして、読み出した検量データを用いて測光部13より出力された被検データから、濃度値や活性値で表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを出力部50に出力すると共にデータ記憶部42に保存する。
【0021】
データ記憶部42は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部41から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部41から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0022】
出力部50は、データ処理部40の演算部41から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部51及び表示出力する表示部52を備えている。そして、印刷部51は、プリンタなどを備え、演算部41から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0023】
表示部52は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部41から出力された検量データや分析データを表示する。また、自動分析装置100で分析可能な検査項目の分析パラメータである例えば分析部26の反応容器3内に吐出させる試料の量及び試薬の量等の設定を行う分析パラメータ設定画面等を表示する。
【0024】
操作部60は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎の分析パラメータ、試薬情報等を設定するための入力を行う。
【0025】
システム制御部70は、CPU及び記憶回路を備え、操作部60からの操作により入力された各検査項目の分析パラメータ等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部27、データ処理部40、及び出力部50を統括してシステム全体を制御する。
【0026】
次に、図2及び図3を参照して、分析部26における試薬部1の構成の詳細を説明する。なお、試薬部2は、配置される場所が異なる以外、試薬部1と同様に構成されるので、その説明を省略する。
【0027】
図3は、試薬部1の構成の一例を示した断面図である。この試薬部1は、試薬容器6を収納する試薬庫30と、分析制御部27における駆動部28の換気駆動により試薬庫30内の空気を換気する換気部31と、試薬庫30内に収納された複数の試薬容器6を円周上に配列保持する試薬トレイ32と、試薬庫30内の空気の温度を検出する温度検出器33と、駆動部28の冷却駆動により試薬庫30を冷却する冷却器35とを備えている。
【0028】
試薬容器6は、上部に開口部を有する。そして、第1試薬を吸引するために、試薬トレイ32に保持された試薬容器6の開口部から第1試薬分注プローブ14が進入する。
【0029】
試薬庫30は、試薬容器6を収納するための円形の開口部を設けた試薬ケース36と、冷却器35により冷却された冷気が試薬ケース36から外に逃げ出すのを防止するために設けられた試薬ケース36の開口部を封止する着脱自在の試薬カバー37とにより構成される。なお、試薬カバー37の一部には、収納された試薬容器6内の第1試薬の吸引が可能なように第1試薬分注プローブ14が進入する貫通孔が設けられている。
【0030】
試薬ケース36は、熱伝導性に優れた例えばアルミニウム材からなり、外気と接触する部分が断熱材で覆われている。そして、円形を成す底部の中心部が上端近傍まで突起した円柱状の突起部361を有する。また、底部の下端部における一方の縁辺近傍に設けられ、換気部31により外部の空気が流入する入口362を有する。また、底部の下端部及び突起部361に沿って設けられ、入口362から流入した空気を試薬庫30内へ導くための流路363を有する。
【0031】
また、試薬ケース36は、試薬トレイ32に保持された試薬容器6の開口部よりも上方の例えば突出部361の上端部に設けられ、流路363を流動した空気を試薬庫30内へ流入させるための第1の出口364を有する。また、試薬トレイ32に保持された試薬容器6の開口部よりも下方の例えば底部の下端部における他方の縁辺近傍に設けられ、換気部31により試薬庫30内の空気が流出する第2の出口365を有する。
【0032】
換気部31は、外部の空気を試薬庫30内に供給する吸気部38及び試薬庫30内の空気を排気する排気部39を有する。そして、吸気部38は、外部の空気を試薬庫30内に導くための一端部が入口362を包囲する吸気ダクト381、吸気ダクト381内の管路を開閉する開閉弁382、及び管路が開放された吸気ダクト381の他端部から外気を流入させて一端部から流出させるファン383により構成される。また、排気部39は、試薬庫30内の空気を庫外へ導くための一端部が試薬ケース36の第2の出口365を包囲する排気ダクト391、排気ダクト391内の管路を開閉する開閉弁392、及び管路が開放された排気ダクト391の一端部から試薬庫30内の空気を流入させて他端部から流出させるファン393により構成される。また、排気ダクト391から流出した空気に含まれる各試薬容器6から蒸発した第1試薬の成分を除去する多孔質膜、活性炭、水等のフィルタ394により構成される。
【0033】
そして、換気部31は、温度検出器33により検出された試薬庫30内の温度が例えば例えば2〜10℃の保冷温度範囲に入ってから所定の時間経過したとき、一定の換気時間試薬庫30内の空気を換気する。また、試薬庫30内の温度が保冷温度範囲内である間、所定の時間間隔で換気時間、試薬庫30内の空気を換気する。
【0034】
このように、外部の空気を試薬庫30内へ供給すると共に試薬庫30内の空気を排気して、試薬庫30内を換気することができる。これにより、試薬容器6から蒸発した第1試薬成分が試薬ケース36及び試薬カバー37内面に付着して試薬庫30内が汚染されるのを低減することができる。また、試薬庫30から排気した空気に含まれる試薬容器6から蒸発した第1試薬成分を除去することができる。この第1試薬成分の除去により、試薬容器6から蒸発した第1試薬成分による排気ダクト391周辺の汚染を防ぐことができる。
【0035】
試薬トレイ32は、試薬庫30の試薬ケース36内の底部に沿って試薬ケース36から離間して配置され、試薬ケース36の突起部361の上端部を回動軸が貫通する分析制御部27の駆動部28に支持されている。また、試薬ケース36の第1の出口364と同じ高さの側壁に所定の間隔で全周に亘って設けられた複数の開口部321を有する。
【0036】
このように、試薬ケース36の第1の出口364及び試薬トレイ32の開口部321を試薬容器6の開口部よりも上方に設けることにより、換気部31により試薬庫30内へ流入した外部の空気を、試薬容器6開口部の上方を流動させることができる。
【0037】
温度検出器33は、試薬庫30内の空気の温度を検出し、検出した信号を分析制御部27の駆動制御部29に出力する。そして、駆動制御部29では、温度検出器33からの検出信号に基づいて駆動部28を制御する。駆動部28では、冷却器35を冷却駆動する。また、換気部31における吸気部38及び排気部39の開閉弁382,392を開放駆動した後、ファン383,393を回転駆動する。また、ファン383,393の回転駆動を停止した後、開閉弁382,392を閉鎖駆動する。
【0038】
冷却器35は、試薬庫30の試薬ケース36を冷却する例えばペルチェ素子を備えている。そして、試薬ケース36を介して試薬庫30内の空気を冷却し、この空気冷却により試薬トレイ32に保持された試薬容器6内の第1試薬を冷却する。また、試薬ケース36を介して流路363内を流動する空気を冷却する。
【0039】
なお、試薬ケース36底部の下端部に、流路363の一部を例えば渦巻状に設けるように実施してもよい。これにより、外部の空気が流路363内をより長時間に亘って流動することになり、外部の空気をより強力に冷却することができる。
【0040】
このように、試薬ケース36に流路363を設けることにより、冷却器35で試薬庫30内に収納された試薬容器6内の第1試薬を冷却すると共に、試薬庫30内に流入する前に外部の空気を冷却することができる。これにより、換気による試薬庫30内の温度上昇を防ぐことができるため、試薬容器6内の第1試薬の変性を防ぐことができる。
【0041】
以下、図1乃至図3を参照して、自動分析装置100の分析部26における試薬部1の動作の一例を説明する。
自動分析装置100の電源を入れると、分析制御部27の駆動制御部29は、分析部26の試薬部1における試薬庫30の温度検出器33から出力される検出信号に基づいて、駆動部28を制御し、試薬部1の冷却器35を作動させる。冷却部35は、試薬庫30の試薬ケース36を介して試薬庫30内の空気を冷却する。自動分析装置100の操作者により、試薬ケース36内に試薬容器6が収納され、試薬ケース36に試薬カバー37が取り付けられる。
【0042】
温度検出器33により検出された温度が保温温度範囲内に入ってから所定時間経過したとき、駆動制御部29は、駆動部28に換気駆動させる。また、試薬庫30内を換気する情報をシステム制御部70に出力する。システム制御部70は、試薬庫30内を換気している状態を示す情報を表示部52に表示させる。
【0043】
このように、表示部52に換気状態を示す情報を表示することにより、操作者に試薬庫30が換気されていることを通知することができる。
【0044】
駆動部28は、換気部31における吸気部38及び排気部39の開閉弁382,392を開放駆動した後、ファン383,393を回転駆動する。
【0045】
この駆動により、図3の矢印で示すように、外部の空気が吸気ダクト381の他端部から流入して一端部から流出する。流出した空気は試薬ケース36の入口362から流路363へ流入し、流入した空気は流路363内を流動する。流路363内を流動している空気は、試薬ケース36を介して冷却器35により冷却される。流路363で冷却された空気は、第1の出口364から試薬庫30内へ流入する。
【0046】
試薬庫30内へ流入した空気は試薬トレイ32の開口部321を経由して試薬容器6の開口部上方を流動し、試薬容器6上方を通過した空気は更に試薬ケース36と試薬容器6の間を下方へ流動する。下方に流動した空気は第2の出口365から流出し、流出した空気は排気ダクト391内へ流入する。流入した空気は排気ダクト391内を流動して他端部から流出する。排気ダクト391から流出した空気は、フィルタ394を通過して外部に排気される。
【0047】
このように、換気部31により試薬庫30内へ流入した外部の空気を、試薬容器6開口部の上方を流動させ、試薬庫30外へ流出させることができる。これにより、試薬容器6から蒸発した第1試薬成分の試薬容器6の開口部近傍での滞留を防ぐことが可能となり、一方の試薬容器6から蒸発した第1試薬成分が他方の試薬容器6内の第1試薬に混入して他方の第1試薬が汚染されるのを防ぐことができる。
【0048】
以上述べた実施形態によれば、外部の空気を試薬庫30内へ供給すると共に試薬庫30内の空気を排気する換気部31を設けることにより、試薬容器6から蒸発した第1試薬成分による試薬庫30内の汚染を低減することができる。また、試薬庫30から排気した空気に含まれる試薬容器6から蒸発した第1試薬成分を除去するフィルタ394を設けることにより、試薬容器6から蒸発した第1試薬成分による排気ダクト391周辺の汚染を防ぐことができる。
【0049】
また、試薬庫30内へ収納された試薬容器6の開口部よりも上方に試薬ケース36の第1の出口364及び試薬トレイ32の開口部321を設けることにより、試薬庫30内へ流入した外部の空気を、試薬容器6開口部の上方を流動させて、試薬庫30外へ流出させることができる。これにより、一方の試薬容器6から蒸発した第1試薬成分が他方の試薬容器6内の第1試薬に混入して他方の第1試薬が汚染されるのを防ぐことが可能となり、分析データが悪化するのを防ぐことができる。
【0050】
更に、試薬ケース36に流路363を設けることにより、冷却器35で試薬庫30内に収納された試薬容器6内の第1試薬を冷却すると共に、試薬庫30内に流入する前に外部の空気を冷却することができる。これにより、換気による試薬庫30内の温度上昇を防ぐことができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 試薬部
6 試薬容器
28 駆動部
30 試薬庫
31 換気部
32 試薬トレイ
33 温度検出器
35 冷却器
36 試薬ケース
37 試薬カバー
38 吸気部
39 排気部
321 開口部
361 突起部
362 入口
363 流路
364 第1の出口
365 第2の出口
381 吸気ダクト
382,392 開閉弁
383,393 ファン
391 排気ダクト
394 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及び試薬を反応容器に分注してその混合液を測定する自動分析装置において、
前記試薬が収容された試薬容器を収納するための開口部を設けた試薬ケース及び前記開口部を封止する試薬カバーを有する試薬庫と、
前記試薬庫内の空気を換気する換気部と、
前記試薬庫内に収納された前記試薬容器内の試薬及び前記換気部により前記試薬庫内へ流入する外部の空気を、前記試薬ケースを介して冷却する冷却器とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記試薬ケースは、前記換気部により外部の空気が流入する入口、この入口から流入した空気を前記試薬庫内へ導くための流路、この流路を流動する空気を前記試薬庫内へ流入させるための第1の出口、及び前記換気部により前記試薬庫内の空気が流出する第2の出口を有することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記試薬容器は、上部に開口部を有し、
前記第1の出口は、前記試薬ケース内に収納された前記試薬容器の開口部の上方に位置することを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記第2の出口は、前記試薬容器の開口部よりも下方に位置することを特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記換気部は、外部の空気を前記試薬庫内に供給する吸気部を有し、
前記吸気部は、一端部が前記入口を包囲する吸気ダクト、この吸気ダクト内の管路を開閉する開閉弁、この開閉弁により管路が開放された前記吸気ダクトの他端部から外気を流入させて一端部から流出させるファンを有することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記換気部は、前記試薬庫内の空気を排気する排気部を有し、
前記排気部は、一端部が前記第2の出口を包囲する排気ダクトと、この排気ダクト内の管路を開閉する開閉弁と、この開閉弁により管路が開放された排気ダクトの一端部から前記試薬庫内の空気を流入させて他端部から流出させるファンと、前記排気ダクトの他端部に配置され、前記排気ダクトから流出された空気に含まれる前記試薬容器から蒸発した試薬成分を除去するフィルタとにより構成されることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記試薬庫内を換気している状態を示す情報を表示出力する表示部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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