説明

自動分析装置

【課題】反応容器の洗浄力の低下を防ぐことができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】反応容器3内を洗浄するための第1の洗浄液を供給する第1の供給ポンプ60と、第1の供給ポンプ60により供給された第1の洗浄液を吐出する第1の洗浄ノズル72と、第1の洗浄ノズル72を、軸方向を回転軸として回転可能に支持する支持体76と、支持体76を下方向へ移動して第1の洗浄ノズル72を反応容器3内へ進入させる駆動機構90とを備え、反応容器3内へ進入した際に、第1の洗浄ノズル72は第1の供給ポンプ60から供給された第1の洗浄液を吐出しながら回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体から採取された被検試料等の液体に含まれる成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された被検試料と試薬との反応によって生ずる色調の変化や濁りの変化を測光部で光学的に測定する。この測定により、被検試料中の様々な各検査項目成分の濃度や酵素活性で表される分析データを生成する。
【0003】
自動分析装置では、被検試料及び各検査項目の試薬が反応容器に分注され、その被検試料及び試薬の混合液を収容した反応容器に測光部で光を照射して測定される。測定に使用された反応容器は洗浄ノズルから吐出されるアルカリ性洗浄液や酸性洗浄液等の洗浄液で洗浄された後、繰り返して測定に使用される。また、洗浄ノズルには、反応容器を洗浄するための洗浄液を複数の方向に吐出する吐出口を設けたものがあり、吐出口から吐出された洗浄液を反応容器内の側面に当てて洗浄が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−160398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、反応容器と洗浄ノズルの吐出口の位置関係は洗浄毎に同じであるため、吐出口の一部がごみ等で塞がれると、反応容器内側面に洗浄液が当たらない部分が生じ、その部分に混合液が残留して次の混合液の測定に悪影響を与える恐れがある。
【0006】
実施形態は、上記問題点を解決するためになされたもので、反応容器の洗浄力の低下を防ぐことができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、実施形態の自動分析装置は、試料及び試薬を容器内へ分注し、その混合液を測定する自動分析装置において、前記反応容器内を洗浄するための洗浄液を供給するポンプと、前記ポンプにより供給された前記洗浄液を吐出する洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルを、軸方向を回転軸として回転可能に支持する支持体と、前記支持体を前記軸方向へ移動して、前記洗浄ノズルを前記反応容器内へ進入させる駆動機構とを備え、前記洗浄ノズルは前記洗浄液を吐出しながら回転することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る自動分析装置の構成を示す図。
【図2】実施形態に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】実施形態に係る反応容器洗浄部の構成を示す図。
【図4】実施形態に係る第1の洗浄ノズル及び支持体の第1の洗浄ノズルを支持する支持部分の構成の一例を示す図。
【図5】実施形態に係る上下方向へ移動する第1の洗浄ノズルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、標準試料や被検体から被検試料を測定する分析部24と、分析部24で標準試料や被検試料の測定により生成される標準データや被検データに基づいて各検査項目の検量線の作成や分析データの生成を行うデータ処理部30と、データ処理部30で生成された分析データ等を出力する出力部50と、各検査項目の分析パラメータの入力や、各種コマンド信号を入力する操作部53と、分析部24、データ処理部30、及び出力部50を統括して制御するシステム制御部54とを備えている。
【0011】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料や被検試料等の各試料を収容する試料容器17と、この試料容器17を保持するサンプルディスク5と、円周上に配置された複数の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4と、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の各試料を吸引して反応容器3へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に支持するサンプル分注アーム10とを備えている。
【0012】
また、各試料に含まれる検査項目の成分と反応する1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、この試薬容器6を格納する試薬庫1と、この試薬庫1に格納された試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aと、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して試料が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に支持する第1試薬分注アーム8とを備えている。
【0013】
また、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、この試薬容器7を格納する試薬庫2と、この試薬庫2に格納された試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aと、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に支持する第2試薬分注アーム9とを備えている。
【0014】
また、反応容器3内の試料及び第1試薬、又は試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を測定する測光部13と、測光部13により測定された混合液を収容する反応容器3内を洗浄する反応容器洗浄部12とを備えている。そして、測光部13は、回転移動する反応容器3に光を照射して、混合液を透過した光を検出する。そして、検出した光に基づいて標準データや被検データを生成し、生成した標準データや被検データをデータ処理部30へ出力する。
【0015】
図1に示したデータ処理部30は、分析部24の測光部13から出力された標準データや被検データから検量線の作成や分析データの生成を行う演算部31と、演算部31で作成された検量線や生成された分析データを保存する記憶部32とを備えている。そして、演算部31は、分析部24で生成された各検査項目の標準データに基づいて検量線を作成する。また、分析部24で生成された各検査項目の被検データ及び予め作成した検量線に基づいて、活性値や濃度値などで表される分析データを生成する。そして、生成した検量線や分析データを記憶部32に保存すると共に出力部50に出力する。
【0016】
出力部50は、データ処理部30から出力された検量線や分析データなどを印刷出力する印刷部51及び表示出力する表示部52を備えている。そして、印刷部51は、プリンタなどを備え、データ処理部30から出力された検量線や分析データなどを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙に印刷出力する。また、表示部52は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、各検査項目の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面の表示や、データ処理部30から出力された検量線や分析データなどの表示を行う。
【0017】
操作部53は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析パラメータの設定、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報の入力、被検試料毎に分析する検査項目の選択、標準試料や被検試料測定操作などの様々な入力を行う。
システム制御部54は、CPUと記憶回路を備え、操作部53から入力されるコマンド信号、各検査項目の分析パラメータ、被検体情報、被検試料毎に選択された検査項目などの入力情報を保存する。そして、入力情報に基づいて、分析部24の各ユニットを一定サイクルの所定のシーケンスで測定動作させる制御、検量線の作成や分析データの生成と出力に関する制御などシステム全体の制御を行なう。
【0018】
以下、図1乃至図5を参照して、分析部24における反応容器洗浄部12の構成及び反応容器3の洗浄動作について説明する。
図3は、反応容器洗浄部12の構成を示した図である。この反応容器洗浄部12は、反応容器3内を洗浄するための複数の洗浄液(第1乃至第3の洗浄液)の供給等を行う洗浄ポンプ部55と、測定を終えた反応容器3内の混合液の吸引や、洗浄ポンプ部55により供給された各洗浄液の反応容器3内への吐出及び吐出した各洗浄液の吸引等を行う洗浄ノズル部70と、洗浄ノズル部70を上下方向へ移動駆動する駆動機構90とを備えている。
【0019】
洗浄ポンプ部55は、例えばアルカリ性洗浄液である第1の洗浄液を収容する第1の洗剤ボトル56と、反応容器3内に付着した第1の洗浄液では洗い落とすことが困難な汚れ成分を洗い落とすための例えば酸性洗浄液である第2の洗浄液を収容する第2の洗剤ボトル57と、洗浄ノズル部70から吸引された混合液を貯留する第1の排液タンク58とを備えている。
【0020】
また、洗浄ポンプ部55は、洗浄ノズル部70から吸引された各洗浄液を貯留する第2の排液タンク59と、第1の洗剤ボトル56から第1の洗浄液を吸引して洗浄ノズル部70に供給する第1の供給ポンプ60と、第2の洗剤ボトル57から第2の洗浄液を吸引して洗浄ノズル部70に供給する第2の供給ポンプ61と、反応容器3内に残留する第2の洗浄液を洗い落とすための例えば純水である第3の洗浄液を純水装置110から吸引して洗浄ノズル部70に供給する第3の供給ポンプ62とを備えている。
【0021】
更に、洗浄ポンプ部55は、洗浄ノズル部70に混合液を吸引させる第1の排液ポンプ63と、反応容器3内に吐出された各洗浄液を各第1乃至第3の供給ポンプ60,61,62が供給する供給量よりも多い吸引量で洗浄ノズル部70に吸引させる第2の排液ポンプ64と、洗浄ノズル部70に反応容器3内に残留する第3の洗浄液を吸引させる乾燥ポンプ65とを備えている。
【0022】
洗浄ノズル部70は、測光部13で測定された後に第1停止位置W1で停止する反応容器3内の混合液を吸引する排液ノズル71と、第1の停止位置W1で混合液が吸引された後に第2停止位置W2で停止する反応容器3内への第1の洗浄液の吐出及び吐出した第1の洗浄液の吸引を行う第1の洗浄ノズル72と、第2停止位置W2で洗浄された後に第3洗浄位置W3で停止する反応容器3内への第2の洗浄液の吐出及び吐出した第2の洗浄液の吸引を行う第2の洗浄ノズル73とを備えている。
【0023】
また、洗浄ノズル部70は、第3停止位置W3で洗浄された後に第4停止位置W4で停止する反応容器3内への第3の洗浄液の吐出及び吐出した第3の洗浄液の吸引を行う第3の洗浄ノズル74と、第4停止位置W4で洗浄された後に第5停止位置W5で停止する反応容器3内に残存する第3の洗浄液を吸引する乾燥ノズル75と、排液ノズル71、第1乃至第3の洗浄ノズル72乃至74、及び乾燥ノズル75を支持する支持体76とを備えている。
【0024】
排液ノズル71は、上端及び下端に開口を有する中空の円筒を成し、支持体76に固定されている。また、上端部が洗浄ポンプ部55の第1の排液ポンプ63と接続されたチューブに接続されている。そして、第1の排液ポンプ63の排液動作により、反応容器3内へ進入する下端の開口から反応容器3内の混合液を吸引して上端の開口から流出する。
【0025】
図4は、第1の洗浄ノズル72及び支持体76の第1の洗浄ノズル72を支持する支持部分の構成の一例を示した図である。そして、図4(a)は、第1の洗浄ノズル72及び支持体76を正面から見た断面図である。また、図4(b)は、第1の洗浄ノズル72から吐出される第1の洗浄液の方向を示した上面図である。ここでは、第1の洗浄ノズル72の軸方向をZ軸とし、このZ軸に互いに直交する軸をX軸及びY軸とする。
【0026】
第1の洗浄ノズル72は、内管80及びこの内管80のZ軸方向における下端部近傍から上端近傍までの間を包囲する外管81により構成され、Z軸を回転軸として回転可能に支持体76に支持されている。
【0027】
内管80は、上端及び下端に開口を有する中空の円筒を成し、上端部が摩擦を低減するために例えば防水性に優れたシール付きの軸受け761を介して回転可能に支持体76に支持されている。また、反応容器3内へ進入する下端の開口が、反応容器3内に吐出された第1の洗浄液を吸引するための吸引口801として設けられている。更に、上端の開口が支持体76内に配置され、吸引口801から流入した第1の洗浄液が流出する流出口802として設けられている。
【0028】
外管81は、上端及び下端に開口を有する中空の円筒を成し、上端部及び下端部と内管80との間が封止されている。また、上端部及び下端部以外の部分が内管80から離間して配管され、中空811を形成している。また、封止された上端面に第1の洗浄液が流入する流入口812が設けられている。更に、支持体76内に配置された上端部が、摩擦を低減するために防水性に優れたシール付きの軸受け762を介して支持体76に支持されている。更にまた、下端部に、流入口812から流入して中空811を経由した第1の洗浄液を、X、Y,Z軸方向以外の斜め下方の方向である矢印L1方向及びZ軸を中心としてL1方向を180°回転した方向である矢印L2方向へ吐出させる方向性を有する2つの吐出口813,814が設けられている。
【0029】
なお、外管81の下端部に、吐出口813又は吐出口814のいずれかを設けるように実施してもよい。また、少なくとも吐出口813、Z軸を中心としてL1方向を一方向へ120°回転した方向であるL3方向へ吐出させる方向性を有する吐出口、及びZ軸を中心としてL3方向を一方向へ120°回転した方向であるL4方向へ吐出させる方向性を有する吐出口を設けるように実施してもよい。
【0030】
このように、L1及びL2方向へ第1の洗浄液を吐出させることにより、吐出口813,814に第1の洗浄液吐出の反力がかかり、支持体76に支持された第1の洗浄ノズル72を矢印R1方向へ回転させることができる。そして、反応容器3内へ進入した際に、第1の洗浄ノズル72が第1の洗浄液を吐出しながら回転することにより、吐出口813又は吐出口814の一部がごみ等で塞がれている場合でもZ軸周りの反応容器3内側面に第1の洗浄液をむらなく当てることができる。これにより、第1の洗浄液による洗浄力の低下を防ぐことができる。
【0031】
支持体76は、上方に突起する突起部を有し、その突起部内に配置された軸受け761,762を介して第1の洗浄ノズル72の内管80及び外管81を回転可能に支持している。そして、突起部の側部に第1の供給ポンプ60と接続されたチューブに接続される入口763が設けられ、突起部の上部に第2の排液ポンプ64と接続されたチューブに接続される出口764が設けられている。
【0032】
また、支持体76は、軸受け761の下面、軸受け762の上面、内管80の上端部近傍の外面、外管81の上端面、及び突起部内面により包囲された第1の空間765を有し、第1の空間765は第1の洗浄液で満たされている。そして、第1の供給ポンプ60から供給された第1の洗浄液は入口763から流入し、流入した第1の洗浄液は第1の空間765を経由して外管81の流入口812から流入する。
【0033】
更に、支持体76は、軸受け761の上面、内管80の上端面、及び突起部内面に包囲された第2の空間766を有する。そして、第2の排液ポンプ64の排液動作により、反応容器3内へ吐出された第1の洗浄液は、内管80の流出口802から第2の空間766へ流入した後、出口764から流出する。
【0034】
ここで、第2停止位置W2で停止する反応容器3内の洗浄動作について説明する。各試料及び第1試薬、又は各試料並びに第1及び第2試薬の分注により、図5(a)に示すように、反応容器3は最大で高さH1となる混合液を収容するので、反応容器3内の混合液と接触する可能性のある底面及びこの底面から高さH1の範囲の側面を第1の洗浄液で洗浄する必要がある。
【0035】
駆動機構90は、第1の洗浄ノズル72を上停止位置から下方向へ移動させる。そして、図5(b)に示すように、L1方向及びL2方向へ吐出される第1の洗浄液が第2停止位置W2の反応容器3内側面における高さH1の範囲の上端部よりも上の部分に当たる高さである洗浄上限位置Wuに第1の洗浄ノズル72が達したとき、第1の供給ポンプ60は第1の洗浄液の供給動作を開始し、第2の排液ポンプ64は排液動作を開始する。第1の洗浄液の供給動作により、第1の洗浄ノズル72は、洗浄上限位置WuからL1方向及びL2方向へ第1の洗浄液を吐出しながらR1方向へ回転して、下方向へ移動する。
【0036】
なお、洗浄上限位置Wuにおける第1の洗浄ノズル72の吐出口813,814は、例えば反応容器3内に進入した高さに位置している。このように、洗浄上限位置Wuにおいて、反応容器3内に進入した位置に吐出口813,814を設けることにより、反応容器3外へ設けるよりも第1の洗浄ノズル72から吐出した第1の洗浄液が反応容器3外へ飛び出すのを防ぐことができる。
【0037】
駆動機構90は、図5(c)に示すように、L1方向及びL2方向へ吐出された第1の洗浄液が反応容器3内側面の下端部に当たる高さである洗浄下限位置Wdに第1の洗浄ノズル72が達したとき、第1の洗浄ノズル72の下方向への移動を停止させる。第1の洗浄ノズル72が洗浄下限位置Wdで停止してから所定の時間が経過した後、第1の供給ポンプ60は洗浄上限位置Wuで開始した第1の洗浄液の供給動作を停止する。次いで、第2の排液ポンプ64は、第1の供給ポンプ60の供給動作が停止してから第1の洗浄ノズルが72反応容器3内の第1の洗浄液を吸引した後に排液動作を停止する。第1の洗浄液の供給動作の停止により、第1の洗浄ノズル72は、第1の洗浄液の吐出を停止し、R1方向への回転動作が停止する。
【0038】
第2の排液ポンプ64が排液動作を停止した後、駆動機構90は、第1の洗浄ノズル72を洗浄下限位置Wdから上方向へ移動させ、上停止位置で停止させる。なお、下方向へ移動する第1の洗浄ノズル72が洗浄上限位置Wuに達したときに第1の洗浄液の供給動作及び排液動作を開始させ、第1の洗浄ノズル72が洗浄下限位置Wdで停止した後に上方向へ移動して洗浄上限位置Wuに達するまでの間、第1の洗浄液の供給動作及び排液動作を行わせるように実施してもよい。
【0039】
このように、L1及びL2方向へ第1の洗浄液を吐出している第1の洗浄ノズル72を洗浄上限位置Wuと洗浄下限位置Wdとの間を移動させることにより、第1の洗浄ノズル72が回転しながら移動するため、Z軸周りの混合液と接触する可能性がある反応容器3内側面全体亘って第1の洗浄液をむらなく当てることができる。これにより、第1の洗浄液による洗浄力の低下を防ぐことができる。
【0040】
図3に示した第2の洗浄ノズル73及び支持体76の第2の洗浄ノズル73を支持する支持部分は、第1の洗浄ノズル72及び支持体76の第1の洗浄ノズル72を支持する支持部分と同様に構成され、第2の洗浄ノズル73は第1の洗浄ノズル72と同様にR1方向へ回転可能に支持体76に支持されている。
【0041】
ここで、第3停止位置W3で停止する反応容器3内の洗浄動作について説明する。第2の洗浄ノズル73は、上停止位置から下方向へ移動する。そして、L1方向及びL2方向へ吐出する第2の洗浄液が第3停止位置W3の反応容器3内側面における高さH1の範囲の上端部よりも上の部分に当たる洗浄上限位置Wuに第2の洗浄ノズル73が達したとき、第2の供給ポンプ61は第2の洗浄液の供給動作を開始し、第2の排液ポンプ64は排液動作を開始する。第2の洗浄液の供給動作により、第2の洗浄ノズル73は、洗浄上限位置WuからL1方向及びL2方向へ第2の洗浄液を吐出しながらR1方向へ回転して、下方向へ移動する。
【0042】
次いで、第2の洗浄ノズル73は、L1方向及びL2方向へ吐出した第2の洗浄液が反応容器3内側面の下端部に当たる洗浄下限位置Wdに達したとき、下方向への移動を停止する。第2の洗浄ノズル73が洗浄下限位置Wdで停止してから所定の時間が経過した後、第2の供給ポンプ61は洗浄上限位置Wuで開始した第2の洗浄液の供給動作を停止する。次いで、第2の排液ポンプ64は、第2の供給ポンプ61の供給動作が停止してから第2の洗浄ノズルが73反応容器3内の第2の洗浄液を吸引した後に排液動作を停止する。第2の洗浄液の供給動作の停止により、第2の洗浄ノズル73は、第2の洗浄液の吐出を停止し、R1方向への回転動作が停止する。
【0043】
このように、L1及びL2方向へ第2の洗浄液を吐出させることにより、支持体76に支持された第2の洗浄ノズル73を回転させることができる。また、L1及びL2方向へ第2の洗浄液を吐出している第2の洗浄ノズル73を洗浄上限位置Wuと洗浄下限位置Wdとの間を移動させることにより、第2の洗浄ノズル73が回転しながら移動するため、Z軸周りの混合液と接触する可能性がある反応容器3内側面全体亘って第2の洗浄液をむらなく当てることができる。これにより、第2の洗浄液による洗浄力の低下を防ぐことができる。
【0044】
第3の洗浄ノズル74及び支持体76の第3の洗浄ノズル74を支持する支持部分は、第1の洗浄ノズル72及び支持体76の第1の洗浄ノズル72を支持する支持部分と同様に構成され、第3の洗浄ノズル74は第1の洗浄ノズル72と同様にR1方向へ回転可能に支持体76に支持されている。
【0045】
ここで、第4停止位置W4で停止する反応容器3内の洗浄動作について説明する。第3の洗浄ノズル74は、上停止位置から下方向へ移動する。そして、L1方向及びL2方向へ吐出する第3の洗浄液が第4停止位置W4の反応容器3内側面における高さH1の範囲の上端部よりも上の部分に当たる洗浄上限位置Wuに第3の洗浄ノズル74が達したとき、第3の供給ポンプ62は第3の洗浄液の供給動作を開始し、第2の排液ポンプ64は排液動作を開始する。第3の洗浄液の供給動作により、第3の洗浄ノズル74は、洗浄上限位置WuからL1方向及びL2方向へ第3の洗浄液を吐出しながらR1方向へ回転して、下方向へ移動する。
【0046】
次いで、第3の洗浄ノズル73は、L1方向及びL2方向へ吐出した第3の洗浄液が反応容器3内側面の下端部に当たる洗浄下限位置Wdに達したとき、下方向への移動を停止する。第3の洗浄ノズル74が洗浄下限位置Wdで停止してから所定の時間が経過した後、第3の供給ポンプ62は洗浄上限位置Wuで開始した第3の洗浄液の供給動作を停止する。次いで、第2の排液ポンプ64は、第3の供給ポンプ62の供給動作が停止してから第3の洗浄ノズルが74反応容器3内の第3の洗浄液を吸引した後に排液動作を停止する。第3の洗浄液の供給動作の停止により、第3の洗浄ノズル74は、第3の洗浄液の吐出を停止し、R1方向への回転動作が停止する。
【0047】
このように、L1及びL2方向へ第3の洗浄液を吐出させることにより、支持体76に支持された第3の洗浄ノズル74を回転させることができる。また、L1及びL2方向へ第3の洗浄液を吐出している第3の洗浄ノズル74を洗浄上限位置Wuと洗浄下限位置Wdとの間を移動させることにより、第3の洗浄ノズル74が回転しながら移動するため、Z軸周りの混合液と接触する可能性がある反応容器3内側面全体亘って第3の洗浄液をむらなく当てることができる。これにより、第3の洗浄液による洗浄力の低下を防ぐことができる。
【0048】
乾燥ノズル75は、多孔質体を有し、支持体76に固定されている。また、上端部が洗浄ポンプ部55の乾燥ポンプ65と接続されたチューブに接続されている。そして、乾燥ポンプ65の乾燥動作により、多孔質体が第4停止位置W4で停止した反応容器3内に進入して残留する第3の洗浄液を吸引する。
【0049】
駆動機構90は、反応容器3が停止した後、洗浄ノズル部70の支持体76を下方向へ移動し、洗浄ノズル部70の各ノズルが第1乃至第5停止位置W1乃至W5で停止した反応容器3内へ進入する位置で停止させる。そして、第1停止位置W1で停止した反応容器3内の混合液の吸引、第2停止位置W2で停止した反応容器3内への第1の洗浄液の吐出及び吸引による洗浄、第3停止位置W3で停止した反応容器3内への第2の洗浄液の吐出及び吸引による洗浄、第4停止位置W4で停止した反応容器3内への第3の洗浄液の吐出及び吸引による洗浄、及び第5停止位置W5で停止した反応容器3内の第3の洗浄液の吸引による乾燥が行われた後、上方向へ移動して上停止位置で停止する。
【0050】
なお、例えば各第1乃至第3の洗浄ノズル72,73,74を回転軸とするピニオンギアを各第1乃至第3の洗浄ノズル72,73,74に固定する。そして、各ピニオンギア、このピニオンギアに係合するラックギア、及びこのラックギアをスライド駆動する駆動機構により構成される回転機構により、各第1乃至第3の洗浄ノズル72,73,74を回転するように実施してもよい。
【0051】
以上述べた実施形態によれば、L1及びL2方向へ第1の洗浄液を吐出させることにより、第1の洗浄ノズル72を回転させることができる。そして、第1の洗浄ノズル72が第1の洗浄液を吐出しながら回転することにより、吐出口813又は吐出口814の一部がごみ等で塞がれている場合でもZ軸周りの反応容器3内側面に第1の洗浄液をむらなく当てることができる。また、L1及びL2方向へ第1の洗浄液を吐出している第1の洗浄ノズル72を洗浄上限位置Wuと洗浄下限位置Wdとの間を移動させることにより、第1の洗浄ノズル72が回転しながら移動するため、Z軸周りの混合液と接触する可能性がある反応容器3内側面全体に亘って第1の洗浄液をむらなく当てることができる。これにより、第1の洗浄液による洗浄力の低下を防ぐことができる。
【0052】
また、L1及びL2方向へ第2の洗浄液を吐出させることにより、第2の洗浄ノズル73を回転させることができる。そして、第2の洗浄ノズル73が第2の洗浄液を吐出しながら回転することにより、各吐出口の一部がごみ等で塞がれている場合でもZ軸周りの反応容器3内側面に第2の洗浄液をむらなく当てることができる。また、L1及びL2方向へ第2の洗浄液を吐出している第2の洗浄ノズル73を洗浄上限位置Wuと洗浄下限位置Wdの間を移動させることにより、Z軸周りの混合液と接触する可能性がある反応容器3内側面に第2の洗浄液をむらなく当てることができる。これにより、第2の洗浄液による洗浄力の低下を防ぐことができる。
【0053】
更に、L1及びL2方向へ第3の洗浄液を吐出させることにより、第3の洗浄ノズル74を回転させることができる。そして、第3の洗浄ノズル74が第3の洗浄液を吐出しながら回転することにより、各吐出口の一部がごみ等で塞がれている場合でも反応容器3内側面に第3の洗浄液をむらなく当てることができる。また、L1及びL2方向へ第3の洗浄液を吐出している第3の洗浄ノズル74を洗浄上限位置Wuと洗浄下限位置Wdの間を移動させることにより、Z軸周りの混合液と接触する可能性がある反応容器3内側面全体に第2の洗浄液をむらなく当てることができる。これにより、第3の洗浄液による洗浄力の低下を防ぐことができる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
12 反応容器洗浄部
55 洗浄ポンプ部
56 第1の洗剤ボトル
57 第2の洗剤ボトル
58 第1の排液タンク
59 第2の排液タンク
60 第1の供給ポンプ
61 第2の供給ポンプ
62 第3の供給ポンプ
63 第1の排液ポンプ
64 第2の排液ポンプ
65 乾燥ポンプ
70 洗浄ノズル部
71 排液ノズル
72 第1の洗浄ノズル
73 第2の洗浄ノズル
74 第3の洗浄ノズル
75 乾燥ノズル
76 支持体
90 駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及び試薬を容器内へ分注し、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記反応容器内を洗浄するための洗浄液を供給するポンプと、
前記ポンプにより供給された前記洗浄液を吐出する洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルを、軸方向を回転軸として回転可能に支持する支持体と、
前記支持体を前記軸方向へ移動して、前記洗浄ノズルを前記反応容器内へ進入させる駆動機構とを備え、
前記洗浄ノズルは、前記洗浄液を吐出しながら回転することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記洗浄ノズルには、前記ポンプから供給された前記洗浄液を、前記軸方向及びこの軸方向と互いに直交する2つの軸方向以外の方向へ吐出する方向性を有する吐出口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記洗浄ノズルは、下方向へ移動して前記反応容器内へ進入し、前記吐出口から前記洗浄液を斜め下方に吐出することを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記洗浄ノズルは、前記反応容器内へ進入する下端に前記反応容器内に吐出された前記洗浄液を吸引するための吸引口が設けられた内管と、前記内管の上端部と下端部以外の部分を前記内管から離間して包囲し、前記内管と上端部及び下端部との間が封止された外管とにより構成され、
前記外管の下端部に前記吐出口が設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記洗浄ノズルは、吐出した前記洗浄液が前記反応容器内側面の前記混合液液面よりも上の部分に当たる高さである洗浄上限位置と吐出した前記洗浄液が前記反応容器内側面の下端部に当たる高さである洗浄下限位置との間を移動しながら前記洗浄液を吐出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記洗浄ノズルを、前記軸方向を回転軸として回転する回転機構を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−149889(P2012−149889A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6376(P2011−6376)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】