説明

自動分析装置

【課題】試料ラックに保持される試料容器内の液体サンプリングの位置を常に単一位置に
固定することで試料分注精度の向上を図ることができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】試料容器17を保持する試料ラック18を第1のサンプラ60から第2のサ
ンプラ80に受け渡し移動して、固定された位置で試料ラック18をラックの水平方向及
び上下方向に移動させることで、単一のサンプリング位置におけるサンプル分注プローブ
16による試料吸引ができる自動分析装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体から採取された被検試料等の液体に含まれる成分を分析す
る自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、被検体から採取された被検試料と各検査項目の試薬に含まれる各成分
との反応によって生ずる色調変化や濁り変化を光学的に測定し、被検試料中の各検査項目
の成分濃度や酵素活性で表される分析データを生成する。
【0003】
この自動分析装置は、サンプラ部と、サンプル分注プローブとを備えている。サンプラ
部は、各検査項目の標準試料、管理試料、被検試料等の試料を収容する試料容器を移動可
能に保持する。サンプル分注プローブは、試料容器内の試料を吸引して、試薬と反応させ
るために反応容器へ排出する。
【0004】
自動分析装置のサンプラには、試料容器を保持する複数のラックを平行移動させるラッ
ク方式サンプラ(以下、単に、「ラック・サンプラ」と言う)と、複数のラックを回動可
能に支持するディスク方式サンプラ(以下、単に、「ディスク・サンプラ」と言う)があ
る。
【0005】
ディスク・サンプラは、被検試料を収容した試料容器を、サンプル分注プローブで吸引
可能な位置に繰り返して停止させることができる。このため、ディスク・サンプラには、
一般患者試料容器の他に、一定間隔で繰り返して機器標準の検量(キャリブレーション)
測定を行う試料(以下、“標準”試料)を入れた試料容器や、データ精度管理の試料(以下
、“管理”試料)を入れた試料容器が載置される。これに対し、ラック・サンプラは、被
検試料ラックの設置能力の大きく、測定中に割り込み処理が可能であるので、一定間隔で
の繰り返し測定が不要な一般患者試料(以下、“一般”試料)を収容した試料容器が載置
される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−35970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、ラック・サンプラは、大量の検体設置が可能で、且つ、測定中の割り込
み処理が可能である。しかし、検量測定や制御測定が難しいという課題がある。一方、デ
ィスク・サンプラは、検量測定や制御測定がしやすい反面、測定中の緊急患者試料(以下
、“緊急”試料)の割り込み処理が難にくい。更に、分注プローブのサンプリング位置が
複数箇所となり、サンプリング性能差が生じやすく測定精度が低下する問題がある。
【0008】
本発明を解決しようとする課題は、上記問題点を解決し、試料分注精度の向上した自動
分析装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態による自動分析装置は、少なくとも一つの試料容器を保持する試料ラックを第
1のサンプラから第2のサンプラに移動する。第2サンプラに移動した試料ラックを固定
されたサンプリング位置に水平移動する。更に、その位置で試料ラックを上下方向に移動
させることで、常に単一の位置で、試料ラックに保持される試料容器内の液体吸引をする
ことができる。
【0010】
上記目的を達成するために、実施形態の自動分析装置は、試料を収容する試料容器を保
持するための複数の試料ラックを移動可能に搭載する第1のサンプラ部と、前記第1のサ
ンプラ部に設けられ、測定対象試料容器を収容する対象試料ラックを当該第1のサンプラ
部外へ移送する第1の移動機構と、前記第1の移動機構で移送される前記測定対象試料ラ
ックに保持される複数の試料容器の各試料識別情報を読み取る第1の容器リーダと、前記
第1の移動機構により前記第1のサンプラ部外へ移動された前記測定対象試料ラックを移
動可能に搭載する第2のサンプラ部と、前記第2のサンプラ部に設けられ、前記移送され
た測定対象試料ラックに保持される前記複数の試料容器をそれぞれ単一の試料分注位置へ
移動する第2の移動機構と、前記第2の移動機構が移動する前記測定対象試料ラックに保
持された前記複数の試料容器内の各識別情報を読み取る第2の容器リーダと、前記第2の
容器リーダのより識別された測定対象容器内の測定対象試料を前記単一の試料分注位置で
吸引するサンプル分注プローブとを備えることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成する他の実施形態の自動分析装置は、試料を収容する複数の試料容器を
保持する複数の試料ラックを移動可能に搭載する第1のサンプラ部と、前記第1のサンプ
ラ部に搭載された前記複数の試料ラック内の測定対象試料ラックを前記第1のサンプラ部
外へ移送する第1の移動機構と、前記第1のサンプラ部により移送される前記測定対象試
料ラックが保持する複数の試料容器内の各試料識別情報を読み取る第1の容器リーダと、
前記第1サンプラ部が搭載する前記複数の試料ラックとは別の複数の試料ラックを移動可
能に搭載する第2のサンプラ部と、前記第2のサンプラ部に搭載された前記複数の別試料
ラックを前記第2のサンプラ部外へ移送する第2の移動機構と、前記第2の移動機構によ
り外部に移送される試料ラックに保持された複数の試料容器内の各試料識別情報を読み取
る第2の容器リーダと、前記第1の移動機構により移動された前記複数の試料ラック及び
前記第2の移動機構に移動された前記複数の別の試料ラックに保持されたそれぞれの測定
対象試料容器を単一の試料分注位置へ配置するよう移動する第3の移動機構と、前記単一
の試料分注位置で前記測定対象試料容器内の各測定対象試料を吸引するサンプル分注プロ
ーブとを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】第1実施形態に係る分析部の構成図。
【図3】第1実施形態に係る試料ラックの外観図。
【図4】サンプル分注プローブを含む試料分注ユニットの構成図。
【図5】第1実施形態に係るサンプラ部の構成を示す平面図。
【図6】試料ラックがサンプル分注プローブによる試料吸引が可能な単一の試料分注位置に移動される方向を示す図。
【図7】第1実施形態に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【図8】第2サンプラ部及び第2移動機構の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0014】
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。自動分析装置
100は、分析部24とデータ処理部30とを備える。分析部24は、標準試料、管理試
料及び被検試料の各試料と試薬との混合液を測定する。データ処理部30は、分析部24
で測定により生成される標準データ、管理データ及び被検データに基づいて検量データ、
管理データ及び分析データを生成する。
【0015】
自動分析装置100は、更に、出力部40、操作部50及びシステム制御部51を備え
る。出力部40は、データ処理部30で生成された検量データ、管理データ及び分析デー
タを出力する。操作部50は、各検査項目の分析を行うための分析パラメータの入力及び
各種コマンド信号の入力等を行う。システム制御部51は、分析部24、データ処理部3
0及び出力部40を統括して制御する。
【0016】
図2に示す分析部24は、反応ディスク4とサンプラ部5を備える。反応ディスク4は
、円周上に配置された複数の反応容器3を回転可能に保持する。サンプラ部5は、各試料
を収容する複数の試料容器17を保持する試料ラック18を支持する。
【0017】
分析部24は、更に、第1試薬ラック1a、第2試薬ラック2a及び試薬容器6を備え
る。試薬容器6は、各検査項目の分析に用いられる1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収
容する。第1試薬ラック1aは、試薬容器6を格納する試薬庫1と、試薬庫1に格納され
た試薬容器6を回動可能に支持する。第2試薬ラック2aは、2試薬系の第1試薬と対を
なす第2試薬を収容する試薬容器7と、試薬容器7を格納する試薬庫2と、試薬庫2に格
納された試薬容器7を回動可能に支持する。
【0018】
分析部24は、サンプル分注プローブ16と、試料検出器16aと、サンプル分注アー
ム10とを備えている。サンプル分注プローブ16は、サンプラ部5の試料ラック18に
保持される試料容器17内の試料を吸引して反応容器3内へ排出する。試料検出器16a
は、サンプル分注プローブ16の下端部と試料容器17内の試料液面との接触を検出する
。サンプル分注アーム10は、サンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に支持
する。
【0019】
分析部24は、更に、第1試薬分注プローブ14と、第1試薬検出器14aと、第1試
薬分注アーム8とを備えている。第1試薬分注プローブ14は、試薬ラック1aに保持さ
れた試薬容器6内の第1試薬を吸引して試料の入った反応容器3内にそれを排出する。第
1試薬検出器14aは、試薬容器6内の第1試薬の液面と第1試薬分注プローブ14の下
端部との接触により第1試薬を検出する。第1試薬分注アーム8は、第1試薬分注プロー
ブ14を回動及び上下移動可能に支持する。
【0020】
分析部24は、更に、試薬ラック2aに支持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して
第1試薬が排出された反応容器3内に排出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、
試薬ラック2aに支持された試薬容器7内の第2試薬をこの第2試薬の液面と第2試薬分
注プローブ15の下端部との接触により検出する第2試薬検出器15aと、第2試薬分注
プローブ15を回動及び上下移動可能に支持する第2試薬分注アーム9とを備えている。
【0021】
分析部24は、更に、反応容器3内に排出された試料及び第1試薬の混合液、又は試料
並びに第1試薬及び第2試薬の混合液を測定する測光部13と、測光部13で測定された
混合液の入った反応容器3内を洗浄する反応容器洗浄ユニット12とを備えている。
【0022】
測光部13は、光を発する光源及びこの光源からの光を検出する検出素子を有し、反応
ディスク4の回転により光源と検出素子間を結ぶ光路と交差した反応容器3内の混合液を
透過した光を検出する。次いで、標準試料を含む混合液を透過したときの検出信号に基づ
いて、標準試料データを生成する。また、管理試料を含む混合液を透過したときの検出信
号に基づいて、管理試料データを生成する。更に、被検試料を含む混合液を透過したとき
の検出信号に基づいて、被検試料データを生成する。生成した標準試料データ、管理試料
データ、及び被検試料データの各試料データをデータ処理部30に出力する。
【0023】
図1に示したデータ処理部30は、演算部31と、データ記憶部32とを備えている。
演算部31は、分析部24の測光部13(図2)で生成された標準試料データ、管理試料デ
ータ及び被検試料データを処理して検量データ、管理データ、及び分析データを生成する
。データ記憶部32は、演算部31で生成された検量データ、管理データ及び分析データ
を保存する。
【0024】
演算部31は、測光部13から出力された標準試料データ及びこの標準試料データの標
準試料に対して予め設定された標準値から、標準値と標準データの関係を表す検量データ
を検査項目毎に生成し、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部
32に保存する。
【0025】
また、演算部31は測光部13から出力された管理試料データに対応する検査項目の検
量データをデータ記憶部32から読み出す。読み出した検量データを用いて前記管理試料
データから、濃度値や活性値で表される管理データを生成する。生成した管理データを出
力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0026】
更に、演算部31は測光部13から出力された被検試料データに対応する検査項目の検
量データをデータ記憶部32から読み出す。読み出した検量データを用いて前記被検試料
データから、濃度値や活性値で表される分析データを生成する。生成した分析データを出
力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0027】
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31から出力
された各検量データを検査項目毎に保存する。更に、データ記憶部32は、演算部31か
ら出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0028】
出力部40は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データ、管理データ
及び分析データを印刷出力する印刷部41と表示出力する表示部42を備えている。印刷
部41は、プリンタなどを備え、検量データ、管理データ及び分析データを予め設定され
たフォーマットに従ってプリンタ用紙などに印刷する。
【0029】
表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、検量データ、管理データ及び
分析データを表示する。また、自動分析装置100で分析可能な検査項目の分析パラメー
タである、例えば分析部24の反応容器3内に排出させる試料の量及び試薬の量等の設定
を行う分析パラメータ設定画面を表示する。また、測定対象の被検試料のサンプルID及
びその被検試料の検査項目を設定する被検試料情報設定画面を表示する。
【0030】
操作部50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを
備え、検査項目毎の分析パラメータを設定するための入力を行う。また、サンプルID及
び検査項目を設定するための入力を行う。また、管理試料の測定を行う間隔を入力する。
【0031】
システム制御部51は、CPU及び記憶回路を備え、操作部50からの操作により入力
された各検査項目の分析パラメータ等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力
情報に基づいて、分析部24、データ処理部30及び出力部40を統括してシステム全体
を制御する。
【0032】
図3に示すように、試料ラック18は、長手方向に形成された複数の(例えば5つ)開
口部18aと、底面先端部近傍に形成された窪み18bと、窪み18bの近傍に取り付け
られたICチップ18cとを備えている。開口部18aには、採血管等の試料容器17が
1列に配列して保持される。窪み18bは、試料ラック18をサンプラ部5で移動するた
めのものである。ICチップ18cには、当該試料ラック18の識別情報(ラックID)
が書き換え可能に書き込まれる。保持する試料によって、その試料ラックIDが、例えば
、“標準” サンプル、“管理” サンプル、“緊急” サンプル、“一般”サンプルに分
類される。
【0033】
図4に、試料分注に関わる各ユニットの構成を示す。サンプル分注プローブ16は、上
端及び下端に開口を有する中空の円筒を成し、下端開口から試料の吸引及び排出を行う。
上端部は可撓性チューブ20の一端部に接続されている。サンプル分注プローブ16と可
撓性チューブ20は、シリンジ19に連通している。以下、実施例の説明では、サンプル
分注プローブ16の軸方向を上下方向、上下方向に直交する方向を水平方向とする。
【0034】
シリンジ19は、シリンダ191と、プランジャ192と、タンク193と、ポンプ1
94と、開閉弁195とにより構成される。シリンダ191の一端部がチューブ20の他
端部に接続され、シリンダ191の他端部に設けた開口にプランジャ192がはめ込まれ
る。タンク193は、サンプル分注プローブ16、可撓性チューブ20、シリンダ191
の各内部に充填されている、例えば、水等の液状圧力伝達媒体を貯留する。ポンプ194
は、タンク193に貯留された圧力伝達媒体をシリンダ191に供給する。開閉弁195
は、シリンダ191とポンプ194の間を連通している流路を開閉する。
【0035】
試料を吸引する場合、サンプル分注プローブ16は、水平方向へ回動して、試料ラック
18に保持される試料容器17の上方で停止する。その後、下方向へ移動してサンプル分
注プローブ16の下端部が試料容器17内の試料面と接触した位置で停止する。サンプル
分注プローブ16の下端部と試料面との接触位置は、試料検出器16a(図2)により検出
される。次いで、開閉弁195がシリンダ191とポンプ194間の流路を閉鎖した状態
で、プランジャ192を矢印M1方向へ吸引駆動することにより、試料が吸引される。
【0036】
試料を排出する場合、サンプル分注プローブ16は、水平方向へ回動して反応容器3の
上方で停止する。その後、下方向へ移動してサンプル分注プローブ16の下端部が反応容
器3内の排出位置で停止する。次いで、プランジャ192を矢印M2方向へ駆動すること
により、試料容器17から吸引した試料が反応容器内に排出される。
【0037】
図5は、サンプラ部5の構成を示す。図6(a),(b)は、サンプル分注プローブ1
6により試料の吸引が可能な位置へ移動される試料ラック18の移動方向を示す。
【0038】
複数の位置での試料の分注では、サンプル分注プローブ16を各位置に移動して、各位
置において同量の試料を吸引して同量の試料を反応容器内に排出する。サンプル分注プロ
ーブ16の移動に伴い可撓性チューブ20も移動する。吸引位置が異なる場合、移動した
可撓性チューブ20の撓みの違いにより、可撓性チューブ20内の容量が異なることがあ
る。例えば、第1の位置で吸引した試料を反応容器3内へ排出する量と、第2の位置で吸
引した試料を反応容器3内へ排出する量が僅かに異なる。このため、微量の試料の分注精
度が低下する問題がある。実施例は、この問題を解決するために、サンプル分注プローブ
16による試料の吸引位置を所定位置に固定し、その固定位置へ試料ラックを移動するも
のである。
【0039】
図5において、サンプラ部5は、複数の試料ラック18をベルト長手方向(ラック移動
方向)に移動可能に保持する第1のサンプラ部60と、指定された試料ラック18をラッ
ク移動方向に直交する方向(ラック引き込み・排出方向)に移動する第1の移動機構70と
、複数の試料ラック18を回動可能に支持する第2のサンプラ部80と、第1のサンプラ
部60から第2のサンプラ部80へ、第1の移動機構70により第1のサンプラ部60か
ら第2のサンプラ80部に移動された試料ラック18内の試料容器17をサンプル分注プ
ローブ16で試料吸引可能位置へ移動する第2の移動機構90を備えている。
【0040】
理解し易いように、以下の第1実施形態では、第1のサンプラ部60をラック・サンプ
ラ60、第2のサンプラ部80をディスク・サンプラ80として説明する。
【0041】
ラック・サンプラ60は、複数の試料ラック18を水平方向(矢印L1方向)へ移動可
能に支持する第1のベルト61、第1ベルト61のL1方向端部に隣接された第2のベル
ト62及び第2ベルト62のL1方向端部に隣接された第3のベルト63と、第1及び第
2ベルト61,62上に載置された試料ラック18を検出するラック検出器64とを備え
ている。
【0042】
ラック・サンプラ60は、更に、ラック検出器64により検出された第2ベルト62上
の試料ラック18のラックIDを非接触的に読み取る第1のラック・リーダ65と、試料
容器17に記載される容器内の試料を識別する識別情報(サンプルID)を読み取る第1
の容器リーダ66とを備えている。
【0043】
第1のベルト61は、“一般”に分類される被検試料を収容する一般試料容器17
保持した複数の一般試料ラック18が、待機領域A1にベルト長手方向に狭い配列間隔
で載置される。待機領域A1に載置された試料ラック18は、ラック検出器64に検出
されてラック移動L1方向へ移動する。
【0044】
第1ベルト61は、試料ラック18をラック移動L1方向に空きスペースを作らずに
狭い間隔で配列できるので、多数の試料ラックを収容できる。
【0045】
第2ベルト62の割込領域A2には、“緊急”に分類される被検試料を収容する緊急試
料容器17を保持する試料ラック18が載置される。割込領域A2は、引出位置A3
が設けられている。引出位置A3において、緊急に測定が必要な試料容器17を保持す
る“緊急”試料ラック18が、第1の移動機構70によりディスク・サンプラ80方向
(矢印L2方向)へ引き出される。“緊急”試料ラック18が引き出された後、第1ベ
ルト61により移動され、ラック検出器64により検出された試料ラック18が引出位
置A3まで移動する。
【0046】
即ち、“緊急”被検容器17を保持する試料ラック18が割込領域A2に載置され
ると、“一般”被検試料よりも優先して測定するために、第1ベルト61は、待機領域A
1に一般試料ラック18が載置されていても、ベルト長軸方向(矢印L1方向)へのラ
ック移動を停止する。割込領域A2の“緊急”試料ラック18が引出位置A3へ移動さ
れ、第1移動機構70により引出位置A3から引き出された後に、待機領域A1に載置の
一般試料ラック18の移動を再開する。
【0047】
これにより、割込領域A2に載置された“緊急”試料ラック18がディスク・サンプ
ラ80へ迅速に移動できる。
【0048】
第3ベルト63は、サンプル分注プローブ16により被検試料の吸引後の試料容器を保
持する試料ラックを退避領域A4に退避させる。即ち、試料吸引後の試料ラック18
、第1移動機構70によりディスク・サンプラ80からベルト短軸方向(矢印L3方向)
へ引き出され、ラック・サンプラ60上でベルト長軸方向(L1方向)へ移動する。
【0049】
第1のラック・リーダ65は、第1ベルト61から第2ベルト62に移動された試料ラ
ック18のラックIDを読み取る。第1のラック・リーダ65は、更に、割込領域A2に
載置され、ラック検出器64により検出された試料ラック18のラックIDを読み取る。
第1の容器リーダ66は、第1のラック・リーダ65にラックIDが読み取られ、第1移
動機構70により引出位置A3からL2方向へ移動している試料ラック18に保持された
試料容器17のサンプルIDを読み取る。
【0050】
第1の移動機構70は、ラック・サンプラ60の下側からディスク・サンプラ80の下
側に亘って配置され、ラック・サンプラ60の第2ベルト62に支持された引出位置A3
の試料ラック18をラック・サンプラ60から第1レーン71を経由してディスク・サン
プラ80へ引き込む。第1移動機構70は、また、第1レーン71に隣接する第2レーン
72を経由してディスク・サンプラ80へ移動した試料ラック18をラック・サンプラ6
0の第3ベルト63上へ排出する。
【0051】
尚、共通レーンを経由して、試料ラック18をラック・サンプラ60からディスク・サ
ンプラ80へ引き込み、及び排出する構成にしてもよい。
【0052】
ディスク・サンプラ80は、円形ディスク81と、第2のラック・リーダ82と、第2
の容器リーダ83とを備えている。円形ディスク81は、ラック・サンプラ60の第1ベ
ルト61よりも少ない数の試料ラック18を矢印R方向へ回転可能に支持する。第2のラ
ック・リーダ82は、円形ディスク81に回転された試料ラック18のラックIDを非接
触的に読み取る。第2の容器リーダ83は、第2のラック・リーダ82にラックIDが読
み取られた試料ラック18に保持される試料容器17のサンプルIDを読み取る。
【0053】
ディスク・サンプラ80は、更に、液面検出器84と、サンプラ・カバー85とを備え
ている。液面検出器84は、例えば、超音波式変位センサを有しており、第2の容器リー
ダ83にサンプルIDが読み取られた試料容器17内の試料の液面を検出する。サンプラ
・カバー85は、着脱自在であり、円形のディスク81、ディスク81に支持された試料
ラック18、第2のラック・リーダ82、第2の容器リーダ83及び液面検出器84を覆
う。
【0054】
ディスク81は、中心開口部から予め設定された指定領域(図示せず)に、“標準”試料
ラック18と“管理”試料ラック18を放射状に配列載置する。一方、第1移動機構
70によりラック・サンプラ60からディスク・サンプラ80に引き込まれた“一般”試
料ラック18及び“緊急”試料ラック18は、指定領域以外の領域に放射状に配列さ
れる。ディスク18の回転と共に第2ラック・リーダ82により各試料ラックのラックI
Dが読み取られ、第2移動機構90によりディスク18内の移動可能な引出位置B1(図
面水平方向)で停止する。
【0055】
尚、指定領域に載置された“標準”試料ラック18と“管理”試料ラック18は、
第1移動機構70によりラック・サンプラ60へは移動されず、自動分析装置100の操
作者により指定領域から取り出されるまでディスク81に支持される。
【0056】
即ち、“管理”試料ラック18は、操作者により取り出されるまでディスク81内で
回転することができる。従って、引出位置B1で繰り返し停止させることが可能である。
これにより、“管理”試料18を繰り返し第2移動機構90で吸引可能な位置へ移動し
て、サンプル分注プローブ16で吸引分注させることができる。
【0057】
第2の容器リーダ83は、第2の移動機構90によりディスク内の引出位置B1でL1
方向及び反対L4方向に移動する試料ラック18に保持された試料容器17のサンプルI
Dを読み取る。
【0058】
サンプラ・カバー85は貫通孔851を有する。サンプル分注プローブ16は、回動軌
道Tに沿って回動し、サンプラ・カバー85の貫通孔851を介して、引出位置B1で移
動した試料ラック18に保持される試料吸引のため、試料容器17内に進入する。サンプ
ラ・カバー85は、“管理”試料18を操作部50から入力された間隔で貫通孔851
の下方に移動させるときに、ディスク81及び第2の移動機構90の動きに対する操作者
の安全を確保するものである。
【0059】
このため、分析部24で測定中にサンプラ・カバー85が取り外されると、サンプラ部
5及びサンプル分注プローブ16の動作は停止する。サンプラ・カバー85が再び取り付
けられると、ディスク81は回転し、第2のラック・リーダ82は回転しているディスク
81上の試料ラック18のラックIDを読み取り、ディスク81に支持された全ての試料
ラック18が再認識される。
【0060】
尚、ディスク81に割込領域を設け、サンプラ・カバー85を取り外して、この割込領
域に載置された“緊急”試料ラック18を吸引位置へ移動させて、“緊急”被検試料を
優先的に分注させるようにしてもよい。更に、ディスク・サンプラ80はサンプリング動
作の停止中に、緊急測定対象試料を収容する緊急試料容器又は緊急試料容器を保持する緊
急試料ラックをディスク・サンプラ80内の移動可能位置に直接に設置できる構成にする
こともできる。
【0061】
第2の移動機構90は、第3移動機構91及び第4移動機構92により構成され、ディ
スク・サンプラ80の下側に配置される。第3移動機構91は、引出位置B1で試料ラッ
クを水平移動方向(L1、L4方向)へ移動する。第4移動機構92は、第3移動機構9
1により移動された試料ラックを図面上下方向(図6)へ移動する。
【0062】
ディスク・サンプラ80の液面検出器84により液面が検出されると、図6(a)に示
すように、測定ターゲット試料容器17はサンプラ・カバー貫通孔851の直下に位置
する第1の吸引位置B2で停止する。サンプル分注プローブ16による試料分注を終える
と、第1の直下吸引位置B2で停止していた測定ターゲット試料ラック17は、L1方
向とは反対の水平L4方向へ移動してディスク内の引出位置B1で停止する。
【0063】
このように、ラック・サンプラ60の待機領域A1及び割込領域A2に載置された試料
ラック18並びにディスク・サンプラ80の指定領域に載置された試料ラック18
、第1吸引位置B2へ移動することができる。
【0064】
図6(b)に示すように、第1吸引位置B2で停止した試料ラック18は、第4移動
機構92によりディスク上方向L5へ持ち上げられる。上方向L5に移動する測定ターゲ
ット試料容器17内の液面が、液面検出器84により検出され、ディスク81上面から
高さH1となる第2の吸引位置B3で停止する。
【0065】
サンプル分注プローブ16は、貫通孔851を介してサンプラ・カバー85上方から下
方向へ移動する。第2の吸引位置B3で停止する測定対象試料ラック18に保持された
貫通孔851直下にある試料容器17内の測定対象液面が、試料検出器84により検出
される位置でサンプル分注プローブ16は停止して測定対象試料を吸引する。
【0066】
尚、試料ラック18の底部に各開口部に連なる上下方向に延びた貫通孔851及びこの
貫通孔851を介してしてアームを上下方向へ移動する上下機構を設け、第1吸引位置B
2で停止した試料ラック18に保持される測定試料容器をアームで真上方向へ移動し、測
定試料の液面がディスク上面から高さH1となる第2吸引位置B3で停止するように実施
してもよい。また、ラック・サンプラ60に、緊急ラック引き込み口となる空き領域部を
設けて、緊急測定対象試料を収容する緊急試料容器又は緊急試料容器を保持する緊急試料
ラックを空き領域部に設置することもできる。
【0067】
このように、ラック・サンプラ60の待機領域A1及び割込領域A2に載置された試料
ラック18並びにディスク・サンプラ80の指定領域に載置された試料ラック18
、第2吸引位置B3へ移動することで、サンプル分注プローブ16直下の単一試料分注位
置で試料吸引を固定することができる。このため、異なる位置で吸引した試料を反応容器
内へ排出する際に生じる僅かな排出量差異が解消される。このため、微量の試料の分注精
度の向上を図ることができる。
【0068】
図7は、実施例の自動分析装置の動作を示したフローチャートである。表示部42(図
1)の分析パラメータ設定画面で設定された各検査項目の分析パラメータ、被検試料情報
設定画面で設定された測定対象の被検試料のサンプルID及び検査項目の情報がシステム
制御部51の記憶回路に保存されている。
【0069】
測定対象が“一般”の試料容器17を、例えば1本保持する試料ラック18がラック・
サンプラ60の待機領域に載置された時、操作部50から測定開始の操作を行うことによ
り、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0070】
図1に示すシステム制御部51の指示に基づいて、分析部24が動作を開始する。ラッ
ク・サンプラ60の第1のラック検出器64が、待機領域A1に載置された試料ラック1
8を検出する(ステップS2)。
【0071】
その検出された試料ラック18を、第1のベルト61がラック移動L1方向へ移動する
。その試料ラック18は、第2のベルト62により更にL1方向のラック引出位置A3へ
移動する(ステップS3)。
【0072】
第1のラック・リーダ65が、ラック引出位置A3の方向へ移動する試料ラック18の
ラックIDを読み取る(ステップS4)。第2のベルト62は、第1のラック・リーダ6
5にラックIDが読み取られた試料ラック18をラック引出位置A3で停止する(ステッ
プS5)。
【0073】
第1の移動機構70は、ラック引出位置A3で停止した試料ラック18をラック引き込
みL2方向へ移動する(ステップS6)。第1の容器リーダ66は、ラック引出位置A3
からラック引き込みL2方向へ移動している試料ラック18に保持された試料容器17の
サンプルIDを読み取る(ステップS7)。
【0074】
第1の移動機構70が、第1の容器リーダ66にサンプルIDが読み取られた試料容器
を保持する試料ラックをディスク・サンプラ80のディスク81上へ移動する。ディスク
81上に移動された試料ラック18はディスク回転R方向へ回転される(ステップS8)

【0075】
第2のラック・リーダ82が、ディスク81により回転されている試料ラック18のラ
ックIDを読み取る(ステップS9)。ディスク81は、第1のラック・リーダ65及び
第2のラック・リーダ82にラックIDが読み取られた試料ラック18を第1のディスク
引出位置B1で停止する(ステップS10)。
【0076】
第1のディスク引出位置B1で停止した試料ラック18を、第2の移動機構90内の第
3の移動機構91が、ラック移動L1方向の第1吸引位置B2へ移動する(ステップS1
1)。第2の容器リーダ83が、第3移動機構91によりディスク引出位置B1から第1
吸引位置B2へ移動している試料ラック18に保持された試料容器17のサンプルIDを
読み取る(ステップS12)。
【0077】
液面検出器84は、第1の容器リーダ66及び第2の容器リーダ83にサンプルIDが
読み取られた試料容器17内の被検試料の液面を検出する(ステップS13)。
【0078】
第4の移動機構92は、第1吸引位置B2で停止した試料ラック18を上方へ移動して
、液面検出器84により検出された試料容器17内の液面がディスク81上面から高さH
1となる第2吸引位置B3で停止する(ステップS14)。
【0079】
サンプル分注プローブ16が、サンプラ・カバー85の貫通孔851を通過して貫通孔
直下の試料容器17内へ移動する。試料検出器16aが、試料容器17内の測定被検試料
とプサンプル分注ローブ16の下端部が接触する所定の高さHの第2吸引位置B3を検出
すると、サンプル分注プローブ16は停止して試料容器17内の測定被検試料を吸引する
。試料吸引後、サンプル分注プローブ16は反応容器3の上方まで回動して、排出位置で
吸引した測定被検試料を反応容器3内へ排出する。
【0080】
測定被検試料の分注が終了した後、第4の移動機構92は、第2吸引位置B3の試料ラ
ック18を下方に移動して、ディスク81面と同じ高さで試料ラック18を停止する。第
3の移動機構91が、停止結果された試料ラック18をL4方向へ移動して引出位置B1
で停止させる。
【0081】
ディスク81は、第1のディスク引出位置B1で停止した試料ラック18を回転して第
2のディスク引出位置B4で停止する。第1移動機構70は、第2のディスク引出位置B
4の試料ラック18を移動してラック・サンプラ60内の第3のベルト63上で停止する
。第3のベルト63は、試料ラック18をラック移動L1方向へ移動する。
【0082】
反応容器3に排出された被検試料の測定結果により生成された分析データが出力部40
に出力されたとき、システム制御部51が測定の停止を指示して、自動分析装置100は
動作を終了する(ステップS15)。
【0083】
尚、上記実施形態以外にも第1試薬の分注精度の向上を図ることができる。例えば、試
薬ラックに保持された試薬容器の内、第1試薬分注プローブ14により第1試薬の吸引が
可能な吸引位置で停止した試薬容器17を上下方向へ移動する上下機構を設け、第1試薬
分注プローブ14により分注する第1試薬容器内の液面を検出する。次いで、検出した液
面が所定の高さになるまで吸引位置に停止した試薬容器を上方へ移動して停止し、停止し
た試薬容器内の第1試薬を第1試薬分注プローブ14により吸引させることでもよい。
【0084】
以上述べた実施形態によれば、“管理”試料をサンプル分注プローブ16により繰り返
し分注させることができるディスク・サンプラ80と、ディスク・サンプラ80よりも多
数の試料ラックの収容が可能なラック・サンプラ60を設け、ラック・サンプラ60の待
機領域A1及び割込領域A2に載置された試料ラック18を第1の移動機構70によりデ
ィスク・サンプラ80のディスク81上へ移動することができる。
【0085】
また、ディスク81の指定領域に載置された試料ラック18及び第1の移動機構70に
より移動された試料ラック18をディスク81の回転により引出位置B1へ移動し、引出
位置B1へ移動した試料ラック18を第2の移動機構90によりサンプル分注プローブ1
6で試料吸引が可能な位置へ移動することで、単一の分注位置での試料吸引が可能になる

【0086】
実施形態では、引出位置B1で停止した試料ラック18を第3移動機構91によりサン
プル分注プローブ16で吸引が可能な第1吸引位置B2へ移動することができる。更に、
第1吸引位置B2で停止した試料ラック18を第4移動機構92によりサンプル分注プロ
ーブ16で試料吸引が可能な第2吸引位置B3へ移動することができる。
【0087】
これにより、サンプル分注プローブ16の水平方向における吸引の位置を第1吸引位置
B2の1箇所に固定することができる。このため、利便性を損なうことなく試料の分注精
度の向上を図ることができる。更に、サンプル分注プローブ16の水平方向及び上下方向
における吸引の位置を第2吸引位置B3の1箇所に固定することができるため、ラック・
サンプラ60とディスク・サンプラ80の夫々の利便性を損なうことなく試料の分注精度
の更なる向上を図ることができる。
【0088】
図8に、第2サンプラ部の第2の実施形態を示す。第2の実施形態では、第2サンプラ
部として、第1実施例におけるディスク・サンプラ80をラック・サンプラ80aに置き
換えと共に、第2移動機構90を第2移動機構90aに置き換えて実施するものである。
また、第1吸引位置B2および第2吸引位置B2も、第1吸引位置B2aおよび第2吸引
位置B2aに置き換えて実施するものである。
【0089】
第2サンプラ部であるラック・サンプラ80aは、第4ベルト81aと、ラック・リー
ダ82aと、容器リーダ83aと、液面検出器84aとを備えている。第4ベルト81a
は、第1サンプラ部であるラック・サンプラ60の第1ベルト61よりも少ない数の試料
ラック18をL1方向及びL4方向へ移動可能に支持する。
【0090】
ラック・リーダ82aは、第1移動機構70により第1サンプラ部であるラック・サン
プラ60から第4ベルト81a上へ移動される試料ラック18のラックIDを非接触的に
読み取る。容器リーダ83aは、ラック・リーダ82aにラックIDが読み取られた試料
ラック18に保持される試料容器17のサンプルIDを読み取る。液面検出器84aは、
容器リーダ83aにサンプルIDが読み取られた試料容器17内の試料の液面を検出する

【0091】
第4ベルト81aは、“標準”試料ラック18、及び“管理”試料ラック18を予
め設定された指定領域に配列支持する。更に、第4ベルト81aは、第1移動機構70に
より第1サンプラ部であるラック・サンプラ60から移動される“一般”試料ラック18
及び“緊急”試料ラック18を、指定領域以外の領域に配列支持する。
【0092】
試料ラック18は、L1方向又はL4方向へ移動してラック・リーダ82aにラックI
Dが読み取られる。その後、第2移動機構90aにより移動可能な引出位置B1aで停止
する。なお、指定領域に載置された試料ラック18は、第1移動機構70により第1サン
プラ部であるラック・サンプラ60へは移動されずに、自動分析装置の操作者により指定
領域から取り出されるまで第4ベルト81aに支持される。
【0093】
容器リーダ83aは、ラック・リーダ82aにラックIDが読み取られ、第4ベルト8
1aに支持された試料ラック18の内、第2移動機構90aにより引出位置B1aから移
動している試料ラック18に保持された試料容器17のサンプルIDを読み取る。
【0094】
第2移動機構90aは、第3移動機構91aと、第4移動機構92aにより構成される
。第3移動機構91aは、第2サンプラ部であるラック・サンプラ80aの第4ベルト8
1aに支持された引出位置B1aの試料ラックをL2方向及びL3方向へ移動する。第4
移動機構92aは、第3移動機構91aにより移動された試料ラック18を上下方向へ移
動する。
【0095】
第3移動機構91aは、第2サンプラ部であるラック・サンプラ80aのラック・リー
ダ82aにラックIDが読み取られ、引出位置B1aで停止した試料ラック18をL2方
向へ移動し、第1吸引位置B2aで停止する。第1吸引位置B2aは、この試料ラック1
8に保持され、第2サンプラ部80aの液面検出器84aに液面が検出された測定試料容
器17に、サンプル分注プローブ16が下方向への移動が可能な位置である。第3移動機
構91aは、更に、サンプル分注プローブ16による試料分注を終え、第1吸引位置B2
aで停止する試料ラック18をL4方向へ移動して引出位置B1aで停止する。
【0096】
第4移動機構92aは、第1吸引位置B2aで停止した試料ラック18を上方向へ移動
する。そして、移動した試料ラック18を、測定対象の試料を収容する試料容器17内の
液面検出器84aにより検出された液面が第4ベルト81a上面から高さH1となる第2
吸引位置で停止する。
【0097】
このように、管理試料をサンプル分注プローブ16により繰り返し分注させることがで
きる第2ラック・サンプラ80aと、第2ラック・サンプラ80aよりも多数の試料ラッ
ク18の収容が可能な第1ラック・サンプラ60を設け、第1ラック・サンプラ60の待
機領域A1及び割込領域A2に載置された試料ラック18を第1移動機構70により第2
ラック・サンプラ80aの第4ベルト81a上へ移動できる。
【0098】
また、第4ベルト81aの指定領域に載置された試料ラック18及び第1移動機構70
により移動された試料ラック18を、第4ベルト81aの移動により引出位置B1aへ移
動する。
【0099】
その引出位置B1aへ移動した試料ラック18を第2移動機構90aによりサンプル分
注プローブ16で試料吸引可能な位置へ移動できる。
【0100】
引出位置B1aで停止した試料ラック18を第3移動機構91aによりサンプル分注プ
ローブ16で吸引が可能な第1吸引位置B2aへ移動することができる。更に、第1吸引
位置B2aで停止した試料ラックを第4移動機構92aによりサンプル分注プローブ16
で試料の吸引が可能な第2吸引位置B3aへ移動できる。
【0101】
これにより、サンプル分注プローブ16の水平方向における吸引の位置を第1吸引位置
B2aの1箇所に固定できる。このため、利便性を損なうことなく試料の分注精度の向上
を図ることができる。更に、サンプル分注プローブ16の水平方向及び上下方向における
吸引の位置を第2吸引位置B2aの1箇所に固定することができるため、利便性を損なう
ことなく試料の分注精度の更なる向上を図ることができる。
【0102】
説明した実施形態は、例として提示したものであり、その他の様々な形態で実施される
ことが可能である。例えば、第1の実施形態では、試料ラック18の受け渡しをラック・
サンプラ60からディスク・サンプラ80へ行なっているが、逆にディスク・サンプラ8
0からラック・サンプラ60へ試料ラックを受け渡しすることで、単一の試料分注位置で
試料吸引する構成にすることもできる。
【0103】
更に、ラック・サンプラ60の試料分注位置とディスク・サンプラ80の試料分注位置
とを共通の単一の試料分注位置にすることができる。即ち、ラック・サンプラ60から引
き出された試料ラック18とディスク・サンプラ80から引き出された試料ラック18と
が共通の試料分注位置に移動して、サンプル分注プローブ16は常にその位置で試料吸引
する構成も可能である。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したも
のであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の
様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略
、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨
に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
A1 待機領域
A2 割込領域
A3,B1,B4 引出位置
A4 退避領域
B2 第1の吸引位置
B3 第2の吸引位置
5 サンプラ部
60 第1のサンプラ部
61 第1のベルト
62 第2のベルト
63 第3のベルト
64 ラック検出器
65 第1のラック・リーダ
66 第1の容器リーダ
70 第1の移動機構
80 第2のサンプラ部
81 ディスク
82 第2のラック・リーダ
83 第2の容器リーダ
84 液面検出器
90 第2の移動機構
91 第3の移動機構
92 第4の移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を収容する試料容器を保持するための複数の試料ラックを移動可能に搭載する第1
のサンプラ部と、
前記第1のサンプラ部に設けられ、測定対象試料容器を収容する対象試料ラックを当該
第1のサンプラ部外へ移送する第1の移動機構と、
前記第1の移動機構で移送される前記測定対象試料ラックに保持される複数の試料容器
の各試料識別情報を読み取る第1の容器リーダと、
前記第1の移動機構により前記第1のサンプラ部外へ移動された前記測定対象試料ラッ
クを移動可能に搭載する第2のサンプラ部と、
前記第2のサンプラ部に設けられ、前記移送された測定対象試料ラックに保持される前
記複数の試料容器をそれぞれ単一の試料分注位置へ移動する第2の移動機構と、
前記第2の移動機構が移動する前記測定対象試料ラックに保持された前記複数の試料容
器内の各識別情報を読み取る第2の容器リーダと、
前記第2の容器リーダのより識別された測定対象容器内の測定対象試料を前記単一の試
料分注位置で吸引するサンプル分注プローブと、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
試料を収容する複数の試料容器を保持する複数の試料ラックを移動可能に搭載する第1
のサンプラ部と、
前記第1のサンプラ部に搭載された前記複数の試料ラック内の測定対象試料ラックを前
記第1のサンプラ部外へ移送する第1の移動機構と、
前記第1のサンプラ部により移送される前記測定対象試料ラックが保持する複数の試料
容器内の各試料識別情報を読み取る第1の容器リーダと、
前記第1サンプラ部が搭載する前記複数の試料ラックとは別の複数の試料ラックを移動
可能に搭載する第2のサンプラ部と、
前記第2のサンプラ部に搭載された前記複数の別試料ラックを前記第2のサンプラ部外
へ移送する第2の移動機構と、
前記第2の移動機構により外部に移送される試料ラックに保持された複数の試料容器内
の各試料識別情報を読み取る第2の容器リーダと、
前記第1の移動機構により移動された前記複数の試料ラック及び前記第2の移動機構に
移動された前記複数の別の試料ラックに保持されたそれぞれの測定対象試料容器を単一の
試料分注位置へ配置するよう移動する第3の移動機構と、
前記単一の試料分注位置で前記測定対象試料容器内の各測定対象試料を吸引するサンプ
ル分注プローブと、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
前記第2の移動機構により移動される前記測定対象試料ラックに保持される前記複数の
試料容器内の各試料液面を検出する液面検出器を有することを特徴とする請求項1に記載
の自動分析装置。
【請求項4】
前記第2の移動機構により前記第2のサンプラ部外へ移送される前記複数の別試料ラッ
クに保持される複数の試料容器内の各試料液面を検出する液面検出器を有することを特徴
とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記第2の移動機構は、更に、前記単一の試料分注位置で停止した前記測定対象試料ラ
ック又は前記測定対象試料容器を上下方向へ移動する第3の移動機構を有し、
前記第3の移動機構は、測定対象試料の液面が前記液面検出器により検出される所定の
高さとなる吸引位置で前記測定対象試料ラック又は前記測定対象試料容器を停止すること
を特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記第2の移動機構は、更に、前記単一の試料分注位置で停止した前記移送された別対
象試料ラック又は前記別対象試料ラックに保持された測定対象試料容器を上下方向へ移動
する第3の移動機構を有し、
前記第3の移動機構は、測定対象試料の液面が前記液面検出器により検出される所定の
高さとなる吸引位置で前記移送された別対象試料ラック又は前記別対象試料ラックに保持
された測定対象試料容器を停止することを特徴とする請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記第1の移動機構は、前記第1のサンプラ部に搭載された前記測定対象試料ラックを
第1のレーンを経由して前記第2のサンプラ部へ移送し、前記第2のサンプラ部内へ移動
した前記試料ラックを第2のレーンを経由して前記第1のサンプラ部へ移送することを特
徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記第1の移動機構は、共通レーンを経由して前記第1のサンプラ部に搭載された前記
測定対象試料ラックを前記第2のサンプラへ移動し、
前記共通レーンを経由して前記第2のサンプラ部内へ移動した前記試料ラックを前記第
1のサンプラ部へ移動すること
を特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記第1のサンプラ部は、待機領域に載置される前記複数の試料ラックを一方向へ移動
可能に支持する第1ベルトと、
前記第1のベルトの前記一方向端部に接続され、前記測定対象試料ラックを第1の移動
機構により前記割込領域に前記第1の移動機構によりに載置された前記試料ラックを前記
一方向へ移動可能に支持すると共に前記測定対象試料ラックを前記第1のサンプラ部外へ
送出する引出位置を備える割込領域を有する第2のベルトと、
で構成され、
前記割込領域に前記測定対象試料ラックが載置されたとき、前記第1のベルトは、前記
複数の試料ラックの移動を停止し、前記第1の移動機構により前記割込領域に載置された
前記測定対象試料ラックが前記引出位置から前記第2のサンプラ部へ引出された後、移動
動作を再開することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記第1のサンプラ部は、緊急ラック引き込み口となる空き領域部を有しており、
緊急測定対象試料を収容する緊急試料容器又は緊急試料容器を保持する緊急試料ラック
を前記空き領域部に設置することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記第2のサンプラ部はサンプリング動作の停止中に、緊急測定対象試料を収容する緊
急試料容器又は緊急試料容器を保持する緊急試料ラックを前記第2のサンプラ内の移動可
能位置に直接に設置できる構成にすることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項12】
前記第2のサンプラ部はサンプリング動作の停止中に、緊急測定対象試料を収容する緊
急試料容器又は緊急試料容器を保持する緊急試料ラックを前記第2のサンプラ内の移動可
能位置に直接に設置できる構成にすることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−189586(P2012−189586A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−39200(P2012−39200)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】