説明

自動分析装置

【課題】試薬不足の試薬容器を容易に取り出すことができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】第1試薬庫1は、第1試薬を収容した試薬容器6を保持するラック21と、ラック21をR1方向に回動する回動軸22と、ラック21を収納する試薬庫ケース23と、試薬庫ケース23の上下位置に停止した試薬容器6を上下に移動する上下アーム24と、試薬庫ケース23を覆う試薬庫カバー25とを備え、測定終了後に、第1試薬庫1に第1又は第2の残量以下の試薬を収容した試薬不足の試薬容器6があるとき、試薬不足の試薬容器6を上下位置に回動した後、この試薬容器6の一部が第1試薬庫1の外側に出る第1又は第2の位置まで上に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体から採取された被検試料の成分を分析する自動分析装置に係り、特に、ヒトの血液や尿などの体液中に含まれる成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目などを対象とし、被検試料と測定項目に該当する試薬との混合液を、反応によって生ずる色調などの変化を測定する吸光度法や、電解質などの特定の成分に応答するイオンセンサ法により、被検試料中の様々な成分の濃度や酵素の活性を測定する。そして、多数の被検試料及び測定項目の分析データが必要とされる検査室では、短時間で医師への報告が可能なように高速処理型の装置を用いて日常の検査が行われる。
【0003】
この自動分析装置では、各測定項目に該当する試薬を充分量収容した試薬容器を試薬庫に収納してから、検査に応じて選択された測定項目の測定が開始される。そして、被検試料及び試薬をサンプル及び試薬分注プローブ用いて反応容器に分注し、反応容器に分注された被検試料及び試薬の混合液を撹拌子を用いて撹拌し、撹拌された混合液を測光部等で測定する。
【0004】
ところで、自動分析装置で測定可能な項目の試薬の数の増加に伴い、試薬庫には多数の試薬容器が収納されているため、測定終了後に残量が少なくなった試薬容器への試薬の補充や試薬が充填された試薬容器への交換作業を困難なものにしている。この問題を解決するために、試薬庫に収納された試薬容器内の試薬残量を測定中に計測し、計測した試薬残量が予め設定した量よりも少なくなった試薬不足の試薬容器を、所定の位置に回転移動させることが可能な装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−321283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、試薬不足の試薬容器を所定の位置に回転移動する毎に、装置の大型化を避けるために占有容積が制限された試薬庫にほぼ隙間無く収納された試薬容器の中から、試薬不足の試薬容器を取り出す必要がある。この作業は試薬容器の小さな開口部を指で挟んで行わなければならないため、装置の操作者にとって煩雑で困難なものにしている。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、試薬不足の試薬容器を容易に取り出すことができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、被検試料及び試薬の混合液を測定する自動分析装置において、前記試薬を収容する容器本体及びこの容器本体の側面に貼付された前記容器本体内の試薬の識別が可能なラベルを有する試薬容器内の試薬の残量を設定する残量設定手段と、前記試薬容器を保持する回動可能なラックと、前記ラックが収納される開口部が形成された試薬庫ケースと、前記試薬庫ケースの上側に前記開口部を覆うように配置され、前記試薬容器が貫通可能なように設けられた容器開口部を有する試薬庫カバーと、前記ラックに保持された前記試薬容器内の試薬の液面を検出する検出器と、前記検出器に検出された液面の検出信号に基づいて算出される試薬残量が前記残量設定手段により設定された残量以下の試薬を収容する前記試薬容器を上下位置に水平移動する水平移動手段と、前記上下位置の前記試薬容器を、この試薬容器のラベルにおける前記試薬の識別が可能な部分が前記容器開口部を貫通して前記試薬庫カバーの外側に出る所定の位置まで上に移動する上下移動手段と、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成の詳細を示す図。
【図3】本発明の実施例に係る表示部に表示される試薬条件設定画面の一例を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る第1試薬庫及び第1試薬操作部の構成の詳細を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る第1試薬庫の他の例を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る第2試薬庫及び第2試薬操作部の構成の詳細を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る被検試料を測定する動作を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施例に係る表示部に表示される試薬情報表示画面の一例を示す図。
【図9】本発明の実施例3に係る第1及び第2試薬操作部の操作に応じて動作する第1及び第2試薬庫の動作を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施例に係る第1及び第2試薬操作部の操作に応じて試薬容器が移動する位置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図10を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、様々な項目の標準試料や被検試料を項目毎に測定する分析ユニットを有する分析部18と、分析部18における各分析ユニットの測定動作の制御を行う分析制御部40と、標準試料や被検試料の測定により分析部18から出力される標準試料データや被検試料データを処理して検量線の作成や分析データの生成を行うデータ処理部50とを備えている。
【0012】
また、自動分析装置100は、データ処理部50で作成された検量線や生成された分析データを出力する出力部60と、各項目の標準試料や検量線に関する分析条件の入力や、各種コマンド信号の入力などを行う操作部70と、分析制御部40、データ処理部50、及び出力部60を統括して制御する、記憶回路81を有するシステム制御部80とを備えている。
【0013】
図2は、分析部18の構成の詳細を示した図である。この分析部18は、標準試料や被検試料のサンプルを収容した試料容器17と、この試料容器17を保持するディスクサンプラ5と、サンプルに含まれる各項目の成分に対して選択的に反応する第1試薬が収容された試薬容器6を保持するラック21等を有する第1試薬庫1と、第1試薬と対をなす第2試薬が収容された試薬容器7を保持するラック31等を有する第2試薬庫2とを備えている。そして、ディスクサンプラ5、第1試薬庫1のラック21、及び第2試薬庫2のラック31は夫々回動し、また第1及び第2試薬庫1,2の所定の上下位置に停止した試薬容器6,7は夫々上下移動して分析制御部40により制御された位置に停止する。
【0014】
また、試料容器17からサンプルを吸引して反応容器3に吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、第1及び第2試薬庫1,2の試薬容器6,7から第1及び第2試薬を吸引して反応容器3に吐出する分注を行う第1及び第2試薬分注プローブ14,15とを備えている。また、サンプル分注プローブ16及び第1及び第2試薬分注プローブ14,15を夫々回動及び上下動可能に保持するサンプル分注アーム10及び第1及び第2試薬分注アーム8,9と、第1及び第2試薬分注プローブ14,15が第1及び第2試薬庫1,2の試薬容器6,7内の第1及び第2試薬と接触したときに夫々液面を検出する第1及び第2試薬液面検出器18a,18bとを備えている。そして、この第1及び第2試薬液面検出器18a,18bにより検出された各検出信号は、分析制御部40に出力される。
【0015】
更に、各分注プローブから吐出されたサンプル及び第1及び第2試薬を収容する円周上に複数配置された反応容器3を保持する反応ディスク4と、反応容器3内に吐出されたサンプル及び第1試薬の混合液や、サンプル、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する撹拌ユニット11と、各混合液を収容した反応容器3を測定する測光ユニット13と、反応容器3内の測定を終えた各混合液を吸引すると共に反応容器3内を洗浄する洗浄ノズル及び反応容器3内を乾燥する乾燥ノズルを上下移動可能に保持する洗浄ユニット12とを備えている。
【0016】
そして、反応ディスク4は回転して分析制御部40により制御された位置に停止する。また、測光ユニット13は、回転移動する反応容器3に光を照射して、標準試料を含む混合液を透過した光を吸光度に変換して標準試料データを生成した後、データ処理部50に出力する。また、被検試料を含む混合液を透過した光を吸光度に変換して被検試料データを生成した後、データ処理部50に出力する。また、測定後の反応容器3、サンプル分注プローブ16、第1及び第2試薬分注プローブ14,15、撹拌ユニット11などの各分析ユニットは、洗浄された後、再び測定に使用される。
【0017】
分析制御部40は、分析部18の各分析ユニットを駆動する機構を備えた機構部41と、機構部41の各機構を制御する制御部42とを備えている。機構部41は、第1及び第2試薬庫1,2のラック21,31及びディスクサンプラ5を夫々回動する機構、第1及び第2試薬庫1,2の上下位置に停止した試薬容器6,7を夫々上下移動する機構、反応ディスク4を回転する機構、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、及び撹拌ユニット11を夫々回動及び上下移動する機構、洗浄ユニット12を上下移動する機構等を備えている。
【0018】
また、機構部41は、サンプル分注プローブ16からサンプルの吸引及び吐出を行う分注ポンプを駆動する機構、第1及び第2試薬分注プローブ14,15から第1及び第2試薬の吸引及び吐出を行う第1及び第2試薬ポンプを夫々駆動する機構、撹拌ユニット11の撹拌子を撹拌駆動する機構、洗浄ユニット12の洗浄ノズルから混合液の吸引や洗浄液の吐出及び吸引を行う洗浄ポンプを駆動する機構、洗浄ユニット12の乾燥ノズルから吸引を行う乾燥ポンプを駆動する機構等を備えている。
【0019】
制御部42は、機構部41の第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9などの分析ユニットを駆動する機構を夫々制御する制御回路を備えている。
【0020】
制御部42の第1試薬分注アーム8の制御回路は、第1試薬分注アーム8を上停止位置の高さで第1試薬庫1の試薬容器6の上方まで回動させた後、上下移動機構に下移動駆動パルスを供給して第1試薬分注アーム8を下に移動させる。そして、第1試薬分注プローブ14の先端が試薬容器6内の第1試薬の液面に接触した位置(液面検出位置)において、第1試薬液面検出器18aから出力される検出信号を受信して第1試薬分注アーム8を停止させる。このとき、第1試薬分注アーム8の上停止位置から液面検出位置までに供給した第1試薬の下移動駆動パルスの情報をシステム制御部80にする。
【0021】
制御部42の第2試薬分注アーム9の制御回路は、第2試薬分注アーム9を上停止位置の高さで第2試薬庫2の試薬容器7の上方まで回動させた後、上下移動機構に下移動駆動パルスを供給して第2試薬分注アーム9を下に移動させる。そして、第2試薬分注プローブ15の先端が試薬容器7内の第2試薬の液面に接触した液面検出位置において、第2試薬液面検出器18bから出力される検出信号を受信して第2試薬分注アーム9を停止させる。このとき、第2試薬分注アーム9の上停止位置から液面検出位置までに供給した第2試薬の下移動駆動パルスの情報をシステム制御部80にする。
【0022】
図1のデータ処理部50は、分析部18から出力された標準試料データや被検試料データから検量線の作成や分析データの生成を行う演算部51と、演算部51で作成された検量線や生成された分析データなどを保存する記憶部52とを備えている。
【0023】
演算部51は、分析部18の測光ユニット13から出力された各項目の標準試料データから検量線を作成して記憶部52に保存すると共に出力部60に出力する。また、分析部18の測光ユニット13から出力された各項目の被検試料データに対して、その項目の検量線を記憶部52から読み出し、その読み出した検量線を用いて濃度や活性値などの分析データを生成して記憶部52に保存すると共に出力部60に出力する。
【0024】
記憶部52は、ハードディスクなどを備え、演算部51から出力された検量線を項目毎に保存し、演算部51から出力された分析データを被検試料毎に保存する。
【0025】
出力部60は、データ処理部50から出力された検量線、分析データなどを印刷出力する印刷部61及び表示出力する表示部62を備えている。そして、印刷部61は、プリンタなどを備え、データ処理部50から出力された検量線、分析データなどを予め設定されたフォーマットに基づいて、プリンタ用紙に印刷出力する。
【0026】
表示部62は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、データ処理部50から出力された検量線や分析データの表示や、各項目の試薬条件、波長、サンプル量などの分析条件を設定するための試薬条件設定画面を含む分析条件設定画面、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報の入力画面、被検試料毎の測定項目を選択するための測定項目選択画面、及び分析部18の第1及び第2試薬庫1,2における各試薬容器6,7内の試薬残量等を表示する試薬情報表示画面などの表示を行う。
【0027】
図3は、表示部62に表示される分析条件の一つである試薬条件を設定する試薬条件設定画面の一例を示した図である。この試薬条件設定画面63は、項目名を表示する「項目名」の欄と、「項目名」の欄に表示された項目名の第1及び第2試薬の条件を設定するための試薬条件設定エリア63aとにより構成される。
【0028】
そして、操作部70からの分析条件設定画面表示操作により表示部62に分析条件設定画面を表示させて項目名として例えばGOTを設定した後、GOTの試薬条件設定画面を表示する操作により、試薬条件設定画面63の「項目名」の欄に「GOT」が表示される。
【0029】
試薬条件設定エリア63aは、「第1試薬」及び「第2試薬」の欄と、この欄に対応した「試薬名」、「試薬位置」、及び「試薬量」の欄とにより構成される。
【0030】
「試薬名」の欄には、「第1試薬」及び「第2試薬」の欄に対応した試薬名の略称を設定するための試薬略称設定エリア63bが設けられている。この試薬略称設定エリア63bには、文字、数字などを所定の桁数で設定可能なダイアログボックス63ba,63bbが表示されている。そして、操作部70から「GOT」の第1及び第2試薬の試薬略称として例えばGOT−1及びGOT−2を入力すると、ダイアログボックス45a,45b内に「GOT−1」及び「GOT−2」が表示される。
【0031】
「試薬位置」の欄には、「第1試薬」及び「第2試薬」の欄に対応し、分析部18の第1及び第2試薬庫1,2に収納する試薬容器6,7の位置を設定するための試薬位置設定エリア63cが設けられている。この試薬位置設定エリア63cには、試薬容器6,7の位置の設定が可能なダイアログボックス63ca,63cbが表示されている。そして、操作部70から「GOT」の第1及び第2試薬を収容した試薬容器6,7の位置として例えばA07及びA05を入力すると、ダイアログボックス63ca,63cb内に「A07」及び「A05」が表示される。
【0032】
「試薬量」の欄には、「第1試薬」及び「第2試薬」の欄に対応し、1サンプル当たりの第1及び第2試薬の量を設定するための試薬量設定エリア63dが設けられている。この試薬量設定エリア63dには、第1及び第2試薬の量を例えばμL単位で設定可能なダイアログボックス63da,63dbが表示されている。そして、操作部70から「GOT」の第1及び第2試薬の量として例えば「150」及び「75」を入力すると、ダイアログボックス63da,63db内に「150」及び「75」が表示される。
【0033】
そして、試薬条件設定画面63で設定された試薬条件の情報は、システム制御部80の記憶回路81に保存される。
【0034】
図1に戻り、操作部70は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各項目の第1及び第2試薬の試薬名、試薬位置、及び試薬量などの試薬条件を含む分析条件の設定、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報の入力、被検試料毎の測定項目の選択、各測定項目のキャリブレーション操作、被検試料の測定操作などの操作が行われる。
【0035】
また、第1及び第2試薬操作部71,72を備え、第1試薬操作部71から第1試薬庫1に収納された試薬容器6の内の予め設定された残量以下の第1試薬を収容している試薬不足の試薬容器6の一部を第1試薬庫1外に移動させる操作が行われる。また、第2試薬操作部72から第2試薬庫2に収納された試薬容器7の内の予め設定された残量以下の第2試薬を収容している試薬不足の試薬容器7の一部を第2試薬庫2外に移動させる操作が行われる。
【0036】
システム制御部80は、図示しないCPUと記憶回路81を備え、操作部70から供給されるコマンド信号、各項目の標準試料や検量線などの分析条件、被検体情報、被検試料毎の測定項目などの情報を記憶した後、これらの情報に基づいて、分析部18を構成する各分析ユニットを一定サイクルの所定のシーケンスで測定動作させる制御、或いは検量線の作成、分析データの生成と出力に関する制御などシステム全体の制御を行なう。
【0037】
また、分析制御部40の制御部42から出力される第1及び第2試薬の下移動駆動パルスの情報、及び予め設定された試薬容器6,7の水平断面積の情報等に基づいて、分析部18の第1及び第2試薬庫1,2に収納された各試薬容器6,7内の試薬残量を算出し、算出した各試薬残量を記憶回路81に保存する。
【0038】
次に、図2乃至図5を参照して、分析部18における第1試薬庫1及びこの第1試薬庫1の操作が可能な操作部70の第1試薬操作部71の構成の詳細を説明する。図4は、第1試薬庫1及び第1試薬操作部71の構成の詳細を示す図である。図5は、他の第1試薬庫の例を示す図である。
【0039】
図4(a)は第1試薬庫1及び第1試薬操作部71を上から見た図であり、図4(b)は、図4(a)に示した第1試薬庫1の線X−Xにおける断面を拡大して側面から見た図である。
【0040】
まず、第1試薬庫1の構成を説明する。第1試薬庫1は、第1試薬を収容した試薬容器6、この試薬容器6を保持するラック21、このラック21を回動可能に支持する回動軸22、ラック21が収納される試薬庫ケース23、上下方向である矢印L1及びL2方向に移動する上下アーム24、試薬庫ケース23を覆う試薬庫カバー25、及び試薬庫ケース23内を冷却する冷却部26を備えている。
【0041】
ラック21は、上側に形成されたドーナツ状の開口部を有し、この開口部から収納された複数の試薬容器6を回動軸22を中心にして放射状に保持する。また、ラック21に保持される各試薬容器6の底面に対応するラック21の底面の各位置に、試薬容器6の底面よりも狭い面積のアーム開口部21aを有する。
【0042】
回動軸22は、ラック21を支持し、分析制御部40の機構部41の駆動機構により、ラック21を矢印R1方向に回動する。この回動により、各試薬容器6はラック21に水平に保持された状態でR1方向に回動する。
【0043】
試薬庫ケース23は、ラック21から離間して配置され、上側にラック21よりも大きな円形の開口部を有する。また、試薬庫ケース23の底面において、試薬容器6の停止位置の1つである上下位置に対応する部分に、ラック21のアーム開口部21aと同じ寸法のアーム開口部23aを有する。更に、側面の一部に冷却部26からの冷気が送り込まれる送風口23b及び送り込まれた冷気が排気される排気口23cを有する。
【0044】
上下アーム24は、上端部が試薬庫ケース23のアーム開口部23aを塞ぐように配置され、ラック21の下方からアーム開口部21aを介してラック21内に貫入できるようになっている。そして、機構部41の駆動機構によりL1方向に移動して、試薬庫ケース23の上下位置に停止した試薬不足の試薬容器6を上に移動する。また試薬容器6をラック21が保持する位置まで下に移動する。
【0045】
試薬庫カバー25は、試薬庫ケース23の円形開口部を覆うために試薬庫ケース23の上側に着脱自在に配置され、上下アーム24により上に移動する試薬容器6が貫通可能なように容器開口部25aを有する。また、第1試薬分注プローブ14が試薬容器6内の第1試薬を吸引可能なように吸引開口部25bを有する。更に、蝶番25dを介して開閉自在に容器開口部25aの上に配置された蓋25cを有する。この蓋25cは、上下アーム24により上に移動する試薬容器6に押し上げられて開くようになっている。
【0046】
冷却部26は、冷却器、この冷却器で冷却した冷気を送風するファン、及び試薬庫ケース23内に配置された温度センサを備え、試薬庫ケース23内の各試薬容器6内の第1試薬を所定の温度に保持するために設けられている。そして、この温度センサにより検出された試薬庫ケース23内の温度が所定の温度よりも高いとき、冷却した冷気を送風口23bから試薬庫ケース23内に送風し、この送風によって排気口23cから排出される排気を冷却器で冷却する。
【0047】
試薬容器6は、第1試薬を収容する容器本体6aと、この容器本体6aの上面に設けられた第1試薬分注プローブ14が挿入される吸引口6b及びこの吸引口6bよりも上方に伸びた突起6cとにより構成される。また、容器本体6aの側面に貼付された測定項目の第1試薬の識別が可能なラベル6dを有する。そして、上下アーム24による上への移動に応じて突起6cが試薬庫カバー25の蓋25cを押し開き、試薬庫カバー25の外側の例えばラベル6dが見える高さまで移動する。このように、突起6cで試薬庫カバー25の蓋25cを開くことにより、吸引口6bに付着した第1試薬が蓋25cの内側に付着し、付着した第1試薬が次に上に移動する試薬容器6を汚染するのを防ぐことができる。
【0048】
なお、R1方向に回動可能に試薬容器6を保持する第1のラックと、この第1のラックの外周に配置され、第1のラックから独立してR1方向に回動可能に試薬容器6を保持する第2のラックを収納することが可能な図5に示した第1試薬庫に、停止位置の1つである第1及び第2の上下位置に停止した第1及び第2のラックの各試薬容器6を夫々上下移動可能な第1及び第2の上下アームを設けるように実施してもよい。
【0049】
また、試薬庫カバー25の容器開口部25aを覆う蓋を駆動する駆動機構を設け、この駆動機構により、試薬不足の試薬容器6の上への移動に応じて前記蓋を上方又は水平方向にスライドさせて開くようにしてもよい。
【0050】
このように、第1試薬庫1に収納された試薬不足の試薬容器6を、上下位置まで回動し、回動した上下位置の試薬容器6の一部が第1試薬庫1の外側に位置する高さまで上に移動することができる。
【0051】
次に、第1試薬操作部71の構成を説明する。第1試薬操作部71は、第1試薬庫1の近傍に配置され、測定終了後に第1試薬庫1における試薬不足の試薬容器6の一部を第1試薬庫1外に移動する操作が可能なスイッチ71aと、測定終了後に第1試薬庫1内に試薬不足の試薬容器6があるか否かを知らせる発光部71bとを備えている。発光部71bは、発光素子等を有し、第1試薬庫1内に試薬不足の試薬容器6があるときに例えば点灯し、第1試薬庫1内に試薬不足の試薬容器6がないとき、及び試薬不足の試薬容器6があるときのスイッチ71aによる操作が終了したときに、例えば消灯する。
【0052】
次に、図2乃至図6を参照して、分析部18における第2試薬庫2及びこの第2試薬庫2の操作が可能な操作部70の第2試薬操作部72の構成の詳細を説明する。
【0053】
図6(a)は、第2試薬庫2及び第2試薬操作部72を上から見た図である。また、図6(b)は、図6(a)に示した第2試薬庫2の線Y−Yにおける断面を拡大して側面から見た図である。
【0054】
図6に示した第2試薬庫2が図4における第1試薬庫1と異なる点は、第2試薬を収容した試薬容器7を収納する点と、分析部18の第2試薬分注プローブ15により吸引される位置に配置されている点である。なお、第2試薬庫2の構成において図4と同様の機能、構造、及び寸法を有するユニットには同じ名称を与えて異なる符号を付与し、簡単に説明する。
【0055】
第2試薬庫2は、第2試薬を収容した試薬容器7、この試薬容器7を保持するラック31、このラック31を回動可能に支持する回動軸32、ラック31が収納される試薬庫ケース33、矢印L1及びL2方向に移動する上下アーム34、試薬庫ケース33を覆う試薬庫カバー35、及び試薬庫ケース33内に冷気を送風する冷却部36を備えている。
【0056】
ラック31の底面の試薬容器7を保持する各位置にアーム開口部31aを有する。試薬庫ケース33は、試薬容器7の停止位置の1つである上下位置の底面にアーム開口部33aを有し、側面の一部に冷却部36からの冷気が送り込まれる送風口33b及び送り込まれた冷気が排気される排気口33cを有する。
【0057】
試薬庫カバー35は、上下アーム34により上に移動する試薬容器7が貫通可能なように容器開口部35aを有する。また、第2試薬分注プローブ15が試薬容器7内の第2試薬を吸引可能なように吸引開口部35bを有する。更に、蝶番35dを介して開閉自在に容器開口部35aの上に配置された蓋35cを有する。
【0058】
試薬容器7は、第2試薬を収容する容器本体7aと、この容器本体7aの上面に設けられた第2試薬分注プローブ15が挿入される吸引口7b及びこの吸引口7bよりも上方に伸びた突起7cとにより構成される。また、容器本体7aの側面に貼付された測定項目の第2試薬の識別が可能なラベル7dを有する。
【0059】
第2試薬操作部72は、第2試薬庫2の近傍に配置され、測定終了後に第2試薬庫2に収納された試薬不足の試薬容器7の一部を第2試薬庫2外に移動する操作が可能なスイッチ72aと、測定終了後に第2試薬庫2内に試薬不足の試薬容器7があるときに点灯し、第2試薬庫2内に試薬不足の試薬容器7がないとき、及び試薬不足の試薬容器7があるときのスイッチ72aによる操作が終了したときに消灯する発光部72bとを備えている。
【0060】
以下、図1乃至図10を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。図7は、被検試料を測定する動作を示すフローチャートである。図8は、表示部62に表示される試薬情報表示画面の一例を示す図である。図9は、測定終了後の操作部70の第1及び第2試薬操作部71,72の操作に応じて動作する第1及び第2試薬庫1,2の動作を示すフローチャートである。図10は、操作部70の第1及び第2試薬操作部71,72の操作に応じて試薬容器6,7が移動する位置を示す図である。
【0061】
出力部60の表示部62に分析条件設定画面及びこの分析条件設定画面に含まれる図3の試薬条件設定画面63から例えばGOT等の多数の項目名や、GOT等の各項目の試薬条件、波長、サンプル量などの分析条件を設定することにより、システム制御部80の記憶回路81には、試薬条件設定画面63に表示された項目名である「GOT」の試薬条件など、測定可能になった多数の項目の分析条件が保存されている。また、各項目のキャリブレーション操作により、各項目の検量線がデータ処理部50の記憶部52に保存されている。
【0062】
図7は、被検試料を測定する動作を示すフローチャートである。分析部18の第1及び第2試薬庫1,2に第1及び第2試薬が充填された試薬容器6,8を収納する。そして、測定項目選択画面から複数の被検試料において、例えば「GOT」を含む測定項目の選択が行われた後、操作部70から被検試料を測定する操作が行われると、システム制御部80は、分析制御部40、データ処理部50、及び出力部60に被検試料の測定を指示する。分析部18のサンプル分注プローブ16は、被検試料毎に測定項目選択画面で選択された各測定項目に対応するサンプル量の被検試料を各試料容器17から吸引して、反応容器3に吐出する分注を行う。
【0063】
分析部18の第1試薬分注プローブ14は、試薬条件設定画面63で設定された第1試薬庫1の試薬位置である「A07」における試薬容器6から、「GOT」の第1試薬である「GOT−1」を吸引して、「GOT」の被検試料が分注された反応容器3に吐出する分注を行う。また、各測定項目に対応する第1試薬を、その測定項目に対応する被検試料が分注された各反応容器3に分注する。第1試薬液面検出器18aは、「A07」の試薬容器6内の「GOT−1」等の各測定項目の第1試薬の液面を検出して、その検出信号を分析制御部40の制御部42に出力する(ステップS2)。
【0064】
制御部42の第1試薬分注アーム8の制御回路は、第1試薬液面検出器18aから出力された検出信号に基づいて、第1試薬分注アーム8の上停止位置から「GOT−1」等の各測定項目の液面検出位置までに供給した各第1試薬の下移動駆動パルスの情報をシステム制御部80にする。システム制御部80は、制御部42から出力された「GOT−1」等の各下移動駆動パルスの情報に基づいて、試薬容器6内の「GOT−1」等の各測定項目の第1試薬の残量を算出し、算出した各第1試薬の残量を記憶回路81に保存する(ステップS3)。
【0065】
第1試薬が分注された後、撹拌ユニット11は、反応容器3内の被検試料及び第1試薬の混合液を撹拌する。各混合液が撹拌された後、第2試薬分注プローブ15は、試薬条件設定画面63で設定された第2試薬庫2の試薬位置である「A05」の試薬容器7から、「GOT」の第2試薬である「GOT−2」を吸引して、「GOT」の被検試料が分注された反応容器3に吐出する分注を行う。また、各測定項目に対応する第2試薬を、その測定項目に対応する被検試料が分注された各反応容器3に分注する。第2試薬液面検出器18bは、「A05」の試薬容器7内の「GOT−2」等の各測定項目の第2試薬の液面を検出して、その検出信号を制御部42に出力する(ステップS4)。
【0066】
制御部42の第2試薬分注アーム9の制御回路は、第2試薬液面検出器18bから出力された検出信号に基づいて、第2試薬分注アーム9の上停止位置から「GOT−2」等の各測定項目の液面検出位置までに供給した各第2試薬の下移動駆動パルスの情報をシステム制御部80にする。システム制御部80は、制御部42から出力された「GOT−2」等の各下移動駆動パルスの情報に基づいて、試薬容器7内の「GOT−2」等の各測定項目の第2試薬の残量を算出し、算出した各第2試薬の残量を記憶回路81に保存する(ステップS5)。
【0067】
第2試薬が分注された後、撹拌ユニット11は、反応容器3内の被検試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する。各混合液が撹拌された後、測光ユニット13は、反応容器3内の各混合液を測定して被検試料データを生成した後、データ処理部50に出力する。
【0068】
データ処理部50の演算部51は、測光ユニット13から出力された各測定項目の被検試料データに対して、その項目の検量線を記憶部52から読み出し、その読み出した検量線を用いて各分析データを生成して記憶部52に保存すると共に出力部60に出力する。そして、出力部60に全ての分析データが出力された時点で、システム制御部80は分析制御部40、データ処理部50、及び出力部60に測定動作の停止を指示し、自動分析装置100は、被検試料の測定を終了する。
【0069】
次に、自動分析装置100の操作者は、次の被検試料の測定に備え、第1及び第2試薬庫1,2に収納された試薬容器6,7の内の上記測定により試薬が不足している試薬容器6,7への第1及び第2試薬の補充、又は第1及び第2試薬が充填された試薬容器6,7への交換を行う。
【0070】
ここで、操作部70から試薬情報表示画面を表示させる操作を行うと、表示部62の試薬情報表示画面には、上記測定により試薬不足である試薬容器6,7の情報が表示される。
【0071】
図8は、表示部62に表示される試薬情報表示画面の一例を示した図である。この試薬情報表示画面64は、「試薬名」、「第1の残量」、「第2の残量」、及び「試薬残量」の欄と、各欄に対応した試薬名表示エリア65、第1の残量設定エリア66、第2の残量設定エリア67、及び試薬残量表示エリア68とにより構成される。
【0072】
試薬名表示エリア65には、図7のステップS1乃至S5で測定された測定項目の第1及び第2試薬の合計がn種類である場合、図3の試薬条件設定画面63の試薬略称設定エリア63bに設定された「GOT−1」、「GOT−2」等のn種類の試薬名の略称が試薬名表示エリア651乃至65nに表示される。
【0073】
第1の残量設定エリア66は、試薬名表示エリア65の下側に配置され、試薬名表示エリア651乃至65nに表示された各試薬名に対応する第1及び第2試薬庫1,2内の各試薬容器6,7内の第1及び第2試薬を試薬不足であると判定するための第1の残量の設定が可能なダイアログボックス661乃至66nが表示される。
【0074】
そして、試薬名表示エリア651,652に表示された「GOT−1」及び「GOT−2」に対応する第1の残量として測定可能な回数である例えば「3」が操作部70から測定開始前に設定入力されていると、設定された「3」がシステム制御部80の記憶回路81に保存されており、保存された「3」が各ダイアログボックス661,662内に表示される。
【0075】
第2の残量設定エリア67は、第1の残量表示エリア66の下側に配置され、試薬名表示エリア651乃至65nに表示された各試薬名に対応する第1及び第2試薬庫1,2内の各試薬容器6,7内の第1及び第2試薬を試薬不足であると判定するための第1の残量よりも多い第2の残量の設定が可能なダイアログボックス671乃至67nが表示される。
【0076】
そして、試薬名表示エリア651,652に表示された「GOT−1」及び「GOT−2」に対応するダイアログボックス661,662内に設定された各「3」よりも多い第2の残量として測定可能な回数である例えば「10」が操作部70から測定開始前に設定入力されていると、設定された「10」が記憶回路81に保存されており、保存された「10」が各ダイアログボックス671,672内に表示される。
【0077】
試薬残量表示エリア68は、第2の残量表示エリア67の下側に配置され、試薬名表示エリア651乃至65nに表示された各試薬名に対応する第1及び第2試薬の残量が記憶回路81から読み出され、読み出された第1及び第2試薬の残量が例えば測定可能な回数で表示される。そして、図7における自動分析装置100の測定終了後、試薬名表示エリア651,652に表示された「GOT−1」及び「GOT−2」に対応する各試薬残量表示エリア681,682に例えば「2」及び「6」表示される。
【0078】
この場合、第1試薬庫1の「A07」の試薬位置の試薬容器6には、「GOT」を2回測定できる量の「GOT−1」が残っている。また、第2試薬庫2の「A05」の試薬位置の試薬容器7には、「GOT」を6回測定できる量の「GOT−2」が残っている。
【0079】
図9は、第1及び第2試薬操作部71,72の操作に応じて動作する第1及び第2試薬庫1,2の動作を示すフローチャートである。図7のステップS5の後の測定終了後、第1試薬庫1の測定に使用された複数の試薬容器6の中に図8の試薬情報表示画面64で設定された第1又は第2の残量以下の第1試薬が収容された試薬容器6がある場合(ステップS6のはい)、第1試薬操作部71の発光部71bは点灯している(ステップS7)。
【0080】
また、第1試薬庫1の測定に使用された複数の試薬容器6の中に第1及び第2の残量以下の第1試薬が収容された試薬容器6がない場合(ステップS6のいいえ)、発光部71bは消灯している(ステップS8)。
【0081】
ここでは、第1試薬庫1の「A07」の試薬位置の試薬容器6には、第1の残量である「3」よりも少ない「2」の残量の「GOT−1」が収容されているで、発光部71bは点灯している。
【0082】
ステップS7の後に、第1試薬操作部71のスイッチ71aをONする操作を行うと、第1試薬庫1の回動軸22は、ラック21をR1方向に回動し、第2の残量以下の第1試薬が収容された試薬容器6を試薬庫ケース23の上下位置に停止させる(ステップS9)。
【0083】
そして、上下位置に停止した試薬容器6内の第1試薬の量が第1の残量以下である場合(ステップS10のはい)、上下アーム24は、上下位置に停止した試薬容器6を、この試薬容器6の高さの例えば上半分が試薬庫カバー25の容器開口部25aから外側に出てラベル6dの判読が可能な図10(a)に示す第1の位置まで上に移動する(ステップS11)。
【0084】
また、上下位置に停止した試薬容器6内の第1試薬の量が第1の量よりも多い場合(ステップS10のいいえ)、上下アーム24は、上下位置に停止した試薬容器6を、この試薬容器6の高さの例えば4分の1が試薬庫カバー25の容器開口部25aから外側に出てラベル6dの判読が可能な図10(b)に示す第2の位置まで上に移動する(ステップS12)。
【0085】
ここでは、第1試薬庫1の「A07」の位置の試薬容器6には、第1の残量よりも少ない残量の「GOT−1」が収容されているで、上下アーム24は、その試薬容器6を第1の位置まで上に移動する。
【0086】
ステップS11又はS12の後に、発光部71bは例えば点滅する(ステップS14)。
【0087】
操作者は、第1試薬庫1から上半分又は4分の1が外側に出た試薬容器6のラベル6dを見て、次の被検試料の測定操作により測定が行われる可能性がある測定項目であると判断した場合、その試薬容器6を第1試薬庫1から取り出す。そして、第1試薬が充填されている新しい試薬容器6に交換するか、又は取り出した試薬容器6に第1試薬を補充するかを判断をする。また、次の被検試料の測定操作により測定が行われる可能性がない測定項目であると判断した場合、第1試薬庫1から外側に出た試薬容器6を例えば取り出さずにそのままにしておく。
【0088】
なお、次の被検試料の測定操作により測定が行われる可能性がある測定項目の内、同じ試薬容器6への第1試薬の補充を繰り返すと、例えば菌などの繁殖により汚染されて悪影響を受けたり、第1試薬分注プローブ14を介して他の第1試薬から汚染されて悪影響を受けやすい測定項目の試薬容器6を、新しい試薬容器6に交換する。
【0089】
このように、試薬容器6の上半分又は4分の1を第1試薬庫1から外側に出すことにより、試薬容器6の試薬残量が第1又は第2の残量以下であることを容易に判断することができる。また、ラベル6dが見える高さまで試薬容器6を第1試薬庫1から外側に出すことにより、外側に出した試薬容器6の試薬名を容易に知ることができる。更に、新しい試薬容器6への交換、試薬容器6への補充、試薬容器6を第1試薬庫1から取り出さない等の判断を容易に行うことができる。そして、新しい試薬容器6への交換又は第1試薬の補充を行う試薬容器6を、その試薬容器6の容器本体6aを指で挟んで第1試薬庫1から容易に取り出すことができる。
【0090】
新しい試薬容器6又は補充した試薬容器6を取り出した第1試薬庫1の第1又は第2の位置に置いた後、又は試薬容器6を取り出さずにそのままにしておいた後、スイッチ71aをOFFする操作が行われると、上下アーム24は、このアームの上に置かれている試薬容器6をラック21に保持される位置まで下に移動する(ステップS14)。その後、ステップS6に戻る。
【0091】
ここでは、新しい試薬容器6又は補充した試薬容器6を、試薬庫カバー25の容器開口部25aから第1試薬庫1の第1又は第2の位置に置くことにより、その試薬容器6を第1試薬庫1の試薬条件設定画面63で設定した正しい試薬位置に収納することができる。
【0092】
一方、図7のステップS5の後の測定終了後に、第2試薬庫2の測定に使用された試薬容器7の中に第1又は第2の残量以下の第2試薬が収容された試薬容器7がある場合(ステップS15のはい)、第2試薬操作部72の発光部72bは点灯している(ステップS16)。
【0093】
また、第2試薬庫2の測定に使用された試薬容器7の中に第1及び第2の残量以下である第2試薬を収容した試薬容器7がない場合(ステップS15のいいえ)、発光部72bは消灯している(ステップS17)。
【0094】
ここでは、第2試薬庫2の「A05」の試薬位置の試薬容器7には、第2の残量である「10」よりも少ない「6」の残量の「GOT−2」が収容されているので発光部72bは点灯する。
【0095】
ステップS16の後に、第2試薬操作部72のスイッチ72aをONする操作を行うと、第2試薬庫2の回動軸32は、ラック31をR1方向に回動し、第2の残量以下の第2試薬が収容された試薬容器7を試薬庫ケース33の上下位置に停止させる(ステップS18)。
【0096】
そして、上下位置に停止した試薬容器7内の第2試薬の量が第1の残量以下である場合(ステップS19のはい)、上下アーム34は、上下位置に停止した試薬容器7を、第1の位置まで上に移動する(ステップS20)。また、上下位置に停止した試薬容器7内の第2試薬の量が第1の残量よりも多い場合(ステップS19のいいえ)、上下アーム24は、上下位置に停止した試薬容器7を第2の位置まで上に移動する(ステップS21)。
【0097】
ここでは、第2試薬庫2の「A05」の位置の試薬容器7には、第1の残量である「3」よりも多く、第2の残量である「10」よりも少ない「6」の残量の「GOT−2」が収容されているで、上下アーム34は、「GOT−2」の試薬容器7を第2の位置まで上に移動する。
【0098】
ステップS20又はS21の後に、発光部72bは点滅する(ステップS22)。
【0099】
操作者は、第2試薬庫2から外側に出た試薬容器7のラベル7dを見て、試薬容器6の場合と同様に試薬容器7の取り扱いを判断する。
【0100】
このように、試薬容器7の上半分又は4分の1を第2試薬庫2から外側に出すことにより、試薬容器7の試薬残量が第1又は第2の残量以下であることを容易に判断することができる。また、ラベル7dが見える高さまで試薬容器7を第2試薬庫2から外側に出すことにより、外側に出した試薬容器7の試薬名を容易に知ることができる。更に、新しい試薬容器7への交換、試薬容器7への補充、試薬容器7を第2試薬庫2から取り出さない等の判断を容易に行うことができる。そして、新しい試薬容器7への交換又は第2試薬の補充を行う試薬容器7を、その試薬容器7の容器本体7aを指で挟んで第1試薬庫1から容易に取り出すことができる。
【0101】
そして、新しい試薬容器7又は補充した試薬容器7を取り出した第2試薬庫2の位置に載置した後、又は試薬容器7を取り出さずにそのままにしておいた後、スイッチ72aをOFFする操作が行われると、上下アーム34は、このアームの上に置かれている試薬容器7をラック31に保持される位置まで下に移動する(ステップS23)。その後、ステップS15に戻る。
【0102】
ここでは、新しい試薬容器7又は補充した試薬容器7を、試薬庫カバー35の容器開口部35aから第2試薬庫2の第1又は第2の位置に載置することにより、その試薬容器7を第2試薬庫2の試薬条件設定画面63で設定した正しい試薬位置に収納することができる。
【0103】
ステップS8及びステップS17の後に、第1及び第2試薬操作部71,72に応じた第1及び第2試薬庫1,2の動作を終了する(ステップS24)。
【0104】
なお、測定終了後、操作部70から試薬情報表示画面64を表示する操作を行うと、表示部62に表示された試薬情報表示画面64の第1又は第2の残量以下の試薬が収容された試薬容器6,7に対応する試薬名表示エリア65の試薬名である例えば「GOT−1」及び「GOT−2」が点滅表示している。この点滅表示している「GOT−1」を操作部70の例えばマウスを用いて指定する操作を行うと、第1試薬庫1及び発光部71bはステップS9乃至S13と同様に動作する。また、点滅表示している「GOT−2」を操作部70のマウスを用いて指定する操作を行うと、第2試薬庫2及び発光部72bはステップS18乃至S23と同様に動作する。
【0105】
ここでは、測定終了後における試薬容器6,7内の試薬残量が第1及び第2の残量以下である試薬名を識別して表示部62の試薬情報表示画面64に表示させることができる。
【0106】
また、第1及び第2試薬庫1,2に第1又は第2の残量以下の試薬容器6,7が多数あり、測定終了後の次に測定する可能性がある測定項目の数が少ない場合、その測定項目の第1又は第2の残量以下の試薬容器6,7だけを試薬情報表示画面64から操作することにより、試薬容器6,7への試薬の補充又は新しい試薬容器6,7への交換を短時間で行うことができる。
【0107】
以上述べた本発明の実施例によれば、測定終了後、第1及び第2試薬庫1,2に予め設定された第1又は第2の残量以下の第1及び第2試薬を収容した試薬不足の試薬容器6,7があるか否かを第1及び第2試薬操作部71,72の発光部71b,72b及び試薬情報表示画面64から判断することができる。
【0108】
そして、第1及び第2試薬庫1,2に試薬不足の試薬容器6,7がある場合、第1及び第2試薬操作部71,72のスイッチ71a,72aの操作又は試薬情報表示画面64からの試薬不足の試薬容器6,7に対応する試薬名の指定操作により、試薬不足の試薬容器6,7を、この試薬容器6,7の容器本体6a,7aの一部が第1及び第2試薬庫1,2の外側に位置し、試薬容器6,7のラベル6d,7dの判読が可能な第1及び第2の位置まで移動することができる。
【0109】
これにより、試薬容器6,7内の試薬残量が第1又は第2の残量以下であることを容易に判断することができる。また、第1及び第2試薬庫1,2の外側に出した試薬容器6,7の試薬名を容易に判読することができる。更に、試薬不足の試薬容器6,7を第1及び第2試薬庫1,2から容易に取り出すことが可能となり、新しい試薬容器6,7への交換、試薬容器6,7への第1及び第2試薬の補充を迅速に行うことができる。
【0110】
そして、新しい試薬容器6,7又は第1及び第2試薬を補充した試薬容器6,7を、試薬庫カバー25,35の容器開口部25a,35aから第1又は第2の位置に載置することにより、その試薬容器6,7を予め設定した第1及び第2試薬庫1,2の試薬位置に収納することができる。
【0111】
これにより、各試薬容器6,7を正しい試薬位置に収納することができるので、誤った試薬位置への収納による再測定を未然に防ぎ、被検試料、試薬、測定時間などの浪費を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0112】
1,2 第1試薬庫
試薬容器
6a,7a 容器本体
6b,7b 吸引口
6c、7c 突起
6d,7d ラベル
14 第1試薬分注プローブ
21,31 ラック
21a,31 アーム開口部
22,32 回動軸
23,33 試薬庫ケース
23a,33a アーム開口部
23b,33b 送風口
23c,33c 排気口
24,34 上下アーム
25,35 試薬庫カバー
25a,35a 容器開口部
25b,35b 吸引開口部
25c,35c 蓋
25d,35d 蝶番
26,36 冷却部
40 分析制御部
41 機構部
42 制御部
71 第1試薬操作部
71a,72a スイッチ
71b,72b 発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検試料及び試薬の混合液を測定する自動分析装置において、
前記試薬を収容する容器本体及びこの容器本体の側面に貼付された前記容器本体内の試薬の識別が可能なラベルを有する試薬容器内の試薬の残量を設定する残量設定手段と、
前記試薬容器を保持する回動可能なラックと、
前記ラックが収納される開口部が形成された試薬庫ケースと、
前記試薬庫ケースの上側に前記開口部を覆うように配置され、前記試薬容器が貫通可能なように設けられた容器開口部を有する試薬庫カバーと、
前記ラックに保持された前記試薬容器内の試薬の液面を検出する検出器と、
前記検出器に検出された液面の検出信号に基づいて算出される試薬残量が前記残量設定手段により設定された残量以下の試薬を収容する前記試薬容器を上下位置に水平移動する水平移動手段と、
前記上下位置の前記試薬容器を、この試薬容器のラベルにおける前記試薬の識別が可能な部分が前記容器開口部を貫通して前記試薬庫カバーの外側に出る所定の位置まで上に移動する上下移動手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記上下移動手段は、前記残量設定手段により設定された第1の残量以下の試薬を収容する前記試薬容器を第1の位置まで上に移動し、前記残量設定手段により設定された前記第1の残量よりも多い第2の残量以下の試薬を収容する前記試薬容器を前記第1の位置よりも低い第2の位置まで上に移動することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記試薬の識別が可能な部分は、前記ラベルに記された当該試薬の試薬名であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記容器開口部に配置された開閉自在な蓋を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−233923(P2012−233923A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193567(P2012−193567)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【分割の表示】特願2006−329358(P2006−329358)の分割
【原出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】