説明

自動分析装置

【課題】分注や攪拌が実際に適切になされたことを反応過程の進行中に確認し、適切な分注と適切な攪拌を実現して、ユーザーに信頼性の高い検査結果を提供することができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】自動分析装置において、反応容器401内の化学反応を計測する計測機構とは別に設けられ、反応容器401を撮影する撮影機構400と、反応容器401内の化学反応を計測するための測定プロセスの進行中に、予め設定された所定のタイミングに従って、撮影機構400に反応容器401を撮影させ、撮影された画像を解析し、試薬の種別に応じて、試料および試薬のうち少なくとも1つが正常に分注されたことを確認する制御手段90とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血液等の生体試料中の成分を測定する自動分析装置に関し、特に、その精度を高める技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から自動分析装置により血液等の生体試料の成分を自動で分析する技術が提供されている。専用の反応容器中で検体と試薬との化学反応を進行させ、一定時間ごとに混合物の吸光度を計測し、吸光度の時間変化から生体試料中に存在する所定物質の濃度を測定するものである。
【0003】
測定濃度の信頼性を向上させるためには、吸光度のデータの精度を向上させる必要がある。しかしながら、分注や攪拌にかかる機構の動作の不具合により、データ不良が生じてしまう。
【0004】
ここで、図9〜図11により、従来技術におけるデータ不良の一例について説明する。図9〜図11は従来技術におけるデータ不良の一例を説明するための説明図である。
【0005】
例えば、分注機能の不具合などで試薬に不足が生じた場合、データが正常なデータ(図9の701)に対し全体的に高めに推移する傾向がある(図9の702)。また、攪拌機能の不具合などで飛び散りが存在する場合、データに不連続な差が生じる(図10の703)。さらに、気泡の存在により、突発的な高値(スパイク)が生じることがある(図11の704)。これらの要素は測定結果の正確性または精度に影響を与えることが知られている。
【0006】
このような問題に対し、例えば、特開平10−227797号公報(特許文献1)には、ダストカバーを開けずに分析の動作を確認できる自動分析装置が記載されている。また、特開2001−174469号公報(特許文献2)には、分注動作を適切にモニタリングする手段を具備することで、液体の吸引および吐出の検知を行う技術が記載されている。
【0007】
その他、特開2002−162403号公報(特許文献3)には、分注ノズルの先端に液面センサーを搭載することで一定の深さでのサンプリングを行うことで分注量の精度を維持する方法が記載され、特開昭60−064256号公報(特許文献4)には、脱気処理を使用することで、気泡の発生それ自体を抑制する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−227797号公報
【特許文献2】特開2001−174469号公報
【特許文献3】特開2002−162403号公報
【特許文献4】特開昭60−064256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、自動分析装置で測定できる項目は複数あり、分注する試薬の種類、試薬の量、および容器内部の反応の様子は、測定項目ごとに異なっている。また、1つの項目についても、第1試薬、第2試薬のように複数の種類を用いるのが通常である。
【0010】
一方で、反応容器は測定項目によって異なるということはなく、システム内で使用する反応容器は全て同じ形である。そのため、理想とする液面の位置は、使用されるそれぞれの分析容器ごとおよび分注した試薬の種類ごとに異なってくる。また、生じる泡の量や、混濁の度合い、色合い、などの反応形態も測定項目ごとに多様であり、容器内部の観察で得られる視覚的情報も異なってくる。
【0011】
この事情のもとで、正しく分注がなされたことを保証するには、試薬種別に応じて分注ごとに個別に正しく分注されることを確認する必要がある。
【0012】
しかしながら、前述した従来の方法のみでは、分注や攪拌が実際に適切になされたことを反応過程の進行中に確認することはできず、その確認には最終データの出力を待たなければならいことから、多大な時間を要していた。
【0013】
この点について、分析の過程中に異物を検知する手段としては、吸光度計測用の光学系検知方式を用いる方法も考えられる。確かに、吸光度計測用の光度計を用いて容器などの撮影を行うことで、吸光度の計測と同時に、液面位置や異物の検出ができる画像の取得も可能であるとも考えられる。しかし、光度計が計測する視野は反応容器中の混合物が存在する領域の一部に限られており、単独で液面や異物を検出するのには限界があった。
【0014】
そこで、本発明の目的は、分注や攪拌が実際に適切になされたことを反応過程の進行中に確認し、適切な分注と適切な攪拌を実現して、ユーザーに信頼性の高い検査結果を提供することができる自動分析装置を提供することにある。
【0015】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0017】
すなわち、代表的なものの概要は、反応容器内の化学反応を計測する計測機構とは別に設けられ、反応容器を撮影する撮影機構と、反応容器内の化学反応を計測するための測定プロセスの進行中に、予め設定された所定のタイミングに従って、撮影機構に反応容器を撮影させ、撮影された画像を解析し、試薬の種別に応じて、試料および試薬のうち少なくとも1つが正常に分注されたことを確認する制御手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0019】
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、各反応容器で気泡の有無、容器に付着する汚れの有無、飛び散りの有無、分注量などが分析過程と同期してチェックされるため、各測定プロセスがより最適な条件下で行われたことをリアルタイムで保障することができる。そのため安心した運用と精度に関する信頼を格段に高めることができる。また、再測定・再検査の回数を低減することにより、ユーザーにとってのコスト削減に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の撮影機構の構成を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の混合物の入った反応容器を撮影した一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の気泡の検出方法を説明するための説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の攪拌動作の不具合による飛び散りの一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の分注動作の不具合による飛び散りの一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の不都合を特定するプロセスを示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の撮影機構とその処理を含む全体処理を示すフローチャートである。
【図9】従来技術におけるデータ不良の一例を説明するための説明図である。
【図10】従来技術におけるデータ不良の一例を説明するための説明図である。
【図11】従来技術におけるデータ不良の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態は、本発明における基本となる概念を実現するための代表的な例である。
【0022】
<1.自動分析システム概要>
図1および図2により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の構成について説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の全体構成を示す構成図であり、上面図を示している。図2は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の撮影機構の構成を示す構成図である。
【0023】
図1において、自動分析装置1は、主要機能として、生体試料を搬送する生体試料搬送部20、試料や試薬を分注する分注機構30a〜30c、試料と試薬を反応させる反応機構40、試薬を格納する第1保冷試薬ディスク50と第2保冷試薬ディスク60、自動分析装置1の全体の制御を行う制御手段90を備えている。以下に、主要機能の各部による基本的な測定の手順を簡潔に示す。
【0024】
患者から採取した生体試料が入った検体容器203を搬送台204に載せて、自動分析装置1にセットする。
【0025】
生体試料搬送部20では、搬送台204の搬送経路201が確保され、搬送台204は搬送経路201上に敷かれた搬送時の揺れや転倒の防止および位置の差異調整を担うレール202に沿って移動する。
【0026】
搬送台204は、それぞれ予めシステムにプログラムされたタイミングに従い、サンプルディスク205の搬送台収納部206に搬送される。その後、搬送台204は、サンプルディスク205の回転によって分注機構30aの近くまで移動する。
【0027】
そこでは、分注機構30aによって検体試料が反応容器401に分注される。
【0028】
反応ディスク402には、複数の反応容器401が設置され、ディスクの回転によって環状に移動できる。移動中、試薬の分注機構30b〜30cが作動し、試薬ディスク50、60に設置された試薬が反応容器401に分注される。
【0029】
試薬ディスク50、60には、複数の試薬容器の収納部501、601が存在し、予め必要な試薬が配置されているものとする。前述の分注過程で生成した検体と試薬の混合物410(図2参照)は、攪拌機構406により攪拌される。
【0030】
なお、場合によっては、試薬自体を攪拌することも必要になるため、第1保冷試薬ディスク50、第2保冷試薬ディスク60には、それぞれ試薬専用の攪拌機構502、602が備えられている。
【0031】
反応容器401内の混合物410は、一定時間間隔で測光部405を通過する。測光部405では、照射光源403aから照射される光を混合物410に当て、透過する光の量を測定する。これを一定の回数繰り返すことで、吸光度の時間変化に関するデータが得られ、化学反応理論に基づいて、生体試料中に含まれる被測定物の濃度を算出する。測定を終えた反応容器401は、洗浄機構407を通過した際に洗浄される。また、以上の各動作は、制御手段90によって制御される。
【0032】
<2.本発明に係るユニット>
(1)ユニットの構成
本実施の形態の自動分析装置では、反応ディスク402上に、混合物410の吸光度を計測する測光部405とは別の手段として、照射光源403bと、反応容器401を撮影する撮影手段404からなる撮影機構400を備えている。撮影手段404には、CCD、CMOS、PMTなどのセンサーを用いる。撮影手段404は、照射光源403bと共に反応機構40内に位置の精度を良く保った状態で固定されている。
【0033】
図2に撮影機構の詳細を示す。撮影機構では、所定のタイミングで反応容器401の側面411を撮影し、反応容器および内部の混合物410の画像を取得する。撮影の適切なタイミングは測定項目によってそれぞれであるため、測定項目ごとに設定することとする。
【0034】
このユニットで撮影した画像を解析して、主要動作が正常にされていることを確認しながら分析を進めることができる。例えば、液面を検出して推測される分注量に基づいて、分注動作の適正を確認すること、泡・気泡の存在を検知して攪拌動作の適正を確認すること、あるいは、不純物の存在を検出して反応容器401の汚れを確認することなどが可能となる。
【0035】
分注ごとにその都度、分注量(液面の位置)、異物の存在の有無を確認し、また異物を検知した場合はその位置の特定を行うことが可能となる。同様の方法を測定の開始時点において用い、反応容器401が確かに空であること、または汚れ等の異物が付着していないこと、の確認を行うことも可能である。
【0036】
照射光源403bが反応ディスク402を介して撮影手段404と反対側にある場合、撮影手段404は、照射光源403bからの照射光420が混合物410を透過した光421を撮影する。
【0037】
一方、照射光源403cが反応ディスク402を介して撮影手段404と手前側にある場合、撮影手段404は、照射光源403cからの照射光422が混合物410に反射した光423を撮影する。
【0038】
(2)撮影手段の配置
(i)基本配置
図1に示す自動分析装置では、設置する撮影手段404は1個であり、反応ディスク402の外側から撮影するような配置とした。逆に、撮影手段404を反応ディスク402の内側に配置し、反応ディスク402の内側から撮影する形態でもよい。
【0039】
(ii)複数個の撮像手段を用いる形態
また、図示しないが、撮影手段404を複数個用意し、第1試薬分注、第2試薬分注、第3試薬分注、攪拌が行われる位置にそれぞれ設置する方法でもよい。各動作間でn(整数)週分の差が出るように配置するのがベストである。このような配置にすることで、各試薬の分注動作、攪拌動作を一度に撮影することが可能となり、各過程において正常に動作したことを確認しながら分析を進めることができる。
【0040】
(iii)移動可能な撮像手段を用いる形態
また、図示しないが、複数個の撮像手段404を用いる方法は、撮影手段404に移動機能を持たせることでも代用できる。例えば、反応ディスク402の外枠に環状のレールを設け、また撮影手段404の下部に車を付け、レール上を左右の任意の方向に移動できるようにする。
【0041】
この機構により、撮影対象となる動作が行われる反応容器401にその都度移動させることが可能となる。例えば、第1試薬の分注動作を確認する場合は、撮影手段404を第1試薬の分注が行われるポジションまで移動する。また、攪拌動作を確認する場合は、攪拌が行われるポジションまで移動する。この方法は特定動作の継続監視にも有効である。また、撮影手段404は1つでよいため、コストも削減にも繋がる。
【0042】
あるいは、特定の反応容器401を追随していく機能を持たせる。これにより特定容器をリアルタイムで監視することが可能となり、特に時間発展性のある不具合の現象の探知に役立つ。例えば、撮影手段404を移動する機能を応用して反応容器を個別に追い、反応容器を定期的に撮影していき、連続した前後の画像の差分を経時的に監視して異物の混在についてリアルタイムに把握するのも有効な方法である。
【0043】
(iv)撮像範囲の広いカメラを用いる形態
また、図示しないが、撮影範囲の広いカメラを設置する方法も有効である。このようなカメラを使用すれば、複数個の反応容器401を一度に撮影することもできる。複数個の反応容器401が1つの画像に写っていれば、左右前後の反応容器401と比較することができ、洗い残しで付着した汚れ等を素早くかつ正確に発見することができる。なお、予め反応容器に識別番号を印字しておくと、特定に便利であるとともに、汚れが付着しやすいポジションの特定などメンテナンスにも便利である。
【0044】
(v)撮像のための補助機能を設置する形態
光学的に作用しにくく、正面からの撮影のみでは検出が困難であるフィブリンのような不純物に対しては、鉛直方向を軸として一定速度で反応容器401を回転させ、複数の側面から撮影するという方法が有効である。この案は反応容器401を左右や上下に振動させる方法でも代用可である。また、散乱板を設置し、反応容器を透過した照射光を散乱板にあて、散乱した光を利用して多方向から容器を照らす方法も、フィブリンのような光学的検出が困難な物質の発見を容易にする方法として有効である。
【0045】
<3.画像処理の流れとデータの抽出方法>
次に、図3〜図6により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の画像処理の流れとデータの抽出方法について説明する。図3は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の混合物の入った反応容器を撮影した一例を示す図、図4は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の気泡の検出方法を説明するための説明図、図5は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の攪拌動作の不具合による飛び散りの一例を示す図、図6は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の分注動作の不具合による飛び散りの一例を示す図である。
【0046】
まず、撮影手段404の撮影で得られたデータはコンピュータなどから構成される制御手段90に送られる。そして、制御手段90内で解析し、以後の運用に必要な情報を抽出して、自動分析装置にフィードバックをかける。以下に、手順に沿って代表例を示す。
【0047】
(1)液面検知
図3に混合物410の入った反応容器401を撮影した一例を示す。被写体は混合物が存在する部分410と存在しない部分411とに分けられ、それぞれの領域から検知する光の量に差が生じている。両者の間は有限の厚みおよび光量階段を持つ境界412で隔てられている。
【0048】
ここで、図3のマス目は画素を表す。境界412付近で、光の強い部分から弱い部分に変化している。この境界線は、光量の差画像処理において、画像微分等の特徴抽出技術を用いることで容易に検出することが可能である。
【0049】
(2)不純物の検知
分析過程中に、泡や気泡が生ずることや異物が混入することがある。ここでは、気泡を例にとり、その検出方法について説明する。気泡の主な発生原因は、溶液に対する気体の飽和溶解量の低下である。この現象の多くは、分注後、温度、気圧など溶液を取り巻く環境が変化することにより引き起こされる。そのため、分注が正しくされたとしても分析の途中で気泡が生ずることがあり、分析結果に悪い影響を与える。これを回避するにはセルを経時的に監視して発見するのが最も有効な方法である。
【0050】
この方法で気泡を検知する一例を図4に示す。図4に示す例は、時間を追って、反応容器401を撮影したものであり、注目する分注動作後、初めて撮影する画像401d、定期的な間隔を置いて次に撮影した画像401e、さらに定期的な時間間隔を置いて撮影した画像401fの順に並んでいる。
【0051】
分注後、時間が経過すると、小さな気泡(画像401eの801)が発生する。さらに時間が経過すると、気泡は成長する(画像401fの802)。これらの画像について、前後の画像の差分をとったものが、それぞれ画像401g、画像401h、である。前後の画像の差分であるから、変化の無い部分であるセル自体や混合物の部分は、平均的には0となる。
【0052】
差分した画像について、(i)新たに気泡が生じた部分は正の輝度(画像401gおよび画像401の803)を持つ領域となる。
【0053】
一方で、(ii)既に生じた気泡が移動した場合、あるいは、(iii)既に生じた気泡が成長した場合は、負の値(画像401hの804)を持つ領域となる。
【0054】
次に、画像ごとに、全画像の信号平均量からの差の二乗和平方根(輝度のゆらぎ)を算出し、時系列グラフ810に記録する。時系列グラフ810の横軸は時間811、縦軸は輝度ゆらぎ812である。
【0055】
気泡が発生しない場合は、輝度ゆらぎは、時間の経過によらず、前述した撮像系に特有の値(カメラ依存値)813を保ち続ける(時系列グラフ810の814)。
【0056】
一方で、気泡が発生した場合は、画像の輝度に前述した正負の凹凸ができるため、輝度ゆらぎは大きくなり、右肩上がり(時系列グラフ810の815)の状態のグラフ(時系列グラフ810の816)となる。
【0057】
ここで、予め、基準値817を設定しておき、撮影した画像の輝度ゆらぎが当該基準値を超えた場合は、気泡の発生の時間818と認識する。分析に支障が生じる状態であればアラーム表示などの手段によって自動分析装置へのフィードバックを行う。
【0058】
また、気泡の発生しやすさや発生する量は、測定項目によって異なる。例えば、必ず気泡が生じるような項目も存在する。このような項目の測定中に気泡が検知できなかった場合は、試薬の置き間違えの可能性がある。この場合も、ユーザーに対してアラームを発して、不具合が生じていることと推測される不具合内容を教える機能も非常に有効である。
【0059】
(3)正常な動作の確認
物理量を用いて異物を特定し、動作が正常かどうかを判断する方法について説明する。ここでは、飛び散りの現象を一例に説明する。
【0060】
(i)攪拌動作起因
攪拌動作の不具合による飛び散りの一例を図5に示す。液量不足等で攪拌棒が適切に混合液に浸らず液面近くで攪拌が行われた場合に起こる現象であり、表面の液体が攪拌棒でかき回されることにより大量の液体が飛び散り、分析容器の内側に連続的な液体が生ずる。
【0061】
反応容器401iの内側の側面に、飛び散りによる水滴805が付着する。この水滴の存在する領域は、気泡と異なり、液面の上部である(図5の805)。
【0062】
この特徴を検出するために、まず、底面からの水滴の位置をグラフ820に表す。グラフ820の横軸は水滴番号(検出した水滴番号順)821、縦軸は位置822である。混合物の液面の位置823も記載している。水滴の位置は全て水面の上部に存在する(図5の824)。
【0063】
このデータから、気泡と異なるものであると判定する。次に、水滴に関して、面積についてのヒストグラム830を求める。ヒストグラム830の横軸は面積831、縦軸は個数分布832を示す。反応容器401iの側面に付着する水滴の大きさが異なるため、分布は幅広くなる(図5の833)。
【0064】
以上の方法で、飛び散りの様子から、不具合を生じている機構を推定することができ、アラーム等による装置へのフィードバックを行うことができる。
【0065】
(ii)分注動作起因
分注動作の不具合による飛び散りの一例を図6に示す。分注した試薬が混合物に跳ね返ることによって飛び散りの現象が起こる。分析容器の壁には点状の液粒が生じる。
【0066】
前述の攪拌起因の現象と同様、反応容器401jの内側の側面に、飛び散りによる水滴806が付着する。この水滴の存在する領域は、気泡と異なり、液面の上部である(図6の806)。そして前述のように底面からの水滴の位置をグラフ820に表す。水滴の位置は全て水面の上部に存在する(図6の825)。
【0067】
やはり、このデータから、気泡と異なるものであると判定できる。面積のヒストグラム830については、前述の攪拌動作の場合と異なり、水滴の大きさは単一であるから、ヒストグラムは1箇所のみピークを持つプロファイルとなる(図6の834)。
【0068】
以上の方法で、飛び散りの様子から、不具合を生じている機構を推定することができ、アラーム等による装置へのフィードバックを行うことができる。
【0069】
(iii)その他
分注動作の不具合は、動画を用いて動作を直接観察する方法も有効である。
【0070】
(4)その他の有効な方法
(i)基準値を用いる形態
別の方法として、統計データを用いて特徴を抽出し異物を特定する方法を説明する。
【0071】
まず、異物の生じた複数のサンプルを予め用意し、発生原因別に分類する。次に、発生原因ごとに、異物の面積、形状、個数、個数分布、などの統計量を算出し、当異物の標準パターンとして予め装置に記憶しておく。標準パターンは、試薬により異なるので、試薬ごとに情報を登録することとする。
【0072】
また、異物のサンプル数が多くなればなるほど、当該標準パターンはより正確に特徴を表現することが期待できるため、装置の起動時にユーザーの選択に応じて、前回の起動時から取得している異物のサンプル情報を基に自動で標準パターンを更新する機能を持たせる。
【0073】
例えば、異物とみなしたサンプルから得た情報はデータベースに記録しておき、1000回の測定に対して1回、不具合原因ごとにそれぞれ平均値と分散値を計算して、その値を次の測定からの基準値に採用することとする。このようにして得られる値は、実際の装置の運用で生じた不具合現象を利用して得る値であるから、一般的なパラメータとして出荷時に装置に記憶している値よりも、より適切に装置特有の現象を表現している値といえる。
【0074】
そのため、以後の測定について、不具合検知の確度の向上が期待できるようになる。また、装置の備えるデータベースの容量にも依存することであるが、サンプルの保存数が増えデータベースを更新する必要が生じたときに、自動計算する方法でもよい。
【0075】
(ii)標準液を撮影した標準画像とマッチングする方法を用いる形態
また、基準値を用いる形態の方法より簡易な形態として、標準液を撮影して得られる標準画像を参照として記憶し、分注直後の実サンプルを比較することで、標準画像との違いがあることをもって異物の存在を確認する方法も有効である。当然、標準画像は測定項目ごとに異なるため、装置が扱う全項目に対してそれぞれ登録を行えることとし、必要に応じて、自動またはユーザーの指示により標準画像を更新する機能を持たせる。
【0076】
(iii)項目によって判断基準を変える形態
なお、画像解析における計算時間の短縮と計算容量の縮減のため、試薬の特異性を利用してチェックすべきポイントを絞りこみ、上記のフローの全てのポイントではなく必要最小限の内容を選択してチェックする方法も有効である。例えば、標準液、ブランク液、精度管理物質、ごとにそれぞれ生じやすい異物の形態を予め把握し、当該発生原因について集中的に判定を行うことで、より正確な特定も可能となる。試薬の特性のみならず、分注する試薬の種別ごとにそれぞれ適切なチェック方法を選択できる機能を持たせることも有効である。
【0077】
(iv)分注後の液面が常に一定になるような形状を持つ反応容器を使用する形態
さらに、別の方法としては、測定項目ごとに反応容器401の形状を変え、どの項目に対しても、試薬が適切に分注された場合に同じ高さの液面となるようにしてもよい。このように設定することで、適正量の分注についてより容易に判定することが可能となる。
【0078】
<4.システム処理>
次に、図7により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の不都合を特定する処理について説明する。図7は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の不都合を特定するプロセスを示すフローチャートであり、反応容器の画像に基づいて試薬の分注の状態を判定し、分析過程で生じた不具合または自動分析装置に生じている不具合を特定するプロセスを示している。この処理は、制御手段90で実施する。
【0079】
まず、前述の解析で検知した液面の位置情報から試薬の分注量を算出する(S0)。この分注量が、予め設定された量より低いときは、試薬不足と判断する(S1)。S1で試薬不足の場合、有効な分析結果を得る保証がないため、当該反応容器401を測定プロセスから除外し、同時にアラームで試薬不足であることを表示する(S2)。
【0080】
一方で、S1で試薬の分注量が十分得られていることを確認できた場合、次に、輝度の濃淡の存在を確認する(S3)。S3で濃淡が存在しなければ、異常がないと判断し、反応容器を次のプロセスに進める(S4)。
【0081】
S3で濃淡が存在する場合、前述の基準に基づき、飛び散り、気泡、泡等かそれ以外の不純物などの異物かを判定する(S5)。
【0082】
S5で不純物が存在する場合は、分析結果の信頼性を上げるため、当該反応容器401を測定プロセスから除外する(S6)。S5で飛び散り、気泡、泡等の異物が存在する場合は、先に検知した液面と位置関係を求め、その異物が試薬の内部に存在するかを確認する(S7)。
【0083】
S7で異物が試薬の内側に存在する場合、気泡と判断する(S8)。一方で、S7で外部にある場合は、その異物が液面の上側か表面にあるかを確認する(S9)。S9で液面の上側に存在する場合は飛び散りと判断する(S10)。また、S9で液面の表面に存在する場合は、泡と判断する(S11)。
【0084】
これらの判定結果により試薬の分注や攪拌が十分になされているかを確認することができ、不十分の場合はアラーム警告などのフィードバックを行う。
【0085】
その他のフィードバック方法としては、反応容器401の汚れが確認された場合に、汚れのある反応容器401をディスポーザルの反応容器401で一時的に置き換えて運用する方法も、装置を停止させずに済むという点で有効な手段である。
【0086】
また、気泡の存在が確認された場合、気泡の位置を避けて吸光度測定できるよう撮影のタイミングを制御するという方法もある。
【0087】
次に、図8により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の撮影機構とその処理を含む全体処理について説明する。図8は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の撮影機構とその処理を含む全体処理を示すフローチャートである。
【0088】
撮影機構を自動分析装置に搭載し、図8に示すフローチャートの処理手順を備えることで、より有効な分析システムとして自動分析装置に搭載することができる。
【0089】
まず、生体試料を取得した後、測定が開始する(T0)。始めに、所定の容器に所定のタイミングで、検体を分注し(T1)、試薬を分注し(T2)、一定時間経過後、反応容器401を撮影し取得する画像を解析し(T4a)、試薬が分注されたことを判定する(T5a)。
【0090】
T5aで適切に分注されたことが確認できた後は、次のプロセスとして、混合物の攪拌を行う(T3)。一定時間経過が経過した後、再度、反応容器401を撮影し取得する画像を解析する(T4b)。ここでは、取得する画像の解析から、輝度の濃淡の存在を検出し、異物の存在を判定する(T5b)。
【0091】
T5bで正常であることが確認できた場合、通常の手順に進み、吸光度測定(T7)、結果取得(T8)、容器の洗浄(T9)を経て終了となる(T10)。
【0092】
一方で、T5a、T5bの結果で異常と判定された場合は、T4a、T4bでの解析結果に基づいて、不具合の原因を推定する(T11)。
【0093】
以後の手順は下記の2つに分かれる。
【0094】
(1)不具合が検知された異常の回数が予め設定した規定回数以内かを確認し(T12)、T12で規定回数以内の場合は、再測定を実施する。このとき、前述の画像解析の結果から推定した原因に影響を及ぼすステップから再測定を開始する。例えば、画像解析の結果から、液量が少ないという判定結果が得られた場合は、液体分注(T1)または試薬分注(T2)から再測定を開始する。
【0095】
また、攪拌が不十分であるという結果が得られた場合は、攪拌のステップ(T3)からプロセスを実行する。
【0096】
(2)T12で規定回数以上の不具合が検知された場合は、自動分析装置1は、自己メンテナンスを実施する(T13)。自己メンテナンスは、予め自動分析装置1に備えた機能である。前述の画像解析結果から推定した不具合の原因に影響を及ぼす機構の洗浄、稼動確認等のメンテナンスを実施する。
【0097】
例えば、画像解析の結果から、液量減少の不具合を検知した場合、ノズルの圧力を確認し詰まりが無いか確認した後、詰まりがある場合は洗浄またはエアジェットによる解消を試みる。攪拌の異常が見られた場合は、攪拌の回転数等諸機能の確認を行い、必要に応じて正常な状態への回復を試みる。
【0098】
その後、ユーザーの測定継続の意思を確認し(T14)、T14で測定継続の意思が有る場合は、T1に戻り分析を継続し、T14で測定継続の意思が無い場合は、洗浄過程(T9)を経て装置を停止させて終了する(T10)。
【0099】
なお、本実施の形態は、画像を用いる技術であるため、取り扱うデータ量は膨大となる。そのためデータを保存する記憶機能を設置する。また、分注動作と攪拌動作が正しく実施されたことを保証するために、両動作が行われた後の最終状態を撮影した画像を、前記記憶装置に保存しておくこととする。
【0100】
以上のように、本実施の形態では、光度計とは別の撮影手段として、反応容器の全体を撮影できる撮影機構を用いて、測定プロセスと同期して、分注動作と攪拌動作、または容器内の様子を試薬ごとに撮影し、そして、試薬ごとに特徴が異なることを考慮し、試薬ごとに適切な判断基準を用意し、その判断基準を用いて各分注と攪拌が適正になされていることの確認を試薬ごとに実施することにより、確認した結果をアラーム警告で表示することができ、その確認した結果の情報を自動分析装置へフィードバックし、必要に応じて再検を実施するなどの処理手順を加えることで、適切な分注と適切な攪拌を行うことができ、安心した運用と精度に関する信頼を格段に高めることができる。
【0101】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は血液等の生体試料中の成分を測定する自動分析装置に関し、その分析の精度を高める必要がある装置やシステムなどに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0103】
1…自動分析装置、20…生体試料搬送部、30…分注機構、40…反応機構、50…第1保冷試薬ディスク、60…第2保冷試薬ディスク、90…制御手段、201…搬送経路、202…レール、203…検体容器、204…搬送台、205…サンプルディスク、206…搬送台収納部、400…撮影機構、401…反応容器、402…反応ディスク、403a、403b、403c…照射光源、404…撮影手段、405…測光部、406…攪拌機構、407…洗浄機構、410…混合物、411…反応容器側面、412…境界(液面)、420…照射光(透過光で撮影するとき)、421…透過光、422…照射光(反射光で撮影するとき)、423…反射光、501…試薬容器の収納部(第1試薬)、502…試薬の攪拌機構(第1試薬)、601…試薬容器の収納部(第2試薬)、602…試薬の攪拌機構(第2試薬)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と試薬を反応容器内で反応させて前記反応容器内の化学反応を計測する自動分析装置であって、
前記反応容器内の化学反応を計測する計測機構とは別に設けられ、前記反応容器を撮影する撮影機構と、
前記反応容器内の化学反応を計測するための測定プロセスの進行中に、予め設定された所定のタイミングに従って、前記撮影機構に前記反応容器を撮影させ、撮影された画像を解析し、前記試薬の種別に応じて、前記試料および前記試薬のうち少なくとも1つが正常に分注されたことを確認する制御手段とを備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
試料と試薬を反応容器内で反応させて前記反応容器内の化学反応を計測する自動分析装置であって、
前記反応容器内の化学反応を計測する計測機構とは別に設けられ、前記反応容器を撮影する撮影機構と、
前記反応容器内の化学反応を計測するための測定プロセスの進行中に、予め設定された所定のタイミングに従って、前記撮影機構に前記反応容器を撮影させ、撮影された画像を解析し、前記試薬の種別に応じて、前記試料と前記試薬の攪拌が正常に実施されたことを確認する制御手段とを備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、前記撮影機構で撮影された画像を解析し、前記試料の分注の前に前記反応容器が空の状態であること、および前記測定プロセス中に生じる前記反応容器の汚れの有無を確認することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の自動分析装置において、
前記撮影機構は、前記試料および前記試薬のうち少なくとも1つの分注動作を撮影できる位置、および前記反応容器の攪拌動作を撮影できる位置に複数個配置されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1、2または3に記載の自動分析装置において、
前記反応容器を格納するディスクに沿って、前記撮影機構を移動させる移動手段を有し、
前記制御手段は、前記移動手段を制御し、撮影の対象となる動作が行われた前記反応容器の位置に前記撮影機構を移動させ、その後、前記反応容器の移動に合わせて追随させ、所定のタイミングに従って前記反応容器を撮影させることを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1、2または3に記載の自動分析装置において、
前記撮影機構は、横長の範囲を撮影可能であり、1回の撮影で、複数個の前記反応容器を撮影できる位置に設置されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項に記載の自動分析装置において、
鉛直方向を軸として前記反応容器を一定速度で回転させる機構、前記反応容器を前後または上下に振動させる機構、および光源から発して容器を通過した光を散乱させる機構のうち少なくとも1つの機構を備え、
前記制御手段は、前記撮影機構に前記反応容器を撮影させるとき、前記反応容器を回転、振動、または前記反応容器を透過した光を散乱させることを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、前記試薬の分注後、予め設定した所定の時間経過後に、前記撮影機構に前記反応容器を撮影させ、撮影された画像を解析し、前記反応容器内の液面の位置および異物の存在の有無を検知することを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項5または7に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、前記撮影機構に所定のタイミングで定期的に前記反応容器を撮影させ、撮影した前後の画像の差分を経時的に監視し、前記画像の変化に基づいて、前記反応容器の液面の位置、分注量の適正量、泡および気泡の発生、異物の混入有無を検知することを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、前記撮影機構に前記試料および前記試薬のうち少なくとも1つの分注動作の開始から終了までの間に所定の時間間隔で連続的に前記反応容器を撮影させ、撮影した連続画像の経時変化、または前記連続画像の一部の画像に基づいて、前記分注動作が正常に行われたことを確認することを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項2に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、前記撮影機構に前記試料と前記試薬の攪拌動作の開始から終了までの間に所定の時間間隔で連続的に前記反応容器を撮影させ、撮影した連続画像の経時変化、または前記連続画像の一部の画像に基づいて、前記攪拌動作が正常に行われたことを確認することを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
請求項8または9に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、検知した情報に基づいて、前記液面の位置と前記異物の位置関係、前記異物の面積、形状の対称性、個数、個数分布、連続性の物理量を取得し、取得した前記物理量と基準値を比較して前記異物を種類ごとに区別し、区別した前記種類に基づいて発生原因を推定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項13】
請求項12に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、予め前記試薬の種別ごとに前記基準値を保持し、
前記測定プロセス中に、前記試薬の種別ごとに前記基準値を変更することを特徴とする自動分析装置。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、予め前記反応容器の形状と前記反応容器に標準液が正しく分注されている状態の理想パターン画像を参照用画像として保持し、前記測定プロセス中に前記撮影機構で撮影された前記画像と前記参照用画像を比較し、分注で得られた液面の位置および異物の存在を検知することを特徴とする自動分析装置。
【請求項15】
請求項14に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、予め前記試薬の種別に応じた前記参照用画像を保持し、分注する試薬に基づいて、前記参照用画像を選択することを特徴とする自動分析装置。
【請求項16】
請求項14に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、前記測定プロセスを実施した回数に応じて前記理想パターン画像を更新することを特徴とする自動分析装置。
【請求項17】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、標準液、ブランク液、精度管理物質、および校正用物質の項目ごとに見出される特異性の情報を予め保持し、前記特異性の情報に基づいて、分注した前記試薬に応じたチェックポイントを選択することを特徴とする自動分析装置。
【請求項18】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動分析装置において、
前記反応容器は、複数の異なる形状を持つ複数の反応容器から構成され、
前記制御手段は、分析項目ごとに異なる前記試薬の分注量が正しく分注された場合に、液面が一定になるように、前記複数の反応容器から、前記分析項目ごとに専用の形状を持つ前記反応容器を選択することを特徴とする自動分析装置。
【請求項19】
請求項3に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、前記反応容器の汚れを確認すると、前記汚れが確認された前記反応容器を、一時的に使用する一時使用反応容器と置き換えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、確認または検知した情報に基づいて、警告の表示、および再検査の必要性の判断を行い、再検査の必要性があると判断した場合は、前記反応容器を再検査にまわすことを特徴とする自動分析装置。
【請求項21】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の自動分析装置において、
前記制御手段は、前記撮影機構による撮影のタイミングを前記試薬の種別ごとに設定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の自動分析装置において、
前記撮影機構は、撮影に用いる光が、前記反応容器を通過する透過光、または前記反応容器からの反射光であることを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−8077(P2012−8077A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146066(P2010−146066)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】