説明

自動分析装置

【課題】 反応容器洗浄部の一部が汚染されることなく大型化を防ぐことができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】 反応ディスク4の回転により反応容器3を移動する機構部26と、洗浄位置Wで停止した反応容器3を洗浄する反応容器洗浄部12と、位置決め位置で停止した反応容器3を識別する容器番号を保存する補助記憶部27と、反応容器3の移動及び洗浄を伴う動作を実行させるための入力を行う操作部50とを備え、操作部50からの保守開始又は測定開始の入力に応じて補助記憶部27に保存された最新の容器番号により識別される反応容器3を反応容器洗浄部12により洗浄が開始される前に位置決め位置へ移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体から採取された試料等の液体に含まれる成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された被検試料と試薬との反応によって生ずる色調の変化や濁りの変化を光学的に測定する分析部を有する。この分析部における測定により、被検試料中の様々な各検査項目成分の濃度や酵素活性で表される分析データを生成する。
【0003】
分析部では、被検試料及び各検査項目の試薬が複数の反応容器に分注され、分注された試料及び試薬の混合液は測光部で測定される。測定に使用された反応容器は、この反応容器内に一部が進入して洗浄を行う反応容器洗浄部で洗浄された後、繰り返して測定に使用される。
【0004】
ところで、分析部の測定動作中に停電等により動作が停止した後に再度測定動作が開始されると、反応容器内に残留する混合液等の残留液体により進入した反応容器洗浄部の一部が汚染される。この汚染を防ぐために、反応容器内の残留液体の有無を検知する液体検知器を備えた自動分析装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−352131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、液体検知器を設置することにより、構成が複雑になり大型化する問題がある。
【0007】
実施形態は、上記問題点を解決するためになされたもので、反応容器洗浄部が汚染されることなく大型化を防ぐことができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、実施形態の自動分析装置は、試料及び試薬を反応容器へ分注し、その混合液を測定する自動分析装置において、前記反応容器を移動する移動手段と、前記移動手段により移動され、洗浄位置で停止した前記反応容器を洗浄する洗浄手段と、前記移動手段により移動され、位置決め位置で停止した前記反応容器を識別する容器番号を保存する記憶手段と、前記洗浄手段により前記反応容器の洗浄動作を実行させるための入力が可能な操作手段とを備え、前記移動手段は、前記操作手段からの入力に応じて、前記記憶手段に保存された最新の容器番号により識別される前記反応容器を前記洗浄手段により洗浄が開始される前に前記位置決め位置へ移動することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】実施形態に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】実施形態に係る各反応容器の移動の一例を示す図。
【図4】実施形態に係る各反応容器が停止する停止位置を示す図。
【図5】実施形態に係る反応容器洗浄部の構成の一例を示す図。
【図6】実施形態に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【図7】実施形態に係る表示部に表示された各停止位置に停止する反応容器の容器番号の画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、標準試料や被検試料を測定する分析部24と、分析部24の測定に関る各分析ユニットを駆動制御する分析制御部25と、分析部24で標準試料や被検試料の測定により生成される標準データや被検データに基づいて各検査項目の検量データや分析データの生成を行うデータ処理部30と、データ処理部30で生成された検量データや分析データ等を出力する出力部40と、各検査項目の分析パラメータを設定するための入力、分析部24で各分析ユニットを洗浄する洗浄動作を実行させるための保守開始の入力、分析部24で標準試料や被検試料の測定動作を実行させるための測定開始の入力等を行う操作部50と、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部51とを備えている。
【0012】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料や被検試料等の各試料を収容する試料容器17と、試料容器17を保持するサンプルディスク5と、円周上に等間隔で複数個(m個)配置された夫々が容器番号で識別される反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4と、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の各試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を1サイクル毎に行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に支持するサンプル分注アーム10とを備えている。
【0013】
また、各試料に含まれる検査項目の成分と反応する1試薬系又は2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、試薬容器6を格納する試薬庫1と、試薬庫1に格納された試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aとを備えている。また、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して各試料が吐出された反応容器3内に吐出する分注を1サイクル毎に行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に支持する第1試薬分注アーム8とを備えている。また、反応容器3内に吐出された各試料及び第1試薬の混合液を1サイクル毎に撹拌する第1撹拌子18と、第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム19とを備えている。
【0014】
また、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、試薬容器7を格納する試薬庫2と、試薬庫2に格納された試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aとを備えている。また、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が吐出された反応容器3内に吐出する分注を1サイクル毎に行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に支持する第2試薬分注アーム9とを備えている。また、反応容器3内に吐出された各試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を1サイクル毎に撹拌する第2撹拌子20と、第2撹拌子20を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21とを備えている。
【0015】
また、反応容器3内の混合液を測定する測光部13と、測光部13により測定された後の反応容器3内を1サイクル毎に洗浄する反応容器洗浄部12とを備えている。そして、測光部13は、回転移動する反応容器3内の標準試料や被検試料を含む混合液に光を照射し、混合液を透過した光を検出する。そして、検出した光に基づいて標準データや被検データを生成し、生成した標準データや被検データをデータ処理部30へ出力する。
【0016】
分析制御部25は、分析部24の各分析ユニットを駆動する機構を有する機構部26と、分析部24の予め設定された位置決め位置で停止した反応容器3を識別する容器番号を保存する補助記憶部27と、機構部26の各機構を制御して分析部24に保守動作や測定動作を実行させる機構制御部28とを備えている。
【0017】
機構部26は、分析部24のディスクサンプラ5、試薬ラック1a、及び試薬ラック2aを1サイクル毎に夫々回動駆動する機構を備えている。また、反応ディスク4を1サイクル毎に回転駆動する機構を備えている。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム19、及び第2撹拌アーム21を1サイクル毎に夫々回動及び上下駆動する機構を備えている。また、反応容器洗浄部12を1サイクル毎に洗浄駆動する機構を備えている。
【0018】
補助記憶部27は、例えば不揮発性の記憶媒体を備え、操作部50からの保守開始や測定開始の入力に応じて分析部24における反応ディスク4の回転により移動され、位置決め位置で停止した反応容器3の容器番号を保存する。
【0019】
機構制御部28は、機構部26の反応ディスク4を回転駆動する例えばモータに取り付けられたロータリエンコーダからの回転角度の情報に基づいて各反応容器3の停止位置を算出する。そして、操作部50からの保守開始や測定開始の入力に基づく保守動作や測定動作により位置決め位置で停止した反応容器3の容器番号を補助記憶部27に保存する。
【0020】
また、操作部50からの保守開始や測定開始の入力に応じて、反応容器3の移動を開始させる前に補助記憶部27に保存された最新の容器番号を読み出す。そして、読み出した容器番号が予め設定された容器番号(固定番号)である場合、前回の保守動作又は測定動作で全ての反応容器3が洗浄を終えて予め定められた正常な位置(終了位置)で停止していると判断する。次いで、各反応容器3を含む全ての分析ユニットをホームポジションへ移動させた後に保守動作や測定動作を開始させ、保守動作や測定動作の終了により洗浄された全ての分析ユニットを正常な位置(終了位置)で停止させる。
【0021】
また、読み出した容器番号が固定番号以外の番号である場合、各反応容器3が終了位置以外の異常な位置で停止していると判断する。次いで、反応容器洗浄部12により洗浄を開始させる前に反応ディスク4を回転させて、読み出した容器番号の反応容器3を位置決め位置で停止させる。次いで、各反応容器3以外の分析ユニットをホームポジションに移動させた後に保守動作や測定動作を開始させ、保守動作や測定動作の終了により洗浄された全ての分析ユニットを終了位置で停止させる。
【0022】
なお、分析部24の保守動作では、試薬ラック1a,2aに保持された試薬容器6,7に収容される洗浄を行うためのアルカリ性洗浄液や酸性洗浄液等の保守用洗浄液が各反応容器3に分注される。そして、保守用洗浄液が分注された反応容器3は、反応容器洗浄部12で保守用洗浄液が洗い落とされる。また、測定動作では、試料及び試薬が分注された反応容器3は、反応容器洗浄部12で不要となった混合液が洗い落とされる。
【0023】
従って、保守動作中や測定動作中に、自動分析装置100へ供給されていた電力が停電等により遮断されることによる遮断停止、分析部24又は分析制御部25のハードエラー等の発生による緊急停止、操作部50からの入力による強制停止等の急激な停止があると、保守用洗浄液が残留する反応容器3や、試料や混合液が残留する反応容器3が発生し、その反応容器3は任意の位置、即ち異常な位置で停止することになる。
【0024】
図1に示したデータ処理部30は、分析部24の測光部13から出力された標準データや被検データから各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部31と、演算部31で生成された各検査項目の検量データや分析データを保存するデータ記憶部32とを備えている。そして、演算部31は、分析部24で生成された各検査項目の標準データに基づいて検量データを生成する。また、分析部24で生成された各検査項目の被検データをその検査項目の検量データに基づいて活性値や濃度値などで表される分析データを生成する。そして、生成した検量データや分析データをデータ記憶部32に保存すると共に出力部40に出力する。
【0025】
出力部40は、データ処理部30から出力された検量データや分析データなどを印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、データ処理部30から出力された検量データや分析データなどを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙に印刷出力する。また、表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、各検査項目の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面の表示や、データ処理部30から出力された検量データや分析データなどの表示を行う。
【0026】
操作部50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析パラメータを設定するための入力、被検試料毎に分析する検査項目を選択するための入力、分析部24の各分析ユニットを洗浄する保守動作を実行させるための保守開始の入力、分析部24で標準試料や被検試料の測定動作を実行させるための行わせるための測定開始の入力等の様々な入力を行う。
【0027】
システム制御部51は、CPUと記憶回路を備え、操作部50から入力されるコマンド信号、各検査項目の分析パラメータ、被検体情報、被検試料毎に選択された検査項目などの様々な入力情報を保存する。そして、入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を制御する。
【0028】
次に、図1乃至図5を参照して、分析部24の反応容器洗浄部12の構成及び洗浄動作の一例を説明する。図3は、各反応容器3の移動の一例を示す図である。図4は、各反応容器3が停止する停止位置を示す図である。図5は、反応容器洗浄部12の構成の一例を示す図である。
【0029】
図3において、分析部24におけるm個の各反応容器3は、1サイクル毎に反応ディスク4が矢印R1方向へ角度θ回転することにより、例えばR1方向とは反対方向に隣接する反応容器3の位置へ移動する。そして、各反応容器3は、反応ディスク4のm回の回転により反応容器洗浄部12により洗浄が行われる洗浄位置W(第1乃至第5洗浄位置W1乃至W5)を含むm箇所の正規の停止位置で停止する。
【0030】
そして、操作部50から測定開始の入力が行われると、図4に示すように、各分析ユニットがホームポジションへ移動した後に測定を開始する。測定開始の1サイクル目において洗浄位置Wの第1洗浄位置W1で停止した反応容器3は、2サイクル目に第2洗浄位置W2で停止し、3サイクル目に第3洗浄位置W3で停止する。また、4サイクル目に第4洗浄位置W4で停止し、5サイクル目に第5洗浄位置W5で停止する。また、aサイクル目(m>a>5)にサンプル分注プローブ16により試料の分注が可能な試料吐出位置Paで停止する。
【0031】
そして、aサイクル目にサンプル分注プローブ16による分注が開始され、1サイクル目に第1洗浄位置W1で停止した反応容器3内に試料が吐出される。試料が吐出された反応容器3は、bサイクル目(m>b>a)に第1試薬分注プローブ14により第1試薬の分注が行われる第1試薬吐出位置Pbで停止する。また、cサイクル目(m>c>b)に第1撹拌子18により撹拌が行われる第1撹拌位置Pcで停止し、dサイクル目(m>d>c)に第2試薬分注プローブ15により第2試薬の分注が行われる第2試薬吐出位置Pdで停止する。また、eサイクル目(m>e>d)に第2撹拌子20により撹拌が行われる第2撹拌位置Peで停止する。また、(m+1)乃至(m+5)サイクル目に再び第1乃至第5洗浄位置W1乃至W5で停止して洗浄が行われたとき、1サイクル目に第1洗浄位置W1で停止した反応容器3の1回目の測定が終了する。2回目の測定に使用される場合、6乃至(m+5)サイクル目と同様の動作を繰り返す。
【0032】
図5は、反応容器洗浄部12の構成の一例を示した図である。この反応容器洗浄部12は、保守時や測定時に反応容器3を洗浄する第1の洗浄液、第2の洗浄液、及び洗浄水の各洗浄液の供給を行う洗浄ポンプ部55を備えている。また、保守時に分注された反応容器3内の保守用洗浄液や測定時に分注された反応容器3内の混合液の吸引、並びに洗浄ポンプ部55から供給される各洗浄液の反応容器3内への吐出及び吐出した各洗浄液の吸引を行う上下移動可能に機構部26に保持された洗浄ノズル部70を備えている。
【0033】
洗浄ポンプ部55は、例えばアルカリ性洗浄液等の第1の洗浄液を収容する第1の洗剤ボトル56及び酸性洗浄液等の第2の洗浄液を収容する第2の洗剤ボトル57と、洗浄ノズル部70から吸引された保守用洗浄液や混合液を貯留する第1の排液タンク58及び洗浄ノズル部70から吸引された各洗浄液を貯留する第2の排液タンク59とを備えている。
【0034】
また、洗浄ポンプ部55は、第1の洗剤ボトル56から第1の洗浄液を吸引して洗浄ノズル部70に供給する第1の供給ポンプ60及び第2の洗剤ボトル57から第2の洗浄液を吸引して洗浄ノズル部70に供給する第2の供給ポンプ61と、反応容器3内に残留する第2の洗浄液を洗い落とすための例えば純水等の洗浄水を純水装置110から吸引して洗浄ノズル部70に供給する第3の供給ポンプ62とを備えている。
【0035】
更に、洗浄ポンプ部55は、洗浄ノズル部70に混合液を吸引させる第1の排液ポンプ63と、反応容器3内に吐出された各洗浄液を各第1乃至第3の供給ポンプ60,61,62が供給する供給量よりも多い吸引量で洗浄ノズル部70に吸引させる第2の排液ポンプ64と、反応容器3内に残留する洗浄水を洗浄ノズル部70に吸引させる乾燥ポンプ65とを備えている。
【0036】
洗浄ノズル部70は、第1洗浄位置W1で停止する反応容器3内の不要となった保守用洗浄液や混合液の残留液体を吸引する第1の洗浄ノズル71を備えている。また、第1洗浄位置W1で残留液体が吸引された後に第2洗浄位置W2で停止する反応容器3内面に付着する残留液体を洗い落とすための第1の洗浄液の吐出、及び吐出した後の残留液体を含む第1の洗浄液の吸引を行う第2の洗浄ノズル72を備えている。また、第2洗浄位置W2で洗浄された後に第3洗浄位置W3で停止する反応容器3内面を更に洗浄するための第2の洗浄液の吐出、及び吐出した残留液体や第1の洗浄液を含む第2の洗浄液の吸引を行う第3の洗浄ノズル73を備えている。
【0037】
また、洗浄ノズル部70は、第3洗浄位置W3で洗浄された後に第4洗浄位置W4で停止する反応容器3内面に付着する第2の洗浄液を洗い落とすための洗浄水の吐出、及び吐出した第2の洗浄液を含む洗浄水の吸引を行う第4の洗浄ノズル74を備えている。また、第4洗浄位置W4で洗浄された後に第5洗浄位置W5で停止する反応容器3内に残留する洗浄水を吸引して乾燥するための第5の洗浄ノズル75を備えている。また、第1乃至第5の洗浄ノズル71乃至75を支持する機構部26に上下移動可能に保持された支持体76を備えている。
【0038】
ここで、反応容器洗浄部12の1サイクルの動作を説明する。機構部26の駆動により洗浄ノズル部70が洗浄位置Wの各反応容器3上方の上停止位置で停止した後、反応ディスク4の回転により、各反応容器3が移動して各停止位置で停止する。各反応容器3が停止した後、機構部26の駆動により洗浄ノズル部70が下方へ移動して、第1乃至第5のノズル71乃至75の下端部分が洗浄位置Wの各反応容器3内へ進入した位置で停止する。次いで、洗浄ポンプ部55の各ポンプの吸引動作や吐出動作により反応容器3内が洗浄される。各ポンプの吸引動作や吐出動作が停止した後、洗浄ノズル部70が各反応容器3上方へ移動する。この一連の動作をサイクル毎に繰り返す。
【0039】
以下、図1乃至図7を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。
図6は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。分析制御部25の補助記憶部27には、前回の例えば測定動作により位置決め位置で停止した反応容器3の容器番号が保存されている。そして、操作部50から例えば被検試料の測定開始の入力が行われると、自動分析装置100は、動作を開始する(ステップS1)。
【0040】
システム制御部51は、操作部50から入力された入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40に分析動作を指示する。分析制御部25の機構制御部28は、分析部24の各分析ユニットの動作を開始させる前に補助記憶部27に保存された最新の容器番号を読み出す(ステップS2)。
【0041】
そして、読み出した容器番号が固定番号以外の番号である場合(ステップS3のいいえ)、各反応容器3が終了位置以外の異常な位置で停止していると判断し、反応容器洗浄部12の洗浄動作を開始させる前に反応ディスク4を回転させ、読み出した容器番号の反応容器3を位置決め位置で停止させる(ステップS4)。
【0042】
また、読み出した容器番号が固定番号である場合(ステップS3のはい)、各反応容器3が正常な位置で停止していると判断し、各反応容器3を含む全ての分析ユニットをホームポジションで停止させる(ステップS5)。
【0043】
このように、各反応容器3が異常な位置で停止していると判断した場合、反応容器洗浄部12の洗浄動作を開始させる前に、読み出した容器番号の反応容器3を位置決め位置で停止させることにより、急激な停止が起きる直前に停止した正規の停止位置で各反応容器3を停止させることができる。
【0044】
ステップS4又はステップS5の後に、機構制御部28は、読み出した容器番号の反応容器3を位置決め位置で停止させたとき又はホームポジションで停止させたときの試料吐出位置Pa、第1試薬吐出位置Pb、第1撹拌位置Pc、第2試薬吐出位置Pd、第2撹拌位置Pe、及び洗浄位置Wの各停止位置で停止する反応容器3の容器番号をシステム制御部51に出力する。システム制御部51は、各停止位置で停止する反応容器3の容器番号を出力部40の表示部42に表示させる(ステップS6)。
【0045】
図7は、表示部42に表示された各停止位置で停止する反応容器3の容器番号の画面の一例を示した図である。この画面43は、操作部50からの測定開始の入力が行われたときの時刻を表示する「測定開始日時」の欄と、測定開始の入力に応じて測定が開始されるときに各停止位置で停止している反応容器3の容器番号を表示する「測定開始時の容器番号」の欄とにより構成される。
【0046】
「測定開始日時」の欄には、例えば2011年1月10日に操作部50から測定開始の入力が行われたときの時刻である「2011年1月10日10時00分00秒」乃至「2011年1月10日13時30分00秒」が表示されている。
【0047】
「測定開始時の容器番号」の欄は、試料停止位置Paで停止している反応容器3の容器番号を表示する「試料吐出位置」の欄と、第1試薬吐出位置Pbで停止している反応容器3の容器番号を表示する「第1試薬吐出位置」の欄と、第1撹拌位置Pcで停止している反応容器3の容器番号を表示する「第1撹拌位置」の欄とにより構成される。また、第2試薬吐出位置Pdで停止している反応容器3の容器番号を表示する「第2試薬吐出位置」の欄と、第2撹拌位置Peで停止している反応容器3の容器番号を表示する「第2撹拌位置」の欄と、洗浄位置Wで停止している反応容器3の容器番号を表示する「洗浄位置」の欄とにより構成される。
【0048】
そして、「測定開始時の容器番号」の欄の各欄には、「測定開始日時」の欄に表示された「2011年1月10日10時00分00秒」乃至「2011年1月10日13時30分00秒」の測定開始の入力に応じて測定が開始されるときに各停止位置で停止している反応容器3の容器番号が表示されている。
【0049】
図6のステップS6の後に、機構制御部28は、機構部26を制御して測定を開始させる。そして、急激な停止がなく測定が終了した各分析ユニットを終了位置で停止させる(ステップS7)。
【0050】
このように、各反応容器3が異常な位置で停止していると判断した場合、急激な停止が起きる直前に停止した正規の停止位置で各反応容器3を停止させた後に反応容器洗浄部12の洗浄動作を開始させることにより、前回の動作途中の急激な停止により任意の位置で停止した保守用洗浄液、又は試料や混合液が残留する反応容器3を、急激な停止が起きる直前の正規の停止位置に戻した位置から各反応容器3の洗浄を続行させることができる。
【0051】
これにより、保守用洗浄液、又は試料や混合液の残留する反応容器3が第1洗浄位置W1に停止して第1の洗浄ノズル71で残留液体の吸引が行われる前に第2乃至第5洗浄位置W2乃至W5に停止し、その反応容器3内へ第4及び第5の洗浄ノズル74,75が進入して保守用洗浄液で汚染されるのを防ぐことができる。また、その反応容器3内へ第2乃至第5の洗浄ノズル72乃至75が進入して試料や混合液で汚染されるのを防ぐことができる。
【0052】
また、急激な停止が起きる前に洗浄された反応容器3の再洗浄をやり直さなくても済ませることができるため、第1及び第2の洗浄液並びに洗浄水の浪費を防ぐことができる。
【0053】
分析部24における測定が終了し、出力部40から分析データが出力された後、システム制御部51が分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40に分析動作の停止を指示することにより、自動分析装置100は、動作を終了する(ステップS8)。
【0054】
以上述べた実施形態によれば、位置決め位置で停止した反応容器3の容器番号を保存する補助記憶部27を設け、操作部50からの反応容器洗浄部12の洗浄動作の実行を伴う保守開始又は測定開始の入力に応じて補助記憶部27に保存された最新の容器番号を読み出す。そして、読み出した容器番号が固定番号以外の番号である場合、反応容器洗浄部12の洗浄動作を開始させる前に、読み出した容器番号の反応容器3を位置決め位置で停止させることにより、急激な停止が起きる直前に停止した正規の停止位置で各反応容器3を停止させることができる。
【0055】
そして、正規の停止位置で各反応容器3を停止させた後に反応容器洗浄部12の洗浄動作を開始させることにより、前回の急激な停止により任意の位置で停止した保守用洗浄液、又は試料や混合液が残留する反応容器3を、急激な停止の直前の正規の停止位置に戻した位置から各反応容器3の洗浄を続行させることができる。
【0056】
これにより、保守用洗浄液、又は試料や混合液の残留する反応容器3が第1洗浄位置W1で停止して第1の洗浄ノズル71により残留液体の吸引が行われる前に第2乃至第5洗浄位置W2乃至W5に停止し、その反応容器3内へ第4及び第5の洗浄ノズル74,75が進入して保守用洗浄液で汚染されるのを防ぐことができる。また、その反応容器3内へ第2乃至第5の洗浄ノズル72乃至75が進入して試料や混合液で汚染されるのを防ぐことができる。また、急激な停止が起きる前に洗浄された反応容器3の再洗浄をやり直さなくても済ませることができるため、第1及び第2の洗浄液並びに洗浄水の浪費を防ぐことができる。
【0057】
以上により、反応容器洗浄部12が残留液体で汚染されることなく大型化を防ぐことができる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
3 反応容器
4 反応ディスク
12 反応容器洗浄部
25 分析制御部
26 機構部
27 補助記憶部
28 機構制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及び試薬を反応容器へ分注し、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記反応容器を移動する移動手段と、
前記移動手段により移動され、洗浄位置で停止した前記反応容器を洗浄する洗浄手段と、
前記移動手段により移動され、位置決め位置で停止した前記反応容器を識別する容器番号を保存する記憶手段と、
前記洗浄手段により前記反応容器の洗浄動作を実行させるための入力が可能な操作手段とを備え、
前記移動手段は、前記操作手段からの入力に応じて、前記記憶手段に保存された最新の容器番号により識別される前記反応容器を前記洗浄手段により洗浄が開始される前に前記位置決め位置へ移動することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記最新の容器番号が固定番号以外の番号である場合に前記最新の容器番号で識別される前記反応容器を前記位置決め位置へ移動し、前記最新の容器番号が前記固定番号である場合に前記反応容器をホームポジションへ移動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記位置決め位置又は前記ホームポジションで停止した前記反応容器を識別する容器番号を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−24567(P2013−24567A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156157(P2011−156157)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】