説明

自動分析装置

【課題】異常な分析データの生成を未然に防ぐことができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】キャリブレーションにより標準試料及び試薬の混合液を測定して標準データを生成する分析部24と、分析部24で生成された標準データに基づいて検量データを生成する演算部32と、検量データが正常であるか否かを判定し、正常であると判定した検量データを、被検試料及び試薬の混合液の測定により生成される被検データから分析データを生成するためのデータとして採用するデータ管理部33と、データ管理部33に採用された検量データを保存するデータ記憶部31とを備え、データ管理部33は、キャリブレーションの開始に応じて、分析部24で標準データが生成される前にデータ記憶部31に保存された検量データを不採用とすることを特徴とする自動分析装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体から採取された被検試料等の液体に含まれる成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された被検試料と各検査項目の試薬との混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を分光光度計や比濁計等で光学的に測定する。そして、被検試料中の様々な検査項目成分の濃度や酵素の活性等で表される分析データを生成する。
【0003】
自動分析装置では、分析データを得るために、検査項目毎にキャリブレーションを行う。このキャリブレーションでは、各検査項目の標準試料と試薬との混合液の測定により吸光度やこの吸光度から算出される吸光度変化量等で表される標準データを生成し、生成した標準データとこの標準データの生成に使用した標準試料に予め値付けされた表示値との関係を示す検量データを生成する。そして、検量データを用いて被検試料と試薬の混合液の測定結果から分析データを生成する。
【0004】
ところで、最新のキャリブレーションにより生成された最新の検量データと、この検量データが生成される前の前回のキャリブレーションにより生成された前回の検量データとの2つの検量データを保存することができる自動分析装置がある。この自動分析装置では、最新の検量データ及びこの検量データの生成に用いられた標準データと、前回の検量データ及びこの検量データの生成に用いられた標準データとを並べて表示部に表示することができる。
【0005】
そして、最新の検量データが正常である場合、最新の検量データが採用され、以前に採用されていた前回の検量データが不採用となる。また、最新の検量データが異常である場合、引き続き前回の検量データが採用され、最新の検量データが不採用となる。更に、自動分析装置の操作者の操作により、不採用となった前回の検量データを採用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−122333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、最新の検量データが異常であると前回の検量データが採用されるため、前回の検量データと最新の検量データの生成に使用された試薬のロットが異なり、最新の検量データ生成に新しいロットの試薬が使用され、最新のキャリブレーションの後に被検試料の測定が行われると、旧ロットの試薬を使用した前回の検量データを用いて、新しいロットの試薬を使用して被検試料の測定が行われる。このため、異常な分析データが生成される問題がある。
【0008】
実施形態は、上記問題点を解決するためになされたもので、異常な分析データの生成を未然に防ぐことができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、実施形態の自動分析装置は、標準試料と試薬の混合液を測定して標準データを生成する分析部と、前記分析部により生成された標準データに基づいて検量データを生成する演算部と、前記検量データが正常であるか否かを判定し、正常であると判定した前記検量データを、前記試薬と被検試料の混合液の測定により生成される被検データから分析データを生成するためのデータとして採用するデータ管理部と、前記データ管理部により採用された前記検量データを保存するデータ記憶部とを備え、前記データ管理部は、前記分析部における測定の開始に応じて、前記標準データが生成される前に前記データ記憶部に保存された前記検量データを不採用とすることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】実施形態に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】実施形態に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【図4】実施形態に係る表示部に表示されたキャリブレーション一覧表の画面の一例を示す図。
【図5】実施形態に係る表示部に表示された有効キャリブレーションデータの画面の一例を示す図。
【図6】実施形態に係る表示部に表示された第1の無効キャリブレーションデータの画面の一例を示す図。
【図7】実施形態に係る表示部に表示された第2の無効キャリブレーションデータの画面の一例を示す図。
【図8】実施形態に係る表示部に表示されるブランク補正キャリブレーションデータの画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、標準試料及び被検試料の各試料と試薬の混合液を測定する分析部24と、分析部24の測定に関る各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御部25と、分析部24で標準試料や被検試料を含む混合液の測定により生成される標準データや被検データに基づいて検量データや分析データの生成を行うデータ処理部30と、標準データや検量データ等を表示するための表示データを生成する表示データ生成部40とを備えている。
【0013】
また、自動分析装置100は、表示データ生成部40で生成された表示データを表示する表示部50と、各検査項目の検量データや分析データを判定するための判定基準値や分析を行うための分析パラメータ等を設定するための入力、分析部24で標準試料と試薬の混合液を測定するキャリブレーションを実行させる入力等を行う操作部60と、分析制御部25、データ処理部30及び表示データ生成部40を統括して制御するシステム制御部70とを備えている。
【0014】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料及び被検試料の各試料を収容する試料容器17と、試料容器17を保持するディスクサンプラ5とを備えている。また、各試料に含まれる検査項目成分と反応する1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、試薬容器6内の第1試薬を保冷する試薬庫1と、試薬庫1に格納された試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aとを備えている。
【0015】
また、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、試薬容器7内の第2試薬を保冷する試薬庫2と、試薬庫2に格納された試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aと、円周上に配置され、一定温度に保たれた複数の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
【0016】
また、ディスクサンプラ5に保持された試料容器17内の各試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10とを備えている。また、ディスクサンプラ5に保持された試料容器17内の各試料の液面をこの試料とサンプル分注プローブ16との接触による例えば静電容量の変化により検出する液面検出器16aと、サンプル分注プローブ16と衝突する障害物を検出する障害物検出器16bとを備えている。そして、液面検出器16aは、試料容器17内の各試料の液面を検出したときの信号を分析制御部25に出力する。また、障害物検出器16bは、障害物を検出したときの信号を分析制御部25に出力する。
【0017】
また、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8と、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬の液面をこの第1試薬と第1試薬分注プローブ14との接触により検出する液面検出器14aとを備えている。そして、液面検出器14aは、試薬容器6内の第1試薬の液面を検出したときの信号を分析制御部25に出力する。
【0018】
また、反応容器3内に吐出された各試料及び第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子18と、第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム19とを備えている。また、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9と、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬の液面をこの第2試薬と第2試薬分注プローブ15との接触により検出する液面検出器15aとを備えている。そして、液面検出器15aは、試薬容器7内の第2試薬の液面を検出したときの信号を分析制御部25に出力する。
【0019】
また、反応容器3内に吐出された各試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子20と、第2撹拌子20を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21とを備えている。また、反応容器3内の混合液を光学的に測定する測定部13と、反応容器3内の測定を終えた混合液を吸引した後に、反応容器3内を洗浄する洗浄ユニット12と、上述した各分析ユニットが配置された開口部を開閉自在に覆う分析部カバー22とを備えている。
【0020】
そして、測定部13は、反応容器3に光を照射し、反応容器3内の標準試料と試薬の混合液や被検試料と試薬の混合液を透過した光を検出する信号に基づいて、例えば吸光度や吸光度の変化量で表される標準データや被検データを生成する。そして、生成した標準データや被検データに、各分析ユニットの動作に異常があった場合に分析制御部25から供給されるエラーフラグを付加してデータ処理部30に出力する。
【0021】
図1に示した分析制御部25は、分析部24の各分析ユニットを駆動する機構及びこの機構を制御する制御回路を備えている。そして、分析部24のディスクサンプラ5及び試薬ラック1a,2aを夫々回動させる。また、反応ディスク4を回転させる。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム19、及び第2撹拌アーム21を夫々回動及び上下移動させる。また、洗浄ユニット12を上下移動させる。また、反応容器3を一定温度に保つ。
【0022】
また、分析制御部25は、分析部24で発生する各分析ユニットや機構の動作異常を検出し、動作異常の影響を受けた標準データや被検データにエラーフラグを付加させる。ここでは、分析部24の液面検出器16a及び障害物検出器16bからの信号に基づいてサンプル分注プローブ16が吸引しようとする試料容器17内の試料不足を検出し、試料不足を検出した試料容器17内からの試料の吸引を停止させる。また、液面検出器14aからの信号に基づいて第1試薬分注プローブ14が吸引しようとする試薬容器6内の第1試薬不足を検出し、第1試薬不足を検出した試薬容器6内からの第1試薬の吸引を停止させる。また、液面検出器15aからの信号に基づいて第2試薬分注プローブ15が吸引しようとする試薬容器7内の第2試薬不足を検出し、第2試薬不足を検出した試薬容器7内からの第2試薬の吸引を停止させる。
【0023】
また、分析制御部25は、ディスクサンプラ5、試薬ラック1a、試薬ラック2a、反応ディスク4、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム19、第2撹拌アーム21、及び洗浄ユニット12の各分析ユニットやこの分析ユニットを駆動する機構に異常が発生したとき、その異常が発生した分析ユニットの機構を停止させる。また、分析部カバー22が開けられたとき、動作中の各分析ユニットの動作を停止させると共に標準データや被検データの生成を停止させる。
【0024】
図1に示したデータ処理部30は、分析部24で生成された標準データや被検データを保存するデータ記憶部31と、データ記憶部31に保存された標準データや被検データを読み出して検量データや分析データの生成を行う演算部32と、演算部32で生成された検量データや分析データの判定等を行うことにより様々なデータの管理を行うデータ管理部33とを備えている。
【0025】
データ記憶部31は、キャリブレーションに関る各データを書き換え可能に保存する不揮発性の最新メモリ31a及前回メモリ31bを備え、最新のキャリブレーションにより分析部24で動作異常の影響を受けたエラーフラグが付加される異常な標準データ又は分析部24の正常動作によりエラーフラグが付加されない正常な標準データ、並びに演算部32で正常な標準データから生成された検量データを検査項目毎に最新メモリ31aの所定の領域に保存する。
【0026】
演算部32は、最新のキャリブレーションにより分析部24で生成された正常な標準データがデータ記憶部31の最新メモリ31aに保存されている場合、正常な標準データに基づいて最新の検量データを生成する。ここでは、正常な標準データとこの標準データの生成に使用される標準試料に予め設定された表示値との関係を示す検量データを検査項目毎に生成し、生成した検量データをデータ管理部33に出力すると共に最新メモリ31aに保存する。
【0027】
また、演算部32は、最新のキャリブレーションにより生成された異常な標準データが最新メモリ31aに保存されている場合、又は分析部24の各分析ユニットの異常停止により最新メモリ31aに標準データが保存されていない場合、最新の検量データの生成を不可能と判断して取り止める。
【0028】
また、演算部32は、測定部13で生成された被検データの検査項目に該当する正常な検量データを最新メモリ31aから読み出し、その読み出した検量データを用いて前記被検データから分析データを生成する。そして、生成した分析データをデータ管理部33に出力すると共にデータ記憶部31に保存する。
【0029】
データ管理部33は、システム制御部70から供給される判定基準値に基づいて、演算部32で生成された各検査項目の最新の検量データが正常であるか否かを判定し、正常であると判定した最新の検量データを、分析部24で生成された被検データから分析データを生成するためのデータとして採用する。そして、最新メモリ31aに保存された最新の検量データに、この検量データを採用したことを示す有効フラグを付加する。また、異常であると判定した最新の検量データを不採用とする。そして、最新メモリ31aに保存された最新の検量データに、この検量データを不採用としたことを示す第1の無効フラグを付加する。
【0030】
なお、自動分析装置100の操作者の判断により、操作部60から第1の無効フラグが付加された検査項目の検量データを有効とする入力が行われると、データ管理部33は、最新メモリ31aに保存された最新の検量データの第1の無効フラグを有効フラグに書き換えて不採用とした最新の検量データを採用する。
【0031】
また、前回のキャリブレーションにより採用され、有効フラグが付加された前回の検量データが最新メモリ31aに保存されている場合、最新のキャリブレーションの開始に応じて、前回の検量データを不採用とするために、分析部24で最新の標準データが生成される前に前回の検量データ及びこの検量データの生成に用いられた標準データを最新メモリ31aから削除し、前回メモリ31bの所定の領域に保存する。
【0032】
また、エラーフラグが付加された最新の標準データの検査項目や分析部24の異常停止により最新の標準データの生成が不可能であった検査項目に対して、最新メモリ31aの検量データ保存領域に分析データの生成が不可能であることを示す第2の無効フラグを保存する。
【0033】
表示データ生成部40は、データ処理部30のデータ管理部33で判定された各検査項目の判定結果を示すフラグをデータ記憶部31の最新メモリ31aから読み出し、その読み出した各検査項目のフラグに基づいてキャリブレーション一覧表を作成する。そして、作成したキャリブレーション一覧表を表示部50に出力する。
【0034】
また、データ記憶部31の最新メモリ31a及び前回メモリ31bに保存された各検査項目の標準データや検量データを読み出し、その読み出した標準データや検量データにより構成されるキャリブレーションデータを検査項目毎に作成する。そして、作成したキャリブレーションデータを表示部50に出力する。
【0035】
ここで、最新メモリ31aに保存された有効フラグが付加される最新の検量データ及びこの検量データの生成に用いられた標準データと、前回メモリ31bに保存された前回の検量データ及びこの検量データの生成に用いられた標準データにより構成される有効キャリブレーションデータを作成する。
【0036】
また、最新メモリ31aに保存された第1の無効フラグが付加される最新の検量データ及びこの検量データの生成に用いられた標準データと、前回メモリ31bに保存された前回の検量データ及びこの検量データの生成に用いられた標準データにより構成される第1の無効キャリブレーションデータを作成する。
【0037】
更に、最新メモリ31aに第2の無効フラグが保存されている検査項目の前回メモリ31bに保存された検量データ及びこの検量データの生成に用いられた標準データにより構成される第2の無効キャリブレーションデータを作成する。
【0038】
表示部50は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、自動分析装置100で分析する検査項目の分析パラメータや判定基準値を設定するための分析パラメータ設定画面を表示する。また、キャリブレーションを行う各検査項目を設定するためのキャリレーション設定画面を表示する。また、表示データ生成部40で作成されたキャリブレーション一覧表を表示する。また、有効キャリブレーションデータ、第1の無効キャリブレーションデータ、及び第2の無効キャリブレーションデータ等の各キャリブレーションデータを表示する。
【0039】
操作部60は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎の分析パラメータや判定基準値を設定するための入力を行う。また、キャリブレーションを行う各検査項目を設定するための入力を行う。
【0040】
システム制御部70は、CPU及び記憶回路を備え、操作部60からの操作により入力された各検査項目の分析パラメータや判定基準値、キャリブレーションを行う各検査項目等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30及び表示データ生成部40を統括してシステム全体を制御する。
【0041】
以下、図1乃至図8を参照して、キャリブレーションを行う自動分析装置100の動作の一例を説明する。
【0042】
図3は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。データ処理部30におけるデータ記憶部31の最新メモリ31aには、各検査項目の例えば昨日のキャリブレーションにより生成された正常な標準データと、この標準データに基づいて生成され、昨日のキャリブレーションにより採用された有効フラグが付加される前回の検量データとが保存されている。
【0043】
なお、キャリブレーションには、検査項目成分を含まない標準試料及び所定濃度の検査項目成分を含む標準試料を使用するフルのキャリブレーションと、検査項目成分を含まない標準試料のみを使用するブランク補正のキャリブレーションがある。以下では、フルのキャリブレーションを行う自動分析装置100の動作を説明する。
【0044】
今朝、最新のキャリブレーションを行うため、操作部60からの操作により表示部50にキャリブレーション設定画面を表示し、キャリブレーション対象の検査項目を設定するための入力を行う。次いで、各検査項目の標準試料の入った試料容器17をディスクサンプラ5に置いた後、操作部60からキャリブレーションを実行させる入力が行われると、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0045】
システム制御部70は、操作部60から入力された入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30及び表示データ生成部40にキャリブレーションの実効を指示する。分析制御部25は分析部24の各分析ユニットを作動させる。
【0046】
分析部24のサンプル分注プローブ16は、サンプルディスク5に保持された試料容器17から各標準試料を吸引して反応容器3内に吐出する。第1試薬分注プローブ14は、試薬ラック1aに保持された試薬容器6から第1試薬を吸引して標準試料が吐出された反応容器3内に吐出する。第1撹拌子18は、反応容器3内の標準試料及び第1試薬の混合液を撹拌する。第2試薬分注プローブ15は、試薬ラック2aに保持された試薬容器7から第2試薬を吸引して、第1撹拌子18で撹拌された各反応容器3内に吐出する。第2撹拌子20は、第2試薬が吐出された各反応容器3に収容された混合液を撹拌する。測定部13は、各反応容器3内の混合液を測定する。
【0047】
データ処理部30のデータ管理部33は、最新のキャリブレーションに応じて、分析部24で最新の標準データが生成される前にキャリブレーション対象の各検査項目の前回の検量データ及びこの検量データの生成に用いられた標準データを最新メモリ31aから削除して前回メモリ31bに保存することにより、前回の検量データを不採用とする(ステップS2)。
【0048】
このように、最新のキャリブレーションに応じて、キャリブレーション対象の検査項目の前回のキャリブレーションにより採用された前回の検量データを不採用にすることにより、最新のキャリブレーションが終了した後に、前回の検量データを用いての分析データの生成を防ぐことができる。これにより、異常な分析データの生成を未然に防ぐことができる。
【0049】
分析部24のサンプル分注プローブ16は、サンプルディスク5に保持された試料容器17から各標準試料を吸引して反応容器3内に吐出する。第1試薬分注プローブ14は、試薬ラック1aに保持された試薬容器6から第1試薬を吸引して標準試料が吐出された反応容器3内に吐出する。第1撹拌子18は、反応容器3内の標準試料及び第1試薬の混合液を撹拌する。第2試薬分注プローブ15は、試薬ラック2aに保持された試薬容器7から第2試薬を吸引して、第1撹拌子18で撹拌された各反応容器3内に吐出する。第2撹拌子20は、第2試薬が吐出された各反応容器3に収容された混合液を撹拌する。測定部13は、各反応容器3内の混合液を測定して最新の標準データを生成し、生成した標準データをデータ記憶部31の最新メモリ31aに保存する(ステップS3)。
【0050】
そして、最新メモリ31aに保存された各検査項目の最新の標準データが全て正常である場合(ステップS4のはい)、演算部32は、その検査項目の正常な標準データに基づいて最新の検量データを生成し、データ管理部33に出力すると共に最新メモリ31aに保存する(ステップS5)。
【0051】
また、最新メモリ31aに保存された各検査項目の最新の標準データの中にエラーコードが付加された異常な標準データが含まれている場合(ステップS4のいいえ)、演算部32は、その検査項目の最新の検量データの生成を取り止める(ステップS6)。
【0052】
データ管理部33は、エラーフラグが付加された最新の標準データの検査項目に対して、最新メモリ31aのその検査項目の検量データ保存領域に分析データの生成が不可能であることを示す第2の無効フラグを保存する。
【0053】
ステップS5の後に、データ管理部33は、システム制御部70から供給される判定基準値に基づいて、演算部32で生成された最新の検量データが正常であるか否かを判定する。そして、検量データが判定基準値内である場合(ステップS7のはい)、最新の検量データが正常であると判定し、最新メモリ31aに保存された最新の検量データに有効フラグを付加する(ステップS8)。
【0054】
また、検量データが判定基準値ら外れている場合(ステップS7のいいえ)、データ管理部33は、最新の検量データが異常であると判定し、最新メモリ31aに保存された最新の検量データに第1の無効フラグを付加する(ステップS9)。
【0055】
分析部24の動作が終了し、データ管理部33による判定動作が終了した後に、操作部60からキャリブレーション一覧表を表示させる操作が行われると、表示データ生成部40は、最新のキャリブレーションにより、データ管理部33で判定された各検査項目の判定結果を示すフラグをデータ記憶部31の最新メモリ31aから読み出し、その読み出した各検査項目のフラグに基づいてキャリブレーション一覧表を作成する。そして、作成したキャリブレーション一覧表を表示部50に表示する。
【0056】
図4は、表示部50に表示されたキャリブレーション一覧表の画面の一例を示した図である。この画面51には、最新のキャリブレーションが行われた各検査項目A1,A2,A3,A4,A5等の項目名である「A1」、「A2」、「A3」、「A4」、「A5」等が表示されている。また、各項目名は、この検査項目における最新の検量データのステータスを識別可能に表示されている。
【0057】
そして、各検査項目A1,A2,A4の項目名は、各検査項目A1,A2,A4の最新の検量データを採用することを示す色(採用色)に識別表示されている。また、検査項目A3の項目名は、検査項目A3の最新の検量データを不採用とすることを示す色(不採用色)に識別表示されている。また、検査項目A5の項目名は、最新の検量データの生成が不可能であったことを示す色(無効色)に識別表示されている。
【0058】
このように、キャリブレーション一覧表を表示部50に表示することにより、最新の検量データが採用された検査項目、最新の検量データが不採用となった検査項目、最新の検量データの生成が不可能であった検査項目を操作者に正しく通知することができる。これにより、前回の検量データを用いての分析データの生成を未然に防ぐことができる。
【0059】
ここで、操作部60からの操作により、再キャリブレーションを実行させる入力が行われると、画面51に不採用色及び無効色で識別表示された検査項目のみ再度キャリブレーションが実行される。そして、再度のキャリブレーションにより、分析部24及びデータ処理部30の動作が終了し、表示部50に表示されたキャリブレーション一覧表のキャリブレーション対象の全ての検査項目の項目名が採用色で表示されると、操作部60からキャリブレーション終了の入力を行うことにより、自動分析装置100は、動作を終了する(ステップS10)。
【0060】
このように、キャリブレーション一覧表を表示部50に表示し、操作部60からの操作により、再キャリブレーションを実行させる入力により、最新の検量データが不採用となった検査項目及び最新の検量データの生成が不可能であった検査項目の再キャリブレーションを実行させることができる。これにより、検査項目毎に選択入力する操作の手間を削減することができる。
【0061】
次に、操作部60からの操作により、画面51に採用色で識別表示された例えば検査項目A4を指定する入力が行われると、表示データ生成部40は、最新メモリ31aに保存された検査項目A4の最新の標準データ及び検量データを読み出して有効キャリブレーションデータを作成する。そして、作成した有効キャリブレーションデータを表示部50に表示する。
【0062】
図5は、表示部50に表示された有効キャリブレーションデータの画面の一例を示した図である。この画面52は第1乃至第3の表示エリアE1乃至E3により構成される。そして、第1の表示エリアE1は、検査項目A4のキャリブレーションに使用された標準試料の種類が表示される「種類」のエリアと、「種類」のエリアに表示された標準試料の表示値が表示される「値」のエリアと、最新メモリ31aに保存された検査項目A4の最新の標準データが表示される「最新値」のエリアとにより構成される。
【0063】
また、第1の表示エリアE1は、最新メモリ31aに保存された検査項目A4の有効フラグが付加される最新の検量データの生成に用いられた標準データが表示される「今回値」のエリアと、前回メモリ31bに保存される前回の検量データの生成に用いられた標準データが表示される「前回値」のエリアとにより構成される。
【0064】
「種類」のエリアには、検査項目A4の例えば7種類の標準試料C0乃至C6の略名である「C0」、「C1」、「C2」、「C3」、「C4」、「C5」及び「C6」が表示されている。また、「値」のエリアには、「種類」のエリアに表示された各標準試料C0乃至C6の表示値が表示されている。そして、標準試料C0に設定された検査項目A4の成分を含まない表示値である「0」が表示されている。また、標準試料C1に設定された表示値である「50」が表示され、標準試料C2に設定された表示値である「100」が表示されている。また、標準試料C3に設定された表示値である「150」が表示され、標準試料C4に設定された表示値である「200」が表示されている。また、標準試料C5に設定された表示値である「250」が表示され、標準試料C6に設定された表示値である「300」が表示されている。
【0065】
「最新値」のエリアは、「種類」のエリアに表示された各標準試料C0乃至C6の1回目の測定により生成された最新の標準データが表示される「1」のエリアと、1回目の測定に連続して2回目の測定により生成された最新の標準データが表示される「2」のエリアと、2回目の測定に連続して3回目の測定により生成された最新の標準データが表示される「3」のエリアとにより構成される。ここでは、各標準試料C0乃至C6の1回の測定により生成された最新の標準データが「1」のエリアに表示され、「2」及び「3」のエリアは空白になっている。
【0066】
「1」のエリアには、標準試料C0の測定により生成された例えば吸光度で示される標準データである「0.0000」が表示されている。また、標準試料C1の測定により生成された標準データである「0.0791」が表示され、標準試料C2の測定により生成された「0.1570」が表示されている。また、標準試料C3の測定により生成された「0.2407」が表示され、標準試料C4の測定により生成された「0.3132」が表示されている。また、標準試料C5の測定により生成された「0.4346」が表示され、標準試料C6の測定により生成された「0.6447」が表示されている。
【0067】
「今回値」のエリアには、検査項目A4の有効フラグが付加される最新の検量データの生成に用いられた標準データが表示される。ここでは、「最新値」のエリアの「1」のエリアに表示された各標準データが表示されている。なお、各標準試料C0乃至C6の2回の測定により生成された正常な標準データである場合、「1」及び「2」のエリアの標準データの平均値が検量データの生成に用いられる。また、各標準試料C0乃至C6の3回の測定により生成された正常な標準データである場合、「1」、「2」及び「3」のエリアの標準データの中央値が検量データの生成に用いられる。
【0068】
「前回値」のエリアには、「種類」のエリアに表示された各標準試料C0乃至C6の測定により生成され、前回メモリ31bに保存される前回の検量データの生成に用いられた標準データである「−0.0001」、「0.0741」、「0.2101」、「0.5040」、「0.6339」、「0.7112」及び「1.0708」が表示されている。
【0069】
第2の表示エリアE2には、第1の表示エリアE1の「値」のエリアに表示された各表示値と「今回値」のエリアの各標準データとの関係を示す最新の検量データをグラフ化した最新のグラフG1が表示されている。また、「値」のエリアに表示された各表示値と「前回値」のエリアの各標準データとの関係を示す前回の検量データをグラフ化した前回のグラフG2がグラフG1に識別して表示されている。
【0070】
第3の表示エリアE3は、「更新情報」、「更新日時」、「有効期限」及び「検量線エラー」のエリアにより構成される。そして、「更新情報」のエリアには、最新のキャリブレーションにより正常な検量データが生成されたことを示す「新規」が表示されている。また、「更新日時」のエリアには、第1の表示エリアE1の「最新値」のエリアに各標準試料C0乃至C6の測定回数に応じた数の標準データが生成され、生成された標準データがすべて正常である場合の最後の標準データが生成されたときの日時である「2011/7/6 8:30」が表示されている。また、「有効期限」のエリアには、検査項目A4に設定された有効期間に基づいて計算される例えば有効期間が24時間である場合の「更新日時」に表示された日時から24時間経過した日時である「2011/7/7 8:30」が表示されている。また、「検量線エラー」のエリアは、検査項目A4の最新の検量データが正常であるため、空白になっている。
【0071】
次に、図4の画面51に表示された検査項目A4の項目名が例えば不採用色に識別表示される場合、表示部50に表示される検査項目A4の第1の無効キャリブレーションデータの画面の一例を説明する。
【0072】
図6は、表示部50に表示される第1の無効キャリブレーションデータの画面の一例を示した図である。この画面52aが図5に示した画面52と異なる点は、例えば標準試料C6の測定により生成された標準データが異なることにより、第1の表示エリアE1における「最新値」のエリアの「1」及び「今回値」のエリアに「0.5884」が「0.6447」に代えて表示される点と、第2の表示エリアE2に最新のグラフG1に代えて最新のグラフG1aがグラフG2に対して識別表示される点と、第3の表示エリアE3における「更新情報」、「更新日時」及び「有効期限」のエリアが空白になる点と、「検量線エラー」のエリアにエラーフラグである「CRV」が表示される点である。
【0073】
「最新値」のエリアの「1」のエリア及び「今回値」のエリアに「0.5884」が表示されることにより、第2の表エリアE2に最新のグラフG1aが表示される。また、最新のグラフG1aの「250」と「300」間における傾きと、グラフG2の「250」と「300」間における傾きの比が検査項目A4の検量データの判定基準値から外れているため、データ管理部33により最新の検量データが異常であると判定され、傾きの比の異常を示すエラーフラグである「CRV」が「検量線エラー」のエリアに表示される。
【0074】
ここで、操作部60から検査項目A4の第1の無効フラグが付加された最新の検量データを有効とする入力が行われると、データ管理部33は、不採用とした最新の検量データを採用するために、最新メモリ31aに保存された最新の検量データに付加される第1の無効フラグを有効フラグに置き換える。そして、画面52aの第3の表示エリアE3は、画面52の第3の表示エリアE3と同じ表示内容に切り替わる。
【0075】
また、操作部60から前回の検量データを採用する入力が行われると、データ管理部33は、不採用とした前回の検量データを採用するために、前回の検量データ及び標準データを前回メモリ31bから削除し、最新メモリ31aに保存する。そして、画面52aの第1の表示エリアE1における「今回値」のエリアの各標準データが「前回値」のエリアの各標準データに切り替わる。
【0076】
なお、図3の各ステップS1乃至ステップS10における動作のタイミングに合わせて、リアルタイムにキャリブレーションデータを表示部50に表示させるように実施してもよい。そして、「最新値」のエリアを最新のキャリブレーションの開始に合わせて空白表示とし、分析部24で生成された最新の標準データを最新メモリ31aへ保存するタイミングに合わせて「最新値」のエリアにリアルタイムに表示する。また、演算部32で生成された最新の検量データを最新メモリ31aへ保存するタイミングに合わせて、「今回値」のエリアに最新の検量データの生成に用いられた標準データを表示する。また、前回の検量データを前回メモリ31bへ保存するタイミングに合わせて、前回の検量データのグラグG2を第2の表示エリアE2に表示すると共に前回の検量データの生成に用いられた標準データを「前回値」のエリアに表示する。また、前回の検量データを前回メモリ31bへ保存するタイミングに合わせて、「検量線エラー」のエリアに採用された検量データが最新メモリ31aに保存されていないことを示す「INVALID」を、最新の検量データが最新メモリ31aに保存されるまで表示する。
【0077】
このように、最新メモリ31a及び前回メモリ31bへの保存のタイミングに合わせて、最新の標準データをリアルタイムに表示部50に表示することができる。これにより、最新の標準データを迅速に通知することができる。また、不採用になった前回の検量データ及び標準データを迅速に通知することができる。
【0078】
次に、図4の画面51に表示された検査項目A4の項目名が例えば無効色に識別表示される場合、表示部50に表示される検査項目A4の第2の無効キャリブレーションデータの画面の一例を説明する。
【0079】
図7は、表示部50に表示される第2の無効キャリブレーションデータの画面の一例を示した図である。この画面52bが図5に示した画面52と異なる点は、第1の表示エリアE1における「最新値」のエリアの「1」及び「今回値」のエリアに標準試料C4の測定により生成されたエラーフラグが付加される標準データが非表示にされる点と、「今回値」のエリアが空白になる点と、第2の表示エリアE2に前回のグラフG2のみが表示される点と、第3の表示エリアE3における「更新情報」及び「更新日時」のエリアが空白になり、「有効期限」のエリアに最新の検量データの生成が不可能であったことを示すエラーフラグである「FAIL」が表示される点である。
【0080】
最新メモリ31aに、例えば試料容器17内の標準試料C4の試料不足によるエラーコードが付加された最新の標準データが保存されることにより、画面52の「1」のエリアの「0.3132」が表示された領域が非表示になる。
【0081】
また、エラーフラグが付加された最新の標準データにより演算部32が最新の検量データの生成を取り止めた検査項目A4に対して、データ管理部33が最新メモリ31aの検査項目A4の検量データ保存領域に第2の無効フラグを保存することにより、「今回値」のエリアが空白になる。また、第2の表示エリアE2に前回のグラフG2のみが表示され、第3の表示エリアE3における「更新情報」、「更新日時」及び「有効期限」のエリアが空白になる。
【0082】
次に、ブランク補正のキャリブレーションが行われた後、操作部60からの操作により、表示部50に例えば図4の画面51が表示され、画面51に採用色で識別表示される検査項目A4を指定する入力が行われると、表示部50にはブランク補正のキャリブレーションデータが表示される。
【0083】
図8は、表示部50に表示されるブランク補正のキャリブレーションデータの画面の一例を示した図である。この画面52cにおける第1の表示エリアE1の「前回値」のエリアには、「種類」のエリアに表示された各標準試料C0乃至C6の測定により生成され、前回メモリ31bに保存される前回の検量データの生成に用いられた標準データである例えば「−0.0001」、「0.0741」、「0.2101」、「0.5040」、「0.6339」、「0.7112」及び「1.0708」が表示される。
【0084】
「最新値」のエリアにおける「1」のエリアには、標準試料C0の1回の測定により生成され、最新メモリ31aに保存された正常な最新の標準データである「0.0002」が表示される。また、各標準試料C1乃至C6に対しては、前回メモリ31bからコピーされた「0.0741」、「0.2101」、「0.5040」、「0.6339」、「0.7112」及び「1.0708」の各標準データに、「1」のエリアの「0.0002」から「前回値」のエリアの「−0.0001」を差し引いた値を加算することにより演算部32で得られる「0.0744」、「0.2104」、「0.5043」、「0.6342」、「0.7115」及び「1.0711」が表示される。また、「今回値」のエリアには、検査項目A4の有効フラグが付加される最新の検量データの生成に用いられた標準データが表示される。ここでは、「1」のエリアに表示された各標準データが表示される。
【0085】
第2の表示エリアE2には、第1の表示エリアE1の「値」のエリアに表示された各表示値と「今回値」のエリアの各標準データとの関係を示す最新の検量データをグラフ化した最新のグラフG1cが表示される。また、「値」のエリアに表示された各表示値と「前回値」のエリアの各標準データとの関係を示す前回の検量データをグラフ化した前回のグラフG2が表示される。
【0086】
なお、ブランク補正のキャリブレーションにより、「今回値」のエリアに表示された標準データにより生成される最新の検量データが異常である場合、その異常を示すエラーフラグが「検量線エラー」のエリアに表示される。
【0087】
また、ブランク補正のキャリブレーションにより、標準試料C0の1回の測定により生成された最新の標準データが異常である場合、「1」のエリアに最新の標準データのみが識別表示され、前回メモリ31bから最新メモリ31aへのコピーが行われず、各標準試料C1乃至C6に対応する前回メモリ31bの標準データは表示されない。また、「今回値」のエリアは空白になる。
【0088】
以上述べた実施形態によれば、最新のキャリブレーションに応じて、キャリブレーション対象の検査項目の前回のキャリブレーションにより採用された前回の検量データを不採用にすることにより、最新のキャリブレーションが終了した後に、前回の検量データを用いての分析データの生成を防ぐことができる。これにより、異常な分析データの生成を未然に防ぐことができる。
【0089】
また、キャリブレーション一覧表を表示部50に表示することにより、最新の検量データが採用された検査項目、最新の検量データが不採用となった検査項目、最新の検量データの生成が不可能であった検査項目を操作者に正しく通知することができる。これにより、前回の検量データを用いての分析データの生成を未然に防ぐことができる。
【0090】
また、キャリブレーション一覧表を表示部50に表示し、操作部60からの操作により、再キャリブレーションを実行させる入力により、最新の検量データが不採用となった検査項目及び最新の検量データの生成が不可能であった検査項目の再キャリブレーションを実行させることができる。これにより、検査項目毎に選択入力する操作の手間を削減することができる。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
24 分析部
25 分析制御部
30 データ処理部
31 データ記憶部
31a 最新メモリ
31b 前回メモリ
32 演算部
33 データ管理部
40 表示データ生成部
50 表示部
60 操作部
70 システム制御部
100 自動分析装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準試料と試薬の混合液を測定して標準データを生成する分析部と、
前記分析部により生成された標準データに基づいて検量データを生成する演算部と、
前記検量データが正常であるか否かを判定し、正常であると判定した前記検量データを、前記試薬と被検試料の混合液の測定により生成される被検データから分析データを生成するためのデータとして採用するデータ管理部と、
前記データ管理部により採用された前記検量データを保存するデータ記憶部とを備え、
前記データ管理部は、前記分析部における測定の開始に応じて、前記標準データが生成される前に前記データ記憶部に保存された前記検量データを不採用とすることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記検量データが採用された検査項目、前記データ管理部により異常であると判定されて前記検量データが不採用となった検査項目、前記分析部の異常により前記検量データの生成が不可能であった検査項目の情報を識別表示する表示部を有することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記分析部における測定の開始のタイミングに合わせて空白表示とし、前記分析部で生成された最新の標準データをリアルタイムに表示する最新値エリアと、前記分析部の正常動作により生成された前記最新の標準データに基づき生成される前記検量データの生成に用いられた標準データを表示する今回値エリアと、前記最新値エリアに前記最新の標準データが表示される前に、前記データ記憶部に保存された前記検量データの生成に用いられた標準データを表示する前回値エリアとにより構成される表示部を有することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−24783(P2013−24783A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161409(P2011−161409)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】