説明

自動分析装置

【課題】試料を分注するまでに試料容器が取り出されたことを検出し、検出した結果を報知することにより、誤った測定を防止することが可能な自動分析装置を提供する。
【解決手段】測定指示を受けて、試料及び試料に対応する試薬を各容器から分注することにより混合液を生成し、混合液の成分の下分析により試料の成分を測定し、第1の収容庫、第2の収容庫、検出手段、及び報知手段を有する。第1の収容庫は試料容器を出し入れ可能に形成される。第2の収容庫は試薬容器を出し入れ可能に形成される。検出手段は、試料または試薬が分注されるまでに、試料容器又は試薬容器が第1の容器又は第2の容器から取り出されたかどうかを検出する。報知手段は、検出した結果を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、試料と試薬とにより混合液を生成し、当該混合液の成分を解析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動分析装置では、試料は試料容器に入れられ、ディスクサンプラやラックサンプラに保持されている。また、試薬は試薬容器に入れられ、試薬庫に保持されている。試料容器には試料を識別するための識別情報(例えばバーコード)が付されている。また、試薬容器には試薬を識別するための識別情報が付されている。なお、以下の説明で、試料及びその試料に対応する試薬を「試料等」といい、試料容器及び試薬容器を単に「容器」といい、ディスクサンプラ、ラックサンプラ、または試薬庫を「収容庫」という場合がある。
【0003】
収容庫に容器が入れられたとき、識別情報が読み取られる。測定指示を受けて、各容器が分注位置に移動する。各容器から試料及び試薬が反応容器に分注され、反応容器内で試料及び試薬が反応する。この混合液を分析することにより、試料の成分を測定する。
【0004】
試料容器に貼付されたバーコードを読み取ることにより、試料に関わる情報を取得するバーコードリーダがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−240594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の自動分析装置では、測定指示を受けて、容器から試料等を分注するまでに、例えばオペレータが不注意等により容器と他の容器とを取り替えると、誤った測定をしてしまうという問題点があった。
【0007】
実施形態は、前述の問題点を解決するためになされたもので、試料等を分注するまでに容器が取り出されたことを検出し、検出した結果を報知することにより、誤った測定を防止することが可能な自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の自動分析装置は、測定指示を受けて、試料及び試料に対応する試薬を各容器から分注することにより混合液を生成し、混合液の成分の下分析により試料の成分を測定し、第1の収容庫、第2の収容庫、検出手段、及び報知手段を有する。第1の収容庫は試料容器を出し入れ可能に形成される。第2の収容庫は試薬容器を出し入れ可能に形成される。検出手段は、試料または試薬が分注されるまでに、試料容器又は試薬容器が第1の収容庫又は第2の収容庫から取り出されたかどうかを検出する。報知手段は、検出した結果を報知することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】中心軸に沿って断面にした試料庫の断面図。
【図3】蓋部材等を除去して底板等を示した試料庫の平面図。
【図4】図2の部分拡大断面図。
【図5】試料容器の設置履歴を示す図。
【図6】試料容器の設置履歴を示す図。
【図7】自動分析装置の一連の動作を示すフローチャート。
【図8】容器の取り出し検出から分注等を継続するかどうかの判断するまでの動作を示すフローチャート。
【図9】容器の取り出し検出を示すフローチャート。
【図10】容器の取り出しを検出した時間に応じた報知の態様を示すフローチャート。
【図11】報知の態様に基づいて、分注等を継続するかどうかの判断を示すフローチャート。
【図12】第2の実施形態に係る試料庫の部分拡大断面図。
【図13】連動部材の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
この自動分析装置の実施形態について各図を参照して説明する。
自動分析装置は、試料と試薬とを分注してその混合液の反応を分析することにより、試料に含まれる化学成分を分析する装置である。反応管に血液や尿等の試料と試薬を分注してからこれらを反応させた後、反応によって生じる色調の変化を光測定することにより試料の成分または酵素の濃度や活性を測定する。
【0011】
図1は自動分析装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、自動分析装置は、分析部1、データ処理部2、駆動手段3、ユーザインターフェース4、検出手段5、読取手段6、制御部7、及び記憶手段8を有する。
【0012】
分析部1は、試料と試薬とを分注してその混合液の反応を分析して、測定結果データを出力する。なお、以下の説明において、試料の分注及び試薬の分注を単に「分注」という場合がある。また、試料容器11及び試薬容器21を単に「容器」という場合がある。
【0013】
データ処理部2は、分析部1から出力された測定結果データを演算処理して検査線データや分析データを生成し、備え付けのモニタやプリンタに出力する。
【0014】
駆動手段3は、モータやギア等を含み構成され、駆動力を発生して分析部1の各ユニットに伝達させることで、分析部1の各ユニットを駆動させる。
【0015】
ユーザインターフェース4は、入力手段43、表示制御手段41、及び表示手段42を有する。入力手段43の一例としては、マウス、トラックボール、タッチパネル、タッチパッド、ジョイスティック、ジョイパッド等のポインティングデバイスである。表示手段42の一例はモニタである。表示制御手段41は、入力手段43による操作を受けて、表示手段42に表示される表示領域を特定し、特定された表示領域に対応する指示を制御部7に出力する。また、表示制御手段41は報知情報を表示手段42に表示させる。
【0016】
検出手段5は、試料を入れるための試料容器(図示省略)を分析部1の所定位置に設置したとき、試料容器11の取り入れを検出し、所定位置から外したとき、試料容器11の取り出しを検出する。
【0017】
読取手段6は、試料容器11に付されたバーコードを読み取るバーコードリーダである。また、同様の読取手段6が試薬容器21に付されたバーコードを読み取るために設けられている。
【0018】
制御部7は、分析部1が有する各ユニットの駆動を制御する。また、制御部7は、検出手段5により検出された信号及び読取手段6により読み取られた情報を受けて、容器の出し入れ情報を記憶手段8に記憶させる。
【0019】
なお、分析部1の詳細、表示手段42に表示される報知情報の詳細、検出手段5の詳細、及び容器の出し入れ情報の詳細については後述する。
【0020】
〔分析部〕
次に分析部1の詳細について説明する。
【0021】
分析部1は、試料庫10、試薬庫20、及び反応庫30を有する。また、反応庫30の外周囲には、試料と試薬とによる混合液を反応容器31内で攪拌することにより反応を促す攪拌ユニット40、反応によって生じる変化を光測定する測光ユニット50、使用済みの反応容器31を洗浄する洗浄ユニット60が立設されている。この試料庫10が「収容庫」の一例である。
【0022】
試料庫10内の試料容器11から反応庫30内の反応容器31に試料を分注するための試料プローブ71が設けられている。試料庫10は所定角度だけ回転することにより所定の試料容器11を分注位置(試料プローブ71が分注可能な位置)に移動させる。この試料容器11を分注位置に移動させる動作を分注動作という場合がある。
【0023】
また、試薬庫20内の試薬容器21から反応容器31に試料を分注するための試薬プローブ72が設けられている。
【0024】
次に、試料庫10の詳細について図1〜図4を参照して説明する。図2は回転軸に沿って断面にした試料庫10の断面図、図3は蓋部材12等を除外して検出手段5、底板13、及びモータ15を示す平面図である。
【0025】
図2に示すように、試料庫10は、検出手段5、蓋部材12及び底板13の他に、モータ15、シャフト15a、ホルダ15b、取手15c、サンプラディスク16、保持部材17、軸状部材18、及び付勢手段19を有している。
【0026】
モータ15は略円形状の底板13の中心に固定されている。モータ15のシャフト15aは上方に延ばされ、その上端部にホルダ15bが固定されている。このホルダ15bにサンプラディスク16が固定されている。したがって、サンプラディスク16は、モータ15に連動して回転するように構成される。
【0027】
(保持部材)
サンプラディスク16には、回転軸を中心に放射方向に保持部材17が多数設けられている。保持部材17は、試料容器11を保持し、かつ、試料容器11を出し入れ可能に形成されている。
【0028】
保持部材17は、試料容器11の外周壁を保持する保持爪171、及び試料容器11の底部を保持するとともに、試料容器11の底部との間で摩擦抵抗を生じさせて、試料容器11の相対的な回転を防止するゴム製の保持皿172とを有している。保持皿172の中心部には保持部材17の内方と外方とに連通する貫通穴173が設けられている。
【0029】
(軸状部材)
図4は図2の部分拡大断面図である。図2及び図4に示すように、軸状部材18は、貫通穴173に嵌合して、保持部材17の内方位置と外方位置との間に移動するように設けられている。軸状部材18の両端部181は貫通穴173から外れないように中間部182の径より大きな径を有している。軸状部材18は「連動部材」の一例である。
【0030】
(付勢手段)
付勢手段19は軸状部材18を保持部材17の内方(上方)に付勢している。付勢手段19の一例としては圧縮コイルスプリングであり、軸状部材18の中間部182に巻かれ、軸状部材18の上端部181と保持皿172との間に圧縮された状態で設けられている。
【0031】
付勢手段19は、保持部材17に入れられる試料容器11の重さによりさらに圧縮され、試料容器11を保持部材17から取り出すことにより復元するような付勢力を有している。付勢手段19をさらに圧縮させることにより、軸状部材18の大部分が保持部材17の外方位置(保持皿172の下方位置)に移動し、下方に押し下げられる。また、付勢手段19を復元させることにより、軸状部材18の大部分が保持部材17の内方位置(保持皿172の上方位置)に移動する。
【0032】
(検出手段)
図3に示すように、検出手段5は、底板13に固定部材131を介して支持されている。検出手段5は軸状部材18の外方位置への移動を検出することにより、保持部材17に取り入れられるときの試料容器11の変位を検出する。検出手段5は軸状部材18の内方位置への移動を検出することにより、保持部材17から取り出されるときの試料容器11の変位を検出する。
【0033】
検出手段5の一例としては、光を検知したとき電気回路(図示省略)に検出電流が流れ、光を検知しないとき電気回路に検出電流が流れる光センサである。このような検出手段5を保持部材17の下方に配置することにより、電気回路に検出電流が流れないとき、軸状部材18が外方位置(保持部材17の下方位置)に移動して光を遮断すること(容器の設置開始)を検出し、電気回路に検出電流が流れるとき、軸状部材18が内方位置(保持部材17の上方位置)に移動して光を遮断しないこと(容器の設置終了)を検出する。
【0034】
制御部7は、検出手段5からの検出電流を受けて、サンプラディスク16の回転角度に対応させて容器の設置位置を判断する。
【0035】
次に、保持部材17に出し入れされる試料容器11の管理方法について図1及び図5を参照して説明する。
【0036】
検出手段5が軸状部材18の下方(保持部材17の外方位置)への移動を検出することで、保持部材17に試料容器11が入れられることを検出すると、制御部7からの読み取り指令を受けて、読取手段(例えばバーコードリーダ)6が、試料容器11に付けられる識別情報(例えばバーコード)を読み取る。制御部7は、読み取られた試料容器11の識別情報と保持部材17の識別情報とを対応させて記憶手段8に記憶させる。
【0037】
図5は試料容器の設置履歴を示す図である。図5に示すように、試料容器11を保持部材17に入れることにより設置すると、その保持部材17に係る設置位置識別情報に対応させて、その保持部材17に入れられ、読取手段6により読み取られた試料容器11の識別情報(試料容器識別情報)が書き込まれる。さらに、試料容器11を保持部材17に入れた時である設置開始時間が書き込まれる。
【0038】
図6は試料容器の設置履歴を示す図である。図6に示すように、試料容器11を保持部材17から取り出すと、その保持部材17に係る設置位置識別情報に対応させて、試料容器11が保持部材17から取り出された時である設置終了時間が書き込まれる。
【0039】
さらに、その保持部材17に新たな試料容器11を入れると、その保持部材17に係る設置位置識別情報に対応させて、その保持部材17に入れられ、読取手段6により読み取られた新たな試料容器11の識別情報(試料容器識別情報)が書き込まれる。
【0040】
制御部7は、同じ設置位置識別情報「001」に異なる試料容器識別情報「1010」、「1012」が書き込まれたことを受けて、試料容器11の交換があったことを判断する(図6で示す矢印を参照)。
【0041】
制御部7は、試料容器11の取り出しを検出した結果を受けて、検出した結果を表示手段42に表示させる指示を表示制御手段41に出力する。検出した結果の報知の詳細については後述する。
【0042】
〔動作〕
次に、自動分析装置の一連の動作について図7を参照して簡単に説明する。図7は自動分析装置の一連の動作を示すフローチャートである。
【0043】
試料容器11が試料庫10に入れられ、試薬容器21が試薬庫20に入れられる(ステップS101)。なお、制御部7は、試薬容器21が試薬庫20に入れられたときの時間である設置開始時間を記憶手段8に記憶させる(後述する)。試料容器11及び試薬容器21に付された各識別情報が読取手段6により読み取られる(ステップS102)。
【0044】
次に、試料成分の測定指示を受けると(ステップS103)。制御部7は、試料成分の測定指示を受けたときの時間(測定指示時間)を記憶手段8に記憶させる。試料成分の測定指示を受けたとき、その試料成分の測定は、行列の最後尾に入り、行列待ちとなる。先行する測定が終了すると、試料の分注が開始される(ステップS104)。制御部7が試料の分注の開始時間(分注開始時間)を記憶手段8に記憶させる。
【0045】
試料成分の測定においては、測定項目に応じて、試料容器11から試料を分注し、試薬容器21から試薬を分注する。それにより混合液を生成し、分注が終了する。なお、複数の測定項目があれば、その複数分の混合液を生成する(ステップS105)。制御部7は分注の終了時間(分注終了時間)を記憶手段8に記憶させる。
【0046】
混合液の分析をすることにより、試料の成分の測定を終了する(ステップS106)。制御部7は、試料成分の測定の終了時間(測定終了時間)を記憶手段8に記憶させる。
【0047】
なお、設置開始時間、設置終了時間(後述する)、測定指示時間、分注開始時間、分注終了時間、及び測定終了時間を参照時間という場合がある。制御部7は、参照時間に基づき、試料容器11の取り出しを検出した結果を受けて、検出した結果を報知する時間を決定する。
【0048】
図8は容器の取り出し検出を示すフローチャートである。なお、容器の取り出し検出は、自動分析装置の一連の動作(ステップS101〜S106)と並行して行われる。図8に示すように、容器の検出(ステップS201)、容器の取り出しの報知(ステップS202)及び、分注等の継続の判断(ステップS203)を行う。なお、容器の検出(ステップS201)及び容器の取り出しの報知(ステップS202)は、容器毎に行われる。
【0049】
次に、容器の取り出し検出の動作について図9を参照して説明する。図9は、容器の検出を示すフローチャートである。図9に示すように、制御部7は、検出手段5から検出電流が出力されたかどうかを判断する(ステップS301)。この判断は検出手段5毎に行われる。
【0050】
制御部7は、検出手段5から検出電流が出力されていると判断したとき(ステップS301:Yes)、設置開始時間が記憶手段8に記憶されていかどうかを判断する(ステップS302)。設置開始時間が記憶されてないとき(ステップS302:No)、検出電流の出力判断(ステップS301)に戻る。
【0051】
設置開始時間が記憶されているとき(ステップS302:Yes)、試料容器11が保持部材17から取り出された時間である設置終了時間を記憶手段8の設置位置識別情報に対応させて記憶手段8に記憶させる(ステップS303)。
【0052】
制御部7は、検出手段5から検出電流が出力されないと判断したとき(ステップS301:No)、制御部7は同一の設置位置識別情報に対応して設置開始時間が記憶されているかどうか(前回の設置がありか)を判断する(ステップS304)。前回の設置がないとき(ステップS304:No)、設置開始時間を設置位置識別情報に対応させて記憶手段8に記憶させる(ステップS305)。なお、このとき、ステップS102で述べたように試料容器11の識別情報が読み取られる。次に、検出電流の出力判断(ステップS301)に戻る。
【0053】
前回の設置があるとき(ステップS304:Yes)、前回の設置を履歴情報として残し、新たな設置開始時間を記憶手段8に記憶させる(ステップS306)。次に、(ステップS202)に移行する。
【0054】
以上により、制御部7は、記憶手段8に前回の設置がある(既に設置開始時間が記憶されている)ことに基づき、試料容器11の取り出しを判断する。また、制御部7は、容器の取り出しを予め定められた報知時間に従って報知する。報知時間は、新たな設置開始時間及び参照時間(前述)に対応してテーブル(図示省略)に記憶されている。
【0055】
次に、試料容器11の取り出しを報知するときの動作の一例について図10を参照して説明する。図10は容器の取り出しを検出した時間に応じた報知の態様を示すフローチャートである。図10に示すように、制御部7は、試料容器11の取り出しが分注開始前であるとき(ステップS401:Yes)、かつ、試料測定指示前であるとき(ステップS402:Yes)、『容器の取り出し(測定指示前)』を表示させるように表示制御手段41に指示する(ステップS403)。次に、継続判断(ステップS203)に移行する。
【0056】
制御部7は、試料容器11の取り出しが分注開始前であるとき(ステップS401:Yes)、かつ、試料測定指示後であるとき(ステップS402:No)、『容器の取り出し(分注前)』を表示させるように表示制御手段41に指示する(ステップS404)。次に、継続判断(ステップS203)に移行する。
【0057】
制御部7は、試料容器11の取り出しが分注開始後であるとき(ステップS401:No)、かつ、測定終了前であるとき(ステップS405:Yes)、『容器の取り出し(測定終了前)』を表示させるように表示制御手段41に指示する(ステップS406)。次に、継続判断(ステップS203)に移行する。
【0058】
なお、制御部7は、容器の取り出しが分注開始後であるとき(ステップS401:No)、かつ、測定終了後であるとき(ステップS405:No)、容器の取り出しがあっても測定結果に支障を来さないため、何ら報知しない。次に、継続判断(ステップS203)に移行する。
【0059】
次に、測定の続行の判断動作について図11を参照して説明する。図11は、報知の態様に基づいて分注等を継続するかどうかの判断を示すローチャートである。
【0060】
図11に示すように、試料測定指示前の報知があったとき(ステップS501:Yes)、オペレータが継続を選択したとき(ステップS502:Yes)、自動分析装置の一連の動作が継続し、試料測定指示待ちの状態となる(ステップS503)。一方、オペレータが継続を選択しないとき(ステップS502:No)、自動分析装置の一連の動作が中止となる(ステップS504)。
【0061】
分注前の報知があったとき(ステップS505:Yes)、オペレータが継続を選択したとき(ステップS506:Yes)、自動分析装置の一連の動作が継続し、分注待ちの状態となる(ステップS507)。一方、オペレータが継続を選択しないとき(ステップS506:No)、自動分析装置の一連の動作が中止となる(ステップS504)。
【0062】
測定終了前の報知があったとき(ステップS508:Yes)、オペレータが継続を選択したとき(ステップS509:Yes)、自動分析装置の一連の動作が継続し、分注待ちの状態となる(ステップS510)。一方、オペレータが継続を選択しないとき(ステップS509:No)、自動分析装置の一連の動作が中止となる(ステップS504)。
【0063】
一方、測定終了前の報知がなかったとき(ステップS508:No)、継続判断の終了となる。容器の取り出しがあっても、測定終了後であるため、測定結果に支障を来さないからである。
【0064】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について図12を参照して説明する。図12は試料庫の部分拡大断面図である。第2の実施形態において、第1の実施形態の構成と同じものについては同一番号を付してその説明を省略する。
【0065】
第1の実施形態では、付勢手段19を、保持部材17及び軸状部材18から独立して形成されたものを示したが、軸状部材18を保持部材17の内方に付勢する機能を持つ付勢手段19を、保持部材17及び/または軸状部材18と一体的に形成してもよい。
【0066】
図12に示すように、付勢手段19は、復元力を有する薄肉形状の撓み部191を備えている。撓み部191は、保持皿172と軸状部材18とを連結するように形成される。撓み部191は、試料容器11の底部11aが保持皿172に当接することにより変形して、軸状部材18を保持部材17の外方位置(保持皿172の下方位置)へ移動させ、試料容器11の底部11aが保持皿172から離れることにより復元して保持部材17の内方位置(保持皿172の上方位置)へ移動させる。
【0067】
付勢手段19を保持部材17及び保持皿172と一体的に形成したことにより、部品点数が減って、製造コスト、組立コストを低減させることが可能となる。なお、撓み部191を保持部材17または保持皿172と一体的に形成しても、部品点数を減らす効果を奏する。
【0068】
なお、前記実施形態では、試料容器11の取り出しを検出し、検出した結果を報知する構成を示したが、同様な構成により、試薬容器21の取り出しを検出し、検出した結果を報知するようにしてもよい。
【0069】
試薬庫20においては、その内部が恒温状態にあるため、結露が発生する場合がある。この結露による影響を受けないようにするため、検出手段5には、防水加工が施されたものを使用するのが望ましい。
【0070】
また、前記実施形態においては、試料容器11の動きを検出する検出手段5を示したが、これに限定されず、検出手段5は、試料容器11の設置場所の画像に基づいて試料容器の有無を検出するようにしてもよい。すなわち、検出手段5は、設置場所の画像を取得するための撮影手段と、撮影手段により取得される試料容器11が置かれているときの設置場所の第1画像と、試料容器11が置かれていないときの設置場所の第2画像との差に基づいて、試料容器11が取り出されたかどうかを検出するようにしてもよい。
【0071】
さらに、第1画像と第2画像との差を明確にするために、試料容器11の口部に設定場所とは異なる色を付けるようにしてもよい。
【0072】
さらに、試料容器11の底部11aに反射部材を設け、底部11aに光を照射し、底部11aからの反射光を検出する検出手段5を設けてもよい。
【0073】
さらに、前述の実施形態では、保持皿172の上方及び下方に移動するように軸状部材18を設けたが、これに限らず、軸状部材18を保持部材17の側壁の外側及び内側に移動するように設け、試料容器11を保持部材17に取り入れたとき、軸状部材18が保持部材17の側壁の外側に移動し、試料容器11を保持部材17から取り出したとき、付勢力により軸状部材18が保持部材17の側壁の内側に移動するようにしてもよい。
【0074】
連動部材の一例として前述のような軸状部材18を設けたが、片状部材18aであってもよい。
【0075】
図13は、連動部材の変形例を示す図である。図13に示すように、片状部材18aを保持部材17の内壁から保持部材17の内部に進出する進出位置と内壁に沿うように内部から内壁側に後退する退避位置とに移動するように設け、試料容器11を保持部材17に取り入れたとき、片状部材18aが退避位置に移動し、試料容器11を保持部材17から取り出したとき、付勢力により片状部材が進出位置に移動するようにしてもよい。
【0076】
片状部材18aは、退避位置から進出位置に移動するように付勢されている。検出手段5は、進出位置に移動した片状部材18aに光を照射し、片状部材18aからの反射光を検出し、退避位置に移動した片状部材18aからの反射光の移動を検出する。
【0077】
なお、前述の実施形態では、試料が分注されるまでに、試料を入れた試料容器11が試料庫10から取り出されたかどうかを検出し、検出した結果を報知する試料庫10についての例を述べたが、これに限らず、試薬が分注されるまでに、試薬を入れた試薬容器21が試薬庫20から取り出されたかどうかを検出し、検出した結果を報知する試薬庫20についても適用可能である。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるととともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 分析部 2 データ処理部 3 駆動手段 4 ユーザインターフェース
5 検出手段 6 読取手段 7 制御部 8 記憶手段
10 試料庫 11 試料容器 11a 底部 12 蓋部材 13 底板
131 固定部材
15 モータ 15a シャフト 15b ホルダ
15c 取手 16 サンプラディスク 17 保持部材 171 保持爪
172 保持皿 173 貫通穴
18 軸状部材 19 付勢手段 191 撓み部
20 試薬庫 21 試薬容器
30 反応庫 31 反応容器
40 攪拌手段 41 表示制御手段 42 表示手段 43 入力手段43
50 測光ユニット
60 洗浄ユニット
71 試料プローブ 72 試薬プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定指示を受けて、試料及び当該試料に対応する試薬を試料容器および試薬容器から分注することにより混合液を生成し、当該混合液の分析により前記試料の成分を測定する自動分析装置において、
前記試料容器を出し入れ可能に形成される第1の収容庫と、
前記試薬容器を出し入れ可能に形成される第2の収容庫と、
前記試料又は前記試薬が分注されるまでに、前記試料容器又は前記試薬容器が前記第1の収容庫又は前記第2の収容庫から取り出されたかどうかを検出する検出手段と、
前記検出した結果を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記試料又は前記試薬に対応させて前記試料容器又は前記試薬容器に付された識別情報を入力する入力手段をさらに備え、
前記検出手段は、前記識別情報が入力されてから前記測定指示を受けるまでの期間、前記測定指示を受けてから前記分注が開始されるまでの期間、前記分注が開始されてから前記分注が終了するまでの期間のうち、少なくともいずれか一つの期間に前記試料容器又は前記試薬容器が前記第1の収容庫又は前記第2の収容庫から取り出されたかどうかを検出することを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記試料又は前記試薬の分注が開始されるまでの期間、前記分注が終了するまでの期間、前記混合液の成分を解析した結果を出力するまでの期間のうち少なくともいずれか一つの期間に報知することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記第1の収容庫又は前記第2の収容庫から取り出されるときの前記試料容器又は前記試薬容器の変位を検出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記試料容器又は前記試薬容器の前記出し入れに連動する連動部材をさらに備え、
前記連動部材は、前記第1の収容庫又は前記第2の収容庫の内方位置と前記収容庫の外方位置との間に移動する軸状部材を有し、
前記試料容器又は前記試薬容器が前記第1の収容庫又は前記第2の収容庫から取り出されるとき前記軸状部材を前記第1の収容庫又は前記第2の収容庫の前記外方位置から前記内方位置へ付勢力により移動させ、前記試料容器又は前記試薬容器が前記第1の収容庫又は前記第2の収容庫に取り入れられるとき前記軸状部材を前記第1の収容庫又は前記第2の収容庫の前記内方位置から前記外方位置へ付勢力に抗して移動させる付勢手段をさらに備え、
前記検出手段は、前記内方位置及び前記外方位置に移動する前記軸状部材を検出し、前記連動部材の動作を検出することで、前記試料容器又は前記試薬容器の変位を検出することを特徴とする請求項4記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記第1の収容庫又は前記第2の収容庫は、前記試料容器又は前記試薬容器を保持する保持部を有し、
前記付勢手段は、前記保持部と前記軸状部材とを連結するように形成され、前記試料容器又は前記試薬容器の底部が当接することにより変形して前記軸状部材を前記外方位置へ移動させ、前記試料容器又は前記試薬容器の底部が離れることにより復元して前記軸状部材を前記内方位置へ移動させる撓み部材を有することを特徴とする請求項5記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−2937(P2013−2937A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133928(P2011−133928)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】