説明

自動分析装置

【課題】自動分析装置における従来技術では、反応容器への接触位置を精度よく測定することが難しい。
【解決手段】反応容器にサンプルプローブ3が接触したときに生じるサンプルプローブの振動変化を検出する振動検知機構(例えば、加速度センサ161)をサンプリング機構1に設け、該振動検知機構が検出した振動変化に基づき、プローブが反応容器5に接触した時点を判定し、各反応容器底面201への底面までの距離210を精度よく測定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の生体サンプルの定性・定量分析を行う自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液、尿などの分析を行う自動分析装置のうち、サンプル中の測定対象成分の量が比較的多い分析には、反応する試薬を、反応容器中でサンプルと混合、反応させ反応液の色の変化を測定する比色分析が用いられている。この比色分析は、上方が開口した反応容器にサンプルと試薬を添加し、反応液の色の変化を複数波長の吸光度変化として測定する。血液サンプルの場合は、サンプル量が多く取れないため、なるべく少量のサンプルで多くの項目の分析が可能となることが望ましい。また、近年、分析のコストダウンが求められており、試薬の使用量をより少なくすることが求められている。これに対応して、1反応容器にサンプルを所定量吐出する方法としては1つの分析当たりに使用するサンプル量をより少なくすることが求められ、現在の1分析当たりのサンプル量は1マイクロリットル以下となっている。このような極微量のサンプルを反応容器に所定量吐出するために種々の発明がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、分注精度向上のためにサンプルプローブ3を反応容器底面201に接触させずに一定の隙間を反応容器底面201とサンプルプローブ3の間に設け、サンプルを吐出しながらサンプルプローブ3を上昇させることが記載されている。この発明により、吐出したサンプルがサンプルを吐出したプローブ3の側面に付着しにくくなり、分注精度が向上するとの記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−236967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な自動分析装置では、分析のスループットを向上させるため、反応ディスクの円周上に複数の反応容器を備えており、それぞれの反応容器の底面は10ミリ角以下の小さいものである。反応容器はガラスまたはプラスチックでつくられるが、製造コストとの関係で成形精度はそれ程あげることができない。したがって、反応容器の底の高さは、それぞれの反応容器で微妙に異なる。
【0006】
特許文献1記載の技術では、異なる反応容器の底の高さを、所定量の液体を反応容器に吐出した後、液面高さを検出することにより算出している。この方法は、底の高さを測定したい反応容器に、所定量の液体を分注するための相応の時間が必要であり、簡便な方法とは言えない。簡便な測定方法として、現在の自動分析装置に一般的に採用されている、異常下降検知機構を使う方法がある。この機構は、分注ノズルと一体で動く検知板を設け、分注ノズルが何らかの異物に接触して、分注ノズルを支持するアームとの上下方向の相対位置がずれた場合は、該検知板がフォトインタラプタの光束を遮る、あるいは遮っていた光束を遮らなくなることを利用するものである。しかし、この方式の場合は反応容器にノズルが接触したとき、すぐに、前記相対位置がずれるわけではなく、まずノズルが曲がったり、反応容器がたわんだりした後で、相対位置がずれるため、反応容器への接触位置を精度よく測定することが難しいという課題がある。
【0007】
本発明は、分注ノズルが反応容器に接触したことを精度良く検知する振動検知機構を備えることによって、反応容器の底面高さを精度よく算出できることができる自動分析装置を提供することにある。また、当該振動検知機構が検出する振動変化に基づき、水平度の算出や、自動分析装置の機構の異常、劣化の有無の判定、自動分析装置の動作を停止する制御を行う自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための代表的な本発明の構成は以下の通りである。
【0009】
本発明は、試料と試薬を混合する複数の反応容器を載置する反応ディスクと、該反応容器へ液体を吐出するプローブと、該プローブを上昇または回転させるためのサンプリング機構と、を備えた自動分析装置において、反応容器に前記プローブが接触したときに生じる該プローブの振動変化を検知する振動検知機構と、該振動検知機構が検出した振動変化に基づき、該プローブが反応容器に接触した時点を判定する判定機構と、を備えた自動分析装置である。
【0010】
ここで、プローブとは、吸引する液体中に先端を浸漬した後、内部を負圧にすることで吸引する液体を内部に一時的に取り込み、次に吐出すべき容器の上で負圧を解除する、あるいは与圧することで一時的に取り込んだ液体を吐出するノズル、あるいはノズルを含む機構を意味する。
【0011】
サンプリング機構とは、該ノズルを目的の液体を収容した容器に位置づけたり、吸引する液体にノズルを浸漬させるためのノズル上下機構などを備えた機構を意味する。
【0012】
振動検知機構は例えば加速度センサが適用可能であるが、振動の変化を電気信号に変換できる素子であればどのようなものであってもよい。すなわち、加速度センサのようなデバイスとして市販されているものでなくとも、プローブと連動して動く磁石を設け、該磁石のまわりに設けたコイルでプローブの振動によって発生する起電力を測定するものや、磁石の代わりに誘電体を設け、該誘電体の周りに電極を設けて静電容量の変化を測定するようなものであっても良い。
【0013】
プローブが反応容器に接触した時点を測定することができれば、サンプリング機構のプローブを上下するためのモータからの情報、例えば、モータがパルスモータであれば、接触した時点で何パルス分モータが回転しているかの情報と突き合わせることにより、接触した時点のプローブ高さを算出することができる。
【0014】
プローブが反応容器へ接触したことにより発生するプローブ振動は特有の振動パターンを示すため、判定アルゴリズムにより、地震や、オペレータが自動分析装置に接触したことにより発生したプローブ振動と区別できるが、より信頼性を高めるためには、プローブ振動を検出するための振動検知機構とは別に振動センサを1つ以上設け、それらの振動パターンを比較することが有効である。他の振動センサが振動を検知しておらず、かつプローブの振動センサが振動を検知している場合は、プローブが確実に反応容器などに接触していることが証明される。その場合、他の振動センサは、プローブの振動センサとはなるべく離して設けることが望ましい。
【0015】
また、このような振動センサは、プローブが反応容器に接触したか否かを検知するだけでなく、振動パターンを解析することにより、自動分析装置の設置の水平度を算出することや、異常振動を伴う、装置機構の異常、劣化の検出にも適用できる。振動パターンの解析としては、振動の大きさを閾値と比較したり、予め記憶している異常パターンと比較するなどの方法を適用することができる。異常を検出した場合は、装置を緊急停止させるような制御をおこなうこともできる。
【発明の効果】
【0016】
反応容器の底面高さを精度よく算出できることができ、反応容器に液体を分注する場合、分注量が微量であっても正確に分注が可能な分注機構を備えた自動分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の自動分析装置の一実施例の概略構成を示す図である。
【図2】分割ブロック形状をした反応容器の図である。
【図3】加速度センサを用いた高さ測定方法を説明する図である。
【図4】サンプルプローブ下降中に反応容器底面に接触したときのセンサ出力を示す図である。
【図5】サンプルプローブ回転中に異物に接触したときのセンサ出力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【0019】
図1に本発明が実施される一般的な自動分析装置の概略を示す。各部の機能は公知のものであるため、詳細についての記述は省略する。
【0020】
サンプリング機構1のサンプリングアーム2は上下すると共に回転し、サンプリングアーム2に取り付けられたサンプルプローブ3を用いて、左右に回転するサンプルディスク102に配置された試料容器101内の試料を吸引し、反応容器5へ分注するように構成されている。本図からもわかるように試料容器101のサンプルディスク102上への配置はサンプルディスク102上へ直接配置する場合や試験管(図示は無い)上に試料容器101を載せることも可能なユニバーサルな配置に対応可能な構造のものが一般的である。
【0021】
回転自在な試薬ディスク125上には分析対象となる複数の分析項目に対応する試薬ボトル112が配置されている。可動アームに取り付けられた試薬分注プローブ110は、試薬ボトル112から反応容器5へ所定量の試薬を分注する。
【0022】
サンプルプローブ3は、サンプル用ポンプ107の動作に伴ってサンプルの吸引動作、及び分注動作を実行する。試薬分注プローブ110は、試薬用ポンプ111の動作に伴って試薬の吸引動作、及び分注動作を実行する。各試料のために分析すべき分析項目は、キーボード121、またはCRT118の画面のような入力装置から入力される。この自動分析装置における各ユニットの動作はコンピュータ103により制御される。
【0023】
サンプルディスク102の間欠回転に伴って試料容器101はサンプル吸引位置へ移送され、停止中の試料容器内にサンプルプローブ3が降下される。その下降動作に伴ってサンプルプローブ3の先端が試料の液面に接触すると液面検出回路151から検出信号が出力され、それに基づいてコンピュータ103がサンプリングアーム2の駆動部の下降動作を停止するよう制御する。次にサンプルプローブ3内に所定量の試料を吸引した後、サンプルプローブ3は上死点まで上昇する。サンプルプローブ3が試料を所定量吸引している間は、サンプルプローブ3とサンプル用ポンプ107流路間の吸引動作中の流路内圧力変動を圧力センサ152からの信号を用い圧力検出回路153で監視し、吸引中の圧力変動に異常を発見した場合は所定量吸引されていない可能性が高いため、当該分析データに対しアラームを付加する。
【0024】
次にサンプリングアーム2が水平方向に旋回し反応ディスク4上の反応容器5の位置でサンプルプローブ3を下降し反応容器5内へ保持していた試料を分注する。試料が入った反応容器5が試薬添加位置まで移動された時に、該当する分析項目に対応した試薬が試薬分注プローブ110から添加される。サンプル、及び試薬の分注に伴って試料容器101内の試料、及び試薬ボトル112内の試薬の液面が検出される。試料、及び試薬が加えられた反応容器内の混合物は、攪拌機構113により攪拌される。混合物が収納された反応容器が光度計115に移送され、各混合物の発光値、或いは吸光度が測定手段としての光電子増倍管、或いは光度計により測定される。なお、例えば、吸光度を測定する場合には、光源ランプ114から照射された光を、反応容器を介し、検出することで吸光度の測定が行われる。光度計発光信号或いは受光信号は、A/D変換器116を経由しインターフェイス104を介してコンピュータ103に入り、分析項目の濃度が計算される。分析結果は、インターフェイス104を介してプリンタ117に印字出力するか、またはCRT118に画面出力すると共に、メモリ122に格納される。
【0025】
測光が終了した反応容器5は、反応容器洗浄機構119の位置にて洗浄される。洗浄用ポンプ120は、反応容器へ洗浄水を供給すると共に、反応容器から廃液を排出する。図1の例では、サンプルディスク102に同心円状に3列の試料容器101がセットできるように3列の容器保持部が形成されており、サンプルプローブ3による試料吸引位置が各々の列に1個ずつ設定されている。
【0026】
以上が自動分析装置の一般的な動作である。
【0027】
図2に反応ディスク4の要部拡大図であり、分割ブロック形状を採用した場合の反応容器の図である。反応容器形状は反応ディスク一周分を一体で樹脂成形するのは大変困難であるため、図2のように分割ブロック状の形状をした反応容器を用いる。複数ブロックで一周分を形成しネジ穴11を使って反応容器ブロック17を反応ディスク4にネジでしっかり固定することで反応容器5が変形することも反応容器5の隙間のバラツク原因となっている。また、分割ブロックによらずとも、寸法のバラツク原因として反応容器5は樹脂製の成型品で製作されており、成型時の熱収縮変形が原因で僅かな反りが発生することにもある。
【0028】
図3に実施形態の一例を示す。分注精度向上のためにはサンプルプローブ3を反応容器底面201に接触させずに一定の隙間を反応容器底面201とサンプルプローブ3の間に設けて、吐出させながらサンプルプローブ3を上昇させることが重要であり、反応容器5に吐出させながら上昇させることでサンプルプローブ3側面に付着させない分注方法が分注精度向上には効果的である。サンプル吐出が微量になるほどこの効果が大きい。
【0029】
サンプルを吐出する際のサンプルプローブ3先端と反応容器底面201の正確な停止位置制御を実施するためには、正確にサンプルプローブ3のサンプルプローブ下降距離211の制御を行うことが必須であるが、サンプルプローブHOME位置のサンプルプローブ3先端から各反応容器底面201の距離210にはバラツキがある。
【0030】
そのため、本発明では、各反応容器について、予めサンプルプローブ3先端と反応容器底面201との正確な距離210を求め、反応容器の位置と共にメモリ122に当該距離情報を格納しておく。そして、分注対象となる反応容器に対し、当該距離から一定の隙間ができる位置までサンプルプローブを下降させ、サンプルを吐出させながらプローブを上昇させる制御を行う。予め各容器底面との正確な距離が把握できているので、例え、サンプルプローブ3先端から各反応容器底面201の距離210にバラツキがあったとしても、各反応容器ごとに、サンプルプローブを下降させる距離211を変えることで、反応容器によらず、一定の隙間(距離211と距離210との差)を残してサンプルプローブを下降させることができる。なお、プローブの下降量はコンピュータ103に備えられた制御部により、制御される。
【0031】
以下に各反応容器5の深さ寸法のバラツキを補正しサンプルプローブ下降距離211を正確に算出する方法を説明する。
【0032】
図3のように反応容器5に対し、サンプリング機構1の上下動作を駆動しているパルスモータにてHOME位置からサンプルプローブ3を下降させ、サンプリング機構1に備えている振動検知機構、例えば、加速度センサ161の出力信号を使用して、サンプルプローブ3先端が反応容器5に接触することで発生する加速度変化が検出されるまでサンプルプローブ3を下降させる。この加速度変化を検出した高さを反応容器底面201の位置と考える。
【0033】
サンプルプローブ3先端から反応容器底面201までの寸法は、HOME位置から反応容器底面201までに使用したパルス数を移動距離に換算することで算出できる。制御部は、このように振動検知機構が検出した振動変化に基づき、プローブが反応容器に接触した時点を判定する判定機構の役割も備えている。また、制御部は、パルス数を移動距離に変換する、反応容器の底面の高さを算出する底面高さ算出機構としての役割も備えている。
【0034】
以上の動作を全反応容器5に行うことで、全反応容器5毎の寸法のバラツキを測定することが可能となり、反応容器5毎にサンプルプローブ3を下降させる必要寸法を正確に把握でき制御可能となる。
【0035】
これまでに記載した方式では、サンプルプローブが反応容器に衝突したときに生じる振動を信号源としていたが、別の方法も考えられる。サンプルプローブに強制的に振動を与えた状態で反応容器底面まで下降させ、反応容器に接触したときの振動の変化を信号源とする方式でも同じ効果を得ることができる。
【0036】
また、この方式がプローブそのものの加速度変化量を利用するものであることを考えると、装置が設定されている環境の地震などによる振動や、使用者により装置に振動が与えられる影響も懸念される場合がある。この場合には装置の筐体などサンプルプローブの下降動作により発生する振動と無関係な箇所に加速度センサ162(図示せず)を設置し、加速度センサ161の信号と比較することで、前記懸念を解消することも考えられる。つまり、加速度センサ161、162とがほぼ同じ振動であれば、装置全体が振動しているものとみなせるため、このような装置全体の振動とプローブの下降動作により発生する振動と区別することができる。そのため、判定機構は、複数の加速度センサが検出した振動変化に基づき、プローブが反応容器に接触した時点を判定することが望ましい。
【0037】
このように、周囲の振動の影響を受ける懸念がある方式であるため、反応容器底面201までの寸法を測定する動作は、他の機構が動作していない専用のタイミングにて実施することが望ましい。
【0038】
本発明について、振動検知機構として加速度センサを用いた場合の詳細を以下に述べる。加速度センサによっては3軸方向の加速度を検出できる加速度センサ163(図示せず)がある。サンプルプローブは上下動作中において、従来はフォトインタラプタを用いた衝突検出機能を有していた。一方でサンプルプローブの回転中においては衝突を検出して装置損傷を回避する機能を有していない場合があった。加速度センサ163を使用する場合には反応容器底面201までの寸法を測定する場合にはサンプルプローブが下降して反応容器底面に接触するタイミングT1での出力の挙動を図4に示す。
【0039】
図4は、サンプルプローブが反応容器底面に接触することにより、Z軸方向に対し、加速度の急激な変化が見られる。また、その一方で、X軸およびY軸方向に対しては、Z軸方向に比べ、それほどの変化が見られない。そのため、Z軸方向に対し、閾値を設け、当該閾値を超えた場合には、反応容器底面と判定することができる。または、X軸もしくはY軸と比べ、大きい変化量を検出したときに、反応容器底面と判定することもできる。さらには、反応容器底面との接触に固有の加速度センサの出力のパターンを予め準備しておき、このパターンと得られたセンサ出力と比較することで、反応容器底面を判定することもできる。
【0040】
また、一方で回転中に異物に衝突するタイミングT2での出力の挙動を図5に示す。図4と異なり、回転中に異物に衝突した場合には、Z軸方向に対する出力の変化が小さく、X軸もしくはY軸方向に対する出力の変化が大きくなる。これら図4と図5の挙動の違いから回転中の衝突による装置損傷を回避することも考えられる。
【0041】
また、傾斜計として利用するための加速度センサ164(図示せず)もある。自動分析装置は水平の状態での使用が原則となっている。よって設置条件にて勾配を定めている。長期間、定められた勾配が確保されているかを確認する必要が有る場合には、加速度センサ164が有効となる。つまり、振動検知機構に相当する加速度センサ164は水平度を算出することができる。例えば、長期間、取得した加速度センサの出力量を監視しておくこと、若しくは、特定時期同士の出力量を比較することで、自動分析装置の水平度、若しくは水平度の変化を算出することができる。すなわち、水平度の算出については、本発明は、加速度センサなどの自動分析装置の振動を検知する振動検知機構を備え、振動検知機構が検出した振動変化に基づき、自動分析装置の水平度を算出する水平度算出機構を備えた自動分析装置である。
【0042】
また、加速度センサの一般的な使用方法である振動を検出したときの応用も考えられる。反応ディスク4はモータにより回転動作しており、モータと反応ディスク4はベルトで連結されている。このときベルトの引っ張り強さを調整することで回転動作時の加速および減速のタイミングで生じる振動を低減している。このとき、ベルトを含めた構造がゴムなど経年劣化の可能性を持つ素材で構成されていることがある。よって長期に亘る使用により、振動が許容値を超えてくる懸念が有る場合には、加速度センサ161を反応ディスク4上に設置し、加速度センサ161の出力を監視することが有効となる。つまり、振動検知機構に相当する加速度センサ161は自動分析装置の機構の異常、劣化の有無を判定するための情報も得ることができる。すなわち、異常、劣化の有無については、本発明は、自動分析装置の振動を検知する振動検知機構と、振動検知機構が検出した振動変化に基づき、自動分析装置の機構の異常、劣化の有無を判定する判定機構を備えた自動分析装置である。
【0043】
また、加速度センサの別の応用も考えられる。振動検知機構に相当する加速度センサは、出力を常時監視しておき、特種な出力パターンが得られたときに、異常と判定して、自動分析装置に動作を停止させることもできる。すなわち、本発明は、自動分析装置の振動を検知する振動検知機構と、振動検知機構が検出した振動変化に基づき、自動分析装置に動作を停止するように制御する制御機構を備えた自動分析装置である。なお、制御部は、当該制御機構としての役割も兼ね備えている。
【符号の説明】
【0044】
1 サンプリング機構
2 サンプリングアーム
3 サンプルプローブ
4 反応ディスク
5 反応容器
11 ネジ穴
17 反応容器ブロック
101 試料容器
102 サンプルディスク
103 コンピュータ
104 インターフェイス
107 サンプル用ポンプ
110 試薬分注プローブ
111 試薬用ポンプ
112 試薬ボトル
113 攪拌機構
114 光源ランプ
115 光度計
116 A/D変換器
117 プリンタ
118 CRT
119 反応容器洗浄機構
120 洗浄用ポンプ
121 キーボード
122 メモリ
125 試薬ディスク
161、162、163、164 加速度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と試薬を混合する複数の反応容器を載置する反応ディスクと、
該反応容器へ液体を吐出するプローブと、
該プローブを上昇または回転させるためのサンプリング機構と、
を備えた自動分析装置において、
前記反応容器に前記プローブが接触したときに生じる該プローブの振動変化を検知する振動検知機構と、
該振動検知機構が検出した振動変化に基づき、該プローブが反応容器に接触した時点を判定する判定機構と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記判定機構が判定した時点の情報に基づいて、反応容器の底面の高さを算出する底面高さ算出機構を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記振動検知機構は、加速度センサであることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項3記載の自動分析装置において、
前記自動分析装置の本体に、前記振動検知機構の加速度センサとは別に加速度センサを設け、
前記判定機構は、これら複数の加速度センサが検出した振動変化に基づき、前記プローブが反応容器に接触した時点を判定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
試料と試薬を混合する複数の反応容器を載置する反応ディスクと、
該反応容器へ液体を吐出するプローブと、
該プローブを上昇または回転させるためのサンプリング機構と、
を備えた自動分析装置において、
自動分析装置の振動を検知する振動検知機構と、
該振動検知機構が検出した振動変化に基づき、自動分析装置の水平度を算出する水平度算出機構を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
試料と試薬を混合する反応容器を載置する反応ディスクと、
該反応容器へ液体を吐出するプローブと、
該プローブを上昇または回転させるためのサンプリング機構と、
を備えた自動分析装置において、
自動分析装置の振動を検知する振動検知機構と、
該振動検知機構が検出した振動変化に基づき、自動分析装置の機構の異常、劣化の有無を判定する判定機構を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
試料と試薬を混合する反応容器を載置する反応ディスクと、
該反応容器へ液体を吐出するプローブと、
該プローブを上昇または回転させるためのサンプリング機構と、
を備えた自動分析装置において、
自動分析装置の振動を検知する振動検知機構と、
該振動検知機構が検出した振動変化に基づき、自動分析装置に動作を停止するように制御する制御機構を備えたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−64673(P2013−64673A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204057(P2011−204057)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】