説明

自動分注装置、及び、その検体供給用架設台

【課題】一台の自動分注装置で、マイクロプレート、試験管ラック、試験管等の複数種類の検体供給形態の使用を可能とする。
【解決手段】検体置場12と、試薬置場14と、検体置場12の検体と試薬置場14の試薬を分注する分注ピペット(分注ヘッド16に搭載)と、該分注ピペットにより分注された検体と試薬を保持する分注ステージ18と、を有する自動分注装置において、前記検体置場12に、検体の種類毎に異なる架設台(マイクロプレート架設台32、試験管ラック架設台52、62)をセット可能とし、セットされた架設台に合わせて検体の分注が行なわれるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分注装置、及び、その検体供給用架設台に関する。特に、一台の自動分注装置で、試験管、試験管ラック、マイクロプレート等の複数種類の検体供給形態を使用することが可能な自動分注装置、及び、その検体供給用架設台に関する。
【背景技術】
【0002】
検体と試薬を分注して保持する自動分注装置が知られている。従来の自動分注装置は、特許文献1に記載されているように、検体供給用の試験管や試薬ボトル、試薬試験管を円形に配列させ、それらを回転させることで分注を行なう構造が一般的である。
【0003】
【特許文献1】特開平9−196925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの自動分注装置では、検体供給形態として試験管のみの使用を想定しており、試験管の他に使用されるマイクロプレートの使用は考慮されていない。しかしながら自動分注装置では、一度に多くの検体数を処理するために、マイクロプレートに検体を分注して検査を行う場合も多い。従って、検体供給形態として、試験管とマイクロプレートの両方を扱うことができる検体置場を実現することができれば、有効である。又、検査前に検体を試験管からマイクロプレートへ分注する検査前処理も行なうことが可能になる。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、一台の自動分注装置で、複数種類の検体供給形態の使用を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、検体置場と、試薬置場と、少なくとも検体置場の検体を分注する分注ピペットと、該分注ピペットにより分注された検体を保持する分注ステージと、を有する自動分注装置において、前記検体置場に、検体の種類毎に異なる架設台をセット可能とし、セットされた架設台に合わせて検体の分注が行なわれるようにして、前記課題を解決したものである。
【0007】
本発明は、又、検体の有無を検出するスイッチと、架設台の種類を判別するための手段と、を備えたことを特徴とする自動分注装置の検体供給用架設台を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、試験管、試験管ラック、マイクロプレート等の検体供給形態に対応した架設台を作製し、使用する検体供給形態に応じて架設台を選択し、検体置場に設置して分注を行なうことで、一台の自動分注装置で、複数種類の検体供給形態を使用することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0010】
本実施形態は、図1(マイクロプレート架設台32をセットした状態を示す要部の斜視図)及び図2(試験管ラック架設台52をセットした状態を示す要部の斜視図)に示す如く、自動分注装置本体10の検体置場12の検体、及び、必要に応じて試薬置場14の試薬を分注する分注ピペット(図示省略)が図の下方に搭載された、移動可能な分注ヘッド16と、前記分注ピペットにより分注された検体、及び、必要に応じて試薬を保持する分注ステージ40とを備えている。
【0011】
図1において、32は、検体置場12に、検体の入ったマイクロプレート30を、例えば2×3=6台設置するためのマイクロプレート架設台、図2において、52は、同じく、検体置場12に、例えば5×10=50本の試験管を保持した試験管ラック50を、例えば2×2=4台設置するための試験管ラック架設台である。
【0012】
前記マイクロプレート架設台32は、図3に詳細に示す如く、マイクロプレート30を保持するホルダ34と、各マイクロプレート30の有無をそれぞれ検出するための、例えばベース32Aの下側に配設されたマイクロスイッチ36と、支点38Cを中心に回動自在とされた、マイクロプレート30が矢印A方向にセットされたときに、矢印Bに示す如く時計方向に回動して、前記マイクロスイッチ36をオンとするためのL字状のスイッチ動作用レバー(単にレバーとも称する)38が、各マイクロプレート30に対応して、例えば6組設置されている。従って、マイクロプレート架設台32の所定位置にマイクロプレート30をセットすると、対応するレバー38がマイクロスイッチ36を押し上げ、スイッチ36をオンにする。一方、マイクロプレート30が無い場合には、レバー38がマイクロスイッチ36から離れ、スイッチ36はオフとなる。よって、各マイクロスイッチ36のオンオフ状態から、対応するマイクロプレート30の有無を検知することができる。
【0013】
又、前記試験管ラック架設台52は、図4に詳細に示す如く、前記マイクロプレート架設台32と同様に試験管ラック50の有無をそれぞれ検出するための、例えばベース52Aの側面に配設されたマイクロスイッチ54と、支点56Cを中心に回動自在とされた、試験管ラック50が上方からセットされた時に、矢印Cに示す如く回動して、前記マイクロスイッチ54をオンとするためのスイッチ動作用レバー56が、各試験管ラック50に対応して、例えば4組設置されている。従って、試験管ラック架設台52の所定位置に試験管ラック50をセットすると、対応するレバー56がマイクロスイッチ54を押し、スイッチ54をオンにする。一方、試験管ラック50が無い場合には、レバー56がマイクロスイッチ54から離れ、スイッチ54はオフとなる。よって、各マイクロスイッチ54のオンオフ状態から、対応する試験管ラック50の有無を検知することができる。
【0014】
更に、各架設台32、52には、その種類を判別するための設定スイッチが内蔵されており、この設定スイッチの組み合わせにより種類を判別することができる。例えば図5に示すように2組のスイッチを用いた場合には、図6に示すように、4種類の架設台を判別することが可能となる。又、信号組み合わせの1つを「架設台無し」の判別に割当ててもよい。
【0015】
自動分注装置本体の制御ソフトウェアは、この設定スイッチの状態により架設台の種類を判別し、例えば、予め入力されている各架設台のマイクロプレート上のウエル穴や試験管の位置情報などを自動的に設定することができる。
【0016】
又、各架設台50、60には、図5に示したような、これら種類判別用のスイッチと、マイクロプレートや試験管ラックの有無を検出するための前記マイクロスイッチ36、54に接続されたセンサコネクタ40、58が、それぞれ設けられており、これを本体側コネクタ20に差し込んで、装置制御基板(図示省略)から信号を読み取り、分注動作の制御に用いる。
【0017】
以上の構成において、検体置場12に例えばマイクロプレート架設台32を設置し、その架設台32のホルダ34に検体が入ったマイクロプレート30を設置し、更にセンサコネクタ40を本体側コネクタ20に差し込むことにより、架設台32の判別とマイクロプレート30の有無を検知し、分注動作を行なう。
【0018】
又、マイクロプレート架設台30及びセンサコネクタ40を取り外して試験管ラック架設台50を設置し、そのセンサコネクタ58を本体側コネクタ20に差し込むことで、検体の入った試験管を用いて分注動作を行なうことができる。
【0019】
なお、架設台50、60を検体置場12にセットすると、自動的にセンサコネクタ40又は58と本体側コネクタ20が接続されるようにしても良い。
【0020】
試験管ラック架設台の変形例を図7に示す。この試験管ラック架設台62は、図2に示した試験管ラック架設台52とは試験管の配列が異なり、例えば8×12=96本の試験管が保持可能な試験管ラック60が2台設置可能とされている。
【0021】
このように、異なった試験管保持穴の配列の試験管ラックやウエル穴の配列の異なったマイクロプレートであっても、それらに対応した架設台を作製することで、自動分注装置での使用が可能となる。
【0022】
なお、検体と試薬の反応を行わず、例えば試験管からマイクロプレートへ検体を分注する場合には、試薬の分注は不要である。又、架設台上の検体ラックの有無を検知する方法は、レバーとマイクロスイッチの組合せに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態でマイクロプレート架設台の一例を設置した状態の要部を示す斜視図
【図2】同じく試験管ラック架設台の一例を設置した状態の要部を示す斜視図
【図3】前記マイクロプレート架設台の要部構成を示す正面図
【図4】同じく試験管ラック架設台の要部を示す正面図
【図5】各架設台におけるセンサコネクタの例を示す図
【図6】センサコネクタの出力による架設台の判別方法を示す図
【図7】試験管ラック架設台の変形例を設置した状態の要部を示す斜視図
【符号の説明】
【0024】
10…自動分注装置本体
12…検体置場
14…試薬置場
16…分注ヘッド
18…分注ステージ
20…本体側コネクタ
30…マイクロプレート
32…マイクロプレート架設台
36、54…マイクロスイッチ
38、56…スイッチ動作用レバー
40、58…センサコネクタ
50、60…試験管ラック
52、62…試験管ラック架設台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体置場と、
試薬置場と、
少なくとも検体置場の検体を分注する分注ピペットと、
該分注ピペットにより分注された検体を保持する分注ステージと、
を有する自動分注装置において、
前記検体置場に、検体の種類毎に異なる架設台をセット可能とし、
セットされた架設台に合わせて検体の分注が行なわれるようにしたことを特徴とする自動分注装置。
【請求項2】
検体の有無を検出するスイッチと、
架設台の種類を判別するための手段と、
を備えたことを特徴とする自動分注装置の検体供給用架設台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−58181(P2008−58181A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236406(P2006−236406)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【出願人】(000162478)協和メデックス株式会社 (42)
【Fターム(参考)】