自動制動制御用ECU、車型学習方法および車両
【課題】自動制動制御用ECUを複数の車型の車両で共通化すること。
【解決手段】複数の異なる車型の車両に搭載され、車両の自動制動制御装置3を制御する自動制動制御用ECU1であって、車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する車両ECU2から取得して記憶する車型情報学習部10と、車型情報学習部10が記憶した情報に基づいて車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択部11と、を有する。
【解決手段】複数の異なる車型の車両に搭載され、車両の自動制動制御装置3を制御する自動制動制御用ECU1であって、車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する車両ECU2から取得して記憶する車型情報学習部10と、車型情報学習部10が記憶した情報に基づいて車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択部11と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動制動制御用ECU(Electric Control Unit)、車型学習方法および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
先行車と自車との間の距離(車間距離)をレーダなどによって監視し、車間距離が異常に接近した場合には、自動的に適切な制動制御を行い、万が一の衝突時に、その被害を小さく抑えるという自動制動制御装置がある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−84052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の自動制動制御装置は、トラックやバスなどの大型車両への適用を想定している。一方、同じ大型車両であってもトラックとバスとでは、自動制動制御を実施する際の制動制御パターンが異なる。たとえばトラックは荷物を運搬するための車両であり、制動制御パターンに急ブレーキとなる制動制御パターンを含んでいても問題は少ない。これに対し、バスは乗客を運搬するための車両であり、乗客の転倒事故などを考慮すると即座に急ブレーキとなるような制動制御パターンは避けることが好ましい。
【0005】
このようなことから車型毎の自動制動制御内容に応じて複数の自動制動制御用ECUを用意して制御しようとすれば、ECUの大量生産を難しくして製造コストを押し上げると共に、ECUの品番の管理を難しくするために好ましくない。
【0006】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、自動制動制御用ECUを複数の車型の車両で共通化することができる自動制動制御用ECU、車型学習方法および車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの観点は、自動制動制御用ECUとしての観点である。すなわち、本発明の自動制動制御用ECUは、複数の異なる車型の車両に搭載され、車両の自動制動制御装置を制御する自動制動制御用ECUであって、車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する他のECUから取得して記憶する車型情報学習手段と、車型情報学習手段が記憶した情報に基づいて車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択手段と、を有するものである。
【0008】
また、車型情報学習手段に既に情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している情報と他のECUから取得する情報とを照合する情報照合手段と、情報照合手段の照合結果を表示する照合結果表示手段と、を有することができる。
【0009】
さらに、所定の入力に応じて車型情報学習手段に既に記憶されている情報を消去して車型学習手段を初期状態に戻すリセット手段を有することができる。
【0010】
本発明の他の観点は、車型学習方法としての観点である。すなわち、本発明の車型学習方法は、複数の異なる車型の車両に搭載され、車両の自動制動制御装置を制御する自動制動制御用ECUが実行する車型学習方法であって、車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する他のECUから取得して記憶する車型情報学習ステップと、車型情報学習ステップの処理により記憶した情報に基づいて車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択ステップと、を有するものである。
【0011】
また、車型情報学習ステップの処理により既に情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している情報と他のECUから取得する情報とを照合する情報照合ステップと、情報照合ステップの処理による照合結果を表示する照合結果表示ステップと、を有することができる。
【0012】
さらに、所定の入力に応じて車型情報学習ステップの処理により既に記憶されている情報を消去して車型学習ステップの処理を初期状態に戻すリセットステップを有することができる。
【0013】
本発明のさらに他の観点は、車両としての観点である。すなわち、本発明の車両は、複数の異なる車型の車両に搭載され、車両の自動制動制御装置を制御する自動制動制御用ECUを有する車両であって、自動制動制御用ECUは、車型のおよび当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する他のECUから取得して記憶する車型情報学習手段と、車型情報学習手段が記憶した情報に基づいて車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択手段と、を有するものである。
【0014】
また、自動制動制御用ECUは、車型情報学習手段に既に情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している情報と他のECUから取得する情報とを照合する情報照合手段と、情報照合手段の照合結果を表示する照合結果表示手段と、を有することができる。
【0015】
さらに、自動制動制御ECUは、所定の入力に応じて車型情報学習手段に既に記憶されている情報を消去して車型学習手段を初期状態に戻すリセット手段を有することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自動制動制御用ECUを複数の車型の車両で共通化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態の自動制動制御用ECUおよびその周辺の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の自動制動制御用ECUのブロック構成図である。
【図3】制動制御パターンの一例(♯1)を示す図である。
【図4】制動制御パターンの一例(♯2)を示す図である。
【図5】制動制御パターンの一例(♯3)を示す図である。
【図6】図2のテーブルの一例を示す図である。
【図7】図2のパターン記憶部の記憶内容の一例を示す図である。
【図8】図2のパターン記憶部の記憶内容の一例を示す図である。
【図9】図2のパターン記憶部の記憶内容の一例を示す図である。
【図10】自動制動制御用ECUの動作を示すフローチャートである。
【図11】その他の実施の形態における制動制御パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明の実施の形態の自動制動制御用ECU1について)
本発明の実施の形態の自動制動制御用ECU1について、図1〜図11を参照して説明する。
【0019】
自動制動制御用ECU1は、図1に示すように、たとえばCAN(Control Area Network)通信で接続されている車両ECU2から車型および当該車型に対応するセンサの情報を取得してこの情報を記憶することにより自己が搭載されている車型を学習する。自動制動制御用ECU1は、この学習結果に基づいて自己が搭載されている車両に適合する自動制動制御パターンを選択して自動制動制御装置3の制御に適用する。さらに、自動制動制御用ECU1は、起動毎(キーON毎)に、車両ECU2からの車型および当該車型に対応するセンサの情報と自己が既に記憶している車型および当該車型に対応するセンサの情報とを照合して照合結果を出力する。たとえば照合結果が不一致であれば自動制動制御用ECU1は、何らかの異常が発生したとして警報を出力する。
【0020】
なお、自動制動制御装置3は、自動制動制御用ECU1の制御にしたがってブレーキECU(たとえばEBS(Electric Brake System)_ECU)4に指示を行ない自動制動制御を実施する。また、自動制動制御装置3は、レーダ(ミリ波レーダ)5、ステアリングセンサ6、ヨーレイトセンサ7、車速センサ8などの各種センサの検出結果を入力して自動制動制御を実施する。
【0021】
ここでレーダ5は、先行車両との車間距離を測定するためのセンサである。ステアリングセンサ6は、ステアリングの舵角を検出するためのセンサである。ヨーレイトセンサ7は、車両の重心位置を中心に車両が進行方向に対して左右に振られる割合を検出するためのセンサである。車速センサ8は、車両の速度を検出するためのセンサである。
【0022】
(構成)
自動制動制御用ECU1は、図1に示すように、車型情報学習部10および制動制御パターン選択部11、制御実施部12を有する。さらに、図2に示すように、車型情報学習部10は、記憶部20、情報照合部21、および照合結果表示部22を有する。また、制動制御パターン選択部11は、パターン選択部30、およびパターン記憶部31を有する。さらに、パターン選択部30にはテーブル40を有する。
【0023】
車型情報学習部10は、車両ECU2から車型および当該車型に対応するセンサの情報を取得してこれを記憶部20に記憶する。また、車型情報学習部10は、記憶部20に既に記憶している車型および当該車型に対応するセンサの情報が存在するときには、起動毎(キーON毎)に、記憶部20が記憶している車型および当該車型に対応するセンサの情報と車両ECU2から取得した車型および当該車型に対応するセンサの情報とを情報照合部21により照合する。情報照合部21の照合結果は、照合結果表示部22によって外部に出力される。
【0024】
制動制御パターン選択部11のパターン選択部30は、記憶部20に記憶されている車型および当該車型に対応するセンサの情報に基づいてテーブル40を参照し、自車両に適合する制動制御パターンを選択する。パターン選択部30が選択した制動制御パターンは、当該制動制御パターンに対応するセンサ情報と共にパターン記憶部31に記憶される。
【0025】
制御実施部12は、パターン記憶部31に記憶されている制動制御パターンおよびセンサ情報にしたがって自動制動制御装置3の制御を実施する。
【0026】
記憶部20は、フラッシュメモリなどで構成され、自動制動制御用ECU1の電源がOFFになっても記憶内容は保持される。一方、記憶部20は、外部からのリセット入力に応じて記憶内容を消去し、初期状態に戻って新たな情報を受け入れることができる。
【0027】
情報照合部21は、不図示のRAM(Random Access Memory)などの一時記憶装置を有し、車両ECU2から取得する車型情報およびセンサ情報を一時記憶し、この記憶内容と記憶部20に既に記憶されている記憶内容とを不図示の比較器(コンパレータなど)などによって照合する。
【0028】
照合結果表示部22は、情報照合部21の照合結果を外部に出力する。たとえば照合結果表示部22は、不図示のLED(Light Emitting Diode)を有し、照合結果が不一致ならばLED(たとえば赤色)を点灯させるなどとする。あるいは照合結果表示部22は、ダイアグ(ダイアグノーシス)コードによって照合結果の不一致を外部に伝達する。
【0029】
パターン選択部30は、不図示のROM(Read Only Memory)などにテーブル40および制動制御パターンを記憶している。そしてパターン選択部30は、記憶部20に記憶されている車型情報に基づいて車型に対応する制動制御パターンを選択してこの制動制御パターンに対応するセンサ情報と共にパターン記憶部31に転送する。
【0030】
パターン記憶部31は、パターン選択部30から転送された制動制御パターンおよびセンサ情報を記憶するための不図示の記憶装置を有する。当該記憶装置は、たとえば自動制動制御用ECU1がOFFになっても記憶が残る不揮発性メモリなど(フラッシュメモリ等)である。
【0031】
(動作)
次に、自動制動制御用ECU1の動作について説明する。
【0032】
(制動制御パターンについて)
制動制御パターンについて図3〜図5を参照して説明する。図3〜図5は、横軸に時間をとり、縦軸に制動力をとる。なお、制動力に代えて、制動加速度、制動G(Gは重力加速度)を縦軸にとってもよいが、以下では、説明の便宜上、制動力を例にとって説明する。
【0033】
図3に示す制動制御パターンは、3段階に制動力が大きくなっていくパターンである。また、図4に示す制動制御パターンは、1段階目の制動力から徐々に制動力が大きくなり最大制動力に達するパターンである。また、図5に示す制動制御パターンは、1段目の比較的小さな制動力の後、2段階に制動力が大きくなっていくパターンである。
【0034】
図5に示す制動制御パターンでは、1段階目の比較的小さな制動力の時間が図3,図4に示す制動制御パターンに比べると長い。図5に示す制動制御パターンをバスに適用すれば、1段階目の比較的小さな制動力の時間内に乗客は、来る衝突時の衝撃に備えるべく体勢を整えるなどの準備が可能である。したがって、図5に示す制動制御パターンはバスに適用するのに適する。
【0035】
一方、図3,図4に示す制動制御パターンは、1段階目の比較的小さな制動力の時間は図5に比べると短く、短時間に制動力が大きくなる。したがって、図3,図4に示す制動制御パターンはトラックに適用するのに適する。
【0036】
(テーブル40について)
テーブル40の一例を図6に示す。図6に示すテーブル40は、3種類の車型A,B,Cとこれに対応する制動制御パターン♯1,♯2,♯3とが記録されている。なお、図6では、説明の便宜上、制動制御パターンの記録内容を、制動制御パターン♯1,♯2,♯3として示したが、実際には、図3〜図5に示したように、時間と制動力との対応関係がそれぞれ記録されているものとする。
【0037】
たとえば制動制御パターン♯1とは図3に示す制動制御パターンである。また、制動制御パターン♯2とは図4に示す制動制御パターンである。また、制動制御パターン♯3とは図5に示す制動制御パターンである。
【0038】
パターン選択部30は、図6のテーブル40を参照して車型情報A,B,Cからこれに対応する制動制御パターン♯1,♯2,♯3を引き当てる。
【0039】
また、センサ情報は、制動制御パターンと共にパターン選択部30からパターン記憶部31に転送される。記憶部20には、車両ECU2から取得したセンサ情報が記憶されているので、パターン選択部30は、記憶部20から車型情報を取得する際にセンサ情報を取得し、これを制動制御パターンと共にパターン記憶部31に転送する。
【0040】
その結果、パターン記憶部31には、図7、図8、図9に示すような情報が記録される。図7の例では、車型:A、制動制御パターン:♯1、センサ種別:レーダ、ステアリングセンサ、ヨーレイトセンサ、車速センサとなっている。また、図8の例では、車型:B、制動制御パターン:♯2、センサ種別:レーダ、ステアリングセンサ、加速度センサとなっている。また、図9の例では、車型:C、制動制御パターン:♯3、センサ種別:レーザ距離センサ、ヨーレイトセンサ、車速センサとなっている。
【0041】
なお、自動制動制御装置3は、(1)先行車との車間距離を測定するためのセンサ、(2)車両がカーブを走行中か直進中かを検出するためのセンサ、(3)制動力を検出するためのセンサ、が必須である。
【0042】
図7の例では、車型Aは、上記(1)としてレーダ5を有し、上記(2)としてステアリングセンサ6、ヨーレイトセンサ7を有し、上記(3)として車速センサ8(車速の増減で制動力を判定)を有する。
【0043】
また、図8の例では、車型Bは、上記(1)としてレーダ5を有し、上記(2)としてステアリングセンサ6を有し、上記(3)として不図示の加速度センサ(加速度の増減で制動力を判定)を有する。
【0044】
また、図9の例では、車型Cは、上記(1)として不図示のレーザ距離センサを有し、上記(2)としてヨーレイトセンサ7を有し、上記(3)として車速センサ8を有する。
【0045】
(自動制動制御用ECU1の動作について)
次に、自動制動制御用ECU1の動作について図10のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
START:自動制動制御用ECU1は、起動するとステップS1の処理へ移行する。
【0047】
ステップS1:自動制動制御用ECU1は、既に車型およびセンサ情報を学習済みか否かを判断する。自動制動制御ECU1は、既に車型およびセンサ情報を学習済の場合(ステップS1でYes)、ステップS2の処理へ移行する。一方、自動制動制御ECU1は、未だ車型およびセンサ情報を学習していない場合(ステップS1でNo)、ステップS6の処理へ移行する。
【0048】
ステップS2:自動制動制御用ECU1の情報照合部21は、車両ECU2から取得した情報(車型、センサ情報)と学習済の情報(車型、センサ情報)との比較を行ないステップS3の処理へ移行する。
【0049】
ステップS3:自動制動制御用ECU1の情報照合部21は、車両ECU2から取得した情報(車型、センサ情報)と学習済の情報(車型、センサ情報)とが一致したか否かを判断する。情報照合部21は、車両ECU2から取得した情報と学習済の情報とが一致した場合(ステップS3でYes)、ステップS4の処理へ移行する。一方、情報照合部21は、車両ECU2から取得した情報と学習済の情報とが不一致の場合(ステップS3でNo)、ステップS5の処理へ移行する。
【0050】
ステップS4:自動制動制御用ECU1の制御実施部12は、自動制動制御装置3の制御を開始して処理を終了する(END)。
【0051】
ステップS5:自動制動制御用ECU1の照合結果表示部22は、異常警報を出力して処理を終了する(END)。
【0052】
ステップS6:自動制動制御用ECU1の記憶部20は、車型およびセンサ情報を記憶してステップS7の処理へ移行する。
【0053】
ステップS7:自動制動制御用ECU1のパターン選択部30は、テーブル40を参照してステップS8の処理へ移行する。
【0054】
ステップS8:自動制動制御用ECU1のパターン選択部30は、テーブル40に基づいて制動制御パターンを選択してステップS4の処理へ移行する。
【0055】
(効果)
自動制動制御用ECU1は、車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する車両ECU2から取得して記憶し、記憶した情報に基づいて車両に適合する制動制御パターンを選択するので、自動制動制御用ECU1を複数の車型の車両で共通化することができる。
【0056】
また、記憶部20に既に情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している情報と車両ECU2から取得する情報とを照合し、照合結果を表示するので、車両ECU2あるいは自動制動制御用ECU1のいずれかに異常が発生した場合にはこれを表示することができる。これによりユーザは、異常の発生を速やかに知ることができ、必要な処置をとることができる。
【0057】
また、所定の入力に応じて記憶部20に既に記憶されている情報を消去して記憶部20を初期状態に戻すことができるので、車両に仕様変更が生じた場合、あるいは自動制動制御用ECU1を他の車両に載せ変えた場合などに対応することができる。
【0058】
(プログラムを用いた実施の形態について)
また、自動制動制御用ECU1の各部は、所定のプログラムにより動作する汎用の情報処理装置によって構成されてもよい。例えば、汎用の情報処理装置は、メモリ、CPU(Central Processing Unit)、入出力ポートなどを有する。汎用の情報処理装置のCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、汎用の情報処理装置には、自動制動制御用ECU1の各部の機能が実現される。また、その他の機能についてもソフトウェアにより実現可能な機能については汎用の情報処理装置とプログラムとによって実現することができる。なお、上述したCPUの代わりにASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSP(Digital Signal Processor)などを用いてもよい。
【0059】
なお、汎用の情報処理装置が実行する制御プログラムは、自動制動制御用ECU1の出荷前に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであっても、自動制動制御用ECU1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、自動制動制御用ECU1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。自動制動制御用ECU1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0060】
また、制御プログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0061】
このように、汎用の情報処理装置とプログラムによって自動制動制御用ECU1の機能を実現することにより、大量生産や仕様変更(または設計変更)に対して柔軟に対応可能となる。
【0062】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態はその要旨を逸脱しない限り様々に変更が可能である。たとえば図11に示すように、3段階に変化する制動力の区間をそれぞれT1,T2,T3とするときに、1段階目の区間T1では、断続音を比較的小さく出力し、2段階目の区間T2では、断続音を区間T1よりは大きく出力し、3段階目の区間T3では、連続音を区間T2よりもさらに大きく出力するようにしてもよい。
【0063】
これによればユーザは現在どの区間T1,T2,T3にあるのかを音によって知ることができる。したがって、バスなどの場合、来る衝突に対処するために乗客は体勢を整えるなどの行動をとることが容易になる。
【0064】
また、レーダ5または不図示のレーザ距離センサに代えて、カメラ装置による画像解析などを用いて先行車との距離を測定してもよい。また、ステアリングセンサ6またはヨーレイトセンサ7に代えて、横方向の加速度センサなどを用いてもよい。また、車速センサ8または不図示の加速度センサに代えて、ブレーキECU4の制御量によって制動力の大きさを検出してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…自動制動制御用ECU、2…車両ECU(他のECU)、3…自動制動制御装置、10…車型情報学習部(車型情報学習手段)、11…制動制御パターン選択部(制動制御パターン選択手段)、20…記憶部(車型情報学習手段、リセット手段)、21…情報照合部(情報照合手段)、22…照合結果表示部(照合結果表示手段)、30…パターン選択部(制動制御パターン選択手段の一部)、31…パターン記憶部(制動制御パターン選択手段の一部)、40…テーブル(制動制御パターン選択手段の一部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動制動制御用ECU(Electric Control Unit)、車型学習方法および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
先行車と自車との間の距離(車間距離)をレーダなどによって監視し、車間距離が異常に接近した場合には、自動的に適切な制動制御を行い、万が一の衝突時に、その被害を小さく抑えるという自動制動制御装置がある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−84052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の自動制動制御装置は、トラックやバスなどの大型車両への適用を想定している。一方、同じ大型車両であってもトラックとバスとでは、自動制動制御を実施する際の制動制御パターンが異なる。たとえばトラックは荷物を運搬するための車両であり、制動制御パターンに急ブレーキとなる制動制御パターンを含んでいても問題は少ない。これに対し、バスは乗客を運搬するための車両であり、乗客の転倒事故などを考慮すると即座に急ブレーキとなるような制動制御パターンは避けることが好ましい。
【0005】
このようなことから車型毎の自動制動制御内容に応じて複数の自動制動制御用ECUを用意して制御しようとすれば、ECUの大量生産を難しくして製造コストを押し上げると共に、ECUの品番の管理を難しくするために好ましくない。
【0006】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、自動制動制御用ECUを複数の車型の車両で共通化することができる自動制動制御用ECU、車型学習方法および車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの観点は、自動制動制御用ECUとしての観点である。すなわち、本発明の自動制動制御用ECUは、複数の異なる車型の車両に搭載され、車両の自動制動制御装置を制御する自動制動制御用ECUであって、車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する他のECUから取得して記憶する車型情報学習手段と、車型情報学習手段が記憶した情報に基づいて車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択手段と、を有するものである。
【0008】
また、車型情報学習手段に既に情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している情報と他のECUから取得する情報とを照合する情報照合手段と、情報照合手段の照合結果を表示する照合結果表示手段と、を有することができる。
【0009】
さらに、所定の入力に応じて車型情報学習手段に既に記憶されている情報を消去して車型学習手段を初期状態に戻すリセット手段を有することができる。
【0010】
本発明の他の観点は、車型学習方法としての観点である。すなわち、本発明の車型学習方法は、複数の異なる車型の車両に搭載され、車両の自動制動制御装置を制御する自動制動制御用ECUが実行する車型学習方法であって、車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する他のECUから取得して記憶する車型情報学習ステップと、車型情報学習ステップの処理により記憶した情報に基づいて車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択ステップと、を有するものである。
【0011】
また、車型情報学習ステップの処理により既に情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している情報と他のECUから取得する情報とを照合する情報照合ステップと、情報照合ステップの処理による照合結果を表示する照合結果表示ステップと、を有することができる。
【0012】
さらに、所定の入力に応じて車型情報学習ステップの処理により既に記憶されている情報を消去して車型学習ステップの処理を初期状態に戻すリセットステップを有することができる。
【0013】
本発明のさらに他の観点は、車両としての観点である。すなわち、本発明の車両は、複数の異なる車型の車両に搭載され、車両の自動制動制御装置を制御する自動制動制御用ECUを有する車両であって、自動制動制御用ECUは、車型のおよび当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する他のECUから取得して記憶する車型情報学習手段と、車型情報学習手段が記憶した情報に基づいて車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択手段と、を有するものである。
【0014】
また、自動制動制御用ECUは、車型情報学習手段に既に情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している情報と他のECUから取得する情報とを照合する情報照合手段と、情報照合手段の照合結果を表示する照合結果表示手段と、を有することができる。
【0015】
さらに、自動制動制御ECUは、所定の入力に応じて車型情報学習手段に既に記憶されている情報を消去して車型学習手段を初期状態に戻すリセット手段を有することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自動制動制御用ECUを複数の車型の車両で共通化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態の自動制動制御用ECUおよびその周辺の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の自動制動制御用ECUのブロック構成図である。
【図3】制動制御パターンの一例(♯1)を示す図である。
【図4】制動制御パターンの一例(♯2)を示す図である。
【図5】制動制御パターンの一例(♯3)を示す図である。
【図6】図2のテーブルの一例を示す図である。
【図7】図2のパターン記憶部の記憶内容の一例を示す図である。
【図8】図2のパターン記憶部の記憶内容の一例を示す図である。
【図9】図2のパターン記憶部の記憶内容の一例を示す図である。
【図10】自動制動制御用ECUの動作を示すフローチャートである。
【図11】その他の実施の形態における制動制御パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明の実施の形態の自動制動制御用ECU1について)
本発明の実施の形態の自動制動制御用ECU1について、図1〜図11を参照して説明する。
【0019】
自動制動制御用ECU1は、図1に示すように、たとえばCAN(Control Area Network)通信で接続されている車両ECU2から車型および当該車型に対応するセンサの情報を取得してこの情報を記憶することにより自己が搭載されている車型を学習する。自動制動制御用ECU1は、この学習結果に基づいて自己が搭載されている車両に適合する自動制動制御パターンを選択して自動制動制御装置3の制御に適用する。さらに、自動制動制御用ECU1は、起動毎(キーON毎)に、車両ECU2からの車型および当該車型に対応するセンサの情報と自己が既に記憶している車型および当該車型に対応するセンサの情報とを照合して照合結果を出力する。たとえば照合結果が不一致であれば自動制動制御用ECU1は、何らかの異常が発生したとして警報を出力する。
【0020】
なお、自動制動制御装置3は、自動制動制御用ECU1の制御にしたがってブレーキECU(たとえばEBS(Electric Brake System)_ECU)4に指示を行ない自動制動制御を実施する。また、自動制動制御装置3は、レーダ(ミリ波レーダ)5、ステアリングセンサ6、ヨーレイトセンサ7、車速センサ8などの各種センサの検出結果を入力して自動制動制御を実施する。
【0021】
ここでレーダ5は、先行車両との車間距離を測定するためのセンサである。ステアリングセンサ6は、ステアリングの舵角を検出するためのセンサである。ヨーレイトセンサ7は、車両の重心位置を中心に車両が進行方向に対して左右に振られる割合を検出するためのセンサである。車速センサ8は、車両の速度を検出するためのセンサである。
【0022】
(構成)
自動制動制御用ECU1は、図1に示すように、車型情報学習部10および制動制御パターン選択部11、制御実施部12を有する。さらに、図2に示すように、車型情報学習部10は、記憶部20、情報照合部21、および照合結果表示部22を有する。また、制動制御パターン選択部11は、パターン選択部30、およびパターン記憶部31を有する。さらに、パターン選択部30にはテーブル40を有する。
【0023】
車型情報学習部10は、車両ECU2から車型および当該車型に対応するセンサの情報を取得してこれを記憶部20に記憶する。また、車型情報学習部10は、記憶部20に既に記憶している車型および当該車型に対応するセンサの情報が存在するときには、起動毎(キーON毎)に、記憶部20が記憶している車型および当該車型に対応するセンサの情報と車両ECU2から取得した車型および当該車型に対応するセンサの情報とを情報照合部21により照合する。情報照合部21の照合結果は、照合結果表示部22によって外部に出力される。
【0024】
制動制御パターン選択部11のパターン選択部30は、記憶部20に記憶されている車型および当該車型に対応するセンサの情報に基づいてテーブル40を参照し、自車両に適合する制動制御パターンを選択する。パターン選択部30が選択した制動制御パターンは、当該制動制御パターンに対応するセンサ情報と共にパターン記憶部31に記憶される。
【0025】
制御実施部12は、パターン記憶部31に記憶されている制動制御パターンおよびセンサ情報にしたがって自動制動制御装置3の制御を実施する。
【0026】
記憶部20は、フラッシュメモリなどで構成され、自動制動制御用ECU1の電源がOFFになっても記憶内容は保持される。一方、記憶部20は、外部からのリセット入力に応じて記憶内容を消去し、初期状態に戻って新たな情報を受け入れることができる。
【0027】
情報照合部21は、不図示のRAM(Random Access Memory)などの一時記憶装置を有し、車両ECU2から取得する車型情報およびセンサ情報を一時記憶し、この記憶内容と記憶部20に既に記憶されている記憶内容とを不図示の比較器(コンパレータなど)などによって照合する。
【0028】
照合結果表示部22は、情報照合部21の照合結果を外部に出力する。たとえば照合結果表示部22は、不図示のLED(Light Emitting Diode)を有し、照合結果が不一致ならばLED(たとえば赤色)を点灯させるなどとする。あるいは照合結果表示部22は、ダイアグ(ダイアグノーシス)コードによって照合結果の不一致を外部に伝達する。
【0029】
パターン選択部30は、不図示のROM(Read Only Memory)などにテーブル40および制動制御パターンを記憶している。そしてパターン選択部30は、記憶部20に記憶されている車型情報に基づいて車型に対応する制動制御パターンを選択してこの制動制御パターンに対応するセンサ情報と共にパターン記憶部31に転送する。
【0030】
パターン記憶部31は、パターン選択部30から転送された制動制御パターンおよびセンサ情報を記憶するための不図示の記憶装置を有する。当該記憶装置は、たとえば自動制動制御用ECU1がOFFになっても記憶が残る不揮発性メモリなど(フラッシュメモリ等)である。
【0031】
(動作)
次に、自動制動制御用ECU1の動作について説明する。
【0032】
(制動制御パターンについて)
制動制御パターンについて図3〜図5を参照して説明する。図3〜図5は、横軸に時間をとり、縦軸に制動力をとる。なお、制動力に代えて、制動加速度、制動G(Gは重力加速度)を縦軸にとってもよいが、以下では、説明の便宜上、制動力を例にとって説明する。
【0033】
図3に示す制動制御パターンは、3段階に制動力が大きくなっていくパターンである。また、図4に示す制動制御パターンは、1段階目の制動力から徐々に制動力が大きくなり最大制動力に達するパターンである。また、図5に示す制動制御パターンは、1段目の比較的小さな制動力の後、2段階に制動力が大きくなっていくパターンである。
【0034】
図5に示す制動制御パターンでは、1段階目の比較的小さな制動力の時間が図3,図4に示す制動制御パターンに比べると長い。図5に示す制動制御パターンをバスに適用すれば、1段階目の比較的小さな制動力の時間内に乗客は、来る衝突時の衝撃に備えるべく体勢を整えるなどの準備が可能である。したがって、図5に示す制動制御パターンはバスに適用するのに適する。
【0035】
一方、図3,図4に示す制動制御パターンは、1段階目の比較的小さな制動力の時間は図5に比べると短く、短時間に制動力が大きくなる。したがって、図3,図4に示す制動制御パターンはトラックに適用するのに適する。
【0036】
(テーブル40について)
テーブル40の一例を図6に示す。図6に示すテーブル40は、3種類の車型A,B,Cとこれに対応する制動制御パターン♯1,♯2,♯3とが記録されている。なお、図6では、説明の便宜上、制動制御パターンの記録内容を、制動制御パターン♯1,♯2,♯3として示したが、実際には、図3〜図5に示したように、時間と制動力との対応関係がそれぞれ記録されているものとする。
【0037】
たとえば制動制御パターン♯1とは図3に示す制動制御パターンである。また、制動制御パターン♯2とは図4に示す制動制御パターンである。また、制動制御パターン♯3とは図5に示す制動制御パターンである。
【0038】
パターン選択部30は、図6のテーブル40を参照して車型情報A,B,Cからこれに対応する制動制御パターン♯1,♯2,♯3を引き当てる。
【0039】
また、センサ情報は、制動制御パターンと共にパターン選択部30からパターン記憶部31に転送される。記憶部20には、車両ECU2から取得したセンサ情報が記憶されているので、パターン選択部30は、記憶部20から車型情報を取得する際にセンサ情報を取得し、これを制動制御パターンと共にパターン記憶部31に転送する。
【0040】
その結果、パターン記憶部31には、図7、図8、図9に示すような情報が記録される。図7の例では、車型:A、制動制御パターン:♯1、センサ種別:レーダ、ステアリングセンサ、ヨーレイトセンサ、車速センサとなっている。また、図8の例では、車型:B、制動制御パターン:♯2、センサ種別:レーダ、ステアリングセンサ、加速度センサとなっている。また、図9の例では、車型:C、制動制御パターン:♯3、センサ種別:レーザ距離センサ、ヨーレイトセンサ、車速センサとなっている。
【0041】
なお、自動制動制御装置3は、(1)先行車との車間距離を測定するためのセンサ、(2)車両がカーブを走行中か直進中かを検出するためのセンサ、(3)制動力を検出するためのセンサ、が必須である。
【0042】
図7の例では、車型Aは、上記(1)としてレーダ5を有し、上記(2)としてステアリングセンサ6、ヨーレイトセンサ7を有し、上記(3)として車速センサ8(車速の増減で制動力を判定)を有する。
【0043】
また、図8の例では、車型Bは、上記(1)としてレーダ5を有し、上記(2)としてステアリングセンサ6を有し、上記(3)として不図示の加速度センサ(加速度の増減で制動力を判定)を有する。
【0044】
また、図9の例では、車型Cは、上記(1)として不図示のレーザ距離センサを有し、上記(2)としてヨーレイトセンサ7を有し、上記(3)として車速センサ8を有する。
【0045】
(自動制動制御用ECU1の動作について)
次に、自動制動制御用ECU1の動作について図10のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
START:自動制動制御用ECU1は、起動するとステップS1の処理へ移行する。
【0047】
ステップS1:自動制動制御用ECU1は、既に車型およびセンサ情報を学習済みか否かを判断する。自動制動制御ECU1は、既に車型およびセンサ情報を学習済の場合(ステップS1でYes)、ステップS2の処理へ移行する。一方、自動制動制御ECU1は、未だ車型およびセンサ情報を学習していない場合(ステップS1でNo)、ステップS6の処理へ移行する。
【0048】
ステップS2:自動制動制御用ECU1の情報照合部21は、車両ECU2から取得した情報(車型、センサ情報)と学習済の情報(車型、センサ情報)との比較を行ないステップS3の処理へ移行する。
【0049】
ステップS3:自動制動制御用ECU1の情報照合部21は、車両ECU2から取得した情報(車型、センサ情報)と学習済の情報(車型、センサ情報)とが一致したか否かを判断する。情報照合部21は、車両ECU2から取得した情報と学習済の情報とが一致した場合(ステップS3でYes)、ステップS4の処理へ移行する。一方、情報照合部21は、車両ECU2から取得した情報と学習済の情報とが不一致の場合(ステップS3でNo)、ステップS5の処理へ移行する。
【0050】
ステップS4:自動制動制御用ECU1の制御実施部12は、自動制動制御装置3の制御を開始して処理を終了する(END)。
【0051】
ステップS5:自動制動制御用ECU1の照合結果表示部22は、異常警報を出力して処理を終了する(END)。
【0052】
ステップS6:自動制動制御用ECU1の記憶部20は、車型およびセンサ情報を記憶してステップS7の処理へ移行する。
【0053】
ステップS7:自動制動制御用ECU1のパターン選択部30は、テーブル40を参照してステップS8の処理へ移行する。
【0054】
ステップS8:自動制動制御用ECU1のパターン選択部30は、テーブル40に基づいて制動制御パターンを選択してステップS4の処理へ移行する。
【0055】
(効果)
自動制動制御用ECU1は、車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する車両ECU2から取得して記憶し、記憶した情報に基づいて車両に適合する制動制御パターンを選択するので、自動制動制御用ECU1を複数の車型の車両で共通化することができる。
【0056】
また、記憶部20に既に情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している情報と車両ECU2から取得する情報とを照合し、照合結果を表示するので、車両ECU2あるいは自動制動制御用ECU1のいずれかに異常が発生した場合にはこれを表示することができる。これによりユーザは、異常の発生を速やかに知ることができ、必要な処置をとることができる。
【0057】
また、所定の入力に応じて記憶部20に既に記憶されている情報を消去して記憶部20を初期状態に戻すことができるので、車両に仕様変更が生じた場合、あるいは自動制動制御用ECU1を他の車両に載せ変えた場合などに対応することができる。
【0058】
(プログラムを用いた実施の形態について)
また、自動制動制御用ECU1の各部は、所定のプログラムにより動作する汎用の情報処理装置によって構成されてもよい。例えば、汎用の情報処理装置は、メモリ、CPU(Central Processing Unit)、入出力ポートなどを有する。汎用の情報処理装置のCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、汎用の情報処理装置には、自動制動制御用ECU1の各部の機能が実現される。また、その他の機能についてもソフトウェアにより実現可能な機能については汎用の情報処理装置とプログラムとによって実現することができる。なお、上述したCPUの代わりにASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSP(Digital Signal Processor)などを用いてもよい。
【0059】
なお、汎用の情報処理装置が実行する制御プログラムは、自動制動制御用ECU1の出荷前に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであっても、自動制動制御用ECU1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、自動制動制御用ECU1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。自動制動制御用ECU1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0060】
また、制御プログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0061】
このように、汎用の情報処理装置とプログラムによって自動制動制御用ECU1の機能を実現することにより、大量生産や仕様変更(または設計変更)に対して柔軟に対応可能となる。
【0062】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態はその要旨を逸脱しない限り様々に変更が可能である。たとえば図11に示すように、3段階に変化する制動力の区間をそれぞれT1,T2,T3とするときに、1段階目の区間T1では、断続音を比較的小さく出力し、2段階目の区間T2では、断続音を区間T1よりは大きく出力し、3段階目の区間T3では、連続音を区間T2よりもさらに大きく出力するようにしてもよい。
【0063】
これによればユーザは現在どの区間T1,T2,T3にあるのかを音によって知ることができる。したがって、バスなどの場合、来る衝突に対処するために乗客は体勢を整えるなどの行動をとることが容易になる。
【0064】
また、レーダ5または不図示のレーザ距離センサに代えて、カメラ装置による画像解析などを用いて先行車との距離を測定してもよい。また、ステアリングセンサ6またはヨーレイトセンサ7に代えて、横方向の加速度センサなどを用いてもよい。また、車速センサ8または不図示の加速度センサに代えて、ブレーキECU4の制御量によって制動力の大きさを検出してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…自動制動制御用ECU、2…車両ECU(他のECU)、3…自動制動制御装置、10…車型情報学習部(車型情報学習手段)、11…制動制御パターン選択部(制動制御パターン選択手段)、20…記憶部(車型情報学習手段、リセット手段)、21…情報照合部(情報照合手段)、22…照合結果表示部(照合結果表示手段)、30…パターン選択部(制動制御パターン選択手段の一部)、31…パターン記憶部(制動制御パターン選択手段の一部)、40…テーブル(制動制御パターン選択手段の一部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる車型の車両に搭載され、上記車両の自動制動制御装置を制御する自動制動制御用ECU(Electric Control Unit)であって、
上記車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する他のECUから取得して記憶する車型情報学習手段と、
上記車型情報学習手段が記憶した上記情報に基づいて上記車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択手段と、
を有する、
ことを特徴とする自動制動制御用ECU。
【請求項2】
請求項1記載の自動制動制御用ECUであって、
前記車型情報学習手段に既に前記情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している前記情報と前記他のECUから取得する前記情報とを照合する情報照合手段と、
上記情報照合手段の照合結果を表示する照合結果表示手段と、
を有する、
ことを特徴とする自動制動制御用ECU。
【請求項3】
請求項1または2記載の自動制動制御用ECUであって、
所定の入力に応じて前記車型情報学習手段に既に記憶されている前記情報を消去して前記車型学習手段を初期状態に戻すリセット手段を有する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項4】
複数の異なる車型の車両に搭載され、上記車両の自動制動制御装置を制御する自動制動制御用ECUが実行する車型学習方法であって、
上記車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する他のECUから取得して記憶する車型情報学習ステップと、
上記車型情報学習ステップの処理により記憶した上記情報に基づいて上記車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択ステップと、
を有する、
ことを特徴とする車型学習方法。
【請求項5】
請求項4記載の車型学習方法であって、
前記車型情報学習ステップの処理により既に前記情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している前記情報と前記他のECUから取得する前記情報とを照合する情報照合ステップと、
上記情報照合ステップの処理による照合結果を表示する照合結果表示ステップと、
を有する、
ことを特徴とする車型学習方法。
【請求項6】
請求項4または5記載の車型学習方法であって、
所定の入力に応じて前記車型情報学習ステップの処理により既に記憶されている前記情報を消去して前記車型学習ステップの処理を初期状態に戻すリセットステップを有する、
ことを特徴とする車型学習方法。
【請求項7】
複数の異なる車型の車両に搭載され、上記車両の自動制動制御装置を制御する自動制動制御用ECUを有する車両であって、
上記自動制動制御用ECUは、
上記車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する他のECUから取得して記憶する車型情報学習手段と、
上記車型情報学習手段が記憶した上記情報に基づいて上記車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択手段と、
を有する、
ことを特徴とする車両。
【請求項8】
請求項7記載の車両であって、
前記自動制動制御用ECUは、
前記車型情報学習手段に既に前記情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している前記情報と前記他のECUから取得する前記情報とを照合する情報照合手段と、
上記情報照合手段の照合結果を表示する照合結果表示手段と、
を有する、
ことを特徴とする車両。
【請求項9】
請求項7または8記載の車両であって、
前記自動制動制御ECUは、所定の入力に応じて前記車型情報学習手段に既に記憶されている前記情報を消去して前記車型学習手段を初期状態に戻すリセット手段を有する、
ことを特徴とする車両。
【請求項1】
複数の異なる車型の車両に搭載され、上記車両の自動制動制御装置を制御する自動制動制御用ECU(Electric Control Unit)であって、
上記車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する他のECUから取得して記憶する車型情報学習手段と、
上記車型情報学習手段が記憶した上記情報に基づいて上記車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択手段と、
を有する、
ことを特徴とする自動制動制御用ECU。
【請求項2】
請求項1記載の自動制動制御用ECUであって、
前記車型情報学習手段に既に前記情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している前記情報と前記他のECUから取得する前記情報とを照合する情報照合手段と、
上記情報照合手段の照合結果を表示する照合結果表示手段と、
を有する、
ことを特徴とする自動制動制御用ECU。
【請求項3】
請求項1または2記載の自動制動制御用ECUであって、
所定の入力に応じて前記車型情報学習手段に既に記憶されている前記情報を消去して前記車型学習手段を初期状態に戻すリセット手段を有する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項4】
複数の異なる車型の車両に搭載され、上記車両の自動制動制御装置を制御する自動制動制御用ECUが実行する車型学習方法であって、
上記車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する他のECUから取得して記憶する車型情報学習ステップと、
上記車型情報学習ステップの処理により記憶した上記情報に基づいて上記車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択ステップと、
を有する、
ことを特徴とする車型学習方法。
【請求項5】
請求項4記載の車型学習方法であって、
前記車型情報学習ステップの処理により既に前記情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している前記情報と前記他のECUから取得する前記情報とを照合する情報照合ステップと、
上記情報照合ステップの処理による照合結果を表示する照合結果表示ステップと、
を有する、
ことを特徴とする車型学習方法。
【請求項6】
請求項4または5記載の車型学習方法であって、
所定の入力に応じて前記車型情報学習ステップの処理により既に記憶されている前記情報を消去して前記車型学習ステップの処理を初期状態に戻すリセットステップを有する、
ことを特徴とする車型学習方法。
【請求項7】
複数の異なる車型の車両に搭載され、上記車両の自動制動制御装置を制御する自動制動制御用ECUを有する車両であって、
上記自動制動制御用ECUは、
上記車型および当該車型に対応するセンサの情報を、これらの情報を保持する他のECUから取得して記憶する車型情報学習手段と、
上記車型情報学習手段が記憶した上記情報に基づいて上記車両に適合する制動制御パターンを選択する制動制御パターン選択手段と、
を有する、
ことを特徴とする車両。
【請求項8】
請求項7記載の車両であって、
前記自動制動制御用ECUは、
前記車型情報学習手段に既に前記情報が記憶されているときには、起動毎に、既に記憶している前記情報と前記他のECUから取得する前記情報とを照合する情報照合手段と、
上記情報照合手段の照合結果を表示する照合結果表示手段と、
を有する、
ことを特徴とする車両。
【請求項9】
請求項7または8記載の車両であって、
前記自動制動制御ECUは、所定の入力に応じて前記車型情報学習手段に既に記憶されている前記情報を消去して前記車型学習手段を初期状態に戻すリセット手段を有する、
ことを特徴とする車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−189900(P2011−189900A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59757(P2010−59757)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
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