説明

自動制動装置

【課題】運転者の加速意図に応じて、迅速に自動ブレーキの解除が可能な自動制動装置1を提供する。
【解決手段】運転者のブレーキペダル操作に依存しない制動力を自動的に発生させる自動制動装置1において、運転者のアクセルペダル操作により、発生していた制動力を減衰係数に応じて減衰させ解除する制御を行う制御手段2と、アクセルペダル操作に基づいて、車両を加速させようとする運転者の加速意図の程度を検出する加速意図検出手段8とを有し、制御手段2は、加速意図の程度に応じて減衰係数を減少させることで、制動力を速く減衰させ解除する。加速意図検出手段8が、アクセルペダル19の開度と、踏込速度と、踏込加速度の中の少なくとも1つが所定値以上であると判定した場合に、制御手段2は、減衰係数を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者のブレーキペダル操作に依存しない制動力を自動的に発生させる自動制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動制動装置は、車両の走行状態の危険度が高くなると、運転者のブレーキペダル操作に依存しない制動力を自動的に発生させる。いわゆる、自動制動装置は、自動ブレーキを作動させる。そして、自動制動装置は、一定の解除条件が満たされると、自動ブレーキを解除する。ただ、自動ブレーキが一瞬に解除されると、運転者に違和感を与える場合があり、所定の解除速度で、自動ブレーキを徐々に解除している。特許文献1には、自動ブレーキ解除時に、操舵角や車速の大きさに応じて、解除速度が遅くなるように制御することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−325297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の自動制動装置では、車両を加速させようとする運転者の加速意図が反映されず、運転者が自らの加速操作で危険回避を行う場合に、解除速度が遅く自動ブレーキが解除されるタイミングが遅れるために、加速のタイミングが遅れ、運転者に違和感を与える虞があった。
【0005】
そこで、本発明は、運転者の加速意図に応じて、迅速に自動ブレーキの解除が可能な自動制動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、運転者のブレーキペダル操作に依存しない制動力を自動的に発生させる自動制動装置において、
運転者のアクセルペダル操作により、発生していた前記制動力を減衰係数に応じて減衰させ解除する制御を行う制御手段と、
前記アクセルペダル操作に基づいて、車両を加速させようとする運転者の加速意図の程度を検出する加速意図検出手段とを有し、
前記制御手段は、前記加速意図の程度に応じて減衰係数を減少させることで、前記制動力を速く減衰させ解除することを特徴としている。
【0007】
これによれば、運転者に加速意図がある場合に、例えば、運転者が車両を加速して(あるいは、自動ブレーキによって減速するのでなく、速度を一定に維持したまま)、先行車を追い抜き、危険回避を行う場合等に、検出された加速意図の程度に応じて、減衰係数を減少させ、制動力をより速く減衰させることで、解除速度が速くなり自動ブレーキが解除されるタイミングが速くなるために、加速のタイミングが運転者が車両に加速してほしいと思うタイミングに一致し、運転者は違和感なく運転をすることができる。
【0008】
また、本発明では、前記加速意図検出手段が、アクセルペダルの開度と、アクセルペダルの踏込み速度と、アクセルペダルの踏込み加速度の中の少なくとも1つが所定値以上であると判定した場合に、前記制御手段は、前記減衰係数を減少させることが好ましい。
【0009】
ある程度の加速意図がある場合に踏み込まれる(開かれる)アクセルペダルの開度は、所定値以上であり、予め、その所定値を設定しておけば、アクセルペダルの開度が、その所定値以上であると判定された場合に、ある程度の加速意図があることを検出することができる。
また、ある程度の加速意図がある場合に踏み込まれるアクセルペダルの踏込み速度は、所定値以上であり、予め、その所定値を設定しておけば、アクセルペダルの踏込み速度が、その所定値以上であると判定された場合に、ある程度の加速意図があることを検出することができる。
また、ある程度の加速意図がある場合に踏み込まれるアクセルペダルの踏込み加速度は、所定値以上であり、予め、その所定値を設定しておけば、アクセルペダルの踏込み加速度が、その所定値以上であると判定された場合に、ある程度の加速意図があることを検出することができる。
そして、これらにより、ある程度の加速意図があると検出された場合に、減衰係数を減少させることで、自動ブレーキが解除されるタイミングを速くすることができる。
【0010】
また、本発明では、前記加速意図検出手段が、アクセルペダルの開度が第1所定値以上であり、かつ、アクセルペダルの踏込み速度と、アクセルペダルの踏込み加速度の少なくともどちらか1つが第2所定値以上であると判定した場合に、前記制御手段は、前記減衰係数を減少させることが好ましい。
【0011】
運転者の加速意図の程度がそれほど高くない場合でも、アクセルペダルの開度(踏込み量)が小さい場合には、アクセルペダルの踏込み速度と踏込み加速度は大きくなりやすく、アクセルペダルの踏込み速度と踏込み加速度の大小から加速意図の程度を判定すると、加速意図の程度の検出精度が低下する場合があると考えられる。そこで、アクセルペダルの踏込み速度と踏込み加速度の大小からの加速意図の程度の判定は、アクセルペダルの開度(踏込み量)が小さくない第1所定値以上の大きさか否かの判定と合わせて行う。アクセルペダルの踏込み速度と踏込み加速度が大きくても、アクセルペダルの開度(踏込み量)が小さい場合には、加速意図の程度は高くないと判定できるようにし、運転者の加速意図の検出精度を向上させることができる。
【0012】
また、本発明では、前記加速意図検出手段が、アクセルペダルの開度が第1所定値以上であると判定した場合に、前記制御手段は、アクセルペダルの踏込み速度と、アクセルペダルの踏込み加速度の少なくともどちらか1つが、大きい程、前記減衰係数を減少させることが好ましい。
【0013】
これによれば、前記したように、アクセルペダルの踏込み速度と踏込み加速度が大きくても、アクセルペダルの開度(踏込み量)が小さい場合には、加速意図の程度は高くないと判定できるようにし、運転者の加速意図の検出精度を向上させることができる。また、より危険性の高い状況では、アクセルペダルの踏込み速度と踏込み加速度もより大きくなり、より迅速な加速が要求されるので、アクセルペダルの踏込み速度と踏込み加速度が大きい程、減衰係数を減少させることで、解除速度を速くして自動ブレーキが解除されるタイミングを速くすることができる。
【0014】
また、本発明では、前記制御手段は、前記アクセルペダル操作においてアクセルペダルから運転者に作用する反力が大きい程、前記減衰係数を減少させることが好ましい。
【0015】
アクセルペダルから運転者に作用する反力は、小さければ運転者にアクセルペダルを踏み込み易くし、アクセルペダルの開度(踏込み速度、踏込み加速度)を大きくし、大きければ運転者にアクセルペダルを踏み込み難くし、アクセルペダルの開度(踏込み速度、踏込み加速度)を小さくする。これより、この反力が大きいにもかかわらず、アクセルペダルの開度(踏込み速度、踏込み加速度)が大きい場合は、運転者は、反力に逆らってアクセルペダルを踏み込んでいるわけで、強い加速意図があると考えられる。そこで、制御手段が加速意図の程度に応じて減衰係数を減少させるところ、さらに、この反力が大きい程減衰係数を減少させることで、減衰係数の減少の程度に、より強い加速意図を反映させることができ、加速意図の程度の検出の精度を高めることができる。
【0016】
また、本発明では、前記制御手段は、
前記車両の走行状態を検出あるいは判定する走行状態検出判定手段を備え、
前記走行状態検出判定手段で検出あるいは判定された走行状態に基づき、前記減衰係数を補正することが好ましい。
【0017】
これによれば、車両の走行状態に応じて前記制動力を減衰させる際の減衰係数を補正することができるため、車両の走行状態に一層即した制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、運転者の加速意図に応じて、迅速に自動ブレーキの解除が可能な自動制動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る自動制動装置が搭載された車両の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る自動制動装置の構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る自動制動装置が実施する自動制動方法のフローチャートである。
【図4】アクセルペダル(AP)のAP開度と、踏込速度(踏み込み速度)と、自動ブレーキ作動量(制動力)の時間変化を示す図である。
【図5】アクセルペダル(AP)のAP開度、踏込速度、踏込加速度に応じて、減衰係数αを決定するためのマップ(対応図)である。
【図6】車両が現在走行している路面の勾配に応じて、補正係数βを決定するためのマップ(対応図)である。
【図7】車両に作用する横G(横加速度)に応じて、補正係数βを決定するためのマップ(対応図)である。
【図8】アクセルペダル操作においてアクセルペダルから運転者に作用するAP反力に応じて、AP反力補正係数γを決定するためのマップ(対応図)である。
【図9】(a)はアクセルペダル(AP)のAP開度と、自動ブレーキ作動量(制動力)の時間変化を示す図であり、(b)はAP開度と、踏込速度と、自動ブレーキ作動量(制動力)の時間変化を示す図であり、(c)は、はAP開度と、踏込加速度と、自動ブレーキ作動量(制動力)の時間変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0021】
図1に、本発明の実施形態に係る自動制動装置1が搭載された車両100の構成図を示す。車両100は、4輪の車輪33を有している。車輪33には、ディスクブレーキ等により構成されるブレーキアクチュエータ32で発生させた制動力が伝達される。ブレーキアクチュエータ32の制動油圧(制動力)は、制動制御装置31により制御されている。制動制御装置31は、踏込量センサ23により検出される運転者によるブレーキペダル22の踏込量に応じた制動力を発生することができる。
【0022】
また、自動制動装置1は、制動制御装置31を介して、運転者のブレーキペダル22の操作に依存しない制動力を自動的に発生させることができる。
【0023】
また、車輪33には、エンジン35からトランスミッション(T/M)34を介して駆動力が伝達される。エンジン35には、スロットルバルブ36が設けられている。スロットルバルブ36のスロットル開度が、スロットルアクチュエータ37で開閉されることで、エンジンの駆動力(エンジン回転数)が制御される。スロットルバルブ36のスロットル開度は、踏込量センサ20により検出されるアクセルペダル19の踏込量(開度)に応じて調整される。アクセルペダル19には、自動制動装置1から出力される反力出力値に応じて作動するサーボモータ等の反力付与機構21を介して、反力(AP反力)を加えることができる。自動制動装置1は、例えば、車速が、制限速度を超えている場合に、運転者に減速を促すために、アクセルペダル19に作用させている反力を大きくすることができる。
【0024】
自動制動装置1の加速意図検出判定手段(加速意図検出手段)8は、アクセルペダル19の踏込量(開度、AP開度)を取得し、それに基づいて、踏込速度、踏込加速度を算出・取得する。加速意図検出判定手段(加速意図検出手段)8は、アクセルペダル19の操作に起因するAP開度、踏込速度、踏込加速度に基づいて、車両100を加速させようとする運転者の加速意図の程度を検出する。具体的には、加速意図検出手段は、AP開度、踏込速度、踏込加速度が、それぞれ設定した所定値以上であると判定した場合に、運転者が加速意図を持っており、その加速意図の程度がある程度のものであると決定する。
【0025】
また、車輪33は、ステア24を運転者が操舵することにより、転舵することができる。ステア24の操舵量は、操舵量センサ25で検出することができる。ステア24には、自動制動装置1から出力される反力出力値に応じて作動するサーボモータ等の反力付与機構26を介して、反力(ステア反力)を加えることができる。自動制動装置1は、例えば、高速道路を走っているように、高速走行している場合に、運転者にステア24を大きく切らないようにするために、ステア24に作用させる反力を大きくすることができる。
【0026】
自動制動装置1の加速意図検出判定手段(加速意図検出手段)8は、ステア24の操舵量を取得し、ステア24の操舵量に基づいて、操舵速度、操舵加速度を算出・取得する。加速意図検出判定手段(加速意図検出手段)8は、アクセルペダル19の操作に起因するAP開度、踏込速度、踏込加速度に基づいて、車両100を加速させようとする運転者の加速意図の程度を検出するが、ステア24の操舵量、操舵速度、操舵加速度も加味して、より高精度に、加速意図の程度を検出することができる。具体的に、先行車を追い抜き、危険回避を行う場合には、アクセルペダル19の操作だけでなく、ステア24の操舵も伴う。加速意図検出手段は、AP開度、踏込速度、踏込加速度だけでなく、ステア24の操舵量、操舵速度、操舵加速度が、それぞれ設定した所定値以上であると判定した場合に、運転者が加速意図、さらには、危険回避の意図を持っており、その加速意図(危険回避の意図)の程度がある程度のもの(所定値以上のもの)であると決定することができる。
【0027】
また、同様に、ブレーキペダル22の踏込量、踏込速度、踏込加速度も加味して、より高精度に、加速意図の程度を検出することができる。具体的に、ブレーキペダル22を踏み込んで先行車との衝突を回避しながら、先行車を追い抜き、危険回避を行う場合には、アクセルペダル19の操作だけでなく、ブレーキペダル22の操作も伴う。加速意図検出手段は、AP開度、踏込速度、踏込加速度だけでなく、ブレーキペダル22の踏込量、踏込速度、踏込加速度が、それぞれ設定した所定値以上であると判定した場合に、運転者が加速意図、さらには、危険回避の意図を持っており、その加速意図(危険回避の意図)の程度がある程度のもの(所定値以上のもの)であると決定することができる。
【0028】
車両100には、走行中等に車体に作用する横G(加速度)を計測して、自動制動装置1に出力する横Gセンサ11が設けられている。また、車両100には、走行中等に車体に作用するYAWRATE(ヨーレート)を計測して、自動制動装置1に出力するYAWRATEセンサ12が設けられている。また、車両100には、車両100の走行している路面の勾配を計測して、自動制動装置1に出力する勾配センサ13が設けられている。また、車両100には、車速を計測して、自動制動装置1に出力する車速センサ14が設けられている。自動制動装置1の走行状態検出判定手段9dは、計測された横G、YAWRATE(ヨーレート)、路面の勾配、車速、AP反力、ステア反力を検出し、検出したこれらに基づいて、減衰係数を補正する補正係数やAP反力補正係数を決定することができる。
【0029】
また、車両100には、カメラ15が搭載されている。カメラ15は、車両100の進路前方を撮影し、その映像を自動制動装置1に送信する。また、車両100には、車両100の進路前方に向けてミリ波等の電磁波を出射波として出射し、その反射波を入射波として入射させるレーダ16が、搭載されている。レーダ16は、その出射波と入射波に応じたレーダ信号を自動制動装置1に送信する。自動制動装置1の先行車(障害物)関連情報検出手段9aでは、前記映像とレーダ信号に基づいて、先行車(障害物)と車両100との、相対距離、相対速度等を検出し、相対距離を相対速度で割ることで衝突予想時間TTC(Time To Collision)を算出し、相対距離を車速で割ることで車頭時間(Time Headway)を算出する。先行車(障害物)関連情報検出手段9aは、衝突予想時間TTCと車頭時間が、それぞれ所定値以下になった場合に、相対距離、相対速度、衝突予想時間TTC、車頭時間と車速等に基づいて、車両100の制限速度を設定する。自動制動装置1の自動ブレーキ制御手段2は、相対距離が所定値に達するまでに、車速がこの制限速度となるような制動力(自動ブレーキ作動量)を設定(算出)することで、制動制御装置31とブレーキアクチュエータ32を介して、車輪33に制動力を発生させ、車両100に自動ブレーキが作動する。
【0030】
また、車両100には、ナビゲーションシステム17が搭載されている。ナビゲーションシステム17は、GPSにより車両100の位置と進路を検出するとともに、記憶しておいた道路地図情報に基づいて、車両100の進路前方の道路地図情報を抽出し、画面に表示する。自動制動装置1のカーブ(進路)関連情報検出手段9bは、ナビゲーションシステム17が抽出した車両100の進路前方の道路地図情報を取得し、これに基づいて、進路前方にあるカーブを抽出し、このカーブについて、車両100からの距離、カーブ半径Rを取得する。自動制動装置1のカーブ(進路)関連情報検出手段9bは、カーブ半径Rや、路面の勾配等に基づいて、車両100のカーブ進入時の制限速度(目標進入車速)を設定する。自動制動装置1の自動ブレーキ制御手段2は、カーブ進入口手前でこの制限速度となるような制動力(自動ブレーキ作動量)を設定(算出)することで、制動制御装置31とブレーキアクチュエータ32を介して、車輪33に制動力を発生させ、車両100に自動ブレーキが作動する。
【0031】
また、車両100には、VSA(登録商標:ビークル・スタビリティ・アシスト)、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、TCS(トラクション・コントロール・システム)18が搭載されている。VSAによれば、さまざまな路面で車両100の挙動安定化をはかることができる。また、ABSによれば、滑りやすい状況での急制動時に、車輪33のロックを防止することができる。また、TCSによれば、加速時などの車輪33の空転を防ぐことができる。VSA、ABS、TCS18も、制動制御装置31とブレーキアクチュエータ32を介して、車輪33に制動力を発生させる。自動制動装置1の他の制動制御のスタート検出判定手段9cは、VSA、ABS、TCS18等の他の制動制御がスタートしたときは、このスタートを検出し、自動ブレーキ制御手段2に、自動ブレーキを解除させる。これによれば、自動ブレーキが作動していても、VSA、ABS、TCS18等による制動制御を優先的に実施することができる。
【0032】
図2に、本発明の実施形態に係る自動制動装置1の構成図を詳細に示す。自動制動装置1の自動ブレーキ制御手段2は、目標ブレーキ作動量設定手段3と、減衰係数設定手段4と、補正係数取得加算手段5と、AP反力補正係数取得乗算手段6と、目標ブレーキ作動量算出手段7とを有している。
【0033】
目標ブレーキ作動量設定手段3では、目標ブレーキ作動量として、制動力を設定することで、制動制御装置31とブレーキアクチュエータ32を介して、車輪33に目標ブレーキ作動量相当の制動力を発生させ、自動ブレーキを作動させる。
【0034】
減衰係数設定手段4では、自動ブレーキが解除された場合に、設定されていた目標ブレーキ作動量を減衰させる減衰係数を設定する。減衰係数は、「1」に設定されると、目標ブレーキ作動量を減衰(減少)させず、一定に保つことができる。減衰係数は、「1」未満から「0」以上に設定されると、目標ブレーキ作動量を減衰(減少)させることができる。減衰係数は、「1」未満から「0」以上の範囲で、小さくすればするほど、目標ブレーキ作動量(制動力)をより速く減衰させることができる。目標ブレーキ作動量(制動力)をより速く減衰させることができれば、解除速度が速くなり自動ブレーキが解除されるタイミングを速くすることができる。このように、自動ブレーキの解除の際に、減衰係数を用いて目標ブレーキ作動量(制動力)を減衰させれば、突然、一瞬のうちに、ブレーキが抜けるということがなく、運転者に違和感を与えることがない。
【0035】
補正係数取得加算手段5は、路面の勾配や横G等の走行状態に応じて、補正係数を取得し、減衰係数に加算することで、減衰係数を補正することができる。
【0036】
AP反力補正係数取得乗算手段6は、アクセルペダル19の反力(AP反力)の大きさに応じて、AP反力補正係数を取得し、減衰係数に乗算することで、減衰係数を補正することができる。
【0037】
目標ブレーキ作動量算出手段7は、自動ブレーキを解除する際において、複数のタイミング毎に、直前のタイミングの目標ブレーキ作動量に減衰係数を乗算して、今回のタイミングに設定する目標ブレーキ作動量を算出する。直前のタイミングの目標ブレーキ作動量に対して、今回のタイミングの目標ブレーキ作動量を小さくすることで、最終的には、目標ブレーキ作動量を小さくし自動ブレーキを解除することができる。
【0038】
自動制動装置1の加速意図検出判定手段(加速意図検出手段)8は、AP開度(踏込速度、踏込加速度)検出判定手段8aと、ステア操作量(操作速度、操作加速度)検出判定手段8bと、ブレーキ踏込量(踏込速度、踏込加速度)検出判定手段8cとを有している。
【0039】
AP開度(踏込速度、踏込加速度)検出判定手段8aは、アクセルペダル19のAP開度(踏込速度、踏込加速度)に基づいて、車両100を加速させようとする運転者の加速意図の程度を検出する。
【0040】
ステア操舵量(操舵速度、操舵加速度)検出判定手段8bは、アクセルペダル19のAP開度(踏込速度、踏込加速度)だけでなく、ステア24のステア操舵量(操舵量、操舵速度、操舵加速度)にも基づいて、運転者の加速意図の程度を高精度に検出する。
【0041】
ブレーキ踏込量(踏込速度、踏込加速度)検出判定手段8cは、アクセルペダル19のAP開度(踏込速度、踏込加速度)だけでなく、ブレーキペダル22のブレーキ踏込量(踏込量、踏込速度、踏込加速度)にも基づいて、運転者の加速意図の程度を高精度に検出する。
【0042】
図3に、本発明の実施形態に係る自動制動装置1が実施する自動制動方法のフローチャートを示す。自動制動方法は、運転者によって、車両100のイグニションスイッチIGがオンされることで、スタートする。
【0043】
まず、ステップS1で、自動制動装置1は、イグニションスイッチIGがオフされたか否か判定する。イグニションスイッチIGがオフされたと判定すれば(ステップS1、Yes)、自動制動方法をストップする。イグニションスイッチIGがオフされたと判定されなければ(ステップS1、No)、ステップS2へ進む。
【0044】
ステップS2で、自動制動装置1の先行車(障害物)関連情報検出手段9aが、先行車(障害物)関連情報として、車頭時間、車間距離(相対距離)、相対速度等を、検出・取得する。また、自動制動装置1のカーブ(進路)関連情報検出手段9bが、カーブ(進路)関連情報として、車両100からカーブまでの距離、カーブ半径R、制限速度(目標進入車速)を、検出・取得する。
【0045】
ステップS3で、自動制動装置1は、先行車(障害物)関連情報とカーブ(進路)関連情報に基づいて、先行車(障害物)への衝突危険性あるいはカーブ侵入時の危険性の有無を判定し、自動ブレーキを実施するか否かを判定する。自動ブレーキを実施すると判定すれば(ステップS3、Yes)、ステップS4へ進む。自動ブレーキを実施すると判定されなければ(ステップS3、No)、ステップS1へ戻る。
【0046】
ステップS4で、自動制動装置1の目標ブレーキ作動量設定手段3は、先行車(障害物)関連情報とカーブ(進路)関連情報に基づいて、目標ブレーキ作動量を設定する。また、自動制動装置1の減衰係数設定手段4は、減衰係数に1を設定する。これらにより、自動ブレーキが、スタートする。
【0047】
ステップS5で、自動制動装置1の他の制動制御のスタート検出判定手段9cは、VSA、ABS、TCS18による制動制御のスタートを検出したか否か判定する。他の制動制御のスタートを検出したと判定すれば(ステップS5、Yes)、ステップS6へ進む。他の制動制御のスタートを検出したと判定されなければ(ステップS5、No)、ステップS7へ進む。
【0048】
ステップS6で、自動制動装置1の減衰係数設定手段4は、減衰係数に0(ゼロ)を設定する。ステップS17へ進み、自動制動装置1の目標ブレーキ作動量算出手段7は、直前のタイミングの目標ブレーキ作動量に、0(ゼロ)の減衰係数をかけて、今回のタイミングの目標ブレーキ作動量として、0(ゼロ)を算出する。目標ブレーキ作動量設定手段3は、目標ブレーキ作動量として、0(ゼロ)を設定し、ステップS1へ戻る。これにより、他の制動制御を優先させ、自動ブレーキを瞬時に解除することができる。
【0049】
ステップS7で、自動制動装置1の加速意図検出判定手段(加速意図検出手段)8のAP開度(踏込速度、踏込加速度)検出判定手段8aは、踏込量センサ20が計測した踏込量に基づいて、AP開度(踏込速度、踏込加速度)を取得・検出することで、アクセルペダル(AP)による加速意図を検出する。また、このとき、ステア操舵量(操舵速度、操舵加速度)検出判定手段8bは、操舵量センサ25が計測した操舵量に基づいて、ステア操舵量(操舵速度、操舵加速度)を取得・検出することで、アクセルペダル(AP)だけでないステア24による加速意図(危険回避の意図)を検出する。また、ブレーキ踏込量(踏込速度、踏込加速度)検出判定手段8cは、踏込量センサ23が計測した踏込量に基づいて、ブレーキ踏込量(踏込速度、踏込加速度)を取得・検出することで、アクセルペダル(AP)だけでないブレーキペダル22による加速意図(危険回避の意図)を検出する。
【0050】
ステップS8で、自動制動装置1の加速意図検出判定手段(加速意図検出手段)8は、AP開度が第1所定値以上か否か判定する。
【0051】
図4に、アクセルペダル(AP)のAP開度と、踏込速度と、自動ブレーキ作動量(制動力)の時間変化を示す。AP開度が第1所定値以上であると判定すれば(ステップS8、Yes)、ある程度の加速意図の検出の可能性があるとして、ステップS9へ進む。AP開度が第1所定値以上であると判定されなければ(ステップS8、No)、加速意図の検出の可能性はないとして、ステップS16へ進む。
【0052】
ステップS9で、自動制動装置1の加速意図検出判定手段(加速意図検出手段)8は、AP開度、特に、踏込速度又は踏込加速度が、第2所定値以上か否か判定する。AP開度、特に、踏込速度又は踏込加速度が、第2所定値以上であると判定すれば(ステップS9、Yes)、ある程度の加速意図が検出されたとして、ステップS10へ進む。具体的には、図4に示すように、踏込速度が、第2所定値以上であると判定すれば(ステップS9、Yes)、ある程度の加速意図が検出されたとして、ステップS10へ進む。AP開度、特に、踏込速度又は踏込加速度が、第2所定値以上であると判定されなければ(ステップS9、No)、ある程度の加速意図は検出されなかったとして、ステップS16へ進む。
【0053】
ステップS16で、自動制動装置1の減衰係数設定手段4は、ステップS4でスタートした自動ブレーキによって、先行車(障害物)への衝突危険性あるいはカーブ侵入時の危険性がなくなり、自動ブレーキの解除条件を満たしたことを確認した後に、自動ブレーキを解除し、終了する。解除の際には、減衰係数として、通常の自動ブレーキの際に用いる(通常用の)減衰係数を設定する。ステップS17へ進み、自動制動装置1の目標ブレーキ作動量算出手段7は、直前のタイミングの目標ブレーキ作動量に、通常用の減衰係数をかけて、今回のタイミングの目標ブレーキ作動量を算出する。目標ブレーキ作動量設定手段3は、目標ブレーキ作動量を、通常の解除速度で減衰させ、通常の自動ブレーキを終了させる。そして、ステップS1へ戻る。
【0054】
ステップS10で、自動制動装置1の減衰係数設定手段4は、加速意図が検出されたので、自動ブレーキを迅速に解除すべく、減衰係数を、マップを参照し、ステップS16で設定する通常用の減衰係数より小さく設定する。
【0055】
図5に、アクセルペダル(AP)のAP開度、踏込速度、踏込加速度に応じて、減衰係数αを決定するためのマップ(対応図)の一例を示す。図5のマップには、AP開度に対して減衰係数αを決定する第1マップと、踏込速度に対して減衰係数αを決定する第2マップと、踏込加速度に対して減衰係数αを決定する第3マップとが、兼用されていると考えることができる。
【0056】
図5のマップを第1マップとして用いると、AP開度が、0から第1所定値までのときは、減衰係数αとして、1が設定され、自動ブレーキを解除しないことになる(ステップS8のNoに対応)。また、AP開度が、第1所定値から第2所定値までのときは、最終的に、ステップS16で、通常の減衰係数が設定される(ステップS9のNoに対応)。そして、AP開度が、第2所定値以上のときは、ステップS16で設定される通常の減衰係数より小さい減衰係数が設定される(ステップS9のYesに対応)。AP開度が、第2所定値以上のときは、AP開度が大きいほど、減衰係数は小さく設定される。
【0057】
図5のマップを第2マップとして用いると、踏込速度が、0から第2所定値までのときは、最終的に、ステップS16で、通常の減衰係数が設定される(ステップS9のNoに対応)。第2マップでは、第1所定値は設定されていない。そして、踏込速度が、第2所定値以上のときは、ステップS16で設定される通常の減衰係数より小さい減衰係数が設定される(ステップS9のYesに対応)。踏込速度が、第2所定値以上のときは、踏込速度が大きいほど、減衰係数は小さく設定される。
【0058】
図5のマップを第3マップとして用いると、踏込加速度が、0から第2所定値までのときは、最終的に、ステップS16で、通常の減衰係数が設定される(ステップS9のNoに対応)。第3マップでは、第1所定値は設定されていない。そして、踏込加速度が、第2所定値以上のときは、ステップS16で設定される通常の減衰係数より小さい減衰係数が設定される(ステップS9のYesに対応)。踏込加速度が、第2所定値以上のときは、踏込加速度が大きいほど、減衰係数は小さく設定される。
【0059】
ステップS11で、自動制動装置1の走行状態検出判定手段9dは、ナビゲーションシステム17等を利用して取得した車両100の進行方向前方にあるカーブの車両100までの距離とカーブ半径Rが、それぞれ所定値以下か否か判定する。車両100までの距離とカーブ半径Rが、それぞれの所定値以下であると判定すれば(ステップS11、Yes)、危険性が高いので、ステップS12に進み、減衰係数設定手段4は、ステップS10で速めていた自動ブレーキの解除速度を、遅くするように、ステップS10で設定した減衰係数を大きくする。車両100までの距離とカーブ半径Rが、それぞれの所定値以下であると判定されなければ(ステップS11、No)、危険性が低いので、ステップS12を実施することなく、ステップS13へ進む。
【0060】
ステップS13で、自動制動装置1の走行状態検出判定手段9dは、計測された横G、YAWRATE(ヨーレート)、路面の勾配、車速、AP反力、ステア反力等を検出し判定することで、車両100の走行状態を検出し判定する。
【0061】
ステップS14で、自動制動装置1の補正係数取得加算手段5は、検出した横G、YAWRATE(ヨーレート)、路面の勾配、車速、AP反力、ステア反力等の車両100の走行状態に応じて、補正係数を取得・決定し、減衰係数に補正係数を加算する。
【0062】
例えば、路面の勾配に応じて補正係数を取得する場合には、図6に示すような、路面の勾配に応じて、補正係数βを決定するためのマップ(対応図)を用いることができる。図6のマップの横軸の「勾配(路面の勾配)」の+側は、下り勾配に対応し、−側は、上り勾配に対応している。勾配(路面の勾配)に対して、補正係数βは正比例している。下り勾配(勾配の+側)において、勾配が大きくなる程、補正係数βは、0から1の範囲で、大きくなっている。上り勾配(勾配の−側)において、勾配の絶対値が大きくなる程、補正係数βは、−1から0の範囲で、小さくなっている。
【0063】
補正係数βは、減衰係数に加えられる値であり、補正係数βの増減は、減衰係数の増減と同じ効果、すなわち、自動ブレーキの解除速度を、遅めたり、速めたりする効果がある。図6のマップによれば、例えば、下り勾配(勾配の+側)がきつくなると、補正係数は大きくなって1に近づくので、減衰係数が大きくなって1に近づいたのと同じ効果を発揮し、自動ブレーキの解除速度を遅くすることができる。また、上り勾配(勾配の−側)がきつくなると、補正係数は小さくなって−1に近づくので、減衰係数がもともと1に近くても、0付近まで下げることができるので、自動ブレーキの解除速度を速めることができる。
【0064】
また、例えば、車両100に作用する横G(横加速度)に応じて、補正係数を取得する場合には、図7に示すような、横Gに応じて、補正係数βを決定するためのマップ(対応図)を用いることができる。補正係数βは、横Gの絶対値が大きくなる程、0から1の範囲で、小さくなっている。図7のマップによれば、例えば、横Gの絶対値が大きくなると、補正係数は大きくなって0に近づくので、減衰係数が小さくなって0に近づいたのと同じ効果を発揮し、自動ブレーキの解除速度を速くすることができる。横Gの絶対値が小さくなって0に近づくと、補正係数βは大きくなって1に近づくので、減衰係数が大きくなって1に近づいたのと同じ効果を発揮し、自動ブレーキの解除速度を遅くすることができる。
【0065】
そして、取得された複数の補正係数は、減衰係数に加えられる。ただし、加えられた結果、減衰係数が1を超えた場合は、減衰係数を1に設定し、減衰係数が0より小さくなった場合は、減衰係数を0に設定する。
【0066】
ステップS15で、自動制動装置1のAP反力補正係数取得乗算手段6は、取得したAP反力に基づいて、マップを参照し、AP反力補正係数を取得する。そして、減衰係数に、取得したAP反力補正係数をかけて、新たな減衰係数を取得する。
図8に、アクセルペダル操作においてアクセルペダル19から運転者に作用するAP反力に応じて、AP反力補正係数γを決定するためのマップ(対応図)を示す。AP反力が小さい範囲では、AP反力補正係数γは、1となり、AP反力がその範囲より大きい範囲では、AP反力が大きくなる程、AP反力補正係数γは小さくなっている。
AP反力補正係数γは、減衰係数にかけられる値であり、AP反力補正係数γの増減は、減衰係数の増減と同じ効果、すなわち、自動ブレーキの解除速度を、遅めたり、速めたりする効果がある。図8のマップによれば、例えば、AP反力が大きいと、AP反力補正係数γは小さくなって0に近づくので、減衰係数が小さくなって0に近づいたのと同じ効果を発揮し、自動ブレーキの解除速度を速くすることができる。このAP反力が大きい場合は、AP反力が大きいにも関わらず、運転者がアクセルペダル19を踏んでいる場合に対応し、運転者に強い加速意思があると考えられるので、0に近い小さいAP反力補正係数γを減衰係数にかけて、減衰係数を一層小さくし、自動ブレーキの解除速度を一層速くしている。
【0067】
ステップS17で、自動制動装置1の目標ブレーキ作動量算出手段7は、直前のタイミングの目標ブレーキ作動量に、ステップS15で算出した減衰係数をかけて、今回のタイミングの目標ブレーキ作動量を算出する。目標ブレーキ作動量設定手段3は、目標ブレーキ作動量を、ステップS15で算出した解除速度で減衰させ、自動ブレーキを終了(解除)させる。そして、ステップS1へ戻る。以上で、自動制動方法のフローチャートの説明を終了する。
【0068】
なお、確認的に示すが、図9(a)に示すように、アクセルペダル(AP)のAP開度が大きくなることによって、加速意図(の程度)を検出し、自動ブレーキ作動量を減衰させ自動ブレーキを解除するができる。また、図9(b)に示すように、踏込速度が大きくなることによって、加速意図(の程度)を検出し、自動ブレーキ作動量を減衰させ自動ブレーキを解除するができる。また、図9(c)に示すように、踏込加速度が大きくなることによって、加速意図(の程度)を検出し、自動ブレーキ作動量を減衰させ自動ブレーキを解除するができる。そして、図9(a)に示すAP開度と、図9(b)に示す踏込速度と、図9(c)に示す踏込加速度とを比較すると、踏込加速度が、最も速く立ち上がってピークに達し、次に、踏込速度、最後がAP開度になっている。これより、踏込加速度を用いて加速意図(の程度)を検出すれば、最も短時間に自動ブレーキを解除でき、次に踏込速度、最後にAP開度の順になると考えられる。
【符号の説明】
【0069】
1 自動制動装置
2 自動ブレーキ制御手段(制御手段)
3 目標ブレーキ作動量設定手段
4 減衰係数設定手段
5 補正係数取得加算手段
6 AP反力補正係数取得乗算手段
7 目標ブレーキ作動量算出手段
8 加速意図検出判定手段(加速意図検出手段)
8a AP開度(踏込速度、踏込加速度)検出判定手段
8b ステア操舵量(操舵速度、操舵加速度)検出判定手段
8c ブレーキ踏込量(踏込速度、踏込加速度)検出判定手段
9a 先行車(障害物)関連情報検出手段
9b カーブ(進路)関連情報検出手段
9c 他の制動制御のスタート検出判定手段
9d 走行状態検出判定手段
11 横Gセンサ
12 YAWRATEセンサ
13 勾配センサ
14 車速センサ
15 カメラ
16 レーダ
17 ナビゲーションシステム
18 VSA、ABS、TCS
19 アクセルペダル
20 操舵角センサ
21 反力付与機構
22 ブレーキペダル
23 踏込量センサ
24 ステア
25 操作量センサ
26 反力付与機構
31 制動制御装置
32 ブレーキアクチュエータ
33 車輪
34 T/M(トランスミッション)
35 エンジン
36 スロットルバルブ
37 スロットルアクチュエータ
100 車両
A 目標ブレーキ作動量
α 減衰係数
β 補正係数
γ AP反力補正係数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者のブレーキペダル操作に依存しない制動力を自動的に発生させる自動制動装置において、
運転者のアクセルペダル操作により、発生していた前記制動力を減衰係数に応じて減衰させ解除する制御を行う制御手段と、
前記アクセルペダル操作に基づいて、車両を加速させようとする運転者の加速意図の程度を検出する加速意図検出手段とを有し、
前記制御手段は、前記加速意図の程度に応じて減衰係数を減少させることで、前記制動力を速く減衰させ解除することを特徴とする自動制動装置。
【請求項2】
前記加速意図検出手段が、アクセルペダルの開度と、アクセルペダルの踏込速度と、アクセルペダルの踏込加速度の中の少なくとも1つが所定値以上であると判定した場合に、前記制御手段は、前記減衰係数を減少させることを特徴とする請求項1に記載の自動制動装置。
【請求項3】
前記加速意図検出手段が、アクセルペダルの開度が第1所定値以上であり、かつ、アクセルペダルの踏込速度と、アクセルペダルの踏込加速度の少なくともどちらか1つが第2所定値以上であると判定した場合に、前記制御手段は、前記減衰係数を減少させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動制動装置。
【請求項4】
前記加速意図検出手段が、アクセルペダルの開度が第1所定値以上であると判定した場合に、前記制御手段は、アクセルペダルの踏込速度と、アクセルペダルの踏込加速度の少なくともどちらか1つが、大きい程、前記減衰係数を減少させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動制動装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記アクセルペダル操作においてアクセルペダルから運転者に作用する反力が大きい程、前記減衰係数を減少させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動制動装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記車両の走行状態を検出あるいは判定する走行状態検出判定手段を備え、
前記走行状態検出判定手段で検出あるいは判定された走行状態に基づき、前記減衰係数を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動制動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−162221(P2012−162221A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25900(P2011−25900)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】