説明

自動券売機および自動券売機システム

【課題】品目ボタンの個数を増加させることなく、販売可能な品目数を減少させることなく、同一の品目ボタンを用いて同一品目チケットを異なる販売価格で発行可能な自動券売機を提案すること。
【解決手段】自動券売機3の記憶部52の対応テーブル52aには、各品目ボタン13に割り当てた品目Bに対して一般販売価格Dと会員販売価格Eの2つの価格が割り当てられている。発券制御部50は、同一の品目ボタン13が操作された場合に、品目チケット購入者が会員の場合には会員販売価格Eで品目チケット15を発行させ、非会員の場合には一般販売価格Dで同一の品目チケットを発行させる。会員認証は自動券売機3で読み取った会員カード5のカード情報を管理サーバー2に送信して行う。会員は、同一の品目ボタン13を操作して、一般販売価格Dより割安な会員販売価格Eで品目チケットを購入できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作面に配列されている複数の品目ボタンの一つが操作されると、それに対応する食券などの品目チケットを発行する自動券売機および自動券売機システムに関する。さらに詳しくは、同一の品目ボタンを用いて異なる価格で品目チケットを販売可能な自動券売機および自動券売機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
品目チケット、例えば食券の自動券売機には、一般に、その操作面に縦横に複数の品目選択用の品目ボタンが配列されており、各品目ボタンには、品目および金額が印刷された品目ラベルが貼り付け、あるいは装着されている。食券購入者は、紙幣あるいは硬貨を投入して、希望する品目ラベルが付されている品目ボタンを操作することにより、品目チケットを購入することができる。自動券売機には記憶部が内蔵されており、この記憶部には、各品目ボタンに表示されている品目および金額が各品目ボタンに対応付けした形態で記憶保持されている。このような券売機は特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−139355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自動券売機においては、1つの品目ボタンに対して1つの価格が設定されている。したがって、同一の品目ボタンを用いて、特定ユーザー(会員)に対して同一の品目チケットを一般ユーザー(非会員)とは異なる価格で販売することができない。ユーザー別に異なる価格で販売するためには、品目ボタンの個数を増やして、特定ユーザー用の品目ボタン群と一般ユーザー用の品目ボタン群を操作面に配列しなければならない。しかしながら、限られたスペースの操作面に配列可能な品目ボタンの個数には制限がある。このため、ユーザー別の品目ボタン群を配列すると品目数を減らさざるを得ないという別の問題が発生してしまう。
【0005】
同様に、特定ユーザーのみが購入可能な品目を追加する場合にも、それ専用の品目ボタンを追加せざるを得ず、このような特定ユーザー専用の品目ボタンもスペースに余裕の無い場合には配置できないという問題がある。
【0006】
このように、従来の自動券売機では、品目ボタンの個数を増加させることなく、同一品目について特定ユーザーと一般ユーザーに対して異なる価格で品目チケットを販売することができず、また、特定ユーザーに対してのみ特定の品目を販売することができないという問題点がある。このため、頻繁に自動券売機を利用する特定ユーザーに対して、価格、提供品目の面でサービスを行うことができず、特定ユーザーにとって魅力のある自動券売機を提供することが困難であった。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、品目ボタンの個数を増加させることなく、また、販売可能な品目数を減少させることなく、同一の品目ボタンを用いて同一品目チケットを異なる販売価格で発行可能な自動券売機および自動券売機システムを提案することにある。
【0008】
また、本発明の課題は、品目ボタンの個数を増加させることなく、同一の品目ボタンを用いて特定ユーザーにのみ品目チケットを発行できるようにした自動券売機および自動券売機システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、
品目が表示された品目ボタンの一つが操作されると、前記品目が表示された品目チケットを発行する自動券売機において、
前記品目ボタンのそれぞれに割り当てた前記品目と、当該品目に割り当てた複数の販売価格を、各品目ボタンに対応付けした形態で記憶保持している記憶部と、
前記品目ボタンのそれぞれに割り当てた前記品目の販売価格を、複数の販売価格のいずれか一つに切り替える発券制御部とを有していることを特徴としている。
【0010】
本発明の自動券売機では、各品目ボタンに割り当てた品目に対して複数の販売価格が割り当てられており、これらのうちの一つの販売価格で品目チケットを販売可能である。例えば、各品目ボタンの販売価格を割引価格に設定しておけば、同一の品目ボタンを用いて所定の期間だけ割引販売を行うことができる。また、時間帯に応じて販売価格を段階的に変更することも可能になる。さらに、各品目の販売価格を、予め登録されている会員のための割引価格に設定すれば、会員専用の自動券売機として用いることができ、一般ユーザー用の一般販売価格に設定しておけば通常の自動券売機として用いることができる。よって、品目ボタンを増やすことなく、また、販売品目を減らすことなく、自動券売機を各種の形態で用いることができる。
【0011】
特に、本発明の自動券売機では、
前記複数の販売価格は、前記品目のそれぞれに割り当てた一般販売価格および会員販売価格であり、
前記発券制御部は、前記品目ボタンが操作される前に会員識別情報が入力されると、当該会員識別情報に基づき行われる会員認証結果に基づき、前記販売価格を前記一般販売価格および前記会員販売価格の一方に切り替えることを特徴としている。
【0012】
この構成の自動券売機では、品目ボタンのそれぞれに一般販売価格と会員価格の2つの価格が割り当てられている。同一の品目ボタンが操作された場合に、品目チケット購入者が会員の場合には会員販売価格で品目チケットが販売され、非会員の場合には一般販売価格で同一の品目チケットが販売される。したがって、会員は、品目ボタンに表示されている一般販売価格とは異なる会員販売価格、例えば割引価格で品目チケットを購入できる。よって、品目ボタンを増やすことなく、あるいは品目数を減らすことなく、会員に対して一般販売価格とは異なる価格で品目チケットを販売できる。
【0013】
ここで、前記発券制御部は、前記販売価格を前記一般販売価格に切り替えた場合において、当該一般販売価格として予め定めた特定の値が割り当てられている前記品目ボタンの操作を無効とすることを特徴としている。
【0014】
この構成によれば、会員のみが購入可能な品目を簡単に設定することができる。例えば、記憶部に記憶保持されている一般販売価格を、品目チケットの販売価格を表さない「0円」に設定し、発券制御部は、操作された品目ボタンに割り当てられている一般販売価格が「0円」の場合に、品目チケット購入者が前記非会員のときには当該品目ボタンの操作を無効とすればよい。
【0015】
次に、会員識別情報に基づく会員認証は、自動券売機において行うことも可能であるが、通信回線を介して接続可能な管理サーバーの側で行うようにすれば、偽造カード使用などに対するセキュリティを高めることができる。この場合には、自動券売機に、カード挿入口から挿入される会員カードに記憶保持されている前記会員識別情報を読み取るカードリーダーと、前記カードリーダーによって読み取った前記会員識別情報を予め定めた送信先に送信し、当該送信先から前記会員認証結果を受信する通信部とを配置しておけばよい。
【0016】
一方。本発明の自動券売機システムは、
上記構成の自動券売機と、この自動券売機の前記通信部との間で通信可能な管理サーバーとを有し、
前記管理サーバーは、
前記自動券売機との間で通信を行うサーバー側通信部と、
前記会員情報を記憶保持している会員データベースと、
前記自動券売機の前記記憶部に記憶保持されている情報を記憶保持している券売機データベースと、
前記自動券売機の側から前記サーバー側通信部を介して受信した前記カード情報を前記会員データベースに記憶保持されている前記会員情報と照合して会員認証を行い、当該会員認証の認証結果を前記サーバー側通信部を介して前記自動券売機に送信する会員認証部とを備えていることを特徴としている。
【0017】
この構成によれば、自動券売機とは離れた管理サーバーの側において会員認証を行うので、偽造カード使用などに対するセキュリティを高めることができる。
【0018】
また、前記管理サーバーは、
前記自動券売機に対するアクセス権を有する通信端末からの書き換え要求に応じて、前記券売機データベースに記憶保持されている前記券売機における各品目ボタンに割り当てられている前記品目、前記会員販売価格および前記非会員販売価格を書き換えるデータベース書き換え部と、
前記券売機データベースが書き換えられると、前記サーバー側通信部を介して、書き換え対象の前記自動券売機との間で通信を行って、当該自動券売機の前記記憶部の情報を書き換え後の情報に更新する券売機更新部とを備えていることが望ましい。
【0019】
この構成によれば、自動券売機の管理者は、通信端末から管理サーバーにアクセスして、券売機データベースを書き換えることにより、自動券売機の記憶部の内容を更新することができる。すなわち、品目ボタンに割り当てられている品目、一般販売価格および会員販売価格を変更することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の自動券売機および自動券売機システムでは、各品目ボタンに割り当てた品目に対して、複数の販売価格、例えば、一般販売価格と会員価格の2つの価格が割り当てられており、同一の品目ボタンを操作して、販売価格の異なる同一品目の品目チケットを発行することが可能である。よって、本発明によれば、品目ボタン群を増設することなく、販売品目数を減らすことなく、多様な発券動作を行うことができる。
【0021】
また、品目ボタンに割り当てられている一般販売価格を「0円」などの特定の値に設定することにより、当該品目ボタンを会員専用の品目チケット販売用のボタンに設定することができる。よって、本発明によれば、会員専用の品目ボタン群を増設することなく会員に対する販売品目面でのサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を適用した自動券売機システムの全体構成図である。
【図2】(a)は図1の自動券売機システムの自動券売機を示す外観斜視図であり、(b)はその品目ボタンを示す説明図であり、(c)はその品目ラベルを示す説明図であり、(d)はその金額表示部を示す説明図である。
【図3】(a)は図2の自動券売機の内部を示す斜視図であり、(b)はその内部設定ユニットの操作面の説明図である。
【図4】図1の自動券売機システムの制御系を示す概略構成図である。
【図5】図1の自動券売機による一般ユーザーに対する品目チケットの発行動作を示す概略フローチャートである。
【図6】図1の自動券売機により会員に対する品目チケットの発行動作を示す概略フローチャートである。
【図7】図1の自動券売機において会員限定販売を行うための設定内容を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して本発明を適用した自動券売機システムの実施の形態を説明する。
【0024】
(全体構成)
図1は自動券売機システムの全体構成を示す説明図である。自動券売機システム1は、管理サーバー2と、当該管理サーバー2によって管理される複数台の自動券売機3と、通信機能を備えたパーソナルコンピュータなどの管理者通信端末4と、自動券売機3の利用会員に発行される会員情報が記憶されたカード(磁気カード、ICカード等)からなる会員カード5から構成される。管理サーバー2と各自動券売機3の間はインターネットなどの通信回線6を介して接続可能であり、管理サーバー2と管理者通信端末4の間も通信回線6を介して接続可能である。
【0025】
(自動券売機)
図2(a)は自動券売機を示す外観斜視図である。この図に示すように、自動券売機3は、縦長の直方体形状の筐体11を備え、その前面が一方の側端を中心として開閉可能な前面扉12とされている。前面扉12の前面は、縦横に長方形の品目ボタン13が30個配列された操作面14となっている。品目ボタン13の一つを操作すると(押すと)、操作された品目ボタン13に割り当てられている品目を購入するための品目チケット15が発行されるようになっている。
【0026】
操作面14における品目ボタン13の上側部分には、紙幣挿入口16、会員カード5を挿入するためのカード挿入口17、硬貨投入口18、返却レバー19、および蛍光表示管などからなる表示装置の金額表示部20が配置されている。また、操作面14における品目ボタン13の下側部分には、品目チケット15および釣銭の受取口21および釣銭払い出し用のおつり/精算ボタン22が配置されている。
【0027】
図2(b)は品目ボタン13を示す説明図である。この図に示すように、品目ボタン13は、僅かに横長の長方形状をしており、その上半部分が品目ラベル表示部13aであり、その下半部分はボタン本体13bである。ボタン本体13bは前方に僅かに突出しており、ここを押すと、品目ボタン13に割り当てられている品目選択信号が発生する。品目ラベル表示部13aは透明なプラスチック素材からなり、その裏面には、着脱可能な状態で品目ラベル24が装着されている。
【0028】
図2(c)は品目ラベル24を示す説明図である。この図に示すように、品目ラベル24には、品目ボタン13に割り当てられている品目(商品名)Bおよび一般販売価格Dが印刷されており、これらは、品目ラベル表示部13aを透して目視可能である。各品目ボタン13の品目ラベル表示部13aの背面側には、各品目ラベル表示部13aに対峙するように、発光ダイオードが配列された構成のバックライトパネル(図示せず)が取り付けられており、各品目ボタン13の品目ラベル24が見易くなっている。
【0029】
品目ボタン13のボタン本体13bの中央部分には、横長の長円形の表示部が形成されており、ここには、当該品目ボタン13に割り当てた品目チケット15が販売可能であるか否かを表す円形の販売可能ランプの表示部13cと、当該品目チケット15が売り切れ状態であることを表すための「売切」文字を表示するための売切れランプの表示部13dが配置されている。これらの表示部13c、13dの背面側には、それぞれ、販売可能ランプおよび売切れ表示ランプが配置されている。
【0030】
図2(d)は金額表示部20を示す説明図である。この図に示すように、金額表示部20は、投入金額およびエラー状態を表示するための7セグメント表示器からなる金額表示/エラー番号表示部20aと、動作中であることを表示する動作中表示部20b、および販売中止中であることを表す販売中止表示部20cが配置されている。また、釣銭切れを表す100円硬貨切れ表示部20dおよび10円硬貨切れ表示部20eと、紙幣の使用ができないことを表す紙幣受付禁止表示部20fとが配列されている。金額表示部20の背面には、これらの表示部20b〜20fを点灯させるためのランプがそれぞれ配置されている。
【0031】
図3(a)は前面扉12を開けて自動券売機3の内部構成を示す斜視図である。自動券売機3の筐体11の内部は、仕切り板26によって左右に仕切られている。その一方の側には、上から順に、硬貨識別機27、釣銭が収納されている複数本の収納筒を備えたカセット式の釣銭収納部28および、投入された硬貨がカセット式の釣銭収納部28に収納しきれない時の硬貨を収納する補助コインボックス29が取り付けられている。仕切り板26の他方の側には、上側から順に、会員カード読取用のカードリーダー30、紙幣識別機31、内部設定ユニット32、ロール紙ホルダ33、プリンタ34、および品目チケットおよび釣銭払い出し用のシュート35が配置されている。プリンタ34の下にはオートカッタ36が取り付けられており、ロール紙ホルダ33に装着されたロール紙37から繰り出されて、プリンタ34によって印刷された後の記録紙がここで切断されて、一定幅の品目チケット15が作成される。これらロール紙ホルダ33、プリンタ34、オートカッタ36、ロール紙37によって品目チケット15の発券部が構成されている。一方、自動券売機3の筐体内部の背面側には、各部の動作制御を司る制御盤38が取り付けられている。
【0032】
図3(b)は内部設定ユニット32の操作部32aを示す平面図である。内部設定ユニット32は、品目ボタン13に対する品目、価格の割り当て、その更新などの各種の設定を行うためのものである。内部設定ユニット32は前面扉12を開けて、筐体内部から引き出して操作することが可能である。また、その操作部32aには、液晶表示部41、各種の動作モードを指定するためのボタン群42、テンキー43などが配列されている。
【0033】
動作モードを指定するためのボタン群42には、運用ボタン44、品目ボタン45、機器ボタン46および保守ボタン47が含まれている。品目ボタン45を押すと、品目および価格(金額)の登録、変更等を行う動作モードになり、運用ボタン44を押すと、一日の締めと印刷、売上の印刷、売り切れの設定を行う動作モードになり、機器ボタン46を押すと、時刻設定、品目チケットに印刷される印刷情報の設定などを行う動作モードになり、保守ボタン47を押すと、履歴表示および印刷などを行う動作モードになる。
【0034】
(制御系)
図4は自動券売機システム1の制御系を示す概略構成図である。まず、自動券売機3の制御系は、制御盤38に搭載されているCPU、ROMおよびRAMを備えた発券制御部50を中心に構成されている。発券制御部50は、そのROM内に格納されている制御プログラムを実行することにより、プリンタ34等から構成される発券部51を駆動制御して品目チケット15を作成する動作を行わせる。また、内部設定ユニット32からの入力に基づき、各品目ボタン13に対して品目および金額を割り当てる登録動作、割り当てられている品目および/または金額を変更する変更動作、各種の設定動作などを行う。
【0035】
発券制御部50には記憶部52が接続されており、この記憶部52は不揮発性メモリからなり、券売機設定内容の記憶領域、動作履歴の記憶領域およびエラー履歴の記憶領域等を備えている。券売機設定内容の記憶領域には、各品目ボタン13の番号Aと、品目Bおよび価格Cとが対応付けされた対応テーブル52aが含まれている。対応テーブル52aには、価格Cの記憶領域として、一般販売価格Dの記憶領域と会員販売価格Eの記憶領域が用意されている。また、発券制御部50には通信部53が接続されており、通信部53および通信回線6を介して管理サーバー2との間で通信が可能となっている。
【0036】
一方、管理サーバー2は、各自動券売機3との間で通信を行うサーバー側通信部61と、会員情報を記憶保持している会員データベース62と、各自動券売機3の記憶部52に記憶保持されている情報を記憶保持している券売機データベース63とを備えている。また、各自動券売機3の側からサーバー側通信部61を介して受信したカード情報(会員識別情報)を会員データベース62に記憶保持されている会員情報と照合して会員認証を行い、当該会員認証の認証結果をサーバー側通信部61を介して自動券売機3に返信する会員認証部64を備えている。
【0037】
さらに、管理サーバー2はデータベース書き換え部65を備えており、データベース書き換え部65は、各自動券売機3に対するアクセス権を有する管理者通信端末4からの書き換え要求に応じて、券売機データベース63に記憶保持されている自動券売機3における各品目ボタン13に割り当てられている品目B、一般販売価格(非会員販売価格)Dおよび会員販売価格Eの書き換えを行う。
【0038】
すなわち、自動券売機3の管理権限のある操作者が、管理者通信端末4から管理サーバー2にアクセスして、アクセス権を有していることが認証されると、当該管理者通信端末4の画面が品目ボタン編集画面4aに切り替わる。この品目ボタン編集画面4a上において、各品目ボタン13、品目B、一般販売価格Dおよび会員販売価格Eの割り当て内容の変更を行うことができる。
【0039】
さらに、管理サーバー2は券売機更新部66を備えており、券売機データベース63が書き換えられると、サーバー側通信部61を介して、書き換え対象の自動券売機3との間で通信を行って、当該自動券売機3の記憶部52の情報を変更後の内容に更新させる。
【0040】
(一般ユーザーに対する発券動作例)
図5は一般ユーザー(非会員)による品目チケット15の購入動作を示す概略フローチャートである。品目チケット15を購入する一般ユーザーは、例えば、硬貨投入口18から金銭を投入する(ステップST1)。発券制御部50は、金銭が投入されると、金額表示部20に、投入金額を表示させると共に、会員カードをカードリーダー30のカード挿入口17に挿入するように、とのメッセージを表示させる。所定時間内に会員カード5が挿入されない場合には非会員であると判断して、記憶部52の対応テーブル52aの一般販売価格Dを参照して、投入金額以下の一般販売価格Dが割り当てられている品目ボタン13の操作のみを有効とし、操作が有効な品目ボタン13のバックライトを点灯することにより、操作可能な品目ボタン13、換言すると購入可能な品目チケット15をユーザーに知らせる(ステップST2、ST3)。
【0041】
ユーザーによって、操作が有効とされた品目ボタン13の一つが操作されると(ステップST4)、操作された品目ボタン13に割り当てられているボタン番号が発券制御部50に入力される。発券制御部50は、操作された品目ボタン13のボタン番号Aから対応テーブル52aを検索して、操作された品目ボタン13に割り当てられている品目Bおよび一般販売価格Dを検索出力する。そして、プリンタ34を駆動して、品目Bおよび一般販売価格Dを、搬送される記録紙37aに印刷し、オートカッタ36を駆動して印刷後の記録紙部分を幅方向に切断して、品目チケット15を作成する。作成された品目チケット15は受取口21から一般ユーザーに発行される(ステップST5)。
【0042】
(会員に対する発券動作例)
図6は会員による品目チケット15の購入動作を示す概略フローチャートである。品目チケット15を購入する会員は、例えば、紙幣挿入口16から紙幣を投入する(ステップST11)。発券制御部50は、紙幣が挿入されると、金額表示部20に、投入金額を表示させると共に、会員カード5をカードリーダー30のカード挿入口17に挿入するように、とのメッセージを表示させる。所定時間内に会員カード5が挿入されると、会員カード5に記憶されている会員識別情報5aを読み取る(ステップST12)。読み取られたカード情報は、通信部53を介して管理サーバー2に送信される。管理サーバー2では、受信したカード情報を会員データベース62の会員情報と照合して会員認証を行う。認証結果は自動券売機3に返信される。認証が拒否された場合には、一般ユーザーの場合と同様にして一般販売価格Dで品目チケット15の発行動作を行う(ステップST13、ステップST2〜ST5)。
【0043】
会員認証された場合、すなわち、ユーザーが会員であると判断された場合には、記憶部52の対応テーブル52aの会員販売価格Eを参照して、入金額以下の会員販売価格Eが割り当てられている品目ボタン13の操作のみを有効とし、操作が有効な品目ボタン13のバックライトを点灯することにより、操作可能な品目ボタン13、換言すると購入可能な品目チケット15を会員に知らせる(ステップST13、ST14、ST15)。入金額が不足している場合には入金を促す表示を行う(ステップST18)。
【0044】
会員によって、操作が有効とされた品目ボタン13の一つが操作されると(ステップST16)、操作された品目ボタン13に割り当てられているボタン番号が発券制御部50に入力される。発券制御部50は、操作された品目ボタン13のボタン番号Aから対応テーブル52aを検索して、操作された品目ボタン13に割り当てられている品目Bおよび会員販売価格Eを検索出力する。そして、プリンタ34を駆動して、品目Bおよび会員販売価格Eを、搬送される記録紙37aに印刷し、オートカッタ36を駆動して印刷後の記録紙部分を幅方向に切断して、品目チケット15を作成する。作成された品目チケット15は受取口21から会員に発行される(ステップST17)。
【0045】
なお、品目チケット15に、品目Bおよび会員販売価格Eに加えて、一般販売価格Dを印刷してもよい。このようにすれば、会員は、一般販売価格Dよりも割安の料金で品目チケット15を購入できたことを、印刷情報から確認できる。勿論、品目ボタン13には、品目Bと一般販売価格Dが表示されているので、購入した品目チケット15に印刷されている会員販売価格Eを、操作した品目ボタン13に表示されている一般販売価格Dと比較することによっても割安価格で品目チケット15を購入できたことを確認できる。
【0046】
このように、自動券売機3では、同一の品目ボタン13を用いて、同一品目の品目チケットを一般販売価格Dおよび会員販売価格Eで、それぞれ一般ユーザー(非会員)および会員に発行することができる。したがって、品目ボタンの個数を増やすことなく、会員に対して格安金額で品目チケットを発行できる。また、限られた個数の品目ボタンを一般ユーザー用の品目ボタン群および会員用の品目ボタン群に分ける必要がないので、販売可能な品目数も減ることがない。このような会員サービスを提供可能な自動券売機3が設置されている店舗側は、会員に対して一般ユーザーよりも価格を割安に設定することで、顧客の囲い込みによる売上アップの効果を期待できる。
【0047】
ここで、自動券売機3においては、品目ボタンを増加させることなく、会員限定の品目チケットを発行することが可能である。すなわち、発券制御部50は、記憶部52の対応テーブル52aにおいて、一般販売価格Dが「0円」に設定されている場合には、その品目ボタン13の操作を会員にのみ有効にする処理を行う。例えば、図7に示すように、ボタン番号A(2)の品目ボタン13に割り当てられている品目B(2)の一般販売価格Dが「0円」に設定され、会員販売価格Eが「200円」に設定されているとする。この場合には、一般ユーザーによる品目チケットの購入時には、ボタン番号A(2)の品目ボタン13の操作を無効に設定し、会員による当該品目チケットの販売のみを可能にする。
【0048】
このように、一般販売価格Dを「0円」に設定することにより、当該品目ボタン13を会員限定販売の対象品目チケットの発行用ボタンに切り替えることができる。よって、品目ボタンを増やすことなく、簡単に会員限定販売用の品目ボタン設定を行うことができる。
【0049】
なお、一般販売価格Dを「0円」以外の特定の値に設定して、当該値が割り当てられている品目ボタンを会員専用に設定することも可能である。
【0050】
なお、上記の例は、一つの品目ボタンに対して2種類の販売価格を設定した例である。3種類以上の販売価格を設定することも可能である。例えば、正会員、準会員、非会員用の3種類の販売価格を設定することが可能である。また、販売時間帯に応じて複数種類の販売価格を設定することも可能である。
【0051】
また、上記の例では、販売価格の切替を会員であるか否かによって行っているが、正会員、準会員、非会員で切り替えてもよい。また、内蔵タイマーを用いて時間に応じて切り替えることもできる。
【0052】
さらに、上記の例では会員認証を管理サーバーの側で行うようにしているが、自動券売機内に会員情報を記憶保持させ、自動券売機において会員認証を行うようにすることも可能である。
【0053】
さらには、上記の例では管理者通信端末から設定変更を行うようにしているが、自動券売機の内部設定ユニットを用いて設定変更を行うことができることは勿論である。上記の例において、内部設定ユニットで設定変更が行われた場合には、通信部を介して、管理サーバーの側に変更内容が送信され、券売機データベースの更新が行われることになる。
【符号の説明】
【0054】
1 自動券売機システム
2 管理サーバー
3 自動券売機
4 管理者通信端末
5 会員カード
5a 会員識別情報
11 筐体
12 前面扉
13 品目ボタン
14 操作面
15 品目チケット
16 紙幣挿入口
17 カード挿入口
18 硬貨投入口
19 返却レバー
20 金額表示部
21 受取口
22 おつり/精算ボタン
24 品目ラベル
26 仕切り板
27 硬貨識別機
28 釣銭収納部
29 補助コインボックス
30 カードリーダー
31 紙幣識別機
32 内部設定ユニット
33 ロール紙ホルダ
34 プリンタ
35 シュート
36 オートカッタ
37 ロール紙
37a 記録紙
38 制御盤
50 発券制御部
51 発券部
52 記憶部
52a 対応テーブル
53 通信部
61 サーバー側通信部
62 会員データベース
63 券売機データベース
64 会員認証部
65 データベース書き換え部
66 券売機更新部
A ボタン番号
B 品目
C 価格
D 一般販売価格
E 会員販売価格

【特許請求の範囲】
【請求項1】
品目が表示された品目ボタンの一つが操作されると、前記品目が表示された品目チケットを発行する自動券売機において、
前記品目ボタンのそれぞれに割り当てた前記品目と、当該品目に割り当てた複数の販売価格を、各品目ボタンに対応付けした形態で記憶保持している記憶部と、
前記品目ボタンのそれぞれに割り当てた前記品目の販売価格を、複数の販売価格のいずれか一つに切り替える発券制御部とを有していることを特徴とする自動券売機。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の販売価格は、前記品目のそれぞれに割り当てた一般販売価格および会員販売価格であり、
前記発券制御部は、前記品目ボタンが操作される前に会員識別情報が入力されると、当該会員識別情報に基づき行われる会員認証結果に基づき、前記販売価格を前記一般販売価格および前記会員販売価格の一方に切り替えることを特徴とする自動券売機。
【請求項3】
請求項2において、
前記発券制御部は、前記販売価格を前記一般販売価格に切り替えた場合において、当該一般販売価格として予め定めた特定の値が割り当てられている前記品目ボタンの操作を無効とすることを特徴とする自動券売機。
【請求項4】
請求項3において、
カード挿入口から挿入される会員カードに記憶されている前記会員識別情報を読み取るカードリーダーと、
前記カードリーダーによって読み取った前記会員識別情報を予め定めた送信先に送信し、当該送信先から前記会員認証結果を受信する通信部とを有していることを特徴とする自動券売機。
【請求項5】
請求項4に記載の自動券売機と、前記自動券売機の前記通信部との間で通信可能な管理サーバーとを有し、
前記管理サーバーは、
前記自動券売機との間で通信を行うサーバー側通信部と、
前記会員情報を記憶保持している会員データベースと、
前記自動券売機の前記記憶部に記憶保持されている情報を記憶保持している券売機データベースと、
前記自動券売機の側から前記サーバー側通信部を介して受信した前記カード情報を前記会員データベースに記憶保持されている前記会員情報と照合して会員認証を行い、当該会員認証の認証結果を前記サーバー側通信部を介して前記自動券売機に送信する会員認証部とを備えていることを特徴とする自動券売機システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記管理サーバーは、
前記自動券売機に対するアクセス権を有する通信端末からの書き換え要求に応じて、前記券売機データベースに記憶保持されている前記券売機における各品目ボタンに割り当てられている前記品目、前記会員販売価格および前記非会員販売価格を書き換えるデータベース書き換え部と、
前記券売機データベースが書き換えられると、前記サーバー側通信部を介して、書き換え対象の前記自動券売機との間で通信を行って、当該自動券売機の前記記憶部の情報を書き換え後の情報に更新する券売機更新部とを備えていることを特徴とする自動券売機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−33158(P2012−33158A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148035(P2011−148035)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)
【Fターム(参考)】