説明

自動原稿搬送装置、及び画像読取装置

【課題】
搬送経路に容易にアクセスすることができる自動原稿搬送装置を、提供することにある。
【解決手段】
自動原稿搬送装置8は、本体筐体71aと、アウターガイド部72aと、インナーガイド部71cとを、備えている。アウターガイド部72aは、本体筐体71aに開閉可能に取り付けられる。インナーガイド部71cは、本体筐体71aとアウターガイド部72aとの間において、本体筐体71aに開閉可能に取り付けられる。インナーガイド部71cは、閉姿勢において前記本体部に係合する。ここでは、アウターガイド部72aが開かれる場合に、本体筐体71aがアウターガイド部72aの少なくとも一部172によって押圧されることによって、インナーガイド部71cと本体筐体71aとの係合が、解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動原稿搬送装置に関する。また、本発明は、自動原稿搬送装置を備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動原稿搬送装置には、搬送経路を覆う搬送ガイド手段を分割したものがある(特許文献1を参照)。この自動原稿搬送装置では、搬送ガイド手段の開放スペースを小さくすることができるとともに、紙詰まり等を起こした際の原稿の排除やクリーニング等のメンテナンスを、必要な部分ごとに行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−187595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自動原稿搬送装置では、開放スペースの縮小及び局所的なメンテナンス等を行うために、搬送経路を覆う搬送ガイド手段を分割していた。このタイプの自動原稿搬送装置では、上記のような利点があるものの、搬送ガイド手段を分割したことによって、搬送経路にアクセスするために、複数の手順を踏まざるを得ないという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、搬送経路に容易にアクセスすることができる自動原稿搬送装置を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る自動原稿搬送装置は、本体部と、第1ガイド部と、第2ガイド部とを、備えている。第1ガイド部は、本体部に開閉可能に取り付けられている。第2ガイド部は、本体部と第1ガイド部との間において、本体部に開閉可能に取り付けられている。また、第2ガイド部は、閉姿勢において本体部に係合している。ここでは、第1ガイド部が開かれる場合に、本体部が第1ガイド部の少なくとも一部によって押圧されることによって、第2ガイド部と本体部との係合が解除され、第2ガイド部が開かれる。
【0008】
この場合、第1ガイド部及び第2ガイド部が閉姿勢である場合には、第2ガイド部は本体部に係合している。そして、第1ガイド部が開かれる場合に、本体部が第1ガイド部の少なくとも一部によって押圧され、第2ガイド部と本体部との係合が解除される。これにより、第2ガイド部が開放可能になる。すなわち、第1ガイド部を開放するだけで、第2ガイド部も開放可能になるので、搬送経路に容易にアクセスすることができる。
【0009】
自動原稿搬送装置では、第1ガイド部が、本体部を押圧可能な押圧部を、有していてもよい。ここでは、押圧部が本体部に当接することによって、第2ガイド部と本体部との係合が解除される。この場合、局所的な押圧力を、第1ガイド部の押圧部から本体部に与えることができるので、小さな力で第2ガイド部と本体部との係合を、容易に解除することができる。
【0010】
自動原稿搬送装置では、本体部は、突出部を有していてもよい。ここでは、押圧部が突出部に当接することによって、第2ガイド部と本体部との係合が解除される。この場合、局所的な押圧力を、第1ガイド部の押圧部から本体部の突出部に与えることができるので、小さな力で第2ガイド部と本体部との係合を、より容易に解除することができる。
【0011】
自動原稿搬送装置では、押圧部が傾斜部を有していてもよい。押圧部の傾斜部は、突出部に当接し、本体部を第1ガイド部から離れる方向に案内する。また、押圧部は、突出部に当接し、本体部を第1ガイド部に近づく方向に案内する。
【0012】
この場合、第1ガイド部材における押圧部の傾斜部によって、本体部を、第1ガイド部から離れる方向に案内することによって、第2ガイド部と本体部との係合が解除される。また、第1ガイド部材における押圧部の傾斜部によって、本体部を、第1ガイド部に近づく方向に案内することによって、本体部の姿勢が復帰させられる。このように、第1ガイド部材における押圧部の傾斜部によって、第2ガイド部と本体部との係合を、より容易に解除することができる。また、この傾斜部によって、本体部の姿勢をスムーズに元の姿勢に復帰させることができる。
【0013】
自動原稿搬送装置では、本体部が凹部を有していてもよい。また、第2ガイド部は、凹部に嵌合可能な凸部を、有していてもよい。この場合、第2ガイド部が閉姿勢である状態において、本体部の凹部に第2ガイド部の凸部を係合させることによって、本体部に対して第2ガイド部を位置決めすることができる。
【0014】
本発明の一見地に係る画像読取装置は、搬送経路と、上記の自動原稿搬送装置と、読取部とを、備えている。搬送経路では、原稿が、給紙口から排紙口まで、一方向に搬送される。読取部は、搬送経路において、原稿の片面又は原稿の両面を、読み取る。この場合においても、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る自動原稿搬送装置及び画像読取装置は、搬送経路に容易にアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る複合機の側面断面図。
【図2】本実施形態に係る複合機のADFの側面断面図。
【図3】本実施形態に係る複合機のカバー部の上面図。
【図4】本実施形態に係るADFの部分断面図。
【図5A】本実施形態に係るアウターガイド部の押圧部と本体筐体の側壁部とを上方から見た図(その1)。
【図5B】本実施形態に係るアウターガイド部の押圧部と本体筐体の側壁部とを上方から見た図(その2)。
【図5C】本実施形態に係るアウターガイド部の押圧部と本体筐体の側壁部とを上方から見た図(その3)。
【図5D】本実施形態に係るアウターガイド部の押圧部と本体筐体の側壁部とを上方から見た図(その4)。
【図6】本実施形態に係るインナーガイド部の凸部と本体筐体の側壁部とを上方から見た図。
【図7】原稿の流れを示すADFの側面断面図(片面読取の場合)。
【図8】原稿の流れを示すADFの側面断面図(両面読取の場合)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)複合機の全体構成
まず、本発明に係る複合機の全体構成から説明する。複合機は、ファクシミリ、読取、複写、及び印刷等の機能を備えている。なお、以下では、図1に示す側面視にて、原稿供給トレイ9の原稿を給紙する方向に向かう水平方向を前後方向とし、前後方向に対して水平に直交する方向を左右方向として、定義する。また、前後方向と左右方向に直交する方向を、上下方向と定義する。さらに、「原稿の片面を読み取る」という文言は、「原稿の片面(一面)だけを読み取る」という意味で用いられる。また、「原稿の両面を読み取る」という文言は、「原稿の片面(一面)及び裏面(他面)を読み取る」という意味で用いられる。また、「ある位置及び/又はある部材(部分)より、上流(上流側)及び/又は下流(下流側)」という文言は、「原稿が搬送されている方向(原稿搬送方向)において、ある位置及び/又はある部材(部分)等を基準として、上流(上流側)及び下流(下流側)」という意味を、示している。
【0018】
図1に示すように複合機は、読取部1と、記録部2と、原稿押えカバー7とを、備えている。読取部1は、記録部2に回動自在に装着されている。例えば、読取部1は、ヒンジ部10aまわりに回動自在に記録部2に装着されている。読取部1は、読取部本体10と、透明状の静止原稿載置ベッド11と、読取装置6とを、有している。静止原稿載置ベッド11は、読取部本体10の上面に設けられている。読取装置6は、読取部本体10の内部に配置されている。例えば、原稿が静止原稿載置ベッド11上に置かれると、読取装置6が静止原稿載置ベッド11に沿って原稿を走査する。
【0019】
なお、以下では、原稿が読取部1において読み取られる位置が、読取位置P2と呼ばれる。詳細には、読取位置P2は、原稿が、搬送経路HR上例えばコンタクトガラス12上において、読取装置6に読み取られる位置である(図7及び図8を参照)。
【0020】
また、図2に示すように、読取部1は、コンタクトガラス12と固定部材13とを、さらに有している。コンタクトガラス12は、一方向に長い透明な部材である。コンタクトガラス12の短辺方向の断面は、台形状に形成されている。固定部材13は、コンタクトガラス12を読取部本体10に固定するためのものである。固定部材13は、コンタクトガラス12の傾斜部(台形状の断面の傾斜部)に当接した状態で、読取部本体10に固定される。
【0021】
図1に示すように、記録部2には、記録装置3及び給紙カセット4がそれぞれ上下に設けられている。給紙カセット4には、用紙が堆積されている。用紙は、給紙カセット4から記録装置3へ給紙される。そして、原稿内容が用紙に記録されると、用紙は記録紙排出トレイ5へ排出される。
【0022】
図1に示すように、原稿押えカバー7は、読取部1例えば静止原稿載置ベッド11に載置された原稿を、上方から押えるためのものである。原稿押えカバー7は、読取部1の上方に設けられている。例えば、原稿押えカバー7は、読取部本体10に上下方向に開閉可能に設けられている。
【0023】
図2に示すように、原稿押えカバー7は、本体部71と、カバー部72とを、有している。本体部71は、読取部本体10に上下方向に開閉可能に設けられている。本体部71は、本体筐体71aと、切替部71bと、インナーガイド部71c(第2ガイド部の一例)とを、有している。
【0024】
なお、以下では、カバー部72(後述するアウターガイド部72a及び/又は外カバー部72b)が開放された状態を、開姿勢と呼び、カバー部72が閉じられた状態を、閉姿勢と呼ぶ。同様に、後述するインナーガイド部71cが開放された状態を、開姿勢と呼び、インナーガイド部71cが閉じられた状態を、閉姿勢と呼ぶ。
【0025】
図3に示すように、本体筐体71aは、一対の側壁部171を有している。一対の側壁部171は、互いに対向するように、本体筐体71aに設けられている。一対の側壁部171それぞれは、アウターガイド部72a(後述する)とインナーガイド部71cとが閉姿勢である場合に、アウターガイド部72aの側部と、インナーガイド部71cの側部とに、対向している。
【0026】
図5A〜図5D及び図6に示すように、一対の側壁部171のいずれか一方には、突出部171aと凹部171bとが、形成されている。突出部171aは、側壁部171から外方に突出しており、側壁部171に一体に形成されている。突出部171aは、一方向に長い矩形板状に形成されている。より具体的には、図5Aに示すように、アウターガイド部72aの回動軸(第1駆動ローラ31aの回転軸)の上方において、突出部171aは側壁部171に一体に形成されている。また、突出部171aの長手方向が上下方向に位置するように、突出部171aは側壁部171に一体に形成されている。さらに、突出部171aの隅角部には、面取りが施されている。
【0027】
図6に示すように、凹部171bは、一方向に長い矩形溝状に形成されている。凹部171bは、インナーガイド部71cが閉姿勢である場合に、インナーガイド部71cの凸部171cに対向する位置において、側壁部171に形成されている。また、凹部171bの長手方向が前後方向に位置するように、凹部171bは側壁部171に一体に形成されている。
【0028】
切替部71bは、原稿の搬送経路HR上において原稿を案内する経路を切り替えるためのものである。例えば、切替部71bは、原稿を排紙する経路(後述する排紙経路)と、原稿の両面を読み取る場合に原稿を反転する経路(後述する反転経路R5)とを、切り替える。切替部71bは、本体筐体71aに揺動自在に装着されている。切替部71bの揺動は、図示しないコントローラによって制御される。
【0029】
図2及ぶ図4に示すように、インナーガイド部71cは、アウターガイド部72aと本体筐体71aとの間に配置されている。インナーガイド部71cは、本体筐体71aに開放可能に装着されている。インナーガイド部71cは、例えば、ヒンジ部10bまわりに回動可能に、本体筐体71aに装着されている。
【0030】
インナーガイド部71cは、閉姿勢において本体筐体71aに係合している。インナーガイド部71cと本体筐体71aとの係合は、アウターガイド部72aの少なくとも一部によって本体筐体71aが押圧されることによって、解除される。具体的には、インナーガイド部71cと本体筐体71aとの係合は、後述するように、アウターガイド部72aの押圧部172が本体筐体71aに当接することによって、解除される。より具体的には、アウターガイド部72aの押圧部172が、本体筐体71aの側壁部171に形成された突出部171aに、当接することによって、インナーガイド部71cと本体筐体71aとの係合が解除される。
【0031】
図6に示すように、インナーガイド部71cは、凸部171cを有している。凸部171cは、本体部の凹部171bに嵌合可能に形成されている。凸部171cは、矩形板状に形成されている。凸部171cは、インナーガイド部71cの側部から外方に突出しており、インナーガイド部71cに一体に形成されている。凸部171cは、インナーガイド部71cの回動軸(ヒンジ部10b)を基準とした、インナーガイド部71cの一端側の側部に、一体に形成されている。
【0032】
図2に示すように、カバー部72は、本体部71例えば本体筐体71aに開閉自在に取り付けられている。カバー部72は、アウターガイド部72a(第1ガイド部の一例)と、外カバー部72bとを、有している。
【0033】
アウターガイド部72aは、本体筐体71aの上方で開閉可能なように、本体筐体71aに装着されている。アウターガイド部72aは、例えば、後述する第1駆動ローラ31aの回転軸まわりに、開閉可能になっている。
【0034】
図5A〜図5Dに示すように、アウターガイド部72aは、本体筐体71aを押圧可能な押圧部172を、有している。押圧部172は、本体筐体71aの側壁部171に形成された突出部171aを押圧可能なように、形成されている。押圧部172は、アウターガイド部72aの側部から外方に突出しており、アウターガイド部72aに一体に形成されている。例えば、押圧部172は、アウターガイド部72aの回動軸(第1駆動ローラ31aの回転軸)から所定の距離を隔てた位置において、アウターガイド部72aの側部に一体に形成されている。
【0035】
押圧部172は、互いに対向する一対の板部材から構成されている。一対の板部材それぞれは、台形状に形成されている。板部材において下辺に対応する部分が、インナーガイド部71cの側部に、一体に形成されている。また、板部材において上辺及び2つの斜辺に対応する部分が、本体筐体71aの側壁部171に対向している。なお、以下では、図5B及び図5Dに示すように、板部材において上辺に対応する部分を、上辺部172bと呼び、板部材において2つの斜辺に対応する部分を、第1傾斜部172a(傾斜部の一例)及び第2傾斜部172c(傾斜部の一例)と呼ぶ。
【0036】
第1傾斜部172aと上辺部172bと第2傾斜部172cとは、本体筐体71aの側壁部171に形成された突出部171aに当接し、本体筐体71aの側壁部171を、アウターガイド部72aの側部から離れる方向とアウターガイド部72aの側部に近づく方向とに、案内する。言い換えると、第1傾斜部172aと上辺部172bと第2傾斜部172cとは、本体筐体71aの側壁部171を、本体筐体71aの側壁部171を、インナーガイド部71cの側部から離れる方向と、インナーガイド部71cの側部に近づく方向とに、案内する。
【0037】
アウターガイド部72aが閉姿勢から開姿勢に変化する場合には、第1傾斜部172aは、第2傾斜部172cより先に、本体筐体71aの側壁部171に形成された突出部171aに、当接する。一方で、アウターガイド部72aが開姿勢から閉姿勢に変化する場合には、第2傾斜部172cが、第1傾斜部172aより先に、本体筐体71aの側壁部171に形成された突出部171aに、当接する。
【0038】
第1傾斜部172aの傾斜部と板部材の下辺とがなす傾斜角は、第2傾斜部172cの傾斜部と板部材の下辺とがなす傾斜角より小さくなるように、板部材は形成されている。これにより、アウターガイド部72aが閉姿勢から開姿勢に変化する場合は、アウターガイド部72aが開姿勢から閉姿勢に変化する場合と比較して、本体筐体71aの側壁部171を、緩やかに変形させることができる。すなわち、インナーガイド部71cの凸部171cと、本体筐体71aにおける側壁部171の凹部171bとの嵌合を、スムーズに解除することができる。
【0039】
図2に示すように、外カバー部72bは、アウターガイド部72aの上方で開閉可能なように、本体部71例えば本体筐体71aに装着されている。外カバー部72bは、ヒンジ部70aまわりに、開閉可能になっている。
【0040】
図1に示すように、原稿押えカバー7には、ADF8(Auto Document Feeder)が設けられている。ADF8には、原稿を給紙口8aから排紙口8bまで搬送するための搬送経路HRが、構成されている。原稿押えカバー7の上方には、ADF8の給紙口8aに用紙を導くための原稿供給トレイ9が、設けられている。また、原稿押えカバー7の上面には、ADF8の排紙口8bから排出された用紙を受けるための原稿排出トレイ7cが、設けられている。
【0041】
図2に示すように、ADF8は、筐体部70と、給紙ローラ20と、複数の搬送ローラ対31〜35とを、有している。筐体部70は、上述した本体部71とカバー部72とから構成されている。給紙ローラ20は、原稿を搬送経路に沿って給紙するためのものである。給紙ローラ20は、カバー部72に回転可能に装着されている。給紙ローラ20は、ピックアップローラ21と、セパレートローラ22と、セパレートローラ22に対向するリタードローラ23とを、有している。ピックアップローラ21及びセパレートローラ22は、第1カバー部72aに回転可能に装着されている。リタードローラ23は、外カバー部72bに回転可能に装着されている。リタードローラ23の代わりに、例えば分離パッドといったローラ以外のものを用いてもよい。
【0042】
図2に示すように、複数の搬送ローラ対例えば5組の搬送ローラ対31〜35は、筐体部に回転可能に設けられている。搬送ローラ対31〜35は、搬送経路HRにおいて互いに間隔を隔てて配置されている。例えば、搬送ローラ対31〜35は、用紙の搬送方向長さ未満の間隔で、配置されている。搬送ローラ対31〜35は、原稿を挟持して、原稿を搬送経路HRに沿って搬送する。
【0043】
原稿の片面を読み取る場合には、全ての搬送ローラ対31〜35が、原稿の搬送に関与する。また、原稿の両面を読み取る場合にも、全ての搬送ローラ対31〜35が、原稿の搬送に関与する。言い換えると、原稿の片面を読み取る場合には、搬送ローラ対31〜35は、少なくとも1度は、原稿を挟持し搬送する。また、原稿の両面を読み取る場合にも、搬送ローラ対31〜35は、少なくとも1度は、原稿を挟持し搬送する。なお、搬送ローラ対31〜35に含まれる駆動ローラ31a〜35a(後述する第1から第5駆動ローラ)には、図中においてハッチングを施している。
【0044】
ここでは、5組の搬送ローラ対31〜35は、2組の2連ローラ32,34と、3組の3連ローラ31,33,35とから、構成されている。2連ローラ32,34は、駆動ローラ32a,34a(後述する第2駆動ローラ及び第4駆動ローラ)と、従動ローラ32b,34bとから構成されている。駆動ローラ32a,34aは、図示しない駆動手段例えばモータにより、駆動されるローラである。従動ローラ32b,34bは、駆動ローラ32a,34aに従って回転するローラである。また、読取部1(読取位置P2)の近傍に配置される2連ローラ32は、正転及び逆転が可能なローラ対である。
【0045】
各3連ローラ31,33,35は、駆動ローラ31a,33a,35a(後述する第1駆動ローラ、第3駆動ローラ、及び第5駆動ローラ)と、2つの従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)とから、構成されている。各駆動ローラ31a,33a,35aは、2連ローラ32,34と同様に、駆動手段により駆動されるローラである。2つの従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)も、2連ローラ32,34と同様に、各駆動ローラ31a,33a,35aに従って回転するローラである。各3連ローラ31,33,35では、2つの従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)が、互いに対向して配置されている。各駆動ローラ31a,33a,35aは、2つの従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)の間に配置されている。
【0046】
原稿の片面を読み取る場合、各駆動ローラ31a,33a,35aと一対の従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)のいずれか一方との間を、原稿が通過する。一方で、原稿の両面を読み取る場合、各駆動ローラ31a,33a,35aと一対の従動ローラのいずれか一方(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)との間を、原稿が通過する。また、この場合、各駆動ローラ31a,33a,35aと一対の従動ローラ(31b,31c),(33b,33c),(35b,35c)のいずれか他方との間を、原稿が通過する。
【0047】
なお、駆動ローラ31a,33a,35aは、図示しない駆動伝達機構を介して、駆動手段によって回転駆動されてもよい。駆動手段及び駆動伝達機構は、本体部71の内部に設けられている。ADF8における2連ローラ32,34及び3連ローラ31,33,35の配置形態については、後述する。
【0048】
上記のような構成を有する複合機では、原稿供給トレイ9に堆積された原稿は、一枚ずつピックアップされ、給紙口8aからADF8に案内される。そして、ADF8において、原稿がコンタクトガラス12の上を通過することにより、原稿の内容が読取装置6により読み取られる。読み取られた後の原稿は、排紙口8bから原稿排出トレイ7c上に排出される。
【0049】
このように、読取部1は、フラットベッドタイプのスキャナとして用いるとともに、シートフィードタイプのスキャナとしても用いられる。フラットベッドタイプのスキャナとして用いられる場合は、静止原稿載置ベッド11に載置された原稿が、読取装置6を走査させて、読み取られる。また、シートフィードタイプのスキャナで用いられる場合は、ADF8により搬送される原稿が、コンタクトガラス12の下部の位置に固定した読取装置6によって、読み取られる。
【0050】
なお、読取部本体10には、図示しない入力部例えばキーパネルが、設けられている。キーパネルを操作することにより、原稿の内容が読み取られ、読み取った内容をファクシミリ送信する際の送信先が設定され、受信内容や読み取った内容が記録装置3において記録される。
(2)ADF8の内部構造
【0051】
次に、ADF8の内部構造について説明する。ここでは、図2に示す側面視にて、原稿供給トレイ9の原稿を給紙する方向に向かう水平方向を前後方向とし、前後方向に対して水平に直交する方向を左右方向として、定義する。
【0052】
図6及び図7の太線で示すように、ADF8の搬送経路HRでは、原稿が、給紙口8aから排紙口8bまで、一方向に搬送される。搬送経路HRは、後述するように、少なくとも一部が略水平になるように形成されている。片面読取用の搬送経路HR(図6の太線を参照)は、給紙経路R1と、導入経路R2と、第1中間経路R3と、排紙経路R4とから、構成されている。給紙経路R1では、原稿が給紙口8aから原稿押えカバー7の本体部71へと案内される。導入経路R2では、原稿が給紙経路R1から読取位置P2へと案内される。第1中間経路R3では、原稿が読取位置P2から、原稿を搬送する経路を切り替える切替位置P3まで、案内される。排紙経路R4では、原稿が切替位置P3から排紙口8bへと案内される。
【0053】
以下では、給紙経路R1と導入経路R2との連結箇所が、第1分岐点P1と呼ばれる。導入経路R2と第1中間経路R3との連結箇所は、上述した読取位置P2である。第1中間経路R3と排紙経路R4との連結箇所は、上記の切替位置P3である。なお、切替位置P3では、切替部71bを揺動させることによって、原稿の排紙又は原稿の反転が決定される。例えば、原稿の片面が読み取られる場合は、切替部71bを上方に揺動させることによって、原稿が排紙経路R4に案内され排紙される。
【0054】
両面読取用の搬送経路HR(図7の太線を参照)は、給紙経路R1と、導入経路R2と、第1中間経路R3と、反転経路R5と、第2中間経路R6と、排紙経路R4とから、構成されている。この場合、給紙経路R1と、導入経路R2と、第1中間経路R3と、排紙経路R4とは、片面読取用の搬送経路HRに含まれる経路と同じであるので、説明を省略する。ここでは、反転経路R5と第2中間経路R6とについてのみ、説明を行う。
【0055】
反転経路R5では、原稿が、切替位置P3から読取位置P2へと案内され、反転される。反転経路R5には、第1中間経路R3の一部(読取位置P2側の一部)が含まれている。反転経路R5の一部の経路、例えば反転経路R5の上流側の経路が、本体部71と、カバー部72例えば第1カバー部72aとの間に、設けられている。カバー部72例えば第1カバー部72aが開放されると、この部分の搬送経路は露出する。
【0056】
第2中間経路R6では、原稿が読取位置P2から切替位置P3へと案内される。第2中間経路R6には、第1中間経路R3の一部(切替位置P3側の一部、後述する重複経路R7)と、導入経路R2とが、含まれている。また、第2中間経路R6の一部の経路、例えば第1分岐点P1と切替位置P3との間の搬送経路が、本体部71と、カバー部72例えば第1カバー部72aとの間に、設けられている。カバー部72例えば第1カバー部72aが開放されると、この部分の搬送経路は露出する。この部分の搬送経路は、略水平になるように形成されている。この部分の搬送経路において、原稿の片面を読み取った後及び原稿の両面を読み取った後に、原稿が重複して通過する部分(重複経路R7)は、第2中間経路R6が第1中間経路R3に合流する箇所P6(後述する合流点)と切替位置P3との間の経路である。
【0057】
なお、原稿の片面側(一面側)が読み取られてから、原稿の裏面側(他面側)が読み取られるまでの経路、すなわち第1中間経路R3及び反転経路R5(読取位置P2→切替位置P3→交差点P4→第2分岐点P5→読取位置P2)は、ループ状に形成されている。
【0058】
また、以下では、反転経路R5が排紙経路R4に交差する箇所が、交差点P4と呼ばれる。また、反転経路R5が第1中間経路R3に合流する箇所が、第2分岐点P5と呼ばれる。さらに、第2中間経路R6が第1中間経路R3に合流する箇所が、合流点P6と呼ばれる。なお、切替位置P3では、切替部71bを揺動させることによって、原稿の排紙又は原稿の反転が決定される。この場合では、切替部71bを下方に揺動させることによって、原稿が反転経路R5に案内され、切替部71bを上方に揺動させることによって、原稿が排紙経路R4に案内される。
(3)搬送ローラ対の配置形態
【0059】
続いて、5組の搬送ローラ対31〜35(2組の2連ローラ32,34及び3組の3連ローラ31,33,35)の配置形態について、説明する。
【0060】
読取部1(読取位置P2)より上流側、例えば第1分岐点P1の近傍には、第1の3連ローラ31が配置されている。第1の3連ローラ31における駆動ローラ31a(第1駆動ローラ)は、給紙経路R1と第2中間経路R6との間において、第1カバー部72aに回転可能に装着されている。第1駆動ローラ31aに隣接する一方の従動ローラ31bは、外カバー部72bに回転自在に装着されている。第1駆動ローラ31aに隣接する他方の従動ローラ31cは、本体部71に回転自在に装着されている。
【0061】
第1駆動ローラ31aは、レジスト補正例えば斜行補正するためのローラである。第1駆動ローラ31aと一方の従動ローラ31bとは、給紙経路R1を通過する原稿の傾きを補正して、この原稿を読取位置P2に向けて搬送する。第1駆動ローラ31aと他方の従動ローラ31cとは、第2中間経路R6を通過する原稿を、切替位置P3に向けて搬送する。なお、第1駆動ローラ31aと一方の従動ローラとのニップ部を、符号Aと記す。また、第1駆動ローラ31aと他方の従動ローラとのニップ部を、符号Gと記す。
【0062】
第1分岐点P1と読取部1(読取位置P2)との間には、第1の2連ローラ32が配置されている。第1の2連ローラ32における駆動ローラ32a(第2駆動ローラ)は、正転及び逆転が可能なローラである。第2駆動ローラ32aは、本体部71に回転可能に装着されている。第1の2連ローラ32における従動ローラ32bは、本体部71に回転自在に装着されている。第2駆動ローラ32aとこの従動ローラ32bとは、正転時には、導入経路R2を通過する原稿を、読取位置P2に向けて、搬送する。一方で、逆転時には、第2駆動ローラ32aと従動ローラ32bとは、第2中間経路R6(導入経路R2を含む)を通過する原稿を、第1分岐点P1に向けて、搬送する。なお、第2駆動ローラ32aと従動ローラ32bとのニップ部を、符号Bと記す。
【0063】
読取部1(読取位置P2)より下流側、例えば読取部1(読取位置P2)と切替部71bとの間には、第2の3連ローラ33が配置されている。言い換えると、第2分岐点P5の近傍には、第2の3連ローラ33が配置されている。第2の3連ローラ33における駆動ローラ33a(第3駆動ローラ)は、第1中間経路R3と反転経路R5との間において、本体部71に回転可能に装着されている。第3駆動ローラ33aに隣接する一方の従動ローラ33b及び他方の従動ローラ33cは、本体部71に回転自在に装着されている。
【0064】
第3駆動ローラ33aと一方の従動ローラ33bとは、第1中間経路R3を通過する原稿を、切替位置P3に向けて搬送する。第3駆動ローラ33aと他方の従動ローラ33cとは、反転経路R5を通過する原稿を、第2分岐点P5及び読取位置P2に向けて、搬送する。なお、第3駆動ローラ33aと一方の従動ローラ33bとのニップ部を、符号Cと記す。また、第3駆動ローラ33aと他方の従動ローラ33cとのニップ部を、符号Fと記す。
【0065】
切替位置P3の近傍、例えば読取位置P2と切替位置P3との間における切替位置P3の近傍には、第2の2連ローラ34が配置されている。第2の2連ローラ34における駆動ローラ34a(第4駆動ローラ)は、本体部71に回転可能に装着されている。第2の2連ローラ34における従動ローラ34bは、第1カバー部72aに回転自在に装着されている。第4駆動ローラ34aと従動ローラ34bとは、第1中間経路R3及び第2中間経路R6を通過する原稿を、切替位置P3に向けて搬送する。なお、第4駆動ローラ34aと従動ローラ34bとのニップ部を、符号Dと記す。
【0066】
交差点P4の近傍、例えば排紙口8bの近傍には、第3の3連ローラ35が配置されている。第3の3連ローラ35における駆動ローラ35a(第5駆動ローラ)は、反転経路R5と排紙経路R4との間において、本体部71に回転可能に装着されている。第5駆動ローラ35aに隣接する一方の従動ローラ35b及び他方の従動ローラ35cは、本体部71に回転自在に装着されている。
【0067】
第5駆動ローラ35aと一方の従動ローラ35bとは、反転経路R5を通過する原稿を、交差点P4に向けて搬送する。第5駆動ローラ35aと他方の従動ローラ35cとは、排紙経路R4を通過する原稿を、排紙口8bに向けて、搬送する。なお、第5駆動ローラ35aと一方の従動ローラ35bとのニップ部を、符号Eと記す。また、第5駆動ローラ35aと他方の従動ローラ35cとのニップ部を、符号Hと記す。
(4)原稿の搬送順序
【0068】
最後に、原稿の搬送順序について、説明する。原稿の片面を読み込む場合、原稿は、表面を上にして原稿供給トレイ9にセットされる。そして、原稿は、給紙口8a、ニップ部A、ニップ部B、読取位置P2、ニップ部C、ニップ部D、切替位置P3、ニップ部H、排紙口8bの順に、搬送される。これにより、原稿の片面(一面)が、読み取られる。このように、原稿の片面を読み取る場合には、原稿は、搬送経路HRの一部(給紙経路R1、導入経路R2、第1中間経路R3、及び排出経路)を、通過する。
【0069】
なお、原稿が読取位置P2に接近した場合、図示しないセンサ部によって、原稿が検知される。その後、読取位置P2において原稿が読取部1によって読み取られる。センサ部は、第1の3連ローラ31の上流側、例えば第1の3連ローラ31と第1の2連ローラ32との間において、搬送経路HRを通過する原稿を検知可能に、本体部71に設けられている。ここでは、センサ部には、例えば反射式センサが用いられている。
【0070】
原稿の両面を読み込む場合、原稿は、表面を上にして原稿供給トレイ9にセットされる。そして、原稿は、給紙口8a、ニップ部A、ニップ部B、読取位置P2、ニップ部C、ニップ部Dの順に、搬送される。これにより、原稿の片面(一面)が、読み取られる。続いて、原稿は、切替位置P3、ニップ部E、交差点P4、ニップ部F、第2分岐点P5、読取位置P2、ニップ部B、第1分岐点P1、ニップ部G、合流点P6、ニップ部D、切替位置P3、ニップ部H、排紙口8bの順に、搬送される。これにより、原稿の裏面(他面)が、読み取られる。ここで、原稿を読取位置P2から第1分岐点P1へと搬送するためには、第2駆動ローラ32aが、原稿をニップ部Bにおいてニップした状態で、逆転する。
【0071】
このようにして、原稿の両面(一面及び他面)が、読み取られる場合には、原稿は、搬送経路HRの全て(給紙経路R1、導入経路R2、第1中間経路R3、反転経路R5、第2中間経路R6、及び排紙経路R4)を、通過する。
【0072】
なお、本実施形態では、各部材の制御、各機構の制御、及び各駆動手段の制御等は、図示しないコントローラによって実行される。例えば、ローラ部(給紙ローラ20や搬送ローラ対31〜35等)、スタンプ部、センサ部、入力部、及びガイド等は、コントローラによって制御されている。また、制御時に利用されるデータは、図示しないメモリに格納されており、このデータは、適宜読み出し可能である。
(5)カバー部の開放動作
【0073】
最後に、カバー部72の開放動作について、説明する。まず、図3に示すように、外カバー部72bのロック機構79(図4を参照)が解除され、外カバー部72bが開放される。次に、アウターガイド部72aが、上方に引き上げられると、アウターガイド部72aが上方に回動する。すなわち、アウターガイド部72aが、閉姿勢から開姿勢へと変化する。ここで、アウターガイド部72aが、閉姿勢から開姿勢へと変化する間において、アウターガイド部72aの側部に形成された押圧部172が、本体筐体71aの側壁部171に形成された突出部171aに、当接する。
【0074】
具体的には、図5A〜図5Dに示すように、アウターガイド部72aの押圧部172は、第1傾斜部172a、上辺部172b、第2傾斜部172cの順に、本体筐体71aの突出部171aに当接し、突出部171a上を摺動する。より具体的には、アウターガイド部72aの押圧部172に形成された第1傾斜部172aが、本体筐体71aの突出部171aに当接した状態で、アウターガイド部72aが回動することによって、本体筐体71aの側壁部171が、アウターガイド部72aの側部から離れる方向に、変形する。すなわち、この場合、本体筐体71aの側壁部171が、インナーガイド部71cの側部から離れる方向に、変形する。この変形によって、本体筐体71aの側壁部171に形成された凹部171bと、インナーガイド部71cの凸部171cとの嵌合が、解除される。
【0075】
続いて、アウターガイド部72aの押圧部172に形成された上辺部172bが、本体筐体71aの突出部171aに当接した状態で、アウターガイド部72aが回動した場合、本体筐体71aの側壁部171は、アウターガイド部72aの側部から離れた位置で、保持される。続いて、アウターガイド部72aの押圧部172に形成された第2傾斜部172cが、本体筐体71aの突出部171aに当接した状態で、アウターガイド部72aが回動することによって、本体筐体71aの側壁部171が、アウターガイド部72aの側部に近づく方向に移動する。そして、最終的には、アウターガイド部72aの押圧部172と本体筐体71aの突出部171aとの接触が解除され、本体筐体71aの側壁部171が、変形前の形状に復帰する。
【0076】
このように、アウターガイド部72aが閉姿勢から開姿勢へと変化した状態では、開姿勢のアウターガイド部72aは容易に閉姿勢に戻ることができない。例えば、開姿勢のアウターガイド部72aが閉姿勢に戻ろうとした場合、アウターガイド部72aの押圧部172が、本体筐体71aの突出部171aに当接する。すなわち、アウターガイド部72aが開姿勢から閉姿勢へと能動的に戻らないように、規制されている。さらに、アウターガイド部72aを、閉姿勢から開姿勢へと変化させることによって、インナーガイド部71cの凸部171cと、本体筐体71aの側壁部171に形成された凹部171bとの嵌合を、解除することができる。
【0077】
上記のように、アウターガイド部72aが開放された後は、インナーガイド部71cの凸部171cと、本体筐体71aの側壁部171に形成された凹部171bとの嵌合が解除されている。このため、アウターガイド部72aが開放された後は、インナーガイド部71cを上方に回動だけで、インナーガイド部71cを閉姿勢から開姿勢へと容易に変化させることができる。
【0078】
なお、カバー部72を閉じる場合は、アウターガイド部72a及びインナーガイド部71cを、下方に回動することによって、アウターガイド部72a及びインナーガイド部71cが閉じられる。そして、最後に、外カバー部72bが、閉じられる。
【0079】
(6)実施形態の作用効果
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
(A)ADF8は、本体筐体71aと、アウターガイド部72aと、インナーガイド部71cとを、備えている。アウターガイド部72aは、本体筐体71aに開閉可能に取り付けられている。インナーガイド部71cは、本体筐体71aとアウターガイド部72aとの間において、本体筐体71aに開閉可能に取り付けられている。また、インナーガイド部71cは、閉姿勢において本体筐体71aに係合する。ここでは、アウターガイド部72aが開かれる場合に、本体筐体71aがアウターガイド部72aの少なくとも一部によって押圧されることによって、インナーガイド部71cと本体筐体71aとの係合が、解除される。
【0080】
この場合、アウターガイド部72a及びインナーガイド部71cが閉姿勢である場合には、インナーガイド部71cは本体筐体71aに係合している。そして、アウターガイド部72aが開かれる場合に、本体筐体71aがアウターガイド部72aの少なくとも一部によって押圧され、インナーガイド部71cと本体筐体71aとの係合が解除される。これにより、インナーガイド部71cが開放可能になる。すなわち、アウターガイド部72aを開放するだけで、インナーガイド部71cも開放可能になるので、搬送経路に容易にアクセスすることができる。
【0081】
(B)ADF8では、アウターガイド部72aが、本体筐体71aを押圧可能な押圧部172を、有している。ここでは、押圧部172が本体筐体71aに当接することによって、インナーガイド部71cと本体筐体71aとの係合が解除される。この場合、局所的な押圧力を、アウターガイド部72aの押圧部172から本体筐体71aに与えることができるので、小さな力でインナーガイド部71cと本体筐体71aとの係合を、容易に解除することができる。
【0082】
(C)ADF8では、本体筐体71aが、突出部171aを有している。ここでは、押圧部172が突出部171aに当接することによって、インナーガイド部71cと本体筐体71aとの係合が解除される。この場合、局所的な押圧力を、アウターガイド部72aの押圧部172から本体筐体71aの突出部171aに与えることができるので、小さな力でインナーガイド部71cと本体筐体71aとの係合を、より容易に解除することができる。
【0083】
(D)ADF8では、押圧部172が、第1傾斜部172a及び第2傾斜部172cを、有している。例えば、アウターガイド部72aが閉姿勢から開姿勢に変化する場合、第1傾斜部172aは、突出部171aに当接し、本体筐体71aをアウターガイド部72aから離れる方向に案内する。また、第2傾斜部172cは、突出部171aに当接し、アウターガイド部72aに近づく方向に案内する。また、アウターガイド部72aが開姿勢から閉姿勢に変化する場合、第2傾斜部172cは、突出部171aに当接し、本体筐体71aをアウターガイド部72aから離れる方向に案内する。また、第1傾斜部172aは、突出部171aに当接し、アウターガイド部72aに近づく方向に案内する。
【0084】
この場合、アウターガイド部72aが閉姿勢から開姿勢に変化する場合、上記の第1傾斜部172aによって、本体筐体71aを、アウターガイド部72aから離れる方向に案内することによって、インナーガイド部71cと本体筐体71aとの係合が解除される。また、上記の第2傾斜部172cによって、本体筐体71aを、アウターガイド部72aに近づく方向に案内することによって、本体筐体71aの姿勢が復帰させられる。このように、第1傾斜部172a及び第2傾斜部172cによって、インナーガイド部71cと本体筐体71aとの係合を、より容易に解除することができる。また、第1傾斜部172a及び第2傾斜部172cによって、本体筐体71aの姿勢をスムーズに元の姿勢に復帰させることができる。
【0085】
(E)ADF8では、本体筐体71aが、凹部171bを有している。インナーガイド部71cは、凹部171bに嵌合可能な凸部171cを、有している。この場合、インナーガイド部71cが閉姿勢である状態において、本体筐体71aの凹部171bにインナーガイド部71cの凸部171cを係合させることによって、本体筐体71aに対してインナーガイド部71cを位置決めすることができる。
【0086】
(F)複合機は、搬送経路HRと、上記のADF8と、読取部1とを、備えている。搬送経路HRでは、原稿が、給紙口8aから排紙口8bまで、一方向に搬送される。読取部1は、搬送経路HRにおいて、原稿の片面又は原稿の両面を、読み取る。この場合においても、上記と同様の効果を得ることができる。この場合においても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0087】
(7)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0088】
(a)前記実施形態では、複合機にADF8が設けられる場合の例を示したが、ADF8が設けられる装置は、複合機である必要はなく、原稿の読取が可能である装置であれば、どのようなものでもよい。
【0089】
(b)前記実施形態では、一対の側壁部171のいずれか一方に突出部171aと凹部171bとが形成される場合の例を示したが、一対の側壁部171それぞれに突出部171aと凹部171bとを形成してもよい。
【0090】
(c)前記実施形態では、インナーガイド部71cの凸部171cが、本体部の側壁部171に形成された凹部171bに嵌合される場合の例を示したが、本体部の側壁部171にリブを設けて、このリブに凸部171cが係合するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、自動原稿搬送装置及び画像読取装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0092】
1 読取部
2 記録部
3 記録装置
4 給紙カセット
5 記録紙排出トレイ
6 読取装置
7 原稿押えカバー
8 ADF
8a 給紙口
8b 排紙口
9 原稿供給トレイ
10 読取部本体
10a,10b ヒンジ部
11 静止原稿載置ベッド
12 コンタクトガラス
13 固定部材
20 給紙ローラ
21 ピックアップローラ
22 セパレートローラ
23 リタードローラ
31,33,35 3連ローラ
31a〜35a 駆動ローラ(第1〜第5駆動ローラ)
31b,31c,33b,33c,35b,35c 3連ローラ用の従動ローラ
32,34 2連ローラ
32b,34b 2連ローラ用の従動ローラ
70筐体部
70a ヒンジ部
71 本体部
71a 本体筐体
71b 切替部
71c インナーガイド部(第2ガイド部)
72 カバー部
72a アウターガイド部(第1ガイド部)
72b 外カバー部
79 ロック機構
171 側壁部
171a 突出部
171b 凹部
171c 凸部
172 押圧部
172a 第1傾斜部(傾斜部)
172b 上辺部
172c 第2傾斜部(傾斜部)
A〜G ニップ部
P1 第1分岐点
P2 読取位置
P3 切替位置
P4 交差点
P5 第2分岐点
P6 合流点
R1 給紙経路
R2 導入経路
R3 第1中間経路
R4 排紙経路
R5 反転経路
R6 第2中間経路
R7 重複経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に開閉可能に取り付けられる第1ガイド部と、
前記本体部と前記第1ガイド部との間において前記本体部に開閉可能に取り付けられ、閉姿勢において前記本体部に係合し、前記第1ガイド部が開かれる場合に、前記本体部が前記第1ガイド部の少なくとも一部によって押圧されることによって、前記本体部との係合が解除される第2ガイド部と、
を備える自動原稿搬送装置。
【請求項2】
前記第1ガイド部は、前記本体部を押圧可能な押圧部を、有しており、
前記押圧部が前記本体部に当接することによって、前記第2ガイド部と前記本体部との係合が解除される、
請求項1に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項3】
前記本体部は、突出部を有しており、
前記押圧部が前記突出部に当接することによって、前記第2ガイド部と前記本体部との係合が解除される、
請求項2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項4】
前記押圧部は、前記突出部に当接し前記本体部を前記第1ガイド部から離れる方向と前記第1ガイド部に近づく方向とに案内する傾斜部を、有している、
請求項3に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項5】
前記本体部は、凹部を有しており、
前記第2ガイド部は、前記凹部に嵌合可能な凸部を、有している、
請求項1〜4のいずれかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項6】
原稿が、給紙口から排紙口まで、一方向に搬送される搬送経路と、
請求項1〜5に記載の自動原稿搬送装置と、
前記搬送経路において原稿の片面又は原稿の両面を読み取る読取部と、
を備える画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−88537(P2013−88537A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227537(P2011−227537)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】