説明

自動取引システム,取引案内画面設定方法及び自動取引用プログラム

【課題】自動取引装置に表示される取引案内画面のレイアウトを顧客が操作し易いものに設定して、自動取引装置の利便性を有効に向上させ得る自動取引システム,取引案内画面設定方法及び自動取引用プログラムを提供する。
【解決手段】顧客端末6が、ATM1用の取引案内画面の画像情報を管理する取引案内設定サーバ4にアクセスしてATM1用の取引案内画面の編集を指示し、取引案内設定サーバ4が、顧客端末6からの指示内容に基づいて編集した画面情報と顧客識別情報とを対応付けて記憶し、ATM1が、認証済みの顧客識別情報に対応する取引案内画面の画像情報を取引案内設定サーバ4から読み込んでタッチパネル12に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置を含む自動取引システム,その取引案内画面設定方法及び自動取引用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ATM(Automated Teller Machine:現金自動預払機)やCD(cash dispenser:現金自動支払機)などの自動取引装置は、ユーザインタフェースとしてタッチパネルを備えているのが一般的であり、このタッチパネルに取引案内画面を表示し、この取引案内画面に対する顧客のタッチ操作に応じて金融取引を実行するように構成されている。
【0003】
しかし、自動取引装置に表示される取引案内画面には選択ボタンや文字表示欄が含まれているが、この取引案内画面のレイアウトは、金融機関側もしくは装置開発者側で設定されているのが主であり、必ずしも顧客にとって操作性がよいものとは限らなかった。
【0004】
これに対し、案内画面表示に関連する技術が特許文献1乃至4に開示されている。特許文献1には、キャッシュカードから読み取った情報に基づくキャラクターの画像及び声で取引案内を行うことで、顧客の好きなキャラクターによる案内が可能となり、顧客にフラストレーションを感じさせないで適切な操作を実行させようとした自動取引装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ATMに顧客別のアバターを表示することが開示されている。特許文献3には、入力部から入力された指示内容に基づいて案内画面を編集し、この編集内容に基づいて案内画面を作成して表示部に表示させるコンピュータ処理システムが開示されている。
【0006】
特許文献4には、操作を指示する操作案内画面を表示し、この操作案内画面に対する操作に応じた他の操作案内画面に遷移する顧客操作型自動機の当該操作案内画面をコンピュータにより作成する方法において、第1および第2の作成モードを設定し、第1のモードに応答して顧客操作型自動機の画面遷移制御を行う業務プログラムの変更を必要とする上記操作案内画面の作成を可能とし、第2の作成モードに応答して、業務プログラムの変更を必要としない画面の作成を可能とし且つ変更を必要とする操作案内画面の作成を抑止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−87092号公報
【特許文献2】特開2007−148983号公報
【特許文献3】特開平6−274299号公報
【特許文献4】特開平11−73259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の自動取引装置では、通帳又はカードに使用されているキャラクターと同じキャラクターの画像もしくは声で取引ガイダンスを行うだけで、案内画面のレイアウトについては改善されておらず、顧客のフラストレーションを軽減できるかも知れないが、顧客にとって操作性が悪い場合があるという問題は解決されていなかった。
【0009】
特許文献2に記載の関連技術では、ATMの取引案内画面に任意のアバターを表示することを可能としているが、背景や取引選択ボタンの位置など、案内画面のレイアウトについての改善はなく、顧客にとって操作性が悪い場合があるという問題は解決されていなかった。
【0010】
特許文献3に記載の関連技術では、機器の案内画面を編集して、各個人毎に最適なメニュー画面やガイダンス画面を持たせることできるが、これは、OA(office automation)機器を対象とした技術であって、初期操作時にOA機器を直接操作して案内画面を編集するように構成されているので、これをATMなどの不特定多数の人に利用される自動取引装置に転用してしまうと、案内画面の編集を実行する間は他の顧客を待たせることになってしまい利便性を著しく低下させてしまうという問題があり、さらに、画面の編集処理に不具合が発生してしまうと取引業務の実行も停止してしまうという問題があった。
【0011】
特許文献4に記載された関連技術は、顧客操作型自動機のメーカー側でその自動機を開発する際の案内画面作成に関わる技術であり、案内画面のレイアウトが装置開発者側で設定されることに変わりは無く、顧客にとって操作性が悪くなっていたという問題を解決していなかった。
【0012】
そこで、本発明は、上記関連技術が有する課題を解決し、自動取引装置に表示される取引案内画面のレイアウトを顧客が操作し易いものに設定して、自動取引装置の利便性を有効に向上させ得る自動取引システム,取引案内画面設定方法及び自動取引用プログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の自動取引システムは、顧客による入力操作に対応して金融取引を実行する自動取引装置と、この自動取引装置に専用網を介して接続すると共に前記自動取引装置用の取引案内画面の画面情報を管理する取引案内設定サーバと、この取引案内設定サーバにインターネットを介して接続する前記顧客用の顧客端末とからなり、前記顧客端末は、前記顧客からの指令に従って前記取引案内設定サーバにアクセスし前記自動取引装置用の取引案内画面の編集を指示する案内画面編集指示手段を備え、前記取引案内設定サーバは、前記顧客端末からの指示内容に基づいて前記自動取引装置用の取引案内画面の編集処理を実行する案内画面編集手段と、この編集された取引案内画面の画面情報を前記顧客端末からの顧客識別情報と対応付けて記憶する顧客別案内画面記憶部と、前記自動取引装置から案内画面要求を受けた場合に当該要求に示された顧客識別情報に対応する画面情報を前記顧客別案内画面記憶部から読み出して当該自動取引装置へ送る案内画面提供手段とを備え、前記自動取引装置は、前記入力操作に係る顧客の本人認証を行う認証手段と、この認証手段で認証された顧客の識別情報と共に案内画面要求を前記取引案内設定サーバへ送る案内画面要求手段と、この案内画面要求に対応して前記取引案内設定サーバから送られてくる画面情報に基づいて前記顧客に対応した取引案内画面を表示する表示部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の取引案内画面設定方法は、顧客による入力操作に対応して金融取引を実行する自動取引装置と、この自動取引装置に専用網を介して接続すると共に前記自動取引装置用の取引案内画面の画面情報を管理する取引案内設定サーバと、この取引案内設定サーバにインターネットを介して接続する前記顧客用の顧客端末とからなる自動取引システムにあって、前記顧客端末が前記顧客からの指令に従って前記取引案内設定サーバにアクセスし前記自動取引装置用の取引案内画面の編集を指示し、前記顧客端末からの編集指示を受けた前記取引案内設定サーバがその指示内容に基づいて前記自動取引装置用の取引案内画面を編集し、この編集された取引案内画面の画面情報を前記顧客端末からの顧客識別情報と対応付けて前記取引案内設定サーバが記憶し、前記自動取引装置が前記入力操作に係る顧客の本人認証を実行した後に、この認証した顧客の識別情報と共に案内画面要求を前記取引案内設定サーバへ前記専用網を介して送信し、この案内画面要求を受けた前記取引案内設定サーバが当該案内画面要求に含まれている顧客識別情報に対応付けられた画面情報を前記記憶情報から読み出して当該自動取引装置へ送信し、この画面情報を受信した前記自動取引装置が当該画面情報に基づいて前記顧客に対応した取引案内画面を表示することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の自動取引用プログラムは、顧客の入力操作に対応して金融取引を実行する自動取引装置に搭載されたコンピュータに、前記顧客の本人認証を行う認証機能と、この認証機能で認証された顧客の識別情報と共に案内画面要求を取引案内設定サーバへ専用網を介して送る案内画面要求機能と、この案内画面要求に対して前記取引案内設定サーバから送られてくる画面情報に基づいて前記顧客に対応した取引案内画面を予め接続されたディスプレイに表示させる顧客別案内表示機能と、を実行させることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の自動取引用プログラムは、顧客の入力操作に対応して金融取引を実行する自動取引装置との専用網を介した通信を制御する専用網通信制御機能と、インターネットを介した顧客端末との通信を制御するインターネット通信制御機能と、前記顧客端末から送られてくる指示に従って自動取引装置用の取引案内画面を編集する案内画面編集実行機能と、この編集された取引案内画面の画面情報を前記顧客端末からの顧客識別情報と対応付けて記憶装置に記憶する顧客別案内画面記憶機能と、前記自動取引装置から案内画面要求を受けた場合に当該案内画面要求に含まれている顧客識別情報に対応付けられた画面情報を前記記憶装置から読み出して当該自動取引装置へ送る顧客別案内画面提供機能と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のように構成したため、これにより、自動取引装置の取引案内画面の画面情報を取引案内設定サーバが管理し、その取引案内画面を顧客自身が端末を介して独自に編集することが可能になるので、顧客毎の取引案内画面を事前に設定することができ、常に顧客が操作し易い構成の取引案内画面を自動取引装置に表示させることが可能になり、自動取引装置の利便性を有効に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる一実施形態の自動取引システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は図1に開示した実施形態における取引案内設定サーバの構成を示す機能ブロック図である。(b)は図1に開示した実施形態における自動取引装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1に開示した実施形態のATM1に表示される取引案内画面の一例を示す図である。
【図4】図1に開示した実施形態のATM1に表示される取引案内画面の他の例を示す図である。
【図5】図1に開示した実施形態の自動取引システムにおける画面編集動作の一例を示すシーケンス図である。
【図6】図1に開示した実施形態の自動取引システムにおける画面表示動作の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかる一実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本実施形態の自動取引システムの構成を示す機能ブロック図である。図2(a)は、図1に示す取引案内設定サーバ4の内部構成を示す機能ブロック図である。図2(b)は、図1に示すATM1の内部構成を示す機能ブロック図である。
【0021】
本実施形態の自動取引システムの基本構成は、顧客による入力操作に対応して金融取引を実行するATM(Automated Teller Machine:現金自動預払機)1と、専用網3を介してATM1と接続すると共にATM1用の取引案内画面の画面情報を管理する取引案内設定サーバ4と、この取引案内設定サーバ4にインターネット5を介して接続する顧客端末6とからなり、顧客端末6は、顧客からの指令に従って取引案内設定サーバ4にアクセスしATM1用の取引案内画面の編集を指示する案内画面編集指示手段61を備え、取引案内設定サーバ4は、顧客端末6からの指示内容に基づいてATM1用の取引案内画面を編集する案内画面編集実行手段43と、この編集された取引案内画面の画面情報を顧客端末6からの顧客識別情報と対応付けて記憶する顧客別案内画面記憶部44と、ATM1から案内画面要求を受けた場合に当該要求に示された顧客識別情報に対応する画面情報を顧客別案内画面記憶部44から読み出して当該ATM1へ送る案内画面提供手段45とを備え、ATM1は、入力操作に係る顧客の本人認証を行う認証手段16と、この認証手段16で認証された顧客の識別情報と共に案内画面要求を取引案内設定サーバ4へ送る案内画面要求手段15と、この案内画面要求に対応して取引案内設定サーバ4から送られてくる画面情報に基づいて顧客に対応する取引案内画面を表示する表示部としてのタッチパネル12とを備えた構成である。
【0022】
次に、この自動取引システムの基本動作は、まず、顧客端末6における案内画面編集指示手段61が取引案内設定サーバ4の案内画面編集実行手段43にアクセスしてATM1用の取引案内画面の編集を指示し、顧客端末6からの指示内容に基づいて取引案内設定サーバ4の案内画面編集実行手段43がATM1用の取引案内画面を編集し、この編集された取引案内画面の画面情報を顧客端末6からの顧客識別情報と対応付けて取引案内設定サーバ4の顧客別案内画面記憶部44が記憶すると共に、ATM1において認証手段16が顧客の本人認証を実行した後に、案内画面要求手段15がこの認証した顧客の識別情報と共に案内画面要求を取引案内設定サーバ4へ専用網3を介して送信し、この案内画面要求を受けた取引案内設定サーバ4の案内画面提供手段45が当該案内画面要求に含まれている顧客識別情報に対応付けられた画面情報を顧客別案内画面記憶部44から読み出して対応するATM1へ送信し、この画面情報を受信したATM1ではタッチパネル12がその画面情報に基づいて顧客に対応した取引案内画面を表示する。
【0023】
ここで、ATM1は、案内画面を表示する自動取引装置であればよいので、ATMに限定することなく、CD(cash dispenser:現金自動支払機)などであってもよい。
【0024】
このような構成の自動取引システムによれば、ATM1の取引案内画面を顧客自身が顧客端末6を介して独自に編集することが可能になるので、顧客毎の取引案内画面を事前に設定することができる。よって、常に顧客が操作し易い構成の取引案内画面をATM1に表示させることが可能になるため、顧客がATM1への取引操作をより迅速に行うことができるようになり、ATM1の利便性を有効に向上させることができる。
【0025】
次に、本実施形態の詳細な説明をする。
【0026】
図1に示すように、本実施形態の自動取引システムは、ATM1と、各ATM1に専用網3を介して相互接続し各ATM1で行われる金融取引を管理する勘定系システム2と、専用網3を介して各ATM1に接続すると共にインターネット5を介して顧客端末6に接続する取引案内設定サーバ4と、この取引案内設定サーバ4にインターネット5を介して接続する顧客端末6とにより構成されている。
【0027】
ATM1は、図2(b)に示すように、専用網3に接続する専用網接続部11と、タッチパネル12と、顧客のクレジットカードに記録された情報を読み取るカード読取手段13と、カード情報を読み取ると勘定系システム2と通信して金融取引の処理を行う取引処理部14と、音声出力部17とを備えている。
【0028】
専用網接続部11は、専用網3に接続して勘定系システム2又は取引案内設定サーバ4との通信を制御する。タッチパネル12は、液晶パネルなどのディスプレイ装置とその画面上のタッチ位置信号を入力する入力装置とを組み合わせたものであり、顧客がタッチパネル12の画面を触れることで入力操作を行える。
【0029】
カード読取部13は、金融機関が口座開設者である顧客に発行したキャッシュカードに記録されている顧客識別情報を読み取る機能を備えている。例えば、キャッシュカードがICカードであれば、カード読取部13はICカードリーダであればよい。ここで、顧客識別情報は、顧客の口座番号または顧客の氏名でよいが、顧客固有の情報であればこれに限らない。
【0030】
取引処理部14は、顧客の本人認証を行う認証手段16と、認証された顧客の識別情報と共に案内画面要求を取引案内設定サーバ4へ送る案内画面要求手段15と備え、取引案内設定サーバ4から送られてくる取引案内画面の画面情報をタッチパネル12に表示させ、この画面情報に指定された言語の音声ガイダンスを音声出力部17に出力させると共に、案内画面を表示したタッチパネル12に対する顧客の操作に応じて入力される指示に従って勘定系システム2にアクセスして取引処理を行う。
【0031】
認証手段16は、カード読取部13で読み取った顧客識別情報とタッチパネル12から入力された暗証番号とを勘定系システム2へ送信して認証結果を受ける。案内画面要求手段15は、認証された顧客の識別情報を指定して取引案内画面の画面情報を取引案内設定サーバ4から呼び出す。
【0032】
ここで、認証手段16及び案内画面要求手段15を含む取引処理部14については、その機能内容をプログラム化して、コンピュータに実行させるように構成してもよい。
【0033】
次に、勘定系システム2は、顧客毎の暗証番号,口座番号,口座情報など顧客情報を記憶管理する機能を備え、専用網3を介してATM1と接続し、ATM1からの顧客識別情報及び暗証番号を予め記憶した顧客情報と照合して顧客認証処理を行うと共に、ATM1からのアクセスに応じて金融取引の業務処理を実行する。
【0034】
取引案内設定サーバ4は、図2(a)に示すように、ATM1との専用網3を介した通信を制御する専用網通信部41と、インターネット5を介した顧客端末6との通信を制御するインターネット通信部42と、顧客端末6から送られてくる指示内容に基づいてATM1用の取引案内画面を編集する案内画面編集実行手段43と、取引案内画面の編集に用いる部品データを格納する案内画面部品データベース46と、編集された取引案内画面の画面情報を顧客端末6からの顧客識別情報と対応付けて記憶する顧客別案内画面記憶部44と、ATM1から案内画面要求を受けた場合に当該案内画面要求に含まれている顧客識別情報に対応付けられた画面情報を顧客別案内画面記憶部44から読み出して当該ATM1へ送る案内画面提供手段45とを備えている。
【0035】
取引案内設定サーバ4の案内画面編集実行手段43は、顧客端末6からアクセスを受けて、顧客端末6からの指示に従ってATM1用の取引案内画面を案内画面部品データベース46に予め格納された部品データを用いて編集する機能と、その編集した取引案内画面の画面情報を顧客端末6からの顧客識別情報と対応付けて顧客別案内画面記憶部44へ出力する機能とを備えている。
【0036】
案内画面編集実行手段43による編集項目としては、例えば、取引案内画面の背景画像の選択設定,「引き出し」や「預け入れ」などの取引種毎の選択ボタンの形/色/大きさ/配置の選択設定,カレンダー、時計、写真、メッセージの配置,案内音声及び表示文字の使用言語(日本語、英語、中国語など)の選択設定,ボタン押下時の効果音の選択設定,取引中に出力する音楽の設定,音声ボリュームの設定,などがある。図3及び4は、取引案内画面のレイアウトの一例を示す図である。
【0037】
図3に示す取引案内画面は、選択ボタンとして、「引き出し」、「預け入れ」、「振込み」、「残高照会」の各取引種のボタンA1〜A4と、取引を取り消すための「取消」ボタンBと、日本語の表記を英語に切り換えるための「English」ボタンCとを配置した画面である。図4に示す取引案内画面は、選択ボタンとして、1万円を引き出すための「1万円引き出し」ボタンDと、2万円を引き出すための「2万円引き出し」ボタンEと、時計Fと、初期設定画面に切り換えるための「初期画面」ボタンGと、「取消」ボタンBとを配置した画面であり、この図4に示すような案内画面にすると、1万円か2万円を引き出す場合に払出金額を打ち込む必要がなくなりその分の操作手順が減る。
【0038】
案内画面部品データベース46は、ATM1用の取引案内画面に用いる画像データ,音声データを予め格納している。例えば、背景,各種選択ボタン,カレンダー,時計などの画像データと、言語別のテキストデータ及び音声ガイダンスデータを格納している。
【0039】
また、案内画面編集実行手段43は、案内画面部品データベース46のデータだけではなく、顧客端末6から取り込んだコンテンツデータを取引案内画面の構成要素として用いて編集する機能を有してもよい。例えば、顧客端末6から取り込んだ写真を取引案内画面の背景に設定できるように構成してもよい。これにより、顧客毎に独自性の高い案内画面を設定することができる。
【0040】
顧客別案内画面記憶部44は、案内画面編集実行手段43によって編集された案内画面の画面情報をその編集に係る顧客識別情報と対応付けて記憶する機能を備えている。この顧客識別情報は、顧客のキャッシュカードに記録されているものと同一であればよい。
【0041】
案内画面提供手段45は、ATM1から案内画面の要求を受けた場合に、要求に示された顧客識別情報に対応する画面情報を顧客別案内画面記憶部44から読み出して要求元のATM1へ送信する機能を備えている。
【0042】
そして、顧客端末6は、顧客の操作により入力される指令に従って取引案内設定サーバ4の案内画面編集実行手段43にアクセスしATM1用の取引案内画面の編集を指示する案内画面編集指示手段61を備えている。
【0043】
ここで、上述した取引案内設定サーバ4における案内画面編集実行手段43及び案内画面提供手段45については、その機能内容をプログラム化して、コンピュータに実行させるように構成し、顧客別案内画面記憶部44及び案内画面用部品データベースを記憶装置で実現させるようにしてもよい。そして、顧客端末6の案内画面編集指示手段61についても、その機能内容をプログラム化してコンピュータに実行させるように構成してもよい。
【0044】
この場合、例えば、取引案内設定サーバ4の案内画面編集実行手段43は、ATM1を管理する金融機関のホームページを保持し、このホームページに案内画面編集用のプログラムが組み込まれており、顧客端末6の案内画面編集指示手段61がウェブプラウザであって、顧客端末6の案内画面編集指示手段61が取引案内設定サーバ4の案内画面編集実行手段43にアクセスして案内画面編集用のプログラムを実行することにより取引案内画面の編集設定を行なうように構成してもよい。
【0045】
このように本実施形態の自動取引システムは、顧客端末6が、取引案内設定サーバ4の案内画面編集実行手段43にアクセスしATM1に表示される取引案内画面を編集する機能を備え、取引案内設定サーバ4が、顧客端末6からの指示内容に基づいて編集された画面情報と顧客識別情報とを対応付けて記憶する機能を備え、ATM1が、認証した顧客の識別情報に対応する取引案内画面の画像情報を取引案内設定サーバ4から読み込んでタッチパネル12に表示する機能を備えているので、ATM1の取引案内画面を顧客自身が顧客端末6を介して編集設定でき、顧客にとって使用しやすい取引画面、顧客本人の趣味嗜好に沿った取引画面をATM1に表示することができる。
【0046】
次に、本実施形態の自動取引システムの動作について説明する。ここで、以下の動作説明は、本発明の取引案内画面設定方法の実施形態となる。
【0047】
図5は、本実施形態の自動取引システムの動作のうち、顧客端末6及び取引案内設定サーバ4の間で行われる取引案内画面の編集動作の一例を示すシーケンス図である。
【0048】
図5に示すとおり、まず、顧客端末6が、取引案内設定サーバ4の案内画面編集実行手段43にアクセスする。このとき、顧客端末6の案内画面編集指示手段61が取引案内設定サーバ4の案内画面編集実行手段43に保持されたホームページにアクセスすると(図5のステップS101)、取引案内設定サーバ4の案内画面編集実行手段43が顧客端末6の案内画面編集指示手段61へページ情報を送信し(図5のステップS102)、顧客端末6の案内画面編集指示手段61がそのホームページを介してATM1用の取引案内画面の編集指示する(図5のステップS103)。
【0049】
続いて、顧客端末6からの指示内容に基づいて案内画面編集実行手段43がATM1用の取引案内画面の編集を実行する(図5のステップS104)。例えば、初期設定時の取引案内画面を図3に示すような構成とし、編集して図4のような画面設定にする。取引案内画面の編集は、取引画面の背景の選択設定、ボタンの引き出しや預け入れ等の種類の選択、ボタンの形/色/大きさ/配置位置の選択設定、カレンダー、時計、写真や個人メッセージの配置位置の設定により行う。
【0050】
そして、顧客端末6から取引案内設定サーバ4の案内画面編集実行手段43へ編集画面の保存指令が送信されると(図5のステップS105)、取引案内設定サーバ4の顧客別案内画面記憶部44が、案内画面編集実行手段43で編集された取引案内画面の画面情報を顧客端末6からの保存指令に指定された顧客識別情報と対応付けて記憶する(図5のステップS106)。
【0051】
図6は、本実施形態の自動取引システムの動作のうち、取引案内設定サーバ4がATM1に取引案内画面を提供する動作の一例を示すシーケンス図である。
【0052】
図6に示すように、まず、顧客がATM1に赴きキャッシュカードをATM1に挿入すると、ATM1においては、カード読取部13が顧客のキャッシュカードに記録された顧客識別情報を読み込み、取引処理部14における認証手段16が、タッチパネル12に暗証番号入力画面を表示し、顧客がタッチパネル12を介して入力した暗証番号とキャッシュカードから読み込まれた顧客識別情報とを勘定系システム2へ認証依頼として送信して認証処理を実行する(図6のステップS201)。
【0053】
そして、ATM1においては、顧客識別情報が認証された後、取引処理部14における案内画面要求手段15が、認証された顧客識別情報と共に案内画面要求を取引案内設定サーバ4へ送信する(図6のステップS202)。
【0054】
続いて、取引案内設定サーバ4では、案内画面提供手段45がATM1からの案内画面要求を受けると、その要求に示された顧客識別情報に対応する画面情報を顧客別案内画面記憶部44から読み出し(図6のステップS203)、この画面情報をATM1へ送信する(図6のステップS204)。
【0055】
そして、画面情報を受信したATM1では、タッチパネル12が画面情報に基づいて顧客に対応した取引案内画面を表示する(図6のステップS205)。
【0056】
本実施形態の自動取引システムは、このように動作するため、ATM1に表示される取引案内画面のレイアウトを顧客が操作し易いものに設定して、ATM1の利便性を有効に向上させることができる。
【0057】
以上のように、本実施形態の自動取引システムによれば、ATM1に表示される取引案内画面のレイアウト(背景や選択ボタン配置)や操作音が、顧客の各々によって編集設定されることになるので、顧客にとって扱いやすい案内画面や嗜好に沿った案内画面をデザインすることができる。よって、ATM1の利便性が格段に向上する。
【0058】
また、本実施形態の自動取引システムでは、ATM1を直接操作して取引案内画面を編集することなく、顧客端末6からの指示内容に基づいて取引案内設定サーバ4が取引案内画面を編集して顧客識別情報と対応付けて記憶し、ATM1からの要求に応じてその要求に係る顧客識別情報に対応する画面情報を返信する取引案内設定サーバ4を設けた構成になっているため、事前にATM1の取引案内画面のレイアウトを顧客毎にデザインすることができる。これにより、常に顧客が操作し易い取引案内画面をATM1に表示させることが可能になり、顧客のATN1に対する操作時間が短縮される。
【0059】
また、本実施形態の自動取引システムは、ATM1に表示される取引案内画面内の選択ボタンの種類及び配置位置を顧客が顧客端末6を介して編集設定するので、顧客の取引パターンに合致した選択ボタンを顧客が操作し易い位置に配置して取引案内画面を設定できる。例えば、1度に引き出す金額が1万円又は2万円の場合が多い顧客であれば、図4に示す画面に設定することで、引出時に金額を入力する必要がなくなり、操作が迅速になる。
【0060】
また、本実施形態の自動取引システムでは、取引案内設定サーバ4が、顧客端末6から取り込んだコンテンツデータを用いてATM1用の取引案内画面を編集できるので、顧客毎に独自性の高い取引案内画面を設定することができる。
【0061】
また、本実施形態の自動取引システムでは、取引案内設定サーバ4が、ATM1用の取引案内画面の使用言語を予め保持した複数種の言語情報から顧客端末6の指示に応じて選択し設定するので、これにより、例えば、ATM1の表示言語を英語に変更したいとき、通常は毎回言語変更ボタンを押下する必要があったが、本実施形態によれば、顧客端末6を介して事前に使用言語を英語に設定しておけば、ATM1を使用するときは常に英語表記になるので、言語変更ボタンを毎回押下する必要がなくなり、顧客の操作が迅速になると共に顧客に与える負担を軽減する。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、ATM(現金自動預払機)やCD(キャッシュディスペンサ)に限らず、街頭や店舗内に設置されるキオスク端末、券売機・発券機等、表示画面を有する機器に対して適用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 ATM
2 勘定系システム
3 専用網
4 取引案内設定サーバ
5 インターネット
6 顧客端末
11 専用網接続部
12 タッチパネル
13 カード読取部
14 取引処理部
15 案内画面要求手段
16 認証手段
41 専用網通信部
42 インターネット通信部
43 案内画面編集実行手段
44 顧客別案内画面記憶部
45 案内画面提供手段
46 案内画面用部品データベース
61 案内画面編集指示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客による入力操作に対応して金融取引を実行する自動取引装置と、この自動取引装置に専用網を介して接続すると共に前記自動取引装置用の取引案内画面の画面情報を管理する取引案内設定サーバと、この取引案内設定サーバにインターネットを介して接続する前記顧客用の顧客端末とからなり、
前記顧客端末は、前記顧客からの指令に従って前記取引案内設定サーバにアクセスし前記自動取引装置用の取引案内画面の編集を指示する案内画面編集指示手段を備え、
前記取引案内設定サーバは、前記顧客端末からの指示内容に基づいて前記自動取引装置用の取引案内画面の編集処理を実行する案内画面編集手段と、この編集された取引案内画面の画面情報を前記顧客端末からの顧客識別情報と対応付けて記憶する顧客別案内画面記憶部と、前記自動取引装置から案内画面要求を受けた場合に当該要求に示された顧客識別情報に対応する画面情報を前記顧客別案内画面記憶部から読み出して当該自動取引装置へ送る案内画面提供手段とを備え、
前記自動取引装置は、前記入力操作に係る顧客の本人認証を行う認証手段と、この認証手段で認証された顧客の識別情報と共に案内画面要求を前記取引案内設定サーバへ送る案内画面要求手段と、この案内画面要求に対応して前記取引案内設定サーバから送られてくる画面情報に基づいて前記顧客に対応した取引案内画面を表示する表示部とを備えたことを特徴とする自動取引システム。
【請求項2】
前記請求項1に記載の自動取引システムにおいて、
前記取引案内設定サーバにおける前記案内画面編集実行手段は、前記取引案内画面を編集する際に、前記取引案内画面に設ける選択ボタンの種類及び配置位置を前記顧客端末からの指示内容に基づいて設定する機能を備えたことを特徴とする自動取引システム。
【請求項3】
前記請求項1に記載の自動取引システムにおいて、
前記案内画面編集実行手段は、前記取引案内画面を編集する際に、前記顧客端末から取り込んだコンテンツデータを前記取引案内画面の構成要素として用いる機能を備えたことを特徴とする自動取引システム。
【請求項4】
前記請求項1に記載の自動取引システムにおいて、
前記案内画面編集実行手段は、前記取引案内画面を編集する際に、前記取引案内画面の使用言語を予め保持した複数種の言語情報から前記顧客端末からの指示内容に基づいて選択し設定する機能を備えたことを特徴とする自動取引システム。
【請求項5】
顧客による入力操作に対応して金融取引を実行する自動取引装置であって、
専用網を介して取引案内設定サーバと接続する専用網接続部と、
前記入力操作に係る顧客の本人認証を行う認証手段と、
この認証手段で認証された顧客の識別情報と共に案内画面要求を前記取引案内設定サーバへ送る案内画面要求手段と、
この案内画面要求に対応して前記取引案内設定サーバから送られてくる画面情報に基づいて前記顧客に対応した取引案内画面を表示する表示部とを備えたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項6】
顧客による入力操作に対応して金融取引を実行する自動取引装置との専用網を介した通信を制御する専用網通信部と、
インターネットを介した前記顧客用の顧客端末との通信を制御するインターネット通信部と、
前記顧客端末から送られてくる指示内容に基づいて前記自動取引装置用の取引案内画面を編集する案内画面編集実行手段と、
この編集された取引案内画面の画面情報を前記顧客端末からの顧客識別情報と対応付けて記憶する顧客別案内画面記憶部と、
前記自動取引装置から案内画面要求を受けた場合に、当該案内画面要求に含まれている顧客識別情報に対応付けられた画面情報を前記顧客別案内画面記憶部から読み出して当該自動取引装置へ送る案内画面提供手段とを備えたことを特徴とする取引案内設定サーバ。
【請求項7】
顧客による入力操作に対応して金融取引を実行する自動取引装置と、この自動取引装置に専用網を介して接続すると共に前記自動取引装置用の取引案内画面の画面情報を管理する取引案内設定サーバと、この取引案内設定サーバにインターネットを介して接続する前記顧客用の顧客端末とからなる自動取引システムにあって、
前記顧客端末が前記顧客からの指令に従って前記取引案内設定サーバにアクセスし前記自動取引装置用の取引案内画面の編集を指示し、
前記顧客端末からの編集指示を受けた前記取引案内設定サーバがその指示内容に基づいて前記自動取引装置用の取引案内画面を編集し、
この編集された取引案内画面の画面情報を前記顧客端末からの顧客識別情報と対応付けて前記取引案内設定サーバが記憶し、
前記自動取引装置が前記入力操作に係る顧客の本人認証を実行した後に、この認証した顧客の識別情報と共に案内画面要求を前記取引案内設定サーバへ前記専用網を介して送信し、
この案内画面要求を受けた前記取引案内設定サーバが当該案内画面要求に含まれている顧客識別情報に対応付けられた画面情報を前記記憶情報から読み出して当該自動取引装置へ送信し、
この画面情報を受信した前記自動取引装置が当該画面情報に基づいて前記顧客に対応した取引案内画面を表示することを特徴とする取引案内画面設定方法。
【請求項8】
前記請求項7に記載の取引案内画面設定方法において、
前記取引案内設定サーバによる前記取引案内画面の編集に際しては、
前記取引案内画面に設ける選択ボタンの種類及び配置位置を前記顧客端末からの指示内容に基づいて設定することを特徴とする取引案内画面設定方法。
【請求項9】
前記請求項7に記載の取引案内画面設定方法において、
前記取引案内設定サーバによる前記取引案内画面の編集に際しては、
前記顧客端末から取り込んだコンテンツデータを前記取引案内画面の構成要素として用いることを特徴とする取引案内画面設定方法。
【請求項10】
前記請求項7に記載の取引案内画面設定方法において、
前記取引案内設定サーバによる前記取引案内画面の編集に際しては、
前記取引案内画面の使用言語を予め保持した複数種の言語情報から前記顧客端末からの指示内容に基づいて選択し設定することを特徴とする取引案内画面設定方法。
【請求項11】
顧客の入力操作に対応して金融取引を実行する自動取引装置に搭載されたコンピュータに、
前記顧客の本人認証を行う認証機能と、この認証機能で認証された顧客の識別情報と共に案内画面要求を取引案内設定サーバへ専用網を介して送る案内画面要求機能と、この案内画面要求に対して前記取引案内設定サーバから送られてくる画面情報に基づいて前記顧客に対応した取引案内画面を予め接続されたディスプレイに表示させる顧客別案内表示機能と、を実行させることを特徴とする自動取引用プログラム。
【請求項12】
顧客の入力操作に対応して金融取引を実行する自動取引装置との専用網を介した通信を制御する専用網通信制御機能と、インターネットを介した顧客端末との通信を制御するインターネット通信制御機能と、前記顧客端末から送られてくる指示に従って自動取引装置用の取引案内画面を編集する案内画面編集実行機能と、この編集された取引案内画面の画面情報を前記顧客端末からの顧客識別情報と対応付けて記憶装置に記憶する顧客別案内画面記憶機能と、前記自動取引装置から案内画面要求を受けた場合に当該案内画面要求に含まれている顧客識別情報に対応付けられた画面情報を前記記憶装置から読み出して当該自動取引装置へ送る顧客別案内画面提供機能と、をコンピュータに実行させることを特徴とする自動取引用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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