説明

自動取引システム

【課題】窓口取引における業務効率を向上させると共に、応対窓口および現金自動預払機における混雑を緩和する手段を提供する。
【解決手段】 応対者の存在を検知する応対者検知部18を有し、顧客との取引を自動で行う現金自動預払機1と、応対者が操作する事務処理端末2とを接続した自動取引システムにおいて、現金自動預払機1が、応対者検知部18によって応対者を検知したときに、現金自動預払機1のタイムアウト設定を無効にすると共に、事務処理端末2に現金自動預払機1に表示した取引画面を表示し、事務処理端末2による入力を可能にすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客が操作する現金自動預払機等の自動取引装置と行員等の有資格者が操作する事務処理端末とを接続した自動取引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の窓口取引システムは、センタに設置された予約管理サーバと、店舗に設置された顧客受付端末と、応対窓口の窓口端末とを接続し、顧客が携帯電話で予約管理サーバに予約時間や窓口における取引内容を含む取引予約情報を登録し、予約時間に顧客が店舗に来店して、顧客受付端末に取引カードを挿入すると、顧客受付端末は、予約管理サーバに該当する取引予約情報が存在することを確認して受付番号札を発行し、窓口に誘導された顧客が窓口係員に受付番号札を提示すると、窓口端末は受付番号を基に、予約管理サーバから該当する取引予約情報を取得して、窓口取引における伝票を印刷して排出し、顧客が伝票の記入内容を確認し必要に応じて登録印を押印して窓口係員に渡すと、窓口係員は伝票の内容を入力して、取引予約情報で予約された取引を通常通りに実行し、伝票の記入ミス等を防止して応対窓口での業務効率を向上させている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この場合に、現金の入出金が必要なときは、窓口係員は、窓口端末または現金処理機によって顧客から手渡された現金の入金、または出金した現金を顧客に手渡している。
また、従来の現金自動預払機においては、高齢者との取引を行う場合に、取引選択画面の高齢者モードの操作ボタンを表示し、顧客が高齢者モードの操作ボタンを押下すると、現金自動預払機は、タイムアウト時間を通常タイムアウト時間より長い高齢者タイムアウト時間に設定し、取引画面を表示した後に、高齢者タイムアウト時間を経過した場合は、取引を続行するか否かを問合せる取引操作続行問合画面を表示し、顧客が「続ける」の操作ボタンを押下すると、タイムアウト発生時の取引画面を再び表示して取引処理を続行している(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−092411号公報(段落0019−0033、第1図)
【特許文献2】特開2010−123137号公報(段落0032−0046、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の技術においては、窓口取引における伝票を印刷し、顧客が伝票の記入内容を確認し必要に応じて登録印を押印して、窓口係員が取引処理を行っているため、伝票の印刷、顧客による記入内容の確認、印鑑の押印等に時間を要すると、窓口業務の効率化を妨げる場合があるという問題がある。
【0006】
また、税公金の納金(国、地方公共団体、電力会社等の公共機関から受託した税金や料金等の納金をいう。)等の納税通知書等の納金通知書(請求書)に基づく納金の場合は、納金通知書の領収証書等の領収書に取扱店舗名や取扱日付等からなる取扱日付印を押印して顧客に返却することが必要であるため、現金自動預払機単独で納金のための取引を実行することができないという問題がある。
【0007】
特許文献2の技術においては、顧客が高齢者モードを選択すると、タイムアウト時間を通常タイムアウト時間より長い高齢者タイムアウト時間に設定し、高齢者タイムアウト時間を経過した場合は、取引を続行するか否かを問合せ、顧客が取引の続行を選択すると、タイムアウト発生時の取引画面を再び表示して取引処理を続行しているため、現金自動預払機による取引処理に時間を要し、現金自動預払機が混雑する場合があるという問題がある。
【0008】
また、現金自動預払機による取引に苦手意識を持つ高齢者等の顧客は、一般に窓口端末を設置した応対窓口で、伝票を用いた取引を行うことが多く、年金受給日等の繁忙日には、応対窓口が混雑する場合があるという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、窓口取引における業務効率を向上させると共に、応対窓口および現金自動預払機における混雑を緩和する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、応対者の存在を検知する応対者検知部を有し、顧客との取引を自動で行う自動取引装置と、応対者が操作する事務処理端末とを接続した自動取引システムにおいて、前記自動取引装置が、前記応対者検知部によって応対者を検知したときに、前記自動取引装置のタイムアウト設定を無効にすると共に、前記事務処理端末に前記自動取引装置に表示した取引画面を表示し、前記事務処理端末による入力を可能にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
これにより、本発明は、応対者は、タイムアウト時間の経過に煩わされることなく、取引を円滑に行うことができる他、伝票や登録印の押印を省略して窓口取引における業務効率を向上させることができると共に、運用形態を自動的に切替えて応対窓口および自動取引装置による自動取引における混雑を緩和することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例の自動取引システムを示すブロック図
【図2】実施例の自動取引システムの外観を示す説明図
【図3】実施例の連係処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して本発明による自動取引システムの実施例について説明する。
【実施例】
【0013】
本実施例の自動取引システムは、図1、図2に示すように、銀行等の金融機関の店舗に設置された顧客が操作する自動取引装置としての現金自動預払機1と、現金自動預払機1に並設された役席や行員等の操作権限を有する有資格者(以下、行員という。)が操作するパーソナルコンピュータ等の事務処理端末2(図2参照)と、を接続して構成され、金融機関における所定の窓口取引を、行員による有人対応によって処理する機能を有しており、店舗の待合ロビー等に設置される。
【0014】
本実施例の店舗には、本自動取引システムに加えて、顧客が無人で自動取引を行うATMコーナに設置された現金自動預払機1、および大口の振込取引等の自動取引システムでは取扱わない窓口取引を行う窓口端末等を設置した通常の応対窓口が設けられている。
また、本実施例の自動取引システムが取扱う所定の窓口取引は、税公金の納金、現金自動預払機1による取扱限度額以下の入金、出金、振込取引等である。
更に、本実施例の自動取引システムに用いる現金自動預払機1は、取扱可能な紙幣枚数が通常より多い枚数(例えば、200枚)に設定されている。
【0015】
図1において、4は金融機関のセンタに設置された上位装置としてのホストコンピュータであり、現金自動預払機1と専用回線や電話回線等の通信回線5を介して接続しており、口座開設者である顧客の口座の金融機関名、店番号、口座番号、口座科目等の口座情報やその暗証番号、口座残高等の顧客情報を保有して顧客の口座を管理する。
【0016】
11は現金自動預払機1のATM制御部であり、通信回線5を介してホストコンピュータ4と接続しており、現金自動預払機1内の各部を制御して顧客との通常の自動取引処理等を単独で実行する機能、および事務処理端末2と連係して所定の窓口取引における窓口取引処理を実行する機能を有している。
12はATM記憶部であり、ATM制御部11が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよびATM制御部11による処理結果等が格納される。
【0017】
13は操作表示部であり、現金自動預払機1の待合ロビー側に設けられ、LCD等の表示画面とタッチパネル等の入力手段との組合せで構成されており、表示画面に取引選択画面や各種の入力画面、顧客の処置を促す画面等を表示する他、入力手段により顧客からの入力を受付ける。
14はカード取扱部であり、挿入された顧客のキャッシュカードやクレジットカード等の取引カードの磁気ストライプやICチップ等に記録されている顧客の口座情報等の取引カード情報を読み書きすると共に、明細票等に取引内容等を印刷する機能等を有している。
【0018】
15は通帳取扱部であり、挿入された顧客の通帳の磁気ストライプやICチップ等に記録されている通帳情報を読み書きする機能を有すると共に、取引内容等を顧客の通帳に記帳する機能を有している。
16は紙幣取扱部であり、入金取引時等に顧客が投入した紙幣を受入れ、これを鑑別および計数して収納庫に収納し、出金取引時等に収納庫から顧客に支払う紙幣を繰出し、これを計数して顧客に引渡す機能を有している。
【0019】
17は硬貨取扱部であり、入金取引時等に顧客が投入した硬貨を受入れ、これを鑑別および計数して収納庫に収納し、出金取引時等に収納庫から顧客に支払う硬貨を繰出し、これを計数して顧客に引渡す機能を有している。
【0020】
18は応対者検知部であり、行員等の有資格者や顧客の操作等を介助する介助者としてのパートタイマの行員(パート行員という。)等の応対者が所持する応対者カードの応対者識別子としての応対者ID等の応対者カード情報が記録されたICチップ等と、RFID(Radio Frequency Identification)技術を用いて無線で交信する機能を有しており、自動取引システムの近接エリアに存在する応対者カードを検知して応対者を検知すると共に、応対者カードに記録された応対者カード情報を読み書きする機能等を有している。
【0021】
本実施例の近接エリアは、行員が事務処理端末2を着座または立位で操作する操作位置と、パート行員が現金自動預払機1を操作する顧客を立位で介助する介助位置からなる応対位置を限度とするエリアに設定されており、事務処理端末2を担当する行員または現金自動預払機1の顧客を介助するパート行員以外の行員およびパート行員が自動取引システムの周囲を通行した際の誤検知を防止するように構成されている。
【0022】
21は事務処理端末2の端末制御部であり、現金自動預払機1からの指令によって、事務処理端末2内の各部を制御して、現金自動預払機1との連係による窓口取引処理を実行する。
22は端末記憶部であり、端末制御部21が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび端末制御部21による処理結果等が格納される。
【0023】
23は表示入力部であり、LCD等の表示画面とタッチパネル等の入力手段との組合せで構成されており、現金自動預払機1に表示された取引画面と同じ取引画面や、行員等による入力画面等を表示する他、入力手段により行員等からの入力を受付ける。
本実施例の事務処理端末2は、表示入力部23の表示画面を、現金自動預払機1の操作表示部13の表示画面の反対側に向けて設置され、これを操作する行員は、ロビーの顧客に対面するように着席等する。
【0024】
24は顧客認証データ入力手段としてのテンキーパッドであり、テンキーや「確認」キー等の各種の入力キーを備えており、顧客による暗証番号の入力や意思確認入力(「確認」キーの押下等)を受付ける機能を有している。
25は証明書リーダであり、運転免許証等のカードサイズの本人確認書類の画像を読取るスキャナ等を備えている。
【0025】
上記の現金自動預払機1のATM記憶部12には、顧客が選択した取引の入力を受付け、これを基にホストコンピュータ4と交信して顧客との自動取引処理を単独で行う機能等を有する通常の取引処理プログラムと、所定の窓口取引(税公金の納金等)を事務処理端末2と連係して行う機能を有するアプリケーションプログラム等からなる取引処理実行プログラムが予め格納されており、ATM制御部11が実行する取引処理実行プログラムのステップにより本実施例の現金自動預払機1の各機能手段が形成される。
【0026】
また、ATM記憶部12には、事務処理端末2との連係処理による所定の窓口取引に用いる取引画面の表示データが予め設定されて格納される他、証明書リーダ25で読取った本人確認書類の画像データに、取引日時、取引種別、担当した応対者名等を付した証明書データを格納する証明書データ格納エリアが予め確保されている。
更に、ATM記憶部12には、応対者の応対者IDに対応させてその応対者に許可された窓口業務の業務ランク、応対者の氏名等からなる応対者情報を格納したランクテーブルが予め設定されて格納されている。
【0027】
本実施例の自動取引システムによる窓口業務においては、応対者の業務ランクに応じて許可された窓口業務の種別が異なっており、業務ランクがパート行員等の介助者の場合は、現金自動預払機1を用いた通常の取引(入出金、振込等)における入力等の介助業務が許可され、業務ランクが行員等の有資格者の場合は、前記の介助業務に加えて、税公金の納金業務、本人確認書類の読取等の本人確認業務が許可されている。
【0028】
ホストコンピュータ4には、現金自動預払機1と交信して本人認証や顧客の口座の入出金を管理する機能等を有する通常の勘定方管理プログラムが予めインストールされており、ホストコンピュータ4が実行する勘定方管理プログラムのステップにより本実施例のホストコンピュータ4の各機能手段が形成される。
【0029】
事務処理端末2の端末記憶部22には、現金自動預払機1との連係処理において、現金自動預払機1がその操作表示部13に表示した取引画面と同じ取引画面を表示入力部23に表示する機能、表示入力部23に表示した取引画面からの行員による入力を受付けて現金自動預払機1へ送信する機能、所定の窓口取引における行員による入力画面を表示する機能、証明書リーダ25で読取った本人確認書類の証明書データを現金自動預払機1へ送信する機能、テンキーパッド24から入力された暗証番号等の顧客認証データを現金自動預払機1へ送信する機能等を有する事務処理実行プログラムが予め格納されており、端末制御部21が実行する事務処理実行プログラムのステップにより本実施例の事務処理端末2の各機能手段が形成される。
【0030】
なお、本実施例の連係処理においては、顧客の暗証番号等の顧客認証データの漏洩を防止するために、現金自動預払機1の表示画面に顧客認証データ入力画面としての暗証番号入力画面を表示した場合に限り、事務処理端末2の表示画面には、その暗証番号入力画面は非表示とされ、背景画面等(例えば、暗証番号の入力中であることを認識することができる画面)のみが表示される。
【0031】
以下に、図3に示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って本実施例の現金自動預払機1と事務処理端末2との連係処理について説明する。
顧客が金融機関の店舗を訪れてロビー担当者に来店目的を告げると、ロビー担当者はその目的に応じて、応対窓口、ATMコーナ、自動取引システムのいずれかを選択して顧客を誘導する。
なお、顧客の来店目的が、税公金の納金等の所定の窓口取引の場合は、ロビー担当者は、有資格者である行員に連絡を行った後に自動取引システムへ顧客を誘導する。
【0032】
S1:現金自動預払機1のATM制御部11は、取引処理実行プログラムが起動すると、現金自動預払機1による取引モードを無人モードに設定する。
この無人モードは、現金自動預払機1が単独で取引処理を実行するモードであって、無入力の状態で取引画面の表示を継続する最大時間として設定されたタイムアウト時間(例えば、30秒)の経過後に取引処理を強制終了させるタイムアウト機能および応対者検知部18による応対者検知機能、操作表示部13の表示機能、入力受付機能が「有効」に設定され、事務処理端末2との接続機能は「無効(オフ)」に設定され、カード取扱部14、通帳取扱部15、紙幣取扱部16、硬貨取扱部17はアイドル状態に設定される。
このときの、事務処理端末2の各部は、電源が投入された後のアイドル状態になっている。
【0033】
S2:取引モードを無人モードに設定したATM制御部11は、その操作表示部13の表示画面に通常の取引選択画面を表示して待機する。
通常の取引選択画面には、取引種別の選択を促す旨の文言と出金取引のための「お引き出し」ボタン、入金取引のための「お預け入れ」ボタン、振込取引のための「お振り込み」ボタン、口座残高を照会する残高照会取引のための「残高照会」ボタン、通帳に未記入の取引データを記帳する通帳記帳取引のための「通帳記帳」ボタン等の取引を選択するための取引選択ボタンが表示される。
【0034】
S3:ATM制御部11は、応対者検知部18によって、自動取引システムの近接エリアのみに達する電波を送信しながら、応対者カードのICチップからの応答を待って待機しており、応対者カードからの応答を受信したときは、有人モードによる取引と判定してステップS6へ移行する。応対者カードからの応答を受信しない場合は、ステップS4へ移行する。
なお、有人モードは、事務処理端末2の操作を担当する行員、または現金自動預払機1の顧客を介助するパート行員が近接エリアに存在することを条件に設定される取引モードのことをいう。
【0035】
S4、ATM制御部11は、操作表示部13のタッチパネルが、取引選択ボタンの押下を検出するのを待って待機し、取引選択ボタンの押下を検出したときにステップS5へ移行する。
S5:取引選択ボタンの押下を検出したATM制御部11は、タッチパネルからの出力信号等により取引種別を認識し、認識した取引種別に応じた取引処理を実行する。この場合の取引処理の処理動作は通常の場合と同様であるのでその説明を省略する。
【0036】
そして、ATM制御部11は、当該取引処理の終了後にステップS1へ戻り、現金自動預払機1の取引モードを無人モードに切替え、取引選択画面を表示して待機する(ステップS2)。
このように、本実施例の自動取引システムでは、パート行員が、現金自動預払機1による取引に苦手意識を持つ高齢者等の顧客の介助のために付添っていない場合や、行員が着席等していない場合は、自動的に無人モードによる取引モードに設定され、顧客は、通常の現金自動預払機1と同様の操作によって現金自動預払機1を用いた取引を行うことが可能になる。
【0037】
S6:一方、ステップS3において、取引モードを有人モードに切替えたATM制御部11は、タイムアウト機能を「無効」つまりタイムアウト時間を無限大に設定する。このように設定するのは、パート行員による介助業務や行員による税公金の納金業務においては、操作方法の説明や注意事項の説明等に時間を要する場合があり、タイムアウト機能が有効になっていると、却って顧客応対の妨げになるからである。
【0038】
S7:タイムアウト機能を「無効」に設定したATM制御部11は、応対者検知部18によって、応対者の応対者カードに記録されている応対者カード情報を読取り、その応対者カード情報の応対者IDを基に、ATM記憶部12のランクテーブルから当該応対者IDの応対者情報(業務ランクと応対者氏名等)を読出し、読出した業務ランクが有資格者である行員の場合は、ステップS8へ移行する。
【0039】
読出した業務ランクが介助者であるパート行員の場合は、ステップS4へ移行して、パート行員が顧客の操作等を介助しながら現金自動預払機1による通常の自動取引を行う単独モードによる取引処理を実行する。このとき、現金自動預払機1のタイムアウト機能は「無効」になっており、パート行員はタイムアウト時間の経過に煩わされることなく、顧客の介助を行うことができる。
なお、取引選択ボタンの押下前に、応対者検知部18が、行員およびパート行員の両方の応対者カードからの応答を受信した場合は、上位の応対者である行員の応対者カードから応対者カード情報を読取って前記した処理動作を行う。
【0040】
S8:応対者を行員と判定したATM制御部11は、事務処理端末2との接続機能を「有効(オン)」にし、事務処理端末2との交信を可能にして、取引モードを事務処理端末2との連係による連係モードに設定し、これによる取引処理を開始する。
このとき、事務処理端末2の端末制御部21は、現金自動預払機1との交信が可能になったことによって、連係モードによる取引処理の開始を認識し、事務処理端末2の各部のアイドル状態を解除する。これにより、表示入力部23、テンキーパッド24、証明書リーダ25によるデータの入力等が可能になる。
【0041】
S9:連係モードによる取引処理を開始したATM制御部11は、読出した応対者情報の業務ランクに応じた連係取引選択画面を操作表示部13の表示画面に表示すると共に、その表示データを事務処理端末2へ送信する。これを受信した端末制御部21は、その表示データに基づいた連係取引選択画面を表示入力部23の表示画面に表示する。
連係取引選択画面には、上記した通常の取引選択画面の取引選択ボタンに加えて、税公金取引のための「税公金お取引」ボタン等の所定の窓口取引を選択するための取引選択ボタンが表示される。
【0042】
そして、顧客が、連係取引選択画面から「税公金お取引」ボタンを押下して窓口取引種別を選択すると、ATM制御部11は、その選択結果を端末制御部21へ送信し、選択された窓口取引種別に応じた取引処理を実行する。
以下、同様にして、現金自動預払機1が表示した取引画面の表示データ、およびその選択結果や入力結果は端末制御部21へ送信され、端末制御部21は、これらを表示入力部23の表示画面に表示し、行員等の有資格者は窓口取引における顧客の操作を事務処理端末2上で認識することができる。
【0043】
例えば、顧客が、「税公金お取引」の取引選択ボタンを押下した場合は、ATM制御部11は、操作表示部13の表示画面に納金方法選択画面を表示し、顧客は、取引カードまたは現金による納金を選択する。
取引カードによる納金が選択された場合、ATM制御部11は、カード取扱部14への取引カードの挿入を促すカード挿入画面を表示し、顧客がカード取扱部14へ取引カードを挿入すると、その取引カード情報を読取る。
【0044】
取引カード情報を読取ったATM制御部11は、事務処理端末2のテンキーパッド24による暗証番号の入力を促す暗証番号入力画面を表示し、これを事務処理端末2の表示入力部23の表示画面で認識した行員は、顧客にテンキーパッド24を提供する。
そして、顧客がテンキーパッド24によって暗証番号を入力し「確認」キーを押下すると、端末制御部21は、入力された暗証番号をATM制御部11へ送信し、ATM制御部11はこれをホストコンピュータ4へ送信して顧客認証結果を取得する。
【0045】
顧客が認証されると、ATM制御部11は、納金情報入力画面を表示し、顧客は、持参した納金通知書を参照して納金金額、振込先、依頼人(顧客)の電話番号等の納金情報を入力して「確認」ボタンを押下する。
納金情報の入力確定を認識したATM制御部11は、納金情報および取引カード情報を基にホストコンピュータ4と交信し、取引が成立するとカード取扱部14から取引内容を印刷した明細票と取引カードを排出し、顧客の受取りを確認して当該窓口取引処理を終了させ、ステップS1へ戻って、現金自動預払機1の取引モードを無人モードに切替え、ステップS2において取引選択画面を表示して待機する。
【0046】
そして、顧客が、発行された明細票を行員に提出すると、行員はその入金金額と納金通知書の納金金額の一致を確認し、納金通知書の領収証書に取扱日付印を押印して顧客に返却する。これにより取引カードを用いた納金による窓口取引が終了する。
【0047】
一方、現金による納金が選択された場合、行員は、納金通知書の納金金額を確認して納金金額が10万円を超える場合は、顧客に運転免許証等の本人確認書類の証明書リーダ25への挿入を依頼し、顧客が本人確認書類を証明書リーダ25へ挿入すると、端末制御部21は、証明書リーダ25によって本人確認書類の画像を読取り、その画像データをATM制御部11へ送信し、ATM制御部11は、受信した画像データに応対者情報の応対者氏名、取引日時、取引種別等を付して証明書データを生成し、これをATM記憶部12の証明書データ格納エリアに格納する。
【0048】
そして、納金金額が10万円以下の場合または証明書データの格納を終えたATM制御部11は、納金情報入力画面を表示し、顧客は、前記と同様にして納金情報を入力して「確認」ボタンを押下する。
【0049】
納金情報の入力確定を認識したATM制御部11は、紙幣取扱部16および硬貨取扱部17の各投入口を開放し、顧客が納金金額に相当する紙幣および/もしくは硬貨を投入すると、ATM制御部11は、投入された紙幣および/もしくは硬貨を計数して投入金額の合計金額を算出し、算出した合計金額を表示した投入金額確認画面を操作表示部13の表示画面に表示し、顧客が「確認」ボタンを押下すると、入力された納金情報を基にホストコンピュータ4と交信し、取引が成立するとカード取扱部14から取引内容を印刷した明細票を排出し、顧客の受取りを確認して当該窓口取引処理を終了させ、ステップS1へ戻って、現金自動預払機1の取引モードを無人モードに切替え、ステップS2において取引選択画面を表示して待機する。
【0050】
そして、顧客が、発行された明細票を行員に提出すると、行員は、前記と同様にして納金通知書の領収証書に取扱日付印を押印して顧客に返却する。これにより現金を用いた納金による窓口取引が終了する。
上記した連係モードによる窓口取引において、顧客が操作等に迷った場合は、行員は適切な助言または表示入力部23からの入力の代行等を行って、当該窓口取引を円滑に進めるようにする。
【0051】
なお、連係取引選択画面から顧客が通常の取引種別(入金取引等)を選択した場合は、行員は、事務処理端末2の表示入力部23に表示された取引画面によって顧客による取引段階を認識しながら取引を実行し、顧客が操作等に迷った場合は、適切な助言または表示入力部23からの入力の代行等を行って当該取引を円滑に進めるようにする。
【0052】
また、介助者が付き添った単独モードによる通常取引の実行中(ステップS5)や事務処理端末2との連係モードによる窓口取引等の実行中(ステップS10)に、応対者検知部18が応対者カードを検知しなくなった場合は、ATM制御部11は、実行中の取引を最後まで実行した後に、実行した取引処理を終了させ、ステップS1へ戻って、現金自動預払機1の取引モードを無人モードに切替え、ステップS2において取引選択画面を表示して待機する。
【0053】
上記のように、本実施例の連係モードによる窓口取引においては、顧客が操作等に迷った場合は、行員は適切な助言または表示入力部23からの入力の代行等を行うことができ、所定の窓口取引を円滑に進めることができる。
【0054】
また、連係モードによる窓口取引においては、現金自動預払機1を用いて顧客が納金金額等を入力するので、出金伝票や登録印の押印を省略することができ、所定の窓口取引における伝票レス、印鑑レスを実現して、所定の窓口取引における業務効率を向上させることができると共に、高齢者等の顧客が応対窓口に集中する場合であっても、繁忙日における応対窓口の混雑を緩和することができる。
【0055】
更に、連係モードによる窓口取引においては、現金自動預払機1を用いて、顧客が自身で現金の入出金を行うので、行員やパート行員が直接現金に触れることがなくなり、現金の取扱いにおける厳格化を図ることができる。
【0056】
本実施例の自動取引システムに用いる現金自動預払機1は、単独での通常の自動取引処理が可能であるので、所定の窓口取引を行うことが少ない日等には、ATMコーナの現金自動預払機1に、本システムの現金自動預払機1を加えて運用することができ、現金自動預払機1を用いた自動取引における混雑を緩和することができる。
【0057】
本実施例の自動取引システムでは、現金自動預払機1の応対者検知部18が応対者カードを検知して応対者の存在を認識した場合に、現金自動預払機1のタイムアウト設定を自動的に無効にするので、応対を行う行員またはパート行員は、タイムアウト時間の経過に煩わされることなく、取引を円滑に行うことができる。
【0058】
また、本実施例の自動取引システムでは、応対者カードから読取った応対者カード情報を基に当該応対者の業務ランクを認識し、その業務ランクに応じて有人モードにおける運用形態を行員による事務処理端末2との連係モード、または現金自動預払機1のみを用いたパート行員の介助を伴う単独モードに自動的に切替えるので、操作権限のないパート行員が、税公金の納金業務等を行うことを防止しながら、顧客と対面で取引を行う窓口形式による運用形態、待合ロビー側で顧客と並んで取引を行う介助形式による運用形態、現金自動預払機1として顧客だけで取引を行う単独形式の運用形態に柔軟かつ自動的に対応することができる。
【0059】
なお、本実施例では、応対者検知部18は、RFID技術を用いて応対者を検知するとして説明したが、カメラで撮影した顔画像によって、行員またはパート行員を識別する検知部であってもよい。
また、応対者検知部18は、近接センサや赤外線センサ、ロードセル等を用いて近接エリアに存在する人を検知し、事務処理端末2に設けたカードリーダにより応対者カードの磁気ストライプ等に記録されている応対者カード情報を読取って当該応対者の業務ランクを認識するようにしてもよい。
【0060】
以上説明したように、本実施例では、現金自動預払機と事務処理端末とを接続した自動取引システムにおいて、現金自動預払機が、応対者検知部によって応対者を検知したときに、現金自動預払機のタイムアウト設定を無効にすると共に、事務処理端末に現金自動預払機に表示した取引画面を表示し事務処理端末による入力を可能にするようにしたことによって、応対を行う行員またはパート行員は、タイムアウト時間の経過に煩わされることなく、取引を円滑に行うことができる他、伝票や登録印の押印を省略して窓口取引における業務効率を向上させることができると共に、運用形態を自動的に切替えて、応対窓口の窓口端末による窓口取引、および現金自動預払機による自動取引における混雑を緩和することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 現金自動預払機
2 事務処理端末
4 ホストコンピュータ
5 通信回線
11 ATM制御部
12 ATM記憶部
13 操作表示部
14 カード取扱部
15 通帳取扱部
16 紙幣取扱部
17 硬貨取扱部
18 応対者検知部
21 端末制御部
22 端末記憶部
23 表示入力部
24 テンキーパッド
25 証明書リーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
応対者の存在を検知する応対者検知部を有し、顧客との取引を自動で行う自動取引装置と、応対者が操作する事務処理端末とを接続した自動取引システムにおいて、
前記自動取引装置が、前記応対者検知部によって応対者を検知したときに、前記自動取引装置のタイムアウト設定を無効にすると共に、前記事務処理端末に前記自動取引装置に表示した取引画面を表示し、前記事務処理端末による入力を可能にすることを特徴とする自動取引システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引システムにおいて、
前記応対者は、応対者カードを所持する有資格者および介助者であって、
前記応対者検知部が、応対者を検知したときに、前記応対者カードを基に、その所持者が有資格者であるか、介助者であるかを判定し、前記応対者が介助者である場合に、前記事務端末との接続を無効にすることを特徴とする自動取引システム。
【請求項3】
請求項1に記載の自動取引システムにおいて、
前記自動取引装置に表示する取引画面が、顧客認証データ入力画面である場合に、前記事務処理端末の表示画面を非表示にすることを特徴とする自動取引システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の自動取引システムにおいて、
前記応対者検知部は、前記現金自動預払機および前記事務処理端末の近接エリアに存在する応対者を検知することを特徴とする自動取引システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−50829(P2013−50829A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188004(P2011−188004)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】