説明

自動取引装置、自動取引システム、制御装置、および、制御方法

【課題】複数台の自動取引装置に電力を供給する電力供給設備のコストを低減する。
【解決手段】自動取引装置2は、例えば配電盤等の外部電源4から電力が供給される自動取引装置であって、貨幣の計数処理を実行する実行部2aと、外部電源4から電力が供給される他の自動取引装置3における貨幣の計数処理の実行状態を検出し、検出結果に基づいて実行部2aによる貨幣の計数処理の実行タイミングを制御する制御部2bと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、自動取引装置、自動取引システム、制御装置、および、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金融機関等の店舗に設置された自動取引装置(ATM:Automated Teller Machine)は、店舗に設けられた配電盤等の電力供給設備に接続され、この電力供給設備から電力供給を受けている。この電力供給設備の電力供給能力は、例えば、自動取引装置の最大消費電力に基づいて設定されている。
【0003】
なお、自動取引装置の消費電力を低減する技術としては、例えば、自動取引装置に省電力モードを設定するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−123665号公報
【特許文献2】特開2010−146152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、店舗に自動取引装置が複数台設置される場合、これらの自動取引装置に電力を供給する電力供給設備には、各自動取引装置の最大消費電力の総和以上の電力供給能力が求められる。例えば、最大消費電力が900Wの自動取引装置が店舗に3台設置されている場合、電力供給設備には、2700W以上の電力供給能力が求められる。
【0006】
電力供給設備のコストは、電力供給能力が高くなるに従って増大する。例えば、電力供給能力が高くなると、大容量の高額な保護設備が必要となる。このため、店舗に設置される自動取引装置の台数が多くなると、電力供給設備のコストが大幅に増大してしまう。
【0007】
このような点に鑑み、開示の自動取引装置、自動取引システム、制御装置、および、制御方法では、複数台の自動取引装置に電力を供給する電力供給設備のコストを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために以下のような自動取引装置、自動取引システム、制御装置、および、制御方法が提供される。
この自動取引装置は、外部電源から電力が供給される自動取引装置であって、貨幣の計数処理を実行する実行部と、外部電源から電力が供給される他の自動取引装置における貨幣の計数処理の実行状態を検出し、検出結果に基づいて実行部による貨幣の計数処理の実行タイミングを制御する制御部と、を有する。
【0009】
また、この自動取引システムは、電源と、電源から電力が供給される第1および第2の自動取引装置とを含む自動取引システムであって、第2の自動取引装置における貨幣の計数処理の実行状態を検出し、検出結果に基づいて第1の自動取引装置における貨幣の計数処理の実行タイミングを制御する。
【0010】
また、この制御装置は、外部電源から電力が供給される自動取引装置における貨幣の計数処理の実行状態を検出し、検出結果に基づいて、外部電源から電力が供給される他の自動取引装置における貨幣の計数処理の実行タイミングを制御する。
【0011】
また、この制御方法は、貨幣の計数処理を実行する実行部を有し、外部電源から電力が供給される自動取引装置が実行する制御方法であって、外部電源から電力が供給される他の自動取引装置における貨幣の計数処理の実行状態を検出し、検出結果に基づいて実行部による貨幣の計数処理の実行タイミングを制御する。
【発明の効果】
【0012】
開示の自動取引装置、自動取引システム、制御装置、および、制御方法によれば、複数台の自動取引装置に電力を供給する電力供給設備のコストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に係る自動取引システムの一例を示す図である。
【図2】第2の実施の形態に係る自動取引システムの一例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態に係る自動取引装置のハードウェアの一例を示す図である。
【図4】第2の実施の形態に係る自動取引装置の機能の一例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る取引の手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態に係る取引の手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態に係る取引の手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態に係る貨幣の計数処理の実行状態の通知手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係る取引の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る自動取引システムの一例を示す図である。
【0015】
自動取引システム1は、自動取引装置2,3と、外部電源4とを含んでいる。自動取引装置2,3、および、外部電源4は、例えば、金融機関等の店舗に設置されている。自動取引装置2,3は、例えば、取引内容を受け付け、受け付けた取引内容に基づいて貨幣の計数処理や出金処理等の所定の処理を実行する。
【0016】
自動取引装置2,3には、外部電源4から電力が供給される。外部電源4は、例えば、配電盤である。なお、自動取引装置の数は、2台に限定されるものではなく、3台以上であってもよい。
【0017】
自動取引装置2は、実行部2aと制御部2bとを有している。実行部2aは、自動取引装置2が受け付けた取引の内容に基づいて、貨幣の計数処理を実行する。貨幣の計数処理には、紙幣のみの計数処理、硬貨のみの計数処理、および、紙幣と硬貨の両方の計数処理が含まれる。
【0018】
制御部2bは、自動取引装置3における貨幣の計数処理の実行状態を検出し、検出結果に基づいて実行部2aによる貨幣の計数処理の実行タイミングを制御する。例えば、制御部2bは、自動取引装置3において貨幣の計数処理が実行されている場合、実行部2aが貨幣の計数処理を開始しないように制御する。なお、制御部2bは、例えば、自動取引装置2の外部に別の装置として設けるようにしてもよい。
【0019】
次に、自動取引装置2による制御手順について説明する。
まず、実行部2aが貨幣の計数処理を実行しようとすると、制御部2bが、自動取引装置3にアクセスする。そして、制御部2bが、自動取引装置3における貨幣の計数処理の実行状態を検出する。次に、制御部2bが、検出結果に基づいて実行部2aによる貨幣の計数処理の実行タイミングを制御する。
【0020】
このような自動取引装置2によれば、自動取引装置3において貨幣の計数処理が実行されている間、実行部2aが貨幣の計数処理を開始しないように制御することができる。すなわち、自動取引装置2,3において、貨幣の計数処理が同じタイミングで実行されないように制御することができる。
【0021】
ここで、貨幣の計数処理にかかる消費電力は、自動取引装置2,3が実行する他の処理にかかる消費電力と比べて非常に大きい。例えば、通帳やカードの返却処理の際にかかる最大消費電力が370Wであるのに対し、貨幣の計数処理の際にかかる最大消費電力は900Wである。
【0022】
このため、自動取引装置2,3において貨幣の計数処理が同じタイミングで実行されないように制御することで、自動取引装置2,3を含む自動取引装置群のピーク消費電力を大幅に下げることができる。これにより、外部電源4に求められる電力供給能力を大幅に低くすることができ、外部電源4のコストを低減することが可能となる。
【0023】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る自動取引装置について説明する。
図2は、第2の実施の形態に係る自動取引システムの一例を示す図である。
【0024】
自動取引システム10は、金融機関等の店舗11に設置されている自動取引装置12,13,14および配電盤17と、ネットワーク21と、ネットワーク21に接続されたホスト装置22とを含んでいる。
【0025】
配電盤17には、店舗11に設置されている電力供給ライン16から電力が供給される。また、配電盤17は、電力供給コード18を介して各自動取引装置12〜14に電力を供給する。配電盤17は、商用電源とも称される。なお、各自動取引装置12〜14の稼働時の最大消費電力は、例えば900Wであり、最小消費電力は、例えば300Wである。また、店舗11に設置される自動取引装置の台数は、3台に限定されるものではなく、2台、または、4台以上であってもよい。
【0026】
自動取引装置12〜14は、店舗11に設置されているLAN(Local Area Network)15に接続され、互いに通信することが可能である。また、各自動取引装置12〜14は、LAN15およびLAN15に接続されたネットワーク21を介して、ホスト装置22と通信することが可能である。
【0027】
自動取引装置12〜14は、取引内容を受け付け、受け付けた取引内容に基づいた取引処理をホスト装置22に要求する。取引処理には、例えば、払戻、預入、振替、振込、および、残高照会等がある。また、自動取引装置12〜14は、ホスト装置22から取引許可の通知および取引情報を受信すると、受信した取引情報に基づいて、貨幣の計数処理や出金処理等の所定の処理を実行する。
【0028】
ホスト装置22は、利用者の口座等と管理し、各自動取引装置12〜14から要求された取引処理を実行する。また、ホスト装置22は、取引可否の通知および取引情報を、自動取引装置12〜14のうち取引処理の要求のあった自動取引装置に送信する。
【0029】
図3は、第2の実施の形態に係る自動取引装置のハードウェアの一例を示す図である。なお、ここでは、代表して自動取引装置12について説明するが、自動取引装置13,14も自動取引装置12と同様のハードウェアを有している。
【0030】
自動取引装置12は、制御装置100と、制御装置100によって制御される複数の装置とを有している。制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス108を介してメモリ102と複数の周辺機器が接続されている。メモリ102は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。
【0031】
メモリ102は、制御装置100の主記憶装置として使用される。メモリ102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。
【0032】
バス108に接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、入出力インタフェース106、および通信インタフェース107がある。
【0033】
HDD103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD103は、制御装置100の二次記憶装置として使用される。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0034】
グラフィック処理装置104には、ディスプレイ31が接続されている。グラフィック処理装置104は、CPU101からの命令に従って、画像をディスプレイ31の画面に表示させる。ディスプレイ31としては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0035】
入力インタフェース105には、タッチパネル32が接続されている。タッチパネル32は、ディスプレイ31の上面に配置されており、ディスプレイ31に表示された画像は、タッチパネル32を透過し、利用者に視認される。入力インタフェース105は、タッチパネル32から送られてくる信号をCPU101に送信する。
【0036】
入出力インタフェース106には、対人センサ33と、紙幣取扱ユニット34と、硬貨取扱ユニット35と、通帳取扱ユニット36と、カード・レシート取扱ユニット37と、電源ユニット38とが接続されている。
【0037】
入出力インタフェース106は、対人センサ33、紙幣取扱ユニット34、硬貨取扱ユニット35、通帳取扱ユニット36、カード・レシート取扱ユニット37、および、電源ユニット38から送られてくる信号をCPU101に送信する。また、入出力インタフェース106は、CPU101から送られてくる信号を、対人センサ33、紙幣取扱ユニット34、硬貨取扱ユニット35、通帳取扱ユニット36、カード・レシート取扱ユニット37、および、電源ユニット38に送信する。
【0038】
対人センサ33は、自動取引装置12の正面に人が立つと、これを検出して検出信号をCPU101に送信する。紙幣取扱ユニット34は、CPU101からの命令に従って、紙幣の計数、紙幣の搬送、紙幣の出入、および、紙幣の収納等を実行する。硬貨取扱ユニット35は、CPU101からの命令に従って、硬貨の計数、硬貨の搬送、硬貨の出入、および、硬貨の収納等を実行する。
【0039】
通帳取扱ユニット36は、CPU101からの命令に従って、通帳の搬送、通帳の出入、および、通帳への印字等を実行する。カード・レシート取扱ユニット37は、CPU101からの命令に従って、カード情報の読み取り、カードの出入、カードおよびレシートの搬送、レシートの排出、および、レシートへの印字を実行する。
【0040】
電源ユニット38は、電力供給コード18に接続されており、制御装置100、ディスプレイ31、タッチパネル32、対人センサ33、紙幣取扱ユニット34、硬貨取扱ユニット35、通帳取扱ユニット36、および、カード・レシート取扱ユニット37に電源ライン38aを介して電力を供給する。
【0041】
通信インタフェース107は、LAN15に接続されている。通信インタフェース107は、LAN15を介して、他の自動取引装置、コンピュータ、または、通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0042】
なお、紙幣取扱ユニット34、硬貨取扱ユニット35、通帳取扱ユニット36、および、カード・レシート取扱ユニット37は、モータおよびマグネット等によって動作するメカユニットである。
【0043】
また、紙幣取扱ユニット34、硬貨取扱ユニット35、通帳取扱ユニット36、および、カード・レシート取扱ユニット37はそれぞれ、CPU101からの命令に従って、単独で、または、他のメカユニットと並行して動作する。
【0044】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
図4は、第2の実施の形態に係る自動取引装置の機能の一例を示す図である。なお、ここでは、代表して自動取引装置12について説明するが、自動取引装置13,14も自動取引装置12と同様の機能を有している。
【0045】
自動取引装置12は、ホスト装置22に接続された実行部12aと、自動取引装置13,14に接続された制御部12bおよび通知部12dと、フラグ格納部12cとを有している。
【0046】
実行部12aは、ディスプレイ31、タッチパネル32、対人センサ33、紙幣取扱ユニット34、硬貨取扱ユニット35、通帳取扱ユニット36、カード・レシート取扱ユニット37、および、電源ユニット38を制御する。
【0047】
また、実行部12aは、取引内容を受け付け、受け付けた取引内容に基づいた取引処理をホスト装置22に要求する。また、実行部12aは、ホスト装置22から取引許可の通知および取引情報を受信すると、受信した取引情報に基づいて、紙幣取扱ユニット34、硬貨取扱ユニット35、通帳取扱ユニット36、および、カード・レシート取扱ユニット37を用いて所定の処理を実行する。
【0048】
所定の処理には、例えば、貨幣の計数処理、貨幣の出金処理、レシートの排出処理、および、カードまたは通帳の返却処理等がある。なお、貨幣の計数処理には、紙幣のみの計数処理、硬貨のみの計数処理、および、紙幣と硬貨両方の計数処理が含まれる。同様に、貨幣の出金処理には、紙幣のみの出金処理、硬貨のみの出金処理、および、紙幣と硬貨両方の出金処理が含まれる。
【0049】
フラグ格納部12cには、貨幣の計数処理が実行中であることを示す実行フラグが格納される。なお、ここでは、フラグ格納部12cに実行フラグが格納されている状態を、実行フラグが設定されている状態とし、フラグ格納部12cに実行フラグが格納されていない状態を、実行フラグが解除されている状態とする。
【0050】
制御部12bは、自動取引装置13,14に、貨幣の計数処理の実行状態の通知を要求する。また、制御部12bは、フラグ格納部12cに対する実行フラグの格納および削除を行う。
【0051】
通知部12dは、フラグ格納部12cにおける実行フラグの格納状態に基づいて、実行部12aによる貨幣の計数処理の実行状態を判定する。そして、通知部12dは、判定結果を自動取引装置13,14に通知する。
【0052】
次に、自動取引装置12による取引の手順について説明する。
図5〜図7は、第2の実施の形態に係る取引の手順の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、代表して自動取引装置12が実行する処理について説明するが、自動取引装置13,14も自動取引装置12と同様の処理を実行する。
【0053】
[ステップS11]実行部12aが、利用者によって選択された取引種別を受け付ける。取引種別には、例えば、払戻、預入、振替、振込、および、残高照会等がある。
[ステップS12]実行部12aが、利用者によって自動取引装置12に挿入されたカードまたは通帳からカード情報または通帳情報を読み取る。
【0054】
[ステップS13]実行部12aが、利用者によって入力された暗証番号を受け付ける。
[ステップS14]実行部12aが、利用者によって入力された取引金額を受け付ける。なお、このステップは、取引種別によっては省略される。
【0055】
[ステップS15]実行部12aが、受け付けた取引内容に基づく取引処理をホスト装置22に要求する。これに応じて、ホスト装置22が、要求された取引処理を実行し、取引可否の通知および取引情報を実行部12aに送信する。
【0056】
[ステップS16]実行部12aが、ホスト装置22から取引可否の通知および取引情報を受信する。
[ステップS17]実行部12aが、ホスト装置22から受信した取引可否の通知が取引許可の通知であるかどうかを判定する。取引許可の通知である場合、実行部12aは、処理をステップS18に進める。取引許可の通知ではない場合、実行部12aは、処理をステップS29に進める。
【0057】
[ステップS18]制御部12bが、実行部12aによって貨幣の計数処理が実行されるかどうかを判定する。なお、この段階ではまだ、実行部12aによって貨幣の計数処理は実行されていない。
【0058】
例えば、実行部12aは、ホスト装置22から受信した取引情報に基づいて、実行する処理を決定する。制御部12bは、この決定結果に貨幣の計数処理が含まれているかどうかを検出することで、実行部12aによって貨幣の計数処理が実行されるかどうかを、実行部12aが貨幣の計数処理を実際に実行する前に判定することができる。
【0059】
実行部12aによって貨幣の計数処理が実行される場合、制御部12bは、処理をステップS19に進める。実行部12aによって貨幣の計数処理が実行されない場合、制御部12bは、処理をステップS28に進める。
【0060】
[ステップS19]制御部12bが、他の自動取引装置13,14のうち、まだアクセスしていない1つにアクセスする。
[ステップS20]制御部12bが、アクセスした自動取引装置に対して、その自動取引装置における貨幣の計数処理の実行状態の通知を要求する。これにより、アクセスした自動取引装置から、制御部12bに貨幣の計数処理の実行状態が通知される。
【0061】
[ステップS21]制御部12bが、アクセスした自動取引装置から貨幣の計数処理の実行状態を受信する。
[ステップS22]制御部12bが、受信した貨幣の計数処理の実行状態に基づいて、アクセスした自動取引装置において貨幣の計数処理が実行中であるか、または、実行中ではないかを判定する。貨幣の計数処理が実行中である場合、制御部12bは、所定期間待機した後、処理をステップS20に戻す。所定期間は、例えば、2秒間である。なお、貨幣の計数処理にかかる時間は、例えば、10秒間である。貨幣の計数処理が実行中ではない場合、制御部12bは、処理をステップS23に進める。
【0062】
[ステップS23]制御部12bが、他の自動取引装置13,14の全てにアクセスしたかどうかを判定する。全ての自動取引装置にアクセスした場合、制御部12bは、処理をステップS24に進める。アクセスしていない自動取引装置がある場合、制御部12bは、処理をステップS19に戻す。
【0063】
[ステップS24]制御部12bが、フラグ格納部12cに実行フラグを格納する。
[ステップS25]実行部12aが、ホスト装置22から受信した取引情報に基づいて、貨幣の計数処理を実行する。
【0064】
[ステップS26]制御部12bが、フラグ格納部12cから実行フラグを削除する。
[ステップS27]実行部12aが、計数した貨幣の出金処理を実行する。なお、このステップは、取引種別が預入の場合は省略される。
【0065】
[ステップS28]実行部12aが、レシートの排出処理を実行する。
[ステップS29]実行部12aが、カードまたは通帳の返却処理を実行して処理を終了する。
【0066】
次に、自動取引装置12による貨幣の計数処理の実行状態の通知手順について説明する。
図8は、第2の実施の形態に係る貨幣の計数処理の実行状態の通知手順の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、代表して自動取引装置12が実行する処理について説明するが、自動取引装置13,14も自動取引装置12と同様の処理を実行する。
【0067】
図8に示す処理は、例えば、他の自動取引装置13,14から、貨幣の計数処理の実行状態の通知の要求があったときに実行される。
[ステップS41]通知部12dが、フラグ格納部12cにアクセスする。
【0068】
[ステップS42]通知部12dが、フラグ格納部12cに実行フラグが格納されているかどうかを判定する。実行フラグが格納されている場合、通知部12dは、処理をステップS43に進める。実行フラグが格納されていない場合、通知部12dは、処理をステップS44に進める。
【0069】
[ステップS43]通知部12dが、実行部12aによって貨幣の計数処理が実行中であると判定する。
[ステップS44]通知部12dが、実行部12aによって貨幣の計数処理が実行中ではないと判定する。
【0070】
[ステップS45]通知部12dが、貨幣の計数処理の実行状態の通知を要求してきた自動取引装置に、判定結果を通知して処理を終了する。
次に、自動取引装置12〜14うち、2台の自動取引装置において、同じタイミングで払戻の取引が実行された場合の例を説明する。
【0071】
図9は、第2の実施の形態に係る取引の流れの一例を示す図である。図9に示す処理は、自動取引装置14が払戻の取引を実行している間に、自動取引装置12が払戻の取引を受け付けた場合の例である。なお、自動取引装置14は、上述したように自動取引装置12と同様の機能を有しているものとする。
【0072】
[ステップS51]自動取引装置14が、払戻の取引を受け付ける。
[ステップS52]自動取引装置14が、実行フラグを設定する。
[ステップS53]自動取引装置14が、貨幣の計数処理を開始する。
【0073】
[ステップS54]自動取引装置12が、払戻の取引を受け付ける。
[ステップS55]自動取引装置12が、貨幣の計数処理の実行状態の通知を、自動取引装置14に要求する。
【0074】
[ステップS56]自動取引装置14が、実行フラグの設定状態を判定する。このとき、自動取引装置14では実行フラグが設定されているため、自動取引装置14は、貨幣の計数処理を実行中であると判定する。
【0075】
[ステップS57]自動取引装置14が、貨幣の計数処理を実行中であることを自動取引装置12に通知する。
[ステップS58]自動取引装置12が、貨幣の計数処理を実行中であるとの通知を、自動取引装置14から受信する。ここで、自動取引装置12は、貨幣の計数処理を実行せずに、所定期間待機する。所定期間は、例えば、2秒間である。
【0076】
[ステップS59]自動取引装置14が、貨幣の計数処理を終了する。
[ステップS60]自動取引装置14が、実行フラグを解除する。
[ステップS61]自動取引装置12が、ステップS58から所定期間が経過した後、貨幣の計数処理の実行状態の通知を、再度、自動取引装置14に要求する。
【0077】
[ステップS62]自動取引装置14が、実行フラグの設定状態を判定する。このとき、自動取引装置14では実行フラグが解除されているため、自動取引装置14は、貨幣の計数処理を実行中ではないと判定する。
【0078】
[ステップS63]自動取引装置14が、貨幣の計数処理を実行中ではないことを自動取引装置12に通知する。
[ステップS64]自動取引装置12が、貨幣の計数処理を実行中ではないとの通知を、自動取引装置14から受信する。
【0079】
[ステップS65]自動取引装置12が、貨幣の計数処理を開始する。
このように、自動取引システム10によれば、例えば、自動取引装置12〜14の1つが払戻の取引を実行している間に、他の自動取引装置が払戻の取引を受け付けた場合であっても、自動取引装置12〜14の1つと他の自動取引装置とにおいて、貨幣の計数処理が同じタイミングで実行されないように制御することができる。
【0080】
このため、自動取引装置12〜14を含む自動取引装置群のピーク消費電力を大幅に下げることができる。これにより、配電盤17に求められる電力供給能力を大幅に低くすることができ、配電盤17のコストを低減することが可能となる。
【0081】
例えば、配電盤17の電力供給能力は、1台分の自動取引装置の最大消費電力(900W)に、2台分の自動取引装置の最小消費電力(300W)を加えた1500Wに設定することができる。この場合、例えば、100V、15Aの電気系統を1つ用意すればよい。
【0082】
なお、貨幣の計数処理の実行タイミングの制御を行わない場合は、例えば、配電盤17の電力供給能力は、少なくても、各自動取引装置12〜14の最大消費電力(900W)を総和した2700Wに設定される。この場合、例えば、100V、15Aの電気系統を2つ用意する必要がある。
【0083】
また、自動取引装置12〜14では、他の自動取引装置において貨幣の計数処理が実行されている場合、自装置において貨幣の計数処理は開始されないが、その待ち時間は長くても貨幣の計数処理にかかる時間(例えば、10秒間)だけなので、取引に要する時間が大幅に長くなるものではない。
【0084】
そもそも、貨幣の計数処理にかかる時間は、例えば、10秒間と非常に短いため、店舗11に設置されている自動取引装置が3台程度である場合は、貨幣の計数処理の実行タイミングが重なる確率は低い。
【0085】
また、上述した実施の形態では、2台の自動取引装置において貨幣の計数処理が同じタイミングで実行されないように制御しているが、店舗11に多数の自動取引装置が設置されるような場合には、3台以上の所定の台数の自動取引装置において貨幣の計数処理が同じタイミングで実行されないように制御することも可能である。
【0086】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、自動取引装置12〜14が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)/RW(ReWritable)等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)等がある。
【0087】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0088】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0089】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現することもできる。
【符号の説明】
【0090】
1,10 自動取引システム
2,3,12,13,14 自動取引装置
2a,12a 実行部
2b,12b 制御部
4 外部電源
11 店舗
12c フラグ格納部
12d 通知部
15 LAN
16 電力供給ライン
17 配電盤
18 電力供給コード
21 ネットワーク
22 ホスト装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から電力が供給される自動取引装置であって、
貨幣の計数処理を実行する実行部と、
前記外部電源から電力が供給される他の自動取引装置における貨幣の計数処理の実行状態を検出し、検出結果に基づいて前記実行部による貨幣の計数処理の実行タイミングを制御する制御部と、
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記実行部による貨幣の計数処理の実行状態を、前記他の自動取引装置に通知する通知部、
をさらに有することを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
貨幣の計数処理が実行中であることを示す実行フラグを格納するフラグ格納部をさらに有し、
前記通知部は、前記フラグ格納部における実行フラグの格納状態に基づいて、前記実行部による貨幣の計数処理の実行状態を判定し、判定結果を前記他の自動取引装置に通知すること、
を特徴とする請求項2記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記実行部による貨幣の計数処理の実行状態に基づいて、前記フラグ格納部に対する実行フラグの格納および削除を行うこと、
を特徴とする請求項3記載の自動取引装置。
【請求項5】
電源と、前記電源から電力が供給される第1および第2の自動取引装置とを含む自動取引システムであって、
前記第2の自動取引装置における貨幣の計数処理の実行状態を検出し、検出結果に基づいて前記第1の自動取引装置における貨幣の計数処理の実行タイミングを制御する、
ことを特徴とする自動取引システム。
【請求項6】
外部電源から電力が供給される自動取引装置における貨幣の計数処理の実行状態を検出し、検出結果に基づいて、前記外部電源から電力が供給される他の自動取引装置における貨幣の計数処理の実行タイミングを制御する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項7】
貨幣の計数処理を実行する実行部を有し、外部電源から電力が供給される自動取引装置が実行する制御方法であって、
前記外部電源から電力が供給される他の自動取引装置における貨幣の計数処理の実行状態を検出し、
検出結果に基づいて前記実行部による貨幣の計数処理の実行タイミングを制御する、
ことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−114461(P2013−114461A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260201(P2011−260201)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】