自動取引装置、自動取引装置のファン制御方法

【課題】ファンの回転音が目立たないように装置の冷却を行う自動取引装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】取引を行う自動取引装置であって、空気を攪拌するファンと、ファンの回転数を制御する制御部と、取引により生じる取引音を所定値と比較する判別部とを備え、制御部は、判別部による比較の結果、利用者により選択された取引の取引音が所定値よりも大きいと判断された場合に、ファンの回転数を上げるように制御することにより、その他の時間帯にファンの回転数を上げることを抑制し、静寂環境下におけるファンの回転による雑音を周囲の人に意識させないようにする。
【解決手段】取引を行う自動取引装置であって、空気を攪拌するファンと、ファンの回転数を制御する制御部と、取引により生じる取引音を所定値と比較する判別部とを備え、制御部は、判別部による比較の結果、利用者により選択された取引の取引音が所定値よりも大きいと判断された場合に、ファンの回転数を上げるように制御することにより、その他の時間帯にファンの回転数を上げることを抑制し、静寂環境下におけるファンの回転による雑音を周囲の人に意識させないようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内の空気を撹拌するファンを有する自動取引装置及び、その制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の装置として、装置内の温度を一定値以下に抑制するために、筐体内部の温度を検出する温度センサを備え、温度センサが筐体内部の温度の上昇を検知すると、ファンが回転し、筐体内部を冷却する冷却装置がある。従来の冷却装置としては、特開2002−157049号公報(特許文献1)が知られている。
【0003】
また、他の従来の装置として、ヒューズ等を用いて電流値を計測し、計測結果に応じてファンの回転数を変化させる冷却ファン制御装置があり、電流値が低くなる待機時にはファンは低速回転し、電流値が高くなる(消費電流が上がる)動作時にはファンは高速回転する装置がある。従来の冷却ファン制御装置としては、特開平5−201102号公報(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−157049号公報
【特許文献2】特開平5−201102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された冷却装置は、温度をファンの回転契機としているものであり、特許文献2に開示された冷却ファン制御装置は、消費電流が大きいことを契機としてファンを回転させるものであり、静寂な環境下では、ファンの回転音が、周囲の人に不快な印象を与える恐れがある。
【0006】
本発明の目的は、ファンの回転音が目立たないよう装置の冷却を行う自動取引装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。 本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、取引を行う自動取引装置であって、空気を攪拌するファンと、ファンの回転数を制御する制御部と、取引により生じる取引音を所定値と比較する判別部とを備え、前記制御部は、前記判別部による比較の結果、利用者により選択された取引の取引音が前記所定値よりも大きいと判断された場合に、ファンの回転数を上げるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ファンの回転音が目立たないようにして装置の冷却を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ATMの内部構成を示すブロック図
【図2】ATMの外観構成図
【図3】紙幣処理部の構造説明図
【図4】硬貨処理部の構造説明図
【図5】通帳処理部の構造説明図
【図6】カード処理部の構造説明図
【図7】取引音レベルに関する記憶データの説明図
【図8】ファン音レベルに関する記憶データの説明図
【図9】ファン制御判定処理の説明図
【図10】入金処理の説明図
【図11】出金処理の説明図
【図12】通帳記帳処理のフローチャート
【図13】残高照会のフローチャート
【図14】ファン制御判定処理の一実施形態のフローチャート
【図15】ファン制御判定処理の一実施形態のフローチャート
【図16】ファン制御判定処理の一実施形態のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1〜図16を用いて、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、金融機関、交通機関などに設置される自動取引装置として、現金の預入れ、現金の引出し、振込み等の銀行業務サービスを行う自動預金支払機(ATM:Automated Teller Machine)を用いて説明するが、現金自動支払機(CD:Cash Dispenser)、券売機等の処理、取引又はユニットにより装置音が異なる自動取引装置にも同様に適用することができる。
【0011】
図1は、ATM1の内部構成とホストコンピュータ11を示すブロック図であり、図2は、ATM1の概観構成図である。
【0012】
ATM1は、表示/操作部2、紙幣処理部3、硬貨処理部4、通帳処理部5、カード処理部6、判別部7、上部ファン8、下部ファン9、制御部10、筐体12、顧客検知センサ30、集音部31を有する。
【0013】
表示/操作部2は、ディスプレイ、タッチパネル等により構成され、利用者による操作を受付ける入力部と、取引に関する情報(取引情報)、画像等を表示する画面(表示部)を有する。紙幣処理部3は、制御部10の命令に応じて、紙幣17の入金又は出金を行う。硬貨処理部4は、制御部10の命令に応じて、硬貨19の入金又は出金を行う。通帳処理部5は、通帳15の印字又は通帳15の新規発行を行う。カード処理部6は、利用者に挿入されたキャッシュカード等(取引カード13)に記憶されている口座番号等の情報の読み取りを行う。判別部7は、ファンの動作又は回転数の変更の要否を判定する。上部ファン8は、通帳処理部5、カード処理部6等を有する上部ユニットの空気を攪拌し、冷却を行う。下部ファン9は、紙幣処理部3、硬貨処理部4等を有する下部ユニットの空気を撹拌し、冷却を行う。集音部31は、設置された周辺環境の音、装置の動作の音である取引音、ファンの回転音であるファン音等を収集する。制御部10は、ATM1の装置内に搭載されている上部ファン8、下部ファン9、紙幣処理部3、硬貨処理部4、通帳処理部5、カード処理部6、判別部7、その他装置内に実装されているユニットの動作状態を制御する。ホストコンピュータ11は、顧客情報を格納し、ATM1と通信を行う。ATM1の筐体12は、口座番号等の情報が記録された取引カード13が挿入・排出されるカード取引口14Aと、通帳15が挿入・排出される通帳取引口16Aと、紙幣17の投入(入金)・放出(出金)のための紙幣取引口18Aと、硬貨19の投入(入金)・放出(出金)のための硬貨取引口20Aと、ディスプレイ等に表示されるガイダンスに基づいて利用者が操作等を行う表示/操作部2と、通帳処理部5、カード処理部6等の冷却を行う上部ファン8と、紙幣処理部3、硬貨処理部4等の冷却を行う下部ファン9と、装置前面に利用者が接近したことを検知する顧客検知センサ30とを有する。
【0014】
なお、図1にて、判別部7は、制御部10と分離して記載しているが、制御部10が、判別部7の処理を実施する構成であってもよい。また、サーバ等の上位装置(例えば、ホストコンピュータ11)に同様の構成を採用し、上位装置側でATM1を制御する形態であってもよい。
【0015】
次に、各ユニットについて説明する。
【0016】
図3は、ATM1に搭載される紙幣処理部3の概略構造図である。紙幣処理部3は、紙幣17の投入(入金)・放出(出金)のための紙幣取引口18Bと、入金された紙幣17又は出金するための紙幣17を収納する紙幣格納庫23を備えている。紙幣取引口18Bと紙幣格納庫23は、搬送ベルト等で構成される紙幣搬送路27で結ばれており、紙幣17が移動する際には図示しない紙幣搬送用モータが動作し、紙幣17を搬送する。また、紙幣処理部3は、紙幣取引口18Bの紙幣17の有無を検知する紙幣取引口センサ21、紙幣格納庫23の出入口近傍の搬送路の紙幣17の有無を検知する紙幣搬送路センサ24、紙幣格納庫23内の紙幣17を検知する紙幣格納庫センサ32を有する。
【0017】
紙幣取引口センサ21は、利用者による紙幣取引口18Bへの紙幣17の投入、紙幣取引口18Bから紙幣格納庫23へ紙幣17の収納、利用者による紙幣取引口18Bからの紙幣17の抜き出し、又は紙幣格納庫23から紙幣取引口18Bへの紙幣17の放出を検知する。紙幣搬送路センサ24は、紙幣格納庫23への紙幣17の収納、紙幣格納庫23からの紙幣17の繰り出しを検知する。紙幣格納庫センサ32は、紙幣格納庫23に紙幣17が保持されたことを検知する。
【0018】
図4は、ATM1に搭載される硬貨処理部4の概略構造図である。硬貨処理部4は、硬貨19の投入(入金)・放出(出金)のための硬貨取引口20Bと、入金された硬貨19又は出金するための硬貨19を収納する硬貨格納庫401を備えている。硬貨取引口20Bと硬貨格納庫401は、搬送ベルト等で構成される硬貨搬送路402で結ばれており、硬貨19が移動する際には図示しない硬貨搬送用モータが動作し、硬貨19を搬送する。また、硬貨処理部4は、硬貨取引口20Bの硬貨19の有無を検知する硬貨取引口センサ404、硬貨格納庫401の出入口近傍の硬貨搬送路402の硬貨19の有無を検知する硬貨搬送路センサ405、硬貨格納庫401内の硬貨19を検知する硬貨格納庫センサ406を有する。
【0019】
硬貨取引口センサ404は、利用者による硬貨取引口20Bへの硬貨19の投入、硬貨取引口20Bから硬貨格納庫401へ硬貨19の収納、利用者による硬貨取引口20Bからの硬貨19の抜き出し、又は硬貨格納庫401から硬貨取引口20Bへの硬貨19の放出を検知する。硬貨搬送路センサ405は、硬貨格納庫401への硬貨19の収納又は硬貨格納庫401からの硬貨19の繰り出しを検知する。硬貨格納庫センサ405は、硬貨格納庫401に硬貨19が保持されたことを検知する。
【0020】
図5は、ATM1に搭載される通帳処理部5の概略構造図である。通帳処理部5の通帳印字部501は、通帳15への印字を行う。通帳取引口16Bと通帳印字部501とは、ローラ等で構成される通帳15を搬送する通帳搬送路502で結ばれており、通帳15が移動する際には、図示しない通帳搬送用モータが動作し、通帳15を搬送する。通帳処理部5は、通帳15の有無を検知する通帳取引口センサ503を備えている。なお、新規発行される通帳15は、図示しない通帳保留部に保持されている。
【0021】
図6は、ATM1に搭載されるカード処理部6の概略構造図である。カード処理部6のデータ取得部601は、カードデータを読み取る。カード取引口14Bとデータ取得部601とは、ローラ等で構成される取引カード13を搬送するカード搬送路602で結ばれており、取引カード13が移動する際には、図示しないカード搬送用モータが動作し、取引カード13を搬送する。カード処理部6は、取引カード13のカード処理部6内の有無を検知するカード取引口センサ603を備えている。
【0022】
続いて、判別部7の詳細について説明する。
【0023】
図7、図8は、判別部7が記憶する各取引種類に対する音の大きさのレベル(取引音レベル)、上部ファン8、下部ファン9の音の大きさのレベル(ファン音レベル)を示す。取引音レベルは、各取引における音の大きさを示し、ファン音レベルは、ファンの回転に基づく音の大きさを示し、それぞれ数値が大きいほど音が大きいことを示している。なお、取引音としては、例えば、媒体が搬送される場合には、モータ、ベルト、ギヤ、シャフト、ベアリング等の部品の動作音、金属同士の摩擦、モータの回転等による動作音、媒体の計数や、搬送、分離、繰出し処理などに伴う媒体処理音等がある。
【0024】
まず、図7の取引音レベルの情報について説明する。一般に、紙幣、硬貨などの貨幣を分離・集積・搬送を行う紙幣処理部3、硬貨処理部4が動作する取引の場合は、大きな音を生じる。このため、図7の入金、出金、振込みなどの取引種類では、取引音レベルとして、紙幣処理部3、硬貨処理部4などが媒体(紙幣、硬貨)を搬送、集積、繰り出しする際に、比較的大きな音(レベル5)を発することを記憶している。また、通帳記帳、通帳発行、利用明細書発行等の取引種類では、取引音レベルとして、通帳処理部、図示しない明細書発行処理部などが、音(レベル4)を発することを記憶している。さらに、残高照会、電子振込み、振替え、暗証番号変更等の取引では、カード処理部6が、利用者の認証のために取引カード13を搬送する程度の小さな音を生じる。このため、図7の残高照会、電子振込み、振替え、暗証番号変更等の取引種類では、比較的小さい音を発することを記憶している(レベル1)。また、取引音分類は、取引音レベルが所定値以上(図7の場合は、所定値は3)の第一の取引、所定値以下の第二の取引とに分類して記憶している。
【0025】
続いて、図8のファン音の情報について説明する。判別部7は、各ファンの基準となる音の大きさ(例えば、取引きのない状態、待機状態でのファン音)である基準ファン音レベルを記憶している。図8では、上部ファン8は、レベル2を、下部ファン9は、レベル3を基準ファン音レベルとして記憶している。また、回転数に応じて、上部ファン8は、上部ファン音レベル1〜4に変動することを、下部ファン9は、下部ファン音レベル2〜5に変動することを示す。また、稼動ファン音レベルは、上部ファン8、下部ファン9の現在の回転数に応じたファン音レベルを示すものである。図8では、上部ファン8は、レベル2のファン音を発する回転数で回転し、下部ファン9は、レベル3のファン音を発する回転数で回転していることを示す。
【0026】
図16は、判別部7によるファン制御判定処理の第一の実施形態を示すフローチャートである。判別部7は、取引開始か否かを判定する(ステップS901)。取引開始である場合(S901:Y)、判別部7は、表示/操作部2から利用者により選択された取引が、図7の第一の取引か第二の取引かを判断する(S1601)。制御部10は、判別部7の判断が第一の取引であった場合(S1601:Y)、ファンの回転数を上げる(S903)。一方、制御部10は、判別部7の判断が第二の取引であった場合(S1601:N)ファンの回転数を下げる又は維持する(S904)。
【0027】
取引開始でない場合(S901:N)、取引終了か否かを判断し(S905)、取引終了である場合(S905:Y)、判別部7は、実施していた取引が、第一の取引か第二の取引かを判断し(S1602)、第一の取引の場合(S1602:Y)、制御部10は、ファンの回転数を下げる(S907)。一方、第二の取引の場合(S1602:N)、制御部10は、ファンの回転数を上げる又は維持する(S908)。
【0028】
以上のように、取引音レベルが一定値以上の第一の取引を利用者により選択された場合に、装置が取引を行っていない状態(例えば、待機状態等)よりもファンの回転数を上昇させることにより、媒体処理部が雑音を伴う媒体の搬送等をしている際に、温度を下げることができる。これにより、消費電力に基づきファンの回転数を調整する場合よりも、ファンの回転による雑音を周囲の人に意識させないようにすることができる。特に、紙幣、硬貨等の貨幣媒体を扱う処理は、消費電力が小さくても取引音が大きくなることがあり、本実施形態は有効となる。
【0029】
なお、第一の取引としては、紙幣又は硬貨などの貨幣の媒体搬送処理を含み、第一の取引よりも取引音が小さい第二の取引としては、残高照会、電子振込み、振替、又は暗証番号変更などを含むこととするとよい。言い換えると、第一の取引として貨幣の搬送処理を含み、第二の取引として、第一の取引と比較して取引音が小さいものとすることで、ファンの回転による雑音を周囲の人に意識させないようにすることができる。
【0030】
また、第一の取引と第二の取引は、図7に示すように取引音の大きさに基づき判断する他に、紙幣や硬貨などの貨幣を扱う処理、特に複数の媒体を搬送する処理では雑音が大きく、媒体を扱う時間が長いのでこれらの処理を行う取引を第一の取引とし、取引カードの搬送はあるものの、取引中の多くの時間が電子処理により行われる残高照会、振込み、振替、暗証番号変更を第二の取引としてもよい。すなわち、媒体を処理する媒体処理時間の長さ、又は取引全体に占める媒体処理時間の割合に基づき、所定値又は第二の取引と比較し、媒体処理時間が長い又は媒体処理時間の一取引に占める割合が大きい取引を第一の取引とし、第一の取引又は所定値と比較し、媒体処理時間が短い又は媒体処理時間の一取引に占める割合が小さい取引を第二の取引と分類してもよい。
【0031】
図9は、判別部7によるファン制御判定処理の第二の実施形態を示すフローチャートである。判別部7は、取引開始か否かを判定する(S901)。取引開始である場合(S901:Y)は、取引音レベルと、基準ファン音レベルとを比較し(S902)、取引音が大きい場合に、ファンの回転数を上げることが必要と判断し(S902:Y)、制御部10は、判別部7の判定に従い、ファンの回転数を上げる(S903)。この回転数を上げた際のファン音レベルが、取引中の稼動ファン音レベルになる。一方、取引音が小さい場合に、ファンの回転数を下げる又は維持することが必要と判断し(S902:N)、制御部10は、判別部7の判定に従い、ファンの回転数を下げる又は維持する(S904)。この回転数を下げた際のファン音レベルを、取引中の稼動ファン音レベルとして記憶する。
【0032】
例えば、図7、図8の状態を用いて説明すると、ATM1が入金、出金、振込み、通帳記帳、通帳発行、利用明細書発行等を行う場合、判別部7は、これらの取引音レベルは、5又は4であり、上部ファン8、下部ファン9の基準ファン音レベルは、2又は3であることから、上部ファン8、下部ファン9の稼動ファン音レベルが、取引音レベルになるまで回転数を上げる。取引音レベルが高い場合にファンの回転数を上げることにより、上部ファン8、下部ファン9を、静寂環境下(取引音の少ない時間帯など)で動作させる時間、回数を抑制することが可能となる。なお、上部ファン8の最大ファン音レベルは4であるため、取引音レベルが5の取引の場合であっても、上部ファン8は、ファン音レベル4の回転数までしか上昇させることはできない。
【0033】
また、ATM1が、残高照会、電子振込み、振替え、暗証番号変更等を行う場合、判別部7は、これらの取引音レベルは、1であり、上部ファン8、下部ファン9の基準ファン音レベルは、2又は3であることから、上部ファン8、下部ファン9の稼動ファン音レベルが、取引音レベルになるまで回転数を下げる。なお、他の温度条件等を考慮してファンの回転数を維持してもよい。上部ファン8、下部ファン9の回転数を下げることにより、装置を利用しているエンドユーザに対するファン音による騒音を抑止することが可能となる。
【0034】
一方、図9のステップS901において判別部7が、取引開始か否かを判定し、取引開始が否である場合(S901:N)は、続いて取引終了か否かを判定する(S905)。取引終了である場合(S905:Y)は、基準ファン音レベルと稼動ファン音レベルとを比較し(S906)、稼動ファン音が大きい場合に、ファンの回転数を下げることが必要と判断し(S906:Y)、制御部10は、判別部7の判定に従い、ファンの回転数を下げる(S907)。また、基準ファン音レベルと稼動ファン音レベルとを比較し(S906)、稼動ファン音が小さい又は同じである場合(S906:N)に、ファンの回転数を上げることが必要と判断し、制御部10は、判別部7の判定に従い、ファンの回転数を上げる又は維持する(S908)。
【0035】
例えば、ATM1が入金、出金、振込み、通帳記帳、通帳発行、利用明細書発行等を行っていた場合、上述の通り、稼動ファン音レベルは、4又は5となっており、基準ファン音レベルは、2又は3であることから、制御部10は、判別部7の判断に従い、上部ファン8、下部ファン9の稼動ファン音レベルが、基準ファン音レベルになるまで回転数を下げる。これにより、取引後にファンの回転音を抑制することができる。
【0036】
また、ATM1が、残高照会、電子振込み、振替え、暗証番号変更等を行っていた場合、上述の通り、基準ファン音レベルは、2又は3となっており、上部ファン8、下部ファン9の回転数を下げていた場合、制御部10は、判別部7の判断に従い上部ファン8、下部ファン9の稼動ファン音レベルが、基準ファン音レベルになるまで回転数を上げる。一方、上部ファン8、下部ファン9の回転数を維持していた場合、制御部10は、判別部7の判断に従い上部ファン8、下部ファン9の回転数を維持する。
【0037】
続いて、集音部によりオンタイム(例えば、取引時に)収集した設置環境の音である設置環境音(取引音を含む)に基づくファン制御判定処理を用いた取引について説明する。
【0038】
図14は、集音部がオンタイム収集した設置環境の音である設置環境音に基づく、第三のファン制御判定処理の実施形態を示す処理フローである。図9との差異としては、ステップS902の変わりに、ステップS1401を行う点にある。ステップS1401では、予め記憶した取引音レベルの代わりに、集音した設置環境の音の大きさを表す設置環境音レベルと、基準ファン音レベルを比較する。この結果に応じて、ファンの回転数を上昇又は減少させる。例えば、稼動ファン音レベルが設置環境音レベル相当になるまで、ファンの回転数を上昇させる。
【0039】
これにより、ATM1の設置環境に応じたファン制御を行うことが可能となる。特に、設置環境の音が、時間帯によって変化するような場所においては、周辺環境の騒音の多い時間帯では、設置環境音レベルと同等のファン音レベルになるまで、ファンの回転数を増加させる。一方、静かな時間帯では、取引音が設置環境音となり、取引音レベルと同等のファン音レベルになるまで、ファンの回転数を増加させる。このため、ファン音が目立つことがなくなる。
【0040】
特に、図14の実施形態の場合、取引中に限りファン制御判定処理を行うことにより、取引をしていないときに生じた一時的な外部音(例えば、救急車、消防車のサイレン等)のみにより、ファンの回転数を上昇させることはない。また、ATM1を利用者が利用(取引)している場合にファンの回転数が制御されることとなるため、設置環境における第三者(操作をしていない者、例えば、深夜のコンビニエンスストアの店員など)の理解を得やすいとのメリットがある。
【0041】
図14は、集音部が設置環境音を集音し、取引時に、判別部7の判定により、制御部10が、ファンの回転数を制御する実施形態について示したが、例えば、図15に示すように、取引の有無に関わらず、設置環境音に応じて、ファンの回転数の制御を行うものであってもよい。
【0042】
図15は、第四のファン制御判定処理の実施形態である。集音部が、常時設置環境の音(取引音を含む)を集音しておき、取引の有無に関わらず、設置環境音レベルと基準ファン音レベルを比較し(S1501)、設置環境音レベルが、基準ファン音レベルより大きい場合(S1501:Y)、制御部10は、ファンの回転数を増加させる(S1502)。例えば、稼動ファン音レベルが設置環境音レベル相当になるまで、ファンの回転数を上昇させる。設置環境音レベルが、基準ファン音レベルよりも小さい場合(S1501:N)、制御部10は、ファンの回転数を減少させる(S1503)ものであってもよい。例えば、稼動ファン音レベルが設置環境音レベル相当になるまで、ファンの回転数を減少させる。これにより、設置環境の音に応じたファン制御が可能となる。
【0043】
なお、図14、15のように集音部により収集した設置環境音については、収集した音を記憶し、一定期間の音レベルを平均化したもの等、統計処理を行った音レベルを用いて同様の処理を行っても良い。これにより、一時的な外部音によるファンの回転数の急上昇を抑止することが可能となる。
【0044】
以下では、図1に記載の集音部31を用いた取引音レベル、ファン音レベル、基準ファン音レベルの設定、更新、ファン制御判定処理の実施形態について詳述する。
【0045】
制御部10は、紙幣処理部3、硬貨処理部4、通帳処理部5、カード処理部6、をそれぞれの取引ごとに動作させ、集音部31は、制御部10の指令により、紙幣処理部3、硬貨処理部4、通帳処理部5、カード処理部6のそれぞれが、取引ごとに動作している状態の装置音を集音し、図7に示すように、取引ごとに取引音の大きさを表す取引音レベルとして記憶する。例えば、入金取引において、紙幣処理部3を動作させ、集音部31により取引音を収集し、取引音レベルとしてレベル5を記憶し、次に入金取引において、硬貨処理部4を動作させ、集音部31により取引音を収集し、収集した音の大きさに基づき取引音レベルとしてレベル4を記憶する。同様に、通帳記帳では、通帳処理部5を動作させ、集音部31により取引音を収集し、収集した音の大きさに基づき取引音レベルとしてレベル4、残高照会では、カード処理部6を動作させ、集音部31により取引音を収集し、収集した音の大きさに基づき取引音レベルとしてレベル3を、記憶する。
【0046】
また、制御部10は、紙幣処理部3、硬貨処理部4、通帳処理部5、カード処理部6、上部ファン8、下部ファン9の動作状態を判断し、集音部31は、制御部10の指令により、紙幣処理部3、硬貨処理部4、通帳処理部5、カード処理部6が媒体を搬送していない状態又は取引を行っていない状態で、上部ファン8、下部ファン9の回転数をそれぞれ変化させ、集音し、図8に示すように、ファン毎の回転数に応じたファン音レベルを記憶する。特に、上部ファン8のファン音レベルを集音する場合には、下部ファン9を停止させ、下部ファン9のファン音レベルを集音する場合には、上部ファン8を停止させ、上部ファン8、下部ファン9それぞれの回転数に応じたファン音レベルを記憶してもよい。
【0047】
続いて、制御部10は、利用者による利用を待っているATM1の状態、例えば、待機状態などでの上部ファン8の回転数、下部ファン9の回転数に対応するファン音レベルをそれぞれ基準ファン音レベルとして記憶する。例えば、図8では、上部ユニットの基準ファン音レベルとしてレベル2、下部ユニットの基準ファン音レベルとしてレベル3を記憶する。
【0048】
制御部10は、これらの記憶した取引音レベル、ファン音レベルに基づき、図9で説明した判別部7によるファン制御判定処理を行う。
【0049】
ファンや各ユニット部品の劣化等に伴い、ATM1の発する音の音量(音レベル)が変化するが、集音部31を利用し、取引音レベル、ファン音レベルの更新を行うことで、騒音を抑制することが可能となる。
【0050】
次に、図9、図10〜13を用いて、ATM1により行われる取引(入金、出金、振込み、通帳記帳、通帳発行、利用明細書発行、残高照会、電子振込み、振替え、暗証番号変更等)と、各取引に伴うファンの動作について説明する。
【0051】
図10は、入金処理のフローチャートである。
【0052】
顧客センサ30は、ATM1前面の利用者の存在を検知(S1001)し、表示/操作部2は、出金(支払)、入金(預入れ)、残高照会、通帳記入、振替え、振込み等の取引を表す取引ボタンが表示された操作案内画面を表示する(S1002)。
【0053】
表示/操作部2は、利用者による入金の操作を受け付け(S1003)、制御部10は、表示/操作部2の受け付けた入金取引を行うように紙幣処理部3又は硬貨処理部4に指示する。
【0054】
また、判別部7は、制御部10から取引開始指示を受け、ファン制御判定処理を行う(S1004)。図7、8の状態の場合、判別部7は、紙幣処理部3の取引音レベルは5であり、下部ユニットの基準ファン音レベルである3より大きいと判定する(図9のS902:Y)。制御部10は、判別部7の判定に基づき下部ファン9に対して、ファンの回転数を上げる指示を出す(図9のS903)。これにより、下部ファン9は、稼動ファン音レベルが5に相当する回転数まで回転することになる。
【0055】
紙幣処理部3は、紙幣取引口18Bから、紙幣格納庫23に紙幣を搬送する紙幣搬送処理を行う(S1005)。
【0056】
紙幣搬送処理では、紙幣処理部3は、紙幣取引口18Bにより、利用者から紙幣17の投入を受け付け、紙幣搬送路27により、紙幣17を紙幣格納庫23まで搬送し、紙幣格納庫センサ32により、紙幣格納庫23に紙幣17を収納したことを検知する。
【0057】
紙幣格納庫センサ32が紙幣取引口18Bに投入された紙幣のうち最後に繰り出された紙幣を検知したことにより、判別部7は、制御部10から取引終了指示を受け、ファン制御判定処理を行う。(S1006)。ステップS1004により、紙幣処理部3の稼動ファン音レベルは5となっており、判別部7は、稼動ファン音レベルは、下部ユニットの基準ファン音レベルである3より大きいと判定する(図9のS906:Y)。制御部10は、判別部7の判定に基づき下部ファン9に対して、ファンの回転数を下げる指示を出す(図9のS907)。
【0058】
なお、上述では、表示/操作部2が入金操作(入金ボタンの押下)又は紙幣格納庫センサ32が紙幣取引口18Bに投入された紙幣のうち最後に繰り出された紙幣を検知したことをファン制御判定処理の契機として説明したが、紙幣取引口センサ21による紙幣取引口18Bの入金紙幣の検知、紙幣取引口18の開又は閉、センサ24による紙幣格納庫23への紙幣の搬送の検知、紙幣格納庫センサ32による紙幣の集積の検知、顧客検知センサ30による利用者の有無検知をファン制御判定処理の契機としてもよい。
【0059】
図11は、出金処理のフローチャートである。
【0060】
顧客センサ30は、ATM1前面の利用者の存在を検知(S1101)し、表示/操作部2は、出金(支払)、入金(預入れ)、残高照会、通帳記入、振替え、振込み等の取引を表す取引ボタンが表示された操作案内画面を表示する(S1102)。
【0061】
表示/操作部2は、利用者による出金操作(出金ボタンの押下)を受け付け(S1103)、制御部10は、表示/操作部2の受け付けた出金取引を行うように紙幣処理部3に指示する。
【0062】
また、判別部7は、制御部10から取引開始指示を受け、ファン制御判定処理を行う(S1104)。図7、8の場合、判別部7は、紙幣処理部3の取引音レベルは5であり、下部ユニットの基準ファン音レベルである3より大きいと判定する(図9のS902:Y)。制御部10は、判別部7の判定に基づき下部ファン9に対して、ファンの回転数を上げる指示を出す(図9のS903)。
【0063】
紙幣処理部3は、紙幣格納庫23から、紙幣取引口18Bに紙幣を搬送する紙幣搬送処理を行う(ステップS1105)。紙幣搬送処理では、紙幣処理部3は、紙幣搬送路27により、紙幣17を紙幣取引口18Bまで搬送し、紙幣取引口センサ21により、紙幣取引口18Bに紙幣17が搬送されたことを検知する。
【0064】
紙幣格納庫センサ32が紙幣格納庫23から繰り出された紙幣のうち最後に繰り出された紙幣を検知したことにより、判別部7は、制御部10から取引終了指示を受け、ファン制御判定処理を行う(ステップS1106)。具体的には、ステップS1104にて紙幣処理部3の稼動ファン音レベルは5となっているので、判別部7は、稼動ファン音レベルが下部ユニットの基準ファン音レベルである3より大きいと判定する(図9のS906:Y)。制御部10は、判別部7の判定に基づき下部ファン9に対して、ファンの回転数を下げる指示を出す(図9のS907)。
【0065】
なお、上述では、表示/操作部2が出金操作(出金ボタンの押下)又は紙幣格納庫センサ32が出金紙幣を検知したことをファン制御判定処理の契機として説明したが、紙幣取引口センサ21による紙幣取引口18Bの出金紙幣の検知、紙幣取引口18Bの開又は閉、紙幣搬送路センサ24による紙幣格納庫23からの紙幣の搬送の検知、顧客検知センサ30による利用者の有無検知をファン制御判定処理の契機としてもよい。
【0066】
上述の入金処理、出金処理では、紙幣処理部3を用いて、入金取引、出金取引について説明したが、硬貨処理部4であっても同様である。
【0067】
図12は、取引履歴などを記録するための通帳記帳の際のファンの動作を示すフローチャートである。顧客センサ30は、ATM1前面の利用者の存在を検知(S1201)し、表示/操作部2は、出金(支払)、入金(預入れ)、残高照会、通帳記帳、振替え、振込み等の取引を表す取引ボタンが表示された操作案内画面を表示する(S1202)。表示/操作部2は、利用者による通帳記帳(通帳記帳ボタンの押下)を受け付け(S1203)、表示/操作部2は、通帳15を通帳取引口16Bに挿入するように案内する。通帳取引口センサ503が利用者による通帳15の通帳取引口16Bへの挿入を検知する(S1204)と、通帳処理部5は、通帳15を搬送する通帳搬送処理を行う(S1205)。また、判別部7は、制御部10から指示を受け、ファン制御判定処理を行う(S1206)。図7、8の場合、判別部7は、通帳処理部5の取引音レベルは4であり、上部ユニットの基準ファン音レベルである2より大きいと判定する(図9のS902:Y)。制御部10は、判別部7の判定に基づき上部ファン8に対して、ファンの回転数を上げる指示を出す(図9のS903)。また、これとともに通帳処理部5の通帳印字部501は、ホストコンピュータ11との取引履歴交信結果を通帳15へ印字する通帳印字処理を行う(S1207)。続いて、通帳処理部5の通帳搬送路28は、通帳印字部501による通帳印字処理が完了した通帳15を、通帳取引口16に搬送する通帳搬送処理を行う(S1208)。通帳取引口センサ25が、搬送された通帳15の排出を検知する(S1209)と、判別部7は、制御部10から取引終了指示を受け、ファン制御判定処理を行う(S1210)。ステップS1206にて、通帳処理部5の稼動ファン音レベルは4となっているので、判別部7は、稼動ファン音レベルが上部ユニットの基準ファン音レベルである2より大きいと判定(図9のS906:Y)する。制御部10は、判別部7の判定に基づき上部ファン8に対して、ファンの回転数を下げる指示を出す(図9のS907)。
【0068】
なお、通帳取引口センサ503による通帳15の検知をファン制御判定処理の契機として説明したが、表示/操作部2による通帳記帳(通帳記帳ボタンの押下)取引の受け付け、顧客検知センサ30による利用者の有無検知などをファン制御判定処理の契機としてもよい。
【0069】
図13は、取引カード13を用いた残高照会の際のファンの動作を示すフローチャートである。顧客センサ30は、ATM1前面の利用者の存在を検知(S1301)し、表示/操作部2は、出金(支払)、入金(預入れ)、残高照会、通帳記帳、振替え、振込み等の取引を表す取引ボタンが表示された操作案内画面を表示する(S1302)。表示/操作部2は、利用者による残高照会(残高照会ボタンの押下)を受け付け(S1303)、表示/操作部2は、利用者の口座番号と暗証番号の照合を行うための取引カード13をカード取引口14Bに挿入するように案内する。利用者の口座番号と暗証番号の照合を行うための取引カード13と、カード処理部6のカード取引口センサ603が、利用者による取引カード13の取引口14Bへの挿入を検知する(S1304)と、カード処理部6は、取引カード13を搬送するカード搬送処理を行う(S1305)。また、判別部7は、制御部10から取引開始指示を受け、ファン制御判定処理を行う(S1306)。図7、8の場合、判別部7は、カード処理部6の取引音レベルは1であり、上部ユニットの基準ファン音レベルである2より小さいと判定する(図9のS902:N)。制御部10は、判別部7の判定に基づき上部ファン8に対して、ファンの回転数を維持又は下げる指示を出す(図9のS904)。ファンの回転数を維持する場合、基準ファン音レベル2に相当する回転数で上部ファン8は回転を続けることとなり、稼動ファン音レベルは2となる。一方、ファンの回転数を下げる場合、稼動ファン音レベルが取引音レベル1に相当する回転数で上部ファン8を回転をするように制御する。
【0070】
カード処理部6は、取引カード13を搬送するとともに、取引カード13から口座番号を読み取るカード情報読取処理を行う(S1307)。ATM1は、表示/操作部2により利用者から暗証番号の入力を受け付け(S1308)、ホストコンピュータ11と通信を行い、ATM1又はホストコンピュータ11にて、カード処理部6が読み取った口座番号、利用者の暗証番号に基づく照合を行い、表示/操作部2は、ホストコンピュータ11から得た情報に基づき残高を表示する(S1309)。表示/操作部2が利用者からの残高照会の終了を受け付ける(S1310)と、制御部10は、カード処理部6に取引終了を通知し、カード取引口14Bから取引カード13を利用者に放出するようカード搬送処理を行う(S1311)。また、判別部7は、制御部10から取引終了指示を受け、ファン制御判定処理を行う(S1312)。ステップS904で、ファンの回転数を維持していた場合(上部ユニットの稼動ファン音レベルが2のままとなっている場合)、判別部7は、上部ユニットの基準ファン音レベルである2と同じと判定(図9のS906:N)する。制御部10は、判別部7の判定に基づき上部ファン8に対して、ファンの回転数を維持するように指示を出す(図9のS908)。一方、ステップS904で、ファンの回転数を下げていた場合(上部ユニットの稼動ファン音レベルを1としていた場合)、判別部7は、上部ユニットの基準ファン音レベルである2より小さいと判定(図9のS906:N)する。制御部10は、判別部7の判定に基づき上部ファン8に対して、基準ファン音レベルの回転数までファンの回転数を上昇するように指示を出す。(図9のS908)。
【0071】
なお、カード取引口センサ603による取引カード13の検知をファン制御判定処理の契機として説明したが、表示/操作部2による残高照会(残高照会ボタンの押下)を受け付け、顧客検知センサ30による利用者の有無検知などをファン制御判定処理の契機としてもよい。
【0072】
以上説明したように、取引により生じる取引音と、ファンの回転により生じるファン音とを比較し、取引音の方がファン音よりも大きいと判断した場合に、ファンの回転数を上げることにより、ファンの回転音が目立たないように装置の冷却をすることが可能となる。また、紙幣処理部3等の媒体処理部が雑音を伴う媒体の搬送、分離、繰出し、又は頁めくり等をしている際に、温度を下げることができるため、静寂な状態(例えば、媒体処理部が媒体の搬送、分離、繰出し、又は頁めくり等をしていない状態)にて、ファンの回転を抑制することが可能となる。つまり、媒体処理部が雑音を伴う媒体の搬送等をしている際に、温度を下げることができるため、消費電力に基づきファンの回転数を調整する場合よりも、ファンの回転による雑音を周囲の人に意識させないようにすることができる。
【0073】
また、ステップS902にて、取引音が基準ファン音よりも大きい場合にファンの回転数を上昇させ、小さい場合にファンの回転数を維持又は下げたが、基準ファン音ではなくとも、取引音が所定値以上の場合にファンの回転数を上昇させ、又は所定値よりも小さい場合にファンの回転数を下げることにより、つまり、取引音の大きさに応じて、ファンの回転数を上下させることによって、取引音により、相対的にファン音を目立たなくさせることが可能となる。
【0074】
また、ステップS902にて、取引音が基準ファン音よりも大きい場合に、ステップS903にて、稼動ファン音が取引音に相当するまでファンの回転数を上昇させたが、取引音よりも、小さい又は大きい稼動ファン音に相当するまで、回転数を上昇させるものであってもよい。取引音よりも小さい(基準ファン音よりは大きい)稼動ファン音で回転するように回転数を上昇させた場合、取引音よりもファン音を相対的に小さくできるので、利用者や周囲の人々に雑音と意識されることが少なくなる。一方、取引音よりも大きい稼動ファン音で回転するように回転数を上昇させた場合、装置全体として音を発している時間帯に、空気の攪拌を十分に行うことが可能となり、冷却効果を高めることが可能となり、静寂環境下でのファンの動作を抑制し、ファンの回転音目立たなくさせることが可能となる。
【0075】
また、制御部10は、ファン回転数を所定値上げる又は下げるように制御してもよい。これにより、ファンの回転数を制御するための複雑な処理を回避することが可能となる。
【0076】
また、上述の実施形態では紙幣処理部3の入金処理、出金処理、通帳処理部5の通帳記帳、カード処理部6の残高照会を一例として挙げたが、その他のユニットや、取引への適用も可能である。
【0077】
また、図10〜13では、上述の第二の実施形態を用いてファン制御判定処理について説明したが、第一、第三、第四等他の実施形態であっても取引のフローに関しては同様である。
【0078】
なお、上述した取引種類、媒体処理部、音の大きさのレベルは、本実施形態を示す一例に過ぎず、各取引種類において、音を発する媒体処理部の種類、音の大きさのレベルは、装置によって異なるものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。また、音の大きさをレベル化して説明したが、音の大きさそのものを用いても同様である。
【0079】
以上のように、空気を攪拌するファンと、ファンの回転数を制御する制御部と、取引により生じる取引音を所定値と比較する判別部とを備え、制御部は、判別部による比較の結果、利用者により選択された取引の取引音が所定値よりも大きいと判断された場合に、ファンの回転数を上げるように制御することにより、取引音が発せられているときに、装置を冷却することが可能となり、取引音が発せられていない時間帯に、ファンの回転数を抑制することが可能となる。このため、ファンの回転音を相対的に目立たないようにして、装置の冷却をすることができる。
【0080】
また、前述の所定値としては、取引が行われていないとき(例えば、待機状態)のファン音の大きさとすることにより、待機状態のファン音よりも取引音が大きい処理において、ファンの回転数を上昇させることが可能となる。
【0081】
また、制御部は、判別部により取引音が所定値よりも小さいと判断された場合に、ファンの回転数を下げる又は維持するように制御することにより、取引音が小さい場合であっても、ファン音を取引音に対して、相対的に目立たないようにして、装置の冷却をすることが可能となる。
【0082】
また、取引音と、ファン音を集める集音部を有することにより、装置の経年劣化に対して、取引音、ファン音の更新、変更が可能となる。
【0083】
また、取引により生じる取引音が所定値よりも大きな第一の取引と、取引により生じる取引音が前記所定値よりも小さな第二の取引とを行う自動取引装置の場合には、制御部は、取引を行っていない場合のファンの回転数に対して、前記第一の取引を行う場合に、ファンの回転数を上げるように制御し、前記第二の取引を行う場合に、取引を行っていない場合のファンの回転数に対して、ファンの回転数を維持又は下げることにより、ファンの回転数を相対的に目立たないようにして、装置の冷却が可能となる。
【符号の説明】
【0084】
1・・・ATM、2・・・表示/操作部、3・・・紙幣処理部、4・・・硬貨処理部、5・・・通帳処理部、6・・・カード処理部、7・・・判別部、8・・・下部ファン9・・・上部ファン、10・・・制御部、11・・・ホストコンピュータ、12・・・筐体、13・・・取引カード、14・・・カード取引口、15・・・通帳、16・・・通帳取引口、17・・・紙幣、18・・・紙幣取引口、19・・・硬貨、20・・・硬貨取引口、21・・・紙幣取引口センサ、23・・・紙幣格納庫、24・・・紙幣搬送路センサ、27・・・紙幣搬送路、30・・・顧客センサ、31・・・集音部、32・・・紙幣格納庫センサ401・・・硬貨格納庫、402・・・硬貨搬送路、405・・・硬貨搬送路センサ、406・・・硬貨格納庫センサ、501・・・通帳印字部、502・・・通帳搬送路、503・・・通帳取引口センサ、601・・・カードデータ取得部、602・・・カード搬送路、603・・・カード取引部センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内の空気を撹拌するファンを有する自動取引装置及び、その制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の装置として、装置内の温度を一定値以下に抑制するために、筐体内部の温度を検出する温度センサを備え、温度センサが筐体内部の温度の上昇を検知すると、ファンが回転し、筐体内部を冷却する冷却装置がある。従来の冷却装置としては、特開2002−157049号公報(特許文献1)が知られている。
【0003】
また、他の従来の装置として、ヒューズ等を用いて電流値を計測し、計測結果に応じてファンの回転数を変化させる冷却ファン制御装置があり、電流値が低くなる待機時にはファンは低速回転し、電流値が高くなる(消費電流が上がる)動作時にはファンは高速回転する装置がある。従来の冷却ファン制御装置としては、特開平5−201102号公報(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−157049号公報
【特許文献2】特開平5−201102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された冷却装置は、温度をファンの回転契機としているものであり、特許文献2に開示された冷却ファン制御装置は、消費電流が大きいことを契機としてファンを回転させるものであり、静寂な環境下では、ファンの回転音が、周囲の人に不快な印象を与える恐れがある。
【0006】
本発明の目的は、ファンの回転音が目立たないよう装置の冷却を行う自動取引装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。 本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、取引を行う自動取引装置であって、空気を攪拌するファンと、ファンの回転数を制御する制御部と、取引により生じる取引音を所定値と比較する判別部とを備え、前記制御部は、前記判別部による比較の結果、利用者により選択された取引の取引音が前記所定値よりも大きいと判断された場合に、ファンの回転数を上げるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ファンの回転音が目立たないようにして装置の冷却を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ATMの内部構成を示すブロック図
【図2】ATMの外観構成図
【図3】紙幣処理部の構造説明図
【図4】硬貨処理部の構造説明図
【図5】通帳処理部の構造説明図
【図6】カード処理部の構造説明図
【図7】取引音レベルに関する記憶データの説明図
【図8】ファン音レベルに関する記憶データの説明図
【図9】ファン制御判定処理の説明図
【図10】入金処理の説明図
【図11】出金処理の説明図
【図12】通帳記帳処理のフローチャート
【図13】残高照会のフローチャート
【図14】ファン制御判定処理の一実施形態のフローチャート
【図15】ファン制御判定処理の一実施形態のフローチャート
【図16】ファン制御判定処理の一実施形態のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1〜図16を用いて、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、金融機関、交通機関などに設置される自動取引装置として、現金の預入れ、現金の引出し、振込み等の銀行業務サービスを行う自動預金支払機(ATM:Automated Teller Machine)を用いて説明するが、現金自動支払機(CD:Cash Dispenser)、券売機等の処理、取引又はユニットにより装置音が異なる自動取引装置にも同様に適用することができる。
【0011】
図1は、ATM1の内部構成とホストコンピュータ11を示すブロック図であり、図2は、ATM1の概観構成図である。
【0012】
ATM1は、表示/操作部2、紙幣処理部3、硬貨処理部4、通帳処理部5、カード処理部6、判別部7、上部ファン8、下部ファン9、制御部10、筐体12、顧客検知センサ30、集音部31を有する。
【0013】
表示/操作部2は、ディスプレイ、タッチパネル等により構成され、利用者による操作を受付ける入力部と、取引に関する情報(取引情報)、画像等を表示する画面(表示部)を有する。紙幣処理部3は、制御部10の命令に応じて、紙幣17の入金又は出金を行う。硬貨処理部4は、制御部10の命令に応じて、硬貨19の入金又は出金を行う。通帳処理部5は、通帳15の印字又は通帳15の新規発行を行う。カード処理部6は、利用者に挿入されたキャッシュカード等(取引カード13)に記憶されている口座番号等の情報の読み取りを行う。判別部7は、ファンの動作又は回転数の変更の要否を判定する。上部ファン8は、通帳処理部5、カード処理部6等を有する上部ユニットの空気を攪拌し、冷却を行う。下部ファン9は、紙幣処理部3、硬貨処理部4等を有する下部ユニットの空気を撹拌し、冷却を行う。集音部31は、設置された周辺環境の音、装置の動作の音である取引音、ファンの回転音であるファン音等を収集する。制御部10は、ATM1の装置内に搭載されている上部ファン8、下部ファン9、紙幣処理部3、硬貨処理部4、通帳処理部5、カード処理部6、判別部7、その他装置内に実装されているユニットの動作状態を制御する。ホストコンピュータ11は、顧客情報を格納し、ATM1と通信を行う。ATM1の筐体12は、口座番号等の情報が記録された取引カード13が挿入・排出されるカード取引口14Aと、通帳15が挿入・排出される通帳取引口16Aと、紙幣17の投入(入金)・放出(出金)のための紙幣取引口18Aと、硬貨19の投入(入金)・放出(出金)のための硬貨取引口20Aと、ディスプレイ等に表示されるガイダンスに基づいて利用者が操作等を行う表示/操作部2と、通帳処理部5、カード処理部6等の冷却を行う上部ファン8と、紙幣処理部3、硬貨処理部4等の冷却を行う下部ファン9と、装置前面に利用者が接近したことを検知する顧客検知センサ30とを有する。
【0014】
なお、図1にて、判別部7は、制御部10と分離して記載しているが、制御部10が、判別部7の処理を実施する構成であってもよい。また、サーバ等の上位装置(例えば、ホストコンピュータ11)に同様の構成を採用し、上位装置側でATM1を制御する形態であってもよい。
【0015】
次に、各ユニットについて説明する。
【0016】
図3は、ATM1に搭載される紙幣処理部3の概略構造図である。紙幣処理部3は、紙幣17の投入(入金)・放出(出金)のための紙幣取引口18Bと、入金された紙幣17又は出金するための紙幣17を収納する紙幣格納庫23を備えている。紙幣取引口18Bと紙幣格納庫23は、搬送ベルト等で構成される紙幣搬送路27で結ばれており、紙幣17が移動する際には図示しない紙幣搬送用モータが動作し、紙幣17を搬送する。また、紙幣処理部3は、紙幣取引口18Bの紙幣17の有無を検知する紙幣取引口センサ21、紙幣格納庫23の出入口近傍の搬送路の紙幣17の有無を検知する紙幣搬送路センサ24、紙幣格納庫23内の紙幣17を検知する紙幣格納庫センサ32を有する。
【0017】
紙幣取引口センサ21は、利用者による紙幣取引口18Bへの紙幣17の投入、紙幣取引口18Bから紙幣格納庫23へ紙幣17の収納、利用者による紙幣取引口18Bからの紙幣17の抜き出し、又は紙幣格納庫23から紙幣取引口18Bへの紙幣17の放出を検知する。紙幣搬送路センサ24は、紙幣格納庫23への紙幣17の収納、紙幣格納庫23からの紙幣17の繰り出しを検知する。紙幣格納庫センサ32は、紙幣格納庫23に紙幣17が保持されたことを検知する。
【0018】
図4は、ATM1に搭載される硬貨処理部4の概略構造図である。硬貨処理部4は、硬貨19の投入(入金)・放出(出金)のための硬貨取引口20Bと、入金された硬貨19又は出金するための硬貨19を収納する硬貨格納庫401を備えている。硬貨取引口20Bと硬貨格納庫401は、搬送ベルト等で構成される硬貨搬送路402で結ばれており、硬貨19が移動する際には図示しない硬貨搬送用モータが動作し、硬貨19を搬送する。また、硬貨処理部4は、硬貨取引口20Bの硬貨19の有無を検知する硬貨取引口センサ404、硬貨格納庫401の出入口近傍の硬貨搬送路402の硬貨19の有無を検知する硬貨搬送路センサ405、硬貨格納庫401内の硬貨19を検知する硬貨格納庫センサ406を有する。
【0019】
硬貨取引口センサ404は、利用者による硬貨取引口20Bへの硬貨19の投入、硬貨取引口20Bから硬貨格納庫401へ硬貨19の収納、利用者による硬貨取引口20Bからの硬貨19の抜き出し、又は硬貨格納庫401から硬貨取引口20Bへの硬貨19の放出を検知する。硬貨搬送路センサ405は、硬貨格納庫401への硬貨19の収納又は硬貨格納庫401からの硬貨19の繰り出しを検知する。硬貨格納庫センサ405は、硬貨格納庫401に硬貨19が保持されたことを検知する。
【0020】
図5は、ATM1に搭載される通帳処理部5の概略構造図である。通帳処理部5の通帳印字部501は、通帳15への印字を行う。通帳取引口16Bと通帳印字部501とは、ローラ等で構成される通帳15を搬送する通帳搬送路502で結ばれており、通帳15が移動する際には、図示しない通帳搬送用モータが動作し、通帳15を搬送する。通帳処理部5は、通帳15の有無を検知する通帳取引口センサ503を備えている。なお、新規発行される通帳15は、図示しない通帳保留部に保持されている。
【0021】
図6は、ATM1に搭載されるカード処理部6の概略構造図である。カード処理部6のデータ取得部601は、カードデータを読み取る。カード取引口14Bとデータ取得部601とは、ローラ等で構成される取引カード13を搬送するカード搬送路602で結ばれており、取引カード13が移動する際には、図示しないカード搬送用モータが動作し、取引カード13を搬送する。カード処理部6は、取引カード13のカード処理部6内の有無を検知するカード取引口センサ603を備えている。
【0022】
続いて、判別部7の詳細について説明する。
【0023】
図7、図8は、判別部7が記憶する各取引種類に対する音の大きさのレベル(取引音レベル)、上部ファン8、下部ファン9の音の大きさのレベル(ファン音レベル)を示す。取引音レベルは、各取引における音の大きさを示し、ファン音レベルは、ファンの回転に基づく音の大きさを示し、それぞれ数値が大きいほど音が大きいことを示している。なお、取引音としては、例えば、媒体が搬送される場合には、モータ、ベルト、ギヤ、シャフト、ベアリング等の部品の動作音、金属同士の摩擦、モータの回転等による動作音、媒体の計数や、搬送、分離、繰出し処理などに伴う媒体処理音等がある。
【0024】
まず、図7の取引音レベルの情報について説明する。一般に、紙幣、硬貨などの貨幣を分離・集積・搬送を行う紙幣処理部3、硬貨処理部4が動作する取引の場合は、大きな音を生じる。このため、図7の入金、出金、振込みなどの取引種類では、取引音レベルとして、紙幣処理部3、硬貨処理部4などが媒体(紙幣、硬貨)を搬送、集積、繰り出しする際に、比較的大きな音(レベル5)を発することを記憶している。また、通帳記帳、通帳発行、利用明細書発行等の取引種類では、取引音レベルとして、通帳処理部、図示しない明細書発行処理部などが、音(レベル4)を発することを記憶している。さらに、残高照会、電子振込み、振替え、暗証番号変更等の取引では、カード処理部6が、利用者の認証のために取引カード13を搬送する程度の小さな音を生じる。このため、図7の残高照会、電子振込み、振替え、暗証番号変更等の取引種類では、比較的小さい音を発することを記憶している(レベル1)。また、取引音分類は、取引音レベルが所定値以上(図7の場合は、所定値は3)の第一の取引、所定値以下の第二の取引とに分類して記憶している。
【0025】
続いて、図8のファン音の情報について説明する。判別部7は、各ファンの基準となる音の大きさ(例えば、取引きのない状態、待機状態でのファン音)である基準ファン音レベルを記憶している。図8では、上部ファン8は、レベル2を、下部ファン9は、レベル3を基準ファン音レベルとして記憶している。また、回転数に応じて、上部ファン8は、上部ファン音レベル1〜4に変動することを、下部ファン9は、下部ファン音レベル2〜5に変動することを示す。また、稼動ファン音レベルは、上部ファン8、下部ファン9の現在の回転数に応じたファン音レベルを示すものである。図8では、上部ファン8は、レベル2のファン音を発する回転数で回転し、下部ファン9は、レベル3のファン音を発する回転数で回転していることを示す。
【0026】
図16は、判別部7によるファン制御判定処理の第一の実施形態を示すフローチャートである。判別部7は、取引開始か否かを判定する(ステップS901)。取引開始である場合(S901:Y)、判別部7は、表示/操作部2から利用者により選択された取引が、図7の第一の取引か第二の取引かを判断する(S1601)。制御部10は、判別部7の判断が第一の取引であった場合(S1601:Y)、ファンの回転数を上げる(S903)。一方、制御部10は、判別部7の判断が第二の取引であった場合(S1601:N)ファンの回転数を下げる又は維持する(S904)。
【0027】
取引開始でない場合(S901:N)、取引終了か否かを判断し(S905)、取引終了である場合(S905:Y)、判別部7は、実施していた取引が、第一の取引か第二の取引かを判断し(S1602)、第一の取引の場合(S1602:Y)、制御部10は、ファンの回転数を下げる(S907)。一方、第二の取引の場合(S1602:N)、制御部10は、ファンの回転数を上げる又は維持する(S908)。
【0028】
以上のように、取引音レベルが一定値以上の第一の取引を利用者により選択された場合に、装置が取引を行っていない状態(例えば、待機状態等)よりもファンの回転数を上昇させることにより、媒体処理部が雑音を伴う媒体の搬送等をしている際に、温度を下げることができる。これにより、消費電力に基づきファンの回転数を調整する場合よりも、ファンの回転による雑音を周囲の人に意識させないようにすることができる。特に、紙幣、硬貨等の貨幣媒体を扱う処理は、消費電力が小さくても取引音が大きくなることがあり、本実施形態は有効となる。
【0029】
なお、第一の取引としては、紙幣又は硬貨などの貨幣の媒体搬送処理を含み、第一の取引よりも取引音が小さい第二の取引としては、残高照会、電子振込み、振替、又は暗証番号変更などを含むこととするとよい。言い換えると、第一の取引として貨幣の搬送処理を含み、第二の取引として、第一の取引と比較して取引音が小さいものとすることで、ファンの回転による雑音を周囲の人に意識させないようにすることができる。
【0030】
また、第一の取引と第二の取引は、図7に示すように取引音の大きさに基づき判断する他に、紙幣や硬貨などの貨幣を扱う処理、特に複数の媒体を搬送する処理では雑音が大きく、媒体を扱う時間が長いのでこれらの処理を行う取引を第一の取引とし、取引カードの搬送はあるものの、取引中の多くの時間が電子処理により行われる残高照会、振込み、振替、暗証番号変更を第二の取引としてもよい。すなわち、媒体を処理する媒体処理時間の長さ、又は取引全体に占める媒体処理時間の割合に基づき、所定値又は第二の取引と比較し、媒体処理時間が長い又は媒体処理時間の一取引に占める割合が大きい取引を第一の取引とし、第一の取引又は所定値と比較し、媒体処理時間が短い又は媒体処理時間の一取引に占める割合が小さい取引を第二の取引と分類してもよい。
【0031】
図9は、判別部7によるファン制御判定処理の第二の実施形態を示すフローチャートである。判別部7は、取引開始か否かを判定する(S901)。取引開始である場合(S901:Y)は、取引音レベルと、基準ファン音レベルとを比較し(S902)、取引音が大きい場合に、ファンの回転数を上げることが必要と判断し(S902:Y)、制御部10は、判別部7の判定に従い、ファンの回転数を上げる(S903)。この回転数を上げた際のファン音レベルが、取引中の稼動ファン音レベルになる。一方、取引音が小さい場合に、ファンの回転数を下げる又は維持することが必要と判断し(S902:N)、制御部10は、判別部7の判定に従い、ファンの回転数を下げる又は維持する(S904)。この回転数を下げた際のファン音レベルを、取引中の稼動ファン音レベルとして記憶する。
【0032】
例えば、図7、図8の状態を用いて説明すると、ATM1が入金、出金、振込み、通帳記帳、通帳発行、利用明細書発行等を行う場合、判別部7は、これらの取引音レベルは、5又は4であり、上部ファン8、下部ファン9の基準ファン音レベルは、2又は3であることから、上部ファン8、下部ファン9の稼動ファン音レベルが、取引音レベルになるまで回転数を上げる。取引音レベルが高い場合にファンの回転数を上げることにより、上部ファン8、下部ファン9を、静寂環境下(取引音の少ない時間帯など)で動作させる時間、回数を抑制することが可能となる。なお、上部ファン8の最大ファン音レベルは4であるため、取引音レベルが5の取引の場合であっても、上部ファン8は、ファン音レベル4の回転数までしか上昇させることはできない。
【0033】
また、ATM1が、残高照会、電子振込み、振替え、暗証番号変更等を行う場合、判別部7は、これらの取引音レベルは、1であり、上部ファン8、下部ファン9の基準ファン音レベルは、2又は3であることから、上部ファン8、下部ファン9の稼動ファン音レベルが、取引音レベルになるまで回転数を下げる。なお、他の温度条件等を考慮してファンの回転数を維持してもよい。上部ファン8、下部ファン9の回転数を下げることにより、装置を利用しているエンドユーザに対するファン音による騒音を抑止することが可能となる。
【0034】
一方、図9のステップS901において判別部7が、取引開始か否かを判定し、取引開始が否である場合(S901:N)は、続いて取引終了か否かを判定する(S905)。取引終了である場合(S905:Y)は、基準ファン音レベルと稼動ファン音レベルとを比較し(S906)、稼動ファン音が大きい場合に、ファンの回転数を下げることが必要と判断し(S906:Y)、制御部10は、判別部7の判定に従い、ファンの回転数を下げる(S907)。また、基準ファン音レベルと稼動ファン音レベルとを比較し(S906)、稼動ファン音が小さい又は同じである場合(S906:N)に、ファンの回転数を上げることが必要と判断し、制御部10は、判別部7の判定に従い、ファンの回転数を上げる又は維持する(S908)。
【0035】
例えば、ATM1が入金、出金、振込み、通帳記帳、通帳発行、利用明細書発行等を行っていた場合、上述の通り、稼動ファン音レベルは、4又は5となっており、基準ファン音レベルは、2又は3であることから、制御部10は、判別部7の判断に従い、上部ファン8、下部ファン9の稼動ファン音レベルが、基準ファン音レベルになるまで回転数を下げる。これにより、取引後にファンの回転音を抑制することができる。
【0036】
また、ATM1が、残高照会、電子振込み、振替え、暗証番号変更等を行っていた場合、上述の通り、基準ファン音レベルは、2又は3となっており、上部ファン8、下部ファン9の回転数を下げていた場合、制御部10は、判別部7の判断に従い上部ファン8、下部ファン9の稼動ファン音レベルが、基準ファン音レベルになるまで回転数を上げる。一方、上部ファン8、下部ファン9の回転数を維持していた場合、制御部10は、判別部7の判断に従い上部ファン8、下部ファン9の回転数を維持する。
【0037】
続いて、集音部によりオンタイム(例えば、取引時に)収集した設置環境の音である設置環境音(取引音を含む)に基づくファン制御判定処理を用いた取引について説明する。
【0038】
図14は、集音部がオンタイム収集した設置環境の音である設置環境音に基づく、第三のファン制御判定処理の実施形態を示す処理フローである。図9との差異としては、ステップS902の変わりに、ステップS1401を行う点にある。ステップS1401では、予め記憶した取引音レベルの代わりに、集音した設置環境の音の大きさを表す設置環境音レベルと、基準ファン音レベルを比較する。この結果に応じて、ファンの回転数を上昇又は減少させる。例えば、稼動ファン音レベルが設置環境音レベル相当になるまで、ファンの回転数を上昇させる。
【0039】
これにより、ATM1の設置環境に応じたファン制御を行うことが可能となる。特に、設置環境の音が、時間帯によって変化するような場所においては、周辺環境の騒音の多い時間帯では、設置環境音レベルと同等のファン音レベルになるまで、ファンの回転数を増加させる。一方、静かな時間帯では、取引音が設置環境音となり、取引音レベルと同等のファン音レベルになるまで、ファンの回転数を増加させる。このため、ファン音が目立つことがなくなる。
【0040】
特に、図14の実施形態の場合、取引中に限りファン制御判定処理を行うことにより、取引をしていないときに生じた一時的な外部音(例えば、救急車、消防車のサイレン等)のみにより、ファンの回転数を上昇させることはない。また、ATM1を利用者が利用(取引)している場合にファンの回転数が制御されることとなるため、設置環境における第三者(操作をしていない者、例えば、深夜のコンビニエンスストアの店員など)の理解を得やすいとのメリットがある。
【0041】
図14は、集音部が設置環境音を集音し、取引時に、判別部7の判定により、制御部10が、ファンの回転数を制御する実施形態について示したが、例えば、図15に示すように、取引の有無に関わらず、設置環境音に応じて、ファンの回転数の制御を行うものであってもよい。
【0042】
図15は、第四のファン制御判定処理の実施形態である。集音部が、常時設置環境の音(取引音を含む)を集音しておき、取引の有無に関わらず、設置環境音レベルと基準ファン音レベルを比較し(S1501)、設置環境音レベルが、基準ファン音レベルより大きい場合(S1501:Y)、制御部10は、ファンの回転数を増加させる(S1502)。例えば、稼動ファン音レベルが設置環境音レベル相当になるまで、ファンの回転数を上昇させる。設置環境音レベルが、基準ファン音レベルよりも小さい場合(S1501:N)、制御部10は、ファンの回転数を減少させる(S1503)ものであってもよい。例えば、稼動ファン音レベルが設置環境音レベル相当になるまで、ファンの回転数を減少させる。これにより、設置環境の音に応じたファン制御が可能となる。
【0043】
なお、図14、15のように集音部により収集した設置環境音については、収集した音を記憶し、一定期間の音レベルを平均化したもの等、統計処理を行った音レベルを用いて同様の処理を行っても良い。これにより、一時的な外部音によるファンの回転数の急上昇を抑止することが可能となる。
【0044】
以下では、図1に記載の集音部31を用いた取引音レベル、ファン音レベル、基準ファン音レベルの設定、更新、ファン制御判定処理の実施形態について詳述する。
【0045】
制御部10は、紙幣処理部3、硬貨処理部4、通帳処理部5、カード処理部6、をそれぞれの取引ごとに動作させ、集音部31は、制御部10の指令により、紙幣処理部3、硬貨処理部4、通帳処理部5、カード処理部6のそれぞれが、取引ごとに動作している状態の装置音を集音し、図7に示すように、取引ごとに取引音の大きさを表す取引音レベルとして記憶する。例えば、入金取引において、紙幣処理部3を動作させ、集音部31により取引音を収集し、取引音レベルとしてレベル5を記憶し、次に入金取引において、硬貨処理部4を動作させ、集音部31により取引音を収集し、収集した音の大きさに基づき取引音レベルとしてレベル4を記憶する。同様に、通帳記帳では、通帳処理部5を動作させ、集音部31により取引音を収集し、収集した音の大きさに基づき取引音レベルとしてレベル4、残高照会では、カード処理部6を動作させ、集音部31により取引音を収集し、収集した音の大きさに基づき取引音レベルとしてレベル3を、記憶する。
【0046】
また、制御部10は、紙幣処理部3、硬貨処理部4、通帳処理部5、カード処理部6、上部ファン8、下部ファン9の動作状態を判断し、集音部31は、制御部10の指令により、紙幣処理部3、硬貨処理部4、通帳処理部5、カード処理部6が媒体を搬送していない状態又は取引を行っていない状態で、上部ファン8、下部ファン9の回転数をそれぞれ変化させ、集音し、図8に示すように、ファン毎の回転数に応じたファン音レベルを記憶する。特に、上部ファン8のファン音レベルを集音する場合には、下部ファン9を停止させ、下部ファン9のファン音レベルを集音する場合には、上部ファン8を停止させ、上部ファン8、下部ファン9それぞれの回転数に応じたファン音レベルを記憶してもよい。
【0047】
続いて、制御部10は、利用者による利用を待っているATM1の状態、例えば、待機状態などでの上部ファン8の回転数、下部ファン9の回転数に対応するファン音レベルをそれぞれ基準ファン音レベルとして記憶する。例えば、図8では、上部ユニットの基準ファン音レベルとしてレベル2、下部ユニットの基準ファン音レベルとしてレベル3を記憶する。
【0048】
制御部10は、これらの記憶した取引音レベル、ファン音レベルに基づき、図9で説明した判別部7によるファン制御判定処理を行う。
【0049】
ファンや各ユニット部品の劣化等に伴い、ATM1の発する音の音量(音レベル)が変化するが、集音部31を利用し、取引音レベル、ファン音レベルの更新を行うことで、騒音を抑制することが可能となる。
【0050】
次に、図9、図10〜13を用いて、ATM1により行われる取引(入金、出金、振込み、通帳記帳、通帳発行、利用明細書発行、残高照会、電子振込み、振替え、暗証番号変更等)と、各取引に伴うファンの動作について説明する。
【0051】
図10は、入金処理のフローチャートである。
【0052】
顧客センサ30は、ATM1前面の利用者の存在を検知(S1001)し、表示/操作部2は、出金(支払)、入金(預入れ)、残高照会、通帳記入、振替え、振込み等の取引を表す取引ボタンが表示された操作案内画面を表示する(S1002)。
【0053】
表示/操作部2は、利用者による入金の操作を受け付け(S1003)、制御部10は、表示/操作部2の受け付けた入金取引を行うように紙幣処理部3又は硬貨処理部4に指示する。
【0054】
また、判別部7は、制御部10から取引開始指示を受け、ファン制御判定処理を行う(S1004)。図7、8の状態の場合、判別部7は、紙幣処理部3の取引音レベルは5であり、下部ユニットの基準ファン音レベルである3より大きいと判定する(図9のS902:Y)。制御部10は、判別部7の判定に基づき下部ファン9に対して、ファンの回転数を上げる指示を出す(図9のS903)。これにより、下部ファン9は、稼動ファン音レベルが5に相当する回転数まで回転することになる。
【0055】
紙幣処理部3は、紙幣取引口18Bから、紙幣格納庫23に紙幣を搬送する紙幣搬送処理を行う(S1005)。
【0056】
紙幣搬送処理では、紙幣処理部3は、紙幣取引口18Bにより、利用者から紙幣17の投入を受け付け、紙幣搬送路27により、紙幣17を紙幣格納庫23まで搬送し、紙幣格納庫センサ32により、紙幣格納庫23に紙幣17を収納したことを検知する。
【0057】
紙幣格納庫センサ32が紙幣取引口18Bに投入された紙幣のうち最後に繰り出された紙幣を検知したことにより、判別部7は、制御部10から取引終了指示を受け、ファン制御判定処理を行う。(S1006)。ステップS1004により、紙幣処理部3の稼動ファン音レベルは5となっており、判別部7は、稼動ファン音レベルは、下部ユニットの基準ファン音レベルである3より大きいと判定する(図9のS906:Y)。制御部10は、判別部7の判定に基づき下部ファン9に対して、ファンの回転数を下げる指示を出す(図9のS907)。
【0058】
なお、上述では、表示/操作部2が入金操作(入金ボタンの押下)又は紙幣格納庫センサ32が紙幣取引口18Bに投入された紙幣のうち最後に繰り出された紙幣を検知したことをファン制御判定処理の契機として説明したが、紙幣取引口センサ21による紙幣取引口18Bの入金紙幣の検知、紙幣取引口18の開又は閉、センサ24による紙幣格納庫23への紙幣の搬送の検知、紙幣格納庫センサ32による紙幣の集積の検知、顧客検知センサ30による利用者の有無検知をファン制御判定処理の契機としてもよい。
【0059】
図11は、出金処理のフローチャートである。
【0060】
顧客センサ30は、ATM1前面の利用者の存在を検知(S1101)し、表示/操作部2は、出金(支払)、入金(預入れ)、残高照会、通帳記入、振替え、振込み等の取引を表す取引ボタンが表示された操作案内画面を表示する(S1102)。
【0061】
表示/操作部2は、利用者による出金操作(出金ボタンの押下)を受け付け(S1103)、制御部10は、表示/操作部2の受け付けた出金取引を行うように紙幣処理部3に指示する。
【0062】
また、判別部7は、制御部10から取引開始指示を受け、ファン制御判定処理を行う(S1104)。図7、8の場合、判別部7は、紙幣処理部3の取引音レベルは5であり、下部ユニットの基準ファン音レベルである3より大きいと判定する(図9のS902:Y)。制御部10は、判別部7の判定に基づき下部ファン9に対して、ファンの回転数を上げる指示を出す(図9のS903)。
【0063】
紙幣処理部3は、紙幣格納庫23から、紙幣取引口18Bに紙幣を搬送する紙幣搬送処理を行う(ステップS1105)。紙幣搬送処理では、紙幣処理部3は、紙幣搬送路27により、紙幣17を紙幣取引口18Bまで搬送し、紙幣取引口センサ21により、紙幣取引口18Bに紙幣17が搬送されたことを検知する。
【0064】
紙幣格納庫センサ32が紙幣格納庫23から繰り出された紙幣のうち最後に繰り出された紙幣を検知したことにより、判別部7は、制御部10から取引終了指示を受け、ファン制御判定処理を行う(ステップS1106)。具体的には、ステップS1104にて紙幣処理部3の稼動ファン音レベルは5となっているので、判別部7は、稼動ファン音レベルが下部ユニットの基準ファン音レベルである3より大きいと判定する(図9のS906:Y)。制御部10は、判別部7の判定に基づき下部ファン9に対して、ファンの回転数を下げる指示を出す(図9のS907)。
【0065】
なお、上述では、表示/操作部2が出金操作(出金ボタンの押下)又は紙幣格納庫センサ32が出金紙幣を検知したことをファン制御判定処理の契機として説明したが、紙幣取引口センサ21による紙幣取引口18Bの出金紙幣の検知、紙幣取引口18Bの開又は閉、紙幣搬送路センサ24による紙幣格納庫23からの紙幣の搬送の検知、顧客検知センサ30による利用者の有無検知をファン制御判定処理の契機としてもよい。
【0066】
上述の入金処理、出金処理では、紙幣処理部3を用いて、入金取引、出金取引について説明したが、硬貨処理部4であっても同様である。
【0067】
図12は、取引履歴などを記録するための通帳記帳の際のファンの動作を示すフローチャートである。顧客センサ30は、ATM1前面の利用者の存在を検知(S1201)し、表示/操作部2は、出金(支払)、入金(預入れ)、残高照会、通帳記帳、振替え、振込み等の取引を表す取引ボタンが表示された操作案内画面を表示する(S1202)。表示/操作部2は、利用者による通帳記帳(通帳記帳ボタンの押下)を受け付け(S1203)、表示/操作部2は、通帳15を通帳取引口16Bに挿入するように案内する。通帳取引口センサ503が利用者による通帳15の通帳取引口16Bへの挿入を検知する(S1204)と、通帳処理部5は、通帳15を搬送する通帳搬送処理を行う(S1205)。また、判別部7は、制御部10から指示を受け、ファン制御判定処理を行う(S1206)。図7、8の場合、判別部7は、通帳処理部5の取引音レベルは4であり、上部ユニットの基準ファン音レベルである2より大きいと判定する(図9のS902:Y)。制御部10は、判別部7の判定に基づき上部ファン8に対して、ファンの回転数を上げる指示を出す(図9のS903)。また、これとともに通帳処理部5の通帳印字部501は、ホストコンピュータ11との取引履歴交信結果を通帳15へ印字する通帳印字処理を行う(S1207)。続いて、通帳処理部5の通帳搬送路28は、通帳印字部501による通帳印字処理が完了した通帳15を、通帳取引口16に搬送する通帳搬送処理を行う(S1208)。通帳取引口センサ25が、搬送された通帳15の排出を検知する(S1209)と、判別部7は、制御部10から取引終了指示を受け、ファン制御判定処理を行う(S1210)。ステップS1206にて、通帳処理部5の稼動ファン音レベルは4となっているので、判別部7は、稼動ファン音レベルが上部ユニットの基準ファン音レベルである2より大きいと判定(図9のS906:Y)する。制御部10は、判別部7の判定に基づき上部ファン8に対して、ファンの回転数を下げる指示を出す(図9のS907)。
【0068】
なお、通帳取引口センサ503による通帳15の検知をファン制御判定処理の契機として説明したが、表示/操作部2による通帳記帳(通帳記帳ボタンの押下)取引の受け付け、顧客検知センサ30による利用者の有無検知などをファン制御判定処理の契機としてもよい。
【0069】
図13は、取引カード13を用いた残高照会の際のファンの動作を示すフローチャートである。顧客センサ30は、ATM1前面の利用者の存在を検知(S1301)し、表示/操作部2は、出金(支払)、入金(預入れ)、残高照会、通帳記帳、振替え、振込み等の取引を表す取引ボタンが表示された操作案内画面を表示する(S1302)。表示/操作部2は、利用者による残高照会(残高照会ボタンの押下)を受け付け(S1303)、表示/操作部2は、利用者の口座番号と暗証番号の照合を行うための取引カード13をカード取引口14Bに挿入するように案内する。利用者の口座番号と暗証番号の照合を行うための取引カード13と、カード処理部6のカード取引口センサ603が、利用者による取引カード13の取引口14Bへの挿入を検知する(S1304)と、カード処理部6は、取引カード13を搬送するカード搬送処理を行う(S1305)。また、判別部7は、制御部10から取引開始指示を受け、ファン制御判定処理を行う(S1306)。図7、8の場合、判別部7は、カード処理部6の取引音レベルは1であり、上部ユニットの基準ファン音レベルである2より小さいと判定する(図9のS902:N)。制御部10は、判別部7の判定に基づき上部ファン8に対して、ファンの回転数を維持又は下げる指示を出す(図9のS904)。ファンの回転数を維持する場合、基準ファン音レベル2に相当する回転数で上部ファン8は回転を続けることとなり、稼動ファン音レベルは2となる。一方、ファンの回転数を下げる場合、稼動ファン音レベルが取引音レベル1に相当する回転数で上部ファン8を回転をするように制御する。
【0070】
カード処理部6は、取引カード13を搬送するとともに、取引カード13から口座番号を読み取るカード情報読取処理を行う(S1307)。ATM1は、表示/操作部2により利用者から暗証番号の入力を受け付け(S1308)、ホストコンピュータ11と通信を行い、ATM1又はホストコンピュータ11にて、カード処理部6が読み取った口座番号、利用者の暗証番号に基づく照合を行い、表示/操作部2は、ホストコンピュータ11から得た情報に基づき残高を表示する(S1309)。表示/操作部2が利用者からの残高照会の終了を受け付ける(S1310)と、制御部10は、カード処理部6に取引終了を通知し、カード取引口14Bから取引カード13を利用者に放出するようカード搬送処理を行う(S1311)。また、判別部7は、制御部10から取引終了指示を受け、ファン制御判定処理を行う(S1312)。ステップS904で、ファンの回転数を維持していた場合(上部ユニットの稼動ファン音レベルが2のままとなっている場合)、判別部7は、上部ユニットの基準ファン音レベルである2と同じと判定(図9のS906:N)する。制御部10は、判別部7の判定に基づき上部ファン8に対して、ファンの回転数を維持するように指示を出す(図9のS908)。一方、ステップS904で、ファンの回転数を下げていた場合(上部ユニットの稼動ファン音レベルを1としていた場合)、判別部7は、上部ユニットの基準ファン音レベルである2より小さいと判定(図9のS906:N)する。制御部10は、判別部7の判定に基づき上部ファン8に対して、基準ファン音レベルの回転数までファンの回転数を上昇するように指示を出す。(図9のS908)。
【0071】
なお、カード取引口センサ603による取引カード13の検知をファン制御判定処理の契機として説明したが、表示/操作部2による残高照会(残高照会ボタンの押下)を受け付け、顧客検知センサ30による利用者の有無検知などをファン制御判定処理の契機としてもよい。
【0072】
以上説明したように、取引により生じる取引音と、ファンの回転により生じるファン音とを比較し、取引音の方がファン音よりも大きいと判断した場合に、ファンの回転数を上げることにより、ファンの回転音が目立たないように装置の冷却をすることが可能となる。また、紙幣処理部3等の媒体処理部が雑音を伴う媒体の搬送、分離、繰出し、又は頁めくり等をしている際に、温度を下げることができるため、静寂な状態(例えば、媒体処理部が媒体の搬送、分離、繰出し、又は頁めくり等をしていない状態)にて、ファンの回転を抑制することが可能となる。つまり、媒体処理部が雑音を伴う媒体の搬送等をしている際に、温度を下げることができるため、消費電力に基づきファンの回転数を調整する場合よりも、ファンの回転による雑音を周囲の人に意識させないようにすることができる。
【0073】
また、ステップS902にて、取引音が基準ファン音よりも大きい場合にファンの回転数を上昇させ、小さい場合にファンの回転数を維持又は下げたが、基準ファン音ではなくとも、取引音が所定値以上の場合にファンの回転数を上昇させ、又は所定値よりも小さい場合にファンの回転数を下げることにより、つまり、取引音の大きさに応じて、ファンの回転数を上下させることによって、取引音により、相対的にファン音を目立たなくさせることが可能となる。
【0074】
また、ステップS902にて、取引音が基準ファン音よりも大きい場合に、ステップS903にて、稼動ファン音が取引音に相当するまでファンの回転数を上昇させたが、取引音よりも、小さい又は大きい稼動ファン音に相当するまで、回転数を上昇させるものであってもよい。取引音よりも小さい(基準ファン音よりは大きい)稼動ファン音で回転するように回転数を上昇させた場合、取引音よりもファン音を相対的に小さくできるので、利用者や周囲の人々に雑音と意識されることが少なくなる。一方、取引音よりも大きい稼動ファン音で回転するように回転数を上昇させた場合、装置全体として音を発している時間帯に、空気の攪拌を十分に行うことが可能となり、冷却効果を高めることが可能となり、静寂環境下でのファンの動作を抑制し、ファンの回転音目立たなくさせることが可能となる。
【0075】
また、制御部10は、ファン回転数を所定値上げる又は下げるように制御してもよい。これにより、ファンの回転数を制御するための複雑な処理を回避することが可能となる。
【0076】
また、上述の実施形態では紙幣処理部3の入金処理、出金処理、通帳処理部5の通帳記帳、カード処理部6の残高照会を一例として挙げたが、その他のユニットや、取引への適用も可能である。
【0077】
また、図10〜13では、上述の第二の実施形態を用いてファン制御判定処理について説明したが、第一、第三、第四等他の実施形態であっても取引のフローに関しては同様である。
【0078】
なお、上述した取引種類、媒体処理部、音の大きさのレベルは、本実施形態を示す一例に過ぎず、各取引種類において、音を発する媒体処理部の種類、音の大きさのレベルは、装置によって異なるものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。また、音の大きさをレベル化して説明したが、音の大きさそのものを用いても同様である。
【0079】
以上のように、空気を攪拌するファンと、ファンの回転数を制御する制御部と、取引により生じる取引音を所定値と比較する判別部とを備え、制御部は、判別部による比較の結果、利用者により選択された取引の取引音が所定値よりも大きいと判断された場合に、ファンの回転数を上げるように制御することにより、取引音が発せられているときに、装置を冷却することが可能となり、取引音が発せられていない時間帯に、ファンの回転数を抑制することが可能となる。このため、ファンの回転音を相対的に目立たないようにして、装置の冷却をすることができる。
【0080】
また、前述の所定値としては、取引が行われていないとき(例えば、待機状態)のファン音の大きさとすることにより、待機状態のファン音よりも取引音が大きい処理において、ファンの回転数を上昇させることが可能となる。
【0081】
また、制御部は、判別部により取引音が所定値よりも小さいと判断された場合に、ファンの回転数を下げる又は維持するように制御することにより、取引音が小さい場合であっても、ファン音を取引音に対して、相対的に目立たないようにして、装置の冷却をすることが可能となる。
【0082】
また、取引音と、ファン音を集める集音部を有することにより、装置の経年劣化に対して、取引音、ファン音の更新、変更が可能となる。
【0083】
また、取引により生じる取引音が所定値よりも大きな第一の取引と、取引により生じる取引音が前記所定値よりも小さな第二の取引とを行う自動取引装置の場合には、制御部は、取引を行っていない場合のファンの回転数に対して、前記第一の取引を行う場合に、ファンの回転数を上げるように制御し、前記第二の取引を行う場合に、取引を行っていない場合のファンの回転数に対して、ファンの回転数を維持又は下げることにより、ファンの回転数を相対的に目立たないようにして、装置の冷却が可能となる。
【符号の説明】
【0084】
1・・・ATM、2・・・表示/操作部、3・・・紙幣処理部、4・・・硬貨処理部、5・・・通帳処理部、6・・・カード処理部、7・・・判別部、8・・・下部ファン9・・・上部ファン、10・・・制御部、11・・・ホストコンピュータ、12・・・筐体、13・・・取引カード、14・・・カード取引口、15・・・通帳、16・・・通帳取引口、17・・・紙幣、18・・・紙幣取引口、19・・・硬貨、20・・・硬貨取引口、21・・・紙幣取引口センサ、23・・・紙幣格納庫、24・・・紙幣搬送路センサ、27・・・紙幣搬送路、30・・・顧客センサ、31・・・集音部、32・・・紙幣格納庫センサ401・・・硬貨格納庫、402・・・硬貨搬送路、405・・・硬貨搬送路センサ、406・・・硬貨格納庫センサ、501・・・通帳印字部、502・・・通帳搬送路、503・・・通帳取引口センサ、601・・・カードデータ取得部、602・・・カード搬送路、603・・・カード取引部センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引を行う自動取引装置であって、
空気を攪拌するファンと、
ファンの回転数を制御する制御部と、
取引により生じる取引音を所定値と比較する判別部とを備え、
前記制御部は、前記判別部による比較の結果、利用者により選択された取引の取引音が前記所定値よりも大きいと判断された場合に、ファンの回転数を上げるように制御することを特徴とする。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置であって、
前記所定値は、取引が行われていない状態における前記ファンの回転により生じるファン音であることを特徴とする。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動取引装置であって、
前記制御部は、前記判別部により前記取引音が前記所定値よりも小さいと判断された場合に、ファンの回転数を下げる又は維持するように制御することを特徴とする。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の自動取引装置であって、
前記取引音と、前記ファン音を集める集音部を有する。
【請求項5】
取引により生じる取引音が所定値よりも大きな第一の取引と、取引により生じる取引音が前記所定値よりも小さな第二の取引とを行う自動取引装置であって、
空気を攪拌するファンと、
ファンの回転数を制御する制御部と、
前記制御部は、取引を行っていない場合のファンの回転数に対して、前記第一の取引を行う場合に、ファンの回転数を上げるように制御し、前記第二の取引を行う場合に、取引を行っていない場合のファンの回転数に対して、ファンの回転数を維持又は下げることを特徴とする。
【請求項6】
請求項5に記載の自動取引装置であって、
前記第一の取引は、貨幣を搬送する貨幣搬送処理を行う取引であることを特徴とする。
【請求項1】
取引を行う自動取引装置であって、
空気を攪拌するファンと、
ファンの回転数を制御する制御部と、
取引により生じる取引音を所定値と比較する判別部とを備え、
前記制御部は、前記判別部による比較の結果、利用者により選択された取引の取引音が前記所定値よりも大きいと判断された場合に、ファンの回転数を上げるように制御することを特徴とする。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置であって、
前記所定値は、取引が行われていない状態における前記ファンの回転により生じるファン音であることを特徴とする。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動取引装置であって、
前記制御部は、前記判別部により前記取引音が前記所定値よりも小さいと判断された場合に、ファンの回転数を下げる又は維持するように制御することを特徴とする。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の自動取引装置であって、
前記取引音と、前記ファン音を集める集音部を有する。
【請求項5】
取引により生じる取引音が所定値よりも大きな第一の取引と、取引により生じる取引音が前記所定値よりも小さな第二の取引とを行う自動取引装置であって、
空気を攪拌するファンと、
ファンの回転数を制御する制御部と、
前記制御部は、取引を行っていない場合のファンの回転数に対して、前記第一の取引を行う場合に、ファンの回転数を上げるように制御し、前記第二の取引を行う場合に、取引を行っていない場合のファンの回転数に対して、ファンの回転数を維持又は下げることを特徴とする。
【請求項6】
請求項5に記載の自動取引装置であって、
前記第一の取引は、貨幣を搬送する貨幣搬送処理を行う取引であることを特徴とする。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】


【図15】


【図16】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】


【図15】


【図16】


【公開番号】特開2012−155638(P2012−155638A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15930(P2011−15930)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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