説明

自動取引装置、顧客検知方法およびプログラム

【課題】利用者の位置を把握し、媒体の取り忘れ警告等の適切な案内が可能な自動取引装置、顧客検知方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】顧客の操作に基づき取引を自動で実行する自動取引装置であって、所定の検出距離内に物体が存在するか否かを検出する検出部と、前記検出部の検出結果に応じて前記検出距離を変化させる調整部と、前記調整部に前記検出距離を変化させ、変化させた前記検出距離において前記物体が存在するか否かを前記検出部に検出させて前記物体の動きを把握することにより、前記顧客の動きを把握する制御部と、を有することを特徴とする自動取引装置により、上記課題の解決を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置、顧客検知方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動預け払い機(ATM)等の自動取引装置には、利用者の接近を検知するための赤外線センサなどの検知手段が備わっている(例えば、特許文献1参照)。利用者の接近をより的確に検知するため、近接センサを備えた自動取引装置が複数備えられている場合に、外来の超音波が一定時間連続して検出されているときには、超音波を発生させないようにした自動取引装置もある。このような構成により、複数の自動取引装置が、互いの近接センサの干渉を防止するようにしている(例えば、特許文献2参照)。さらに、異なる種類の音波または電磁波を発信および受信する送受信手段を設け、より適した方法で物体までの距離を計測するようにした自動取引装置も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
上記のような自動取引装置では、センサの検出可能距離が固定されており、設定された距離内に利用者がいるかいないかのみを判断している。利用者がいないという判別結果は、装置部品の寿命や消費電力低減の観点から、表示画面を消す機能や媒体取り忘れが発生した際の警告音の出力タイミングとして利用されている。
【0004】
しかし、現状のようにセンサの検出可能距離が固定されていると、利用者がある程度離れた後に取り忘れ警告音が出力されることがあり、利用者が取り忘れに気がつかない場合などがある。このため、赤外線センサの感度を遠い距離用と近い距離用の2段階に変化させるように構成された自動取引装置が提案されている。このような取引装置により、現金や通帳などの取り忘れを防止する機能を向上させることを目指している(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−161596号公報
【特許文献2】特開平11−53615号公報
【特許文献3】特開平11−134534号公報
【特許文献4】特開2008−299745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、センサの感度を2段階に変化させる方法では、遠近のみの変化のため、顧客の案内の種類も限られることになり、適切な音量やタイミングで警告を発することは難しい。また、取り忘れではないのに取り忘れ防止の案内を発してしまう可能性がある。
【0007】
例えば、取引終了後、利用者が現金や媒体等を抜き忘れた場合には、上記の例では媒体等の放出後、抜き取りが確認できないまま近距離の検知がはずれたときに警告音を鳴らす。しかし、音量が小さすぎる、また利用者が急いでいるなどした場合には、取り忘れに気がつかない場合がある。逆に音量が大きすぎると利用者が不快に感じることがあり、顧客サービスの観点から好ましくない。
【0008】
また、センサを、ある一定距離範囲を検知可能に設定したとしても、接近者の服の色などにより検知可能な距離が異なり、不適切なタイミングにて案内が行なわれてしまう場合がある。例えば、仕様設定距離よりも短い距離でしか検知できない色の服を着た利用者が接近した場合、近距離設定にて検知することができず、媒体排出時に取り忘れと誤認識してアラームを出力してしまい、利用者に不快感を与えてしまうことが懸念される。
【0009】
そこで本発明は、1台のセンサの検知可能範囲を変化させて、自動取引装置に接近している利用者を常に検知することで利用者の位置を把握し、取り忘れ警告等の適切な案内が可能な自動取引装置、顧客検知方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による自動取引装置は、顧客の操作に基づき取引を自動で実行する自動取引装置であって、所定の検出距離内に物体が存在するか否かを検出する検出部と、前記検出距離を変化させる調整部と、前記検出部による前記物体が存在するか否かの検出結果に応じて前記調整部を制御して前記検出距離を変化させるとともに、変化させた前記検出距離において前記物体が存在するか否かを前記検出部に検出させる制御を行うことにより前記顧客の動きを把握する制御部と、を有することを特徴としている。
【0011】
本発明による顧客検知方法は、自動取引装置における顧客検知方法であって、検出距離内に物体が存在するか否かを検出する検出部の検出結果に応じて前記検出距離を変更し、変更した前記検出距離において前記物体が存在するか否かを前記検出部に検出させることにより前記自動取引装置を利用する顧客の動きを把握することを特徴としている。
【0012】
なお、上述した本発明に係る方法をコンピュータに行わせるためのプログラムであっても、このプログラムを当該コンピュータによって実行させることにより、上述した本発明に係る方法と同様の作用・効果を奏するので、前述した課題が解決される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、利用者の位置を把握し、媒体の取り忘れ警告等の適切な案内が可能な自動取引装置、顧客検知方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態による自動取引装置の概観図である。
【図2】本発明の一実施の形態による自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態による顧客センサの感度と検出距離との関係を示す表である。
【図4】本発明の一実施の形態による顧客センサの感度設定値と検出距離との関係を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態による顧客検知方法の概念を説明する図であり、(a)利用者待ち状態を示し、(b)は、物体検知後検出距離を短くした状態を示し、(c)は、(b)において利用者が検出された場合を示し、(d)は、さらに検出距離短くした場合を示し、(e)は、取引開始距離で利用者の存在が検知されている場合を示し、(f)は、(b)において、利用者が検知されない場合を示し、(g)は、(f)で利用者が検知されないままタイムアウトした場合を示し、(h)は、検出距離を長くしたときに利用者が検出された場合を示し、(i)は、(g)の状態から検出距離を長くしながら利用者の存在を監視する状態を示す。
【図6】本発明の一実施の形態による顧客検知方法を顧客の状態別に列挙した表である。
【図7】本発明の一実施の形態による利用者接近時の自動取引装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態による取引中の自動取引装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態による取り忘れ時の自動取引装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施の形態による取引終了時の自動取引装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施の形態による自動取引装置の利用者の標準的な動きを示す図である。
【図12】本発明の一実施の形態による自動取引装置に接近中に利用者が速度を減速する例を示す図である。
【図13】本発明の一実施の形態による利用者が自動取引装置に接近しながら、取引開始距離に到達する前に引き返す例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施の形態による自動取引装置およびその顧客検知方法について説明する。本実施の形態においては、自動取引装置の一例として、現金自動預払機として用いられる自動取引装置1を例にして説明する。まず、図1、図2を参照しながら、自動取引装置1の構成について説明する。図1は、自動取引装置1の概観図、図2は、自動取引装置1の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、自動取引装置1は、本体2の前面側に、例えばタッチパネルが備えられた画面17を有し、画面17を見ながらタッチパネルを介して操作することにより、入出金や通帳記入などの取引を行う装置である。
【0017】
図1、図2に示すように、自動取引装置1は、さらに、制御部3、顧客センサ5、紙幣ユニット7、カードユニット9、硬貨ユニット11、レシートユニット13、音声部15を有している。制御部3は、演算部21、記憶部23を有しており、演算部21が記憶部23に予め格納された不図示のプログラムを読み込み実行することにより、自動取引装置1における各処理を行う。また、演算部21は、計時機能を有している。記憶部23は、センサ設定データ記憶部25、内部ステータス記憶部27、タイマ設定値記憶部29を有している。
【0018】
センサ設定データ記憶部25は、顧客センサ5が顧客の存在の有無を検出する際に設定される検出可能な距離に対応した情報を示すセンサ設定データを格納している。なお、センサ設定データは、顧客センサ5の感度として設定されている。内部ステータス記憶部27は、自動取引装置1の取引状態と、顧客センサ5により検出される顧客の動きとに応じて自動取引装置1において設定される情報である内部ステータスを格納する。内部ステータスは、センサ感度制御用ステータスであり、センサ感度は、内部ステータスに基づきセンサの設定値の増減を制御される。内部ステータスには、「利用者待ち」「接近中」「取引中」「取り忘れ」「取引終了」があるが、詳細は後述する。
【0019】
タイマ設定値記憶部29は、タイマA設定値31、タイマB設定値32、タイマC設定値33、タイマD設定値35、タイマE設定値36、タイマF設定値37を格納している。タイマAは、利用者接近待ちタイマであり、タイマBは、利用者探索時間タイマであり、タイマCは、誘導案内出力タイマである。タイマDは、誘導案内出力時間タイマであり、タイマEは、媒体放出時間タイマであり、タイマFは、利用者離脱待ちタイマである。各タイマの詳細については後述する。
【0020】
顧客センサ5として一般的に広く利用されているものはアクティブセンサであり、例えば赤外光(赤外線)を発光し、発光した赤外光の反射波を検出する。顧客センサ5は、電源41、発光制御部43、発光部45、受光部47、増幅回路49、感度調整部53、状態比較部51、出力部55を有している。発光部45、受光部47は、図1に示すように自動取引装置1の前面に備えられている。
【0021】
電源41は、顧客センサ5を稼動させるための電源である。発光制御部43は、発光部43が発光する光の強度、発光間隔等を制御する。発光制御部43は、発光部45が光を例えば周期的に発光するように制御する。発光部45は、例えば赤外光を発光する発光ダイオード等の光源である。
【0022】
受光部47は、物体が接近することにより反射された赤外光を受光する。受光部47は、赤外光を受けると光起電力を発生し、電流を発生させる検出器である。受光部47は、例えば、フォトトランジスタである。増幅回路49は、受光部47で赤外光が受光されることにより発生した電流を増幅する。感度調整部53は、増幅回路49の増幅率を調整することにより、受光部47の感度を調整する。感度が調整されることにより、発光部45により発光された赤外光が物体により反射されて受光部47により検出される場合の、物体と受光部47との最大距離が調整される。
【0023】
状態比較部51は、受光部47で受光された赤外光が、発光部45からの赤外光の反射光であるか否かを比較するため、発光制御部43により制御された発光部45の発光パターンと、増幅回路49で増幅された電流に同期が取れているかを比較する。出力部55は、状態比較部51で比較された結果を出力する。すなわち、発光部45からの発光パターンと受光部47で検出された光のパターンとが同期が取れている場合には、受光された光は検出距離内の物体により反射された反射光であることになり、出力部55は、自動取引装置1への接近者を検知したことを出力する。
【0024】
ここで、受光部47により物体を検出できる距離について説明する。物体と受光部47との距離が大きいと、受光部47が受け取る物体からの反射光が減少し、小さな電流しか流れないため、受光部47は光を検知したと認識しない。しかし、増幅回路49は、受光部47から出力される電流を増幅するので、この増幅率を大きく設定すれば、遠距離にある物体からの反射により生ずる小電流を検知できるようにすることができる。よって増幅率を制御することにより、検出可能な物体の距離を変化させることができる。すなわち、検出可能に設定された距離内に接近した物体の存在のみが検知されるようにすることができる。以下、受光部47が物体の存在を検出可能な距離を、検出距離dということにする。
【0025】
図3、図4を参照しながら、顧客センサ5による検出距離についてさらに説明する。図3は、顧客センサ5の感度と、検出距離dとの関係を示す表、図4は、顧客センサ5の感度設定値と検出距離との関係を示す図である。
【0026】
図3に示すように、表60は、感度設定値Sに対する検出距離dを示している。例えば、センサは、感度設定値Sが10進数で、0〜255までの256段階に分かれている。感度設定値Sが10進数で「9」のときには、自動取引装置1内部で用いられる16進数では「0×09」であり、このとき距離200センチメートル(cm)までの物体を検出することができる。同様に、感度設定値Sが10進数で20の時には、16進数では「0×14」であり、160cmまでに存在する物体を検出することができる。このように、感度設定値Sを変化させることにより、検出距離dを段階的に変化させることができる。尚、ここでは、10進数は人が理解できるように表現し、16進数は、センサ等の部品の制御が16進数での取り扱いとなっているため、16進数で表している。
【0027】
図4は、10進数表示の感度設定値Sを横軸にとり、縦軸に検出距離dを表した図である。図4に示すように、増幅回路49の増幅率を感度調整部53により変化させて感度設定値Sを変化させることにより、検出距離dの値を変化させることができる。以下、増幅回路49の増幅率を変化させることを、「顧客センサ5の感度を切り替える」と記述する。
【0028】
なお、本実施の形態においては、顧客位置を把握するために、顧客センサ5の感度を連続して、所定の距離毎に変化させていく。具体的には、一定時間(例えば0.1s)ごとにセンサの検知あり、なしを確認し、検知ありの場合は、例えば、顧客センサ5の感度を検出距離が0.2mずつ変化するように切り替えることにより、設定した検出距離dがほぼ接近者の距離となるようにする。
【0029】
図1、図2を再び参照して、紙幣ユニット7は、紙幣を入金または出金するとともに、紙幣の出し入れに応じた信号を出力することにより、紙幣の有無を検出する装置である。カードユニット9は、例えばキャッシュカードを挿入または排出するとともに、記録された情報を読取るための装置である。また、カードユニット9は、キャッシュカード等の有無に応じた信号を出力することにより、キャッシュカードの有無を検出する。
【0030】
硬貨ユニット11は、硬貨を入出金するとともに、硬貨の出し入れに応じた信号を出力することにより、硬貨の有無を検出する装置である。レシートユニット13は、入出金等、取引の履歴を印刷して出力するとともに、レシートの有無に応じた信号を出力することにより、レシートの抜き取り有無を検出するための装置である。音声部15は、操作に関する案内や、例えばキャッシュカードや現金などの取り忘れを防止するために、取り忘れを警告する音声を出力するための装置である。
【0031】
以上のように構成される自動取引装置1は、顧客が本体2に近づいて、例えば画面17により所望の処理の種類を選択し、画面17に表示される操作を行うことにより、自動取引を実行することができる。例えば、顧客は、キャッシュカードをカードユニット9に挿入し、画面17にて暗証番号を押し、等の操作を順次行うことにより、顧客の預金口座から現金を引き出すなどの取引を行なうことができる。このとき、演算部21は、画面17、カードユニット9等による操作を、取引開始情報として取得する。
【0032】
次に、以上のように構成される自動取引装置1における顧客検知方法について説明する。まず、図5、図6を参照しながら自動取引装置1における顧客検知方法の概要を説明する。図5は、顧客検知方法の概念を説明する図、図6は、顧客検知方法を顧客の状態別に列挙した表である。
【0033】
図5(a)は、自動取引装置1が、検出距離内に利用者が進入するのを待っている状態を示している。なお、本実施の形態において、検出距離dとして設定される最大の距離は、2.0mであるとする。利用者の進入を待っている状態では、検出距離dは、最大の検出距離d=d1=2.0mと設定される。すなわち、顧客センサ5において、増幅回路49の増幅率は、図3に示すように10進数で「9」になるように調整部53により調整され、距離2.0mの範囲にある物体による反射光を検知できるように設定されている。このように、自動取引装置1が取引を実行していない状態で、最大の検出距離d内に利用者70が進入するのを待っている状態を、「利用者待ち」の内部ステータスであるという。
【0034】
図5(b)は、最大の検出距離d=d1で物体が検知され(以下、所定の検出距離内で物体が存在することが検知されるのを「利用者が検知される」ということにする。)、制御部3の演算部21により、検出距離dを変化させた場合を示している。ここでは、最大の検出距離d=d1において利用者が検知されると、変化量Δdだけ検出距離dを短くして、検出距離d=d2=d1−Δdとし、利用者が検知されるか否かを判別する。
【0035】
図5(c)は、検出距離d=d2において、利用者70が検知された場合である。このとき、演算部21は、利用者が自動取引装置1に接近中であると判別し、この状態の内部ステータスは「接近中」とする。
【0036】
図5(d)は、さらに検出距離dを変化量Δdずつ短くして利用者70の存在を検知する場合を示している。すなわち、検出距離d=d3=d2−n1Δd(ここで、n1は自然数)として段階的に検出距離dを縮小させ、縮小させる毎に利用者70の存在が検知されている場合である。このとき、内部ステータスは「接近中」のままである。
【0037】
図5(e)は、検出距離d=d3=d2−n1Δdとして、検出距離dの最小値、例えば40cmまで検出距離dを縮小した状態で、利用者70の存在が検知されている場合を示している。検出距離dの最小値とは、利用者が自動取引装置1において取引を行う距離を想定しており、本実施の形態では40cmと設定されているとする。このとき、利用者が画面17等により何らかの操作をすると、制御部3は利用者の操作を検知し、取引が開始されたと認識する。このとき、内部ステータスは「取引中」とされる。
【0038】
図5(f)は、図5(b)の検出距離d=d2=d1−Δdにおいて、利用者が検知されない場合を示す。このとき、制御部3は、検出距離d=d2のまま、タイマAをスタートさせる。ここで、タイマAは、利用者待ち時間を計測するタイマである。このとき、タイマ設定値記憶部29にタイマA設定値31が予め格納されており、タイマAの計測値TAがタイマA設定値31未満の場合には、利用者の存在有無を監視し続ける。検知された場合は、図5(c)の場合となる。
【0039】
図5(g)は、図5(f)で利用者が検知されないまま、タイマAの計測値TAがタイマA設定時間31を超えた場合を示す。このとき制御部3は、検出距離d=d4=d2+Δdとするとともに、タイマBをスタートさせる。ここで、タイマBは、利用者探索時間を計測するタイマである。このとき、タイマ設定値記憶部29にタイマB設定値32が予め格納されており、タイマBの計測値TBがタイマB設定値32未満の場合には、利用者の存在有無を監視し続ける。
【0040】
図5(h)は、検出距離d=d4のときに、利用者70が検出された場合を示す。このときは、検出距離d=d4の状態で、取引操作が行われなければ、図5(a)の状態から処理を継続する。
【0041】
図5(i)は、図5(g)の状態から、タイマBの計測値TBがタイマB設定値32以内の間、検出距離d=2.0mとなるまで検出距離d=d2+n2Δd(ここで、n2は自然数)、すなわち、検出距離dを変化量Δdずつ増加させることを繰り返し、利用者の存在を監視する。検知されずに、タイマBがタイマB設定値32を超えるか、検出距離dが最大の検出距離d=2.0mになるかした場合には、内部ステータスを「利用者待ち」に変える。また、図5(b)〜図5(i)の状態において、検出距離が最大以上の時、例えば、図5(f)のd2や図5(g)〜(i)のd4≧d1となった場合は、検出範囲を超えるので、最大検出距離のままとなる。
【0042】
以上をまとめたものが、図6の表である。表80には、利用者状態82、内部ステータス83、センサ検知有無84、動作契機85、装置動作86を場合分けして示している。利用者状態82は、自動取引装置1に対する利用者の行動を示す。例えば、「利用者なし」とは、自動取引装置1を利用しようとしている利用者がいない状態である。「利用者接近」は、利用者が自動取引装置1へ接近している状態である。「停止/減速」とは、自動取引装置1へと接近している利用者が、接近途中で近づく速度を落とす、または立ち止まっている状態である。
【0043】
「引き返す」とは利用者が自動取引装置1へ接近途中で引き返す状態である。「操作可能距離」とは、利用者が操作を開始できる位置まで接近した状態である。「操作開始」は利用者が画面17に触れる、不図示のボタンを押すなどを行い、操作を開始した状態である。「操作中」は自動取引装置1で入出金等の取引が行われている状態である。「利用者離脱」とは、利用者が自動取引装置1から離れていく状態である。「再接近」とは利用者が自動取引装置1における取引を終了し、装置から離れた後、何らかの理由により再度、装置に近づく状態である。
【0044】
内部ステータス83は、自動取引装置1における取引の状態および利用者の動きの状態に応じて自動取引装置1において設定される情報である。「利用者待ち」とは、検出距離を最大にした状態で、利用者が検出されるのを待っている状態を示す情報である。「接近中」とは、検出距離内で自動取引装置1に利用者が近づいていると検知されている状態を示す情報である。「取引中」とは、自動取引装置1において、入出金などの処理が行われている状態を示す情報である。「取り忘れ」とは、自動取引装置1においてキャッシュカード、現金などが排出された状態で利用者の離脱が検知された状態を示す情報である。「取引終了」とは、自動取引装置1における取引が終了し、利用者が検出距離の範囲外に離脱するまでの状態を示す情報である。
【0045】
センサ検知有無84は、顧客センサ5により利用者が検知されているか(○)否か(×)を示す情報である。動作契機85は、内部ステータス83とセンサの検知有無84以外に自動取引装置1がその動作をするタイミングを記述している。装置動作86は、各項目における自動取引装置1の動作である。以下、図6の各項目について説明する。
【0046】
図6に示すように、項目101は、自動取引装置1が取引動作を行なっていない状態で、利用者の接近を監視している状態である。すなわち、利用者状態82は「利用者なし」、内部ステータス83は、「利用者待ち」であり、最大の検出距離(本実施の形態においては例えば2.0m)内には利用者が検出されていない状態である。センサ検知有無84は、このとき「検知なし(×)」であり、動作契機85は、ない。このとき、装置動作86として、0.1秒毎に顧客センサ5により利用者の存在が検出されるか否かをチェックする。
【0047】
項目102は、項目101の状態において、省電力モードに移行する場合である。利用者状態82は、「利用者なし」であり、内部ステータス83は、「利用者待ち」であり、センサ検知有無84は、「検知なし」である。動作契機85は、項目101の状態になってから所定時間、例えば20秒経過した場合である。このとき、装置動作86として、自動取引装置1は、画面を消すなど省電力モードへ移行する。動作契機85となる所定時間は、演算部21内部の計時機能により計測される。
【0048】
項目103は、最大の検出距離d=d1において利用者の接近を検知した状態である。すなわち、利用者状態82は、「利用者接近」、内部ステータス83は、「利用者待ち」、センサ検知有無84は、「検知有り(○)」、動作契機85はない。このとき、装置動作86は、検出距離d=d1を変化量Δd(例えば、本実施の形態においては0.2m)短く(d1−Δd)設定し、内部ステータス83を、「接近中」に更新することである。また、内部ステータス83が「接近中」に更新されたとき、タイマAをスタートさせる。タイマAは、利用者接近待ちタイマであり、内部ステータス83が「利用者待ち」であって、利用者が検出されてからの時間を計測する。利用者を検知できなくなった際に、顧客センサ5の感度を変化させずに利用者の接近を待つためのタイマである。
【0049】
項目104は、自動取引装置1が取引動作中でないときに、利用者が自動取引装置1に接近している状態である。すなわち、利用者状態82は、「利用者接近」であり、内部ステータス83は、「接近中」、センサ検知有無84は、「検知有り」、動作契機85は、ない。このとき、装置動作86として、現在の検出距離dをさらに変化量Δd=0.2m短く設定する。
【0050】
項目105は、利用者が自動取引装置1に接近中に停止したり、接近速度を減速したりした状態である。すなわち、利用者状態82は、「利用者接近」、内部ステータス83は、「接近中」、センサ検知有無84、動作契機85は、ともに「なし」である。このとき、装置動作86として、現在の顧客センサ5の検出距離dの設定を、タイマAの計測時間TAがタイムアウトする(計測時間TAがタイマA設定値31を超える)まで変化させない。
【0051】
項目106は、利用者が自動取引装置1に接近中に引き返す状態である。すなわち、利用者状態82は、「引き返す」、内部ステータス83は、「接近中」、センサ検知有無84は、「検知なし」、動作契機85は、タイマAのタイムアウトである。このとき、装置動作86として、現在の顧客センサ5の検出距離dを変化量Δd=0.2m長く設定し、利用者を探索する。また、タイマBをスタートさせる。なお、タイマBは、利用者探索時間タイマであり、タイマAのタイムアウト後、利用者位置を探索するためにセンサ感度を長く設定する探索動作の動作時間である。
【0052】
項目107は、最大検出距離内に、利用者が検出できなくなった状態である。すなわち、利用者状態82は、「引き返す」、内部ステータス83は、「接近中」、センサ検知有無84は、「検知なし」、動作契機85は、タイマBのタイムアウト、または検出距離=2.0mである。このとき、装置動作86としては、顧客センサ5の検出距離を最大値=2.0mに設定するとともに、内部ステータス83を「利用者待ち」にする。
【0053】
項目108は、利用者が検出された際に省電力モードを解除する状態である。すなわち、利用者状態82は、「利用者接近」、内部ステータス83は、「接近中」、センサ検知有無84は、「検知有り」、動作契機85は、省電力モードになるか、顧客センサ5の検出距離が最大の検出距離dよりも小さい一定値(例えば1.0m)となるかである。装置動作86として、画面を利用可能な状態とし、「いらっしゃいませ」など、メッセージを出力する。
【0054】
項目109は、利用者が自動取引装置1の操作可能な距離内にいると検出された状態である。すなわち、利用者状態82は、「操作可能距離」、内部ステータス83は、「接近中」、センサ検知有無84は、「検知あり」、動作契機85は、利用者が操作可能な距離、例えば0.4m内に存在すると検出されたときである。このとき、装置動作86として、キャッシュカード等のカード挿入可能状態とし、取引開始を促す案内メッセージを出力する。
【0055】
項目110は、取引操作を開始する状態である。すなわち、利用者状態82は、「操作開始」、内部ステータス83は、「接近中」、センサ検知有無84は、「検知あり」、動作契機85は、画面17による入力やボタンの押下等の取引開始情報である。このとき、装置動作86として、内部ステータス83を、「取引中」とし、取引の処理動作を行なう。
【0056】
項目111は、タイマCをスタートさせる状態である。タイマCは、自動取引装置1での取引中における、誘導案内出力タイマであり、利用者状態82が、「操作中」、内部ステータス83が「取引中」にて、センサ検知有無84が「検知なし」状態の時間を計測する。利用者状態82が、「操作中」、内部ステータス83が「取引中」にて、センサ検知有無84が「検知なし」状態の場合、自動取引装置1動作86として、タイマCをスタートさせる。
【0057】
項目112は、タイマCがタイムアウトした状態である。タイマCに関しては、予め定められたタイマC設定値33がタイマ設定値記憶部29に格納されている。このとき、利用者状態82は、「操作中」、内部ステータス83は、「取引中」、センサ検知有無84は、「検知なし」、動作契機85は、タイマCのタイムアウトである。センサCのタイムアウトとは、センサCの計測値TCが、タイマC設定値33を超えることである。このとき、装置動作86として、利用者を顧客センサ5で検知可能な範囲に誘導する案内メッセージを出力させ、タイマDをスタートさせる。タイマDは、誘導案内出力時間タイマであり、案内メッセージが出力され始めてからの経過時間を計測する。タイマDに関しては、予め定められたタイマD設定値35がタイマ設定値記憶部29に格納されている。
【0058】
項目113は、顧客センサ5の故障を検出する状態である。すなわち、利用者状態82は、「操作中」、内部ステータス83は、「取引中」、センサ検知有無84は、「検知なし」、動作契機85は、タイマDのタイムアウトである。タイマDのタイムアウトとは、タイマDの計測値TDが、タイマD設定値35を超えることである。このように、内部ステータス83が「取引中」において、顧客センサ5のセンサ検知有無84が「検知なし」状態が続き、タイマDがタイムアウトした場合、装置動作86として、顧客センサ5の故障と判断して使用を停止し、エラー情報を通知する。
【0059】
項目114は、自動取引装置1における取引操作の終了の状態である。すなわち、利用者状態82は、「操作終了」、内部ステータス83は、「取引中」、センサ検知有無84は、「検知有り」、動作契機85は、自動取引装置1における取引終了である。このとき装置動作86として、内部ステータス83を「取引終了」とし、取引終了後、後述する、利用者が自動取引装置1から離れる際の動作を行う。
【0060】
項目115は、自動取引装置1から、例えばキャッシュカードや現金等の媒体が排出されているにもかかわらず、自動取引装置1から引き抜かれない状態である。すなわち、利用者状態82は、「操作終了」、内部ステータス83は、「取引中」、センサ検知有無84は、「検知有り」、動作契機85は、自動取引装置1における媒体の取り忘れである。このとき、装置動作86として、内部ステータス83を「取り忘れ」とし、後述する、取り忘れ時の動作を行なう。
【0061】
項目116は、媒体の取り忘れの状態である。すなわち、利用者状態82は、「利用者離脱」、内部ステータス83は、「取り忘れ」、センサ検知有無84は、「検知なし」、動作契機85は、ない。このとき、装置動作86として、検出距離dを変化量Δd長く設定し、タイマEをスタートさせる。
【0062】
タイマEは、媒体放出時間タイマである。内部ステータス83が「取り忘れ」の場合、取り忘れ媒体の放出時間をカウントする。タイマEに関しては、予め定められたタイマE設定値36がタイマ設定値記憶部29に格納されている。
【0063】
項目117は、媒体取り忘れを利用者に知らせる警告を出力する状態である。すなわち、利用者状態82は、「再接近」、内部ステータス83は、「取り忘れ」、センサ検知有無84は、「検知有り」、動作契機85は、検出距離dが1.5m以上である。このとき、装置動作86として、自動取引装置1からの距離が例えば2.0mでも聞こえる音量の警告音を出力する。
【0064】
項目118は、媒体取り忘れを利用者に知らせる警告を出力する状態である。すなわち、利用者状態82は、「再接近」、内部ステータス83は、「取り忘れ」、センサ検知有無84は、「検知有り」、動作契機85は、検出距離dが1.0m以上である。このとき、装置動作86として、自動取引装置1からの距離が例えば1.5mでも聞こえる音量の警告音を出力する。
【0065】
項目119は、媒体取り忘れを利用者に知らせる警告を出力する状態である。すなわち、利用者状態82は、「再接近」、内部ステータス83は、「取り忘れ」、センサ検知有無84は、「検知有り」、動作契機85は、検出距離dが0.5m以上である。このとき、装置動作86として、「お取り忘れがございます」などの音声案内を出力する。
【0066】
項目120は、取り忘れ媒体を自動取引装置1へ取り込む状態である。すなわち、利用者状態82は、「利用者離脱」、内部ステータス83は、「取り忘れ」、センサ検知有無84は、「検知なし」、動作契機85は、タイマEのタイムアウトである。このとき、装置動作86として、取り忘れ媒体の自動取引装置1への取り込みを行い、内部ステータス83を「利用者待ち」とする。タイマEのタイムアウトとは、タイマEの計測値TEが、タイマE設定値36を超えることである。
【0067】
項目121は、取り忘れられた媒体が抜き取られたことを確認する状態である。すなわち、利用者状態82は、「再接近」、内部ステータス83は、「取り忘れ」、センサ検知有無84は、「検知有り」、動作契機85は、自動取引装置1からの媒体の抜き取りである。このとき、装置動作86として、内部ステータス83を「取引終了」とし、後述する利用者の離脱時の動作を行なう。
【0068】
項目122は、利用者の自動取引装置1からの離脱の状態である。すなわち、利用者状態82は、「利用者離脱」、内部ステータス83は、「取引終了」、センサ検知有無84は、「検知なし」、動作契機85は、ない。このとき、装置動作86として、検出距離dを変化量Δdずつ長く設定する。
【0069】
項目123は、タイマFをスタートさせる状態である。すなわち、利用者状態82は、「利用者離脱」、内部ステータス83は、「取引終了」、センサ検知有無84は、「検知なし」、動作契機85は、ない。このとき、装置動作86として、タイマFをスタートさせる。
【0070】
タイマFは、利用者離脱待ちタイマである。すなわち取引終了後、利用者が装置から離れるまでの時間を計測するタイマである。タイマFに関しては、予め定められたタイマF設定値37がタイマ設定値記憶部29に格納されている。
【0071】
項目124は、取引終了時に利用者が再接近する状態である。すなわち、利用者状態82は、「再接近」、内部ステータス83は、「取引終了」、センサ検知有無84は、「検知有り」、動作契機85は、タイマFのタイムアウトである。すなわち、タイマFがタイムアウトした場合、装置動作86として、利用者が立ち止まっているか再度装置接近していると判断し、顧客センサ5の感度を周期的に変化量Δd分短く設定する。タイマFのタイムアウトとは、タイマFの計測値TFが、タイマF設定値37を超えることである。
【0072】
項目125は、取引終了後に、利用者が再度取引を行う状態である。すなわち、利用者状態82は、「再接近」、内部ステータス83は、「取引終了」、センサ検知有無84は、「検知有り」、動作契機85は、不図示のボタンの押下等、取引開始情報である。このとき、装置動作86として、内部ステータス83を「取引中」とし、後述する取引中の動作を行なう。
【0073】
項目126は、取引が終了した後、利用者の離脱を検出する状態である。すなわち、利用者状態82は、「利用者離脱」、内部ステータス83は、「取引終了」、センサ検知有無84は、「検知なし」、動作契機85は、検出距離dが最大値、例えば2.0mとなった場合である。このとき、装置動作86として、内部ステータス83を「利用者待ち」とする。
【0074】
以上の自動取引装置1の動作を、図7から図10のフローチャートを参照しながら説明する。まず、図7を参照しながら、利用者の接近時の動作について説明する。図7は、利用者接近時の自動取引装置1の動作を示すフローチャートである。図7に示す動作を、以下、利用者接近時の動作ということにする。
【0075】
図7に示すように、まず、制御部3の演算部21は、0.1秒(S)経過するまで、経過したか否かの判別を繰り返す(S152:NO、図6の項目101、以下単に、項目101等という)。このとき、内部ステータス記憶部27の内部ステータスは「利用者待ち」である。
【0076】
演算部21は、0.1秒経過したと判別すると(S152:YES)、顧客センサ5が、物体(利用者)の存在を検知しているか否か判別する(S153)。顧客センサ5は、0.1秒ごとに、状態比較部51で比較された結果を出力する。すなわち、演算部21は、センサ設定データ記憶部25から、設定したい検出距離dに相当するセンサ設定データを取得し、感度調整部53に設定することにより、顧客センサ5の感度を設定する。演算部21は、出力部55の出力を取得し、利用者が検出されているか否かを判別する。ここで、例えば20秒等、所定時間以上利用者が検知されない場合(S153:NO)には、画面17を消す等、省電力モードに移行するようにしてもよい(項目102)。
【0077】
利用者の存在が判別されると(S153:YES、項目103)、演算部21は、センサ設定データ記憶部25から、設定データを読取り、対応する検出距離dを利用者の距離として取得する。演算部21は、取得した距離が、利用者にとって自動取引装置1での取引が開始可能な距離(以下、取引開始距離という)であるか否かを判別する(S154)。取引開始距離は、予め定めて、例えば記憶部23に格納しておくことが好ましい。本実施の形態においては、例えば0.4mとすることができる。なお、S153において、利用者の存在が検知された際に、演算部21は、内部ステータス記憶部27の内部ステータスを「接近中」に更新する。
【0078】
顧客センサ5の感度が、取引開始距離に対応する感度でない場合には(S154:NO)、演算部21は、タイマAの計測値TAをクリアし、新たにスタートさせ(S155、項目104)、顧客センサ5の設定値を0.2m短くして、処理をS157に進める。このとき演算部21は、記憶部23のセンサ設定データ記憶部25の現設定値を読み出し、0.2m短く設定した値を現設定値としてセンサ設定データ記憶部25に書き込むと共に、顧客センサ5の感度調整部53へ設定することにより、検出距離dを変更する。
【0079】
顧客センサ5の感度が、取引開始距離に対応する感度である場合には(S154:YES)、演算部21は、タイマAの計測値TAをクリアし、タイマ設定値記憶部29からタイマAのタイマ設定値31を読取ってタイマAのタイマ値として設定し(S156、項目103)、処理をS157に進める。S157において、演算部21は、自動取引装置1において自動取引装置1を開始したか否か判別する。すなわち、演算部21は、画面17における入力、カードユニット9への操作、または不図示のボタンからの入力等があったか否か判別する。
【0080】
S153において、顧客センサ5に利用者が検知されていない場合には(S153:NO)、演算部21は、タイマ設定値記憶部29のタイマA設定値31を読み取り、タイマAがタイムアウトしているか否か判別する(S158)。タイマAがタイムアウトしていない場合には(S158:NO、項目105)、S152に戻る。
【0081】
タイマAがタイムアウトしている場合には(S158:YES)、演算部21はタイマBをスタートさせる(S159)。なお、タイマAがタイムアウトしているということは、S153で一度は利用者の存在が検知されているということであり、S159、およびそれに続くS160〜S164では内部ステータスは「接近中」となる。
【0082】
演算部21は、タイマ設定値記憶部29のタイマB設定値32を読み取り、タイマBがタイムアウトしているか否か判別する(S160)。タイマBがタイムアウトしていない場合(S160:NO)にはS161へ進み、演算部21は、顧客センサ5の感度を、検出距離が0.2m長くなるように設定しなおす(S161、項目106)。演算部21は、検出距離の設定値が、最大の検出距離である例えば2.0mであるか否か判別する(S162)。
【0083】
顧客センサ5の検出距離の設定値が2.0mでない場合(S162:NO)には、顧客センサ5が利用者を検知しているか否かを判別し(S163)、検知していない場合には(S163:NO、項目107)、S160に戻る。顧客センサ5が、利用者を検知している場合には(S163:YES)、演算部21は、処理をS157に進める。
【0084】
顧客センサ5の検出距離の設定値が2.0mである場合(S162:YES)には、顧客センサ5の検出距離の設定値を初期値(本実施の形態においては2.0m)に設定し、タイマA、タイマBをそれぞれクリアする(S164)。続いて、演算部21は、内部ステータス記憶部27の内部ステータスを「利用者待ち」に更新し(S165)、S157に進む。
【0085】
S157では、取引に関する操作が開始されていなければ(S157:NO)、S152に戻り、操作が開始されていれば、内部ステータス記憶部27の内部ステータスを「取引中」に更新し、図8に示す「取引中」の動作に進む(S157:YES、項目110)。なお、図7において、破線で囲んだ領域167は、内部ステータスが「利用者待ち」の領域を示し、一点鎖線で囲んだ領域168は、内部ステータスが「接近中」の処理の領域を示している。
【0086】
続いて、図8を参照しながら、自動取引装置1の取引中における動作について説明する。図8は、自動取引装置1における取引中の動作を示すフローチャートである。図8に示す動作を、以下、取引中の動作ということにする。
【0087】
図8に示すように、自動取引装置1において、入出金等の取引が開始されると、演算部21は、0.1秒経過するまで判別を繰り返し(S171:NO)、0.1秒経過すると(S171:YES)、自動取引装置1における取引が終了したか否かを判別する(S172)。
【0088】
取引を終了していない場合には(S172:NO)、演算部21は、顧客センサ5により利用者が検知されたか否か判別する(S173)。顧客センサ5が利用者を検知している場合には、タイマC、タイマDをゼロにリセットし(S174)、S171に戻る。このとき、顧客センサ5の感度は変更しない。
【0089】
顧客センサ5が、利用者を検知しない場合には(S173:NO)、タイマCをスタートさせる(S175:項目111)。続いて、タイマ設定値記憶部29のタイマC設定値33を読み取り、タイマCがタイムアウトか否かを判別し(S176)、タイムアウトしていない場合には、S171に戻って処理を繰り返す。タイマCがタイムアウトした場合には(S176:YES)、演算部21は、利用者に画面に近づくように促すメッセージを音声部15または画面17に出力し、タイマDをスタートさせる(S177、項目112)。
【0090】
演算部21は、タイマ設定値記憶部29のタイマDのタイマ設定値35を読み取り、タイマDがタイムアウトしたか否かを判別する(S178)。タイマDがタイムアウトしていなければ(S178:NO)、演算部21は処理をS171に戻し、処理を繰り返す。タイマDがタイムアウトした場合には(S178:YES)、演算部21は、顧客センサ5に異常があると判別し、音声部15または画面17等を介して故障を通知し、処理のログを保存し、顧客センサ5の検知機能をオフし(S179、項目113)、処理を終了する。
【0091】
S172に戻って、取引終了の場合には(S172:YES)、演算部21は、自動取引装置1の紙幣ユニット7、カードユニット9等各部において、キャッシュカードや現金など残留物がないか否か、情報を収集する(S180)。残留物が発見されると(S181:YES、項目115)、内部ステータス記憶部27において内部ステータスを「取り忘れ」に更新する。
【0092】
続いて、利用者が検知されるか否か判別し(S182)、検知された場合(S182:YES)には、S171に戻る。検知されない場合には、利用者が離脱したと判別し(S182:NO、項目116)、媒体取り忘れ時の処理に進む。S181において、残留物が発見されない場合には(S181:NO)、演算部21は、内部ステータスを「取引終了」とし(項目114)、図10を参照しながら後述する取引終了時の処理へ進む。
【0093】
次に、図9を参照しながら媒体を取り忘れた状態の自動取引装置1の動作について説明する。図9は、媒体取り忘れ時の自動取引装置1の動作を示すフローチャートである。図9に示す処理を、以下、取り忘れ時の動作ということにする。
【0094】
図9に示すように、まず、演算部21は、タイマEをスタートさせ(S191)、0.1秒経過するまで判別を繰り返す(S192)。0.1秒が経過すると(S192:YES)、演算部21は、顧客センサ5が利用者を検知しているか否かを判別する(S193)。
【0095】
利用者が検知されると(S193:YES)、演算部21は、顧客センサ5の感度を、検出距離dが0.2m短くなるように設定しなおし(S195)、処理をS196に進める。利用者が検出されない場合には(S193:NO)、顧客センサ5の感度を、検出距離dが0.2m長くなるように設定しなおし(S194:項目122)、処理をS196に進める。
【0096】
S196では、演算部21は、取引終了か否かを判別する。取引終了の場合には(S196:YES、項目121)、演算部21は、アラームが出力されていれば、出力されているアラームを停止し、タイマEをゼロにリセットする。またこのとき、演算部21は、内部ステータス記憶部27の内部ステータスを「取引終了」に更新し、図10を参照しながら後述する取引終了時の動作を行なう。
【0097】
S196で、取引終了でないと判別された場合には(S196:NO)、演算部21は、検出距離dが所定距離、例えば0.5m未満か否かを判別する(S198)。検出距離dが0.5m未満の場合は、演算部21は処理をS192に戻す。検出距離dが、0.5m以上の場合には(S198:NO)、演算部21は、検出距離dに応じた処理を選択する(S199)。ここで、演算部21は、検出距離dが0.5m以上1.0m未満、1.0m以上1.5m未満、1.5m以上の3つの場合に分類する。
【0098】
検出距離dが0.5m以上1.0m未満の場合には、演算部21は、音声部15に「お取り忘れがございます」等の音声ガイダンスを出力させ(S200、項目119)、処理をS203に進める。検出距離dが1.0m以上1.5m未満の場合には、演算部21は、音声部15に例えば1.5m以上離れても聞き取れる中程度の音量の警告音を発生させ(S201、項目118)、処理をS203に進める。検出距離dが1.5m以上の場合には、演算部21は、音声部15に例えば、2.0m以上離れても聞き取れる、音量がさらに大きい警告音を発生させ(S202、項目118)、処理をS203に進める。なお、破線で示した領域208は、取り忘れ警告方法の決定処理208を示している。
【0099】
演算部21は、タイマ設定値記憶部29からタイマE設定値36を読出し、タイマEがタイムアウトであるか否かを判別する(S203)。タイマEがタイムアウトでない場合には(S203:NO)、演算部21は、S192に処理を戻す。タイマEがタイムアウトの場合には(S203:YES)、取り忘れられた媒体を自動取引装置1に取り込み、直前の取引に関する情報を保存し、タイマEをゼロにリセットし、鳴っているアラームは停止して、図7の利用者接近時の動作へ戻る(S204、項目120)。このとき、演算部21は、内部ステータス記憶部27の内部ステータスを「利用者待ち」に更新する。
【0100】
次に、図10を参照しながら、取引終了後の自動取引装置1の動作について説明する。図10は、取引終了後の自動取引装置1の動作を示すフローチャートである。図10に示す動作を、以下、取引終了時の動作ということにする。図10に示すように、演算部21は、0.1秒経過するまで判別を繰り返す(S212:NO)。0.1秒経過すると、演算部21は、顧客センサ5で利用者が検知されているか否か判別する(S213)。利用者が判別されないと(S213:NO)、演算部21は、タイマFをゼロにリセットし、スタートさせるとともに、顧客センサ5の検出距離dの設定値を0.2m長くし(S214:項目122)、処理をS215に進める。
【0101】
S213において、顧客センサ5により利用者が検知された場合には(S213:YES)、演算部21は、タイマ設定値記憶部29から、タイマFのタイマ設定値37を読出し、タイムFがタイムアウトであるか否か判別する(S216)。タイムFがタイムアウトの場合(S216:YES)には、演算部21は、検出距離dを0.2m短くする(S217、項目124)。続いて演算部21は、検出距離dが、予め定められた取引開始距離であるか否か判別し(S218)、取引開始距離でなければ(S218:NO)、S215に処理を進める。また、タイムFがタイムアウトではない場合(S216:NO)には、S212に戻る。
【0102】
演算部21は、検出距離dが取引開始距離であると判別すると(S218:YES)、自動取引装置1において操作が開始されたことを示す操作情報があるか否かを判別し(S219)、操作情報が確認できなければ(S219:NO)、処理をS212に戻す。操作情報を確認すると(S219:YES、項目125)、内部ステート記憶部27において内部ステートを「取引中」と更新し、図8の取引中の動作に戻る。
【0103】
S215では、演算部21は、検出距離dが最大の検出距離である2.0mであるか否か判別し、異なっている場合(S212:NO)には、S212の処理に戻る。検出距離d=2.0mである場合には(S215:YES、項目126)、内部ステート記憶部27において内部ステートを「利用者待ち」と更新し、図7の利用者接近時の処理に戻る。
【0104】
以上説明した自動取引装置1の動作を、図11〜図13を参照しながら、自動取引装置1に対する利用者の動きに着目してさらに説明する。図11〜図13において、横軸は時間、縦軸は、利用者の位置を、顧客センサ5の検出距離dにより示している。
【0105】
図11は、自動取引装置1の利用者の標準的な動きの検出状態を示す図である。図11の領域11aのように、利用者が最大の検出距離内に検知されていない場合には、演算部21は、内部ステータス記憶部27の内部ステータスを「利用者待ち」としている。このとき、演算部21は、顧客センサ5の検出距離dを最大の検出距離である2.0mと設定し、0.1秒ごとに顧客センサ5により利用者が検知されるか否かをチェックする(図7の領域167に対応)。
【0106】
領域11bに示すように、利用者が自動取引装置1に近づき、顧客センサ5により利用者が検知される状態となると、演算部21は、センサ設定データ記憶部25内の現設定値を0.2m短い値へと設定すると共に、内部ステータス記憶部27の内部ステータスを「接近中」とする(図7の領域168に対応)。
【0107】
図11においては、利用者がほぼ一定の速度で装置へと接近しており、0.1秒ごとの顧客センサ5のチェックで、検知が外れることがない例である。このとき、顧客センサ5は、0.1秒ごとに、利用者の存在を検知したことを出力する。演算部21は記憶部23のセンサ設定データ記憶部25の現設定値を読み出し、0.2m短く設定した値を現設定値としてセンサ設定データ記憶部25に書き込むと共に、顧客センサ5の感度調整部53へ設定することを繰り返す。
【0108】
この動作は、図6の項目104に相当する動作となり、このとき、顧客センサ5が検知できる検出距離は利用者に追従し、0.1秒ごとに0.2mずつ短くなる。検出センサ設定値が取引開始距離、例えば40cmになり、画面17におけるタッチパネル上の操作等、取引開始情報が通知されたら、内部ステータスを「取引中」とする。
【0109】
領域11cに示すように、利用者が取引開始距離到達後は、取引中の操作を開始する。検出距離dが自動取引装置1の操作開始可能な取引開始距離となると、0.1秒ごとに利用者が検知されるか否かのチェックを行なうが、検知ありの場合、検出距離dは変化させない。また、タイマAは、タイマ設定値31に設定される。
【0110】
ここで、利用者が取引開始可能距離内に到達した後、取引を行わずに自動取引装置1から離れた場合には、顧客センサ5が検知なしとなると、検知なし後すぐに設定値を0.2m遠くに設定する。その後、顧客センサ5の検知状態をチェックし、設定値が2.0mとなるか利用者探索時間を計測するタイマBがタイムアウトとなるまで動作を繰り返し、利用者の探索を行なう。タイムアウトとなった場合には利用者が装置から遠い距離へ離れたと判断し、センサ設定値を2.0mの利用者待ちに設定し、内部ステータスを「利用者待ち」と設定する(図7の領域169に相当する)。
【0111】
領域11dは、取引後、利用者が自動取引装置1から離脱する状態である。取引終了後に、媒体の取り忘れがあると検知された場合には、演算部21は、利用者と自動取引装置1との距離に応じて、領域11e、11f、11gのように、それぞれの距離に応じたメッセージまたは警告音を発する。
【0112】
図11の例では、利用者は、ほぼ一定の速度で最大の検出距離まで離脱している。この間、演算部21は、0.1秒ごとに顧客センサ5の状態のチェックを行い、検知が外れることがない例である。このとき、顧客センサ5は、0.1秒毎に、利用者の存在を検知したことを出力する。演算部21は記憶部23のセンサ設定データ記憶部25の現設定値を読み出し、0.2m長く設定した値を現設定値としてセンサ設定データ記憶部25に書き込むと共に、顧客センサ5の感度調整部53へ設定することを繰り返す。
【0113】
続いて、図12を参照しながら、利用者が、自動取引装置1に接近中(領域12a)に、速度を減速する例について説明する。図12は、利用者が、自動取引装置1に接近中に、速度を減速する例を示す図である。図12に示すように、利用者が接近し、顧客センサ5による検知ありとなると、演算部21は、内部ステータス記憶部27の内部ステータスを「接近中」に設定する。その後、利用者が接近途中で歩行速度を落とすと(領域12b)、内部ステータスが「接近中」の状態で顧客センサ5による検知なしとなる。
【0114】
このとき、演算部21は、顧客センサ5が検知ありとなるか、利用者接近待ち時間を計測しているタイマAがタイムアウトとなるまで顧客センサ5の現設定値を変化させず、0.1秒ごとに検知を繰り返す。その後、検知ありとなった場合には、再び、検出距離を0.2m短く設定する。その後、取引開始距離より短い設定値となった場合には、センサ設定値を変化させず、取引開始情報が通知されると、内部ステータスを取引中と設定し、取引中の制御へと遷移する。
【0115】
次に、図13を参照しながら、利用者が自動取引装置1に接近しながら、取引開始距離に到達する前に引き返す例について説明する。図13は、利用者が自動取引装置1に接近しながら、取引開始距離に到達する前に引き返す例を示す図である。図13に示すように、利用者が接近し、顧客センサ5が検知ありとなると、演算部21は、内部ステータス記憶部27の内部ステータスを「接近中」とする(領域13a)。その後、利用者が接近途中で引き返し、顧客センサ5が検知なしとなったとする。すると、顧客センサ5が検知ありとなるか、利用者接近待ちの時間を計測するタイマAがタイムアウトとなるまで、そのときの検出距離dの設定値のままで待機する。
【0116】
その後、内部ステータスが「接近中」で、センサ検知なし、そして利用者接近待ちのタイマAがタイムアウトとなると演算部21は、センサ設定データ記憶部25の現設定値を読み出し、0.2m設定値を長く設定した値を現設定値としてセンサ設定データ記憶部25に書き込むと共に、顧客センサ5の感度調整部53へ設定する。さらに、顧客センサ5が検知ありとなるか利用者探索時間を計測するタイマBがタイムアウトとなるか、または検出距離dが最大の検出距離として設定されている2.0mとなるまでこの動作を繰り返す(領域13b)。
【0117】
顧客センサ5で検知ありとなった場合には、「接近中」の動作を行なう。タイマBがタイムアウト、または検出距離dが2.0mとなった場合には、利用者が顧客センサ5の最大の検出距離より遠い距離へ離れたと判断し、検出距離を2.0mとして、内部ステータスが「利用者待ち」の動作を行う。
【0118】
なお、上記実施の形態において、タイマA〜タイマFは、演算部21の計時機能によって実現される。また、受光部47は、本発明の検出部の一例であり、感度調整部53は、調整部の一例である。内部ステータス記憶部27は、本発明のステータス記憶部の一例であり、音声部15は、音声出力部の一例である。演算部21は、本発明の取引検知部、媒体検知部、計時装置としての機能を有している。
【0119】
カードユニット9、画面17および演算部21は、本発明の取引開始検知部または取引終了検知部の一例である。さらに、紙幣ユニット7、カードユニット9、硬貨ユニット11、レシートユニット13等は、媒体検知部の一例である。また、タイマB設定値32は、本発明の第1の時間の一例であり、タイマE設定値36は、第2の時間の一例であり、タイマF設定値37は、第3の時間の一例である。
【0120】
以上詳細に説明したように、本実施の形態による自動取引装置1によれば、顧客センサ5が物体の存在を検出可能な検出距離dを、感度を変更することにより変化させる。このとき、顧客センサ5の感度は、自動取引装置1の内部ステータスおよび顧客センサ5の検出有無に応じて、一定周期で連続して切り換える。このように、設定した検出距離dに置いて、物体が検出されるか否かのみを検知することにより、利用者の位置を、顧客センサ5の検出距離dとして取得する。
【0121】
よって、自動取引装置1によれば、利用者の位置を即時詳細に検出することが可能となり、媒体の取り忘れ等を知らせる警告メッセージやアラームを、より利用者の状況に適した方法で発生させることが可能である。よって、利用者に違和感や不快感を与えることが少なくなり、サービスの向上が図れる。また、物体の動きを検出することができるので、顧客センサ5の発光部45からの光を反射しにくい物体の場合にも、物体の有無をより的確に検出することができる。
【0122】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を採ることができる。例えば、自動取引装置1の概観や、実行可能な取引の種類については上記に限定されない。キャッシュカードや通帳等、何らかの媒体を用いて自動で取引が実行できる装置であればよい。また、出力するメッセージや警告の内容、および出力するタイミングについては、上記に限定されず、他の形態でもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 自動取引装置
3 制御部
5 顧客センサ
7 紙幣ユニット
9 カードユニット
11 硬貨ユニット
13 レシートユニット
15 音声部
17 画面
21 演算部
23 記憶部
25 センサ設定データ
27 内部ステータス記憶部
29 タイマ設定値記憶部
41 電源
43 発光制御部
45 発光部
47 受光部
49 増幅回路
51 状態比較部
53 感度調整部
55 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の操作に基づき取引を自動で実行する自動取引装置であって、
所定の検出距離内に物体が存在するか否かを検出する検出部と、
前記検出距離を変化させる調整部と、
前記検出部による前記物体が存在するか否かの検出結果に応じて前記調整部を制御して前記検出距離を変化させるとともに、変化させた前記検出距離において前記物体が存在するか否かを前記検出部に検出させる制御を行うことにより前記顧客の動きを把握する制御部と、
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記自動取引装置における取引の状態および前記自動取引装置に対する前記物体の動きの状態に応じて前記自動取引装置において設定される情報である内部ステータスを記憶するステータス記憶部、
をさらに有し、
前記制御部は、
前記内部ステータスを設定して前記ステータス記憶部に記憶させ、
前記検出結果および前記内部ステータスに応じて前記調整部を制御することを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記自動取引装置の前記物体の動きに応じた状態の継続時間を計測する少なくとも一つの計時装置を有し、
前記制御部は、
さらに、前記計時装置の計時結果に応じて前記調整部を制御することを特徴とする請求項2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記調整部が前記検出距離を最大値に設定している場合に、前記検出部が前記物体の存在を検出していない場合には、前記内部ステータス記憶部の内部ステータスを利用者待ち状態とし、
前記調整部に前記検出距離を変化させずに、前記検出部が前記物体の存在を検知するまで検出を繰り返すことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記取引の開始を検知する取引開始検知部、
をさらに有し、
前記制御部は、
前記利用者待ち状態において前記検出部が前記物体の存在を検出すると、前記調整部に前記検出距離を縮小させ、
前記調整部に前記検出距離を縮小させた際に、前記検出部が前記物体が前記検出距離内に存在することを検出すると、前記内部ステータスを接近中状態とし、
前記内部ステータスが前記接近中状態である場合には、予め定められた第1の時間前記物体を検出できないか、前記検出距離が予め定められた最小値に達するか、前記取引開始検知部が取引の開始を検知するまで、前記調整部に前記検出距離を段階的に縮小させることを特徴とする請求項3に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記取引の終了を検知する取引終了検知部、
をさらに有し、
前記制御部は、
前記取引開始検知部が前記取引の開始を検知した後、前記取引終了検知部前記終了を検知するまでの間は、前記内部ステータスを取引中状態とし、
前記調整部に前記検出距離を固定させておくことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の自動取引装置。
【請求項7】
排出した媒体が残留しているか否かを検知する媒体検知部、
をさらに有し、
前記制御部は、
前記媒体検知部が媒体が残留していると検知した後であって、前記検出部が前記物体を検知しない場合は、前記内部ステータスを取り忘れ状態とし、
予め決められた第2の時間が経過するか、前記検出距離が前記最大値に達するか、前期物体が検知されるかのいずれかまでの間、前記調整部に前記検出距離を段階的に増加させることを特徴とする請求項3または請求項5に記載の自動取引装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記取引終了検知部が前記取引の終了を検知した後であって、前記検出距離の最大値内において前記物体が検知されている場合には、前記内部ステータスを取引終了状態とし、
前記調整部に、前記検出距離が前記最大値に達するか、予め定められた第3の時間が経過するまで前記検出距離を段階的に増加させることを特徴とする請求項3または請求項5または請求項7に記載の自動取引装置。
【請求項9】
前記計時手段は、
前記内部ステータスが前記接近中状態である時間と、
前記内部ステータスが前記接近中状態であって、かつ前記検出部が前記物体の存在を検出していない時間と、
前記内部ステータスが前記取引中状態であって、かつ、前記検出部が前記物体の存在を検出していない時間と、
前記内部ステータスが、前記取り忘れ状態である時間と、
前記内部ステータスが、前記取引終了状態であって、前記検出部が前記物体の存在を検知していない時間と、
のいずれかの継続時間を計測することを特徴とする請求項3または請求項5または請求項7または請求項8に記載の自動取引装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記ステータス記憶部の内容および前記計時結果に応じて前記調整部に第1の時間間隔で第1の距離間隔分前記検出距離を変化させ、
前記検出部に前記物体が検知されるか否かを検出させることを特徴とする請求項9に記載の自動取引装置。
【請求項11】
前記検出部の検出結果と前記内部ステータスに応じて、前記顧客の前記自動取引装置との距離および前記自動取引装置の取引状態に応じた音声を出力する音声出力部、
をさらに備えたことを特徴とする請求項2から請求項10のいずれか一項に記載の自動取引装置。
【請求項12】
自動取引装置における顧客検知方法であって、
検出距離内に物体が存在するか否かを検出する検出部の検出結果に応じて前記検出距離を変更し、
変更した前記検出距離において前記物体が存在するか否かを前記検出部に検出させることにより前記自動取引装置を利用する顧客の動きを把握することを特徴とする顧客検知方法。
【請求項13】
検出距離内に物体が存在するか否かを検出する検出部の検出結果に応じて前記検出距離を変更する処理と、
変更した前記検出距離において前記物体が存在するか否かを前記検出部に検出させることにより前記自動取引装置を利用する顧客の動きを把握する処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−230619(P2012−230619A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99628(P2011−99628)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】