説明

自動取引装置

【課題】顧客の生体情報の確認と共に暗証番号の確認を行った際に、暗証番号を入力させる時間を省いて、取引時間を短縮させることを目的とする。
【解決手段】カードリーダライタ部9と生体情報取得部6を備えた自動取引装置1において、顧客のICカードにと登録指紋情報と登録暗証番号を記録しておき、取引時に挿入されたICカードからカードリーダライタ部9により登録指紋情報を読み取ると共に、生体情報取得部6により顧客の指紋情報を取得して、登録指紋情報と指紋情報との一致を確認した後、ICカードの登録暗証番号をホストコンピュータ15に送信して、ホストコンピュータ15で暗証番号の照合の結果、取引が許可されたときに取引を実行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報によって取引を行う顧客を確認する自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の顧客認証装置を備えた自動取引装置は、顧客が指紋読取装置に置いた指から指紋情報を取得し、顧客の取引カードに予め記憶されている登録指紋情報を読み取り、上記の指紋情報と登録指紋情報とを比較することで顧客本人の指紋であることを確認し、次に顧客に暗証番号を入力させてその入力された暗証番号をホストコンピュータに送信し、ホストコンピュータでの暗証番号の照合結果を受け取ることによって顧客認証を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一般に顧客の指紋情報等の生体情報を用いて顧客認証を行う自動取引装置は、元々暗証番号を用いて顧客認証を行うようにしているシステムをできるだけ変更しないようにしているため、顧客認証では元々の暗証番号による確認に加えて生体情報による確認を行うようになっている。
【特許文献1】特開2002−133491号公報(段落0014−段落0015)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、顧客に指紋読取装置に指を置かせて、顧客が置いた指から読み取った指紋情報と、登録ユーザリスト中のその顧客の登録指紋情報とが一致することを確認することでその顧客の確認を行っているのにも関わらず、さらに顧客に暗証番号を入力させているため、その暗証番号が入力される時間だけ取引時間が延びてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、顧客の取引カードから情報の読み取りを行うカードリーダ部と、顧客から生体情報を取得する生体情報取得部を備えた自動取引装置において、前記取引カードに生体情報と暗証番号を登録しておき、取引時に挿入された顧客の取引カードから前記カードリーダ部により生体情報を読み取ると共に、前記生体情報取得部により顧客の生体情報を取得して、両生体情報との一致を確認した後、前記取引カードの暗証番号を上位装置に送信して、該上位装置で前記暗証番号の照合の結果、取引が許可されたときを取引を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、顧客の生体情報の一致を確認した後、取引カードから暗証番号を読み出し、その暗証番号を上位装置に送信し、照合結果を受信するようにしたので、顧客に暗証番号を入力させる時間を省くことができ、その分だけ取引時間を短縮させて業務効率を向上させることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面を参照して本発明による自動取引装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は実施例1の自動取引装置を含む自動取引システムを示すブロック図、図2は実施例1の自動取引装置を示す外観図である。
図1、図2において、1は自動取引装置である。
2は主制御部であり、主記憶部4に格納されている制御プログラムに基づいて、自動取引装置1の各部の動作を制御して各種の取引を遂行する機能を有する他、通信部3によって通信回線20を介してホストコンピュータ15と通信可能に接続する。
【0010】
4は主記憶部であり、主制御部2による処理結果等を記憶する機能を有する。
5は表示操作部であり、自動取引装置1正面の接客面に露出させて設けられており、表示面を上に向けたCRTディスプレイまたは液晶ディスプレイ等の表示部と、表示部上に配置したタッチパネル等の入力部により構成され、各種取引における顧客の操作を誘導するメッセージを配した画面やそのための入力キーを表示し、その入力キーをタッチパネル上から指で押下することにより、入力キーに定義された情報を入力できるものとなっており、入力された情報の表示等も行うようになっている。
【0011】
6は生体情報取得部であり、その上に置かれた顧客の手から指紋情報(生体情報)を取得する機能を有しており、前記接客面に設けられている。
7は現金入出金部であり、取引に伴う現金の入出金処理を行うもので、紙幣を取扱う紙幣入出金機と硬貨を取扱う硬貨入出金機により構成され、その紙幣入出金口7aと硬貨出金口7bは前記接客面に設けられている。
【0012】
9はカードリーダライタ部であり、顧客のICカード(取引カード)のICチップに記録されているカード情報の読取及び書込みを行う機能を有する他、顧客との取引結果を明細票に印刷する機能を有し、そのカード挿入返却口および明細票印刷口は前記接客面に設けられている。
ここで、図3はICカードに格納されているカード情報を示す説明図である。
【0013】
図3に示すように、上記のICカードのカード情報には、顧客氏名と金融機関コード、支店コード、口座番号、顧客が口座開設の際に登録した登録指紋情報(登録生体情報)および顧客固有の暗証番号(登録暗証番号という。)等が含まれる。
10は通帳記帳部であり、顧客の通帳に設けられた磁気ストライプに対してデータの読取及び書込みを行う機能を有すると共に取引内容等を顧客の通帳に記帳する機能を有し、その通帳挿入返却口は前記接客面に設けられている。
【0014】
15はホストコンピュータであり、金融機関のセンタに設置されており、ホスト制御部16やホスト記憶部17、ホスト通信部18等によって構成される。
ホスト制御部16は、ホスト記憶部17に格納されている制御プログラムに従ってホストコンピュータ15の動作を制御し、またホスト通信部18によって通信回線20を介して自動取引装置1との間で通信を行う機能を有する。
【0015】
上述した構成の作用について、図4に示す実施例1の自動取引装置の動作を示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って説明する。
S1、自動取引装置1の主制御部2は、表示操作部5に出金取引等の取引選択ボタンを配した取引選択画面を表示する。
S2、顧客が取引選択画面で出金取引の取引選択ボタンを押下すると、主制御部2はその押下を認識して、表示操作部5にICカードの挿入を促す文言やイラスト等を配した画面を表示する。
【0016】
顧客は、表示されている画面に従ってICカードをカードリーダライタ部9のカード挿入返却口に挿入する。
S3、カードリーダライタ部9がICカードから登録指紋情報を読み取ると、主制御部2はその登録指紋情報を主記憶部4に記憶し、表示操作部5に生体情報取得部6に登録指紋情報を登録した指を載せるように促す画面を表示する。
【0017】
S4、生体情報取得部6が載せられた顧客の指から指紋情報を取得すると、主制御部2は主記憶部4から登録指紋情報を読み出し、取得した指紋情報と登録指紋情報とを比較し、一定以上の一致率があることを認識することで指紋情報が登録指紋情報と一致していることを確認する。
S5、主制御部2は、指紋情報と登録指紋情報とが一致していることを確認した後、挿入されているICカードから登録暗証番号と口座番号とを読み取る。
【0018】
S6、主制御部2は、上記で読み取った登録暗証番号と口座番号とを付した顧客確認指示をホストコンピュータ15に送信する。
ホストコンピュータ15のホスト制御部16は、自動取引装置1から受信した顧客確認指示の口座番号をもとにホスト記憶部17に記憶している登録暗証番号を読み出し、その登録暗証番号と受信した登録暗証番号とを比較することによって両者が一致していることを確認し、自動取引装置1に顧客確認通知を送信する。
【0019】
S7、主制御部2は、ホストコンピュータ15から顧客確認通知を受信した後、出金取引処理を通常通りに実行して終了する。
以上説明したように、本実施例では、顧客の指紋にもとづく顧客認証が成立した後、ICカードから読み取った登録暗証番号を用いてホストコンピュータとの間で顧客確認を行うようにしたので、顧客に暗証番号を入力させる時間を省いて取引時間を短縮することができるので、業務効率を向上させることができる。
【0020】
また、暗証番号の入力を省くようにしたため、暗証番号の入力ミスによって顧客に暗証番号の再入力をさせる手間を省くことができ、顧客にとって操作が簡略化するので、利便性が向上するという効果を得ることができる。
なお、上記実施例1においては、顧客の指から取得した指紋情報を照合するためにカードリーダライタ部でICカードから登録指紋情報のみを読み取り、顧客の指紋情報と登録指紋情報が一致していることを確認した後、カードリーダライタ部でICカードから登録暗証番号を読み取り、その登録暗証番号をホストコンピュータに送信するものとして説明したが、顧客の指紋情報を照合するときにカードリーダライタ部でICカードから登録指紋情報を読み取るのと同時に、登録暗証番号を読み取って主記憶部に記憶しておき、指紋情報と登録指紋情報が一致していることを確認した後に主記憶部から登録暗証番号を読み出してホストコンピュータに送信するようにしてもよい。
【実施例2】
【0021】
図5は実施例2の自動取引システムを示すブロック図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5において、22は暗証番号管理サーバであり、金融機関のセンタに設置され、通信回線20を介して自動取引装置1と通信を行う機能を有し、顧客の登録暗証番号を口座番号と関連づけて格納して管理する。
【0022】
図6は実施例2のICカードに格納されているカード情報を示す説明図である。
図6に示すように、本実施例のICカードには顧客の氏名や登録指紋情報、口座番号(顧客識別子)等が格納される。
上述した構成の作用について、図7に示す実施例2の自動取引装置の動作を示すフローチャートを用いてSAで示すステップに従って説明する。
【0023】
SA1、自動取引装置1の主制御部2は、表示操作部5出金取引等の取引選択ボタンを配した取引選択画面を表示する。
SA2、顧客は取引選択画面で出金取引の取引選択ボタンを押下すると、主制御部2はその押下を認識して、表示操作部5にICカードの挿入を促す文言やイラスト等を配した画面を表示する。
【0024】
SA3、カードリーダライタ部9がICカードから登録指紋情報と口座番号を読み取ると、主制御部2はその登録指紋情報と口座番号とを主記憶部4に記憶しておき、表示操作部5に生体情報取得部6に顧客の指を載せるように促す画面を表示する。
SA4、生体情報取得部6が顧客の指から指紋情報を取得すると、主制御部2は主記憶部4から登録指紋情報を読み出し、取得した指紋情報と登録指紋情報とを比較し、1定以上の一致率があることを認識することで指紋情報が登録指紋情報と一致していることを確認する。
【0025】
SA5、主制御部2は、主記憶部4から口座番号を読み出し、通信回線20を介してその口座番号を付した暗証番号取得依頼を暗証番号管理サーバ22に送信する。
暗証番号管理サーバ22は、受信した暗証番号取得依頼の口座番号をもとに格納している登録暗証番号を検索し、該当する登録暗証番号を自動取引装置1に送信することで、主制御部2は暗証番号管理サーバ22からの登録暗証番号を受信して取得する。
【0026】
SA6、主制御部2は、主記憶部4から口座番号を読み出し、その口座番号と顧客の指紋情報を確認した旨の情報、上記で受信した登録暗証番号を付した顧客確認通知を通信回線20を介してホストコンピュータ15に送信する。
ホストコンピュータ15のホスト制御部16は、自動取引装置1から受信した顧客確認通知の口座番号をもとに格納している登録暗証番号を読み出し、その登録暗証番号と受信した登録暗証番号と比較することで登録暗証番号の一致を確認し、また受信した指紋情報を確認した旨の情報を認識して通信回線20を介して取引許可通知を自動取引装置1に送信する。
【0027】
SA7、主制御部2は、ホストコンピュータ15から取引許可通知を受信した後、出金取引処理を通常通りに実行して顧客との取引を終了する。
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、顧客の暗証番号を管理するための暗証番号管理サーバを設けることにより、暗証番号をICカードに格納している場合に顧客がICカードを紛失し、その紛失したICカードを拾った第3者によってICカードの内容が読み取られて、格納してある暗証番号が知られてしまうことを防止することができる。
【0028】
なお、上記各実施例において、顧客の指紋で顧客認証を行うものとして説明したが、顧客の指紋の代わりに顧客の指の静脈や手のひらの静脈等の生体情報で顧客認証を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1の自動取引装置を含む自動取引システムを示すブロック図
【図2】実施例1の自動取引装置を示す外観図
【図3】ICカードに格納されているカード情報を示す説明図
【図4】実施例1の自動取引装置の動作を示すフローチャート
【図5】実施例2の自動取引システムを示すブロック図
【図6】実施例2のICカードに格納されているカード情報を示す説明図
【図7】実施例2の自動取引装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0030】
1 自動取引装置
2 主制御部
4 主記憶部
5 表示操作部
6 生体情報取得部
7 現金入出金部
9 カードリーダライタ部
10 通帳記帳部
15 ホストコンピュータ
16 ホスト制御部
17 ホスト記憶部
18 ホスト通信部
20 通信回線
22 暗証番号管理サーバ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の取引カードから情報の読み取りを行うカードリーダ部と、顧客から生体情報を取得する生体情報取得部を備えた自動取引装置において、
前記取引カードに生体情報と暗証番号を登録しておき、
取引時に挿入された顧客の取引カードから前記カードリーダ部により生体情報を読み取ると共に、前記生体情報取得部により顧客の生体情報を取得して、両生体情報との一致を確認した後、前記取引カードの暗証番号を上位装置に送信して、該上位装置で前記暗証番号の照合の結果、取引が許可されたときに取引を実行することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置において、
前記カードリーダ部により前記取引カードから生体情報を読み取ると同時に、暗証番号を読み取ることを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動取引装置において、
前記両生体情報の一致を確認した後、前記カードリーダ部により前記取引カードから暗証番号を読み取ることを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
顧客の取引カードから情報の読み取りを行うカードリーダ部と、顧客から生体情報を取得する生体情報取得部を備えた自動取引装置において、
顧客固有の暗証番号を管理するための暗証番号管理サーバと通信可能に接続し、
取引時に挿入された顧客の取引カードから前記カードリーダ部により生体情報を読み取ると共に、前記生体情報取得部により顧客の生体情報を取得して、両生体情報との一致を確認した後、前記暗証番号管理サーバから前記顧客の暗証番号を取得し、その暗証番号を上位装置に送信して、該上位装置で前記暗証番号の照合の結果、取引が許可されたときに取引を実行することを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動取引装置において、
前記取引カードに顧客識別子を格納しておき、
前記カードリーダ部により前記取引カードから顧客識別子を読み取り、その顧客情報をもとに前記暗証番号管理サーバから前記顧客の暗証番号を取得することを特徴とする自動取引装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−323229(P2007−323229A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151019(P2006−151019)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】