説明

自動取引装置

【課題】覗き見防止カバーの取り外しに伴う暗証番号の盗取を防止することができる自動取引装置を提供する。
【解決手段】操作部と、前記操作部に設けられた覗き見防止カバーと、前記覗き見防止カバーの取り外しを検知するセンサと、前記センサによる検知結果に応じて、自動取引装置の取引を休止する制御を行う制御部と、を備える、自動取引装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、金融機関のATM(Automated teller machine)に代表される自動取引装置は、銀行、駅構内およびコンビニエンスストアなど、多様な場所に設置されている。顧客は、この自動取引装置に表示される表示画面に従って各種操作を行うことにより、入金、出金および残高照会などの取引を行うことができる。
【0003】
このような自動取引装置には、暗証番号等を入力するテンキーと、テンキーを隠すためのキー隠しカバーが設けられている(特許文献1参照)。キー隠しカバーを設けることで、暗証番号入力時の覗き見を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−325665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし近年、覗き見を防止するためのカバー(以下、覗き見防止カバー)が自動取引装置に接着またはネジ止めで固定されていても、犯罪者によって取り外されたり壊されたりすることに伴い暗証番号が盗取される恐れがあった。
【0006】
例えば、覗き見防止カバーが取り外されたままの状態にされることで、顧客が暗証番号を入力する際に覗き見られ、暗証番号が盗取される恐れがあった。
【0007】
また、覗き見防止カバーが一旦取り外された後、覗き見防止カバーに隠しカメラが設けられた状態で再度自動取引装置に取り付けられることで、暗証番号が盗取される恐れがあった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、覗き見防止カバーの取り外しに伴う暗証番号の盗取を防止することが可能な、新規かつ改良された自動取引装置、制御方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、操作部と、前記操作部に設けられた覗き見防止カバーと、前記覗き見防止カバーの取り外しを検知するセンサと、前記センサによる検知結果に応じて、自動取引装置の取引を休止する制御を行う制御部と、を備える自動取引装置が提供される。
【0010】
また、前記制御部は、前記センサにより前記覗き見防止カバーの取り外しが検知された場合に前記自動取引装置の取引を休止する制御を行ってもよい。
【0011】
また、前記自動取引装置は、前記自動取引装置の前方に居る人物を検出する人物検出部を備え、前記制御部は、前記センサによって前記覗き見防止カバーの取り外しが検知されても、前記人物検出部によって、操作者の背後に人物が検出されない場合は、前記自動取引装置の取引を続行してもよい。
【0012】
また、前記自動取引装置は、前記操作部を覆う操作者の手を検出する手検出部を備え、前記制御部は、前記センサによって前記覗き見防止カバーの取り外しが検知されても、前記手検出部によって、前記操作部を覆う手が検出される場合は、前記自動取引装置の取引を続行してもよい。
【0013】
また、前記自動取引装置は、表示部を備え、前記制御部は、前記センサによって前記覗き見防止カバーの取り外しが検知されても、前記表示部に注意喚起を示す表示を行った場合は、前記自動取引装置の取引を続行してもよい。
【0014】
また、前記制御部は、前記自動取引装置の取引を休止させた後に、前記覗き見防止カバーの再設置が検知された場合、前記自動取引装置の取引を再開させてもよい。
【0015】
また、前記制御部は、前記自動取引装置の取引を休止させた後に、オペレータによる確認操作に応じて前記自動取引装置の取引を再開させてもよい。
【0016】
また、前記自動取引装置は、撮像部を備え、前記撮像部は、前記センサによって前記覗き見防止カバーの取り外しが検知された場合、前記自動取引装置の前方を撮像してもよい。
【0017】
また、前記センサは、マイクロスイッチであって、前記マイクロスイッチは、前記覗き見防止カバーの取付部と接するように設けられてもよい。
【0018】
また、前記センサは、赤外線センサであって、前記赤外線センサは、前記覗き見防止カバーにより遮光される光路を構成するよう設けられてもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、覗き見防止カバーの取り外しに伴う暗証番号の盗取を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態による自動取引装置の覗き見防止カバー周辺の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態による自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例1による覗き見防止カバーとスイッチの位置関係を説明するための図である。
【図4】本発明の実施例1に係るマイクロスイッチによる覗き見防止カバーの取り外し検知について説明するための図である。
【図5】本発明の実施例2による赤外線センサの光軸が覗き見防止カバーにより遮光される状態を説明するための図である。
【図6】本発明の実施例2に係るセンサによる覗き見防止カバーの取り外し検知について説明するための図である。
【図7】実施例2の変形例による赤外線センサの光軸が覗き見防止カバーにより遮光される状態を説明するための図である。
【図8】実施例2の変形例に係るセンサによる覗き見防止カバーの取り外し検知について説明するための図である。
【図9】本発明の実施例3に係るカメラによる覗き見防止カバーの取り外し検知を説明するための図である。
【図10】本発明の実施形態による自動取引装置の動作制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
また、本発明は、以下本明細書において詳細に説明するような形態で実施され得る。また、本発明の実施形態による自動取引装置1は、
(A)操作部(13)と、
(B)前記操作部に設けられた覗き見防止カバー(15)と、
(C)前記覗き見防止カバーの取り外しを検知するセンサ(20)と、
(D)前記センサによる検知結果に応じて、自動取引装置の取引を休止する制御を行う制御部(3)と、
を備える。
【0023】
このような自動取引装置1について、まず概要を説明してから、基本構成および動作制御について説明する。
【0024】
<1.自動取引装置の概要>
図1は、本発明の実施形態による自動取引装置1の覗き見防止カバー周辺の構成を示す図である。図1に示したように、本実施形態による自動取引装置1は、表示部10、操作部13、および覗き見防止カバー15を備える。
【0025】
表示部10は、顧客による操作を誘導するための表示画面を表示する機能を有する。表示機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。
【0026】
操作部13は、顧客操作を検出する機能を有する。操作部13は、タッチパネルやボタンにより実現され、顧客により暗証番号や取引金額が入力される。なお、図1では、表示部10および操作部13の機能が分離して構成される例を示すが、本実施形態はこれに限定されず、例えば表示部10および操作部13の機能を一体的に構成してもよい。
【0027】
覗き見防止カバー15は、顧客の後方および側方から第三者が操作部13を覗き見て、顧客が操作部13から入力する暗証番号を盗み取ることを防止する。また、図1に示すように、覗き見防止カバー15の上部には、顧客から操作部13や操作時の手が視認できるよう開口部が格子状に設けられている。なお、図1においては、上部に開口部が複数設けられた覗き見防止カバー15の例を示すが、本実施形態による覗き見防止カバーはこれに限定されず、例えば開口部が設けられていない覗き見防止カバーでもよいし、操作部13の側方にそれぞれ設けられる遮蔽板であってもよい。
【0028】
(本発明に至る過程)
従来、自動取引装置は、覗き見防止カバーが壊されたり取り外されたりしたことを検知する構成は有しておらず、覗き見防止カバーが外されたままの状態にされることで、顧客の操作時に暗証番号を覗き見られるという問題があった。
【0029】
また、覗き見防止カバーが犯罪者によって一旦取り外され、覗き見防止カバーに隠しカメラを設置して再度自動取引装置に取り付け、隠しカメラにより暗証番号を盗む犯罪も問題になっている。
【0030】
このように、従来の自動取引装置が覗き見防止カバーが取り外されたことを検知できないことにより、暗証番号の盗取被害が発生する恐れがあった。
【0031】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態による自動取引装置を創作するに至った。本発明の実施形態による自動取引装置は、覗き見防止カバーの取り外しに伴う暗証番号の盗取を防止することが可能である。以下、このような本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0032】
<2.基本構成>
本発明の実施形態による自動取引装置1では、覗き見防止カバーの取り外しを検知するセンサを備え、検知結果に応じて取引の休止制御を行う。以下、自動取引装置1の構成について図2を参照して説明する。
【0033】
図2は、本実施形態による自動取引装置1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、自動取引装置1は、制御部5、表示部10、センサ20、通信部30およびカメラ27を備える。以下、各構成について説明する。なお、表示部10は、上述した通りであるので、ここでの説明は省略する。
【0034】
制御部5は、自動取引装置1の動作全体を制御する。例えば、制御部5は、表示部10に表示する画面を制御する表示制御部、および通信部30によるホストコンピュータ(図示せず)との通信を制御する通信制御部としての機能を有する。また、本実施形態による制御部5は、センサ20による検知結果等に応じて、自動取引装置1における取引の休止制御または再開制御を行う。制御部5の具体的な制御内容については、<4.動作制御>において詳細に説明する。
【0035】
センサ20は、覗き見防止カバー15の取り外しまたは取り付けなど、覗き見防止カバー15の設置状態を検知する機能を有する。また、センサ20は、検知結果を制御部5に出力する。ここで、センサ20は、スイッチまたは赤外線センサなどにより実現される。センサ20の具体的な構成については、<3.取り外し検知センサ>において詳細に説明する。
【0036】
通信部30は、ホストコンピュータとのインターフェースであり、専用回線を介してホストコンピュータと接続し、自動取引装置1で行う取引のために必要な情報を送受信する。取引のために必要な情報としては、例えば、顧客の口座番号、暗証番号、および預金残高などの顧客情報や、入金金額および出金金額などの取引内容を示す情報などがあげられる。また、本実施形態による通信部30は、センサ20により覗き見防止カバー15が取り外されたことが検知されると、その旨をホストコンピュータに通知する。
【0037】
カメラ27は、自動取引装置1周辺を監視するための撮影機能を有する。また、本実施形態によるカメラ27は、操作部13周辺や、操作者の顔などを撮影する。また、本実施形態によるカメラ27は、センサ20により覗き見防止カバー15が取り外されたことが検知されると録画を開始し、覗き見防止カバー15を取り外した者の顔を撮影してもよい。
【0038】
以上、本実施形態による自動取引装置1の構成について詳細に説明した。続いて、本実施形態による自動取引装置1のセンサ20の具体的な構成について複数の実施例を挙げて説明する。
【0039】
<3.取り外し検知センサ>
上述したように、本実施形態によるセンサ20は、覗き見防止カバー15の取り外しまたは取り付けなど覗き見防止カバー15の設置状態を検知する機能を有する。このようなセンサ20は、例えば以下に説明する[3−1.実施例1]〜[3−3.実施例3]に示す構成により実現される。
【0040】
[3−1.実施例1]
実施例1では、センサ20の一例として、覗き見防止カバー15の取付部に接するよう設けられるマイクロスイッチを挙げる。以下、実施例1によるマイクロスイッチを利用した検知方法について図3および図4を参照して説明する。
【0041】
図3は、実施例1によるマイクロスイッチ上に覗き見防止カバーが設置された状態を説明するための図である。図3に示すように、覗き見防止カバー15は、覗き見防止カバー15の側面から自動取引装置1に沿って延長する部材であって、自動取引装置1にはめ込まれることで覗き見防止カバー15を自動取引装置1に取り付ける取付部16を有する。
【0042】
また、本実施形態による取付部16は、図3に示すように、自動取引装置1のマイクロスイッチ21上に取り付けられる。
【0043】
図4は、マイクロスイッチ21による覗き見防止カバー15の取り外し検知について説明するための図である。図4に示すように、自動取引装置1の取付部分にはマイクロスイッチ21が設けられる。また、覗き見防止カバー15の取付部16の取り付け側(裏側)には、爪22が設けられる。
【0044】
図4に示すように、マイクロスイッチ21および爪22は、覗き見防止カバー15が自動取引装置1に取り付けられると爪22がマイクロスイッチ21を押し込む位置にそれぞれ配置される。
【0045】
このような構成において、マイクロスイッチ21は、覗き見防止カバー15が取り外され、爪22によるマイクロスイッチ21の押し込みが解除されると、覗き見防止カバー15が取り外されたことを示す検知結果を出力する。
【0046】
なお、マイクロスイッチ21および爪22は、図3および図4に示すように、覗き見防止カバー15の両端の取付部16に設けられていてもよいし、一方の取付部16に設けられていてもよい。
【0047】
[3−2.実施例2]
実施例2では、センサ20の一例として、覗き見防止カバー15により遮光される光路を構成する赤外線センサを挙げる。以下、実施例2による赤外線センサを利用した検知方法について図5および図6を参照して説明する。
【0048】
図5は、実施例2による赤外線センサ23(発光センサ23a、受光センサ23b)の光軸が覗き見防止カバー15により遮光される状態を説明するための図である。図5に示すように、発光センサ23aおよび受光センサ23bは、覗き見防止カバー15の上部によって遮光される光軸Lを構成するよう自動取引装置1に設置される。
【0049】
続いて、覗き見防止カバー15が取り外された場合について図6を参照して説明する。図6は、実施例2に係るセンサによる覗き見防止カバー15の取り外し検知について説明するための図である。図6に示すように、覗き見防止カバー15が取り外されると、光軸Lを遮光する物が無くなり、発光センサ23aおよび受光センサ23b間で光軸Lが通光する。
【0050】
このように、受光センサ23bが発光センサ23aからの光を受光し、通光状態となった場合、本実施例によるセンサは、覗き見防止カバー15が取り外されたことを示す検知結果を出力する。
【0051】
(変形例)
以上、実施例2による赤外線センサについて説明したが、赤外線センサの構成は実施例2に限定されない。例えば、プリズムを利用した赤外線センサの構成であってもよい。以下、図7および図8を参照して実施例2の変形例について説明する。
【0052】
図7は、変形例による赤外線センサの光軸が覗き見防止カバー15により遮光される状態を説明するための図である。図7に示すように、発光センサ25a、受光センサ25bおよびプリズム26は、覗き見防止カバー15の上部によって遮光される光軸Lを構成するよう自動取引装置1に設置される。プリズム26は、反射により光を屈折させる構成を有し、具体的には、発光センサ25aから発光された光を屈折させて受光センサ25bに反射させる。
【0053】
続いて、覗き見防止カバー15が取り外された場合について図8を参照して説明する。図8は、変形例に係るセンサによる覗き見防止カバー15の取り外し検知について説明するための図である。図8に示すように、覗き見防止カバー15が取り外されると、光軸Lを遮光する物が無くなり、発光センサ25aおよび受光センサ25b間で光軸Lが通光する。
【0054】
このように、発光センサ23aから発光された光がプリズム26で反射されて受光センサ23bに受光されて通光状態となった場合、本実施例によるセンサは、覗き見防止カバー15が取り外されたことを示す検知結果を出力する。
【0055】
[3−3.実施例3]
実施例3では、センサ20の一例として、操作部13および覗き見防止カバー15周辺を撮影するカメラを挙げる。以下、実施例3によるカメラを利用した検知方法について図9を参照して説明する。
【0056】
図9は、実施例3に係るカメラによる覗き見防止カバー15の取り外し検知を説明するための図である。図9に示すように、自動取引装置1の上部に設置されたカメラ27は、自動取引装置1の操作部13周辺を撮影する。
【0057】
ここで、本実施例によるカメラ27は、撮影部、および撮影した画像を解析する解析部を備える。解析部は、撮影部によって撮影された画像を解析し、覗き見防止カバー15の取り外しを検知する。
【0058】
例えば、覗き見防止カバー15が自動取引装置1に取り付けられている場合、カメラ27により撮影される画像には、覗き見防止カバー15が写り、操作部13は少なくとも一部が覗き見防止カバー15により遮られる。しかし、図9に示すように、覗き見防止カバー15が取り外された場合、カメラ27により撮影される画像には、操作部13が全て写る。このように、カメラ27が撮影した画像から操作部13が全て抽出されるような場合、カメラ27は、覗き見防止カバー15が取り外されたことを示す検知結果を出力する。
【0059】
以上、センサ20の構成について複数の実施例を挙げて説明したが、本実施形態によるセンサ20の構成はこれらに限定されない。例えば、センサ20は、振動センサであって、覗き見防止カバー15に設置されていてもよい。この場合、覗き見防止カバー15が取り外される際に振動センサが振動を検知することで、覗き見防止カバー15の取り外しが検知される。
【0060】
また、上述したセンサ20の各実施例を組み合わせてもよい。例えば、実施例1によるマイクロスイッチ21、および実施例2による赤外線センサ23を自動取引装置1に設けてもよい。このように組み合わせることにより、マイクロスイッチ21がテープで止められたり、取付部16を残したまま取り外されたりして、マイクロスイッチ21が覗き見防止カバー15の取り外しを検知できないようにされても、赤外線センサ23により覗き見防止カバー15の取り外しを検知することができる。また、このように組み合わせることにより、発光センサ23aまたは受光センサ23bにテープを貼るなどして光軸を遮光し、赤外線センサ23が覗き見防止カバー15の取り外しを検知できないようにされても、マイクロスイッチ21により覗き見防止カバー15の取り外しを検知することができる。よって、複数のセンサを組み合わせることにより、より確実に覗き見防止カバー15の取り外しを検知することができる。
【0061】
また、実施例2による赤外線センサは、自動取引装置1の手前側および奥側に設けられ、覗き見防止カバー15を左右に分断する光軸Lを構成しているが、赤外線センサの配置はこれに限定されない。例えば、赤外線センサは、自動取引装置1の左右に設けられ、覗き見防止カバー15を上下に分断する光軸Lを構成してもよい。
【0062】
<4.動作制御>
次に、本実施形態による自動取引装置1の動作制御について説明する。上述したように、自動取引装置1の制御部5は、センサ20による検知結果に応じて、自動取引装置1における取引を休止する制御を行う。以下、本実施形態による自動取引装置1の休止制御について図10を参照して説明する。
【0063】
[4−1.休止制御]
図10は、本発明の実施形態による自動取引装置1の動作制御を示すフローチャートである。図10に示すように、ステップS100において、自動取引装置1のセンサ20が、覗き見防止カバー15の取り外しを検知すると、次いで、ステップS102において、制御部5は、自動取引装置1における取引を休止する制御を行う。ここで、取引を休止する制御とは、自動取引装置1で実行できる一部または全ての取引を停止する制御である。例えば、暗証番号を入力する必要のない取引は継続してもよい。
【0064】
これにより、覗き見防止カバー15が外された状態で顧客が操作した際に暗証番号を盗み見られることや、一旦取り外した覗き見防止カバー15に監視カメラが設置されて再度取り付けられることにより暗証番号を盗み取られることを未然に確実に防止することができる。
【0065】
なお、制御部5は、覗き見防止カバー15が外された状態であっても所定の条件を満たす場合は自動取引装置1における取引を続行するよう制御してもよい。所定の条件を満たす場合とは、例えば以下に説明する複数の例が挙げられる。
【0066】
(第1の制御例)
例えば、センサ20により覗き見防止カバー15の取り外しを検知しても、顧客の背後に人物が検出されない場合、制御部5は、自動取引装置1における取引を続行するよう制御する。
【0067】
ここで、人物を検出する人物検出部は、自動取引装置1前方を撮影する撮影部および撮影した画像を解析する解析部を備えるカメラであってもよいし、自動取引装置1前方に居る人物を検出する近接センサであってもよい。
【0068】
このように、覗き見防止カバー15が取り外された場合であっても、顧客(操作者)の背後に人物が居なければ、暗証番号を覗き見られる恐れはないので、制御部5により取引を続行する。
【0069】
(第2の制御例)
また、センサ20により覗き見防止カバー15の取り外しを検知しても、顧客が手等で操作部13を覆っている場合、制御部5は、自動取引装置1における取引を続行するよう制御する。
【0070】
ここで、操作部13を覆う手等を検出する手検出部は、カメラ、近接センサ、および照度センサなどであってもよい。
【0071】
このように、覗き見防止カバー15が取り外された場合であっても、顧客(操作者)が操作部13を隠しながら操作していれば、暗証番号を覗き見られる恐れはないので、制御部5により取引を続行する。
【0072】
(第3の制御例)
また、センサ20により覗き見防止カバー15の取り外しを検知しても、表示部11に覗き見に関する注意喚起を示す表示を行なう場合、制御部5は、自動取引装置1における取引を続行するよう制御する。
【0073】
このように、覗き見防止カバー15が取り外された場合であっても、表示部11に表示された注意喚起にしたがって、顧客(操作者)が覗き見に注意しながら操作を行なうことで暗証番号を覗き見られる可能性が低くなるので、制御部5は取引を続行するよう制御する。
【0074】
以上、本実施形態による制御部5による休止制御について説明した。なお、本実施形態による制御部5は、センサ20により覗き見防止カバー15の取り外しを検知し、休止制御を行う際に、併せて以下に記載する制御を行ってもよい。
【0075】
(警告音)
例えば、制御部5は、大音量の警告音をスピーカ(図示せず)から出力するよう制御してもよい。これにより、犯罪者による覗き見防止カバー15の取り外し行為を止めさせることができる。
【0076】
(録画)
また、制御部5は、自動取引装置1の前方を撮影するカメラを制御し、覗き見防止カバー15の取り外しが検知された場合に、取り外し行為を行っている犯罪者の顔を録画してもよい。録画された顔画像データは、警察による犯罪捜査などに利用できる。ここで、自動取引装置1の前方を撮影するカメラは、例えば図9に示すカメラ27であってもよい。この場合、図9に示すカメラ27は、自動取引装置1の上部に設置され、操作部13周辺を撮影しているが、制御部15は、カメラ27の撮影範囲を広げたり、または変更したりすることで、取り外し行為を行っている犯罪者の顔を撮影して録画することができる。
【0077】
なお、犯罪者の顔を撮影するためのカメラは、図9に示すカメラ27が設置される位置の他、覗き見防止カバー15で隠される位置に設置されてもよい。この場合、覗き見防止カバー15が取り外されるとカメラにより犯罪者の顔を撮影することができる。
【0078】
[4−2.再開制御]
次に、制御部5により休止した後、自動取引装置1における取引を再開(復帰)させる制御について説明する。
【0079】
例えば、一旦取り外した覗き見防止カバー15に隠しカメラが取り付けられている可能性があるので、制御部5は、オペレータによる確認操作に応じて自動取引装置1の取引を再開させてもよい。制御部5は、予め上記休止制御に伴って、覗き見防止カバー15の取り外しが検知されたことを通信部30からホストコンピュータに通知する。
【0080】
かかる通知を受けて、オペレータが現地に赴き、該当する自動取引装置1の確認を行う。オペレータにより異常が発見されなかった場合など、確認操作により再開が指示された場合、制御部15は、自動取引装置1の取引を再開させるよう制御する。
【0081】
また、上述した再開制御の他、制御部5は、休止させた後にセンサ20により覗き見防止カバー15の再設置が検知された場合に、再開制御を行ってもよい。覗き見防止カバー15が再設置されていれば、顧客の操作時に第三者に暗証番号を覗き見られる恐れが少ないためである。
【0082】
<5.まとめ>
以上説明したように、本実施形態による自動取引装置1によれば、制御部5は、覗き見防止カバー15の取り外しが検知された場合、自動取引装置1における取引を休止する制御を行う。これにより、覗き見防止カバー15が外された状態で顧客が操作した際に暗証番号を覗き見られることや、一旦取り外した覗き見防止カバー15に監視カメラが設置されて再度取り付けられることにより暗証番号を盗み取られることを未然に確実に防止することができる。
【0083】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0084】
例えば、覗き見防止カバー15が取り外されることなく、覗き見防止カバー15内部に、暗証番号を盗取ための隠しカメラが取り付けられる可能性を考慮し、覗き見防止カバー15内部にカメラが取り付けられたことを検知するセンサを設けてもよい。より具体的には、例えば、覗き見防止カバー15の左右を貫く赤外線センサを、覗き見防止カバー15側または自動取引装置1本体側に設ける。これにより制御部5は、覗き見防止カバー15内部にカメラが取り付けられたことを検知すると、自動取引装置1の取引を休止する制御や、警告する制御等を行う。
【0085】
また、図2のブロック図で示した、自動取引装置1の各機能ブロックの処理を、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのハードウェアで実現することができる。また、これらハードウェアを、自動取引装置1の各機能ブロックと同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 自動取引装置
5 制御部
10 表示部
13 操作部
15 覗き見防止カバー
20 センサ
27 カメラ
30 通信部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
前記操作部に設けられた覗き見防止カバーと、
前記覗き見防止カバーの取り外しを検知するセンサと、
前記センサによる検知結果に応じて、自動取引装置の取引を休止する制御を行う制御部と、
を備える、自動取引装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記センサにより前記覗き見防止カバーの取り外しが検知された場合に前記自動取引装置の取引を休止する制御を行う、請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記自動取引装置は、前記自動取引装置の前方に居る人物を検出する人物検出部を備え、
前記制御部は、前記センサによって前記覗き見防止カバーの取り外しが検知されても、前記人物検出部によって、操作者の背後に人物が検出されない場合は、前記自動取引装置の取引を続行する、請求項1または2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記自動取引装置は、前記操作部を覆う操作者の手を検出する手検出部を備え、
前記制御部は、前記センサによって前記覗き見防止カバーの取り外しが検知されても、前記手検出部によって、前記操作部を覆う手が検出される場合は、前記自動取引装置の取引を続行する、請求項1から3のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記自動取引装置は、表示部を備え、
前記制御部は、前記センサによって前記覗き見防止カバーの取り外しが検知されても、前記表示部に注意喚起を示す表示を行った場合は、前記自動取引装置の取引を続行する、請求項1から4のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記自動取引装置の取引を休止させた後に、前記覗き見防止カバーの再設置が検知された場合、前記自動取引装置の取引を再開させる、請求項1から5のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記自動取引装置の取引を休止させた後に、オペレータによる確認操作に応じて前記自動取引装置の取引を再開させる、請求項1から5のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項8】
前記自動取引装置は、撮像部を備え、
前記撮像部は、前記センサによって前記覗き見防止カバーの取り外しが検知された場合、前記自動取引装置の前方を撮像する、請求項1から7のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項9】
前記センサは、マイクロスイッチであって、
前記マイクロスイッチは、前記覗き見防止カバーの取付部と接するように設けられる、請求項1から8のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項10】
前記センサは、赤外線センサであって、
前記赤外線センサは、前記覗き見防止カバーにより遮光される光路を構成するよう設けられる、請求項1から8のいずれか1項に記載の自動取引装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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