説明

自動取引装置

【課題】読取センサにより読取情報を高精度に読み取ると共に、読み取り面への異物等の付着を防止することが可能な自動取引装置を提供する。
【解決手段】媒体を搬送する搬送部材と、前記搬送部材により搬送中の前記媒体上の読取情報を読み取る読取センサと、前記媒体の印字面が前記読取センサの読み取り面に接触するように、付勢部材により付勢されて前記媒体の印字面の反対側の面を押圧する押圧部材と、を備え、前記押圧部材は、前記読み取り面に対向する対向領域の周囲に配置されていることを特徴とする、自動取引装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関し、より詳細には、通帳等の媒体上の読取情報をセンサにて読み取る自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関のATM(Automated teller machine)に代表される自動取引装置は、銀行等の金融機関の支店やコンビニエンスストア等の店舗に設置されている。このような自動取引装置は、顧客との間で通帳や取引カードを用いた取引処理を行う。
【0003】
上記の自動取引装置は、取引処理において通帳に印字された読取情報を読み取るための処理を行う。かかる処理を実現するために、自動取引装置には、読取情報を読み取るための読取センサが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−20628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、読取センサが読取情報を適切に読み取るためには、通帳の印字面と読取センサの読み取り面との間の距離が一定に保たれることが望ましい。このため、距離を一定に保つ方法として、読取センサに対向する位置に、通帳を読取センサの読み取り面に押圧して距離を一定に保つための押圧部材を設ける方法が提案されている。
【0006】
しかし、上記の押圧部材を設ける場合には、押圧部材の表面に異物等が付着することがある。かかる場合には、押圧部材上の異物等が、通帳が読取センサを通過しない時に読み取り面に転移してしまう恐れがある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、読取センサにより読取情報を高精度に読み取ると共に、読み取り面への異物等の付着を防止することが可能な、新規かつ改良された自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、媒体を搬送する搬送部材と、前記搬送部材により搬送中の前記媒体上の読取情報を読み取る読取センサと、前記媒体の印字面が前記読取センサの読み取り面に接触するように、付勢部材により付勢されて前記媒体の印字面の反対側の面を押圧する押圧部材と、を備え、前記押圧部材は、前記読み取り面に対向する対向領域の周囲に配置されていることを特徴とする、自動取引装置が提供される。
【0009】
かかる自動取引装置によれば、押圧ローラによって印字面と読み取り面との距離が一定に保たれるので、読み取りセンサが高精度に印字面の読取情報を高精度に読み取れる。また、押圧ローラが対向領域の周囲に位置するので、仮に押圧ローラに異物等が付着しても、異物が読み取り面に転移することを防止できる。
【0010】
また、前記媒体の搬送方向に直交する直交方向において前記読取センサの両隣にそれぞれ設けられ、搬送される前記媒体をガイドする第1ガイド部材及び第2ガイド部材を更に備え、前記押圧部材は、前記第1ガイド部材に対向する第1押圧ローラと、前記第2ガイド部材に対向する第2押圧ローラとであることとしても良い。
【0011】
また、前記第1ガイド部材のガイド面と、前記第2ガイド部材のガイド面と、前記読み取り面とは、同一面上に位置することとしても良い。
【0012】
また、前記第1押圧ローラと前記第1ガイド部材の間、及び前記第2押圧ローラ及び前記第2ガイド部材の間に、それぞれ前記媒体の厚みよりも小さい隙間が形成されるように、前記付勢部材による付勢度合いを規制する規制部材を更に備えることとしても良い。
【0013】
また、前記第1押圧ローラ及び前記第2押圧ローラを回転可能に支持する支持軸を更に備え、前記支持軸が前記付勢部材により付勢されることで、前記第1押圧ローラ及び前記第2押圧ローラは、前記印字面の反対側の面を押圧することとしても良い。
【0014】
また、前記直交方向における前記第1押圧ローラの幅は、前記第1ガイド部材の幅よりも小さく、前記直交方向における前記第2押圧ローラの幅は、前記第2ガイド部材の幅よりも小さいこととしても良い。
【0015】
また、前記直交方向において前記第1押圧ローラと前記第2押圧ローラとを連結し、前記読み取り面に対向する連結部材を更に備え、前記連結部材の直径は、前記第1押圧ローラ及び前記第2押圧ローラの直径よりも小さいこととしても良い。
【0016】
また、前記連結部材と、前記第1押圧ローラと、前記第2押圧ローラとは、一体で形成されていることとしても良い。
【0017】
また、前記媒体の搬送方向において前記読取センサの両隣にそれぞれ設けられ、搬送される前記媒体をガイドする第1ガイド部材及び第2ガイド部材を更に備え、前記押圧部材は、前記第1ガイド部材に対向する第1押圧ローラと、前記第2ガイド部材に対向する第2押圧ローラとであることとしても良い。
【0018】
また、前記媒体の搬送方向において前記読取センサの両隣にそれぞれ設けられ、前記媒体を搬送する第1搬送ローラ及び第2搬送ローラを更に備え、前記押圧部材は、一対の前記第1搬送ローラの一方のローラを成す第1押圧ローラと、一対の前記第2搬送ローラの一方のローラを成す第2押圧ローラとであることとしても良い。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、読取センサにより読取情報を高精度に読み取ると共に、読み取り面への異物等の付着を防止することが可能な自動取引装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態に係る自動取引装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】自動取引装置の通帳処理装置の構成を示す図である。
【図3】通帳を示す斜視図である。
【図4】図2のA−A矢視図である。
【図5】通帳の印字面の読み取り面への接触状態を示す図である。
【図6】比較例に係る光学センサユニットの構成を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る光学センサユニットの構成を示す図である。
【図8】通帳の印字面の読み取り面への接触状態を示す図である。
【図9】第3の実施形態に係る光学センサユニットの構成を示す図である。
【図10】第4の実施形態に係る光学センサユニットの構成を示す図である。
【図11】第5の実施形態に係る光学センサユニットの構成を示す図である。
【図12】第5の実施形態の変形例に係る光学センサユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
<1.第1の実施形態>
(1−1.自動取引装置の構成)
自動取引装置は、例えば現金自動預払機であり、銀行等の金融機関の支店やコンビニエンスストア等の店舗に設置される。自動取引装置は、顧客との間で媒体の一例である通帳や取引カードを用いた取引処理を行う。
【0023】
図1を参照しながら、第1の実施形態に係る自動取引装置1の外観構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る自動取引装置1の外観構成を示す斜視図である。図1に示すように、自動取引装置1は、前面側に、操作表示部10と、通帳挿入排出口20と、カード挿入排出口30等を有する。
【0024】
操作表示部10は、LCD等の表示画面とタッチパネル等の入力手段との組み合わせで構成される。表示画面は、取引選択画面や各種の入力画面、顧客の処置を促す画面等を表示する。入力手段は、顧客からの入力を受け付ける。
【0025】
通帳挿入排出口20は、取引される顧客の通帳が挿入されると共に、取引後の通帳が排出される開口である。通帳挿入排出口20から通帳が挿入されると、装置内部の通帳処理装置は、通帳の磁気ストライプ等に記録されている情報を読み書きし、取引内容を通帳に記帳する。なお、通帳処理装置の詳細構成については、後述する。
【0026】
カード挿入排出口30は、取引される顧客のキャッシュカード等の取引カードが挿入されと共に、取引後の取引カードが排出される開口である。カード挿入排出口30から取引カードが挿入されると、装置内部のカード処理装置(不図示)は、取引カードの磁気ストライプやICチップ等に記録されている情報を読み書きする。
【0027】
(1−2.通帳処理装置の構成)
図2及び図3を参照しながら、自動取引装置1の通帳処理装置100の構成について説明する。図2は、自動取引装置1の通帳処理装置100の構成を示す図である。図3は、通帳200を示す斜視図である。
【0028】
図2に示すように、通帳処理装置100は、搬送部材の一例である搬送ユニット110と、磁気ストライプ読取ユニット120と、光学センサユニット130と、印字ユニット150と、制御ユニット160と、を有する。
【0029】
搬送ユニット110は、通帳挿入排出口20から挿入された通帳200を装置内で搬送する。搬送ユニット110は、通帳200が搬送される搬送路112と、搬送路112に沿って設けられた搬送ローラ114とを有する。搬送ローラ114は、通帳200を挟持しながら、搬送方向である挿入方向又は排出方向に搬送する。磁気ストライプ読取ユニット120、光学センサユニット130、及び印字ユニット150も、搬送路112上に設けられている。
【0030】
磁気ストライプ読取部120は、磁気ヘッド122を有し、通帳200の磁気ストライプ(図3に示すように、通帳200の裏表紙に位置する磁気ストライプ216)に記録された通帳データを読み取る。ここで、通帳データは、通帳200の口座番号や通帳種別、通帳200の印字が行われた印字済行、印字が行われた頁数等である。また、磁気ヘッド122は、通帳200に印字が行われたときに磁気ストライプ216に最終印字済行と最終印字頁数等を書き込む機能も有する。
【0031】
光学センサユニット130は、例えばCCDセンサ132を有し、図3に示す通帳200の印字面201に印字された頁マーク212や印字済行を読み取る。光学センサユニット130は、図3に示す取引情報の日付214または残高215を読み取ることで、印字済行を検出する。このように、光学センサユニット130の読取エリアは、通帳200の一部(具体的には、図3に示すような通帳200の左端側の端部、または右端側の端部のみ)となっている。なお、光学センサユニット130の詳細構成については、後述する。
【0032】
印字ユニット150は、印字ヘッド152とインクリボンを有し、通帳200に未記帳の取引データを印字する。印字ヘッド152は、搬送方向に直交する方向に移動可能である。印字ヘッド152は、頁捲りユニット(不図示)で所定の頁に捲れた通帳200に対しても、印字を行う。
【0033】
制御ユニット160は、通帳処理装置100の全体動作を制御する。制御ユニット160は、上述した各ユニットの動作を制御する制御部と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部と、を有する。
【0034】
(1−3.光学センサユニットの詳細構成)
図4を参照しながら、第1の実施形態に係る光学センサユニット130の構成について説明する。図4は、第1の実施形態に係る光学センサユニット130の構成を示す図であって、図2のA−A矢視図である。なお、図4に示す軸方向は、図1の挿入方向(排出方向)に直交する直交方向である。
【0035】
図4に示すように、光学センサユニット130は、読取センサの一例であるCCDセンサ132と、ガイド部材の一例である搬送ガイド134A、134Bと、押圧部材の一例である押圧ローラ136A、136Bと、付勢部材の一例であるスプリング138A、138Bと、規制部材139と、を有する。
【0036】
CCDセンサ132は、搬送ユニット110により搬送中の通帳200の印字面201に印字された頁マークや印字済行(読取情報)を読み取る。CCDセンサ132は、例えば読取エリアが通帳200の日付214(図3)に対応するように、軸方向における所定位置に配置されている。CCDセンサ132は、下面に読み取り面133を有し、読み取り面133に対向する通帳200の対向部分を読み取る。
【0037】
搬送ガイド134A、134Bは、軸方向においてCCDセンサ132の両隣(左右両側)にそれぞれ設けられ、搬送される通帳200をガイドする。搬送ガイド134Aは、CCDセンサ132よりも軸方向一端側に位置する第1ガイド部材であり、搬送ガイド134Bは、CCDセンサ132よりも軸方向他端側に位置する第2ガイド部材である。搬送される通帳200は、搬送ガイド134Aのガイド面135Aと、搬送ガイド134Bのガイド面135Bとに密接した状態で、ガイドされる。
【0038】
ガイド面135Aと、ガイド面135Bと、読み取り面133とは、同一面上に位置する。これにより、読み取り面133を通過する際の通帳200が水平な状態となり、CCDセンサ132による読み取り精度を向上できる。
【0039】
押圧ローラ136A、136Bは、通帳200の印字面201が読み取り面133に接触するように、通帳200の印字面201の反対側の面(裏表紙)を押圧する。押圧ローラ136A、136Bは、読み取り面133に対向する対向領域(図4で符号Rで示す領域)の周囲に配置されている。具体的には、押圧ローラ136A、136Bは、鉛直方向においてCCDセンサ132の下方、かつ軸方向においてCCDセンサ132の両隣に、それぞれ設けられている。このため、押圧ローラ136A、136Bに付着した異物等(異物は、例えば通帳200の裏表紙から付着している)が、通帳200が読み取り面133を通過しない際に、CCDセンサ132に転移することを防止できる。
【0040】
押圧ローラ136Aは、搬送ガイド134Aのガイド面135Aに対向する第1押圧ローラであり、押圧ローラ136Bは、搬送ガイド134Bのガイド面135Bに対向する第2押圧ローラである。これにより、軸方向において印字面201の押圧ローラ136A、136Bの間の部分の姿勢が安定するので、印字面201と読み取り面133の距離が一定に保たれやすくなる。
【0041】
押圧ローラ136A、136Bは、共に支持軸137に回転可能に支持されている。すなわち、押圧ローラ136A、136Bは、従動ローラである。また、押圧ローラ136Aの軸方向の幅は、ガイド面135Aの幅よりも小さく、押圧ローラ136Bの軸方向の幅は、ガイド面135Bよりも小さい。このように押圧ローラ136A、136Bの幅を小さくすることで、対向領域Rの周囲のスペースが限られていても押圧ローラ136A、136Bを配置でき、また押圧ローラ136A、136Bに異物等が付着することを抑制できる。
【0042】
スプリング138A、138Bは、軸方向において支持軸137の両端側に設けられ、支持軸137をCCDセンサ132側に向けて付勢する付勢部材である。支持軸137が付勢されることで、支持軸137に支持された押圧ローラ136A、136Bも、ガイド面135A、135Bに向けて付勢される。付勢された押圧ローラ136A、136Bは、読み取り面133を通過する通帳200の厚みに応じて揺動しながら、通帳200の裏表紙をガイド面135A、135Bに向けて押圧する。
【0043】
上述したように押圧ローラ136A、136Bが、ガイド面135A、135Bに向けて付勢されることで、図5に示すように、通帳200が、押圧ローラ136Aとガイド面135A、押圧ローラ136Bとガイド面135Bに、それぞれ挟まれた状態で搬送される。これにより、通帳200の印字面201が読み取り面133に密接し、印字面201と読み取り面133の間の距離が一定に維持されるので、CCDセンサ132による読み取り精度が向上する。図5は、通帳200の印字面201の読み取り面133への密接状態を示す図である。
【0044】
規制部材139は、スプリング138A、138Bによって付勢された支持軸137のCCDセンサ132側への移動を規制する(すなわち、スプリング138A、138Bによる付勢度合いを規制する)。この規制により、押圧ローラ136A、136Bのガイド面135A、135Bへの移動も規制され、押圧ローラ136Aとガイド面135Aの間、及び押圧ローラ136Bとガイド面135Bの間に、それぞれ隙間Cが形成される。隙間Cは、搬送される通帳200の最小厚みよりも小さく設定されている。このような隙間Cが形成されることで、印字面201が読み取り面133に確実に密接すると共に、押圧ローラ136A、136Bに付着した異物等が、通帳200が読み取り面133を通過しない際にガイド面135A、135Bに転移することを抑制できる。
【0045】
なお、上記では、押圧ローラ136Aとガイド面135Aの間、及び押圧ローラ136Bとガイド面135Bの間に、隙間Cが形成されることとしたが、これに限定されず、隙間Cを形成しないこととしても良い。かかる場合には、規制部材139も不要となる。
【0046】
また、上記では、押圧ローラ136A、136Bは従動ローラであることとしたが、これに限定されず、駆動ローラであっても良い。この場合には、押圧ローラ136Aとガイド面135Aの間、及び押圧ローラ136Bとガイド面135Bの間に、隙間を形成する必要がある。
【0047】
また、上記では、押圧ローラ136A、136Bの軸方向の幅が、ガイド面135A、135Bの幅よりも小さいこととしたが、これに限定されず、例えば、押圧ローラ136A、136Bの軸方向の幅が、ガイド面135A、135Bの幅と同じ大きさであっても良い。
【0048】
また、上記では、押圧ローラ136A、136Bの2つを設けることとしたが、これに限定されず、例えば一つの押圧ローラのみを設けることとしても良い。かかる場合でも、押圧ローラによって通帳200の印字面201が読み取り面133に密接すると共に、押圧ローラに付着した異物等がCCDセンサ132に転移することを防止できる。
【0049】
(1−4.通帳処理時の通帳処理装置の動作)
次に、通帳処理時の通帳処理装置100の動作について説明する。なお、本処理時の通帳処理装置100の動作は、制御ユニット160の制御部によって実行される。すなわち、制御部は、記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、下記に説明する動作を実行する。
【0050】
まず、通帳挿入排出口20から挿入された通帳200は、搬送ローラ114によって搬送路112を挿入方向に搬送される。通帳200は、磁気ストラップ読取部120において磁気ヘッド122により磁気ストライプ216の通帳データが読み取られた後に、更に搬送されて光学センサユニット130に至る。
【0051】
光学センサユニット130に至った通帳200は、押圧ローラ136A、136Bによって軸方向においてCCDセンサ132に左右に配置されたガイド面135A、135Bに向けて押圧された状態で、更に搬送される。これにより、通帳200は、印字面201が読み取り面133に密接した状態で搬送される。CCDセンサ132は、読み取り面133に密接した印字面201に印字された頁マークや印字済行を読み取る。
【0052】
このように、CCDセンサ132による読み取り時に印字面201と読み取り面133の間の距離が一定に保たれるので、CCDセンサ132の読み取り精度の低下を防止できる。また、押圧ローラ136A、136Bがガイド面135A、135Bに対向するので、通帳200が読み取り面133を通過後に、押圧ローラ136A、136Bに付着した異物等が、読み取り面133に転移することを防止できる。
【0053】
読み取り面133を通過した通帳200は、更に搬送されて印字ユニット150において、印字ヘッド152によって取引データが印字される。印字後の通帳200は、排出方向に搬送されて磁気ストライプ読取部120に至り、磁気ヘッド122が、磁気ストライプ216に最終印字済行と最終印字頁数等を書き込む。
【0054】
その後、通帳200は、搬送ローラ114により排出方向に更に搬送されて、通帳挿入排出口20から排出される。これにより、一連の処理が完了する。
【0055】
(1−5.自動取引装置の有効性)
上述したように、第1の実施形態においては、印字面201が読み取り面133に接触するように通帳200の裏表紙を押圧する押圧ローラ136A、136Bが、図4に示すように軸方向において読み取り面133に対向する対向領域Rの周囲に設けられている。これにより、読取センサ132により読取情報を高精度に読み取ると共に、読み取り面133への異物(例えばゴミ)等の付着を防止できる。
【0056】
以下においては、図6に示す比較例を説明しながら、第1の実施形態に係る自動取引装置1の有効性について、詳細に説明する。
【0057】
図6は、比較例に係る光学センサユニット730の構成を示す図である。比較例においては、押圧ローラ736が、読取センサ732の読み取り面733の真下(対向領域)に位置する。押圧ローラ736は、スプリング738A、738Bによって軸737を介して読み取り面733に向かって付勢されている。このような押圧ローラ736は、通帳200の裏表紙を押圧することで、通帳200の印字面が読み取り面733に接触可能である。
【0058】
一方で、比較例においては、押圧ローラ736が読み取り面733に僅かな隙間Cで対向しているので、通帳が読み取り面733を通過しないときに、押圧ローラ736に付着した異物が読み取り面733に転移することがある。特に押圧ローラ736に付着した異物が大きい場合には、異物が読み取り面733に転移されやすくなり、その後の読み取りセンサ722の読み取り精度が低下する。
【0059】
これに対して、第1の実施形態においては、押圧ローラ136A、136Bが対向領域Rの隣に配置しているので、仮に押圧ローラ136A、136Bに異物が付着しても、異物が読み取り面133に転移することを防止できる。また、読み取り面133を通過する通帳200は、押圧ローラ136A、136Bによって押圧されるので、印字面201と読み取り面133が密接し、印字面201と読み取り面133の距離が一定に保たれやすい。このため、読み取りセンサ132による読み取りも高精度に確保できる。
【0060】
<2.第2の実施形態>
図7を参照しながら、第2の実施形態に係る光学センサユニット230の構成について説明する。図7は、第2の実施形態に係る光学センサユニット230の構成を示す図である。
【0061】
第2の実施形態に係る光学センサユニット230は、軸方向において押圧ローラ236Aと押圧ローラ236Bを連結し、読取センサ132の読み取り面133に対向する連結部材238を有する。連結部材238以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
連結部材238は、押圧ローラ236A、236Bと共に、支持軸237に回転可能に支持されている。また、連結部材238と、押圧ローラ236Aと、押圧ローラ236Bとは、例えば樹脂製の材料によって一体で形成されている。これにより、部品点数が増加することを抑制できる共に、独立した押圧ローラ236A、236Bを支持軸237に取り付ける場合に比べて、押圧ローラ236Aとガイド面135Aとの間の隙間Cと、押圧ローラ236Bとガイド面135Bとの間の隙間Cとを同じ大きさに設定しやすくなる。
【0063】
また、連結部材238の直径は、押圧ローラ236A及び押圧ローラ236Bの直径よりも小さく、支持軸237の直径よりも大きい。これにより、通帳200の読み取り面133に密接する部分が撓んだとしても、図8に示すように撓んでいる度合いを抑制でき、印字面201と読み取り面133の距離を一定に保ちやすくなる。図8は、通帳200の印字面201の読み取り面133への密接状態を示す図である。
【0064】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に軸方向において押圧ローラ136A、136Bが対向領域Rの隣に配置していることで、読取センサ132により読取情報を高精度に読み取ると共に、読み取り面133への異物等の付着を防止できる。また、第2の実施形態の場合には、通帳200の読み取り面133に対向する部分において、撓みが抑制されて読み取り面133と水平な状態となりやすいので、印字面201と読み取り面133の距離をより一定に保ちやすくなる。なお、連結部材238と読み取り面133の距離は、連結部材238に異物が付着しても読み取り面133に転移しない大きさに設定されている。
【0065】
<3.第3の実施形態>
図9を参照しながら、第3の実施形態に係る光学センサユニット330の構成について説明する。図9は、第3の実施形態に係る光学センサユニット330の構成を示す図である。
【0066】
第3の実施形態に係る光学センサユニット330は、図9に示すように、通帳200の搬送方向(挿入方向、排出方向)において読取センサ132の両隣にそれぞれ設けられ、搬送される通帳200をガイドする搬送ガイド341A、341Bを有する。搬送ガイド341A、341Bは、下方に位置する搬送ガイド342と共に、通帳200の搬送路を形成する。なお、搬送ガイド341Aが第1ガイド部材に該当し、搬送ガイド341Bが第2ガイド部材に該当する。
【0067】
また、光学センサユニット330は、搬送ガイド341Aに対向する第1押圧ローラの一例である押圧ローラ343Aと、搬送ガイド341Bに対向する第2押圧ローラの一例である押圧ローラ343Bとを有する。すなわち、第3の実施形態では、第1、第2の実施形態とは異なり、押圧ローラ343A、343Bが、搬送方向において読み取り面133の対向領域Rの隣に位置する。押圧ローラ343A、343Bは、搬送ガイド342の切り欠き部に設けられ、搬送ガイド342から搬送ガイド341A、341Bに向かって突出している。
【0068】
押圧ローラ343Aは、軸344Aを介してスプリング345Aによって搬送ガイド341Aに向かって付勢される。押圧ローラ343Bは、軸344Bを介してスプリング345Bによって搬送ガイド341Bに向かって付勢される。このように付勢された押圧ローラ343A、343Bが、搬送中の通帳200の裏表紙を押圧することで、通帳200の印字面201が読み取り面133に密接し、印字面201と読み取り面133の距離が一定に保たれる。
【0069】
第3の実施形態によれば、印字面201と読み取り面133の距離が一定に保たれるので、読取センサ132が印字面210の読取情報を高精度に読み取れる。また、押圧ローラ343A、343Bが、読み取り面133の対向領域Rの周囲に位置するので、押圧ローラ343A、343Bに付着した異物等が、読み取り面133に転移することを防止できる。
【0070】
<4.第4の実施形態>
図10を参照しながら、第4の実施形態に係る光学センサユニット430の構成について説明する。図10は、第4の実施形態に係る光学センサユニット430の構成を示す図である。
【0071】
第4の実施形態は、第3の実施形態に対して、搬送方向において読取センサ132の両隣に設けられた押圧ローラ343A、343Bが、それぞれ一対の搬送ローラの一方のローラを成す点に特徴がある。
【0072】
具体的には、第4の実施形態において、押圧ローラ343Aと、押圧ローラ343Bに対向する対向ローラ346Aとが、通帳200を搬送する一対の搬送ローラ(第1搬送ローラ)を構成する。同様に、押圧ローラ343Bと、押圧ローラ343Bに対向する対向ローラ346Bとが、搬送ローラ(第2搬送ローラ)を構成する。ここで、対向ローラ346A、346Bが駆動ローラであり、押圧ローラ343A、343Bが従動ローラである。
【0073】
このような第1搬送ローラ(押圧ローラ343Aと対向ローラ346A)と第2搬送ローラ(押圧ローラ343Bと対向ローラ346B)とが、通帳200の印字面201が読み取り面133に密接するように、通帳200を搬送する。このため、印字面201と読み取り面133の距離が一定に保たれる。
【0074】
第4の実施形態によれば、第3の実施形態と同様に、読取センサ132により読取情報を高精度に読み取ると共に、読み取り面133への異物等の付着を防止できる。また、第4の実施形態によれば、押圧ローラが搬送ローラも兼用するので、部品点数を削減でき、この結果低コストも実現できる。
【0075】
<5.第5の実施形態>
第1の実施形態では、図4に示すように、搬送ガイド134A、134Bが、軸方向においてCCDセンサ132の両隣に位置し、押圧ローラ136A、136Bに対向することとした。これに対して、第5の実施形態では、搬送ローラが、CCDセンサ132の軸方向の両隣に位置し、押圧ローラに対向する。
【0076】
図11は、第5の実施形態に係る光学センサユニット530の構成を示す図である。図11に示すように、光学センサユニット530は、軸方向においてCCDセンサ132の両隣(左右両側)に設けられた搬送ローラ541A、541Bを有する。また、軸方向において、搬送ローラ541A、541Bの外側には、搬送ガイド534A、534Bが設けられている。
【0077】
搬送ローラ541Aは、押圧ローラ136Aに対向し、押圧ローラ136Aとで通帳200を狭持して搬送する。搬送ローラ541Bは、押圧ローラ136Bに対向し、押圧ローラ136Bとで通帳200を挟持して搬送する。このため、搬送ローラ541A、541Bが駆動ローラであり、押圧ローラ136A、136Bが従動ローラである。
【0078】
搬送ローラ541A、541Bは、それぞれローラ軸542A、542Bに回転可能に支持されている。ローラ軸542A、542Bは、CCDセンサ132に接触することを避けるため、分割されている。ローラ軸542A、542Bに支持されたギア543A、543Bは、CCDセンサ132の上方に位置する駆動軸545に支持されたギア544A、544Bと噛み合っている。このため、不図示の駆動源により駆動軸545が回転すると、ギヤを介して動力が伝達され、搬送ローラ541A、541Bが回転する。
【0079】
図11では、前述した規制部材139により押圧ローラ136A、136Bが搬送ローラ541A、541Bに接触していない(すなわち、隙間Cが形成されている)。しかし、通帳200が搬送されない場合に、押圧ローラ136A、136Bが搬送ローラ541A、541Bに接触しても良い。
【0080】
上述した実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、押圧ローラ136A、136Bによって、読取センサ132により読取情報を高精度に読み取ると共に、読み取り面133への異物等の付着を防止できる。また、押圧ローラ136A、136Bが通帳200を搬送する機能を有するため、搬送方向においてCCDセンサ132の前後に、別の搬送ローラを設ける必要が無くなり、部品点数を削減できる。
【0081】
図12は、第5の実施形態の変形例に係る光学センサユニット530の構成を示す図である。図12に示すように、搬送ローラ551A、551Bの直径を大きくすれば、ローラ軸555がCCDセンサ132の上方に位置するので、ローラ軸555を分割する必要が無くなる。これに伴い、ローラ軸と駆動軸の間のギアを設ける必要も無くなる。このため、更に、部品点数を削減できる。なお、CCDセンサ132の高さを低くすることで、搬送ローラ551A、551Bの直径を小さくすることも可能である。
【0082】
<6.まとめ>
第1〜第5の実施形態で説明したように、印字面201が読み取り面133に接触するように通帳200の裏表紙を押圧する押圧部材(押圧ローラ)は、読み取り面133の対向領域Rの周囲に位置する。かかる場合には、押圧部材によって印字面201と読み取り面133との距離が一定に保たれるので、読み取りセンサ132が高精度に印字面210の読取情報を高精度に読み取れる。また、押圧部材が対向領域Rの周囲に位置するので、仮に押圧部材に異物等が付着しても、押圧部材上の異物が読み取り面に転移することを防止できる。
【0083】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0084】
上記では、押圧部材に押圧されて読み取り面133に密接する媒体として通帳200を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、媒体は取引カードであっても良い。かかる場合にも、取引カードの情報をセンサにて高精度に読み取ることができる。
【0085】
また、上記では、押圧部材として押圧ローラを例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、押圧部材は、ベルト状の部材や板状の部材であっても良い。
【符号の説明】
【0086】
1 自動取引装置
20 通帳挿入排出口
100 通帳処理装置
110 搬送ユニット
120 磁気ストライプ読取ユニット
130 光学センサユニット
132 CCDセンサ
133 読み取り面
134A、134B 搬送ガイド
135A、135B ガイド面
136A、136B 押圧ローラ
137 支持軸
138A、138B スプリング
139 規制部材
150 印字ユニット
160 制御ユニット
200 通帳
201 印字面
236A、236B 押圧ローラ
238 連結部材
341A、341B 搬送ガイド
343A、343B 押圧ローラ
346A、346B 対向ローラ
541A、541B 搬送ローラ
551A、551B 搬送ローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送部材と、
前記搬送部材により搬送中の前記媒体上の読取情報を読み取る読取センサと、
前記媒体の印字面が前記読取センサの読み取り面に接触するように、付勢部材により付勢されて前記媒体の印字面の反対側の面を押圧する押圧部材と、
を備え、
前記押圧部材は、前記読み取り面に対向する対向領域の周囲に配置されていることを特徴とする、自動取引装置。
【請求項2】
前記媒体の搬送方向に直交する直交方向において前記読取センサの両隣にそれぞれ設けられ、搬送される前記媒体をガイドする第1ガイド部材及び第2ガイド部材を更に備え、
前記押圧部材は、前記第1ガイド部材に対向する第1押圧ローラと、前記第2ガイド部材に対向する第2押圧ローラとであることを特徴とする、請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記第1ガイド部材のガイド面と、前記第2ガイド部材のガイド面と、前記読み取り面とは、同一面上に位置することを特徴とする、請求項2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記第1押圧ローラと前記第1ガイド部材の間、及び前記第2押圧ローラ及び前記第2ガイド部材の間に、それぞれ前記媒体の厚みよりも小さい隙間が形成されるように、前記付勢部材による付勢度合いを規制する規制部材を更に備えることを特徴とする、請求項2又は3に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記第1押圧ローラ及び前記第2押圧ローラを回転可能に支持する支持軸を更に備え、
前記支持軸が前記付勢部材により付勢されることで、前記第1押圧ローラ及び前記第2押圧ローラは、前記印字面の反対側の面を押圧することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記直交方向における前記第1押圧ローラの幅は、前記第1ガイド部材の幅よりも小さく、
前記直交方向における前記第2押圧ローラの幅は、前記第2ガイド部材の幅よりも小さいことを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記直交方向において前記第1押圧ローラと前記第2押圧ローラとを連結し、前記読み取り面に対向する連結部材を更に備え、
前記連結部材の直径は、前記第1押圧ローラ及び前記第2押圧ローラの直径よりも小さいことを特徴とする、請求項2〜6のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項8】
前記連結部材と、前記第1押圧ローラと、前記第2押圧ローラとは、一体で形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の自動取引装置。
【請求項9】
前記媒体の搬送方向において前記読取センサの両隣にそれぞれ設けられ、搬送される前記媒体をガイドする第1ガイド部材及び第2ガイド部材を更に備え、
前記押圧部材は、前記第1ガイド部材に対向する第1押圧ローラと、前記第2ガイド部材に対向する第2押圧ローラとであることを特徴とする、請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項10】
前記媒体の搬送方向において前記読取センサの両隣にそれぞれ設けられ、前記媒体を搬送する第1搬送ローラ及び第2搬送ローラを更に備え、
前記押圧部材は、一対の前記第1搬送ローラの一方のローラを成す第1押圧ローラと、一対の前記第2搬送ローラの一方のローラを成す第2押圧ローラとであることを特徴とする、請求項1に記載の自動取引装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−65256(P2013−65256A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204719(P2011−204719)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】